JP2015504783A - レーザ加工で使用する方法およびシステム - Google Patents

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Abstract

本実施形態は、レーザ加工中に面を保護する方法、システムおよび装置を提供する。いくつかの実施形態では、レーザ加工中に面を保護する方法は、レーザ吸収特性がない流体938をレーザ加工されている物体320の空隙318内に向けるステップと、レーザ加工されている物体の壁332に複数のレーザパルス324を向けるステップであって、レーザパルスが壁326を通る穴330を形成し、それにより、流体が空隙内に向けられている間に少なくとも1つのレーザパルスが穴を通過して空隙に入るように構成され、それによって、後壁損傷を阻止するためにレーザパルスが流体および面612に合わせて入射するように構成される、ステップとを含む。

Description

本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、METHODS AND SYSTEMS FOR USE IN LASER MACHININGと題する、Forsmanらによる2011年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/568,059号明細書の利益を主張する。
本発明は、概してレーザ加工に関し、より詳細には、被加工物に対する望ましくないレーザの打撃からの保護に関する。
レーザ加工では、被加工物に穴をあけるために、標的被加工物に対して一続きのレーザパルスがぶつけられる。
しかしながら、レーザエネルギーは、通常、被加工物を通過するか、または被加工物から反射し、その後、被加工物のある領域または他の面まで伝播して被加工物に損傷をもたらす。
たとえば、レーザエネルギーにより、後壁に対して、または穴が形成される被加工物の部分とは反対側の被加工物の面を通して損傷がもたらされる。
この後壁損傷を軽減する典型的な手法には、穴が開けられる面と被加工物の後壁面との間に流体媒体を導入することが含まれる。流体は、光吸収粒子、顔料粒子、染料、蛍光粒子、または光散乱特性を有する油/水懸濁液等、レーザ障壁または吸収特性を有する。
本発明のいくつかの実施形態は、レーザ加工中に面を保護する方法を提供することによって、上記ニーズおよび他のニーズに有利には対処する。
いくつかの実施形態では、レーザ加工中に面を保護する方法は、
レーザ吸収特性がない流体をレーザ加工されている物体の空隙内に向けるステップと、
レーザ加工されている物体の壁に複数のレーザパルスを向けるステップであって、レーザパルスが、壁を通る穴を形成するように構成され、それにより、流体が空隙内に向けられている間に、少なくとも1つのレーザパルスが穴を通過し空隙に入り、それによって、後壁損傷を阻止するためにレーザパルスが流体および面に合わせて入射する、ステップと
を含む。
いくつかの実施形態は、レーザ加工中に面を保護するために使用されるシステムであって、保護基板であって、レーザ加工を行っているレーザパルスがレーザ加工を通して形成された物体の穴を通過し空隙に入るときに保護基板に入射するようにレーザ加工される物体の空隙内に位置決めされるように構成されるとともに、レーザパルスが穴から前記空隙を横切って物体の後面に突き当たるのを阻止する、保護基板と、保護基板に対して位置決めされるとともに、保護基板の上に流体を向けるように構成された流体源とを備えるシステムを提供する。
他の実施形態では、レーザ加工方法は、レーザ加工される物体に対してレーザ源を構成するステップであって、加工される物体は、レーザ加工される物体の一部に内部空隙を有する、ステップと、一続きのレーザパルスを生成するようにレーザ源を制御するステップと、記レーザ源の制御を行っている間に空隙内に流体を供給するステップと、レーザパルスのすべてに満たないものが物体に向けられるように、穴が生成される物体の部分にレーザパルスのうちのいずれが向けられるかを制御するステップであって、物体に向けられるパルスの間のタイミングは、物体に向けられるレーザパルスのうちの1つまたは複数によって本来もたらされる損傷からの物体の後壁の保護を可能にする、ステップとを含む。
本発明のいくつかの実施形態の上記および他の態様、特徴および利点は、以下の図面とともに提示するそれら実施形態の以下のより具体的な説明からより明らかとなろう。
レーザ加工される物体の簡易断面図を示す。 レーザパルスが壁を貫通し後壁面に損傷をもたらす際の、レーザ加工中の図1の物体の簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態による保護システムの簡易図を示す。 いくつかの実施形態による、流体導管と協働する保護基板の簡易図を示す。 いくつかの実施形態による保護基板の簡易斜視図を示す。 いくつかの実施形態による保護基板の簡易部分切取図を示す。 いくつかの実施形態による保護システムの簡易斜視図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工システムの簡易ブロック図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工システムの簡易ブロック図表現を示す。 いくつかの実施形態による図9のレーザシステムおよびパルススライサの実施態様例を示す簡易ブロック図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。 いくつかの実施形態による図9のレーザシステムおよびパルススライサの実施態様例を示す簡易ブロック図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。 いくつかの実施形態による、後壁保護を提供しながらレーザ加工するプロセスの簡易流れ図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工されている物体の後壁面を保護しながらレーザ加工するプロセスの簡易流れ図を示す。 いくつかの実施形態による、物体をレーザ加工するプロセスの簡易流れ図を示す。 物体のレーザ加工中にその物体の後壁を保護する、いくつかの実施形態によるプロセスの簡易流れ図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工中の物体の簡易概略断面図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工システムの簡易ブロック図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工中に後壁保護を提供するプロセスの簡易流れ図を示す。 いくつかの実施形態による、物体をレーザ加工するプロセスの簡易流れ図を示す。 後壁保護なしにレーザ穴あけ加工された物体の例としての断面図を示す。 しかしながら、いくつかの実施形態による後壁保護を適用しながらレーザ穴あけ加工された物体の例としての断面図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工保護システムの簡易概略断面図を示す。 いくつかの実施形態による代替的なレーザ加工保護システムの簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工されている物体の後壁面を保護しながらレーザ加工を提供することに関して、方法、技法、制御、デバイス、装置、システム、コンピュータ等を実施するために使用されるシステムを示す。 いくつかの実施形態による、保護基板を備えた保護システムの画像を示す。 いくつかの実施形態による、保護基板を備えた保護システムの画像を示す。 いくつかの実施形態によるレーザ加工保護システムで使用される保護システムの斜視図を示す。 いくつかの実施形態による図28の保護システムの一部の簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工される物体内に保護システムの保護基板を位置決めするために使用される取付柱に関する、図28の保護システムの斜視図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体内に位置決めされた図28の保護システムの一部の簡易、部分断面図を示す。 いくつかの実施形態による、線A−Aにおける図31の保護システムの簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ保護システムの一部の簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体内に位置決めされた、図33Aのレーザ保護システムの一部の簡易部分断面図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ保護システムの一部の簡易断面図を示す。 いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体内に位置決めされた、図34Aのレーザ保護システムの一部の簡易部分断面図を示す。 後壁保護なしに行われたレーザ加工の結果としてレーザ損傷がある物体の画像を示す。 いくつかの実施形態による後壁保護を適用しながらレーザ加工が行われた後の後壁損傷なしの物体の画像を示す。
対応する参照文字は、図面のいくつかの図を通して対応する構成要素を示す。
当業者は、図の要素が、簡潔かつ明確であるように示されており、必ずしも正確な尺度で描かれていないことを理解するであろう。
たとえば、本発明のさまざまな実施形態の理解を促進するのに役立つように、図の要素のうちのいくつかの寸法を、他の要素に関して拡大する場合がある。
また、本発明のこれらのさまざまな実施形態がそれほど妨げられずに見えるのを容易にするために、商業的に実施可能な実施形態において有用であるかまたは必要である、一般的であるが十分に理解されている要素は描かれていないことが多い。
以下の説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、単に、例示的な実施形態の一般原理を説明する目的のみなされている。本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照して判断されるべきである。
本明細書を通して「1つの実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」「いくつかの実施態様(some implementations)」または同様の言い回しを言及する場合、それは、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。
したがって、本明細書を通して「1つの実施形態において」、「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」および同様の言い回しの句が現れる場合、それは、すべて同じ実施形態を指す場合もあるが、必ずしも指すとは限らない。
さらに、本発明の記載されている特徴、構造または特性を、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
以下の説明では、本発明の実施形態が完全に理解されるために、プログラミング、ソフトウェアモジュール、ユーザ選択、ネットワークトランザクション、データベースクエリ、データベース構造、ハードウェアモジュール、ハードウェア回路、ハードウェアチップ等の多数の具体的な詳細が提供されている。
しかしながら、当業者は、具体的な詳細のうちの1つまたは複数なしに、または他の方法、構成要素、材料等とともに本発明を実施することができることを理解するであろう。
他の例では、本発明の態様が不明瞭にならないように、周知の構造、材料または動作については詳細に示しておらず記載していない。
図1は、レーザ加工される物体112の簡易概略断面図を示す。たとえば、レーザ加工は、所定位置116において物体112の壁114に穴をレーザ穴あけ加工するように意図することができる。
しかしながら、場合によっては、レーザ加工により、加工されている壁の反対側の面120に損傷がもたらされる可能性がある。それは、加工を行っているレーザパルスが、壁114を貫通するとともに物体の空隙122に入り、面120に衝撃を与えるためである。
簡潔さのために、加工されている壁の反対側の面120を、以下、後壁面と呼ぶ。
図2は、レーザパルス212が壁114を貫通する際のレーザ加工中の物体112の簡易概略断面図を示す。レーザ加工中、レーザパルスは、壁114に穴214を形成する。通常、所望の穴サイズおよび/または品質を達成するように、1つまたは複数の追加のレーザパルスが物体に向けられる。
したがって、最初の穴が確立された後に物体に向けられたレーザパルスのうちの少なくとも一部は、穴214の中を通り、空隙122に入り、後壁面120に突き当たる可能性がある。したがって、後壁面120に突き当たるレーザパルス212は、特に後壁面120が穴214に比較的近い場合、後壁面に損傷220をもたらす可能性がある。
結果としてもたらされる可能性がある損傷の大きさは、限定されないが、レーザパルス212の焦点218と後壁面120との間の距離、レーザパルスの強度および/または出力、レーザパルスの散乱の割合または角度、後壁面120がレーザパルスにさらされている持続時間、分極、パルスエネルギー、ならびに穴あけ加工されている穴の深さ、材料、サイズおよびテーパを含む他のこうした要素を含む多くの要素によって決まる可能性がある。
レーザ加工の目的は、概して、穴214または他の間隙(gap)を壁114内に生成しようとすることであり、したがって、後壁面120に突き当たる、穴214を通過するレーザパルス212が、特に後壁面が比較的レーザの焦点218に近い場合に、損傷をもたらす可能性がある、ということに留意されたい。場合によっては、損傷220は、外面224に外側損傷222をもたらしかつ/または後壁面120を画定する壁を通る望ましくない穴を生成するほど広範囲である可能性がある。
したがって、いくつかの実施形態は、後壁面120に対する損傷を制限しかつ/または防止するシステム、装置、方法およびプロセスを提供する。
図3は、いくつかの実施形態による保護システム310の簡易図を示す。保護システム310は、支持体314から延在する保護基板312を含む。支持体は、レーザ加工されている物体320空隙318内に位置決めされ、かつ空隙318内のレーザパルス324の経路の位置に保護基板312を位置決めするように構成されている。
レーザ加工中、レーザパルス324は、物体320の壁326に向けられる。たとえば、場合によっては、一続きのレーザパルスが壁326に向けられ、壁に穴330を形成する。一続きのレーザパルスが壁を突き抜けるとき、レーザパルスは、空隙318を横切って進み、保護基板312に突き当たる可能性がある。したがって、保護基板312は、レーザパルスが後壁面332に突き当たるのを制限し、場合によっては防止し、後壁面に対する損傷を防止する。
いくつかの実施形態では、支持体314は、流体源(図3には示さず)に結合する導管をさらに備えることができかつ/またはそうした導管から形成され得る。したがって、流体導管314は、空隙318内に流体を供給することができ、概して、流体が保護基板312に接触するように供給される。
さらに、いくつかの実施形態では、導管は、流体を、保護基板312の面に突き当たるように向けるように構成されている。したがって、導管からの流体は、レーザパルスが突き当たる面と接触する。流体は、その面に形成されるプラズマの拡大を制限し、それにより、本来存在する保護基板材料の相対的に長い勾配に付随する局所レーザ吸収の増大を低減するのに役立ち、少なくともいくつかの場合では、レーザパルスのうちの少なくとも幾分かを反射するように面の反射能を維持するのに役立つ。
反射されたレーザパルスは広がり続け、空隙の内面に損傷をさらにもたらす可能性と強度とを低減する。
流体は、熱を放散するのにさらに役立ち、保護基板312のプラズマ生成面の劣化を制限する。
さらに、流体は、レーザ加工の結果としての材料の飛び散りと、飛び散りの結果としての物体内面のコーティングの潜在的な損傷とを制限することができる。
場合によっては、流体を導管内で冷却し加圧して、放出時に凍結する傾向があるようにすることができる。
実施態様によっては、空隙318内に導入された流体の除去を促進し、かつ/または保護基板312にぶつかる過剰な流体を保護基板から引き離すことを可能にするように物体320を向けることができる。それにより、保護基板の上の流体の流れを提供し、流体による冷却効果を増大させることができる。
たとえば、いくつかの実施態様では、流体導管314によって流体が供給される速度に少なくとも等しいかまたはそれを超える速度で重力が過剰な流体を空隙から排出するように、物体を位置決めすることができる。
さらにまたは別法として、流体の除去を促進するように真空力を加えることができる。
多くの実施形態では、保護基板312との流体の接触を維持しつつ、穴あけ加工されている穴330を流体に浸さないようにすることが重要である。
したがって、レーザによって衝撃が与えられている保護基板312の部分の上に向けられた後に空隙318内に入る流体流が調節される。
流体流速が低すぎる場合、保護基板312は適切にコーティングされないままである可能性があり、流速が高すぎる場合、穴あけ加工されている穴330の付近に流体が入らないようにすることが困難となるかまたは不可能となる可能性がある。
これらの2つの競合する要素は、空隙が大きいほど厳密でなくなる可能性がある。
いくつかの空隙サイズと、所定サイズの穴に対する穴あけ加工を行うレーザ出力とに関するいくつかの研究室試験により、約2000パルス/秒のパルスレートでのレーザ加工中等では、流速は約1m/s以上であることが分かった。
いくつかの実施形態では、保護システム310はガス導管340をさらに備え、ガス導管340もまた、空隙318内に位置決めされるように構成されている。
さらに、穴330が穿たれている空隙の一部に対して、ガス流導管を位置決めすることができる。
レーザ加工によって形成された穴330に流体導管314によって供給される液体が入るのを制限し場合によっては防止するように、空気、酸素または他の関連するガス等のガスを空隙内に向けることができる。
たとえば、穴330を横切るようにガス流を向けるようにガス導管340の出口開口部を位置決めすることができ、出口開口部は、流体を穴から強制的に離すことができる。
さらにまたは別法として、場合によっては、1つまたは複数の外側ガス流またはジェットを、加工されている穴330に向けることができる。
内側空気ジェットおよび/または外側空気ジェットは、穴330および/または穿たれている穴の付近に流体が入らないようにする役割も果たす。
いくつかの実施形態では、外側空気ジェットは、(たとえばガス供給ノズルの導管または穴を通してレーザを集束させることにより)穴あけ加工レーザと略同軸であるように配置される。
(たとえば、穿たれている穴のサイズ、パルスレートおよび/または行われている他の加工に依存する可能性がある、数十のPSI(10's of PSI)等で測定された)外側空気ジェットに対する実質的な圧力が、内側空気ジェットに対する非常に適度の供給速度と組み合わされて、穿たれている穴の付近から水を除去するのを大幅に促進する。
保護基板312と接触しなくなるほど流体を吹き飛ばさないようにしつつ、穿たれている穴330から流体を除去するように、内側空気ジェットに対する空気流を調節することがさらに重要である可能性がある。
図4は、流体導管314と協働する保護基板312の簡易図を示す。
いくつかの実施形態では、保護基板312は、流体導管314に対して角度412で位置決めされている。
流体は、導管から出る際、保護基板312の第1面414に直接衝撃を与えるのに十分な力があり得る。
同様に、保護システム310が空隙318内に位置決めされたとき、レーザパルス324の経路、移動方向または軸420に対して保護基板312が斜角416でいるように、保護基板312を構成することができる。
したがって、レーザパルスを、保護基板312のより広い面積にわたって散乱させることができる。これは、いくつかの実施形態では当てはまる可能性があるが、常に必要であるとは限らない。
たとえば、場合によっては、保護基板312をレーザパルス324に対して垂直に位置決めすることができる。
レーザ420の軸に対する保護基板312の構成、向き、角度等は、いくつかの実施態様では、保護されている装置とより適切に協働するようにかつ/またはそうした装置を保護するように選択することができる。
たとえば、大部分の燃料噴射装置の内側は円錐形状であり、したがって、空隙内により容易に適合するように保護基板をレーザビームに対して角度をなして位置決めすることができる。
他の実施形態では、保護基板は、円錐体または円錐形状、放物線状、またはレーザパルス324の軸420に対して所望の角度を有する他の形状等、代替的な構成を有することができる。
他の場合では、保護基板は、円形状、球状、管状または他の関連形状等の代替的な形状を有することができる。
さらにまたは別法として、いくつかの実施形態では、保護基板を移動させるかまたは回転させて、より広い面積にわたってレーザパルスに対する露光を分散させかつ/または保護基板の冷却を増大させることができる。
たとえば、場合によっては、保護基板を、半径方向に対称(たとえば、面に穴が形成された形状の管)とすることができる。さらに、保護基板を、いくつかの実施形態では、レーザが突き当たる保護基板の面の面積を変更するように回転させることができる。
保護基板312は、多数の材料のうちの1つまたは複数から構成されることができる。
いくつかの実施形態では、保護基板312は、流体導管314の延長部である。たとえば、流体導管314を端部に近接して切断して、保護基板312を形成することができる。さらに、切断された保護基板312を、所望の角度412に成形しかつ/または曲げることができる。
さらに他の実施形態では、保護基板312は、所望の角度で切断されるかまたは形成され、流体導管314に取り付けられるかまたは他の方法で固定される。
保護基板312の寸法は、空隙318のサイズ、レーザパルス324の予測される高さ、幅および/または直径424に応じてさらに構成することができる。同様に、保護導管のサイズまたは直径430は、空隙のサイズと、供給される流体の予測される量、レーザパルスのサイズ、保護基板312のサイズおよび/または他のこうした要素とによって決めることができる。
さらに、いくつかの実施形態では、保護基板312は、限定されないが、窪み、開口部、突出部、バンプ、スパイク、角錐、溝、隆起、圧痕、突起、粗面および/または他の表面構造、凹凸、またはこうした表面構造および/または凹凸の組合せ等、表面構造、凹凸、不一致および/またはばらつきを有するように構成され得る。
いくつかの試験では、保護基板312は、材料の薄いシートから製作し、成形するように切断し、その後、導管314の端部にテープで貼るか又は糊付けした。
場合によっては、穿たれている穴が空隙に入る場所を除き360度の有効範囲を提供する保護基板を形成することが望ましい可能性がある。その場合、空気および水の両方は、適切に配置された溝穴に入ることができる。溝穴は、回転可能なカラーを介して導管に接続されている。
図5は、いくつかの実施形態による保護基板312の簡易斜視図を示す。
保護基板312は、複数の開口部512、凹部または他のこうした表面構造を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、保護基板312は、開口部512のグリッドまたはマトリックスを備え、開口部は保護基板を通して延在している。
保護基板312は、多数の材料または材料の組合せから構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、保護基板は、同じ材料から構成しかつ/または流体導管314から切断され得る。さらにまたは別法として、保護基板312は、Inconel(登録商標)、銅、ニッケル、鋼、カーボン、セラミック、銀、耐火金属、タングステンカーバイドもしくは他のこうした材料、またはこうした材料の組合せから作製され得る。さらに、場合によっては、使用される材料は、少なくとも部分的に反射性であるように選択され、反射性であるように研磨され、かつ/またはレーザパルスが突き当たる面を反射材料でコーティングすることができる。
上述したように、保護基板312の寸法は、行われると予測されるレーザ加工、加工されている物体320の空隙118内に供給される流体の量および/またはタイプ、レーザパルスの予測される直径もしくは寸法424および/または断面積、加工に適用されるレーザパルスのタイプ、強度および/または出力、レーザパルスにさらされる露光の予測持続時間および他のこうした要素によって決まる可能性がある。
たとえば、これまでのいくつかの成功した試験結果は、少なくとも部分的に4つの設計原理に従うことによって得られた。
第1に、保護基板は、可能な限りレーザ焦点から離れるように位置される。たとえば、燃料噴射装置をレーザ加工している場合、保護基板312は、穿たれている穴と反対側の空隙壁に接して(たとえばいくつかの試験では空けられている穴から1mm〜3mm離れて)配置されることから利益を得ることができる。この設計原理により、保護基板がそのように配置されるために適切に成形されるべきである可能性がある。十分な距離が利用可能である場合、後壁からの一定距離の後、保護基板をさらに遠くに配置することはほとんど意味がない。
第2に、少なくともいくつかの実施態様に対するより適切な結果は、本質的に非常に強固であるとともに軟化する前に高温に達する必要がある材料(たとえばInconel)を使用して得られた。この利益に関与する正確な機構は不明であるが、強固な材料は、レーザパルスの作用下で保護基板と流体との間の相互作用に固有のキャビテーションから発生する腐食に対してより耐性があることが可能である。
第3に、保護基板の先細りの穴のグリッド512が形成される場合、いくつかの材料は、他の材料より所望の穴パターンを形成するのが容易である。少なくともいくつかの実施態様に対する所望の穴パターンは、穴が急速にではなく徐々に先細りになり、典型的には可能な限り互いに密に詰まっているというパターンである。保護基板の上に穴のグリッド512が付けられていない場合、この考慮事項は無意味である。
第4に、保護基板は、保護基板自体の焼灼のために余裕があるように十分厚さがあるように選択されている。いくつかの試験では、保護基板の最上部100μmが、噴射装置の最初のいくつかの穴を開けている間に焼灼され、その後、はるかに低速の焼灼速度を示す。この挙動の下にある厳密な機構は未知であるが、入ってくるレーザが保護基板にぶつかるときの入射角度を「微調整すること」に関連する可能性がある。いくつかの実験において、300μm厚さが選択された。
他の設計原理をさらにまたは別法として考慮することができる。たとえば、いくつかの実施形態は、流体を保護基板に、流体が基板の開口部に入るように向けるように構成されている。さらに、流体を、流体が1つまたは複数の所定の充填レベルまで開口部の大部分に入ることを確実にするような角度でかつ十分な力で、基板に向けることができる。
図6は、いくつかの実施形態による保護基板312の簡易部分切取図を示す。保護基板312は、第1面612から第2面614まで保護基板の厚さを通って延在する複数の開口部512を含むことができる。いくつかの実施形態では、開口部512の壁は、第1面612と第2面614との間で先細りになり、かつ/または略円錐形状である。
開口部512を含むことおよび先細り形態の両方により、レーザパルスが入射する表面積が増大する。したがって、レーザパルスは増大した表面積にわたって分散され、それにより、熱放散の増大が可能になるとともに、レーザエネルギーが拡散する。
このレーザエネルギーの拡散は、いくつかの実施形態では、保護基板312をレーザパルスに対して角度416で位置決めすることによって提供されるものに加えられる。
さらに、流体導管314を介して供給される流体が保護基板312に接触すると、流体は、レーザパルスが突き当たる領域における流体の量を増大させる開口部512のうちのいくつかまたはすべてを部分的にかつ/または完全に充填し、それにより、さらなる熱放散を提供するとともに、保護基板312のプラズマ生成面劣化を制御することをさらに促進することができる。
流体は、典型的には、面に形成されるプラズマの拡大を制限し、それにより、本来存在する可能性がある保護基板材料の相対的に長い傾斜に付随する局所レーザ吸収の増大を低減するのに役立つ。このレーザ吸収の増大により、通常、保護基板の焼灼が増大する。さらに、保護基板312を通る開口部512の広がりにより、レーザパルスが、保護基板312と接触する流体の上に突き当たる際に、液体および/またはガスに対して追加の出口が提供される。
開口部512を、さまざまな構成で位置決めすることができる。
場合によっては、開口部は、六角形形態で位置決めされ密に詰まっている。
いくつかの実施態様では、開口部を他の形態で位置決めすることができ、開口部512のサイズまたは直径を変化させることができる。
さらに、場合によっては、開口部512は、所望の密度、位置決めおよび/または開口部形状もしくは形態を達成するように、保護基板312内でレーザにより穿たれる。
いくつかの実施形態では、開口部の形状は、開口部間、保護基板312の領域間、または他のこうした構成間で変化することができる。
いくつかの例では、保護基板は、レーザが突き当たるように意図されている第1面612におよそ20ミクロン〜50ミクロンの直径620を開口部512が有するように構成されている。開口部は、約200ミクロン〜400ミクロンの深さ624に沿って、第2面614における約5ミクロン〜10ミクロン直径622まで先細りになっている。これらの開口部は、レーザが突き当たるように意図されている面において互いに数μmの範囲内で間隔が空けられている。
行われたいくつかの試験では、穴あけ加工に使用される前に開口部入口が約18μm〜27μmであり、出口が約5μm〜10μmである保護基板を利用した。サイズがより大きいかまたは小さい穴が可能である。
使用中、保護基板の最上部100μmほどがレーザによって焼灼により取り除かれ、開口部がおそらく10μm〜15μmまで収縮し、間隔は約10μmほどまで増大するため、面は基板の最初の面に対してより角度が付けられる可能性があるため、上記間隔は定義することが困難である。
図7は、いくつかの実施形態による保護システム710の簡易斜視図を示す。保護システム710は、流体導管314と協働する保護基板312、ガス導管340、位置決めホルダ712、位置決めアーム714、流体供給ライン716およびガス供給ライン718を備えている。流体導管314およびガス導管340は、位置決めホルダ712と協働して、保護基板312、流体導管314およびガス導管340の位置決めを維持する。
さらに、流体供給ライン716およびガス供給ライン718は、位置決めホルダ712と協働して、流体導管314およびガス導管340に流体およびガスをそれぞれ供給する。
位置決めアーム714は、位置決めホルダ712に取り付けられ、たとえば、ねじ込まれ、ボルト締めされ、溶接され、ピン留めされ、ねじ留めされ等、またはそれらの組合せがなされる。
位置決めアーム714は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のギア、モータ等とさらに協働して、レーザ加工されている物体320に対して位置決めホルダ712を位置決めし、保護基板312を物体320の空隙318内にかつ/またはレーザパルスの経路内に位置決めする。
他の実施形態では、物体320は、選択的に又は追加的に、保護システム310に対して移動する。
いくつかの実施形態では、位置決めホルダ712は、レーザ加工されている物体320と協働するようにさらに構成されている。
たとえば、位置決めホルダ712は、レーザ加工されている物体320と協働しかつ/またはそうした物体320を保護システム310および保護基板312に対して位置決めするのを促進するように構成された、1つまたは複数の位置合せ開口部722、肩部、溝穴等を含むことができる。
たとえば、物体320が燃料噴射装置である場合、位置決めホルダ712は、燃料噴射装置と嵌合して、燃料噴射装置または燃料噴射装置の一部が位置合せ開口部722内に下って延在しかつ/または位置決めホルダ712の外側の周囲に延在しそれと嵌合するように構成され得る。
流体導管314およびガス導管340は、
保護基板312、流体導管314およびガス導管340が、レーザ加工されている物体320の空隙318内に少なくとも部分的に位置決めされ得るように、かつ
保護基板312がレーザ経路にあるとともにレーザ加工された穴330に近接する空隙318の内面に沿ってガス導管340がガス流を向けることができる所望の位置に、保護基板312、流体導管314およびガス導管340が少なくとも部分的に位置決めされ得るように、
サイズが決められかつ位置決めホルダ712と協働する。
したがって、場合によっては、保護基板312、流体導管314および/またはガス導管340の寸法は、レーザ加工される物体320によって少なくとも部分的に定義される。
図8は、いくつかの実施形態によるレーザ加工システム810の簡易ブロック図を示す。レーザ加工システム810は、レーザシステム812と、レーザ加工される物体816と協働する保護システム814と、動き制御および/または位置決めシステム818(以下、位置決めシステムと呼ぶ)ならびにコントローラ820を備えている。
コントローラ820は、レーザシステム812、保護システム814、位置決めシステム818および/またはコントローラ全体における1つまたは複数のコントローラを含むことができる1つまたは複数のコントローラ等、単一デバイスまたは別個のデバイスとして構成することができる。
いくつかの実施形態では、コントローラ820は、レーザ加工システム810を制御するコード、命令および/またはソフトウェアを格納するメモリと結合された1つまたは複数のプロセッサおよび/またはマイクロプロセッサを含む。
いくつかの実施態様では、コントローラ820を、少なくとも部分的に、レーザシステム812、保護システム814および位置決めシステム818のうちの1つまたは複数と結合されたコンピュータを使って実装することができる。
レーザシステム812は、レーザパルスを発生し、レーザ加工される物体816の所望の位置に正確にぶつかるようにレーザパルスを向ける。
典型的には、レーザシステム812は、光学部品、スライサ、ピッカ等を備えており、レーザパルスを物体816に突き当たるように集束させかつ方向付ける。
いくつかの実施形態では、レーザシステム812は、所望のレーザ加工を達成するように物体816に突き当たるように1つまたは複数のレーザパルスを生成するための遅延経路等、追加の要素および/または特徴を備えている。
保護システム814は、コントローラ820および物体816と協働して、生成されている穴または他の加工部(machining)と反対側の物体の部分に対して後壁保護を提供する。
いくつかの実施形態では、保護システム814は、物体816の空隙内に流体を供給して、レーザ加工されている物体の部分の反対側の物体816の後壁に対して流体が保護を提供するようにする。
保護システム814は、いくつかの実施形態では、レーザ加工されている物体816の部分と、レーザ加工されている物体のその部分と反対側の後壁との間の空隙内に挿入される、後壁保護装置(図8には示さず)をさらに備えている。たとえば、後壁保護装置は、図7の保護システム710を含むことができる。
他の実施形態では、後壁保護装置は、物体816の加工されている穴と後壁との間に位置決めすることができる、メッシュ構造(たとえば、柱、管、立方構造等)、多孔質構造、または他の関連構造を含むことができる。
保護システム814は、限定されないが、ガス源および分配装置、流体導管314に結合された流体源、流体および/またはガス用の1つ又は複数の流量計、圧力調整器および/または他のこうした構成要素等、追加的または代替的な構成要素を含むことができる。
位置決めシステム818は、レーザシステム812、保護システム814および/または物体816と協働して、後壁保護を提供しながら物体816を正確にレーザ加工するようにレーザ加工システム810の構成要素を位置決めすることができる。
位置決めシステムは、構成要素を互いに対して位置決めするために、1つまたは複数のモータ、ギア、ポンプ、ピストン、液圧装置(hydraulics)、ケーブル、エンドエフェクタ、ペンチおよび/または他のこうした装置を含むことができる。
たとえば、いくつかの実施態様では、位置決めシステム818は、物体816と協働して、レーザ加工中の物体の位置決めを制御しかつ/または位置決めを維持し、かつ/またはさらなるレーザ加工を行うために物体を再配置する(たとえば物体816に複数の穴をレーザ穴あけ加工するために物体を再配置する)。
他の実施形態では、位置決めシステム818は、追加的に又は代替的に保護システム814と協働して、空隙内に流体を正確に与えるように保護システムの少なくとも一部を位置決めし、保護基板312を空隙内に位置決めし、かつ/またはレーザ加工されている面に対して1つまたは複数のガス源を位置決めすることができる。
同様に、いくつかの実施形態では、位置決めシステムは、レーザシステム812またはレーザシステムの一部の位置決めに対して幾分かの制御を一部分提供して、物体816に対してレーザパルスを正確に集束させかつ方向付けることができる。
図9は、いくつかの実施形態によるレーザ加工システム910の簡易ブロック図表現を示す。
レーザ加工システム910は、レーザシステム912と、1つまたは複数のパルススライサ914および/またはパルスピッカと、ビーム送達システム916と、光学系918と、保護システム920と、コントローラ922と、位置決めシステム924と、ガス供給源928、圧力調整器930および場合によっては1つまたは複数の流量計832を備えるガス供給システム926と、流体供給源938および1つまたは複数の流量計940を備える流体供給システム936とを備えている。
レーザ加工システム910は、場合によっては、1つまたは複数のセンサ944とタイマおよび信号プロセッサ946とをさらに備えることができる。
レーザシステム912は、レーザ加工を行うために関連するレーザパルスを発生する1つまたは複数のレーザ発生器を含む。
パルススライサ914は、レーザシステム912と協働して、典型的には所定の時間周期である、物体950の所望のパルスタイミングおよび/またはパルスレートに従って、所望の数のパルスを向ける。
ビーム送達システム916は、1つまたは複数のパルスを物体950に向けるものであり、限定されないが、シャッタ、望遠鏡、ボーリングヘッド、鏡等の光学部品を含むことができる。
光学系918は、典型的には、物体950上にレーザパルスを精密に集束させる1つまたは複数の集束レンズを含む。
少なくともいくつかの実施形態では、本明細書における考慮すべき他の2つの機器関連の詳細が含まれる可能性がある。
第1に、いくつかの実施形態では、プロセス制御シャッタを使用して、穴あけ加工時間全体を調節することができる。
第2に、パルススライサを使用して、望ましい場合に、レーザの発射率を約10,000ショット/秒から約1000ショット/秒〜2000ショット/秒まで低減することができる。異なるレーザシステムが、いかなる外部パルス選択装置もなしに所望の発射率を達成することができる場合がある。
保護システム920は、物体950に対して位置決めされ、かつ/または物体が保護システムに対して(たとえば位置決めシステム924を介して)位置決めされ、それにより、保護システム920は、少なくとも物体950の空隙内に流体供給システム936から送達される適切な流体を送達することができ、関連する場合は、ガス供給システム926によって供給されるガスを送達することができる。
場合によっては、保護システム920および/またはガス供給システム926は、レーザ加工場所に近接する空隙内にガス(たとえば空気、酸素等)の流れを供給する。
追加的又は代替的にいくつかの実施形態は、レーザ加工場所において物体950の外側に沿ってガス流を提供する。
さらに、場合によっては、保護システム920は、空隙内に位置決めされレーザ加工中にレーザパルスと位置合せされる保護基板312を含む。
多くの実施形態では、外側に沿ったガス流は、略レーザと同軸であり、そのため、加工されている物体の面に対して平行よりは垂直である。
コントローラ922は、レーザ加工システム910のさまざまな構成要素にまたはその一部として結合された1つまたは複数のコンピュータおよび/またはプロセッサを使用して実装され得る。
たとえば、コントローラ922は、流量計932によって提供されるフィードバック情報に基づいて、ガス供給源928および/または圧力調整器930を制御し、流体流量計940から受け取られるフィードバックに基づいて流体供給源938を制御する。
同様に、いくつかの実施形態では、コントローラ922は、物体950、保護システム920、レーザシステム912、パルススライサ914および/またはレーザ加工システム910の他の構成要素もしくは下位構成要素の相対位置を制御することができる位置決めシステム924に対して、少なくとも幾分かの制御を提供することができる。
たとえば、場合によっては、位置決めシステム924は、
後壁が保護されている間に物体950を通して第1穴をレーザ穴あけ加工することができるように物体950を位置決めすることができ、
第1穴のレーザ穴あけ加工に続いて、第2穴をレーザ穴あけ加工することができるように物体950の別の部分をレーザシステムに位置合せするように回転させる等、物体950を再配置することができる。
物体950の意図されたレーザ加工に応じて、複数の穴がレーザ穴あけ加工されかまたは物体950に対して他のレーザ加工が行われる間に、レーザシステム912、物体950および/または保護システム920を何回でも位置決めすることができる。
さらに、いくつかの実施態様では、コントローラ922は、ガス供給システム926および/または流体供給システム936に対して少なくとも一部分制御を提供することができる。
たとえば、コントローラ922は、1つまたは複数の流量計932、940から流量計データを受け取り、この情報を使用して、保護システム920に送達されるガスおよび/または流体の圧力および/または流れを制御することができる。
上述したように、場合によっては、ガス供給システム926は、レーザ加工が行われている間に、物体950の空隙の内面を横切ってガス流を向けることができ、これにより、レーザ加工中に物体950内に生成される穴または他の加工領域に液体が入るのを制限するのを助けることができる。
同様に、レーザ加工されている領域に近接する物体950の外側を横切るようにガス流を向けることができ、それにより、加工されている領域からデブリおよび飛び散りを除去し、また穿たれている穴に入る水または他の流体の量を低減するかまたはそれらをなくすのに役立つことができる。この外側ガスジェットは、少なくともいくつかの試験では、レーザビームと同軸に配置された。
さらに、場合によっては、光学系918はガスアシストジェットを含むことができ、したがって、圧力調整器930を利用して、供給されるガスの量を制御することができる。
場合によっては、さまざまなパラメータを検出しかつ/またはモニタリングするために1つまたは複数のセンサ944を提供することができる。たとえば、いくつかの実施態様では、溶落検出器を、保護システム920に組み合わせ、かつ/または保護システム920とは別個に空隙に対して位置決めすることができる。
溶落検出器は、レーザパルスが物体950の壁を貫通し空隙に入るときを検出することができる。
この検出は、例えばレーザパルスの持続時間を調整すること、レーザパルス間の時間を調整すること、レーザバースト間の持続時間を調整すること、レーザパルスの強度を調整すること、レーザ波長を調整すること、ビーム成形、トレパニング、ガスアシストおよび/または他のこうした調整またはこうした調整の組合せ等によって、レーザ加工を制御するために使用することができる。
たとえば、場合によっては、溶落検出器は、レーザパルスの制御と協働して利用される。
レーザパルスが物体の壁に穴を生成すると、通常、レーザ穴あけ加工された穴の所望の品質を達成するために、レーザ穴あけ加工またはレーザ加工を続けることが好ましい。
したがって、穴が生成された後に物体950に向けられた各レーザパルスの少なくとも一部は、穴を通過し、保護システム920の保護基板312に突き当たる。
さらに、いくつかの実施形態はパルスレートを低減し、それにより、パルスまたはパルスのバーストの間の時間が増大する。パルスまたはバースト間の時間が増大することにより、保護基板および/または後壁に対する悪影響を低減することができる。
しかしながら、物体950に穴が生成されるまで、パルスレートを増大させ、したがって加工速度を上昇させることが望ましい場合がある。そのため、溶落検出器を使用して、物体950の穴の初期生成を検出することができる。
センサは、物体950に向けられるパルスレートを低減する等、パルスレートを制御するように、信号プロセッサ946に通知し、またはパルススライサ914および/またはコントローラ922に直接通知することができる。
レートの低減は、限定されないが加工されている物体950、加工されている物体の材料、使用される場合は保護基板312、液体流量、予測されるキャビテーション速度、レーザ強度、空隙の寸法、および/または他のこうした要素またはこうした要素の組合せ等、多くの要素によって決まる可能性がある。
溶落検出器またはセンサ944は、いくつかの実施形態では、空隙内にまたは空隙の外部に位置決めすることができる1つまたは複数のフォトダイオードを使用して実装され得る。
さらに、いくつかの実施形態は、1つまたは複数のフォトダイオードと光学的に協働する光ファイバをさらに含み、フォトダイオードから遠い光ファイバの端部を、流体導管314またはガス導管340と協働する等、物体950の空隙内に位置決めすることができる。
さらにまたは別法として、タイマ946を利用して、レーザ溶落を予期することができる。典型的には、所望の溶落を達成するために必要な時間はおよそ既知である。したがって、タイマ946を使用して、溶落を予期することができ、それにより、迅速なレーザ穴あけ加工を依然として可能にしながら、後壁に対するさらなる保護を提供するようにパルスレートを調整することができる。
図10Aは、いくつかの実施形態による、図9のレーザシステム912およびパルススライサ914の実施態様例を示す簡易ブロック図を示す。
レーザシステム912は、レーザ1014と協働するタイミング発生器1012を含むことができる。
パルススライサ914は、第2タイミング発生器1018およびパルススライサ1020を含むことができる。
いくつかの実施形態は、レーザパルスを意図された経路に沿って向ける光学部品1024を含み、レーザパルスは、ビーム送達システム916に向けられ得る。
図10Bは、いくつかの実施形態による、レーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。
レーザパルス1030〜1032が生成され、物体950に向けられる。パルス1030〜1032は、時間1036によって分離されている。たとえば、時間1036は、およそ0.5msであり得る。さらに、いくつかの実施態様では、各レーザパルスは、およそ10ps〜100nsの範囲内のパルス持続時間を有している。しかしながら、本実施形態によって提供される後壁保護は、これらのレーザパルスおよび/またはタイミングに限定されない。
代替的に、後壁保護を、実質的にあらゆるレーザパルス、レーザパルス持続時間、および/またはパルスもしくはパルスのバーストの間の時間とともに利用することができる。たとえば、いくつかの実施形態は、5psパルスのダブルパルス、または100fsのレーザパルスでのシングルパルス加工に対して後壁保護を提供する。
場合によっては、レーザパルスが加工されている物体950の壁を突破したことを検出したとき、予測された時間の量または他のこうした要素等、所定の加工スケジュールに基づいて、時間1036を経時的に変化させることができる。
図10A〜図10Bを参照すると、タイミング発生器1012は、一部分、パルスを配置することができ、第2タイミング発生器1018は、パルススライサ1020と協働して、パルス間の相対的なタイミングを達成するように所定パルスレートに従ってパルス1030〜1032を正確に方向付けるようにタイミングを提供する。
光学部品1024は、レーザパルスを向けるように関連する光学部品を含むことができ、限定されないが、1つまたは複数の波長板、偏光子等を含むことができる。
図10Cは、いくつかの実施形態による図9のレーザシステム912およびパルススライサ914の実施態様例を示す簡易ブロック図を示す。
レーザシステム912は、2つのレーザ1014〜1015と協働する第1タイミング発生器1012を含むことができる。
パルススライサ914は、第2タイミング発生器1018と、第1及び第2パルススライサ1020,1021とを含むことができる。
いくつかの実施形態は、単一経路に沿ってレーザパルスを結合するかまたは他の方法で方向付ける光学部品1024を含み、レーザパルスは、光学部品等を含むことができるビーム送達システム916に向けられ得る。
上述しかつさらに後述するように、いくつかの実施形態では、レーザパルスをバーストで生成することができる。
図10Dは、いくつかの実施形態による、レーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。
レーザバースト1040〜1042が生成され、物体950に向けられる。バースト1040〜1042は、複数のレーザパルスを含み、それらは、場合によっては、レーザ穴あけ加工および/またはレーザ加工を強化することができる。
たとえば、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,664,498号明細書に記載されているものと同様なレーザバーストを形成しかつ/または使用することができる。
バースト1040〜1042の複数のパルスを生成する際に、限定されないが、繰返し率の高い列をパルスピッキングし、それを増幅させて、ピコ秒再生増幅器が所望の正しい位置ずれ状態で動作するようにすること、および/または他のこうした方法等、他の方法を使用することができる。
バースト1040〜1042のパルスは第1時間1044によって分離されており、連続したバースト1040〜1042は第2時間1046によって分離されている。一例では、第1時間1044はおよそ50ns〜200nsであり、第2時間1046は約0.5msである。さらに、いくつかの実施態様では、各レーザパルスは、およそ10ps〜100nsの範囲内のパルス持続時間を有している。各バーストの各レーザパルス間の時間は、およそ5ns〜5μsの範囲であり得る。
さらに、連続したバースト間の時間は、各バーストを構成する各レーザパルス間の時間より長く、各バーストの第1レーザパルスおよび/または第2レーザパルスの強度は、加工されている物体の損傷閾値を超える。
バースト202間の時間は、数ヘルツからおよそ100キロヘルツまでの範囲であり得るレーザのパルス繰返し率によって決まるが、バースト202間の時間は、各バースト202の間のパルス204、206の間の時間より実質的に長い(たとえば、パルス204、206の間の時間の10倍を超え、100倍を超え、または1000倍を超える)。
しかしながら、この場合もまた、本実施形態によって提供される後壁保護を、バブル形成、崩壊および/または散乱を考慮しながら、実質的にあらゆるレーザパルス、パルス持続時間、パルス間の時間および/またはパルスのバーストの間の時間と使用することができる。
図10Cにおいて、バースト1040〜1042は、各々、単一の第2時間1046によって分離されている。しかしながら、上述したように、レーザパルスが加工されている物体950の壁を突破したことを検出したとき、所定の時間の量または他のこうした要素等、所定の加工スケジュールに基づいて、第1時間1044および/または第2時間1046を経時的に変化させることができる。他の実施形態では、レーザ加工は、マルチパルスバーストの代りにまたはそれとともに単一パルスで行われる。
図10C〜図10Dを参照すると、第1タイミング発生器1012は、一部分、各パルスが第1および第2レーザ1014〜1015のうちの一方から発生するダブルパルスバースト等、バースト1040のパルスを配置することができる。
第2タイミング発生器1018は、第1パルススライサ1020〜第2パルススライサ1021と協働して、バースト間の相対的なタイミングを達成するように所定パルスレートにしたがって2つのレーザパルスのバースト1040〜1042を正確に方向付けるタイミングを提供する。
光学部品1024は、限定されないが、1つまたは複数の波長板、偏光子等、レーザパルスを結合する関連光学部品を含むことができる。
他の実施形態では、単一レーザ1014が使用され、レーザビームは分割されて、バーストのパルス間の所望の時間1034を達成するように経路に組み込まれた遅延により、第2パルスを生成する。
図11は、いくつかの実施形態による、後壁保護を提供しながらレーザ加工するプロセス1110の簡易流れ図を示す。
ステップ1112において、流体は、レーザ加工されている物体950の空隙内に向けられる。典型的には、空隙内に向けられる流体は、レーザパルスの波形でレーザ吸収特性または散乱特性を有していない。同様に、流体は、典型的には、レーザ障壁特性が実質的に有していない。
ステップ1114において、レーザ加工されている物体950の壁に複数のレーザパルスが向けられる。レーザパルスは、物体950の壁を通る穴を形成するように構成され、それにより、レーザパルスは、流体が空隙内に向けられている間に穴を通過して空隙に入り、それによって、レーザパルスは、後壁損傷を阻止するために、流体および面に合わせて入射する。
図12は、いくつかの実施形態による、レーザ加工されている物体950の後壁面を保護しながらレーザ加工するプロセス1210の簡易流れ図を示す。ステップ1212において、保護基板(たとえば保護基板312)は、予測されるレーザ経路および意図された穴または物体950の壁に対して行われる他のレーザ加工と位置合せされるように、物体950の空隙内に位置決めされる。
ステップ1214において、流体は、空隙内にかつ保護基板312上に向けられる。
多くの実施形態において、流体は、レーザ吸収特性を有しておらず、さらに、単に、水(たとえば、水道水、冷水、過冷水等)、アルコール、液体ガス(たとえば液体窒素)、またはレーザ光を伝達し少なくともいくつかの場合ではレーザのエネルギーを取り除くように沸騰することができる他の関連流体であり得る。
場合によっては、保護基板をより湿潤させるのに役立つように、流体とともに界面活性剤を含めることができる。
さらに、流体は、典型的には、追加のまたは複雑な手続きを通して除去しなければならない残留物を残さない。
さらに、レーザパルスが突き当たる保護基板312の面に直接接触するように流体を向けることができる。
ステップ1216において、レーザ加工は、物体950の壁に穴または他のレーザ加工部を生成するように制御される。
保護基板312が正確に位置決めされている状態において、物体950の壁を貫通し空隙に入るレーザパルスは、保護基板312と保護基板上に向けられた流体とに入射し、それにより、保護基板は、レーザ加工されている穴から空隙を横切ってレーザパルスが後壁面に突き当たるのを阻止する。
図13は、いくつかの実施形態による、物体950をレーザ加工するプロセス1310の簡易流れ図を示す。
たとえば、プロセス1310は、燃料噴射装置の幅の狭い先端に近接して燃料噴射装置に複数の穴をレーザ穴あけ加工する際に使用することができる。その穴は、燃料噴射装置がエンジン内で利用されるとき、その穴を通して燃料が射出されるように意図されている。
ステップ1312において、レーザ加工されている物体950(たとえば燃料噴射装置)、物体のサイズ、空隙のサイズ、空隙にアクセスするために利用可能な空間および他のこうした関連要素によって決まる、所定のサイズおよび形状にしたがって、保護基板312が構成されかつ/または構築される。
さらに、場合によっては、意図されたレーザ加工、意図されたレーザパルスの強度、レーザパルスの持続時間、パルス間の時間、レーザバーストが採用される場合はレーザバースト間の時間、空隙内に位置決めされたときの保護基板312用の支持体(たとえば流体導管314)および保護基板の流体導管314との結合ならびに他のこうした要素によって、保護基板312の寸法が決まり得る。
たとえば、いくつかの実施形態では、保護基板は、流体導管から保護基板312を直接切り出すように流体導管314を加工することによって形成される。
場合によっては、保護基板の面がレーザパルスの経路に対して所望の角度で空隙内に位置決めされ得るように、かつ/または流体導管314から放出された流体が少なくとも部分的に保護基板312上に向けられるように、保護基板312を流体導管314の軸に対して曲げることができる。
ステップ1314において、開口部および/または凹凸等の1つまたは複数の表面構造が保護基板312に形成される。
たとえば、いくつかの実施形態では、開口部512のグリッドまたはマトリックスが、保護基板に機械加工され、レーザ穴あけ加工され、または他の方法で形成される。
たとえば、開口部および/または窪みのグリッドを、開口部および/または窪みの断面が先細りになっている六角形に密に詰まっている形態で形成することができる。
ステップ1316において、位置決めホルダ712と協働する流体導管314によって保護基板312が支持される。流体導管314は、さらに、流体供給システム936の出力と協働する(たとえば流量計940の出力に結合される)。
ステップ1318において、ガス導管340が、位置決めホルダ712と組み立てられ、ガス供給システム926の出力(たとえば流量計932の出力)に接続される。
ステップ1320において、レーザ加工される物体950(たとえば燃料噴出装置)は、レーザ加工される物体の一部が、活性化されたレーザの焦点に近接するように位置決めされる。いくつかの実施形態では、位置決めシステム924は、物体950を所望の位置に位置決めすることができる。
レーザ加工される物体950および/またはレーザは、レーザ加工される穴または他の間隙の中心にレーザ焦点218が直接位置するように位置決めされる必要はないことに留意されたい。
実際には、場合によっては、焦点は、形成されている穴の中心に位置決めされないことが有利でありかつ望ましい可能性がある。
たとえば、形成される穴の軸方向ではなく半径方向に中心であるようにレーザ焦点218を向けることができる。他の場合では、焦点218を、物体950の外側に位置決めすることができる。
同様に、場合によっては、ボーリングヘッドが使用されている場合等、たとえば加工されている穴または間隙の周縁の周囲で処理するように、レーザを移動させることができる。
ステップ1322において、保護基板312がレーザパルスの意図された経路と位置合せされるように、物体950の空隙内に保護システム310が位置決めされる。
ステップ1324において、レーザシステム912に関して、レーザ出力、パルスタイミング(たとえばダブルパルスタイミング)および他のこうした関連パラメータ等のレーザパラメータが設定される。
ステップ1326において、1つまたは複数のパルススライサ914が、選択レートを設定するように構成される。
いくつかの実施形態では、予測された溶落のタイミングに基づいてかつ/または溶落の検出に応じて等、レーザ加工中にレーザパラメータおよび/または選択レートの1つまたは複数を経時的に変更することを含むことができる加工計画に従って、ステップ1324および1326が構成される。
ステップ1320において、望ましい場合はボーリングヘッドを設定する等、ビーム送達システム916が構成され得る。
ステップ1332において、流体供給システム936およびガス供給システム926が、ガス流量および流体流量を設定するように構成されるとともに、物体950の空隙の内部への流体およびガスの供給を開始するように起動される。
いくつかの実施形態では、関連する場合は、ガス流が物体950の外側に沿って向けられるように、ガスアシストジェットにガスがさらに供給される。
ステップ1334において、1つまたは複数のシャッタが所望のタイミングに設定され、レーザ穴あけ加工が起動され、物体950に第1穴が穿たれる。
いくつかの実施形態では、物体950に、複数の穴または他のレーザ加工を行うことができる。たとえば、物体が燃料噴射装置である場合、通常、燃料噴射装置に複数の穴がレーザ穴あけ加工される。したがって、いくつかの実施形態は、物体950の新たな標的箇所まで物体950が回転されるかまたは他の方法で移動されるステップ1336を含む。
ステップ1340において、物体950は、レーザの焦点に対して位置決めされる。いくつかの実施態様では、物体950の回転および位置決めは、位置決めシステム924によって実施される。
ステップ1342において、1つまたは複数のシャッタが所望の穴あけ加工時間に設定され、レーザ穴あけ加工が実施される。さらなるレーザ穴あけ加工および/またはレーザ加工が行われる場合、プロセス1310はステップ1336に戻り、後続するレーザ穴あけ加工またはレーザ加工のために物体950が回転されるかまたは他の方法で再配置され得る。
レーザ穴あけ加工が完了すると、プロセスはステップ1344に進み、そこで保護システム310が空隙から取り除かれる。ステップ1346において、後続する物体950がレーザシステム912に対して位置決めされる。ステップ1348において、保護システム310が空隙内に挿入される。ステップ1350において、後続する物体950は、レーザ焦点に対して位置決めされる。そして、プロセス1310はステップ1334に戻り、シャッタタイミングを設定しレーザ穴あけ加工を実施することができる。
いくつかの実施形態は、レーザパルスと後壁との間に保護基板を挿入することなく、後壁保護を提供する。一部には、この保護方式は、レーザ加工中にレーザパルスおよびレーザパルスのタイミングを制御しながら、加工されている物体の空隙内に流体を供給することによって実施される。
図14は、物体950(たとえば、タービン羽根、燃料噴射装置または実質的にあらゆる物体)のレーザ加工中にその物体の後壁を保護する、いくつかの実施形態によるプロセス1410の簡易流れ図を示す。
ステップ1412において、流体供給システムが起動されて、物体950の空隙内に流体が供給される。典型的には、空隙内に供給される流体は、レーザ吸収特性または散乱特性を有しておらず、多くの場合、単に、物体950の空隙内に供給される水である。流体は、損傷に対して保護されている後壁と接触し、場合によっては、物体の空隙を実質的に充填するかまたは充填する。
ステップ1414において、複数のレーザパルスおよび/またはバーストが生成される。典型的には、レーザパルスはバーストで提供され、各バーストは、少なくともバースト間の時間の持続時間に対して時間のわずかな持続時間によってのみ時間的に分離される複数のレーザパルス(たとえば2つのパルス)を含む。
レーザバーストの生成およびレーザ加工におけるレーザバーストの使用については、全体として参照により本明細書に組み込まれるForsmanらの米国特許第6,664,498号明細書に記載されている。
ステップ1416において、物体950に突き当たるレーザパルスおよび/またはバーストの間のタイミングは、後壁に単一のまたは複数のバブルが存在する間に、レーザパルスが略後壁に入射しないように精密に制御される。したがって、レーザパルスは、流体および後壁面に入射し、流体および後壁面は合わせて後壁損傷を阻止する。
場合によっては、レーザパルスおよび/またはバーストの間のタイミングは、レーザバーストのサブセットを選択し、後壁と接触している流体を用いて後壁損傷を制限しかつ/または防止するように、所定タイミングに従って、物体950にレーザバーストのサブセットを向けることによって制御される。所定タイミングは、レーザパルスの結果としての流体内のバブルおよび/またはキャビテーションの生成によって決まる。
図15は、いくつかの実施形態による、レーザ加工中の物体1510の簡易概略断面図を示す。
レーザパルス1512が光学部品1514等を通して物体1510に向けられ、物体1510の壁1520に1つまたは複数の穴1518をレーザ穴あけ加工する等、レーザ加工が実施される。
壁1520の突破に続き、後続するレーザパルスが続けて物体に向けられ、穴1518の所望の品質および/または幅が達成される。したがって、突破に続いて物体1510に向けられたレーザパルスの少なくとも一部は、穴を通過して物体の空隙1522に入り、空隙を横切って進み、後壁1526の面1524(いくつかの物体1510の後壁1526は、空隙1522の反対側におけるレーザ加工されている壁1520の延長または同じ壁1520である)に突き当る可能性があり、場合によっては後壁に損傷を与える可能性がある。
後壁面1524に直接突き当たるレーザパルスは、後壁1526の材料のプラズマを生成する可能性があり、それは、後壁に損傷を与えかつ/またはその箇所で後壁の強度を低下させ、高温のガス、流れを生成し、場合によっては、後壁の一部が排出される可能性があるため幾分かのデブリを生成し、後壁に対する損傷をもたらす可能性がある。
したがって、いくつかの実施形態は、レーザ加工を行っている間に空隙1522内に流体1530を向ける。流体は、典型的には、レーザ吸収特性を有しておらず、場合によっては、水、アルコールまたは他の関連流体である。いくつかの実施態様では、後壁面の湿潤に役立つように、流体とともに界面活性剤を含めることができる。
後壁面1524上に維持される流体1530の量は、レーザパルス1512の強度および/または出力、レーザ焦点1532からの後壁面1524の距離、後壁の材料、レーザパルスの持続時間、パルス間の時間および/または他のこうした要素によって決まる可能性がある。
空隙内への流体の流れは、空隙の容積、パルスのレート、予測されるバブルの形成、崩壊および/または散乱、および/または他のこうした要素によって決まる可能性がある。
さらに、レーザ穴あけ加工されている穴に流体が入らないように流量を制御することができる。この場合もまた、流体が穴に入らないように、内側ガスジェットおよび/または外側ガスジェットも使用することができる。
さらに、レーザパルスおよび/またはレーザパルスのバーストの間の時間は、本来発生する可能性があるあり得る後壁損傷を低減するようにさらに制御される。
水等の流体が後壁面1524と接触している間、後壁面1524の反射能が向上することが明らかとなった。反射能が向上することにより、後壁面1524に突き当たり後壁面で容易に反射するレーザパルスによる後壁損傷を、流体および後壁面が合わせて阻止する。したがって、反射能が維持されている間、後壁面における焼灼、プラズマ形成および/または他の損傷は、あるとしても最小限になる。反射したレーザパルスは広がりつづけ、強度と空隙1522の内面に対するさらなる損傷をもたらす可能性とを低減する。
しかしながら、レーザパルス1512は、流体1530内にキャビテーションまたはバブルの形成をもたらす可能性があることもさらに明らかとなった。
後壁面1524におけるまたはそれに近接するバブルの形成により、後壁面の反射能が低減し、後壁面にバブルが発生するときに、後壁面上の流体1530の欠如をもたらす可能性がある。反射能が低下すると、たとえばバブルが発生した後壁面1524の乾燥部分または実質的に乾燥部分にレーザパルスが突き当ることにより、後続するレーザパルスが後壁面1524に損傷および/または焼灼の増大をもたらす可能性がある。
したがって、いくつかの実施形態は、空隙内に流体が供給されている間に物体1510に向けられたレーザパルスのタイミングを制御して、後続するパルスが物体に向けられる前に、1つまたは複数の先行するレーザパルスの結果として形成されたバブルが実質的にまたは完全に崩壊するようにすることにより、潜在的な後壁損傷を低減しかつ/またはなくす。
結果として、流体1530は、後壁面1524と接触し、反射能を向上させ、それにより、後壁面のプラズマ形成および/または焼灼を低減する。
さらに、いくつかの実施形態は、典型的にはレーザ加工される領域を横切って、ガス1536(たとえば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウムまたは他の関連ガス)の流れを空隙1522内にさらに向ける。
したがって、ガス1536の流れは、形成された穴1518に流体1530が入りかつ/または流体1530が穴に接触する(それにより、場合によっては穴1518の面にフレアリングがもたらされる可能性がある)ことを、制限しまたは防止することができる。
さらに、いくつかの実施形態は、ガス1540の1つまたは複数の流れを、穴1518内にかつ/または物体1510の外面を横切るように向ける。それにより、幾分か、レーザ加工中のデブリを除去しかつ/または空隙の内部からの流体が穴に入ることを阻止することができる。
図16Aは、いくつかの実施形態による、レーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。レーザ加工されている物体に一続きのレーザパルス1612〜1613が向けられる。
少なくとも幾分かのレーザ強度およびレーザの焦点からの距離により、レーザパルス1612の結果として物体の空隙1522の後壁1524にバブルが形成される可能性があることが分かった。
後壁1524に近接してまたは隣接して発生する可能性があるバブルは、それらのバブルに起因して乾燥または実質的に乾燥した後壁の部分に1つまたは複数の後続するレーザパルスが突き当ること生じる可能性がある。それにより、後壁における反射能が低減し、かつ/または液体によって提供される冷却効果が低減する可能性がある。
したがって、レーザシステムは、第1バースト1612に続く第2時間1622の終了まで、第2レーザパルス1613が物体1510に向けられないように制御されることができる。
したがって、レーザシステムは、後壁面1524に近接するバブルの実質的にすべてまたはすべてが崩壊するかまたは散乱すると予測される、予測された時間すなわち時間の量1624の間、後続する第2パルス1613が物体1510に向けられないように制御される。
この場合もまた、時間1624は、部分的に、レーザ強度または出力、レーザ焦点1532と後壁1524との間の距離、流体1530、第1レーザパルス1612によって後壁面1524に形成されたバブルの実質的にすべての形成および崩壊に関して予測された時間ならびに他のこうした要素に基づいて定義される。例として、後続するパルス1612〜1613の間の時間1624は、約0.5msであり得る。
初期レーザバーストによってもたらされる流体に生成されたバブルは、典型的には、特に後壁におけるレーザ強度が比較的低い場合、後壁において比較的迅速に崩壊する。
図16Bは、いくつかの実施形態による、レーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。
上述したように、かつ米国特許第6,664,498号明細書に記載されているように、レーザパルスのバースト1632〜1635の使用により、レーザ穴あけ加工および/またはレーザ加工を強化することができる。
少なくとも幾分かのレーザ強度により、第1時間1640によって分離される2つのレーザパルスの第1バースト1632は、後壁面1524にバブルを生成しない可能性があることが分かった。
さらに、レーザバースト1632〜1633の間の第2時間1642は、第2バースト1633の前にバブルが形成されないように選択される。
場合によっては、レーザ焦点1532またはその近くに流体1530が存在する場合に、その焦点にまたはそれに近接してバブルが形成される可能性がある。しかしながら、バブルは、典型的には、第1バースト1632の結果として後壁に近接して形成されず、かつ少なくとも第2バースト1633が後壁面1524に突き当る前に形成されない。
したがって、第1バースト1632に続く第2時間1642、第2バースト1633を物体1510に向けることができる。穴1518を通過する第2バースト1633のパルスの部分は、流体1530が後壁面と接触している間にかつバブル形成の前に、後壁面1524に突き当る。
バブルは、バーストの第1組の第2バースト1633に応答して発生する可能性がある。したがって、バーストの第2組の後続する第3バースト1634は、第3時間1644に続いて物体1510に向けられる。第3時間1644は、典型的には、バースト内のパルスを分離する第1時間1640と比較して相対的に長く(たとえば、パルス間の時間1640の数100倍、または数1000倍長い)、第1バースト1632と第2バースト1633との間の第2時間1642より長い(たとえば、バーストの第1組のバーストの間の時間1642より5倍、数十倍または数百倍長い)。
第3時間1644は、レーザ強度または出力、レーザ焦点1532と後壁面1524との間の距離、流体1530、流体の粘度、密度および表面張力、後壁への入射角度、流量、第1バースト1632および/または第2バースト1633によって後壁面1524に形成されたバブルの実質的にすべての形成および崩壊および/または散乱に対する予測された時間、ならびに他のこうした要素に基づいて定義される。
例として、バースト1632のパルス間の第1時間1640を約50ns〜200nsとすることができ、第1バースト1632と第2バースト1633との間の第2時間1642を約0.1msとすることができる。第3時間1644によって分離されるバーストの組を約0.5msとすることができる。
したがって、2つの連続するレーザバーストからもたらされる流体に生成されるバブルは、典型的には、特に後壁におけるレーザ強度が比較的低い場合、後壁において比較的迅速に崩壊する。
いくつかの実施形態では、バブルのさまざまな推定されたサイズに関して表面張力によって駆動されたときに崩壊するさまざまなサイズのバブルの推定された時間を考慮する。タイミングの適性は、チューブ内に後壁損傷を生成しかつ回避する試験を通して検証された。この場合もまた、流体流は、バブルを崩壊し、かつ/またはバブルをレーザが突き当る後壁から離れるように移動させるのを促進することができる。
いくつかの実施形態では、何らかの試験によれば、レーザ焦点におけるレーザの強度は、レーザ焦点から約2mm〜3mm離れた後壁の位置よりも約10倍〜100倍程度強力であった(たとえば、後壁におけるレーザ強度は、少なくともいくつかの実施態様では、10W/cm〜10W/cmであり得る)。したがって、後壁面におけるバブル形成は、レーザ焦点において発生するものより少ない。
さらに、シングルパルスは後壁面にバブルを形成しない可能性があり、それにより、依然として後壁損傷を制限するかまたは回避しながら、加工を改善するためにバーストの複数のパルスを使用することができる。
空隙内に向けられた流体は、バブルのうちの幾分かを散乱させ除去するのを促進することができることが留意される。
流体流の流速が高いことは、バブルのうちの少なくとも幾分かを押し流すのを促進することができる。
同様に、場合によっては、流体の流れは、レーザが突き当っている後壁から、すべてのバブルではないが実質的にすべてのバブルを散乱させるかまたは押し流すことができる。をそれにより、バースト間の時間がはるかに短い連続したレーザバースト等、レーザシステムの実質的に連続した動作を可能にすることができる。たとえば、空隙のサイズに応じて、流れを5m/s程度とすることができる。しかしながら、この場合もまた、この流速は、いくつかの燃料噴出装置形状等、厳密な形状で維持することが困難である場合がある。
しかしながら、本実施形態によって提供される後壁保護は、これらのレーザパルスおよび/またはタイミングに限定されない。選択的に、バブルが崩壊し、散乱しかつ/またはレーザが突き当る領域から離れるように移動する時間とバブル形成とを考慮しながら、実質的にあらゆるレーザパルス、レーザパルス持続時間および/またはパルスもしくはパルスのバーストの間の時間とともに後壁保護を利用することができる。
さらに、パルス切替および/または制御を、後壁保護基板(たとえば基板312)とともに同様に利用することができる。
したがって、後壁保護基板がレーザ加工されている物体の空隙内に位置決めされている間に、パルスおよび/またはバースト制御を利用することができる。
場合によっては、流体1530は、レーザ加工されている穴1518に部分的に入り、したがってレーザ焦点1532に近接する可能性がある。
レーザ焦点1532に近接して発生する可能性があるバブル形成は、場合によっては、レーザ加工を強化することができる。
たとえば、第1バースト1632の結果としてレーザ焦点に近接してバブルが形成されることにより、バブル形成に起因して比較的乾燥した面に第2バースト1633が突き当ることができる。これにより、レーザ焦点に近接したプラズマ形成および焼灼が改善され、それにより所望のレーザ加工(たとえば、穴1518の形成)を達成する際にレーザ加工を改善することができ、流体が穴に閉じ込められるのをさらに防止することができる。
図17は、いくつかの実施形態による、レーザ加工を行う際に使用されるレーザパルスタイミングを表す簡易タイミング図を示す。
レーザシステムは、一続きのバースト1712〜1723を生成することができる。これらのバーストのサブセットは、所定のタイミングに従ってレーザ加工を行うように選択され、物体に向けられることができる。
場合によっては、パルススライサを、物体に向けられるそれらの所望のパルスを選択するように所定タイミングに基づいて制御することができる。
たとえば第1バースト1712および第2バースト1713を選択することができ、第1バーストおよび第2バーストは第1時間(たとえば第1時間1732)によって分離されている。
上述したように、場合によっては、第1バーストおよび第2バーストのタイミングがとられることにより、第2バースト1713の後まで後壁面にバブルが発生しない。
一続きの後続するバースト1714〜1721をスキップし物体1510に向けないことが可能である。
バブルが後壁面1524で崩壊する予測された時間に基づいて、第2時間1734が確定され、スライサは、物体1510に向けられるバーストの第2サブセット、たとえば、バーストの組の間の所望の時間に対応する第11バースト1722および第12バースト1723を選択することができる。
したがって、バーストの第1サブセットの結果として形成される実質的にすべてまたはすべてのバブルが崩壊した後に、第11バースト1722および第12バースト1723が後壁面1524に突き当り、流体1530が後壁面1524に接触するように、所定タイミングに従ってバーストの第2サブセットが選択される。
場合によっては、所定数のバーストの各々からバーストの対を選択することができる(たとえば、10のバーストの各組から2つのバーストが選択される)。
図18は、いくつかの実施形態による、レーザ加工システム1810の簡易ブロック図を示す。レーザ加工システム1810は、レーザシステム1812と、レーザ加工される物体1816と協働する保護システム1814と、動き制御および/または位置決めシステム1818(以下、位置決めシステムと呼ぶ)と、コントローラ1820とを備えている。
コントローラ820は、レーザシステム1812、保護システム1814および/または位置決めシステム1818のコントローラを含む等、単一デバイスまたは別個のデバイスとして構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラ1820は、レーザ加工システム1810を制御するコード、命令および/またはソフトウェアを格納するメモリに結合された1つもしくは複数のプロセッサおよび/またはマイクロプロセッサを含む。
いくつかの実施態様では、コントローラ1820を、レーザシステム1812、保護システム1814および位置決めシステム1818のうちの1つまたは複数に結合されたコンピュータを使用して実装することができる。
レーザシステム1812は、レーザパルスを発生し、レーザ加工されている物体1816の所望の位置に正確にぶつかるようにレーザパルスを向ける。
典型的には、レーザシステム1812は、レーザパルスを物体1816に突き当るように集束させかつ向ける光学部品、スライサ等を含む。
いくつかの実施形態では、レーザシステム1812は、所望のレーザ加工を達成するように物体1816に突き当る1つまたは複数のレーザパルスを生成するための遅延経路等、追加の要素および/または特徴を含む。
保護システム1814は、コントローラ1820および物体1816と協働して、生成されている穴または他の加工部とは反対側の物体の部分に対する後壁保護を提供する。
いくつかの実施形態では、保護システム1814は、流体が、レーザ加工されている物体の部分とは反対側の物体1816の空隙の後壁に対する保護を提供するように、空隙内に流体を供給する。
保護システム1814は、スライサコントローラ(たとえば、パルススライサ914ならびにタイマおよび/または信号プロセッサ946)をさらに含む。スライサコントローラは、レーザシステム1810と協働しかつ/またはレーザシステム1810の一部であり、一続きのパルスおよび/またはバーストからのパルスおよび/またはパルスのバーストのサブセットの選択を制御する。
したがって、スライサ914、コントローラ1820および信号プロセッサ946は、いくつかの実施態様では、パルスまたはパルスのバーストの一部が物体に向けられるのを防止しながら、一続きのパルスまたはパルスのバーストのサブセットを物体1816に向けて、後壁面を保護する際に後壁面1524におけるバブル形成および/またはバブルの崩壊を制御することができる。
いくつかの実施態様では、保護システム1814は、限定されないが、物体1816に対して1つまたは複数の内側または外側のガス流(たとえば、外側の同軸ガスアシストジェット、外側に沿った1つもしくは複数のジェット、および/または他のこうしたアシストジェット)を供給することができるガス供給システム926、空隙内に流体を供給する流体供給システム936、1つまたは複数の流量計932、940、圧力調整器930、溶落ち検出器944および/または他のこうした構成要素等、追加的または代替的な構成要素を含むことができる。
位置決めシステム1818は、レーザシステム1812、保護システム1814および/または物体1816と協働して、後壁保護を提供しながら物体1816を正確にレーザ加工するように、レーザ加工システム1810の構成要素を位置決めすることができる。
位置決めシステムは、構成要素を互いに対して位置決めするために、1つまたは複数のモータ、ギア、ポンプ、ピストン、液圧装置、ケーブル、エンドエフェクタ、ペンチおよび/または他のこうした装置を含むことができる。
たとえば、いくつかの実施態様では、位置決めシステム1818は、物体1816と協働して、レーザ加工中の物体の位置決めおよび/または位置決めの維持を制御し、かつ/またはさらなるレーザ加工を行う(たとえば物体1816に複数の穴をレーザ穴あけ加工する)ために物体を再配置する。
追加的又は代替的に、位置決めシステム1818は、保護システム1814と協働して、流体を空隙に正確に与えるように保護システムの少なくとも一部を位置決めすることができる。
同様に、いくつかの実施形態では、位置決めシステムは、一部には、レーザシステム1812またはレーザシステムの一部の位置決めに対して幾分かの制御を提供して、物体1816に対してレーザパルスを正確に集束させかつ向けることができる。
図19は、いくつかの実施形態による、レーザ加工中に後壁保護を提供するプロセス1910の簡易流れ図を示す。
ステップ1912において、レーザ源は、レーザ加工される物体(たとえば物体1510)に対して構成される。これは、レーザ出力および他のこうしたパラメータを設定することを含むことができる。さらに、これは、レーザ源、レーザ加工される物体および/または保護システムおよび/または基板の位置決めを含むことができる。
いくつかの実施形態では、保護システムは固定されており、保護基板が所望の位置にあるようにレーザ加工される物体が適所に移動される。
他の実施形態では、物体が固定位置に位置決めされ、保護される物体の面に対して保護システムが適所に移動される。
さらに、位置決めを、レジスタ、センサ、および/または保護システムの1つまたは複数の部品の、レーザ加工される物体の1つまたは複数の部品との接触に基づくことができる。
ステップ1914において、レーザ加工されている物体1510の空隙内に流体が供給され、少なくとも流体の層が後壁面1524にわたって維持される。
ステップ1916において、レーザ源が駆動される。
ステップ1920において、選択されたレーザパルスのサブセットが物体1510に向けられ、物体に向けられたレーザパルス間のタイミングが、レーザ強度、焦点から後壁面1524までの距離、空隙内に供給されている流体、供給された流体における予測されたバブル崩壊速度および他のこうした要素に従って制御される。
上述したように、場合によっては、複数のレーザパルスを含むレーザバーストを利用することができ、場合によっては、バーストの組が、後壁面1524に形成されたバブルが崩壊する予測された時間に従って定義されたバーストの組の間の時間で、物体1510に向けられる。
図20は、いくつかの実施形態による物体1816をレーザ加工するプロセス2010の簡易流れ図を示す。
たとえば、プロセス2010は、飛行機またはエンジン部品(タービン羽根)、燃料噴射装置または他の物体に、複数の穴をレーザにより穿つ際に使用することができる。そこでは、レーザ加工は、空隙の少なくとも一方の側に行われ、それにより空隙の反対側が潜在的な損傷にさらされる可能性がある。
ステップ2012において、流体送達装置(たとえば、ノズルまたはジェット)が、ホルダ(たとえば位置決めホルダ712)と協働し、流体供給システム936の出力に(たとえば流量計940の出力に)接続される。
いくつかの実施形態では、プロセスは、ス送達装置(たとえばノズルまたはジェット)がホルダ(たとえば位置決めホルダ712)と組み立てられて、ガス供給システム926の出力(たとえば、流量計932の出力)に接続されるステップ2014を含む。
ステップ2016において、レーザ加工される物体1816(たとえば燃料噴射装置)は、レーザ加工される物体の一部が、活性化されたレーザの焦点にあるように位置決めされる。いくつかの実施形態では、位置決めシステム1818は、物体1816を所望の位置に位置決めすることができる。
ステップ2020において、流体供給装置は、空隙内に所望の水位を維持するように、物体1816の空隙に対して位置決めされる。場合によっては、空隙は実質的に流体で充填されることが望ましい可能性がある。
いくつかの実施形態では、ガス送達装置は、レーザ加工が行われる(たとえば穴があけられる)面の一部を横切ってガス流を向けるように、空隙の内部に対して同様に位置決めされる。
他の実施形態では、流体および/またはガス送達装置が位置決めされ、その後、物体は、流体および/またはガス送達装置に対して位置決めされる。
ステップ2022において、レーザシステム1810に関して、レーザ出力、パルスタイミング(たとえばダブルパルスタイミング)および他のこうした関連パラメータ等のレーザパラメータが設定される。
ステップ2024において、1つまたは複数のパルススライサ914は、選択レートを設定するように構成され、それは、物体1816に向けられるレーザバーストのサブセットを選択する一方で、レーザバーストの残りを物体から離れるように向けることを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ステップ2022および2024は、所定の加工計画に従って構成される。これは、予測された溶落のタイミングに基づいてかつ/または溶落を検出することに応じて等、レーザ加工中にレーザパラメータおよび/または選択レートのうちの1つまたは複数を経時的に変更することを含むことができる。
ステップ2026において、望ましい場合はボーリングヘッドを設定する等、ビーム送達システム916が構成される。
ステップ2030において、流体供給システム936およびガス供給システム926は、流体流量およびガス流量を設定するように構成され、物体1816の空隙の内部に対する流体およびガスの供給を開始するように駆動される。
いくつかの実施形態では、ガスは、関連する場合はガスアシストジェットにさらに送達される。
ステップ2032において、1つまたは複数のシャッタが所望のタイミングに設定され、レーザ穴あけ加工が駆動されて物体1816に第1穴があけられる。
いくつかの実施形態では、物体1816に対して、複数の穴または他のレーザ加工を行うことができる。たとえば、物体が燃料噴射装置である場合、通常、燃料噴射装置に複数の穴がレーザにより穿たされる。したがって、いくつかの実施形態は、物体1816の新たな標的箇所まで物体1816を回転させるかまたは他の方法で移動させるステップ2034を含む。
ステップ2036において、物体1816は、レーザの焦点に対して位置決めされる。いくつかの実施態様では、物体1816の回転および位置決めは、位置決めシステム1818によって実施される。
ステップ1840において、1つまたは複数のシャッタが所望の穴あけ時間に設定され、レーザ穴あけ加工が実施される。さらなるレーザ穴あけ加工および/またはレーザ加工が行われる場合、プロセス2010はステップ2034に戻り、後続するレーザ穴あけ加工またはレーザ加工のために物体1816を回転させるかまたは他の方法で再配置することができる。
レーザ穴あけ加工が完了すると、プロセスはステップ2042に進み、そこで、流体送達装置および/またはガス送達装置が空隙内に位置決めされているときに、それら流体送達装置および/またはガス送達装置を空隙から取り除くことができる。
ステップ2044において、後続する物体1816がレーザシステム1810に対して位置決めされる。
ステップ2048において、流体送達装置が空隙に対して位置決めされ、関連する場合は、ガス送達装置を空隙に対して位置決めすることができる。ステップ2048において、後続する物体1816は、レーザ焦点に対して位置決めされる。
そして、プロセス2010はステップ2032に戻り、シャッタタイミングを設定し後続する物体のレーザ穴あけ加工を実施することができる。
したがって、本実施形態は、レーザ加工されている物体の部分とは反対側の面に対する保護を提供する。この保護は、物体を劣化させるかまたは実際に物体を使用不可能にする可能性がある周辺損傷から物体が保護される一方で、物体の非常に正確かつ精密なレーザ加工を可能にする。
さらに、製造用途で利用される場合、本実施形態によって提供される後壁保護は、閾値レベルを超える周辺損傷のために破棄されなければならない物体の数を、なくさないまでも大幅に低減しながら、スループットを大幅に向上させることができる。
さらに、保護は、著しい洗浄を必要とする物質を導入する必要なしに、かつ危険な廃棄生成物を生成することなく達成される。
図21は、後壁保護なしにレーザ穴あけ加工された物体2110の例としての断面図を示す。レーザ穴あけ加工により、物体2110の壁を通って延在する2つの穴2112〜2113またはチャネルが生成された。
分かるように、レーザ加工中、レーザパルスは、レーザパルスによって形成された穴2112〜2113とは反対側の空隙2118の後壁面2116に突き当り、後壁面2116に対して著しい損傷をもたらす可能性がある。
場合によっては、損傷は、物体の壁または構造に対する損傷(たとえば、熱影響部(HAZ)を含む。場合によっては、損傷は、壁を通って壁2120の外側まで延在する可能性があり、かつ/または1つもしくは複数の穴が壁を通って発生する可能性がある。
損傷の程度に応じて、レーザ加工されている物体2110は、その意図された目的に対して使用不可能であるか、または有用な推定耐用年数を大幅に低減する可能性がある。たとえば、ジェットエンジンおよび/または燃料噴射装置のレーザ加工部品は、損傷に対する耐性がゼロであるかまたは非常に限られている可能性がある。
しかしながら、図22は、いくつかの実施形態による後壁保護を適用しながらレーザ加工された物体2210の例としての断面図を示す。
後壁保護を提供することにより、穴2212〜2213とは反対側の空隙2218の後壁面2216に損傷を与えることなく、物体2210に、1つもしくは複数の穴2212〜2213、チャネルまたは他のレーザ加工部を精密に生成することができる。
したがって、後壁保護の使用により、生成されている物体の品質を大幅に向上させ、意図された目的に対して使用することができる物体のスループットを増大させ、レーザ加工された物体の有用な耐用年数を延長し、かつ他のこうした利益を得ることができる。
さらに、いくつかの実施形態によって提供される後壁保護により、レーザ加工を非常に精密にかつ高精度にすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、HAZの影響なしに、厚さ2232が約1.4mm以上である(穴が45度角度で形成された1.0mm壁厚さ)鋼壁を有する物体を通って延在して、直径2230が約50ミクロンであるレーザ穴2212〜2213を形成することができる。
さらに、レーザ加工により、依然として後壁損傷を制限するかまたは防止しながら、近接した穴を生成することができる。たとえば、2つの穴2212〜2213を、互いの150μm以下の範囲内に形成することができる。
さらに、後壁保護により、後壁面からの内部デブリが防止され、高温の飛び散りが防止され、後壁面における高温のプラズマに晒されることが制限または防止される。
いくつかの実施形態は、さらに、空隙内でかつ/または後壁面の上で保護材料を閉じ込める(それには、保護材料を除去するために大規模なかつ/または費用のかかる洗浄が必要となる可能性がある)ことなく、レーザ加工されている材料に関らず、後壁の保護を提供する。
空隙内にかつ/または予期されるレーザと後壁面との間に挿入される保護基板312および/または保護システム310を利用する実施形態を利用して、典型的には、保護基板312を利用しない実施形態より、高いレーザ強度および/または出力に耐えることができる。
さらに、保護基板312なしに後壁保護を利用する場合のタイミングに対してパルスおよび/またはバーストの間のタイミングを低減し、代りに、先行するパルスまたはバーストによって形成されたバルブの崩壊を可能にするようにバーストタイミングを制御することができるように、保護基板312が空隙内に位置決めされている間にレーザ加工を行うときのパルスタイミングを構成することができる。
図23は、いくつかの実施形態によるレーザ加工保護システム2310の簡易概略断面図を示す。
保護システム2310は、犠牲挿入物または保護基板2312と、流体2316を供給する流体源2314と、1つまたは複数のガス源2318、2320とを備えている。
保護基板2312は、レーザ加工されている物体2324の後壁面に近接してまたはそれと接触して位置決めされる。
流体源2314は、流体2316の層が空隙内で維持されるように、物体の空隙2326に対して位置決めされる。
導管、ノズル等の流体源2314は、空隙内への流体の流れを制御する流体供給システム936の一部である。
同様に、いくつかの実施形態では、ガス源2318は、ガス供給システム926の一部である、導管、ノズル等であり得る。ガス供給システム926は、流体2316が穴2330に入るのを制限しまたは防止するように、ガス(たとえば空気)を空隙内にかつ空隙の面に沿って提供する。
いくつかの実施形態は、ガス供給システム926の一部であるかまたはレーザ2332と同軸にガス(たとえば空気)を向ける別個のガス供給システムである第2ガス源2320を含むことができる(物体2324の外面を横切ってガスを供給するノズル等、1つまたは複数のさらなるまたは代替的なガス源を含めることができることが留意される)。
流体2316は、典型的には、レーザ吸収特性または散乱特性を有しておらず、保護基板2312を冷却する。レーザパルス2332は、形成され続ける穴2330を通過し、保護基板2312に突き当る。したがって、保護基板2312および流体2316は、レーザ加工中に物体2324の後壁を保護する。
場合によっては、流体2316は、保護基板2312を横切って流れるように向けられる。それにより、流体内で発生する可能性があるバブルをレーザが突き当っている領域から移動させることができる。それにより、流体は、保護基板の面と接触し続け、面における反射能を向上させる。
限定されないがInconel(登録商標)、銅、ニッケル、鋼、カーボン、セラミックもしくは他のこうした材料またはこうした材料の組合せ等、物体2324をレーザ加工する際に使用されるレーザパルスに対する繰返しの露光に耐えることができる実質的に任意の適切な材料から保護基板2312を形成することができる。
場合によっては、保護基板2312を、高反射材料から形成し、かつ/または反射材料でコーティングすることできる。
上述したような表面構造および/または凹凸を、保護基板2312に含めることができる。いくつかの実施形態では、保護基板2312を、多孔質材料から形成することができる。
図24は、いくつかの実施形態による代替的なレーザ加工保護システム2410の簡易断面図を示す。
保護システム2410は、中空保護基板2412および流体源2414を備えている。
保護基板2412は、レーザ加工されている物体2432の後壁2428に対して空隙2426内で位置決めされる。
流体源2414は、保護基板の中空部分2418内に流体2416を供給する。
保護基板2412は、多孔質銅、カーボン等、多孔質材料から形成される。典型的には、保護基板の細孔のサイズは、流体が保護基板から容易に流れ出ないように十分小さい。
レーザパルス2420が保護基板2412に突き当る際、保護基板が加熱される。これにより、外面に隣接するとともに細孔内かつ/または保護基板の内部にある流体が沸騰して、蒸気2422が生成される。蒸気2422は、保護基板の細孔を通って少なくとも部分的に放出され、ガス流、真空等を介して、物体2432の空隙2430から排出され得る。
いくつかの実施態様では、流体が所望の速度で細孔(または保護基板の構成によっては穴)を強制的に通されて、レーザが突き当たる保護基板2412の面の上に流体が維持されるように、細孔が構成される。レーザが突き当たると、流体は沸騰して蒸発し、細孔および/または穴を通して放出されているさらなる流体に置き換えられる可能性がある。
保護基板2412は、場合によっては、後壁2428に近接して位置決めされる。保護基板2412は、後壁に近いように(それにより保護基板とレーザの焦点との間の距離が増大する)、かつ空隙の構造、流体流および他の関連要素を考慮して位置決めされることが多い。
いくつかの実施態様では、保護基板2412を、回転対称であるように構成することができる。回転対称保護基板を、加工中回転させて、加工中の面の異なる部分を露出させることができる。場合によっては、保護基板を連続的に回転させることができる。
本明細書に記載する方法、技法、制御、システム、デバイス等は、1つまたは複数のレーザ源とともに、多くの異なるタイプのデバイスおよび/またはシステムで利用され、実施されかつ/または実行されることができる。
図25を参照すると、いくつかの実施形態による、任意のこうした実施態様で使用することができるシステム2510が示されている。
上述したかまたは後述する任意のデバイス、システムもしくは装置、または、たとえば上述したまたは後述するコントローラ820、922、946、1820、位置決めシステム818、924、1818等、こうしたシステム、装置またはデバイスの一部を実装するために、システム2510の1つまたは複数の構成要素を使用することができる。しかしながら、システム2510またはそのいずれの部分の使用も、明らかに必須ではない。
例として、システム2510は、コントローラまたはプロセッサモジュール2512、メモリ2514、ユーザインタフェース2516および1つまたは複数の通信リンク、経路、バス等2520を備えることができる。
電源(図示せず)が含まれるかまたはシステム2510に結合されている。
コントローラ2512は、1つもしくは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、中央処理装置、論理回路、ローカルデジタルストレージ、ファームウェアおよび/又は他の制御ハードウェア及び/またはソフトウェアを使用して実装できる。また、コントローラ2512は、本明細書に記載する方法および技法のステップを実行するかまたは実行を支援し、さまざまな活動、位置決め、選択、速度、持続時間、流量、圧力、タイミング、検出、動き等を制御するために使用することができる。
ユーザインタフェース2516により、ユーザは、システム2510と対話し、パラメータを設定し、動作条件を調整し、システムを介して情報を受け取ることができる。
場合によっては、ユーザインタフェース2516は、システム2510の一部であるかまたはシステム2510に有線もしくは無線で結合され得る、ディスプレイ2522、および/またはキーボード、マウス、トラックボール、ボタン、タッチスクリーン、リモートコントロール等の1つもしくは複数のユーザ入力部2524を含む。
いくつかの実施形態では、システム2510は、システム2510がレーザ加工システムの他の構成要素および/またはコントローラと通信し、分散ネットワーク、ローカルネットワーク、インターネット、通信リンク2520、他のネットワークもしくは他のデバイスとの通信チャネルによって他のデバイスと通信し、および/または他のこうした通信を可能にする、1つまたは複数の通信インタフェース、ポート、送受信器2518等をさらに備えることができる。さらに、送受信器2518を、有線、無線、光、光ファイバケーブルもしくは他のこうした通信構成またはこうした通信の組合せに対して構成することができる。
システム2510は、コントローラ2512を備える制御及び/またはプロセッサベースシステムの例を備えている。この場合もまた、コントローラ2512は、1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、中央処理装置、論理回路、ソフトウェア等によって実装することができる。さらに、いくつかの実施態様では、コントローラ2512は、マイクロプロセッサ機能を提供することができる。
コントローラ2512によってアクセスすることができるメモリ2514は、典型的には、少なくともコントローラ2512によってアクセスされる1つまたは複数のプロセッサ可読かつ/またはコンピュータ可読媒体を含み、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリおよび/または他のメモリ技術等、揮発性および/または不揮発性媒体を含むことができる。
さらに、メモリ2514はシステム2510の内部であるように示されているが、メモリ2514を、内部、外部、または内部メモリおよび外部メモリの組合せとすることができる。
外部メモリは、限定されないが、フラッシュメモリセキュアデジタル(SD)カード、ユニバーサルシリアルバス(USB)スティックもしくはドライブ、他のメモリカード、ハードドライブおよび他のこうしたメモリのうちの1つもしくは複数、またはこうしたメモリの組合せ等、実質的にいずれの関連メモリとすることもできる。
メモリ2514は、コード、ソフトウェア、実行ファイル、スクリプト、パラメータ、設定、限界および/または閾値、ログまたは履歴データ、ユーザ情報等を格納することができる。
図26は、いくつかの実施形態による、図4の保護基板312と同様とすることができる、保護基板2612を有する保護システム2610の画像を示す。
保護基板2612は、保護基板に近接して実質的に直線状である流体導管2614と協働する。さらに、保護基板2612は、流体導管2614の中心軸に対して角度をなして位置決めされる。さらに、その角度は、レーザ2620もまた保護基板に斜角で突き当たるように選択されることが多い。この構成では、流体2640(破線で表す)は、導管の端部2642から放出され、保護基板と流体導管2614との間の角度で保護基板の第1面2616に直接ぶつかる。したがって、流体は、保護基板と接触すると方向を変える。
さらに、いくつかの実施形態では、保護基板2612にグリッドの開口部512(図5参照)が存在する場合、グリッドの開口部512内に流体2640が押し込まれる。
導管2614を、レーザ加工されている物体の空隙内に適合し、保護される物体の面に対して保護基板2612を正確に配置するのを可能にする、実質的にいずれの関連するサイズまたは直径2622とすることもできる。
図27は、いくつかの実施形態による、流体導管2714と協働する保護基板2712を備えた保護システム2710の画像を示す。
この実施形態では、流体導管2714は、図26の流体導管2614の直径2622と比較して小さな直径2722を有している。この幅の狭い実施形態により、より小さい空間および/またはレーザ加工されるより小さい物体とともに保護システム2710を利用することができ、かつ/またはより小さい空間内にかつ/またはレーザ加工されるより小さい物体に保護システム2710を挿入することができる。
保護基板2712は、導管2714から延在し、典型的には、導管2714の端部2742に近接して導管の中心軸に対して角度をなして延在している。
使用時、保護基板2712は、いくつかの実施形態では、複数の開口部512または凹部を含む保護基板2722上にレーザ2620が入射するように位置決めされる。
いくつかの構成では、流体導管2714は、流体導管2714の端部2742に近接しているがそこからある距離で分離されている曲げ部2736を含むことができるという点で、図26の流体導管2614とはさらに異なっている。
曲げ部2736を、レーザ加工されている物体に基づいて、保護される物体の面に対して保護システム2710が位置決めされるのを可能にするように、さらに組み込むことができる。
したがって、曲げ部2736は、流体の方向を変え、流体の少なくとも大部分が保護基板2712の面に対して実質的に平行に導管2714から出るようにする。典型的には、導管2714を通る流体流は、図26の保護システム2610の導管2614を通る流体流より少ない。さらに、流体の平行な経路により、存在する場合に開口部512に入る流体の量が制限される。
図28は、いくつかの実施形態による、レーザ加工されている物体の面を保護するために使用される保護システム2812の斜視図を示す。
図29は、いくつかの実施形態による、図28の保護システム2812の長さの一部に沿った簡易断面図を示す。
図30は、いくつかの実施形態による、レーザ加工される物体内の保護システム2812の保護基板2822を位置決めするために使用される取付柱または装置3010に対する、図28の保護システム2812の斜視図を示す。
図28〜図30を参照すると、保護システム2812は、第1または流体送達導管2814、第2または流体除去導管2816、流体方向転換要素2820および保護基板2822を備えている。いくつかの実施形態では、保護システム2812は、1つまたは複数の位置決めスペーサまたはレジスタ2830〜2832を備えている。
方向転換要素2820は、送達導管2814に近接して位置決めされ、いくつかの実施形態では、送達導管の端部に固定されかつ/または端部から延在している。典型的には、方向転換要素2820は、送達導管の軸に対して角度をなして送達導管からさらに延在し、送達導管の端部の上に少なくとも部分的に延在している。
保護基板2822は、除去導管2816の端部に近接して位置決めされ、いくつかの実施形態では、除去導管の端部に固定されかつ/または端部から延在している。方向転換要素2820と同様に、保護基板2822はまた、典型的には、除去導管の軸に対して角度をなして除去導管から延在して、除去導管2816の端部の上を少なくとも部分的に延在している。
送達導管2814および除去導管2816は、方向転換要素2820および保護基板2822が互いに並置して位置決めされるように位置決めされている。
さらに、いくつかの実施形態では、方向転換要素2820および保護基板2822は、方向転換要素2820および保護基板2822が互いに向かって角度をなすように、互いに対向して位置決めされている。
流体2824は、保護システム2812内に導入され、強制的に送達導管2814を通って方向転換要素2820に向かわされる。流体の少なくとも一部およびいくつかの実施形態では大部分は、方向転換要素2820によって保護基板2822に向かうように方向転換する。
いくつかの実施形態では、保護基板は、開口部512のグリッドまたは本明細書に記載するように他の特徴を備えている。典型的には、方向転換要素2820は、開口部のグリッドを含まない。
いくつかの実施形態では、流体2824の少なくとも何パーセントかは、概して、方向転換要素2820により、保護基板2822の面に対して斜角で方向転換される。
方向転換された流体2824は、他の実施形態で上述した保護と同様に保護基板への損傷を制限するかまたは防止する速度でグリッドの開口部512に入れられるように十分な力および体積を有している。
さらに、送達導管2814を通して送達される流体の一部は、典型的には、除去導管2816を通って戻される。たとえば、いくつかの実施形態では、流体のうちの約10%は、除去導管に沿って戻る。除去導管のサイズ、送達された流体の量、方向転換した流体の量および他のこうした要素に応じて、より多いかまたは少ない流体を、除去導管を通して戻すことができる。いくつかの実施形態では、除去導管を、保護基板を位置決めする棒、ビームまたは他の構造と置き換えることができる。
保護システム2812は、実質的にいずれのサイズであってもよく、典型的には、加工されている物体に対して構成されている。たとえば、いくつかの実施形態では、レジスタによって適所に固定されている送達導管2814および除去導管2816の両方を横切る距離2914は、1mm〜2mmの範囲(たとえば1.5mm)であり得る。同様に、送達導管および/または除去導管の直径2916を、いくつかの実施形態では約100ミクロン〜1000ミクロンとすることができる。しかしながら、送達導管および除去導管の直径は、同じである必要はなく、限定されないが、保護基板2822が位置決めされる領域のサイズ、所望の流体の量、レーザ強度および/またはパルスレートおよび/または他のこうした要素等、多くの要素に応じて実質的にいずれのサイズであってもよい。したがって、2つの導管を横切る距離2914もまた、実施態様によって変化し、十分な流体2824を送達している間にレーザ加工されている物体の空隙内に適合しかつ空隙の内面(たとえば後壁)に保護を提供する、実質的にいずれの関連サイズであってもよい。
保護システム2812は、レーザ加工される物体内に位置決めされる。保護基板2822は、レーザ2912が物体の加工面を通過した後に保護基板2822に突き当たるように位置決めされる。
多くの実施態様では、レーザ2912は、さらに、方向転換要素2820に突き当たりそれを溶け落とす可能性がある。しかしながら、レーザによってもたらされる方向転換要素2820に対する損傷は、典型的には、その機能に対して最小限であり、方向転換要素2820の流体2824を保護基板2822に向かうように方向転換させる能力を不利益に干渉しない。
レジスタ2830〜2832は、保護システム2812の長さの少なくとも一部に沿って間隔を空けて配置されている。いくつかの実施形態では、レジスタは、たとえばエポキシ樹脂2840、はんだ、接着剤、クランプまたは他のこうした材料もしくは構造によって、導管2814、2816に沿った位置に固定されている。
レジスタは、少なくともいくつかの実施形態では、レジスタの少なくともいくつかがレーザ加工される物体に挿入されるのを可能にし、かつ保護される物体の面に対して保護基板2822を位置決めしかつ位置を維持するのを促進するような寸法で構成されている。
さらに、いくつかの実施形態では、レジスタ2830〜2832は、さらに、除去導管2816に対して送達導管2814の位置決めを維持する。
図31は、いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体3110(たとえば燃料噴射装置)内に位置決めされた図28の保護システム2812の一部の簡易部分断面図を示す。
図32は、いくつかの実施形態による、線A−Aにおける図31の保護システム2812の簡易断面図を示す。
保護基板2822の位置決めは、多くの実施形態では、一部には、保護基板のサイズが相対的に小さいこと、加工を行うために使用されているレーザのサイズが相対的に小さいこと、多くの場合は、レーザ加工されている物体および/または保護システムおよび保護基板を位置決めすることができる領域もしくは空隙のサイズが小さいことにより、重要である。
したがって、レジスタ2830〜2832は、レーザ加工されている物体3110に対する保護基板2822のさらなる位置決めを提供するように構成されることができる。レジスタは、レーザ加工されるように意図された物体と保護を挿入することができる空隙とに応じて、実質的にいずれの構成および/または形状とされることもできる。
保護システム2812は、図31〜図32の例では、方向転換要素2820および保護基板2822が物体3110に隣接し、場合によっては物体3110の内面と接するように位置決めされている。
さらに、いくつかの実施態様では、保護システム2812は、保護基板2822および/または方向転換要素2820の端部が物体3110と(たとえば閉鎖端3112で)接触して、保護基板2822の物体の空隙内での位置合せおよび/または位置決めに役立つように意図されている。
さらに、いくつかの物体3110に挿入されると、保護基板が位置決めされる物体の形状および/または形態により、方向転換要素2820および/または保護基板2822は、撓曲するかまたは強制的に互いにより近くなることができる。
したがって、いくつかの実施形態では、物体3110の内面と方向転換要素2820および/または保護基板2822の外面との間の空間は非常にわずかであるかまったくない可能性がある。
さらに、レジスタ2830〜2832は、レーザ加工されている物体3110に対して所望の位置で保護システム2812および保護基板2822を位置決めするのをさらに促進する。
いくつかの実施形態では、保護基板2822が空隙の所望の深さのみに挿入されるのを確実にするように、追加のレジスタを位置決めすることができる。
保護システム2812および保護基板2822を位置決めするために、他のこうしたレジスタ、構造または他の測定装置を使用することができる。
図31〜図32の例に示すように、物体3110は、円形断面を有する円柱状形態を有し、閉鎖端3112の一点に向かって先細りになっている。レーザ加工は、この実施態様では、閉鎖端に近接して発生するように意図されている。
この形態では、レジスタ2830〜2832は、略円形断面に対応して略円柱状形態を有することができる。
図32に示すように、レジスタ2830は、略円形外周3214を有し、送達導管2814および除去導管2816を包囲する。
この場合もまた、いくつかの実施形態では、保護システム2812が挿入される空隙の形状によってレジスタ2830〜2832の形状を決めることができる。たとえば、空隙のサイズが相対的に小さい場合、間隙3124を非常に小さく(たとえば200ミクロン以下に)することができる。
いくつかの実施態様では、導管と物体3110の内面との間にレジスタの部分はなくてもよい。
さらに、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のレジスタ2830〜2832は、1つまたは複数の切取部3216、開口部もしくは他のこうした構造を含むことができ、またはグリッドもしくは他の多孔質材料から形成することができる。
切取部3216(又は他のこうした構造)により、流体2640はレジスタを通過して、レーザ加工されている物体3110から出ることができる。
図32は、実質的にレジスタ2830の円形の直径の中心に位置決めされた送達導管2814および除去導管2816を示すことが留意される。
しかしながら、他の実施形態では、レジスタ2830に対して中心をずらして送達導管および/または除去導管を位置決めすることができる。たとえば、送達導管および除去導管は、中心をずらして、かつレジスタ2830の外周3214に近接するかまたはさらには外周に位置決めされることができる。
この構成により、いくつかの実施形態では、保護基板2822を、レーザ2912の焦点からさらに離れて位置決めすることができ、それにより、保護基板におけるレーザの強度が低減する。
レジスタ2830〜2832を、所望の形状で形成しかつ/または加工することができ、導管と協働することができ、流体および結果としての温度に耐えることができる、実質的にいずれの関連材料からも構成することができる。たとえば、いくつかの実施態様では、レジスタを、金属もしくは金属合金、プラスチック、セラミック、ガラス、シリコンもしくは他のこうした材料または材料の組合せから形成することができる。
図30に戻ると、保護システム2812は、物体3110の空隙内に向けられる取付装置3010のチャネルまたはボア3012を通してねじ込まれる。いくつかの実施形態では、取付装置3010は、物体3110の所望の位置および/または深さまで挿入されたときに保護システム2812を固定位置で固定する、クランプ3014または他のこうした装置をさらに含む。
上述したように、送達導管2814は、流体源と結合して保護システム2812、したがってレーザ加工されている物体3110の空隙内に流体2824を供給する、流体コネクタ3016を含むことができる。
レーザ加工されている物体3110を保持するホルダに対して取付装置3010を位置するために、取付構造3020もまた含めることができる。
いくつかの実施形態では、保護システム2812が物体3110内に位置決めされるとともにレーザ2912に対して位置合せされると、物体3110が複数の位置でレーザ加工されるかまたはレーザ穴あけ加工される場合に、物体3110を保護システム2812の周囲で回転させることができる。したがって、レーザシステムおよび保護システムは、再配置する必要はない。
さらに、保護システム2812を、多数のレーザ加工(たとえば、単一物体における複数のレーザ穴あけ加工)に対して、典型的には多数の異なる物体(たとえば、各物体に対して複数のレーザ穴あけ加工を行う複数の物体)で再使用することができる。
限定されないが、レーザ2912の強度、保護基板2822のレーザ2912の焦点からの距離、レーザのパルスパターン、物体の加工面を通るレーザの貫通を検出する精度および他の要素等、保護基板2822および/保護システム2812を使用することができる回数に影響を与える多くの要素がある。
場合によっては、プロセス、方法および/または上述した制御システムを使用することのうちの1つまたは複数と一貫して実行することができるレーザ加工を行う際、レーザ2912は、物体3110の1つまたは所望の位置に(たとえば、物体の閉鎖端3112に近接して)向けられる。
物体3110の壁に穴3114が形成されると、レーザは、物体の空隙に入り、反対側の壁すなわち後壁3116に突き当たる可能性がある。
保護システム2812は、レーザ2912が保護基板に入射するように、保護基板2822とともに空隙内に位置決めされる。
上述したように、流体2824は、レーザが突き当たっている保護基板2822の面にぶつかるように方向転換要素2820によって方向転換する。流体は、保護基板の反射能を増大させることができ、レーザ2912によってもたらされる熱を放散させ、保護基板に面に形成されたプラズマの拡張を制限し、それにより、局所レーザ吸収の増大を低減するのに役立ち、かつ他の利点を提供する。
いくつかの実施形態は、いくつかの実施態様ではレーザ2912と同軸である外側ガスアシストジェット源3120をさらに備えることができる。
ガス源3120は、ガス(たとえば空気)の流れを、レーザ穴あけ加工されている穴3114に向けることができる。そのガスの流れは、一部には、レーザ加工中にデブリを除去しかつ/または空隙内の流体2824があけられた穴に入るのを阻止する。
いくつかの実施形態では、保護システム310はガス導管340をさらに含む。ガス導管340は、空隙318内にも位置決めされるように構成されている。さらに、ガス流導管は、穴330が穿たれている空隙の部分に対して位置決めされることができる。
空気、酸素または他の関連ガス等のガスを空隙内に向けて、送達導管2814によって供給される液体が、レーザ加工によって形成された穴3114に入るのを制限し、場合によっては防止することができる。
いくつかの実施形態では、方向転換要素2820は、ガス流に対する(たとえば、存在する場合は、外側ガスアシストジェット源3120からかつ/または内側ガスアシストジェット源からの)さらなる保護を提供する。
図33Aは、いくつかの実施形態による、レーザ保護システム3312の一部の簡易断面図を示す。
図33Bは、いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体3110内に位置決めされた図33Aのレーザ保護システム3312の一部の簡易部分断面図を示す。
保護システム3312は、図28〜図32の保護システム2812を含み、同軸状に位置合せされた内側ガスアシストジェット源3314をさらに含む。
いくつかの実施形態では、内側ガスアシストジェット源3314は、導管またはチューブを備え、チューブ内に保護システム2812が位置決めされている。
ガス3316(たとえば、空気、窒素等)は、方向転換要素2820および保護基板2822に近接して内側ガスアシストジェット源3314の端部3320から放出されるように、保護システム2812の周囲で方向付けられる。
供給されるガスの量および/またはガスが供給される圧力は、実施態様に応じて変化することができる。
しかしながら、典型的には、圧力は、レーザ穴あけ加工されている穴3114(または同様のもの)に流体が入るのを防止するのを促進しながら、保護基板2822から流体2824を吹き飛ばすのを回避するレベルで維持される。
いくつかの実施形態では、たとえば、15psi未満の圧力でガスを供給することができる。
いくつかの実施形態では、この保護システム3312を、図30の取付装置3010、図7の位置決めホルダ712および/または他のこうした取付もしくは位置決めシステムとともに利用することができる。
いくつかの実施形態では、保護システム3312は、内側ガスアシストジェット源3314のチューブに対して送達導管および除去導管を位置決めするために、図28および図31のレジスタと同様のレジスタの第1組2830〜2831を含むことができる。
いくつかの実施形態は、少なくとも一部には、レーザ加工されている物体3110に対して保護システム3312を位置決めするように構成されたレジスタの第2組3330〜3331をさらに含む。
この場合もまた、レジスタの第2組3330〜3331により、ガス3316はレジスタ内またはその周囲を通過することができる。
たとえば、いくつかの実施形態では、レジスタの第2組3330〜3331は、ガスの通過を可能にする1つまたは複数の切取部、穴または他のこうした構造を含むことができる。
この場合もまた、レーザ加工中、レーザ2912は、物体3110の壁を通して穴3114を生成し、保護基板2822は、レーザが保護基板に突き当たるように位置決めされている。
上述したように、レーザはさらに、方向転換要素2820に穴をもたらす可能性があるが、保護基板2822は、物体の反対側の面に対する保護を提供する。
方向転換要素2820は、保護基板2822の面から不都合な量の流体を散乱させるガスから幾分かの保護を提供しながら、流体を方向転換させ続ける。
図34Aは、いくつかの実施形態による、レーザ保護システム3412の一部の簡易断面図を示す。
図34Bは、いくつかの実施形態による、レーザ加工されている例示的な物体内に位置決めされた図34Aのレーザ保護システム3412の一部の簡易部分断面図を示す。
保護システム3412は、閉鎖端3416まで延在する流体導管3414を含む。
保護基板3422がさらに含まれ、典型的には、閉鎖端3416に近接して位置決めされている。
いくつかの実施形態では、保護基板3422は、開口部512のグリッドを含み、多孔質であり、かつ/または、他の方法で、流体2824が保護基板の外側まで通過することができるようにする。
さらに、いくつかの実施形態では、保護基板を、導管3414に対して角度が付けられた傾斜で配置することができ、かつ/またはレーザ2912の予測された角度によって決めることができる。
流体2824は、流体が開口部312のグリッドを通って保護基板3422から流れ出るために十分な圧力で、導管3414の内部に供給される。
いくつかの実施形態では、保護基板3422は、閉鎖端を形成するキャップ3424に形成され、キャップ3424内に穴のグリッドが形成されている。
保護基板は、導管3414に対して実質的にいずれの角度としても形成されることができる。保護基板は、典型的には、レーザ加工される予測された物体と空隙に入るレーザの角度とに応じて形成される。
さらに、いくつかの実施態様では、キャップ3424の厚さがあるために、保護基板3422の厚さを導管の寸法に対して増大させることができる。
いくつかの実施形態では、保護基板3422の厚さを形成するように凹部または空隙3426をキャップ3424に形成することができる。
同様に、いくつかの実施形態では、導管3414に対する凹部3426の角度は、保護基板の外面の角度に対応することができる。
他の実施形態では、凹部3426の角度は、保護基板の角度から逸脱することができ、それにより保護基板の厚さが変化する。
キャップおよび/または保護基板を、上述したもの等、実質的にいずれの関連材料からも形成することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、キャップ3424および保護基板3422をInconel(登録商標)から形成することができる。
保護システム3412は、レーザ加工される物体3110内において保護基板3422と保護基板を通して放出されている流体2824とに、レーザ2912が突き当たるような位置に位置決めされている。
いくつかの実施形態では、依然として物体3110の反対側の面に対する保護を提供するように適所にありながら、保護基板3422は、レーザの焦点から最大の距離に位置決めされている。
さらに、多くの実施形態では、導管3414したがってキャップ3424の直径は、他の何らかの保護システムより小さい場合がある。たとえば、いくつかの実施形態では、導管3414の直径は、100ミクロン未満、いくつかの実施形態では50ミクロン未満であり得る。これにより、少なくともいくつかの構成では、保護基板3422をレーザ2912の焦点からさらに離れて位置決めすることができる。
いくつかの実施形態は、1つまたは複数のスペーサまたはレジスタ2830〜2831をさらに含む。この場合もまた、レジスタ2830〜2831は、レーザ加工される物体3110の壁に対して保護基板3422を精密に位置決めするのを可能にすることができる。さらに、レジスタを、流体2824が物体3110から出るのを可能にするように切取部、開口部または他の構造があるように構成することができる。
図35は、後壁保護なしに行われたレーザ加工の結果としてのレーザ損傷3512がある物体3110の画像を示す。図36は、いくつかの実施形態による後壁保護が利用されながらレーザ加工が行われた後の後壁損傷なしの物体3110の画像を示す。したがって、本実施形態の保護システムは、レーザ加工されている物体の著しい保護を提供する。
上述したまたは後述する実施形態、方法、プロセス、手法および/または技法のうちの1つまたは複数は、プロセッサベースシステムによって実行可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムで実装することができる。
例として、こうしたプロセッサベースシステムは、プロセッサベースシステム2510、コンピュータ等を含むことができる。
こうしたコンピュータプログラムは、上述したまたは後述する方法、プロセスおよび/または技法のさまざまなステップおよび/または特徴を実行するために使用されることができる。
すなわち、コンピュータプログラムを、プロセッサベースのシステムに対して、上述したまたは後述する機能を実行させかつ達成させ、または実行し達成するように構成するように適合させることができる。
たとえば、こうしたコンピュータプログラムを、レーザ加工しながら物体の後壁面を保護するように、上述したまたは後述するステップ、プロセスまたは技法の任意の実施形態を実施するために使用することができる。
別の例として、こうしたコンピュータプログラムは、上述したまたは後述する実施形態、方法、プロセス、手法および/または技法のうちの任意の1つまたは複数を使用する任意のタイプの機械または同様の設備を実施するために使用されることができる。
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム内のプログラムコードモジュール、ループ、サブルーチン等を、上述したまたは後述する方法、プロセスおよび/または技法のさまざまなステップおよび/または特徴を実行するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムを、本明細書に記載する1つまたは複数のコンピュータ可読記憶もしくは記録媒体のいずれか等、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶もしくは記憶媒体に格納しまたはそこで具現化することができる。
本明細書に記載する機能ユニットの多くには、それらの実施の独立性をより特定的に強調するために、システム、デバイスまたはモジュールとして表記した。たとえば、システムを、カスタムVLSI回路またはゲートアレイ、論理チップ、トランジスタまたは他のディスクリート部品等の既製の半導体を含むハードウェア回路として実装することができる。システムを、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス等、プログラマブルハードウェアデバイスで実装することも可能である。
システムを、さまざまなタイプのプロセッサによって実行されるようにソフトウェアで実装することも可能である。実行可能コードの特定されたシステムは、たとえば、たとえばオブジェクト、手続きまたは関数として編成することができるコンピュータ命令の1つまたは複数の物理または論理ブロックを含むことができる。それにも関らず、特定されたシステムの実行ファイルは、物理的に一緒に配置される必要はなく、論理的に結合されたときにシステムを構成しそのシステムに対して指定された目的を達成する、異なる場所に格納された異種の命令を含むことができる。
実際には、実行可能コードのシステムを、単一命令または多くの命令とすることができ、さらには、いくつかの異なるコードセグメントにわたり、異なるプログラム間で、かついくつかのメモリデバイスにわたって分散させることも可能である。同様に、動作データを、本明細書ではシステム内で識別し例示することができ、任意の好適な形態で具現化し、任意の好適なタイプのデータ構造内で編成することができる。動作可能データを、単一データセットとして収集することができ、または異なる記憶デバイスにわたる等、異なる場所にわたって分散させることができ、動作データは、少なくとも部分的に、単にシステムまたはネットワーク上の電子信号として存在することができる。
いくつかの実施形態は、レーザ加工される物体の空隙内に保護基板を、レーザ加工を行っているレーザパルスが、物体の穴を通過し空隙に入るときに保護基板の第1面に入射するように位置決めし、レーザパルスが穴から空隙を横切って物体の面に突き当たるのを阻止するステップと、レーザパルスが第1面に入射する際に保護基板の第1面の上に流体を向けるステップと、物体の空隙内に保護基板を位置決めした後に物体の第1面にレーザパルスを向けるステップとを含む、レーザ加工方法を提供する。いくつかの実施態様では、流体には、流体源によって空隙内に送達される際にレーザパルスの波長でレーザ障壁特性は実質的にない。
他の実施形態は、レーザ加工中に物体の後壁または他の面を保護する際のシステムを提供する。これらのシステムは、物体のレーザ加工を行うように構成されたレーザシステムと、レーザシステムと協働する制御システムと、レーザ加工される物体の空隙に対して位置決めされかつ物体の空隙内に流体を向けるように構成された流体源とを備えることができる。制御システムは、レーザシステムが一続きのレーザパルスを発生するようにレーザシステムを制御し、一連のレーザパルスのうちのいずれが、穴が生成される物体の部分に向けられるかを制御して、レーザパルスのすべてに満たないものが物体に向けられるようにする。物体に向けられるパルス間のタイミングは、物体に向けられたレーザパルスのうちの1つまたは複数によって本来もたらされる損傷からの物体の後壁の保護を可能にするように構成されている。
本明細書に開示した発明を、その具体的な実施形態、例および応用を用いて説明したが、特許請求の範囲に示す発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって多数の変更および変形を行うことができる。

Claims (21)

  1. レーザ加工中に面を保護する方法であって、
    レーザ吸収特性がない流体をレーザ加工されている物体の空隙内に向けるステップと、
    前記レーザ加工されている物体の壁に複数のレーザパルスを向けるステップであって、前記レーザパルスが、前記壁を通る穴を形成するように構成され、それにより、前記流体が前記空隙内に向けられている間に、少なくとも1つのレーザパルスが前記穴を通過し前記空隙に入り、それによって、後壁損傷を阻止するために前記レーザパルスが前記流体および面に合わせて入射する、ステップと、
    を含む方法。
  2. 前記空隙内に前記面を有する保護基板を、前記穴を通過し前記空隙に入る前記レーザパルスが前記保護基板の前記面に入射するように位置決めするステップ
    をさらに含み、
    前記空隙内に前記流体を向ける前記ステップは、前記レーザパルスが入射する前記保護基板の前記面と接触するように前記流体を向けることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記保護基板を位置決めする前記ステップは、
    前記保護基板に並置されるように流体方向転換要素を位置決めすることを含み、
    前記保護基板の前記面に接触するように前記流体を向けることは、前記流体を前記流体方向転換要素の上に突き当たるように向けることを含み、前記流体の少なくとも一部は、前記方向転換要素により、前記保護基板の前記面に斜角で突き当たるように方向転換する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記複数のレーザパルスを前記物体の前記壁に向ける前記ステップは、
    一続きのレーザパルスを生成することと、
    前記一続きのレーザパルスのすべてに満たないものが前記物体に向けられるように、前記レーザパルスのうちのいずれが前記物体に向けられるかを制御することと、
    を含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記レーザパルスが前記保護基板にわたって分散されるように、前記保護基板を前記レーザパルスの方向に対して回転させるステップ
    をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  6. 前記複数のレーザパルスを前記物体の前記壁に向ける前記ステップが、
    一続きのレーザパルスを生成することと、
    前記一続きのレーザパルスのすべてに満たないものが前記物体に向けられるように、前記レーザパルスのうちのいずれが前記物体に向けられるかを制御することと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  7. レーザ加工中に面を保護するために使用されるシステムであって、
    保護基板であって、前記レーザ加工を行っているレーザパルスがレーザ加工を通して形成された前記物体の穴を通過し前記空隙に入るときに前記保護基板に入射するようにレーザ加工される物体の空隙内に位置決めされるように構成されるとともに、前記レーザパルスが前記穴から前記空隙を横切って前記物体の後面に突き当たるのを阻止する、保護基板と、
    前記保護基板に対して位置決めされるとともに、前記保護基板の上に流体を向けるように構成された流体源と、
    を具備するシステム。
  8. 前記流体に、前記流体源によって前記空隙内に送達されるときに前記レーザパルスの波長でレーザ障壁特性が実質的にない、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記流体は、水、過冷水、アルコールおよび液体窒素のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記保護基板の第1面は、前記レーザパルスの方向に対して斜角で位置決めされるように構成され、前記第1面に前記レーザパルスが入射する、請求項7に記載のシステム。
  11. 前記保護基板は、前記レーザパルスが入射する前記保護基板の面に前記流体が直接ぶつかるように、前記流体源の出口開口部に近接して位置決めされる、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記保護基板は開口部のグリッドを備える、請求項10に記載のシステム。
  13. 前記グリッドの前記開口部は、前記開口部の各々の軸に沿ってそれぞれ先細りになっている、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記流体源は、流体送達導管と、前記流体送達導管の端部に対して位置決めされた方向転換要素とを備え、
    前記方向転換要素は、前記保護基板に対して並置されて位置決めされるとともに、前記レーザが入射する前記保護基板の面と接触するように前記流体の少なくとも一部を方向転換させるように構成されている、
    請求項7に記載のシステム。
  15. 少なくとも前記流体供給導管の周囲に位置決めされた1つまたは複数のレジスタであって、前記レーザが前記保護基板に突き当たるように、前記保護基板を前記物体の前記後面に対して位置決めするように構成されているレジスタ
    をさらに具備する、請求項14に記載のシステム。
  16. 前記方向転換要素に近接して前記流体送達導管の長さの少なくとも一部の周囲に位置決めされるとともに、前記流体送達導管の長さの少なくとも一部と同軸状に位置合せされた内側ガスアシストジェット源であって、前記レーザ加工によって形成されている前記物体の前記穴に対してガス流を放出するように構成されている内側ガスアシストジェット源
    をさらに具備する、請求項14に記載のシステム。
  17. 前記保護基板が、開口部のグリッドを備え、
    前記レーザパルスが入射する前記保護基板の第1面が、開口部、突起および粗面のうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載のシステム。
  18. レーザ加工方法であって、
    レーザ加工される物体に対してレーザ源を構成するステップであって、前記加工される物体は、レーザ加工される前記物体の一部に内部空隙を有する、ステップと、
    一続きのレーザパルスを生成するように前記レーザ源を制御するステップと、
    前記レーザ源の前記制御を行っている間に前記空隙内に流体を供給するステップと、
    前記レーザパルスのすべてに満たないものが前記物体に向けられるように、穴が生成される前記物体の部分にレーザパルスのうちのいずれが向けられるかを制御するステップであって、前記物体に向けられるパルスの間のタイミングは、前記物体に向けられる前記レーザパルスのうちの1つまたは複数によって本来もたらされる損傷からの前記物体の後壁の保護を可能にする、ステップと、
    を含む方法。
  19. 前記流体に、前記流体源によって前記空隙内に送達される際に前記レーザパルスの波長で実質的にレーザ障壁特性がない、請求項18に記載の方法。
  20. 前記レーザパルスのバーストのうちのいずれが前記物体の一部に向けられるかを制御する前記ステップは、
    レーザパルスの第1バーストを前記物体に向けることと、
    レーザパルスの2つ以上の後続するバーストが前記物体に突き当たるのを防止することと、
    レーザパルスの前記2つ以上の後続するバーストに続いてレーザパルスの第2バーストを向けることと
    を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記レーザパルスの第1バーストと前記レーザパルスの第2バーストを前記物体に向けることは、前記レーザパルスの第2バーストが前記物体に向けられるときに、前記穴とは反対側の前記物体の内側後壁面に近接して前記レーザパルスの第1バーストによって形成されたバブルが崩壊して、レーザパルスが突き当たる前記後壁の実質的に全体の領域が前記流体と接触することを可能にするように、前記レーザパルスの第1バーストと前記レーザパルスの第2バーストとの間のタイミングが構成されるように、前記レーザパルスの第1バーストと前記レーザパルスの第2バーストを前記物体に向けることを含む、請求項20に記載の方法。
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