以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2に、本実施形態に係るオイル供給装置80が設けられた多気筒エンジン(以下、単にエンジン1という)を示す。このエンジン1は、4つの気筒2が互いに隣接して一列に配置された直列4気筒エンジンであり、自動車等の車両に搭載される。エンジン1の気筒列方向の一側(図1では右側)には変速機30が結合されおり、エンジン1の出力は変速機30によって変換されて、車両の駆動輪(図示省略)に伝達される。以下の説明において、各気筒2は、変速機11とは反対側(図1で左側)から変速機11側に向かって順に、1番気筒2a、2番気筒2b、3番気筒2c及び4番気筒2dという(これらを区別しない場合は、単に気筒2ということがある)。
また、図示は省略するが、車両には発電機としてのオルタネータが設けられている。オルタネータは、エンジン1によって駆動されて発電する通常発電と車両の減速時に行う減速回生発電が可能な回生オルタネータである。また、オルタネータによって生成された電力はバッテリ(図示省略)に蓄電(充電)されるようになっている。
エンジン1は、シリンダブロック1a、シリンダブロック1aの上に組み付けられたシリンダヘッド1b、シリンダブロック1aの下側に組み付けられたオイルパン1c、エンジン1から回転動力を出力するクランクシャフト1dなどで構成されている。
シリンダブロック1aの上部とシリンダヘッド1bとの双方にわたる部分に、クランクシャフト1dと直交する方向に延びる円筒形状の気筒2(図2では1つのみ表示)が設けられている。各気筒2の内部には、コネクティングロッド3を介してクランクシャフト1dに連結されたピストン4がスライド自在に収容されていて、ピストン4の頂面と気筒2の上部とによって燃焼室5が区画されている。
各気筒2の上部には、吸気口10と排気口20とが各々2つずつ形成されている(図2では1つずつ表示)。これら吸気口10及び排気口20は、それぞれ、吸気ポート11及び排気ポート21を通じてシリンダヘッド1bの外部に連通している。シリンダヘッド1bには、これら吸気口10及び排気口20を開閉する吸気バルブ12及び排気バルブ22と、これら吸気バルブ12及び排気バルブ22を開閉動作させる吸気側可変動弁機構40及び排気側可変動弁機構50が設置されている。
この吸気側及び排気側可変動弁機構40,50は、カムシャフト(図4及び図6において、吸気側のカムシャフト60のみを記載)に設けられたカム(図4及び図6において、吸気側のカムシャフト60に設けられたカム61のみを記載)から伝達される、上記カムシャフトの回動力を、吸気バルブ12及び排気バルブ22に伝達するためのものである。すなわち、上記カムから伝達される、上記カムシャフトの回動力が、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50を介して、吸気バルブ12及び排気バルブ22に伝達されて、該吸気バルブ12及び排気バルブ22が燃焼室5内に突入することにより、吸気ポート11及び排気ポート21が開かれるようになっている。
尚、図示を省略するが、上記カムシャフトは、タイミングチェーンを介してクランクシャフト1dに駆動連結されている。上記タイミングチェーンは、吸気側のカムシャフト60(図4及び図6参照)に固定されたスプロケット、排気側のカムシャフトに固定されたスプロケット、及び、クランクシャフト1dに固定されたスプロケットに巻きかけられている。これにより、吸気側のカムシャフト60及び排気側のカムシャフトはそれぞれ、上記タイミングチェーンを介して、クランクシャフト1dの回転に連動して回転するようになる。
また、詳しくは後述するが、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50は、直動式可変バルブ開閉機構であって、油圧によって制御されかつ吸気及び排気バルブ12,22の開閉動作を停止させる油圧駆動式可変動弁機構としての弁停止機構66を備えている。
さらに、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50は、弁停止機構66に加えて、吸気バルブ12等のリフト量を変える可変バルブリフト機構(以下、Variable Valve Liftを略してVVLという)及び吸気バルブ12等の開閉タイミングを変える可変バルブタイミング機構(以下、Variable Valve Timingを略してVVTという)等を備えていてもよい。尚、VVLやVVTは油圧式や電動式など公知の構造を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。
さらに、シリンダヘッド1bには、燃焼室5に燃料を噴射するインジェクタ6や、燃焼室5で火花を点火する点火プラグ7が、気筒2毎に設けられている。
インジェクタ6は、その噴射口が燃焼室5の上部に位置するように配置されている。インジェクタ6には、燃料供給システム72により燃焼タンク(図示省略)から燃料が供給される。燃料供給システム72は、燃料ポンプ73と蓄圧レール74とを有する。燃料ポンプ73は、燃料タンクから蓄圧レール74に燃料を送る。本実施形態では、燃料ポンプ73は、エンジン1によって駆動されるプランジャー式のポンプである。蓄圧レール74は圧送された燃料を比較的高い圧力で蓄積する。インジェクタ6は、蓄圧レール74から圧送された燃料を燃焼室5に噴射する。インジェクタ6は、通常は圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように設定されている。
点火プラグ7は、燃焼室5内の混合気に強制点火するものである。本実施形態では、点火プラグ7は、シリンダヘッド1bを貫通して、エンジン1の排気側から斜め下向きに燃焼室5に向かって延びるように配設されている。
エンジン1の一方の側部には、吸気ポート11に連通する吸気通路15が接続されており、エンジン1の他方の側部には、燃焼室5から排気ガスを排出する排気通路25が接続されている。吸気通路15には、各気筒2内へ供給する空気(新気)量を調節するスロットル弁16が設置されており、吸気通路15は、サージタンク17を介して各気筒2の吸気ポート11の各々と接続されている。
排気通路25は、排気マニホールドを介して各気筒2の排気ポート21の各々と接続されている。排気通路25の排気下流側には、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置27とサイレンサ28とが配設されている。
排気浄化装置27は、1つのケース内に収容された状態で上流側から順に並ぶ、酸化触媒27aと、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF27b)とを有している。それにより、排気ガスは、含有するCO及びHCが酸化触媒27aによって酸化され、含有する煤等の微粒子がDPF27bで捕集され、浄化された後にサイレンサ28を通じて排出される。
次に、図3を参照しながら、本実施形態の吸気側及び排気側可変動弁機構40,50にオイルを供給するためのオイル供給装置80の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、オイル供給装置80は、クランクシャフト1dの回転によって駆動される機械式オイルポンプ81(以下、機械ポンプ81という)と、該機械ポンプ81に接続され、機械ポンプ81により昇圧されたオイルをエンジン1のシリンダヘッド1b内に形成された吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に供給するための給油路とを備えている。機械ポンプ81は、エンジン1により駆動される補機である。尚、機械ポンプ81は、エンジン1の回転数とは独立してオイルの吐出量を変更可能な可変容量型のオイルポンプであってもよく、エンジン1の回転数のみに依存してオイルの吐出量が変更される通常のオイルポンプであってもよい。
上記給油路は、エンジン1の吸気側において、吸気側可変動弁機構40にそれぞれ接続されかつ接続された吸気側可変動弁機構40にオイルをそれぞれ供給するための8つの吸気側連通油路41と、該8つの吸気側連通油路41のうちの4つずつに接続された2つの吸気側中間給油路42を有している。また、上記給油路は、エンジン1の排気側において、排気側可変動弁機構50にそれぞれ接続されかつ接続された排気側可変動弁機構50にオイルをそれぞれ供給するための8つの排気側連通油路51と、該8つの排気側連通油路51のうちの4つずつに接続された2つの排気側中間給油路52を有している。さらに、上記給油路は、2つの吸気側中間給油路42及び2つの排気側中間給油路52にそれぞれ接続されかつ機械ポンプ81の吐出口に接続された共通給油路83を有している。尚、本実施形態では、吸気側及び排気側連通油路41,51が可変動弁機構用給油路に相当し、吸気側及び排気側中間給油路42,52が中間給油路に相当する。
上記吸気側中間給油路42は、上記全気筒2を燃焼行程が互いに連続する2つの気筒2からなる2組の気筒群に分け、該各組の気筒群毎に、当該気筒群における2つの気筒2毎に設けられた各吸気側可変動弁機構40(本実施形態では、1つの気筒に対して2つの吸気側可変動弁機構40、合計4つの吸気側可変動弁機構40)にそれぞれ接続された吸気側連通油路41(本実施形態では、4つの吸気側連通油路41)の全てに接続するものである。一方で、上記排気側中間給油路52は、上記各組の気筒群毎に、当該気筒群における2つの気筒2毎に設けられた各排気側可変動弁機構50(本実施形態では、1つの気筒に対して2つの排気側可変動弁機構50、合計4つの排気側可変動弁機構50)にそれぞれ接続された排気側連通油路51(本実施形態では、4つの排気側連通油路51)の全てに接続するものである。
本実施形態では、燃焼行程が、1番気筒2a、3番気筒2c、4番気筒2d及び2番気筒2bの順に行われるため、燃焼行程が連続する2つの気筒としては、1番気筒2a及び3番気筒2c、3番気筒2c及び4番気筒2d、4番気筒2d及び2番気筒2b、並びに、2番気筒2b及び1番気筒2aとなる。これらの組み合わせのうち互いに同じ気筒を含まないように2組の気筒群に分けるときには、1番気筒2a及び3番気筒2cからなる気筒群と4番気筒2d及び2番気筒2bからなる気筒群とに分けるか、又は、1番気筒2a及び2番気筒2bからなる気筒群と3番気筒2c及び4番気筒2dからなる気筒群とに分けることになる。本実施形態では、これらの組み合わせのうち、1番気筒2a及び2番気筒2bからなる気筒群(以下、第1気筒群201という)と3番気筒2c及び4番気筒2dからなる気筒群(以下、第2気筒群202という)とに分けるようにしている。このように分けることで、互いに隣り合う気筒同士によって気筒群が形成されることになるため、シリンダヘッド1b内に形成する油路の距離が短くなり、シリンダヘッド1bに吸気側及び排気側中間給油路42,52を形成する際に、比較的容易に形成できるようになる。また、シリンダヘッド1b内において、吸気側中間給油路42同士及び排気側中間給油路52同士が互いに交差しないため、製造上の信頼性も向上される。
上述のように、全気筒2を第1及び第2気筒群201,202に分けたことにより、吸気側中間給油路42は、1番気筒2a及び2番気筒2bにおける吸気側連通油路41の全てに接続された吸気側中間給油路42と、3番気筒2c及び4番気筒2dにおける吸気側連通油路41の全てに接続された吸気側中間給油路42とを含む一方、排気側中間給油路52は、1番気筒2a及び2番気筒2bにおける排気側連通油路51の全てに接続された排気側中間給油路52と、3番気筒2c及び4番気筒2dにおける排気側連通油路51の全てに接続された排気側中間給油路52とを含むことになる。尚、以下の説明において、1番気筒2a及び2番気筒2bにおける吸気側連通油路41の全てに接続された吸気側中間給油路42を第1吸気側中間給油路42aといい、3番気筒2c及び4番気筒2dにおける吸気側連通油路41の全てに接続された第2吸気側中間給油路42bといい、1番気筒2a及び2番気筒2bにおける排気側連通油路51の全てに接続された第1排気側中間給油路52aといい、3番気筒2c及び4番気筒2dにおける排気側連通油路51の全てに接続された第2排気側中間給油路52bという(これらを区別しない場合は、単に、吸気側中間給油路42、排気側中間給油路52という)。
また、各吸気側中間給油路42は、吸気側連通油路41に接続された吸気側接続部43と、一端が共通給油路83に接続されかつ他端が吸気側接続部43に接続された吸気側制御油路44とを有しており、同じく、各排気側中間給油路52は、排気側連通油路51に接続された排気側接続部53と、一端が共通給油路83に接続されかつ他端が排気側接続部53に接続された排気側制御油路54とを有している。以下の説明において、第1吸気側中間給油路42aに設けられた吸気側接続部43を第1吸気側接続部43aといい、第2吸気側中間給油路42bに設けられた吸気側接続部43を第2吸気側接続部43bといい、第1排気側中間給油路52aに設けられた排気側接続部53を第1排気側接続部53aといい、第2排気側中間給油路52bに設けられた排気側接続部53を第2排気側接続部53bという(これらを区別しない場合は、単に、吸気側接続部43、排気側接続部53という)。また、第1吸気側中間給油路42aに設けられた吸気側制御油路44を第1吸気側制御油路44aといい、第2吸気側中間給油路42bに設けられた吸気側制御油路44を第2吸気側制御油路44bといい、第1排気側中間給油路52aに設けられた排気側制御油路54を第1排気側制御油路54aといい、第2排気側中間給油路52bに設けられた排気側制御油路54を第2排気側制御油路54bという(これらを区別しない場合は、単に、吸気側制御油路44、排気側制御油路54という)。
各吸気側中間給油路42a,42bにおける、当該吸気側中間給油路42に接続された全ての吸気側連通油路41よりも上流側の部分、すなわち、各吸気側制御油路44には、各吸気側連通油路41に流入するオイルの量を制御することにより、各吸気側連通油路41内の油圧を制御して、各吸気側可変動弁機構40に供給される油圧を制御する吸気側油圧制御弁85がそれぞれ設けられている。同様に、各排気側中間給油路52a,52bにおける、当該排気側中間給油路に接続された全ての排気側連通油路51よりも上流側の部分、すなわち、各排気側制御油路54には、各排気側連通油路51に流入するオイルの量を制御することにより、各排気側連通油路51内の油圧を制御して、各排気側可変動弁機構50に供給される油圧を制御する排気側油圧制御弁86がそれぞれ設けられている。吸気側及び排気側油圧制御弁85,86は、所謂、オンオフ式のスイッチバルブであって、後述するパワートレインコントロールモジュール100(以下、Powertrain Control Moduleを省略してPCM100という)からの制御信号に制御される。吸気側及び排気側油圧制御弁85,86は、オンのときには、機械ポンプ81から吐出されたオイルを、各吸気側又は排気側接続部43,53を介して、各吸気側又は排気側連通油路41,51に流入させる一方、オフのときには、上記オイルを、図示しないドレイン油路に排出(ドレン)させるようになっている。尚、以下の説明において、第1吸気側中間給油路42aに設けられた吸気側油圧制御弁85を第1吸気側油圧制御弁85aといい、第2吸気側中間給油路42bに設けられた吸気側油圧制御弁85を第2吸気側油圧制御弁85bといい、第1排気側中間給油路52aに設けられた排気側油圧制御弁86を第1排気側油圧制御弁86aといい、第2排気側中間給油路52bに設けられた排気側油圧制御弁86を第2排気側油圧制御弁86bという(これらを区別しない場合は、単に、吸気側油圧制御弁85、排気側油圧制御弁86という)。
共通給油路83は、第1吸気側中間給油路42a及び第2吸気側中間給油路42bに接続された吸気側給油部83aと、第1排気側中間給油路52a及び第2排気側中間給油路52bに接続された排気側給油部83bと、吸気側給油部83a及び排気側給油部83bに接続された主給油部83cとを有している。主給油部83cは、機械ポンプ81の吐出口から、エンジン1のシリンダブロック1c内をシリンダヘッド1bに向かって延びている。そして、シリンダヘッド1b内で、主給油部83cから吸気側給油部83a及び排気側給油部83bが分岐している。
次に、オイルパン1c内のオイルが、機械ポンプ81によって吐出されてから、各吸気側及び排気側可変動弁機構40、50に供給されるまでのオイルの流れについて説明する。尚、吸気側及び排気側でオイルの流れは実質的に同じであるため、以下の説明では吸気側でのオイルの流れについてのみ説明し、排気側でのオイルの流れについては説明を省略する。
先ず、機械ポンプ81は、オイルパン1d内に貯留されたオイルに浸漬されたオイルストレーナ81aによって、オイルを吸入して昇圧した後、主給油部83cにオイルを吐出する。吐出されたオイルは、主給油部83cから吸気側給油部83aへとそれぞれ流入する。吸気側給油部83aへ流入したオイルは、各吸気側中間給油路42の各吸気側制御油路44に到達する。上述したように、各吸気側制御油路44には、吸気側油圧制御弁85がそれぞれ設けられており、各吸気側制御油路44に到達したオイルは、上記吸気側油圧制御弁85によって、下流側の吸気側接続部43に流入されるか、又は、ドレイン油路に排出される。上記オイルが下流側の吸気側接続部43に流入されたときには、上記オイルは、吸気側接続部43を介して各吸気側連通油路41へと流入し、各吸気側連通油路41から各吸気側可変動弁機構40へと供給される。これにより、吸気側可変動弁機構40に油圧が供給される。一方で、上記オイルがドレイン油路に排出されたときには、各吸気側可変動弁機構40にはオイルが供給されないため、吸気側可変動弁機構40には油圧が供給されない。この吸気側油圧制御弁85による制御を行うときに、例えば、第1吸気側油圧制御弁85aは、上記オイルを第1吸気側接続部43aに流入させるようにする一方、第2吸気側油圧制御弁85bは、上記オイルを上記ドレイン油路に排出させるようにすると、第1気筒群201の各吸気側可変動弁機構40については油圧が供給される一方、第2気筒群202の各吸気側可変動弁機構40については油圧を供給されないようにすることができる。すなわち、第1気筒群201の各吸気側可変動弁機構40を駆動させる一方、第2気筒群202の各吸気側可変動弁機構40を駆動させないようにすることができる。
次に、各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50の構成について、図4〜図6を参照しながら詳細に説明する。尚、吸気側可変動弁機構40の構成と排気側可変動弁機構50の構成とは、実質的に同じであるため、以下の説明では吸気側可変動弁機構40のみについて説明し、排気側可変動弁機構50の構成については説明を省略する。
図4に、吸気側可変動弁機構40を示す。吸気側可変動弁機構40は、エンジン1の出力に応じて回転するカム61と吸気バルブ12との間に介在して、これらを連結するリンク部材62を有している。
図5に詳しく示すように、リンク部材62は、主揺動部63、副揺動部64、バネ65、弁停止機構66などで構成されている。
ローラ62aは、その上部を突出した状態で副揺動部64に回動自在に支持されている。副揺動部64は、主揺動部63の内側に揺動可能に収容されており、副揺動部64の揺動基端は、ピン64aによって、主揺動部63の先端部に回動自在に支持されている。主揺動部63の基端部は、シリンダヘッド1bに固定された軸に回動自在に支持されている。主揺動部63の基端部にはバネ65が設置されており、このバネ65により、副揺動部64は、その上部が主揺動部63からはみ出して位置するように付勢されている。
図4及び図6に示すように、弁停止機構66は、主揺動部63の基端部及び公知の油圧ラッシュアジャスタ68(以下、Hydraulic Lash Adjusterを略してHLA68という)に設けられていて、ガイド筒66a、規制ピン66b、コイルバネ66c、油入出路66dなどで構成されている。規制ピン66bは、ガイド筒66aの内部にスライド可能に取り付けられており、その先端部分がガイド筒66aから突出して副揺動部64の揺動端を支持する支持状態と、その先端部分がガイド筒66aの内部に後退して副揺動部64の揺動端を支持しない不支持状態とに、変位可能となっている。
規制ピン66bは、コイルバネ66cにより、その先端部がガイド筒66aから突出する方向に付勢されている。これにより、通常、規制ピン66bは、図4に示すような支持状態となっており、副揺動部64は揺動不能となっている。その結果、カム61の作用でローラ62aが往復動するのに伴って、主揺動部63は、その基端部を中心に揺動し、その先端部が往復動する。それにより、カム61の回転に連動して吸気バルブ12は開閉動作する。
油入出路66dは、凹部69とガイド筒66aとの間に形成されていて、HLA68の油室68aと連通している。油入出路66dは、油室68aの油圧が上昇して、所定油圧以上の油圧になったときに、規制ピン66bを、コイルバネ66cの付勢力に抗してガイド筒66aの内部に後退させるように形成されている。HLA68の油室68aには、オイル導入路67が設けられている。オイル導入路67は、吸気側連通油路41と連通されており、機械ポンプ81から吐出され、吸気側連通油路41に流入したオイルは、オイル導入路67を通じて油室68aに供給されるようになっている。尚、上記所定油圧は、コイルバネ66cの付勢力と同等の力を発生させるような油圧である。
すなわち、吸気側油圧制御弁85がPCM100によって制御されて、油室68aにオイルが供給されて油室68a内の油圧が所定油圧以上の油圧になると、該油圧が規制ピン66bに作用し、図6に示すように、規制ピン66bは、コイルバネ66cの付勢力に抗して、ガイド筒66aの内部に後退して不支持状態となる。そうなると、カム61の作用でローラ62aが往復動するのに伴って副揺動部64が揺動し、主揺動部63は、揺動せずに定位置に保持される。その結果、ローラ62aの往復動は吸気バルブ12に伝わらず、吸気バルブ12は閉じたままとなる。
このように、本実施形態に係る各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50は、弁停止機構66によって、吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させるバルブ停止制御を実行することができるように構成されている。
また、上述のように、弁停止機構66が、油室68a内の油圧が所定油圧以上の油圧になったときに駆動して、上記バルブ停止制御を実行させるようになっていると、油室68aに供給されたオイルに気泡が析出するのを防止することができる。また、仮に該オイル中に気泡が混入していたとしても、該気泡を上記オイルに強制的に溶解させることができる。すなわち、油室68aに供給されたオイルに気泡が混入していると、弁停止機構66に油圧が正常に伝達されず、吸気バルブ12等の開閉動作の停止が遅れてしまうことがある。しかし、上述のような構成とすることにより、このようなオイル中の気泡によって生じる吸気バルブ12等の開閉動作の停止の遅れを防止することができる。
吸気側及び排気側可変動弁機構40,50へのオイルの供給を含めたエンジン1の作動は、制御手段としてのPCM100によって包括的に制御されている。PCM100は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。
PCM100には、図7に示すように、エンジン1の運転状態を示す各種センサからの検出情報が入力される。例えば、PCM100には、クランクシャフト1dの回転角度を検出するクランク角センサ101と、車両の乗員によるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ102と、エンジン1を備えた車両の車速を検出する車速センサ103と、変速機30におけるギヤの段階を検出するギヤ段センサ104と、気筒2内に流入する直前の吸気の温度を検出する吸気ポート温度センサ105と、排気温度を検出する排気温センサ106と、排気圧を検出する排気圧センサ107等の検出結果が入力される。PCM100は、クランク角センサ101の検出信号に基づいてエンジン回転数を検出する。また、PCM100は、車速センサ103の検出信号とギヤ段センサ104との検出信号に基づいて、エンジントルクを算出する。
PCM100は、各センサ(クランク角センサ101、アクセル開度センサ102、車速センサ103、ギヤ段センサ104、吸気ポート温度センサ105、排気温センサ106、排気圧センサ107等)からの検出信号に基づいて種々の演算を行い、エンジン1や車両の運転状態を判定する。PCM100は、該判定した運転状態に応じて、インジェクタ6、点火プラグ7、燃料供給システム72、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50、並びに、吸気側及び排気側油圧制御弁85,86等へ制御信号を出力して、これらを制御する。
PCM100は、エンジン1の運転状態が所定条件を満たしたときに、燃料供給システム72による各気筒2への燃料供給を停止する燃料カット制御を実行する。詳しくは、PCM100は、車両の減速時に、少なくともアクセル開度とエンジントルクとを読み込み、アクセル開度が所定開度以下(すなわち、アクセル開度がほぼゼロ)でかつ、エンジントルクが所定トルク以下のときに、燃料カット制御を実行して、気筒2を休止させる。このように、上記燃料カット制御を実行することにより、燃費の向上を図ることができる。尚、所定トルクは、上記燃料カット制御を実行したとしても車両のドライバにトルクショックに伴う衝撃が伝達されない程度のエンジントルクである。
ここで、車両の減速時に、上記燃料カット制御(気筒休止)とともに、燃料カット制御を実行する気筒2(以下、休止気筒という)の吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させて、エンジンブレーキによる制動力を大きくすることがある。このとき、休止気筒については、上記バルブ開閉動作を停止させる一方、未だ燃料カット制御を実行していない気筒2については、上記バルブ開閉動作を停止させないようにする必要がある。
そのため、従来は、休止気筒の直前に燃焼する気筒2の上記バルブ開閉動作が開始してから、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50にオイルを供給して、吸気バルブ12等の開閉動作を停止させていた。しかしながら、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50にオイルが供給されてから、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50内(厳密には、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50における弁停止機構66の油室68a内)の油圧が上記所定油圧以上の油圧になるまでにはある程度の時間が必要であるため、一気筒分の、上記バルブ開閉動作が開始してから該バルブ開閉動作が完了するまでの期間では、オイルを供給する期間が短すぎて、休止気筒の上記バルブ開閉動作を停止させきれず、該停止が遅れてしまうことがある。このように、上記バルブ開閉動作の停止が遅れてしまうと、燃焼室5内の温度が低下して燃費の悪化を招くおそれもある。
そこで、本実施形態では、PCM100は、上記燃料カット制御を実行するときに、第1又は第2気筒群201,202における、連続する燃焼行程における該燃焼行程の先行する気筒2の中から上記燃料カット制御を開始する気筒2である燃料カット制御開始気筒を決定し、該燃料カット制御開始気筒が含まれる気筒群における燃焼順序が遅い方の気筒2におけるバルブ開閉動作が終了した後、吸気側及び排気側油圧制御弁85,86によって、上記燃料カット制御開始気筒が含まれる気筒群の各吸気側可変動弁機構40にそれぞれ接続された吸気側連通油路41内及び上記気筒群の各排気側可変動弁機構50にそれぞれ接続された排気側連通油路51内の油圧を変更して、上記燃料カット制御開始気筒が含まれる気筒群の各気筒2の各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に上記バルブ停止制御を実行させ、吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させる。
以下、この吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させる制御について具体的に説明する。
先ず、PCM100は、第1又は第2気筒群201,202における、連続する燃焼行程における該燃焼行程の先行する気筒2の中から燃料カット制御開始気筒を決定する。本実施形態では、第1気筒群201は1番気筒2a及び2番気筒2bからなり、第2気筒群202は3番気筒2c及び4番気筒2dからなっている。各気筒2a〜2dのうち、連続する燃焼行程において、該燃焼行程の先行する気筒は、第1気筒群201では2番気筒2b、第2気筒群202では3番気筒2cである。すなわち、本実施形態では、上記燃料カット制御開始気筒は、2番気筒2b又は3番気筒2cとなる。
ここで、3番気筒2cが燃料カット制御開始気筒に設定されたと仮定する。
PCM100は、3番気筒2cが含まれる気筒群である第2気筒群202における燃焼順序が遅い気筒、すなわち、4番気筒2dにおける吸気バルブ12等のバルブ開閉動作が終了した後、3番気筒2cに設けられた各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に上記バルブ停止制御を開始させる。具体的には、第2気筒群202の吸気側可変動弁機構40にそれぞれ接続された吸気側連通油路41内の油圧及び第2気筒群202の排気側可変動弁機構50にそれぞれ接続された排気側連通油路51内の油圧を上記所定油圧以上の油圧にして、各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50の弁停止機構66をそれぞれ駆動させるようにする。このとき、上記燃焼順序が遅い気筒における上記バルブ開閉動作が完了したか否かについては、クランク角センサ101によって判定する。すなわち、PCM100には、クランクシャフト1dの回転角度と各気筒2における作動状態(ピストン4の位置など)との対応関係が予め記憶されており、クランク角センサ101によって検出されたクランクシャフト1dの回転角度から、対象となる気筒2(上述の例では4番気筒2d)の作動状態を検出することができる。尚、各気筒2がどの行程にあるかが判定できればよいため、クランク角センサ101に代えて、上記カムシャフトの回転角度を検出するカム角センサ(図示省略)の検出結果を用いて、各気筒2における上記バルブ開閉動作が完了したか否かを判定するようにしてもよい。
本実施形態では、第1気筒群201の吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧は、第1吸気側油圧制御弁85a及び第1排気側油圧制御弁86aで制御する一方、第2気筒群202の吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧は、第2吸気側油圧制御弁85b及び第2排気側油圧制御弁86bで制御することができるため、第1吸気側油圧制御弁85a及び第1排気側油圧制御弁86aをオフしたまま、第2吸気側油圧制御弁85b及び第2排気側油圧制御弁86bをオンするように制御すれば、第2気筒群202の吸気側及び排気側連通油路41,51にのみオイルを流入させて、第2気筒群202の吸気側及び排気側可変動弁機構40,50のみを駆動させることができる。
4番気筒2dの上記バルブ開閉動作が終了した後は、2番気筒2b及び1番気筒2aにおける上記バルブ開閉動作がある。そのため、3番気筒2cに設けられた各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に上記バルブ停止制御を実行させて、該3番気筒2cにおける上記バルブ開閉動作を停止させるために、3番気筒2cの吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧を所定油圧以上の油圧まで上昇させるのに利用できる期間は、2番気筒2b及び1番気筒2aの上記バルブ開閉動作が完了するまでの期間、すなわち、二気筒分の上記バルブ開閉動作の期間となる。これにより、従来よりも吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧を上昇させるために利用出来る期間を長くすることができる。この結果、気筒休止時におけるバルブ開閉動作の停止の遅れを抑制することができる。
尚、この制御を可能とするためには、上述した、図3に示すような油圧回路を形成して、気筒群毎に吸気側及び排気側油圧制御弁85,86を設ける必要がある。吸気側及び排気側油圧制御弁85,86を増加させる場合、エンジン1の組み立て工程での組み付け工数が課題となるが、従来と比較して、吸気側及び排気側油圧制御弁85,86を1つずつ増加させるだけであるため、上記組み付け工数への影響は小さい。つまり、気筒休止時におけるバルブ開閉動作の停止の遅れを抑制するとともに、エンジン1の組み付け性についても確保することができる。
次に、図8を参照しながら、燃料カット制御に伴い吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させる際のPCM100の処理動作について説明する。尚、初期状態では、各油圧制御弁85a,85b,86a,86bは全てオフの状態であるとする。また、図8には、燃料カット制御開始気筒として3番気筒2cが選択される場合のフローチャートを示している。
先ず、最初のステップS101において、アクセル開度が所定開度以下の開度であるか否かを判定する。該判定は、アクセル開度センサ102の検出信号に基づいて行う。アクセル開度が所定開度以下の開度であるYESのときには、ステップS102に進む一方、アクセル開度が所定開度よりも大きい開度であるNOのときには、リターンする。
上記ステップS102では、エンジントルクが所定トルク以下のエンジントルクであるかに否かについて判定する。該判定は、車速センサ103及びギヤ段センサ104の検出信号に基づいて行う。エンジントルクが所定トルク以下のエンジントルクであるYESのときには、ステップS103に進む一方、エンジントルクが所定トルクよりも大きいエンジントルクであるNOのときには、ステップS101に戻る。
次のステップS103では、上記燃料カット制御を開始する気筒である燃料カット制御開始気筒を決定する。上述したように、ここでは、3番気筒2bが選択される。燃料カット制御開始気筒を決定した後は、ステップ104に進む。
続くステップS104では、3番気筒2cが含まれる気筒群である第2気筒群202の各気筒2c、2dにおける各吸気バルブ12等のバルブ開閉動作が全て終了したか否か、すなわち、第2気筒群202に含まれる各気筒2c、2dのうち燃焼順序の遅い方の気筒である4番気筒2dにおける上記バルブ開閉動作が終了したか否かについて判定する。該判定は、クランク角センサ101の検出信号に基づいて判定する。該判定の結果、4番気筒2dにおける上記バルブ開閉動作が終了していたYESのときには、ステップS105に進む一方、4番気筒2dにおける上記バルブ開閉動作が終了していないNOのときには、ステップS104に戻り再び判定を受ける。
上記ステップS105では、第2吸気側油圧制御弁85b及び第2排気側油圧制御弁86bをオンにして、第2気筒群202の各気筒2c、2dの吸気側及び排気側連通油路41,51にオイルを流入させる。これにより、第2気筒群202の各気筒2c、2dの吸気側及び排気側可変動弁機構40,50にオイルが供給され、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50(厳密には、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50内の弁停止機構66)を駆動させて、上記バルブ停止制御を実行させ、第2気筒群202の各気筒2c、2dにおける吸気バルブ12等のバルブ開閉動作を停止させることができる。ステップS105の後はステップS106に進む。尚、フローチャートには示していないが、第2気筒群202の各気筒2c、2dにおける上記バルブ開閉動作を停止させた後は、第2気筒群202の各気筒2c、2dに対して上記燃料カット制御が実行される。
次のステップS106では、第1気筒群201の吸気バルブ12等のバルブ開閉動作が全て終了したか否か、すなわち、第1気筒群201に含まれる2つの気筒2a、2bのうち燃焼順序の遅い方の気筒2である1番気筒2aにおける上記バルブ開閉動作が終了したか否かについて判定する。該判定は、クランク角センサ101の検出信号に基づいて判定する。該判定の結果、1番気筒2aにおける上記バルブ開閉動作が終了していたYESのときには、ステップS107に進む一方、1番気筒2aにおける上記バルブ開閉動作が終了していないNOのときには、ステップS106に戻り再び判定を受ける。
上記ステップS107では、第1吸気側油圧制御弁85a及び第1排気側油圧制御弁86aをオンにして、第1気筒群201の吸気側及び排気側連通油路41,51にオイルを流入させる。これにより、第1気筒群201の各気筒2a,2bの各吸気側及び排気側可変動弁機構40,50にオイルが供給され、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50(厳密には、吸気側及び排気側可変動弁機構40,50内の弁停止機構66)を駆動させて、上記バルブ停止制御を実行させ、第1気筒群201の各気筒2a、2bにおける吸気バルブ12等の開閉動作を停止させることができる。尚、フローチャートには示していないが、第1気筒群201の各気筒2a、2bにおける上記バルブ開閉動作を停止させた後は、第1気筒群201の各気筒2a、2bに対して上記燃料カット制御を実行する。そして、ステップS107の後は、リターンする。
尚、上述のフローチャートにおいて、上記ステップS105や上記ステップS107の後に、吸気バルブ12等のバルブ開閉動作が完全に停止したか否かを判定するステップを設けるようにしてもよい。上記バルブ開閉動作が停止すると、吸気ポート11内の温度、排気温度及び排気圧等が変化するため、上記バルブ開閉動作が完全に完了したか否かは、吸気ポート温度センサ105、排気温センサ106及び排気圧センサ107等からの検出信号に基づいて判定することができる。
また、上述のフローチャートにおいて、燃料カット開始気筒として2番気筒2bを選択する場合には、上記ステップS104で、第1気筒群201の各気筒2a,2bにおける上記バルブ開閉動作が全て終了したか否かを判定し、上記ステップS105で、第1吸気側油圧制御弁85a及び第1排気側油圧制御弁86aをオンにして、第1気筒群201の各気筒2a,2bの吸気側及び排気側可変動弁機構40,50を駆動させる。その後、上記ステップS106で、第2気筒群202の各気筒2c,2dにおける上記バルブ開閉動作が全て終了したか否かを判定し、上記ステップS107で、第2吸気側油圧制御弁85b及び第2排気側油圧制御弁86bをオンにして、第2気筒群202の各気筒2c,2dの吸気側及び排気側可変動弁機構40,50を駆動させることになる。
さらに、上述のフローチャートにおいて、上記ステップS104〜上記ステップS107の判定を、吸気バルブ12及び排気バルブ22のそれぞれについて個別に実行するようにしてもよい。すなわち、上記ステップS104又は上記ステップS106において、吸気行程が終了したことをもってステップS105又はステップS107に移行して、第1又は第2吸気側油圧制御弁85a,85bをオンにして、各吸気バルブ12に対して上記バルブ停止制御を実行し、続いて、上記ステップS104又は上記ステップS106において、排気行程が終了したことをもって、上記ステップS105又は上記ステップS107に移行して、第1又は第2排気側油圧制御弁86a,86bをオンにして、各排気バルブ22に対して上記バルブ停止制御を実行する。このように、第1又は第2吸気側油圧制御弁85a,85bを、第1又は第2排気側油圧制御弁86a,86bよりも早くオンにすることで、吸気側可変動弁機構40へ油圧を供給する時間を長く確保することができ、より確実に所望のタイミングで吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に上記バルブ停止制御を実行させることができる。
図9には、上述のフローチャートを実行したときのアクセル開度、エンジントルク、燃料噴射量、第2気筒群202の吸気側連通油路41内の油圧の変化を示している。尚、図9では示していないが、第2気筒群202の排気側連通油路51内の油圧も吸気側連通油路41内の油圧と同様の変化を示す。
図9に示すように、時間t1において、ドライバがアクセルペダルを解放してアクセル開度が低下すると、エンジントルクが減少する。アクセル開度が低下したとしても車速等はすぐには減少しないため、エンジントルクはアクセル開度に比べると緩やかに減少する。また、燃料量噴射量については、燃料噴射量はPCM100によって、空燃比が理論空燃比となるように制御されているため、アクセル開度が減少して空気の導入量が減少することで、燃料噴射量も減少していく。このとき、第2吸気側油圧制御弁85bはオフの状態であるため、第2気筒群202の吸気側連通油路41内の油圧はゼロの状態である。
ここから、時間t2において、エンジントルクが所定トルク以下になると、上述のフローチャートに従って、第2吸気側油圧制御弁85bがオンの状態になる。これにより、第2気筒群202の各気筒2c、2dの吸気側連通油路41内の油圧が上昇する。そして、該吸気側連通油路41内の油圧の上昇に対して僅かに遅れて上記燃料カット制御が実行されて燃料噴射量がゼロになる。これは、第2気筒群202の各気筒2c、2dにおける吸気バルブ12等のバルブ開閉動作が停止するまでの時間を考慮したものである。
したがって、本実施形態では、燃焼行程が連続する2つの気筒2からなる複数の気筒群毎に、該気筒群に設けられた吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に対する油圧制御が可能となり、PCM100は、燃料カット制御開始気筒が含まれる気筒群における燃焼順序が遅い方の気筒のバルブ開閉動作が終了した後、上記燃料カット制御開始気筒が含まれる気筒群の吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧を変更して、上記燃料カット制御開始気筒に設けられた吸気側及び排気側可変動弁機構40,50に上記バルブ停止制御を実行させて、上記燃料カット制御開始気筒におけるバルブ開閉動作を停止させるよう構成されているため、従来よりも吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧を上昇させる期間を確保することができ、これにより、気筒休止時におけるバルブ開閉動作の停止の遅れを抑制することができる。また、増加させる吸気側及び排気側油圧制御弁85,86の数を抑えることができるため、部品の組み付け工数に対する影響が抑えられる。この結果、気筒休止時におけるバルブ開閉動作の停止の遅れを抑制するとともに、エンジン1の組み付け性を確保することができる。
また、本実施形態では、PCM100は、クランク角センサ101によって検出されたエンジン回転数が、所定回転数以下となったときには、バルブ開閉動作を停止させた気筒2のバルブ開閉動作を再開させるように、該気筒2を含む気筒群の吸気側及び排気側油圧制御弁85,86を制御する。
上述したように、本実施形態では、機械ポンプ81を用いている。機械ポンプ81は、エンジン回転数が小さくなるほどポンプの回転数が小さくなり、オイルの吐出量が減少する。オイルの吐出量が減少すると、吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧が減少する。そのため、エンジンの回転数が、吸気側及び排気側連通油路41,51内の油圧を上記所定油圧以上の油圧に維持できない程度にまで減少すると、吸気バルブ12等のバルブ開閉動作の停止状態を維持することができなくなり、ドライバの意図しないタイミングで休止気筒の上記バルブ開閉動作が再開されてしまうおそれがある。上記バルブ開閉動作が再開されると、エンジンブレーキによる制動力が変化するため、エンジントルクの大きさが変化することになり、この変化がトルクショックの衝撃として、車両のドライバに伝達され、走行の快適性が悪化するおそれがある。
そこで、エンジン回転数が所定回転数以下となったときには、上記バルブ開閉動作を停止させた気筒2おける上記バルブ開閉動作を再開させるようにする。すなわち、エンジン回転数の低下に伴う油圧の低下によって上記バルブ開閉動作が再開される前に、予め上記バルブ開閉動作を再開させることで、上記トルクショックを低減させる。これにより、走行の快適性が低下するのを防止することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、気筒群を、1番気筒2a及び2番気筒2bからなる気筒群と、3番気筒2c及び4番気筒2dからなる気筒群とに分けるようにしていたが、これに限らず、1番気筒2a及び3番気筒2cからなる気筒群と、2番気筒2b及び4番気筒2dからなる気筒群とに分けるようにしてもよい。このように気筒群を分ける場合、連続する燃焼行程において燃焼行程が先行する気筒は、1番気筒2a及び4番気筒2dになるため、燃料カット制御開始気筒としては1番気筒2a又は4番気筒2dが選択される。
また、上記実施形態では、エンジン1は直列4気筒エンジンであったが、これに限らず、6気筒以上の偶数個の気筒を有するエンジンであってもよい。この場合、気筒群は3組以上の組に分けられるため、給油路の構成を3組以上の組の気筒群に対応した構成とする必要がある。
さらに、上記実施形態では、オイルポンプをエンジン1によって駆動される機械式オイルポンプ81としたが、これに限らず、電動式オイルポンプであってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。