JP2015227959A - 光反射体及びそれを用いた電子デバイス用表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム状の基材層1、アンカーコート層2及び反射層3をこの順に備え、反射層3の厚みが60nm以上であり、基材層1のアンカーコート層側の表面粗さよりも、アンカーコート層2の反射層側のほうが小さく、その表面粗さが3.0nm未満であり、アンカーコート層2の厚みが0.5μm以上10μm未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図1に一実施形態に係る本発明の光反射体10を概略的に示す。図1に示すように、本発明に係る光反射体10は、基材層1、アンカーコート層2及び反射層3をこの順に備え、基材層1のアンカーコート層2側の表面粗さよりも、アンカーコート層2の反射層3側の表面粗さのほうが小さいことを特徴とする。
基材層1としては光反射体の基材として機能し得るものを適宜用いることができる。特にプラスチックフィルムからなる層が好ましい。プラスチックフィルムとしては、反射性及び優れた耐久性を保持できるものであれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、アクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、フッ素フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各種プラスチックフィルムが使用できる。
厚みが9μmより小さい場合、光反射体の加工時、或いは光反射体と金属板とを接着剤層を介して貼り合わせて積層する際に、しわが生じたり、場合によっては破れたりして作業性が悪化する場合がある。一方、厚みが188μmより大きい場合、偏肉やたるみによって基材層の平滑性が悪化し、反射層が均一に形成され難くなる場合がある。
基材層1の表面粗さが大きすぎる場合、全反射率の高い光反射体とするために必要となるアンカーコート層2の厚みが大きくなり過ぎる場合がある。
アンカーコート層2は基材層1の表面に設けられる層であり、基材層1の表面の凹凸を覆い隠し、反射層が設けられる側の表面粗さを低減する(表面の平滑化を達成する)層である。
「主体とする」とは、層の構成成分のうち50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占めることを意味する。アンカーコート層2には、上記した各種硬化樹脂や金属酸化物の他、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の各種添加剤が含まれていてもよい。
アンカーコート層2の厚みが小さ過ぎる場合、基材層1の表面を十分に平滑化できなくなる場合がある。アンカーコート層2の厚みが大き過ぎる場合、塗布ムラ・形成ムラにより却って平滑性が悪くなる場合がある。
反射層3はアンカーコート層2の表面に設けられる層であって、光反射体10に高い反射性を付与することが可能な金属を主体とする層である。具体的には、銀又は銀合金を主体とする層、或いは、アルミニウム又はアルミニウム合金を主体とする層であることが好ましく、銀を主体とする層であることが特に好ましい。
反射層3の厚みが小さ過ぎる場合、十分な反射性が得られない場合があり、さらには、十分な耐久性も得られない場合がある。特に60nmより小さい場合は、光の透過が透過していまい、反射率が低下する。一方、反射層3の厚みが大き過ぎる場合、反射層3にクラックが生じて反射性が悪化する場合があり、さらには、いわゆる焼け現象によって反射層が黄色に着色して黄色度が高くなる場合がある。
保護層4は反射層3を保護する層である。特に、反射層3を保護するとともに所定の光学特性を有する層とすることが好ましい。具体的には、保護層4が、屈折率0.5以上2.0以下の低屈折率無機物からなる低屈折率層4aと、屈折率1.8以上4.0以下の高屈折率無機物からなる高屈折率層4bとの少なくとも2層で構成され、高屈折率無機物の屈折率が低屈折率無機物の屈折率よりも0.5以上大きいことが好ましい。尚、本発明において「屈折率」とはD線における屈折率を意味する。
反射率を高めると考えられる手法の一つとして増反射膜という概念があるが、これは高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層をそれぞれλ/4nの厚さで積層することにより実現とされ、ガラス、アルミニウムを基体とした増反射膜が実現されている。ここで、上記λは対象となる光の波長であり、nはその波長における高屈折率薄膜層もしくは低屈折率薄膜層の屈折率を示している。そのため低屈折率層は450nm以上550nm以下の波長を高めるためには光学厚み110−130nmがよい。
本発明に係る光反射体は、上記したように基材層の表面にアンカーコート層を設けることで、基材層の表面部を平滑化するものである。このように平滑化した表面に反射層及び任意に保護層を設けることで、優れた全反射率を有する光反射体を得ることができる。
本発明に係る光反射体によれば、波長450nm以上550nm以下の光に対する平均反射率として103%以上という極めて高い反射率を達成できる。尚、本発明において「反射率」とは、アルミナ製標準構成板で校正した反射率を基準(100%)とした場合の反射率をいい、100%を超えることも有り得る。
このように本発明によれば、液晶ディスプレイの高輝度化の要求に応えることが可能な全反射率の高い光反射体を容易に得ることができる。ただし、本発明に係る光反射体の用途は液晶ディスプレイに限られるものではなく、各種電子デバイス用表示装置に適用可能である。ただし、本発明による効果が一層顕著となる観点から、波長300nm以上800nm以下の光を含む照射光を光反射体に照射可能なバックライトをさらに備えた液晶ディスプレイに適用することが好ましい。
(1)表面粗さ測定
光反射体の基材層及びアンカーコート層(シリコンウェハーやガラスを含む)の表面について表面粗さ(算術平均粗さ)Saを測定した。具体的には直接位相干渉型顕微鏡vertscan(株式会社菱化システム製)を用いフィルムの表面観察(モード:wave560M、観察視野:93.97×71.37μm2)を実施し、算術平均表面粗さSaを算出した。
(2)反射率測定
光反射体の反射率は株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「UV−4000」(商品名)を用い、アルミナ製標準構成板で校正した反射率を基準(100%)となるような条件で300nm−800nmの波長域(0.5nm単位)で反射率を測定した。
(3)反り評価
アンカーコート層塗布後の反りについて、7cm×7cmのサンプルの四隅の反りの平均値を測定し、下記の基準にて判断した。
○:四隅の反りの平均値が0.5mm未満
×:四隅の反りの平均値が0.5mm以上
<実施例1>
厚み100μmのポリエチレンテレフタラートフィルムの片面に、電子線硬化型アクリル樹脂(NK−500;新中村化学社製)と希釈溶剤(MIBK;ナカライテスク社製)とを質量比率1:1で混合して樹脂固形分比率を50質量%に調整した樹脂溶液(インク)を、バーコーターによりコーティングして、乾燥・硬化させ、厚み2μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に反射層としてスパッタリング法により厚み120nmの銀薄膜層を形成し、光反射体を得た。基材層及びアンカーコート層の表面粗さの結果を下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
アンカーコート層の厚みを4μmとしたこと以外は実施例1と同様にして光反射体を得た。基材層及びアンカーコート層の表面粗さの結果を下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
シリコンウェハーの上に反射層としてスパッタリング法により厚み120nmの銀薄膜層を形成し、光反射体を得た。シリコンウェハーの表面粗さの結果を下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
ガラスの上に反射層としてスパッタリング法により厚み120nmの銀薄膜層を形成し、光反射体を得た。ガラスの表面粗さ及び反射層の表面粗さの結果を下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
厚み100μmのポリエチレンテレフタラートフィルムの片面にスパッタリング法により厚み120nmの銀薄膜層を形成し、光反射体を得た。ポリエチレンテレフタラートフィルムの表面粗さの結果及び反射層の表面粗さを下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
実施例1において、反射層の厚みを55nmとした以外は、実施例1と同様にして光反射体を得た。アンカーコート層の表面粗さの結果を下記表1に、光反射体の反射率の結果を図4に示す。
また、参考例1、2のように、ガラスやシリコンウェハーの表面に反射層を形成した場合でも、同様に極めて高い全反射率を有する光反射体を得ることができた。すなわち、基材層の表面にアンカーコート層としてガラス層やシリコンウェハー層を設けることが有効であることが示唆された。
一方、アンカーコート層を設けない比較例1にあっては、表面粗さの大きな基材表面に直接反射層を設けることとなった結果、光反射体として十分な全反射率は得られなかった。
また、反射層の厚みが薄い比較例2にあっては、十分な反射率が得られなかった。
アンカーコート層の厚みを1μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして光反射体を得た。アンカーコート層の表面粗さ、及び、光反射体における反りや割れの発生の有無を下記表2に示す。
アンカーコート層の厚みを15μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして光反射体を得た。アンカーコート層の表面粗さ、及び、光反射体における反りや割れの発生の有無を下記表2に示す。
<実施例5>
実施例2と同様にして得られた光反射体の反射層(銀薄膜層)の表面に、真空蒸着法によって低屈折率層であるSiO2からなる層(光学厚み112.5nm)を形成し、その上にさらに、真空蒸着法により、TiO2からなる層(光学厚み112.5nm)を積層することによって、反射層の表面に2層構成の保護層を設けた。得られた光反射体について上述と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
高屈折率層の上にさらに同様の低屈折率層を設け、その上にさらに同様の高屈折率層を設けたこと(保護層を4層構成としたこと)以外は、実施例5と同様にして光反射体を得た。得られた光反射体について上述と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
低屈折率層と高屈折率層の光学厚みを137.5nmに変更したこと以外は、実施例5と同様にして光反射体を得た。得られた光反射体について上述と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
高屈折率層の上にさらに同様の低屈折率層を設け、その上にさらに同様の高屈折率層を設けたこと(保護層を6層構成としたこと)以外は、実施例5と同様にして光反射体を得た。得られた光反射体について上述と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
比較例1と同様にして得られた光反射体の反射層(銀薄膜層)の表面に、真空蒸着法によって低屈折率層であるSiO2からなる層(光学厚み112.5nm)を形成し、その上にさらに、真空蒸着法により、TiO2からなる層(光学厚み112.5nm)を積層することによって、反射層の表面に2層構成の保護層を設けた。得られた光反射体について上述と同様の評価を行った。結果を下記表3に示す。
2 アンカーコート層
3 反射層
4 保護層
4a 低屈折率層
4b 高屈折率層
10、20 光反射体
Claims (11)
- 基材層、アンカーコート層及び反射層をこの順に備え、
前記反射層の厚みが60nm以上であり、
前記基材層の前記アンカーコート層側の表面粗さよりも、前記アンカーコート層の前記反射層側の表面粗さのほうが小さいことを特徴とする、
光反射体。 - 前記アンカーコート層の前記反射層側の表面粗さが3.0nm未満である、請求項1に記載の光反射体。
- 前記基材層の前記アンカーコート層側の表面粗さが100nm以下である、請求項1又は2に記載の光反射体。
- 前記アンカーコート層の厚みが0.5μm以上10μm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光反射体。
- 前記反射層の前記アンカーコート層とは反対側に保護層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光反射体。
- 前記保護層が、屈折率0.5以上2.0以下の低屈折率無機物からなる低屈折率層と、屈折率1.8以上4.0以下の高屈折率無機物からなる高屈折率層との少なくとも2層で構成され、高屈折率無機物の屈折率が低屈折率無機物の屈折率よりも0.5以上大きい、請求項5に記載の光反射体。
- 前記低屈折率層の光学厚みが110nm以上130nm以下であり、前記高屈折率層の光学厚みが110nm以上130nm以下である、請求項6に記載の光反射体。
- 前記低屈折率無機物がSiO2であり、前記高屈折率無機物がTiO2である、請求項6又は7に記載の光反射体。
- 波長450nm以上550nm以下の光に対する平均反射率が103%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光反射体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光反射体を備える電子デバイス用表示装置。
- 波長300nm以上800nm以下の光を含む照射光を前記光反射体に照射可能なバックライトをさらに備えた液晶ディスプレイである、請求項10に記載の電子デバイス用表示装置。
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