JP2015523925A - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、優れた層間接着を有する、BSPC(裏面印刷可能でクリアな)積層フィルムの製造方法に関する。この方法は、第1のUV硬化工程と第2のUV硬化工程とを含み、この積層フィルムは、透明フィルム層と、UVインク層と、接着剤層と、を含んでいる。第1のUV硬化工程は、透明フィルム層の上にUVインク層を配設する工程と、第1のUV照射を行うことによりUVインク層を部分硬化する工程と、を含む。第2のUV硬化工程は、透明フィルム層と反対側のUVインク層の表面の上に接着剤層を配設する工程と、第2のUV照射を行うことによりUVインク層を更に硬化する工程と、を含む。

Description

本開示は、積層フィルムの製造方法に関し、より具体的には、UVインク層を含むグラフィック積層フィルムの製造方法に関する。
本開示の積層フィルムの製造方法にしたがって、優れた層間接着性を有する積層フィルムを作製することができる。
本開示の積層フィルムの製造方法は、透明フィルム層と、UVインク層と、接着剤層とを含む積層フィルムに関する。この積層フィルムは、キャリアフィルム及び/又は剥離ライナーを更に含む場合がある。好ましくは、この積層フィルムは約50〜約150μmの厚さである。
一実施形態では、この積層フィルム製造方法は、第1のUV硬化工程と第2のUV硬化工程を含む。第1のUV硬化工程は、透明フィルム層の上にUVインク層を配設する工程と、0.5J/cm未満の放射照度で第1のUV照射を行うことによりUVインク層を部分硬化する工程を含む。好ましくは、透明フィルム層の上にUVインク層を配設する工程は、インクジェット印刷により透明フィルム層の上にUVインクを印刷する工程を含む。
第2のUV硬化工程は、透明フィルム層と反対側のUVインク層の表面の上に接着剤層を配設する工程と、0.5J/cm〜1.5J/cmの放射照度で第2のUV照射を行うことによりUVインク層を更に硬化する工程を含む。有利なことには、第2のUV照射は、第1のUV照射の実行から1時間以内に実行される。
好ましくは、接着剤層は、200〜800nmの波長を有する光に対して透過性であり、この接着剤層を通して第2のUV照射が行われる。
好ましくは、接着剤層は、剥離可能な感圧性接着剤層である。
別の実施形態では、積層フィルムは、図1の断面図により示されるものであり、透明層102、UVインク層104、接着剤層106の順で層を含んでいる。図1の実施形態では、積層フィルムは、透明フィルム層102の上に配設されたキャリアフィルム108と、接着剤層106の下に配設された剥離ライナー110もまた含んでいる。
本開示の上記の「課題を解決するための手段」は、本開示の開示される各実施形態又はすべての実現形態を説明することを目的としたものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより詳細に例示するものである。本出願の全体を通じて幾つかの箇所で、実施例のリストによって指針が与えられるが、これらの実施例は異なる組み合わせで使用することができる。いずれの場合も、記載されるリストは、あくまで代表的な群としてのみの役割を果たすものであって排他的なリストとして解釈するべきではない。
添付図面とともに以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本開示のより完全な理解を得ることができる。
BSPC構造を有する積層フィルムの断面図である。 本開示の実施形態による積層フィルム製造方法に使用する積層フィルム製造装置を示す概略図である。
以下の「発明を実施するための形態」は、本発明の代表的な実施形態を実施例とともに例示する。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。
内照式看板の照明ユニットの上にグラフィック積層フィルムが貼付されている多様な製品が市販されており、宣伝、標識、屋号のディスプレイのために使用されている。これらの製品は、内照式看板と一般に呼ばれており、照明ユニットのライトを点灯して内照式看板を提供することにより使用される。グラフィック積層フィルムは、使用後に内照式看板の照明ユニットから剥離することにより、取り除くことができる。グラフィック積層フィルムの剥離の際、内照式看板の照明ユニットにフィルムの残留物が残らないことが好ましい。
本開示は、印刷層を形成するUVインクのような印刷インクを受容するための受容層を含んでいるBSPC(裏面印刷可能なクリアな)構造を有するグラフィック積層フィルムに関する。好ましくは、受容層は透明フィルムである。受容層が透明フィルムである態様では、受容層を透明フィルム層とも呼ぶ場合がある。受容層の上には接着剤層が配設されている。受容層は、印刷された層を保護するために、印刷された層の上に配設される積層フィルム最上層を有することができる。それは、従来のグラフィック積層フィルムと比べて単純な構造及び低い製造費を有する。更に、BSPC構造を有するグラフィック積層フィルムは、単純な積層構造であるため、より少ない有機物及びより低い燃焼熱を必要とする。したがって、積層構造が適用される構造物の非燃焼性を損なうことなく、使用後の廃棄による環境負荷が低い。BSPC構造を有するグラフィック積層フィルムは、看板用途のための改善された製品を提供する。
本開示によると、「(メタ)クリル」は、「アクリル又はメタクリル」である。
本開示によると、UV放射線の量は、光源により照射される照射面への照射時間(秒)と照射強度(W/cm)の積である。例えば、320nm〜390nmの波長を、UV Power Puck II(EIT Co.,Ltd.)を用いてUV−A条件において測定する。
本開示によると、積層フィルムを構成する層及び材料は「透明」であり、これは、200〜800nmの波長を有する光に関して、それらの層及び材料が70%を超える、好ましくは80%を超えること、より好ましくは90%を超える透過率を有することを意味する。透過率は、JISK 7105プラスチック光学特性試験方法5.5「光線透過率及び全光線反射の測定方法A」にしたがって測定される。この測定は、例えば、分光測色計CM−3700d(Konica Minolta Co.,Ltd.)を用いて行われる。
その全内容が参照により本明細書に組み込まれる日本の公開特許出願第2009−282471号は、「受容層と、受容層の上に印刷することにより作られる印刷層と、アクリルの白色接着剤層とを含み、そのアクリルの白色接着剤層が、100質量部のカルボキシル基含有(メタ)クリルポリマーに対して8〜150質量部の白色顔料であるカルボキシル基含有(メタ)クリル系ポリマーを含有している、グラフィック構造」を記述している。
本開示の目的は、優れた層間接着を有するBSPC構造を有するグラフィック積層フィルムの製造方法を提供する。
この積層フィルム製造方法は、第1のUV硬化工程と第2のUV硬化工程を含む。積層フィルムは、透明フィルム層、UVインクを含む印刷層、接着剤層の順で層を含む。第1のUV硬化工程は、透明フィルム層の上にUVインク層を配設する工程と、本開示によるUV照射を行うことによりUVインク層を部分硬化する工程を含む。第2のUV硬化工程は、透明フィルム層と反対側のUVインク層の表面の上に接着剤層を配設する工程と、本開示によるUV照射を行うことによりUVインク層を更に硬化する工程を含む。
グラフィック積層フィルムの透明フィルム層は、様々な種類の印刷のための受容体として一般に使用されている樹脂組成物を含む。樹脂組成物は、例えば、使用するインク及びインクの印刷方法にしたがって選択される熱可塑性樹脂であって良い。透明フィルム層の樹脂組成物は、アクリル樹脂、アクリルウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、及びポリスチレン等を含有することができる。透明フィルム層は、所望の厚さを有するキャリアフィルムの上に樹脂組成物を塗布し、必要に応じてそれを乾燥又は硬化することにより、形成され得る。
透明フィルム層の厚さは特に制限されないが、約1μm又は5μm超〜約100μm又は50μm未満の厚さであって良い。透明のフィルム層の厚さは、積層フィルムの適用及びインクの印刷方法にしたがって選択され得る。透明フィルム層は、UVインク層が印刷された表面上のUVインク層の接着性を増すために、所望によりプライマ層を有することができる。UVインク層の印刷性能を増すために、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、電子線照射処理、粗面処理、又はオゾン処理のような表面処理を透明フィルム層の表面に施して良い。
積層フィルムは、UVインク層と反対側の透明フィルム層の表面上に所望によりキャリアフィルムを含むことができる。キャリアフィルムは、積層フィルムの製造中に透明フィルム層を支持することによって取り扱い性を増すことにより透明フィルム層を保護する。そのような実施形態では、積層フィルムは、透明フィルム層とキャリアフィルムの積層体を用いて製造される。キャリアフィルムは、積層フィルムを使用するときに取り除かれる。キャリアフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、又はフッ素化ポリマーが含まれて良い。キャリアフィルムは、上記のポリマーのいずれかを含有する組成物を透明フィルム層の上に適用し、乾燥又は硬化することにより形成され得る。
キャリアフィルムの厚さは、積層フィルムの製造条件及び使用条件にしたがって選択され得る。例えば、厚さは、約5μm又は10μm超、若しくは約500μm又は300μm未満であり得る。キャリアフィルムは透明又は不透明であり得る。キャリアフィルムが透明の場合、キャリアフィルム及び透明フィルム層を通してUVインク層をUV照射し得る。キャリアフィルムは、例えば、透明フィルム層と反対側の表面上にマイクロ球及び非接着性樹脂を含む裏面処理層などの遮蔽阻止処理層を有することができる。
グラフィックラミネートフィルムの印刷された層は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又は静電印刷などの多様な方法を用いて受容層の上にインクを印刷することにより形成される。インクは、UVインクが好ましい。インクがUVインクである態様では、印刷された層は、UVインク層ともまた呼ばれる場合がある。UVインクは硬化性を有し、UV照射により硬化され得る。この基礎材料は、硬化時に受け取る発熱量が少ない。このために、UVインクは、熱による影響を受けやすいプラスチックフィルムに印刷するために特に使用される。更に、UVインクは一般に無溶剤であり、硬化時に溶剤が環境に放出されないので、耐溶剤性の低いフィルムの印刷に好適である。更に、UVインクは環境負荷をも低減し得る。しかし、無溶剤UVインクは、低いレベリング能力を有し、従来の溶剤インクと比べて粘ちょうである。したがって、印刷された層が厚くなる傾向がある。インクジェット印刷を使用して微細な印刷を行うとき、不十分なレベリングのために、印刷された層が平らにならない。したがって、接着剤層が印刷層の上に蓄積し、BSPC構造を有するグラフィック積層フィルムの印刷層と接着剤層の間の良好な接着を達成し得ない。既に説明したように、これが原因で、内照式看板の照明ユニットからグラフィック積層フィルムを外す際に、内照式看板の照明ユニットにフィルム残留物が残るという問題が生じる場合がある。
UVインク層は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、静電印刷等を用いて透明フィルム層の上にUVインクを印刷し、UV照射により硬化することによって、形成される。UVインク層は、連続又は不連続であって良い。UVインク層の場合、文字、模様、画像、及び印が表示されるようなやり方で印刷を行なわれ得る。UVインク層は、単色又は多色であって良い。
UVインク層の厚さは特に制限されないが、例えば、約1μm又は2μm超〜約10μm又は5μm未満の厚さであって良い。UVインク層の厚さは、インクのレオロジー特性(例えば粘性)及びインクの印刷の方法並びに条件に応じて変わる。インク層の厚さは、積層フィルムの適用に応じて調整することができる。
UVインクは、重合されたモノマー又はオリゴマー、光硬化開始剤、及び色原料を含んでいる。必要に応じて、UVインクは分散剤及び/又は洗剤もまた含有して良い。UVインクは、使用される重合されたモノマー又はオリゴマー並びに光硬化開始剤にしたがって、ラジカル重合型とカチオン重合型という2つの種類に分類され得る。ラジカル重合型のUVインクは、一般に、アクリレートモノマー又はオリゴマーと、ベンゾフェノン若しくはフェニルホスフィンオキシドなどの光硬化開始剤とを含む。カチオン重合型のUVインクは、一般に、エポキシモノマーと、オニウム塩(例えば、ジアリルヨードニウム塩又はトリアリルスルホニウム塩)のような光硬化開始剤とを含む。UVインクは、無溶剤であるが、低い環境負荷及び費用という観点において有用である。UVインク層と接着剤層の間の層間接着を更に高めるためには、接着剤層に含まれる接着剤又は感圧性ポリマーがアクリルであるときは、ラジカル重合型UVインクが好ましく、接着剤層に含まれる接着剤又は感圧性ポリマーがウレタン又はエステルであるときは、カチオン重合型UVインクが好ましい。
接着剤層は、アクリル、ウレタン、ポリエステル、又はシリコンなどの接着剤又は感圧性ポリマーを含んでいる。接着剤又は感圧性物質は、積層フィルムに被覆を提供し、UVインク層中の色濃度の差を小さくするために、更に、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、又は酸化チタン(二酸化チタン)などの白色顔料を更に含むことができる。しかしながら、以下に説明するように、接着剤又は感圧性物質が透明であるならば、接着剤層を通じたUV照射を行うことによって、接着剤層とUVインク層の間の層間接着を更に高めることができる。接着剤層は、積層フィルムの用途によっては、剥離可能な感圧性の層であっても良い。有利なことには、接着剤層が剥離可能な感圧性の層である態様では、使用後にグラフィック積層フィルムを被着体から容易に剥離され得る。
いくつかの実施形態では、アクリル接着剤又は感圧性物質を接着剤層に含めることは有利である。アクリル接着剤又は感圧性物質は、未反応のアクリル基を含むことができる。ラジカル重合型のUVインクを使用すると、未反応のアクリル基が、UVインク中に存在する反応基と反応して、UVインク層と接着剤層との間に化学結合を形成し、UVインク層と接着剤層との間の層間接着を高め得る。ウレタン又はポリエステルの接着剤又は感圧性物質を含むカチオン重合型のUVインクを使用すると、接着剤又は感圧性物質中のヒドロキシル基又はカルボキシル基が、UVインク中に存在するエポキシ基と反応して、同じやり方で、UVインク層と接着剤層との間の層間接着を高めることができる。
参照により本明細書にその全容が組み込まれる日本の公開特許出願第2009−035602号に記載されているように、特定の実施形態では、重量平均分子量が800,000未満で、かつガラス転移温度が−100℃〜−30℃のカルボキシル基含有(メタ)クリル接着性ポリマーと、平均分子量が30,000〜100,000で、かつガラス転移温度が20℃〜90℃のアミノ基含有(メタ)クリル非接着性ポリマーとを含め(100質量部のカルボキシル基含有(メタ)クリル接着性ポリマーに対して1質量部〜20質量部の量のアミノ基含有(メタ)クリル接着性ポリマー)、更に、必要に応じて、カルボキシル基及び/又はアミノ基と反応するようにビスアミド架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、エポキシ架橋剤、及びイソシアネート架橋剤のような架橋剤を含めることにより、アクリル感圧性物質を用いて接着剤層を形成し得る。
接着剤層の厚さに特に制限はない。例えば、厚さは、約5μm又は10μm超〜約100μm又は50μm未満であって良い。透明接着剤層を通してUV照射を行うときは、有利には、接着剤層は、用途に応じて必要な接着強度を得るためにできるだけ薄く、それは、UVインクの硬化を達成することによりUVインク層と接着剤層との間の層間接着を更に高めるという観点から有利である。そのような実施形態では、接着剤層の厚さは約50μm又は30μm未満であって良い。接着剤層の表面の平均粗さ(Ra)は、約0.1μmを超えてよく、積層フィルムの貼付中に貼り直しができるように、規則的又は不規則な凹凸形状を有することができる。凹凸のある表面は、凹凸形状を有する工具を接着剤層の表面の上に保持して、工具の凹凸形状を接着剤層の表面の上に複写することによって、接着剤層の上に形成され得る。凹凸のある表面は、接着剤層の上に、剥離ライナーの表面に不規則性を与え、接着剤層の上に剥離ライナーを積層することによっても形成され得る。
例えば、UVインク層の上に形成され、UV照射により部分硬化された画像及び模様が正確であるときに、接着剤又は感圧性接着剤を含む接着剤シートをUVインク層のうえに積層し、それらの画像及び模様を損なわずに、接着剤層をUVインク層の上に配設し得る。UVインク層上の接着剤シートの積層時に、圧力及び熱を適用することによって接着剤シートをUVインク層の表面の形状に十分に一致させることができる。接着剤シートの厚さは、接着剤層の厚さと実質的に同等である。例えば、厚さは、約5μm又は10μm超〜約100μm又は50μm未満である場合がある。
積層フィルムは、所望により、接着剤層を保護するために剥離ライナーを更に含むことができる。剥離ライナーは、積層フィルムを使用するときに取り除かれる。剥離ライナーは、接着テープの分野で一般に使用される品目を含んで良い。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はアセチルセルロースのようなポリマー、若しくはこれらのポリマーでコーティングした積層紙を使用することができる。剥離ライナーは、例えば、接着剤層に接触している表面のシリコン処理によって剥離される場合がある。上述のように、接着剤層の表面に関しては、凹凸形状を剥離ライナーの表面にも同様に与えることができる。接着剤層及び剥離ライナーが透明であれば、剥離ライナー及び接着剤層を通してUVインク層をUV照射し得る。
積層フィルムは、例えば支持層及び/又は反射層のような他の追加の層を所望により更に含むことができる。
キャリアフィルム及び剥離ライナーを含む積層フィルムの厚さは、約10μm又は20μm超〜約1mm又は500μm未満であり得る。本開示の一実施形態では、積層フィルムは接着剤層と、UVインク層と、透明層とを含み、約50μm超〜約150μm未満の厚さを有する。そのような単純な積層構造を有する薄い積層フィルムは、より燃焼熱が低く、有機物質をより少なく使用する。したがって、積層フィルムが適用される構造物の非燃焼性を損なわず、使用後の廃棄による環境負荷が低い。
本開示の積層フィルム製造方法は、第1と第2のUV硬化工程を含む。第1のUV硬化工程は、透明フィルム層の上にUVインク層を配設する工程と、0.5J/cm未満の放射照度で第1のUV照射を行うことによりUVインク層を部分硬化する工程を含む。第2のUV硬化工程は、透明フィルム層の反対側のUVインク層の表面上に接着剤層を配設する工程と、0.5J/cm〜1.5J/cmの照射照度で第2のUV照射を行ってUVインク層を更に硬化する工程とを含み、第2のUV照射は、第1のUV硬化工程での第1のUV照射後1時間以内に行う。
図2は、本開示の実施形態による積層フィルム製造方法に使用する積層フィルム製造装置10の概略図である。本開示の積層フィルム製造方法の例を図2を参照して説明する。図2は、ロールツーロール法を用いて連続積層フィルムを製造する方法を説明する。しかしながら、本開示の積層フィルム製造方法は、シート供給処理に続くバッチ法を用いて実行し得る。
透明フィルム層102とキャリアフィルム108の積層体120は、巻回ロール12で供給される。第1のUV硬化工程で、UVインク層104は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又は静電印刷を用いてUVインクを印刷することにより透明フィルム層102上に配設され、UVインク層104は、0.5J/cm未満のUV放射照度で第1のUV照射を行うことにより部分的に硬化される。UV放射照度の放射照度の下限値は、UVインク層の厚さに応じて変化する場合があるが、一般には約0.1J/cmである。UV放射照度は、ライン速度及びUV光源の出力に応じて変化する場合がある。例えば、UV放射照度は、約0.1J/cm〜0.5J/cm未満、約0.15J/cm〜0.48J/cm、又は約0.2J/cm〜0.45J/cmであって良い。図2において、UVインクのインクジェット印刷及びUVインク層104の部分硬化は、内部に提供されるUV照射装置とともにインクジェット印刷装置を用いて行われる。いかなる理論によっても制限されないが、UVインク層の部分的硬化のためにUVインク層がマークを超えて硬化しないこと、及び/又は、第2のUV硬化工程に記載したUV照射を実行することにより、接着剤層に含まれている反応性塩基と、UVインク層中に残っているアクリレート基及びエポキシ基のような重合基との反応を可能にして、化学結合を形成し得ることにより、接着剤層と物理的に接触する面積を更に小さくすることができる。その結果、接着剤層とUVインク層との間の層間接着を高め得る。
本開示の積層フィルム製造方法は、インクジェット印刷を用いて透明フィルム層上にUVインクを印刷する工程を含む一実施形態に好適である。本開示の積層フィルム製造方法は、ロールツーロール印刷法に好適である。
次いで、第2のUV硬化工程にしたがって、接着剤層106を、透明フィルム層102の反対側のUVインク層104の表面上でUVインク層104上に配置し、第2のUV照射により更に硬化する。この場合も、UV放射照度は、ライン速度及びUV光源の出力に応じて変化して良い。例えば、UV放射照度は、約0.5J/cm〜1.5J/cm、約0.5J/cm〜1.3J/cm、又は約0.5J/cm〜1.2J/cmであって良い。接着剤層は、ナイフコータ、バーコータ、又は架橋剤を乾燥工程後に必要に応じて使用することにより、UVインク層上に接着剤又は感圧性物質を適用することにより形成され得る。接着剤又は感圧性物質のコーティングの量は、約0.1g/m〜30g/m(0.98〜294.2mPa)、又は約2g/m〜10g/m(19.6〜98.1mPa)である。上記の範囲で、十分な接着強度が確保され、乾燥又は硬化の不良を避け得る。
別の実施形態では、接着剤層106は、UVインク層104に接着シートを配置し積層することにより、UVインク層104の上に配設される。この実施形態では、UVインク層の上に形成される画像及び模様は正確だが、これらの画像及び模様を損なわずにUVインク層の上に接着剤層を容易にもたらし得る。図2では、剥離ライナー110(図示されていない)を有する接着シート130をロールに巻回し、ロール18から供給し、接着シート130をUVインク層104の上に固定し、積層して、必要に応じて加熱機構を備えたロール形ラミネータ20を使用して、UVインク層104と接触させる。UVインク層104の上に接着シート130を積層するとき、圧力及び熱を付加することによって、接着シート130をUVインク層104の表面の形状と十分に一致させることができる。
その後、UV照射装置22を使用して、UVインク層104をUV照射する。そのようにして得られた積層シートを、巻取りロール14を使用してロールに巻き上げ、ロール形製品を獲得し得る。
UV照射装置のUV光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、エキシマランプ、レーザー光源(光源ヘリウムカドミウムレーザ、エキシマレーザなど)、又はUV−LEDを使用し得る。
ロールツーロール法を用いて積層フィルムを製造するときのライン速度(透明フィルム層の供給速度)は、約0.01m/分〜4m/分、約0.05m/分〜2m/分、又は約0.08m/分〜1m/分である。
UVインク層と接着剤層との間の層間接着を増すために、第1のUV照射後、例えば1時間以内、好ましくは10分以内、より好ましくは1分以内など、できるだけすぐに第2のUV照射硬化工程を行うことが有利である。
第1のUV硬化工程中のUV照射は、一般にはUVインク層を通して行われるが、透明フィルム層を通して行われ得る。キャリアフィルムを使用した場合に、キャリアフィルムが透明であると、透明キャリアフィルム及び透明フィルム層を通してUV照射を行うことが可能である。厚いUVインク層を均一に部分硬化するために、必要に応じて、透明のキャリアフィルムを使用して、UVインク層の両面からUV照射を行うことが好ましい。
第2のUV硬化工程中のUV照射は、接着剤層とUVインク層との間の層間接着を更に高めるために、UVインク層の上に透明の接着剤層を提供することにより、透明の接着剤層を通して行うことが有利である。また、UV照射は、透明フィルム層を通して、又は透明キャリアフィルム及び透明フィルム層を通して行われ得る。厚いUVインク層を完全にかつ均一に硬化するために、透明のフィルム層及び透明の接着剤層の両方を通して、UVインク層の両面からUV照射を行うことが有利である。
第1及び第2のUV硬化工程でのUV照射は、UVインクがラジカル重合型であるときは、空気中の酸素による重合阻害を低減するために、窒素及びアルゴンなどの不活性雰囲気下で行われ得る。更に、UVインクがカチオン重合型のときは、空気中の水分による硬化不良を避けるために、製造装置内部又は動作環境の温度を調整したほうがよい。
UVインク層の印刷性能を高めるため、UVインク層を配設する前に、本来の場所である透明フィルム層の表面に、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、電子線照射処理、又は粗表面処理などの表面処理を行うことは有利である。
本開示の積層フィルムの製造方法により得られる積層フィルムは、屋内及び屋外の車両、大規模な建物(壁、柱等)、交通信号、包装材料、又は看板に付着して使用され得る。更に、この積層フィルムは、内照式看板の表面に固定して内照式グラフィック又は内照式及び外照式グラフィックとして使用され得る。
(実施例1)
本開示の以下の基礎的な実施形態とともに、実施例により本開示を例示するが、本開示の範囲が本実施例の範囲によって限定されると解釈されるべきではない。
積層フィルムの製造に使用した原材料又は製品は以下のとおりである。
透明フィルム層及びキャリアフィルム:Scotchcal(登録商標)フィルムIJ5384に使用されているアクリルフィルム(透明フィルム層)/ポリエステルフィルム(キャリアフィルム)積層体(Sumitomo 3M Limited)。UVインク:3M(登録商標)UV2800インク(Sumitomo 3M Limited)、インク濃度300%(黄色66%、マゼンタ66%、シアン66%、黒100%)。接着剤層:アクリルの透明な感圧性接着シート(日本の公開特許出願第2009−035602号の実施形態1に記載されている接着剤組成物を、ポリエチレンで覆われた剥離紙の上にシート様に形成したもの)。剥離ライナー:厚さ50μmの透明なポリエステルフィルムで、片面がシリコンで覆われているもの。
この積層フィルムは、以下の手順により製造した。
アクリルフィルム/ポリエステルフィルムの積層体のアクリルフィルムの表面上に、VUTEkQS2000(EFI Co.,Ltd.)をUVインクジェットプリンタとして使用して、250mm×250mmの大きさの正方形の上にUV 2800インクを印刷し、同時に、UV照射を行った。次いで、ハンドローラを使用して、アクリルの透明な感圧性接着シートを、部分硬化したUV 2800インクの上に積層した。得られた積層体から、ポリエチレンで覆われた剥離紙を取り除き、シリコンで覆われた表面が透明な感圧性接着剤と接触するように、アクリルの透明な感圧性接着剤の表面上に、透明なポリエステルフィルム(剥離ライナー)を貼付した。その後、比較例1〜4を除き、透明なポリエステルフィルムと、その下のアクリルの透明な感圧性接着剤とを通して、UVをUV 2800インクに照射した。得られた積層フィルムの断面図を図1に示す。
QS2000放射照度とUV放射照度(波長320nm〜390nm、UVA)の設定間の関係を図1に示す。
Figure 2015523925
得られた積層フィルムの層間接着を、以下に手順を示すT剥離試験により評価した。積層フィルムからキャリアフィルムを取り除き、積層フィルムに堅さを提供する支持媒体として白色PVCフィルム(S/C3650PR、Sumitomo 3M Limited)をその透明フィルム層上に貼付した。積層フィルムを長さ150mm×幅25mmの細長い片に切断した。次いで、剥離ライナーを取り外し、細長い片の2つの短辺が重なり合い接着剤層が向かい合わせになるように細長い片を折り畳み、接着剤層をハンドローラで固定し、650℃の炉内で30分間老化させ、更に室温で10分間老化させた。得られた材料の2つの重なり合った短辺を右手と左手でしっかりと保持し、2つの短辺をすばやく180℃ドラッギングした後、透明フィルム層/UVインク層/接着剤層の層間接着を目視で確認した。密着した2つの接着剤層間を剥離したときの積層フィルムの分割は0%とみなした。透明フィルム層とUVインク層及び/又はUVインク層と接着剤層を分離したときにこれらの分割により生成された面積を百分率で表した。
そのようなUV照射条件下で積層フィルムを製造した後、T剥離試験により得られた評価結果を表2に示す。
Figure 2015523925
参照番号
10積層フィルム製造装置
12巻回ロール
14巻取りロール
16インクジェット印刷装置
18接着シート巻回ロール
20ラミネータ
22 UV照射装置
100積層フィルム
102透明フィルム層
104 UVインク層
106接着剤層
108キャリアフィルム
110剥離ライナー
120透明フィルム層/キャリアフィルムの積層体
130接着シート

Claims (6)

  1. 第1のUV硬化工程と、
    第2のUV硬化工程と、を含む、透明フィルム層と、UVインク層と、接着剤層とを含む積層フィルムの製造方法であって、
    第1のUV硬化工程は、前記透明フィルム層の上に前記UVインク層を配設する工程と、0.5J/cm未満の放射照度で第1のUV照射を行うことにより、前記UVインク層を部分硬化する工程と、を含み、
    前記第2のUV硬化工程は、前記第1のUV照射を行ってから1時間以内に0.5J/cm〜1.5J/cmの放射照度で第2のUV照射を行うことによって前記UVインク層を硬化する工程と、を含む、方法。
  2. 前記透明フィルム層の上に前記UVインク層を配設する工程が、インクジェット印刷により前記透明フィルム層の上に前記UVインクを印刷する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2のUV照射が、前記透明フィルム層と反対側の前記UVインク層の表面の上に前記接着剤層を配設する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記接着剤層が、200〜800nmの波長を有する光に対して透過性であり、また、前記第2のUV照射が前記接着剤層を通して行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記積層フィルムが約50〜約150μmの厚さである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記接着剤層が、取り外し可能な感圧性接着剤層である、請求項1に記載の方法。
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