JP2016002049A - 変異型アルコール脱水素酵素、該変異型アルコール脱水素酵素をコードする単離核酸分子、該変異型アルコール脱水素酵素の製造方法 - Google Patents

変異型アルコール脱水素酵素、該変異型アルコール脱水素酵素をコードする単離核酸分子、該変異型アルコール脱水素酵素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱安定性に優れた変異型アルコール脱水素酵素、及び当該変異型アルコール脱水素酵素の製造方法の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列からなる、野生型アルコール脱水素酵素に比べ、熱安定性が向上した変異型アルコール脱水素酵素、当該変異型アルコール脱水素酵素の遺伝子工学的手法による大量生産技術、及び当該変異型アルコール脱水素酵素の特性を利用したアルコール又はアルデヒドの検出方法。【選択図】図1

Description

本発明は、変異型アルコール脱水素酵素、該変異型アルコール脱水素酵素をコードする単離核酸分子、該変異型アルコール脱水素酵素の製造方法に関する。
アルコール脱水素酵素は、電子受容体としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、或いはピロロキノリンキノン(PQQ)等を補酵素としてアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を触媒する。アルコール脱水素酵素は、細菌、酵母から哺乳類に至るまで広く存在していることが知られており、多様な生物由来のものが報告されている。例えば、酵母のサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)由来のアルコール脱水素酵素は、古くからアルコール発酵技術等に汎用されてきた。
酵母由来のアルコール脱水素酵素には、多数のアイソザイムを有していることが知られている。特に、アルコール脱水素酵素1は、アルコール発酵や解糖において重要なアイソザイムであるとされ、グルコースで生育した酵母において大量に発現することが知られていた。そして、かかるアルコール脱水素酵素1の遺伝生化学的解析が進められてきた(非特許文献1、2)。非特許文献1では、アルコール脱水素酵素1遺伝子の一次構造が解析され、該遺伝子がコードするアミノ酸配列が報告されている。非特許文献2では、X線結
晶構造解析により、その立体構造が明らかにされた(非特許文献2)。
酵母由来のアルコール脱水素酵素は、常温でのエタノール等のアルコールの酸化速度が速いことから、アルコール検出装置への応用がなされている。例えば、アルコール濃度測定用バイオセンサーが報告されている(特許文献1)。特許文献1の技術は、アルコール脱水素酵素を固定した電極を利用したバイオセンサーであり、呼気中に含まれている気体状のアルコールと電気的に反応して飲酒度を測定するものである。アルコール脱水素酵素は、ノンアルコール飲料の品質保証にも利用されている(特許文献2、3)。特許文献2及び3の技術は、アルコール脱水素酵素、酸化型電子受容体、還元型電子受容体及び還元系色素を利用して、目視でアルコールを検出するものである。
また、近年クリーンエネルギー技術として、アルコール等のバイオマスを燃料としたバイオ燃料電池が考案され、電極触媒としてのアルコール脱水素酵素の利用が着目されている。
ここで、アルコール脱水素酵素に限らず酵素は、触媒作用を選択する性質が非常に強いことが知られている。酵素は、生体が生存可能な温和な条件下で最も酵素活性を発揮し、生体内で代謝される機構を有するものである。そのため、酵素を構成するタンパク質構造に変化を与えるような因子の存在により酵素の活性は影響を受ける。したがって、酵素活性は、温度等の物理的条件、及びpH、塩濃度等の化学的条件の影響を受け、これらに対する安定性が低いため用途が限定されるという問題点があった。
特に、バイオセンサーやバイオ燃料電池への適用に際しては、多様な環境において安定して活性を保持できる酵素が不可欠であり、特に、酵素寿命に対して相関があるといわれる熱安定性の向上が要求される。
しかしながら、上記特許文献1〜3の技術は何れも常温域での使用を想定するものである。これは、上記特許文献1〜3に記載の技術で利用されるアルコール脱水素酵素は何れも天然に存在する野生型の酵素であることから、熱に対する安定性が低く、厳格な条件、特には高温域での使用には適していなかったことに起因する。従来公知のアルコール脱水素酵素は、酵素の保存安定性が低く、酵素の熱失活により酵素の使用量の増大及び精度の低下が生じることから、バイオセンサーやバイオ燃料電池への適用に際しては市場の要望に十分に対応できるものではなかった。したがって、常温域のみならず高温域でも安定的に作用でき、工業的利便性及び保存安定性の高いアルコール脱水素酵素の提供が望まれていた。
特開平7−198668号 特開2013−172675号 特開2013−172676号
J. L. Bennetzen and B. D. Hall, The Primary Structure of the Saccharomyces cerevisiae Gene for Alcohol Dehydrogenase I, J. Biol. Chem. 1982, 257, 3018-3025. S. Ramaswamy, Darla Ann Kratzer, et al., Crystallization and Preliminary Crystallographic Studies of Saccharomyces cerevisiae Alcohol Dehydrogenase I, J. Mol. Biol. 1994, 235, 777-779
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、変異型アルコール脱水素酵素の提供を目的とする。また、本発明は、当該アルコール脱水素酵素の熱安定性に優れた特性を利用した技術の提供をも目的とする。詳細には、当該酵素をコードする遺伝子を単離し、目的とする理化学的性質を備えた当該酵素を組換え体として取得し、遺伝子工学的手法による当該酵素の大量生産技術の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酵母由来の野生型アルコール脱水素酵素のアミノ酸配列において、ある特定のアミノ酸に変異が生じている変異部位を有する変異型アルコール脱水素酵素を構築した。そして、当該変異型アルコール脱水素酵素が、野生型アルコール脱水素酵素と比較して熱安定性に優れていることを見出した。かかる変異型アルコール脱水素酵素の配列を決定したことから、当該酵素の組換え生産が可能となった。更に、当該変異型アルコール脱水素酵素を利用することにより、従来の野生型アルコール脱水素酵素の熱安定性に関する欠点を克服し、より実用面において有利なバイオセンサー及びバイオ燃料電池を提供できることをも見出した。本発明者らはこれらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
上述の目的を達成するため、下記の〔1〕〜〔16〕の構成からなる発明を提供する。
〔1〕配列番号2又は4に示すアミノ酸配列からなる野生型アルコール脱水素酵素に比べて熱安定性が向上した、以下のタンパク質から選択される変異型アルコール脱水素酵素。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(e)配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(f)配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(g)配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(h)配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(i)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(j)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(k)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(l)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
〔2〕前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換、又は、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換が、システインへの置換である変異型アルコール脱水素酵素。
〔3〕前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換、又は、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換が、システインへの置換である変異型アルコール脱水素酵素。
〔4〕配列番号7又は9のアミノ酸配列からなる変異型アルコール脱水素酵素。
上記〔1〕〜〔4〕の構成によれば、野生型アルコール脱水素酵素と比較して熱安定性が向上された変異型アルコール脱水素酵素を提供できる。上記〔1〕〜〔4〕の構成の変異型アルコール脱水素酵素は一アミノ酸の置換により、その熱安定性が向上されている。一般に、酵素の活性低下は熱変性に起因する場合も多いため、熱安定性の向上は酵素の耐久性及び保存性を大きく向上させることにもつながる。特に、近年、アルコール脱水素酵素は、バイオセンサーやバイオ燃料電池の触媒等として多種多様な分野での利用が期待されている。しかしながら、従来の野生型アルコール脱水素酵素においては、高温条件での変性による活性低下がその実用化を阻んできた。ここで、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は、高い熱安定性を有することから、実用性を飛躍的に向上させることができる。したがって、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を要する技術に適用できる。
〔5〕以下のタンパク質から選択される変異型アルコール脱水素酵素。
(m)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(n)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(o)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(p)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(q)配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(r)配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(s)配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(t)配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(u)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(v)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(w)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(x)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
〔6〕前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記277番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である、又は、前記85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、そして、前記283番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である変異型アルコール脱水素酵素。
〔7〕前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記277番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である、又は、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記283番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である変異型アルコール脱水素酵素。
〔8〕配列番号15又は17のアミノ酸配列からなるアルコール脱水素酵素。
上記〔5〕〜〔8〕の構成によれば、野生型アルコール脱水素酵素と比較して熱安定性が向上された変異型アルコール脱水素酵素を提供できる。上記〔5〕〜〔8〕の構成の変異型アルコール脱水素酵素は、二アミノ酸置換を有することで、飛躍的にその熱安定性が増し、実用性が向上している。したがって、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を要する技術に適用が特に期待できる。
〔9〕上記変異型アルコール脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
〔10〕上記単離核酸分子を含む組換えベクターを導入した形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物からアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、配列番号2又は4に示すアミノ酸配列からなる野生型アルコール脱水素酵素に比べて熱安定性が向上している変異型アルコール脱水素酵素の製造方法。
上記〔9〕〜〔10〕の構成によれば、野生型アルコール脱水素酵素と比較して熱安定性が向上された変異型アルコール脱水素酵素をコードする核酸分子、当該核酸分子を含む発現ベクターを導入した形質転換体を利用した変異型アルコール脱水素酵素の製造方法を提供できる。本発明の核酸分子は、好ましくは、配列番号6、8、14及び16の群から選択される塩基配列からなる単離核酸分子である。このように構成することで、熱安定性が向上した実用性の高い本発明の変異型アルコール脱水素酵素の配列情報を提供することができる。これにより、遺伝子工学的手法を利用して組換え体として本発明の変異型アルコール脱水素酵素を低コストかつ工業的に大量生産することができる。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素の触媒活性を利用してアルコール又はアルデヒドを検出する、アルコール又はアルデヒドの検出方法を提供できる。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素の触媒能力を利用したアルコール又はアルデヒドの検出方法が提供でき、医療、食品、環境分野等、様々な分野に利用することができる。特には、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は熱安定性が高いことから、酵素の触媒能力の劣化を招くことなく測定精度の向上を図れる。更には、酵素使用量をも低減できることからコスト削減効果をも奏する。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素を電極上に固定化したアルコール又はアルデヒド検出用バイオセンサーを提供できる。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素の触媒能力を利用したアルコール又はアルデヒド検出用のバイオセンサーが提供でき、医療、食品、環境分野等、様々な分野に利用することができる。特には、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は熱安定性が高いことから、酵素の触媒能力の劣化を招くことなく測定精度の向上を図れる。更には、酵素使用量をも低減できることからコスト削減効果をも奏する。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素を含み、前記変異型アルコール脱水素酵素のアルコールの酸化反応に伴って生成する電子を受け取るアノード極、酸素に前記電子を伝達することのできるカソード極を備え、前記アノード極と前記カソード極とが電気的に結合されている燃料電池を提供できる。
本発明の変異型アルコール脱水素酵素の触媒能力を利用した燃料電池が提供でき、特に、本発明の変異型アルコール脱水素酵素は熱安定性が高いことから、酵素の触媒能力の劣化を招くことなく持続的に発電を行なうことが可能となり、燃料電池の性能向上を図れる。更には、酵素使用量をも低減できることからコスト削減効果をも奏する。
耐熱性評価を行った実施例4の結果を示すグラフであり、横軸が検討を行った野生型及び各変異型ScADH1を表示し、縦軸がその残存活性を示す。ここでは、70℃で保温した場合の熱安定性を評価した結果を示す。 耐熱性評価を行った実施例5の結果を示すグラフであり、横軸が検討を行った野生型及び各変異型ScADH1を表示し、縦軸がその残存活性を示す。ここでは、50℃で保温した場合の熱安定性を評価した結果を示す。
以下、具体的な本発明の実施の形態について説明するが、これはあくまでも本発明を例示するに留まり、本発明を限定するものではない。
以下、アルコール脱水素酵素を「ADH」と略する場合がある。また、本発明の熱安定性が向上した変異型アルコール脱水素酵素を「変異型ADH」と、上記変異型に対して、従来公知の野生型アルコール脱水素酵素を「野生型ADH」と略する場合がある。
(本発明の変異型ADH、核酸分子、発現ベクター、形質転換体)
本発明の変異型ADHは、野生型ADHのアミノ酸配列において、少なくとも1以上の特定のアミノ酸に欠失、置換、又は付加、これらの組み合わせによる変異が生じている変異部位を有する。ここで、「少なくとも1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせによる変異」とは、変異の基礎となるタンパク質をコードする核酸分子に対する公知のDNA組換え技術、点変異導入方法等によって、欠失、置換又は付加することができる程度の数、例えば、1〜数個のアミノ酸が、欠失、置換又は付加されることを意味し、これらの組み合わせをも含むことを意味する。このような変異は、人為的に導入することもできるし、また、自然界において非意図的に生じることもある。本発明の変異型ADHには、これら双方により変異が生じた変異型の何れをも含む。
そして、野生型ADHとは、自然界より分離されたADHを産生する生物体に保持されているADHのアミノ酸配列、及びADHをコードする塩基配列のうち、触媒活性に関与する機能的部分に意図的もしくは非意図的に変異が生じている変異部位を有していないことを意味する。本発明の変異型ADHは、野生型ADHタンパク質を基礎として変異が導入され構築されたものである。
ここで、「ADH」とは、アルコールとアルデヒド間の酸化還元を触媒する活性を有するタンパク質であり、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を要求する(IUBMB Enzyme Nomenclature: EC 1.1.1.1)。ADHは、広基質特異性で、一級または二級のアルコールまたはヘミアセタールと反応し、その反応は可逆的である。系統名では、アルコール:NADオキシドレダクターゼと称される。反応式を以下に示す。
第1級アルコール + NAD+ <=> アルデヒド + NADH + H+
第2級アルコール + NAD+ <=> ケトン + NADH + H+
そして、野生型ADHは、好ましくは酵母由来のADHである。酵母由来のADHは亜鉛を含む酵素であり、ホモ4量体で活性を有する多量体酵素である。酵母由来のADHには複数のアイソザイムが存在することが知られているが、本発明では、特に好ましくはアルコール脱水素酵素1(ADH1)である。
ここで、酵母とは、比較的単細胞の栄養世代が長い下等な真核生物であり、出芽または分裂により増殖する菌類の総称である。子嚢菌類に由来するもの、担子菌類に由来するもの、また胞子を形成しない無胞子酵母等が含まれる。具体的には、本発明の好適な野生型ADHとしては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、カンジダ(Candida)属、ラチャンセア(Lachancea)属、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、クルイウェロマイセス(Kluyveromyces)属、サッカロマイセタセエ(Saccharomycetaceae)属、Naumovozyma属、トルラスポラ(Torulaspora)属、テトラピシスポラ(Tetrapisispora)属、バンデルワルトジマ(Vanderwaltozyma)属等由来のADHが例示される。好ましくは、サッカロマイセス属由来のADHであり、特に好ましくは、サッカロマイセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロマイセス ブラウディ(Saccharomyces boulardii)等に由来するADHである。
なかでも、サッカロマイセス・セルビシエ由来の野生型ADHが好ましく利用できる。ここで、野生型ADHの一例として、サッカロマイセス・セルビシエ S288c株由来のADHの塩基配列を配列番号1、アミノ酸配列を配列番号2として開示する(NCBI Reference Sequence:NM_001183340)。また、末端にタグ等の当該酵素の触媒機能に関与しない配列を付加したもの等についても、野生型ADHとして好ましく利用できる。例えば、組換え発現後の精製等の便宜のためにN末端にHisタグ等を付加することができ、このようにして構築された野生型ADHの塩基配列を配列番号3に、アミノ酸配列を配列番号4として開示する。なお、サッカロマイセス・セルビシエ由来の野生型ADHであっても、また、酵母由来の野生型ADHであっても、上記のものとは一部異なる配列を有するものが存在するが、これらも変異型ADH構築のための基礎として好ましく利用することができる。したがって、上記野生型ADHと同等の触媒活性等の機能を有し、配列相同性の高いものであれば、変異型ADH構築のための基礎として好ましく利用できる。
本発明の変異型ADHには、上述の野生型ADHに比べて、熱安定性が向上している。「熱安定の向上」とは、一定期間の熱処理に対して、当該酵素の触媒活性の失活や活性低下が抑制できることを意味する。具体的には、変異型ADHが、野生型ADHよりも、一定期間の熱処理に供した後に維持されている酵素の触媒活性の残存率が高いことを意味する。例えば、野生型ADHの活性が維持される4℃での活性値を100%として、加温処理後の活性値を酵素活性の残存率として算出する。この残存率が、野生型ADHと比較して増大していた場合、当該変異型ADHの熱安定性が向上したと判断できる。一例として、50℃にて3時間の加温により20%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは70%若しくは90%以上の残存活性を維持できる熱安定性が好ましい。また、野生型ADHでは完全に失活する70℃にて10分間の加温によっても、その触媒活性を残存できるものであることが好ましい。
本発明の変異型ADHは、これに限定されるものではないが、野生型ADHである配列番号2のアミノ酸配列において、第79番目のアスパラギン、又は第107番目のグリシンが変異したものが好ましく例示される。この変異に加えて、第277番目のシステインが変異したものが好ましく例示される。つまり、第79番目のアスパラギンと第277番目のシステインの二アミノ酸が変異したもの、及び、第107番目のグリシンと第277番目のシステインの二アミノ酸が変異したものも好ましく例示される。
上記変異を導入することにより、酵母由来のADHの多量体構造が安定化し、熱安定性が向上しているものと考えることができる。しかしながら、上記位置のアミノ酸は公知の酵母由来のADHの活性中心とは異なり、かかる位置のアミノ酸の変異により熱安定性が向上できる知見が得られたことは驚くべきことある。ここで、公知の活性中心を例示すると、配列番号2において、第14番目のシステイン、第67番目のヒスチジン、第68番目のグルタミン酸、及び第154番目のシステインに、亜鉛イオンが配位することが公知である。また、第45番目のヒスチジン、第46番目のトレオニン、第49番目のヒスチジン、55番目のトリプトファン、158番目のトレオニン、178番目のグリシン、第180番目のアラニン、第181及び182番目のグリシン、第183番目のロイシン、第201番目のイソロイシン、第202番目のアスパラギン酸、第207番目のリシン、第222番目のファニールアラニン、第246番目のバリン、第247番目のセリン、第248番目のバリン、第249番目のセリン、第252番目のアラニン、第269番目のバリン、第270番目のバリン、第271番目のメチオニン、第285番目のバリン、第294番目のセリン、第296番目のバリン、及び第341番目のアルギニンは、補酵素のNADとの結合位置であることが公知である。
なお、配列番号2に示すアミノ酸配列は、サッカロマイセス・セルビシエS288c株由来の野生型ADHのアミノ酸配列であるが、サッカロマイセス・セルビシエの別の株、若しくはサッカロマイセス属以外の酵母由来のADHの同等の位置が変異されたものも本発明の変異型ADHに含まれる。したがって、配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンに相当する位置、又は、第107番目のグリシンに相当する位置が変異したものが好ましく例示される。更に、配列番号2のアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンと第277番目のシステインの二アミノ酸に相当する位置が変異したもの、及び、第107番目のグリシンと第277番目のシステインの二アミノ酸に相当する位置が変異したものが好ましく例示される。
変異とは、上述の通り、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加を意味し、これらの組み合わせも含む。好ましくは、上記位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されているものが例示される。ここで、他のアミノ酸とは、置換前のアミノ酸以外の何れもが含まれる。しかしながら、タンパク質機能改変の観点から構造、立体配座、極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と異なる性質を有するアミノ酸であることが好ましい。したがって、異なる性質をもつアミノ酸への置換はタンパク質機能へ影響を与えることが考えられる。例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、共に非極性アミノ酸に分類される。また、極性アミノ酸のうち非荷電性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、リシン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられる。構造的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンはアルキル鎖、アスパラギン及びグルタミンはアミド基、プロリンはイミノ基、メチオニン及びシステインは硫黄、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは芳香族基を有する。また、グリシン、セリン、トレオニン、グルタミン、システイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸は親水性アミノ酸であり、それ以外のアミノ酸は疎水性アミノ酸に分類される。これらの各グループ内の以外へのアミノ酸置換は、タンパク質の機能が改変されることが特に予想されるが、これに制限されるものではない。
具体的には、一アミノ酸置換としては、配列番号2の第79番目のアスパラギンがシステインに置換されたもの、又は、配列番号2の第107番目のグリシンがシステインに置換されたものが例示される。二アミノ酸置換としては、配列番号2の第79番目のアスパラギンがシステインに置換され、かつ、第277番目のシステインがセリンに置換されたもの、又は、配列番号2の第107番目のグリシンがシステインに置換され、かつ、第277番目のシステインがセリンに置換されたものが例示される。
更に、上述の変異型ADHの性質を保持している限り、更に任意のアミノ酸に変異が生じているアミノ酸配列を含むものであってもよい。ここでは、変異としては、アミノ酸の欠失、置換、及び付加が例示され、これらの組み合わせも含む。変異が生じている任意のアミノ酸の数は、1個以上のアミノ酸であり、好ましくは1〜数個のアミノ酸である。当業者はアミノ酸配列の変異に際して本発明の変異型ADHの酵素活性を保持する変異を予測することができる。具体的には、例えばアミノ酸置換の場合には、タンパク質構造保持の観点から構造、立体配座、極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。このような置換は保守的置換として当業者には周知である。なお、アミノ酸の分類については上述した。これらの各グループ内のアミノ酸置換は、タンパク質の機能が維持されるとして許容されると考えられる。また、その後の精製、固相への固定化等の便宜のため、アミノ酸配列のN、又はC末端にHisタグ、FLAGタグ等を付加したものも好適に例示される。このようなタグペプチドの導入は常法により行なうことができる。また、本発明の酵素活性の喪失を引き起こさない範囲内で、C末端側若しくはN末端側のアミノ酸残基を切断した切断型でもよい。更に、グルコシル化等の化学修飾を付加してもよい。
したがって、上述した配列番号2のN末端にHisタグを付加した配列番号4のアミノ酸配列を有する野生型ADHに基づいて構築された変異型ADHも本発明の範囲内に包含される。具体的には、配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギン、又は、第113番目のグリシンが変異されたものが好ましく例示される。この変異と共に、283番目のシステインが変異されたものが好ましく例示される。つまり、第85番目のアスパラギン及び第283番目のシステインの二アミノ酸、又は、第113番目のグリシン及び第283番目のシステインの二アミノ酸が変異されたものが好ましく例示される。
特には、配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギンがシステインに置換されたもの、又は、第113番目のグリシンがシステインに置換されたものが好ましく例示される。更に、二アミノ酸置換として、第85番目のアスパラギンがシステインに置換され、かつ、第283番目のシステインがセリンに置換されたもの、又は第113番目のグリシンがシステインに置換され、かつ、第283番目のシステインがセリンに置換されたものが好ましく例示される。このような変異型ADHのアミノ酸配列の具体例を配列表の配列番号7、9、15、17に示す。
本発明の変異型ADHとしては、上記にて具体的に提示した変異型ADHにおいて、上記位置の変異及びその機能を有する限り、他の位置に変異が生じているものも含まれる。好ましくは、上記位置の変異及びその機能を有する限り、上記変異型ADHのアミノ酸配列と少なくとも80%若しくは85%、好ましくは90%、特に好ましくは95%若しくは98%の相同性を有するものも本発明の変異型ADHに含まれる。
したがって、以下のタンパク質も本発明の変異型アルコール脱水素酵素に含まれる。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
さらに、以下のタンパク質も本発明の変異型アルコール脱水素酵素に含まれる。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
ここで、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であるもの、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換が、システインへの置換であるもの、そして、前記277番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換であるものが好ましく本発明の範囲に含まれる。
同様に、以下のタンパク質も本発明の変異型アルコール脱水素酵素に含まれる。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
さらに、以下のタンパク質も本発明の変異型アルコール脱水素酵素に含まれる。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質。
そして、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であるもの、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であるもの、前記283番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換であるものが好ましく本発明に含まれる
本発明の変異型ADHは公知の方法によって取得することができる。例えば、変異の基礎となる野生型ADHをコードするDNAに対して変異を施し、得られた変異型DNAを用いて宿主細胞を形質転換し、かかる形質転換体の培養物からアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取することによって取得することができる。
変異の基礎となる野生型ADHをコードする核酸分子は、公知の遺伝子クローニング技術を用いて取得することができる。例えば、GenBank等の公知のデータベースを検索することによって取得することができる遺伝子情報を基にしてプライマーを設計し、ADHを産生し得る生物体、特には酵母から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行うことにより取得することができる。また公知の遺伝子情報に基づいて、常法のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法等の核酸合成法により合成することによっても取得するができる。ここで、本発明の変異型ADH構築のための基礎として好適なADHをコードする核酸分子の配列情報を配列表に配列番号1及び3として開示する。野生型サッカロマイセス・セルビシエ S288c株由来の野生型ADHをコードする配列番号1に示す塩基配列、そして、これにHisタグを付加した野生型ADHをコードする配列番号3に示す塩基配列等を好ましく利用することができる。
野生型ADHをコードする核酸分子に変異を施す方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の変異タンパク質作製のための変異導入技術を利用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法などの公知の変異導入技術を利用することができる。また、市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange(登録商標) Site-directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製))を利用してもよい。PCRを利用する場合には、野生型ADHをコードする核酸分子を鋳型として、所望の変異を施した配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行うことによって取得することができる。なお、PCRは、公知の手順に基づいて行うことができる。
また、目的とする変異型ADHのアミノ酸配列が定まれば、それをコードする適当な塩基配列を決定でき、常法のホスホルアミダイト法等の核酸合成技術を利用して本発明の変異型ADHをコードする核酸分子を合成することができる。ここに、変異型ADHをコードする核酸分子の配列情報の具体例を、配列表の配列番号6、8、14及び16に示す。
得られた変異遺伝子を用いて宿主細胞を形質転換するためには、公知の大腸菌等の宿主・発現ベクターシステムを利用することができる。例えば、変異型ADHを安定に増幅できるDNAベクターに連結させ、変異型ADHを効率的に発現できる大腸菌等の宿主細胞に導入する。その後、炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地に接種し、常法に従って培養して該変異型ADHを発現させる。
なお、発現ベクターは、プロモーター配列、変異型ADHをコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素サイトを有するマルチクローニングサイト等の配列を含み、かつ、上述の宿主細胞で発現できるものであれば、何れの発現ベクターを用いることができる。好適なプロモーターとしては、例えば、T7プロモーターを利用するのが好ましい。
さらに、この発現ベクターには他の公知の塩基配列が含まれていてもよい。他の公知の塩基配列としては特に限定されない。例えば、発現産物の安定性を付与する安定性リーダー配列、発現産物の分泌を付与するシグナル配列が挙げられる。また、ネオマイシン耐性遺伝子・カナマイシン耐性遺伝子・クロラムフェニコール耐性遺伝子・アンピシリン耐性遺伝子・ハイグロマイシン耐性遺伝子等の形質転換された宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。
このような発現ベクターは、市販の大腸菌用発現ベクター(例えばpETタンパク質発現システム:ノバジェン社製)を用いることが可能であり、さらに、適宜所望の配列を組み込んだ発現ベクターを作製して使用することが可能である。
また、宿主細胞としては、大腸菌に限定されず、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を好適に利用することが可能である。
このようにして得られた形質転換体の培養物からの本発明の変異型ADHの採取、及び精製は公知の手法を用いて行うことができる。一例を簡潔に説明すると、形質転換体の培養物の培養物から菌体を収集し、適当な緩衝液に懸濁させ、超音波処理等にて菌体を破砕し菌体抽出液を得る。破砕に際してはリゾチームや界面活性剤を適宜含ませた緩衝液中で行うことが好ましい。続いて、遠心分離やろ過等により上清を収集し、本発明の変異型ADHの粗抽出液を得る。このととき、熱処理に付して形質転換体由来の夾雑タンパク質を失活させることもできる。この粗抽出液から、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーやアフィニティ―クロマトグラフィー等を利用して、本発明の変異型ADHを精製することができる。
精製されたADHが所望の変異が生じている変異部位を有する本発明の変異型ADHであるか否かの確認は、その理化学的性質や配列の分析によって行うことができる。理化学的性質の分析による場合、一定期間、熱処理に付した後、酵素の活性を公知方法により測定し変異部位を有しない野生型ADHと比較して、活性の残存率が高いか否かを確認することによって行うことができる。したがって、アルコールとアルデヒド間の酸化還元をNAD依存的に触媒する活性を測定することにより行うことができる。
酵素活性の測定は、アルコールとアルデヒド間の酸化還元をNAD依存的に触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれをも利用して行うことができる。例えば、ADHが触媒するアルコールの酸化に伴うNADのNADHへの還元を、電子メディエーター(フェナジンメトサルフェート(PMS)、フェロセンやジクロロインドフェノール等)や酸化還元酵素(ジアホラーゼ)等をメディエーターとしてテトラゾリウム塩(WST-1等)の還元に転化する方法を利用することができる。テトラゾリウム塩の還元によってホルマザン色素が生じ、発色シグナル得られる。かかる色素を定量することにより、ADHの活性を求めることができる。具体的には、本願の明細書の実施例3に示す方法によって行うことができる。また、ADHが触媒するアルコールの酸化に伴うNADの還元によってNADHを形成し、その逆反応であるアルデヒドの還元に伴いNADHが酸化されNADとなるが、かかるNADH量の増減を定量することによってもADHの活性を測定することができる。これらの定量は、吸光度変化を測定することにより行うことができ、吸光度の増減を求めることにより、ADHの活性評価を行うことができる。吸光度の測定は、公知の手法により行うことができ、例えば、マイクロプレートリーダー等を利用することができる。
また、配列分析による場合には、公知のアミノ酸分析法によって行うことができる。例えば、エドマン分解法に基づく自動アミノ酸決定法等を利用することができる。
以上の通り、本発明の変異型ADHは、野生型ADHと比較して熱安定性が向上されている。酵素の活性低下は熱変性に起因する場合が多く、熱安定性の向上は酵素の耐久性を大きく向上させることができる。特に、近年、アルコール脱水素酵素は、バイオセンサーやバイオ燃料電池の触媒等として多種多様な分野での利用が期待されている。しかしながら、従来の野生型ADHの高温条件での変性による活性低下がその実用化を阻んできた。しかしながら、本発明の変異型ADHは、高い熱安定性を有することから、実用性を飛躍的に向上させることができる。したがって、本発明の変異型ADHは、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応を要する技術に適用できる。
(本発明のアルコール及びアルデヒドの検出方法)
本発明の変異型ADHは、試料中のアルコール又はアルデヒドの検出のために利用することができる。アルコール又はアルデヒドの検出は、例えば、基質であるアルコール又はアルデヒドに対する酸化還元反応を触媒する本発明の変異型ADHの活性を測定することにより行うことができる。変異型ADHの活性は、アルコールとアルデヒド間の酸化還元をNAD依存的に触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれをも利用して行うことができる。例えば、上述の通り、ホルマザン色素の形成、及びNADH量の増減等を指標に検出することができる。適当な試験条件が選択されていれば、指標値の変化は、測定しようとする酵素の活性に直線的に比例する。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のアルコール又はアルデヒド溶液により標準曲線を作成することにより、得られた指標値に基づいてアルコール又はアルデヒドの濃度を求めることができる。
ここで、試料としては、アルコール又はアルデヒド等、ADHの基質となり得る化合物の存在が予想されるすべての試料を対象とすることができる。例えば、血液、尿、唾液等の生物体由来の生物試料、食品試料、環境試料等が例示されるがこれに限定されるものではない。また、必要に応じて、これらの試料に適当な処理を行った試料をも含み得る。特に、本発明の変異型ADHは、優れた熱安定性を示すことから、温度が高い試料の分析に際して好適に利用できる。そして、酵素の酵素活性の劣化を招くことなく、測定精度の向上を図れ、ひいては、酵素使用量を軽減できることからコスト削減効果をも奏することができる。
(本発明のバイオセンサー)
本発明は、本発明の変異型ADHを利用するアルコール又はアルデヒド検出用のバイオセンサーを提供する。当該バイオセンサーは、電極材上に本発明の変異型ADHが固定化した作用電極、及びその対極を設けて構成される。必要に応じて、参照電極を設けて三電極方式として構成してもよい。電極としては、カーボン、金、白金等を用いることができる。電極材上への酵素の固定化は、既知の方法によって行うことができる。例えば、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定化する担体結合法を利用することができる。また、グルタルアルデヒドなどの二価性官能基をもつ試薬で架橋固定する架橋法をも利用でき、更には、アルギン酸,カラギーナン等の多糖化合物、ポリアクリルアミド等の網目構造をもつゲルや、半透性膜の中に閉じて固定化する包括法等をも利用することができる。そして、本発明のADHの酵素活性に際して要求される補酵素NAD、NADの還元体であるNADHを酸化する能力を有する酸化酵素(ジアホラーゼ等)、電子メディエーター(PMS、フェロセン、ジクロロインドフェノール等)も、必要に応じて電極材上に固定化して構成される。
例えば、本発明のバイオセンサーは、測定対象となる試料を接触させると試料中のアルコール又はアルデヒドが作用極上に固定された本発明の変異型ADHと反応する。この酸化還元反応と電極反応を組み合わせることで、試料中のアルコール又はアルデヒドを測定するものである。得られる電流値の変化により試料中のアルコール又はアルデヒドを検出することができる。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のアルコール又はアルデヒド溶液により標準曲線を作成することにより、得られた電流値に基づいてアルコール又はアルデヒドの濃度を求めることができる。
ここで、試料としては、本発明の変異型ADHの基質となり得るアルコール又はアルデヒドの存在が予想されるすべての試料を対象とすることができる。詳細については前述した。特には、前述の通り、本発明の変異型ADHは、熱安定性が高いことからバイオセンサー製作時における劣化をも防止することができ、また、保存性も高いことから酵素の酵素活性の劣化を招くことなく、測定精度の向上を図れ、ひいては、酵素使用量を軽減できることからコスト削減効果をも奏することができる。
(本発明の燃料電池)
本発明は、本発明の変異型ADHを利用する燃料電池を提供する。本発明の燃料電池は、例えば、酸化反応を行うアノード極と、還元反応を行うカソード極から構成され、必要に応じてアソードとカソードを隔離する電解質層を含んで構成される。アノード電極側では、本発明の変異型ADHが燃料であるアルコールを酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生する。一方、カソード側では、アノード側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。電極としては、カーボン、金、白金等を用いることができる。アノード極側には本発明の変異型ADHが供給され、適当な緩衝液中に溶解させた形態で供給してもよいが、電極上に固定化されることが好ましい。このとき、変異型ADHは、好ましくはNADと共に固定化されることが好ましく、特にはNADと結合したホロ酵素の形態で固定化されることが好ましい。また、アポ酵素の形態で固定化し、NADを適当な緩衝液に溶解させた形態で供給してよい。カソード極側には、酸素に電子を伝達することのできる酵素等の触媒を必要に応じて供給してよい。例えば、カソード側触媒として、ラッカーゼやビリルビンオキシダーゼ等のマルチ銅オキシダーゼ等の酵素及び白金等の金属触媒を利用することができる。電極材上への酵素の固定化は、公知の方法によって行うことができる。例えば、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定化する担体結合法を利用することができる。また、グルタルアルデヒドなどの二価性官能基をもつ試薬で架橋固定する架橋法をも利用でき、更には、アルギン酸,カラギーナン等の多糖化合物、ポリアクリルアミド等の網目構造をもつゲルや、半透性膜の中に閉じて固定化する包括法等をも利用することができる。
以上のように構成することにより、燃料であるアルコールを酸化する際に生じた電子がアノード極に電子を受け渡す。そして、アノード極に渡された電子は、外部回路を経てカソード極に到達することで電流が発生する。燃料となるアルコールとしては、本発明の変異型ADHの基質となり得るアルコールであれば制限はなく、エタノールやメタノール等の汎用のアルコール利用することができる。
本発明の燃料電池は、熱安定性が高い本発明の変異型ADHの触媒能力を利用することから、持続的に発電を行なうでき、高性能の燃料電池として構築することができる。また、本発明の変異型ADHは、熱安定性が高いことから燃料電池製作時における劣化をも防止することができ、ひいては、酵素使用量を軽減できることからコスト削減効果をも奏することができる。
以下に実施例を示し、さらに本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例においては、サッカロマイセス・セルビシエ由来のアルコール脱水素酵素1(以下、「ScADH1」と称する場合がある)を例示するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)野生型および変異型ScADH1をコードする発現ベクターの作製
本実施例では、野生型ScADH1、及び当該野生型ScADH1にアミノ酸変異を導入した変異型ScADH1を取得するための発現ベクターを作製した。
(方法)
野生型ScADH1のアミノ酸配列において、1若しくは2個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換した変異型ScADH1を作製した。詳細には、野生型ScADH1をコードする核酸分子を基礎として、部位特異的変異導入により、所望のアミノ酸変異が生じるように特定位置のヌクレオチドに変異を導入した。
ここで、構築した変異型ScADH1は、サッカロマイセス・セルビシエ S288c株由来の野生型ScADH1(NCBI Reference Sequence:NM_001183340)に基づくものであり、当該野生型ScADH1の配列情報を配列表の配列番号1(塩基配列)、配列番号2(アミノ酸配列)に示す。具体的には、上記配列番号2のアミノ酸配列において、第31、79、107、194、又は195番目のアミノ酸をシステインに置換したアミノ酸配列をコードする核酸分子、第277番目のアミノ酸をセリンに置換したアミノ酸配列をコードする核酸分子、第31、79、107、194、又は195番目のアミノ酸のシステインへの置換と第277番目のアミノ酸のセリンへの置換を有するアミノ酸配列をコードする核酸分子を構築した。
変異導入はPCRにより行い、野生型ScADH1をコードする核酸分子を鋳型に、各3'側プライマーとT7プロモータープライマーの組み合わせ、及び各5'側プライマーとT7ターミネータープライマーの組み合わせでPCRを行った。PCRは、KOD plus(東洋紡:KOD-201)を用い、94℃にて15秒の熱変性、60℃にて30秒のアニール、68℃にて60秒の伸長を1サイクルとした30サイクルの増幅反応によって行った。続いて、増幅した各PCR断片を精製し、これらとT7プロモータープライマーおよびT7ターミネータープライマーを混合して同条件でPCRを行い、各変異型ScADH1をコードする核酸分子を得た。
上記変異導入用のプライマーの配列情報は以下の通り。
N79C(第79番目のアスパラギンのシステインへの置換)用:
N79C-5':TCGTTGTCGGCATGGGTGAATGCGTTAAGGGCTGGAAGATCGG(配列番号20)
N79C-3':CCGATCTTCCAGCCCTTAACGCATTCACCCATGCCGACAACGA(配列番号21)
G107C(第107番目のグリシンのシステインへの置換)用:
G107C-5': CCTGTGAATACTGTGAATTGTGCAACGAATCCAACTGTCCTCA(配列番号22)
G107C-3':TGAGGACAGTTGGATTCGTTGCACAATTCACAGTATTCACAGG(配列番号23)
C277S(第277番目のシステインのセリンへの置換)用:
C277S-5': GTATGCCAGCTGGTGCCAAGAGCTGTTCTGATGTCTTCAACCA(配列番号24)
C277S-3':TGGTTGAAGACATCAGAACAGCTCTTGGCACCAGCTGGCATAC(配列番号25)
そして、N末端にHisタグが付加するように配列を追加し、pET-23(Novagen社製)ベクターに挿入し、野生型及び各変異型ScADH1の発現ベクターとした。なお、本実施例で作製し、かつ変異型ScADH1作製の基礎とした野生型ScADH1の発現ベクターが有する野生型ScADH1の核酸分子の塩基配列と、当該発現ベクターが発現する野生型ScADH1のアミノ酸配列を下記表1に示す。ここでは、それぞれ配列表の配列番号3(塩基配列)及び配列番号4(アミノ酸配列)として示す。
Figure 2016002049
実施例で作製した変異型ScADH1の概要、及び当該変異型ScADH1の各発現ベクターが発現する各変異型ScADH1のアミノ酸配列の配列表での配列番号を下記表2に要約する。なお、変異型の名称は、変異が生じている位置を、配列番号2のアミノ酸配列上の対応位置をもって命名した。したがって、「A31C」変異体は、配列番号2のアミノ酸配列の31番目に相当するアスパラギンがシステインに置換された変異体を意味する。配列番号5のアミノ酸配列には、N末端に6個のHisタグが挿入されていることから、配列番号5上では、37番目のアミノ酸がアスパラギンからシステインに置換されていることとなる。変異部位についても、対応する配列番号2のN末端のメチオニンを1番目として番号付けして表示している。
Figure 2016002049
(実施例2)野生型および変異型ScADH1の発現、及び精製
上記実施例で作製した野生型および各変異型ScADH1の発現ベクターを大腸菌に導入し発現させた。
(方法)
実施例1で得た各ScADH1発現ベクターを用いて、BL21(DE3)株を形質転換し、得られたコロニーをLB培地にて37℃で振とう培養した。培養液のO.D.600が約0.6となった時点で、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1mMで添加してタンパク質発現誘導を行った。発現誘導後、20℃で一晩培養し菌体を回収した。続いて、菌体をリン酸緩衝液(PBS)に懸濁後、超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離して上清を回収した。回収した上清から、TALON樹脂(CLONTECH社製)を用いたメタルイオンアフィニティークロマトグラフィーにて各ScADH1を精製及び回収した。具体的には、PBSで平衡化したTALON樹脂に、回収した上清を加え、10mMイミダゾールを含むPBSで樹脂を洗浄し、最後に100mMイミダゾールを含むPBSで各ScADH1を溶出した。得られた溶出画分を、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いてイミダゾールを除去し、各ScADH1サンプルとした。
(実施例3)酵素活性測定
本実施例では、ScADH1の酵素活性測定方法について開示する。ここでは、テトラゾリウム塩の還元によって生じる発色シグナルを検出することにより活性測定を行った。
(方法)
ScADH1の酵素活性は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の還元を、メトキシフェナジンメソサルフェート(mPMS)をメディエーターとした水溶性テトラゾリウム塩(WST-1)の還元に転化する方法によって評価した。具体的には、1Mエタノール、1mM NAD、10μM mPMS、400μM WST-1、及び酵素1nMを含む50mM リン酸カリウムバッファー(pH8.0)を 37℃にて30分間反応させ、450nmの吸光度変化を測定した。
(実施例4)耐熱性評価−1
本実施例では、上記実施例2にて作製した野生型および各変異型ScADH1の耐熱性を評価した。ここでは、70℃で保温した場合の残存活性を算出した。
(方法)
0.01% BSAを含むPBSを用いて各ScADH1の10nM溶液を調製し、4℃または70℃で10分間保温した後、酵素活性測定を行った。70℃保温サンプルを、4℃保温サンプルと比較して、その残存活性を求めた。酵素活性測定は実施例3に示した方法で行った。
(結果)
結果を図1のグラフに示す。グラフは、横軸が検討を行った野生型及び各変異型ScADH1を表示し、縦軸がその残存活性を示す。残存活性は、4℃での野生型ScADH1の活性を1.00として算出した。野生型ScADH1は、70℃での処理で完全に失活した。これに対し、変異型ScADH1のうち、A31C、N79C、及びG107C変異体は70℃での処理でも酵素活性を維持していた。さらに、単独では耐熱性向上が認められなかったC277S変異を、N79C及びG107C変異体に導入して作製したN79C-C277S及びG107C-C277S変異体はさらに高い熱安定性を示した。
ここで、高い熱安定性を示したN79C、G107C、 N79C-C277S及びG107C-C277S変異体の塩基配列及びアミノ酸配列を下記表3及び表4に要約する。
Figure 2016002049
Figure 2016002049
(実施例5)耐熱性評価−2
本実施例では、上記実施例4に続いて、上記実施例2にて作製した野生型および各変異型ScADH1の耐熱性を評価した。ここでは、50℃で保温した場合の残存活性を算出した。
(方法)
野生型、および実施例4にて高い熱安定性が確認されたN79C、G107C、N79C-C277S、G107C-C277S変異体について、50℃にて1、2,3時間保温後の残存活性を評価した。なお、評価は、実施例4の方法に準じて行った。
(結果)
結果を図2のグラフに示す。グラフは、横軸が検討を行った野生型及び各変異型ScADH1を表示し、縦軸がその残存活性を示す。残存活性は、4℃での野生型ScADH1の活性を1.00として算出した。野生型ScADH1に対して、何れの変異体も高い残存活性を示した。特に、N79C-C277S変異体は、50℃にて3時間の保温に対しても残存活性が90%以上であり、高い熱安定性を示した。また、G107C-C277S変異体も50℃にて2時間の保温に対して80%以上、3時間の保温に対しても75%以上の残存活性を有していた。
医療分野、生物化学分野、環境分野、食品分野等において実用価値の高い変異型アルコール脱水素酵素を提供する。

Claims (10)

  1. 配列番号2又は4に示すアミノ酸配列からなる野生型アルコール脱水素酵素に比べて熱安定性が向上した、以下のタンパク質から選択される変異型アルコール脱水素酵素。
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (c)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (e)配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (f)配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (g)配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (h)配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (i)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (j)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (k)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (l)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
  2. 前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換、又は、前記第85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換が、システインへの置換である請求項1に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  3. 前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換、又は、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換が、システインへの置換である請求項1に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  4. 配列番号7又は9のアミノ酸配列からなる請求項1〜3の何れか一項に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  5. 以下のタンパク質から選択される請求項1に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
    (m)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (n)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (o)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (p)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (q)配列番号2に示すアミノ酸配列における第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (r)配列番号4に示すアミノ酸配列における第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (s)配列番号2に示すアミノ酸配列における第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (t)配列番号4に示すアミノ酸配列における第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含み、かつ、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (u)配列番号2に示すアミノ酸配列において第79番目のアスパラギン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第79番目のアスパラギン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (v)配列番号4に示すアミノ酸配列において第85番目のアスパラギン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第85番目のアスパラギン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (w)配列番号2に示すアミノ酸配列において第107番目のグリシン、及び、第277番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第107番目のグリシン、及び、前記第277番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
    (x)配列番号4に示すアミノ酸配列において第113番目のグリシン、及び、第283番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、かつ、前記第113番目のグリシン、及び、前記第283番目のシステインの他のアミノ酸への置換を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
  6. 前記第79番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記277番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である、又は、前記85番目のアスパラギンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、そして、前記283番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である請求項5に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  7. 前記第107番目のグリシンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記277番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である、又は、前記第113番目のグリシンの他のアミノ酸への置換がシステインへの置換であり、かつ、前記283番目のシステインの他のアミノ酸への置換がセリンへの置換である請求項5に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  8. 配列番号15又は17のアミノ酸配列からなる請求項5〜7の何れか一項に記載の変異型アルコール脱水素酵素。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の変異型アルコール脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
  10. 請求項9に記載の単離核酸分子を含む組換えベクターを導入した形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物からアルコールとアルデヒド間の酸化還元反応触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、配列番号2又は4に示すアミノ酸配列からなる野生型アルコール脱水素酵素に比べて熱安定性が向上している変異型アルコール脱水素酵素の製造方法。
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