JP4970197B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の駆動力特性を有する車両において、車輪のグリップ力を駆動力特性の異なる複数の運転モード毎に適切に保持できるようにした車両の駆動力制御装置に関する。
従来、一台の車両で異なる複数の駆動力特性を備え、複数の駆動力特性から、1つの駆動力特性を運転者の好みに応じて選択できるようにしたものが、特許文献1(特許第3930529号公報)等で知られている。
又、最近の車両においては、車輪のグリップ力を保持するために、過剰な駆動力を抑制する様々な駆動力制御装置が開発され、実用化されている。例えば特許文献2(特開平10−310042号公報)には、各車輪の摩擦円限界値を求め、この摩擦円限界値を超えない範囲内で、車両の駆動力を制御する技術が開示されている。
特許第3930529号公報 特開平10−310042号公報
ところで、一台で駆動力特性の異なる複数の運転モードを有する車両においては、運転モード毎に運転者のドライバビリティに対する要求は異なる。例えば、サーキット走行時のようにパワフルな走行を実現する駆動力特性を選択した場合、車輪のスリップ率を比較的高めに設定したいという要求がある。逆に、一般道や雨天時のようにそれほどパワーを必要としない走行環境において、経済的な運転を可能にする駆動力特性を選択した場合、スリップ率を比較的低めに設定したいという要求がある。
しかし、引用文献2に開示されている技術では、駆動力特性の異なる複数の運転モードを有する車両には対応することができず、一律に設定された摩擦円限界値を超えないように駆動力が制御されてしまうため、運転モード毎にスリップ率を変更することができず、運転者の要求するドライバビリティに応じることができない問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、駆動力特性の異なる複数の運転モードを有する車両において、運転モード毎に、運転者の要求するドライバビリティに応じた駆動力を得ることのできる車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明による第1の車両の駆動力制御装置は、タイヤと路面との間の摩擦力に基づいて摩擦円限界値を設定する摩擦円限界値設定手段と、駆動力特性の異なる複数の運転モードを有し、選択されている1つの該運転モードと運転者の出力要求量を検知する出力要求量検知手段で検知した出力要求量とに基づき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、車輪の前後力と横力とに基づきタイヤ合力を設定するタイヤ合力設定手段と、前記摩擦円限界値を、選択されている前記運転モードに応じて補正する摩擦円限界値補正手段と、前記摩擦円限界値補正手段で設定した前記摩擦円限界値に基づき前記要求駆動力設定手段で設定した要求駆動力を制限して駆動系に対する制御量を設定する制御量設定手段とを備えることを特徴とする。
第2の車両の駆動力制御装置は、タイヤと路面との間の摩擦力に基づいて摩擦円限界値を設定する摩擦円限界値設定手段と、駆動力特性の異なる複数の運転モードを有し、選択されている1つの該運転モードと運転者の出力要求量を検知する出力要求量検知手段で検知した出力要求量とに基づき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、車輪の前後力と横力とに基づきタイヤ合力を設定するタイヤ合力設定手段と、前記タイヤ合力が前記摩擦円限界値を超えた場合に前記要求駆動力を該摩擦円限界値内に収束させる一次遅れ時定数を、選択されている前記運転モードに応じて可変設定する一次遅れ時定数設定手段と、前記一次遅れ時定数設定手段で設定した一次遅れ時定数に基づき前記要求駆動力設定手段で設定した要求駆動力を制限して駆動系に対する制御量を設定する制御量設定手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、駆動力特性の異なる複数の運転モードを有する車両において、摩擦円限界値の大きさと摩擦円限界値を超えたときの戻り時間の長さとの一方を、運転モード毎に可変設定するようにしたので、運転モード毎に、運転者の要求するドライバビリティに対応する駆動力を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1〜図7に本発明の第1実施形態を示す。図1に駆動力制御装置の構成図、図2にエンジン制御装置の機能ブロック図を示す。尚、本実施形態では、車両として、センタデファレンシャル付4輪駆動車を例示する。
図1に示すように、車両には、CAN(Controller Area Network)通信等の車内通信回線16を通じて、メータ制御装置(メータ_ECU)21、エンジン制御装置(E/G_ECU)22、変速機制御装置(T/M_ECU)23等の、車両を制御する演算手段としての制御装置が相互通信可能に接続されている。各ECU21〜23は、マイクロコンピュータ等のコンピュータを主体に構成され、周知のCPU、ROM、RAM、及びEEPROM等の不揮発性記憶手段等を有している。
メータ_ECU21は、運転者前方のインストルメントパネルに設けられているコンビネーションメータ(図示せず)の表示全体を制御すると共に、車両の運転状態を検出するパラメータが入力されて、RAMに一時記憶される。このメータ_ECU21の入力側にモード選択スイッチ10、車体に作用するヨーレートγを検出するヨーレートセンサ11、車体に作用する横加速度Gy(=dy/dt)を検出する横加速度センサ12等が接続されている。又、図示しないが出力側には、タコメータ、スピードメータ、水温計、燃料計を代表とする計器類や、各種ウォーニングランプ等、コンビネーションメータに配設されている周知の部品が接続されている。又、モード選択スイッチ10は、エンジンの運転モードDmを選択する外部操作スイッチであり、運転者が任意に操作することができる。本実施形態では、運転モードDmとしてノーマルモードDn、セーブモードDs、パワーモードDpの3種類を備えており、運転者の選択した運転モードDm(=Dn,Ds,Dpの何れか)に対応する運転モード信号が、E/G_ECU22へ出力される。尚、各モードDn,Ds,Dpのエンジン出力特性については後述する。
E/G_ECU22は、主にエンジンの運転状態を制御するもので、入力側に、クランク軸等の回転からエンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ29、エアクリーナの直下流等に配設されて吸入空気量Qを検出する吸入空気量センサ30、アクセルペダルの踏込み量から、運転者の出力要求量であるアクセル開度θaccを検出する、出力要求量検知手段としてのアクセル開度センサ31、吸気通路に介装されて各気筒に供給する吸入空気量を調整する電子制御式スロットル弁(図示せず)の開度を検出するスロットル開度センサ32等、車両及びエンジン運転状態を検出するセンサ類が接続されている。又、E/G_ECU22の出力側に、燃焼室に対して所定に計量された燃料を噴射するインジェクタ36、電子制御式スロットル弁を開閉動作させるスロットルアクチュエータ37、各気筒に配設されている点火プラグに対して点火信号を所定タイミングで出力するイグナイタ38等、エンジン駆動を制御する駆動系が接続されている。
E/G_ECU22は、入力された各センサ類からの検出信号に基づき、インジェクタ36に対する燃料噴射タイミング、及び燃料噴射パルス幅(パルス時間)を設定すると共に、イグナイタ38に対する最適な点火タイミングを設定する。更に、スロットルアクチュエータ37に対してスロットル開度信号を出力して電子制御式スロットル弁の開度を制御する。
ところで、E/G_ECU22に設けられている不揮発性記憶手段には、異なる複数のエンジン出力特性(駆動力特性)がマップ形式で格納されている。各エンジン出力特性として、本実施形態ではノーマルモードDn、セーブモードDs、パワーモードDpの3種類の運転モードを備え、不揮発性記憶手段には、この各運転モードDn,Ds,Dpに対応するモードマップMpn,Mps,Mppが格納されている。図7に示すように各モードマップMpn,Mps,Mppは、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとを格子軸とし、各格子点に目標エンジントルクを格納する3次元マップで構成されている。この各モードマップMpn,Mps,Mppは、基本的には、モード選択スイッチ10の操作により選択される。すなわち、E/G_ECU22の後述する要求エンジントルク演算部では、モード選択スイッチ10から出力されるモード選択信号に基づき、運転モードDmとしてノーマルモードDnが選択されている場合、ノーマルモードマップMpnを選択し、セーブモードDsが選択されている場合、セーブモードマップMpsを選択し、又、パワーモードDpが選択されている場合、パワーモードマップMppを選択する。
ここで、各モードマップMpn,Mps,Mppに設定されている運転モードDn,Ds,Dp毎のエンジン出力特性について説明する。図7(a)に示すように、ノーマルモードマップMpnには、アクセル開度θaccにほぼ比例して目標エンジントルクが変化する特性に設定されており、又、アクセル開度θaccが全踏付近で、電子制御式スロットル弁が全開となる最大目標エンジントルクに設定されている。
又、同図(b)に示すように、セーブモードマップMpsには、上述したノーマルモードマップMpnに格納されているエンジン出力特性に比し、目標エンジントルクの上昇が抑えられており、アクセル開度θaccが全踏であっても電子制御式スロットル弁は全開とはならず、目標エンジントルクの最大値が抑えられている。従って、運転モードDmがセーブモードDsに設定されているときは、アクセル開度θaccの上昇に比しエンジントルクの上昇が抑制され、その結果、アクセルペダルを思い切り踏み込む等のアクセルワークを楽しむことができると共に、経済的な運転を行うことができる。更に、アクセル開度θaccの上昇に比し、目標エンジントルクの上昇が抑えられているため、イージードライブ性と低燃費性との双方をバランス良く両立させることができる。
又、同図(c)に示すように、パワーモードマップMppには、ほぼ全運転領域でアクセル開度の変化に対し目標エンジントルクが大きく変化するように設定されて、又、アクセル開度θaccが全踏付近では、電子制御式スロットル弁が全開となる最大目標エンジントルクに設定されている。従って、パワーモードDpでは全運転領域において、エンジンの有するポテンシャルを最大限に発揮できるような、パワー重視の目標エンジントルクに設定されている。尚、各運転モードDm(=Dn,Ds、Dp)のエンジン出力特性の詳細については、前述した特許文献1に記述されている。
このように、エンジントルク設定手段では、運転者がモード選択スイッチ10を操作して、何れかのモードDn,Ds,Dpを選択すると、対応するモードマップMpn,Mps,Mppが選択され、選択したモードマップMpn,Mps,Mppに基づいて目標エンジントルクを設定する。そして、この目標エンジントルクに基づき電子制御式スロットル弁の弁開度を制御し、駆動力であるエンジン出力を設定する。従って、1つの車両で全く異なる3種類のアクセルレスポンスを楽しむことができる。
尚、この運転モードDmは、車両の運転条件に応じて自動的に切換えることもできる。例えば、走行中におけるアクセル開度θaccの単位時間当たりの変化量を学習し、登坂走行のようなアクセルペダルが大きく変化する運転領域では、ノーマルモードDnから自動的にパワーモードDpへ切換え、又、市街地走行等のようにアクセル開度θaccの変化量が小さい運転領域では、ノーマルモードDnから自動的にセーブモードDsへ切換えるようにする。
又、T/M_ECU23は、自動変速機の変速制御を行うもので、入力側にトランスミッション出力軸の回転数等から車速を検出する車速センサ41、セレクトレバー7のセットされているレンジを検出するインヒビタスイッチ42、トルクコンバータに設けられているタービン軸の回転数を検出するタービン回転数センサ43等が接続され、出力側に自動変速機の変速制御を行うコントロールバルブ44、及びロックアップクラッチをロックアップ動作させるロックアップアクチュエータ45が接続されている。このT/M_ECU23では、インヒビタスイッチ42からの信号に基づきセレクトレバーのセットレンジを判定し、Dレンジにセットされているときは、所定の変速パターンに従い、その変速信号をコントロールバルブ44へ出力して変速制御を行う。尚、この変速パターンは、E/G_ECU22で設定されている運転モードDn,Ds,Dpに対応して可変設定される。
又、ロックアップ条件が満足されたときはロックアップアクチュエータ45にスリップロックアップ信号或いはロックアップ信号を出力し、トルクコンバータの入出力要素間を、コンバータ状態からスリップロックアップ状態、或いはロックアップ状態に切換える。
更に、この運転モードDmは、E/G_ECU22で実行される駆動力制御においても読込まれる。この駆動力制御では、運転モードDmに対応する、車輪の摩擦円限界値μ_Fzi(但し、i=前右輪fr、前左輪fl、後右輪rr、後左輪rl)を各車輪毎に設定する。
図2に示すように、E/G_ECU22は、駆動力制御を実行する機能として、エンジントルク演算部51、要求駆動力設定手段としての要求エンジントルク演算部52、トランスミッション出力トルク演算部53、総駆動力演算部54、前後接地荷重演算部55、左輪荷重比率演算部56、各輪接地荷重演算部57、各輪前後力演算部58、横力推定手段としての各輪横力演算部59、摩擦円限界値設定手段としての各輪摩擦円限界値演算部60、タイヤ合力設定手段としての各輪タイヤ合力演算部61、各輪オーバータイヤ力演算部62、オーバータイヤ力演算部63、オーバートルク演算部64、制御量設定手段としての制御量演算部65を備えている。
エンジントルク演算部51は、スロットル開度センサ32で検出したスロットル開度θthと、エンジン回転数センサ29で検出したエンジン回転数Neとに基づき、エンジントルクマップを補間計算付きで参照し、或いは計算式からエンジントルクTegを演算する。例えばマップには、スロットル開度θthとエンジン回転数Neとをパラメータとして、予め実験などから求めたエンジントルクが格納されており、このマップがE/G_ECU22のROMに固定データとして格納されている。
又、要求エンジントルク演算部52は、メータ_ECU21から出力される運転モード信号、アクセル開度センサ31で検出したアクセル開度θacc、エンジン回転数Neを読込む。そして、先ず、運転モード信号に基づき、選択されている運転モードDm(=Dn,Ds、Dpの何れか)に対応するモードマップ(Mpn,Mps,Mppの何れか)を選択し、選択したモードマップMpn或いはMps或いはMppを、エンジン回転数Neとアクセル開度θaccをパラメータとして補間計算付きで参照して、目標エンジントルクを特定し、この目標エンジントルクを要求エンジントルクTdrvとして設定する。
トランスミッション出力トルク演算部53は、エンジン回転数Neと、T/M_ECU23から出力される変速信号(現在の変速比を示す主変速ギヤ比εi)、及びタービン回転数信号(タービン回転数Nt)と、エンジントルク演算部51で設定したエンジントルクTegとを読込む。そして、先ず、タービン回転数Ntとエンジン回転数Neとの比からトルクコンバータの回転速度比εeを算出する(εe=Nt/Ne)。次いで、この回転速度比εeとトルクコンバータのトルク比とに基づきマップ参照によりトルクコンバータのトルク比εtを設定する。
そして、これらの値に基づき、次式からトランスミッション出力トルクTtを演算する。
Tt=Teg・εt・εi …(1)
又、総駆動力演算部54は、トランスミッション出力トルク演算部53で求めたトランスミッション出力トルクTtを読込み、次式から総駆動力Fxを演算する。
Fx=Tt・η・if/Rt …(2)
ここで、ηは駆動系伝達効率、ifはファイナルギヤ比、Rtはタイヤ半径であり、これらは何れも固定値である。
又、前後接地荷重演算部55は、総駆動力演算部54で算出した総駆動力Fxを読込み、この総駆動力Fxに基づき、前後加速度(dx/dt)を、(dx/dt)=(Fx/m)から算出する。但し、mは車両質量(固定値)である。そして、この前後加速度(dx/dt)に基づき、次式から前輪接地荷重Fzf、及び後輪接地荷重Fzrを演算する。
Fzf=Wf−((m・(dx/dt)・h)/L) …(3)
Fzr=W−Fzf …(4)
尚、Wfは前輪静加重、hは重心高さ、Lはホイールベース、Wは車両重量(=m・G、但し、Gは重力加速度)であり、これらは何れも固定値である。
又、左輪荷重比率演算部56は、T/M_ECU23から出力される横加速度信号(横加速度Gy)を読込み、次式から左輪荷重比率WR_lを算出する。
WR_l=0.5−(Gy/G)・(h/Ltred) …(5)
尚、Ltredは前輪と後輪のトレッド平均値で、固定値である。
又、各輪接地荷重演算部57は、前後接地荷重演算部55で求めた前輪接地荷重Fzf、後輪接地荷重Fzr、及び、左輪荷重比率演算部56で算出した左輪荷重比率WR_lを読込み、次式から、各車輪の接地荷重Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を演算する。
Fzf_l=Fzf・WR_l …(6)
Fzf_r=Fzf・(1−WR_l)…(7)
Fzr_l=Fzr・WR_l …(8)
Fzr_r=Fzr・(1−WR_l) …(9)
各輪前後力演算部58は、図示しないセンタデファレンシャル装置で設定したセンタデファレンシャルの差動を制限するLSD(Limited Slip Differential)クラッチに対する締結トルクTLSDを読込み、又、トランスミッション出力トルク演算部53で求めたトランスミッション出力トルクTtと、総駆動力演算部54で求めた総駆動力Fxと、前後接地荷重演算部55で求めた前輪接地荷重Fzfとを読込む。
そして、各車輪の前後力Fxi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を演算する。各車輪の前後力Fxiを演算するに際しては、先ず、前輪荷重配分率WR_fを次式から算出する。
WR_f=Fzf/W …(10)
次に、最小前輪前後トルクTfminと最大前輪前後トルクTfmaxを次式から算出する。
Tfmin=Tt・Rf_cd−TLSD(≧0) …(11)
Tfmax=Tt・Rf_cd+TLSD(≧0) …(12)
尚、Rf_cdは、センタデファレンシャル装置のベーストルク配分である。
次いで、最小前輪前後力Fxfminと最大前輪前後力Fxfmaxを次式から算出する。
Fxfmin=Tfmin・η・if/Rt …(13)
Fxfmax=Tfmax・η・if/Rt …(14)
そして、これらの値に基づき以下のように状態判定を行う。
・WR_f≦Fxfmin/Fxの場合、後輪側に差動制限トルクが増加されているとし、判定値I=1とする。
・WR_f≧Fxfmax/Fxの場合、前輪側に差動制限トルクが増加されているとし、判定値I=3とする。
・上記以外の場合は通常時と判定して、判定値I=2とする。
次いで、この判定値Iに応じた前輪前後力Fxfを次式から算出する。
・I=1の場合
Fxf=Tfmin・η・if/Rt …(15)
・I=2の場合
Fxf=Fx・WR_f …(16)
・I=3の場合
Fxf=Fxfmax・η・if/Rt …(17)
そして、(15)〜(17)式で演算した前輪前後力Fxfに基づき、後輪前後力Fxrを次式から算出する。
Fxr=Fx−Fxf …(18)
以上の前輪前後力Fxf、及び、後輪前後力Fxrを用いて、次式から各車輪の前後力Fxiをそれぞれ算出する。
Fxf_l=Fxf/2 …(19)
Fxf_r=Fxf_l …(20)
Fxr_l=Fxr/2 …(21)
Fxr_r=Fxr_l …(22)
尚、本実施形態で示した各輪前後力の演算は、あくまで一例であり、車両の駆動形式・駆動機構等により適宜、選択することができる。
又、各輪横力演算部59は、横加速度Gyとメータ_ECU21から出力されるヨーレート信号(ヨーレートγ)と、左輪荷重比率演算部56で求めた左輪荷重比率WR_lとを読込む。そして、先ず、次式から、前輪横力Fyfと後輪横力Fyrとを演算する。
Fyf=(Iz・(dγ/dt)+m・Gy・Lr)/L …(23)
Fyr=(−Iz・(dγ/dt)+m・Gy・Lf)/L …(24)
ここで、Izは車両のヨー慣性モーメント、Lrは後軸−重心間距離、Lfは前軸−重心間距離であり、何れも固定値である。
次いで、この前輪横力Fyf、後輪横力Fyrに基づき次式から、各車輪の横力Fyi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を算出する。
Fyf_l=Fyf・WR_l …(25)
Fyf_r=Fyf・(1−WR_l) …(26)
Fyr_l=Fyr・WR_l …(27)
Fyr_r=Fyr・(1−WR_l) …(28)
各輪摩擦円限界値演算部60は、各車輪の摩擦円限界値μ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を算出する。この各輪摩擦円限界値演算部60における各車輪の摩擦円限界値μ_Fziの算出は、図3に示す摩擦円限界値演算ルーチンにおいて求められる。
このルーチンでは、先ず、ステップS1で路面摩擦係数μを読込む。この路面摩擦係数μは、E/G_ECU22に設けられている図示しない路面μ演算部において求められ、各輪摩擦円限界値演算部60に対し、路面摩擦係数信号として出力される。ここで、路面μ演算部における路面摩擦係数μの設定方法について簡単に説明する。この路面摩擦係数μの設定方法は、本出願人が、先に提出した特開平8−2274号公報に開示されている技術に基づいて行う。すなわち、先ず、舵角、車速、実ヨーレートにより車両の横運動の運動方程式に基づき前後輪のコーナリングパワを非線形域に拡張して推定する。そして、高μ路(μ=1.0)での前後輪の等価コーナリングパワに対する推定した前後輪のコーナリングパワの比から路面摩擦係数μを設定する。尚、路面摩擦係数μの設定方法は、同公報に開示されている技術に限定されるものではなく、他の方法、例えば本出願人が提出した特開2000−71968号公報に開示されている開示する方法で求めても良く、或いは各車輪に発生するすべり率から各輪毎に求めても良い。
次いで、ステップS2へ進み、各輪接地荷重演算部57から出力される各車輪の接地荷重Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を読込む。そして、ステップS3で、路面摩擦係数μと各車輪の接地荷重Fziとに基づき、次式から各車輪の標準摩擦円限界値Sμ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を設定する。
Sμ_Fzi=μ・Fzi …(29)
その後、ステップS4へ進み、メータ_ECU21から出力される運転モード信号(運転モードDm)を読込み、ステップS5,S6で、現在、設定されている運転モードDmを調べる。そして、Dm=Dnの現在の運転モードがノーマルモードDnのときは、ステップS5からステップS7へ進み、標準摩擦円限界値Sμ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)で、摩擦円限界値μ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を設定して(μ_Fzi←Sμ_Fzi)、ルーチンを抜ける。尚、ステップS7での処理が、本発明の摩擦円限界値補正手段に対応している。
又、Dm=Dsの現在の運転モードがセーブモードDsのときは、ステップS5、ステップS6を経てステップS8へ進み、標準摩擦円限界値Sμ_Fziにセーブモード補正値αs(但し、0.5<αs<1.0)を乗算した値で、摩擦円限界値μ_Fziを設定して(μ_Fzi←αs・Sμ_Fzi)、ルーチンを抜ける。
又、Dm=Dpの現在の運転モードがパワーモードDpのときは、ステップS5、ステップS6を経てステップS9へ進み、標準摩擦円限界値Sμ_Fziにパワーモード補正値αp(但し、1.0<αp<1.5)を乗算した値で、摩擦円限界値μ_Fziを設定して(μ_Fzi←αp・Sμ_Fzi)、ルーチンを抜ける。
図4に示すように、摩擦円限界値μ_Fziは、車輪がグリップ力を保持した状態で車両の運動性能を制御できる限界を表す円の半径であり、摩擦円限界値μ_Fziの大きさはタイヤと路面との間に生じる摩擦力の最大値を表している。又、タイヤの摩擦力は、進行方向(駆動力又は制動力)の力と横方向(右方向又は左方向)の摩擦力との合成力であり、何れかの方向の摩擦力が100%、すなわち摩擦円限界値μ_Fziの大きさに一致した場合、他方向の摩擦力はゼロになる。尚、制動力は駆動力と逆方向になる。
本実施形態では、この摩擦円限界値μ_Fziを、運転モードDm(=Dn,Ds、Dp)毎に設定されており、ノーマルモードDn選択時に設定される摩擦円限界値μ_Fziを標準値とし、セーブモードDs選択時に設定される摩擦円限界値μ_Fziを、標準値よりも小さい値とし、パワーモードDp選択時に設定される摩擦円限界値μ_Fziを、標準値よりも大きな値としている。又、図5に示すように、この摩擦円限界値μ_Fziは各車輪毎に設定され、後述するように、各車輪毎のタイヤ合力F_i(但し、i=前左輪fl、前右輪fr、後左輪rl、後右輪rr)と比較される。
又、各輪タイヤ合力演算部61は、各輪前後力演算部58で求めた各車輪の前後力Fxi)と、各輪横力演算部59で求めた各車輪の横力Fyi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)とに基づき、次式に示す二乗和平方根から各車輪のタイヤ合力F_iを算出する(図6参照)。
F_i=(Fxi+Fyi1/2 …(30)
又、各輪オーバータイヤ力演算部62は、各輪摩擦円限界値演算部60で求めた各車輪の摩擦円限界値μ_Fziと、各輪タイヤ合力演算部61で求めた各車輪のタイヤ合力F_iとに基づき、次式から各車輪のオーバータイヤ力ΔF_iを算出する。
ΔF_i=F_i−μ_Fzi …(31)
図5に示すように、オーバータイヤ力ΔF_iは、タイヤ合力F_iと摩擦円限界値μ_Fziとの単純な差分であるため、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fzi内の場合、換言すれば、摩擦円限界値μ_Fziに対してタイヤ合力F_iに余裕がある場合は、負値となる。又、このときの摩擦円限界値μ_Fziは、運転モードDm(=Dn,Ds,Dpの何れか)毎に設定されているため、図6に示すように、例えばノーマルモードDn時の摩擦円限界値μ_Fziではオーバータイヤ力ΔF_iが正値(F_i>μ_Fzi)であっても、パワーモードDp時の摩擦円限界値μ_Fziではオーバータイヤ力ΔF_iが負値(F_i<μ_Fzi)となる場合がある。或いは、ノーマルモードDn時の摩擦円限界値μ_Fziではオーバータイヤ力ΔF_iが負値(F_i<μ_Fzi)であっても、セーブモードDs時の摩擦円限界値μ_Fziではオーバータイヤ力ΔF_iが正値(F_i>μ_Fzi)となる場合もある。
又、オーバータイヤ力演算部63は、各輪オーバータイヤ力演算部62で求めた各車輪のオーバータイヤ力ΔF_i(但し、i=前左輪fl、前右輪fr、後左輪rl、後右輪rr)の総和を求め、この値をオーバータイヤ力Foverとして設定する。
Fover=ΔF_fl+ΔF_fr+ΔF_rl+ΔF_rr …(32)
例えば、全ての車輪のオーバータイヤ力ΔF_iの平均が負値の場合、オーバータイヤ力Foverは負値となり、この平均が正値の場合、オーバータイヤ力Foverは正値となる。又、この場合、各車輪のオーバータイヤ力ΔF_i(i=前左輪fl、前右輪fr、後左輪rl、後右輪rr)の中で、最も大きな値を示すものをオーバータイヤ力Foverとして設定するようにしても良い。或いは各車輪のオーバータイヤ力ΔF_iの平均値をオーバータイヤ力Foverとして設定しても良い。
又、オーバートルク演算部64は、オーバータイヤ力演算部63で求めたオーバータイヤ力Foverに基づき、次式からオーバートルクToverを演算する。
Tover=Fover・Rt/εt/εi/η/if …(33)
ここで、ηは駆動系伝達効率、ifはファイナルギヤ比、Rtはタイヤ半径であり、これらは何れも固定値である。又、εtはトルクコンバータのトルク比であり、トルクコンバータの回転速度比e(=Nt/Ne)とトルクコンバータのトルク比とに基づきマップ参照により求める。尚、オーバートルクToverが正値(負値)の場合、オーバータイヤ力Foverも正値(負値)となる。
そして、制御量演算部65は、要求エンジントルク演算部52で求めた要求エンジントルクTdrvと、オーバートルク演算部64で求めたオーバートルクToverとに基づき、次式から新たな駆動力制御量である出力トルクTreqを演算する。
・Tover<0、すなわち、摩擦円限界値μ_Fziよりもタイヤ合力F_iが小さい場合、
Treq=Tdrv …(34)
・Tover≧0、すなわち、摩擦円限界値μ_Fziよりもタイヤ合力F_iが大きい場合、
Treq=(Tdrv−Tover) …(35)
そして、この出力トルクTreqを、電子制御式スロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータへ出力する。その結果、要求エンジントルクTdrvは、常に摩擦円限界値μ_Fzi内に収まるように制限される。その際、運転モードDmがセーブモードDsに設定されている場合、図4に破線で示すように摩擦円限界値μ_Fziが、ノーマルモードDn時の摩擦円限界値μ_Fziよりもセーブモード補正値αsの割合分だけ、見かけ上、縮小される。そのため、駆動力の抑制されたセーブモードDsを好む運転者は、アクセルペダルを思い切り踏み込んでも、車輪のグリップ力が充分に保持されて滑りが発生しないので、運転者の要求に応じたドライバビリティを得ることができる。
一方、運転モードDmがパワーモードDpに設定されている場合、図4に一点鎖線で示すように摩擦円限界値μ_Fziが、ノーマルモードDn時の摩擦円限界値μ_Fziよりもパワーモード補正値αpの割合分だけ見かけ上、拡大されるため、多少の滑りは発生するが、パワーを重視した運転を好む運転者の要求に応じたドライバビリティを得ることができる。
[第2実施形態]
図8〜図11に本発明の第2実施形態を示す。図8はエンジン制御装置の機能ブロック図である。上述した第1実施形態では摩擦円限界値μ_Fziを、エンジンの運転モードDmに応じて可変設定するようにしたが、本実施形態では摩擦円限界値μ_Fziは標準値とし、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えるまで、要求エンジントルクTdrvは制限せず、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えたときから、エンジンの運転モードDm(=Dn,Ds、Dpの何れか)毎に設定されている一次遅れ時定数T(=Tn,Ts,Tp)で、タイヤ合力F_iを摩擦円限界値μ_Fziへ戻すようにしたものである。
図8に示すエンジン制御装置の機能ブロック図において、上述した第1実施形態の処理と異なる処理を実施する演算部は、各輪摩擦円限界値演算部60と制御量演算部65であり、その他の演算部51〜59,61〜64では、第1実施形態と共通した処理が実行される。従って、第1実施形態と共通した処理を行う演算部についての説明は省略する。
各輪摩擦円限界値演算部60で算出される各車輪の摩擦円限界値μ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)は、図9に示す摩擦円限界値演算ルーチンに従って求められる。
このルーチンでは、先ず、ステップS11で路面摩擦係数μを読込む。尚、路面摩擦係数μの求め方については既述したので説明を省略する。
次いで、ステップS12で、各輪接地荷重演算部57から出力される各車輪の接地荷重Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を読込む。そして、ステップS13で、路面摩擦係数μと各車輪の接地荷重Fziとに基づき、次式から各車輪の摩擦円限界値μ_Fzi(但し、i=前左輪f_l、前右輪f_r、後左輪r_l、後右輪r_r)を設定して、ルーチンを抜ける。
μ_Fzi=μ・Fzi …(29’)
又、制御量演算部65では、図10に示す制御量演算ルーチンに従い、エンジンの出力トルクTreqが算出される。このルーチンでは、先ず、ステップS21で、オーバートルク演算部64で求めたオーバートルクToverが正値を示しているか否かを調べ、負値の場合(Tover<0)は、ステップS22へ分岐し、要求エンジントルク演算部52で求めた要求エンジントルクTdrvで、出力トルクTreqを設定して(Treq←Tdrv)、ルーチンを抜ける。
又、オーバートルクToverが正値を示している場合(Tover≧0)、ステップS23へ進み、現在設定されているエンジンの運転モードDm(=Dn,Ds,Dpの何れか)を読込む。そして、ステップS24で、設定されている運転モードDm(=Dn,Ds,Dpの何れか)に対応する一次遅れ時定数Tを設定する。図11に示すように、一次遅れ時定数Tは、運転モードDmがノーマルモードDnに設定されている際のノーマルモード時定数Tnを標準値とし、運転モードDmがセーブモードDsに設定されている際のセーブモード時定数Tsが、ノーマルモード時定数Tnよりも短く設定され、又、運転モードDmがパワーモードDpに設定されている際のパワーモード時定数Tpが、ノーマルモード時定数Tnよりも長く設定されている(Ts<Tn<Tp)。
その後、ステップS25へ進み、次式から出力トルクTreqを演算する。
Treq←(k/(1+T・s))・(Tdrv−Tover)…(35’)
ここで、Kは比例定数で、本実施形態ではK=1に設定されている。又、sはラプラス演算子である。尚、ステップS24,S25での処理が、本発明の一次遅れ時定数設定手段に対応している。
そして、この出力トルクTreqを、電子制御式スロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータへ出力する。その結果、図11に示すように、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えたとき、そのときのエンジンの運転モードDmがノーマルモードDnに設定されている場合、実線で示すようにノーマルモード時定数Tnに従った遅れを有して、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziに収束される。又、運転モードDmがセーブモードDs設定されている場合、一点鎖線で示すように、セーブモード時定数Tsが、ノーマルモードDnのノーマルモード時定数Tnよりも短く設定されているため、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziに早期に収束される。又、運転モードDmがパワーモードDpに設定されている場合、破線で示すように、パワーモード時定数Tpが、ノーマルモードDnのノーマルモード時定数Tnよりも長く設定されているため、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziに対して緩やかに収束される。
その結果、エンジンの運転モードDmがセーブモードDsに設定されている場合、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えたとき、このタイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziに対して比較的早期に収束され、換言すれば、実際に滑りが発生する前にエンジン出力が制限されるため、滑りが発生せず、セーブモードDsを好む運転者の要求に応じたドライバビリティを得ることができる。一方、運転モードDmがパワーモードDpに設定されている場合、運転モードDmがノーマルモードDnに設定されている場合に比し、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えたとき、このタイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziに対して比較的緩やかに収束されるため、多少の滑りは発生するが、パワーを重視した運転を好む運転者の要求に応じたドライバビリティを得ることができる。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限るものではなく、例えばエンジンの運転モードは、上述した3つのモードに限らず、2つのモード、或いは4つ以上のモードを有していても良く、第1実施形態では、この各モードに応じた摩擦円限界値μ_Fziを、通常運転に適したモード(ノーマルモードDn)の摩擦円限界値μ_Fziを標準として設定する。又、第2実施形態では、各モードに応じた一次遅れ時定数Tを、通常運転に適した運転モード(ノーマルモードDn)時の時定数T(ノーマルモード時定数Tn)を標準として設定する。
又、上述した各実施形態では、タイヤ合力F_iが摩擦円限界値μ_Fziを越えた場合、駆動系である電子制御式スロットル弁の開度を制御してエンジンの出力を制限するようにしているが、エンジンの出力は、燃料カットや点火時期制御によって制限するようにしても良い。更に、駆動力特性はエンジン出力特性に限らず、自動変速機の変速特性であっても良い。
第1実施形態による駆動力制御装置の構成図 同、エンジン制御装置の機能ブロック図 同、摩擦円限界値演算ルーチンを示すフローチャート 同、摩擦円限界値の説明図 同、車輪毎に設定する摩擦円限界値の説明図 同、タイヤ合力と摩擦円限界値との関係を示す説明図 同、(a)はノーマルモードマップの概念図、(b)はセーブモードマップの概念図、(c)はパワーモードマップの概念図 第2実施形態によるエンジン制御装置の機能ブロック図 同、摩擦円限界値演算ルーチンを示すフローチャート 同、制御量演算ルーチンを示すフローチャート 同、運転モード毎に設定されている一次遅れ時定数を示す説明図
符号の説明
10…モード選択スイッチ、
11…ヨーレートセンサ、
12…横加速度センサ、
31…アクセル開度センサ、
52…要求エンジントルク演算部、
57…各輪接地荷重演算部、
60…各輪摩擦円限界値演算部、
61…各輪タイヤ合力演算部、
63…オーバータイヤ力演算部、
64…オーバートルク演算部、
65…制御量演算部、
Teg…エンジントルク、
Treq…出力トルク、
αp…パワーモード補正値、
αs…セーブモード補正値、
μ_Fzi…摩擦円限界値、
μ…路面摩擦係数、
Dn…ノーマルモード、
Dp…パワーモード、
Ds…セーブモード、
F_i…タイヤ合力、
Fxi…前後力、
Fyi…横力、
Fzi…接地荷重、
Gy…横加速度、
Mpn…ノーマルモードマップ、
Mpp…パワーモードマップ、
Mps…セーブモードマップ、
Sμ_Fzi…標準摩擦円限界値、
T…時定数、
Tdrv…要求エンジントルク、
Treq…出力トルク、
Tn…ノーマルモード時定数、
Tp…パワーモード時定数、
Ts…セーブモード時定数

Claims (6)

  1. タイヤと路面との間の摩擦力に基づいて摩擦円限界値を設定する摩擦円限界値設定手段と、
    駆動力特性の異なる複数の運転モードを有し、選択されている1つの該運転モードと運転者の出力要求量を検知する出力要求量検知手段で検知した出力要求量とに基づき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    車輪の前後力と横力とに基づきタイヤ合力を設定するタイヤ合力設定手段と、
    前記摩擦円限界値を、選択されている前記運転モードに応じて補正する摩擦円限界値補正手段と、
    前記摩擦円限界値補正手段で設定した前記摩擦円限界値に基づき前記要求駆動力設定手段で設定した要求駆動力を制限して駆動系に対する制御量を設定する制御量設定手段と
    を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. タイヤと路面との間の摩擦力に基づいて摩擦円限界値を設定する摩擦円限界値設定手段と、
    駆動力特性の異なる複数の運転モードを有し、選択されている1つの該運転モードと運転者の出力要求量を検知する出力要求量検知手段で検知した出力要求量とに基づき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    車輪の前後力と横力とに基づきタイヤ合力を設定するタイヤ合力設定手段と、
    前記タイヤ合力が前記摩擦円限界値を超えた場合に前記要求駆動力を該摩擦円限界値内に収束させる一次遅れ時定数を、選択されている前記運転モードに応じて可変設定する一次遅れ時定数設定手段と、
    前記一次遅れ時定数設定手段で設定した一次遅れ時定数に基づき前記要求駆動力設定手段で設定した要求駆動力を制限して駆動系に対する制御量を設定する制御量設定手段と
    を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  3. 前記運転モードは、少なくとも通常運転に適したノーマルモードと経済的な運転に適したセーブモードとを有し、
    前記摩擦円限界値補正手段は、前記運転モードとして前記ノーマルモードが選択されている場合、前記摩擦円限界値設定手段で設定した前記摩擦円限界値を今回の摩擦円限界値として設定し、前記運転モードとしてセーブモードが選択されている場合、前記摩擦円限界値設定手段で設定した前記摩擦円限界値を小さな値に補正する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記運転モードは、少なくとも通常運転に適したノーマルモードとパワーを重視した運転に適したパワーモードとを有し、
    前記摩擦円限界値補正手段は、前記運転モードとして前記ノーマルモードが選択されている場合、前記摩擦円限界値設定手段で設定した前記摩擦円限界値を今回の摩擦円限界値として設定し、前記運転モードとしてパワーモードが選択されている場合、前記摩擦円限界値設定手段で設定した前記摩擦円限界値を大きな値に補正する
    ことを特徴とする請求項1或いは3記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記運転モードは、少なくとも通常運転に適したノーマルモードと経済的な運転に適したセーブモードとを有し、
    一次遅れ時定数設定手段は、前記運転モードとして前記セーブモードが選択されている場合、ノーマルモード時に設定される一次遅れ時定数よりも短い一次遅れ時定数が設定される
    ことを特徴とする請求項2記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記運転モードは、少なくとも通常運転に適したノーマルモードとパワーを重視した運転に適したパワーモードとを有し、
    一次遅れ時定数設定手段は、前記運転モードとして前記パワーモードが選択されている場合、ノーマルモード時に設定される一次遅れ時定数よりも長い一次遅れ時定数が設定される
    ことを特徴とする請求項2或いは5記載の車両の駆動力制御装置。
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