JP2020122926A - 防眩性反射防止ハードコートフィルム、画像表示装置、および防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法 - Google Patents

防眩性反射防止ハードコートフィルム、画像表示装置、および防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防眩性および反射防防止性を付与することができ、各種ディスプレイに使用した際にギラつきが少なく視認性が良好で、さらに表面保護用フィルムとしても利用可能な防眩性反射防止ハードコートフィルムを提供する。【解決手段】防眩性反射防止ハードコートフィルムは、透明なフィルム状の基材10と、基材10の片面側に、基材10側から一層の防眩層12と一層の反射防止層11とをこの順に備える。防眩層の厚みは3〜15μmであり、反射防止層の厚みは50〜150nmである。防眩層は活性エネルギー線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化した硬化物であり、樹脂組成物は体積平均粒子径0.15〜0.5μmのシリカ粒子を含有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、防眩性および反射防止性を兼ね備えたフィルムに関し、詳しくは、本発明は、映り込み、ギラつき、反射を抑制することにより視認性を向上させ、かつ、ハードコート性を有する、防眩性反射防止ハードコートフィルムに関する。
画像表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)は、蛍光灯等の照明や太陽光等の外光が表示面に射し込むと、映り込み、反射等によって視認性が低下する。そこで、これらを抑制するために、画像表示装置の表示面には、防眩処理または反射防止処理を施すことが行われている。
防眩処理は、フィルムの層中に微粒子を含有させることで、層の表面に凹凸構造を形成させ、該凹凸構造と層中の微粒子によって入射光を散乱させる処理である。入射光が拡散反射することで、反射像が不鮮明になり、照明や外光等の映り込みが抑制され、視認性が向上する。しかし、該凹凸構造は透過光も散乱させてしまうため、高精細な画像表示装置には不向きである。
一方で反射防止処理は、表面反射を低減するため、フィルムの表面にさらにコーティングフィルムの表層の表面反射光と、表面層の下層との界面反射光との干渉により、反射光を弱める処理である。入射光の反射が抑えられることで、コントラスト、光の透過率や画像表示装置の視認性等が向上する。
なお、画像表示装置の表示面は、より高度な耐擦傷性、耐摩耗性、高硬度性を有することが好ましい。
防眩性反射防止ハードコートフィルムは、これらの防眩処理と反射防止処理とを組み合わせて製造されたフィルムであり、防眩処理された層(以下、防眩層という。)が単独の場合に比べて画像の視認性やコントラストが向上する。また、反射防止処理された層(以下、反射防止層という。)が単独の場合に比べて外光等の映り込みを抑制するとともに、画像表示装置の表示面への傷つきを防止する。
フィルムに防眩層を形成させるための具体的な方法としては、特定の範囲内にある粒子径の無機酸化物(シリカなど)を樹脂に分散させたコート剤をフィルムに塗工する方法が知られている(特許文献1)。
このようにして形成した防眩層の上に、防眩層よりも低い屈折率の樹脂あるいは無機化合物の超薄膜(厚さ数十〜数百nm)を一層あるいは複数層積層することにより、防眩性反射防止ハードコートフィルムが作製される。
このように作製した防眩性ハードコートフィルムあるいは防眩性反射防止ハードコートフィルムは十分な防眩性を有する。しかしながら、分散させる粒子の粒子径が不適切な場合には「ギラつき」あるいは「チラつき」、「シンチレーション」、「スパークリング」などと呼ばれる現象により、画像表示装置の視認性が低下する。「ギラつき」は、粒子あるいは表面凹凸のレンズ効果によって、RGB画素が拡大されたり、明るさにムラが生じたりして画像表示装置の視認性が低下する現象である。
特許文献1では、防眩層に分散させるシリカ粒子の形状や体積平均粒子径を制御することで、ギラつきを抑制することに成功している。しかし、近年、画像表示装置の高精細化はさらに進んでいるため、特許文献1に記載の方法のように、体積平均粒子径を制御するだけではギラつきの抑制が十分ではない。また、特許文献1では耐擦傷性(衣服の擦れなどによる傷つきへの耐性)について言及されていないが、特に画像表示装置表面に用いる防眩性反射防止ハードコートフィルムでは耐擦傷性も必要とされる。
特許文献2では、防眩層に添加する粒子の粒子径を比較的小さく抑えることによってギラつきを抑制する検討が行われている。しかし、この方法においても平均粒子径を制御するだけでは必ずしもギラつきの抑制が十分ではない。また、特許文献2に記載の方法では、防眩層の膜厚を2.5μm以下に抑える必要があり、ハードコートフィルムの硬さ(鉛筆硬度)を確保することが困難であった。
特開2018−55056号公報 特開2009−103734号公報
画像表示装置の表示面に用いるフィルムは、画像表示装置の高性能化、高精細化に伴い、より優れた防眩性、反射防止性、耐擦傷性が求められている。しかしながら、防眩性の向上において、映り込みを防止することと、ギラつきを防止することはトレードオフの関係であり、どちらかを良好にするともう一方が悪化してしまうという問題がある。また、反射防止性の向上において、視感反射率(光が物体に当たったとき、光が何パーセントの割合で反射されるかを示したもののこと。) を下げるためには反射防止層の低屈折率化が必要であるが、それによって耐擦傷性が悪化するという問題もある。
そこで本発明の課題は、高詳細な画像表示装置に使用した場合であっても、映り込み防止とギラつき防止、および低反射率化と耐擦傷性をそれぞれ両立させ、表示画質の低下を極力抑えつつ、優れた防眩性および反射防止性を画像表示装置に付与することができ、各種ディスプレイに使用した際に視認性が良好で、優れた耐擦傷性を有する表面保護用フィルムとしても利用可能な防眩性反射防止ハードコートフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、防眩層が含有する粒子の平均粒子径と、体積基準の累積分布から得られる90%粒子径(以下、体積基準の90%粒子径と略記することがある。)を制御することで、映り込み防止とギラつき防止を両立できること、防眩層と反射防止層とを組み合わせ、透明なフィルム状の基材の一方の面に基材/防眩層/反射防止層となるように順次積層することで、画質の低下を抑えつつ、映り込み、ギラつき、反射を抑制して視認性をより向上させ、かつハードコート性を兼ね備えたフィルムが安価に得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、例えば図1に示すように、透明なフィルム状の基材10と、前記基材10の片面側に、前記基材10側から一層の防眩層12と一層の反射防止層11と、をこの順に備え、前記防眩層の厚みが、3〜15μmであり、前記反射防止層の厚みが、50〜150nmであり、前記防眩層が、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化した硬化物であり、前記防眩層が、体積平均粒子径0.15〜0.5μmであり、体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を含有する。
このように構成すると、防眩層に含まれたシリカ粒子により入射光を拡散させ、ギラつきを抑制しつつ映り込みを低減することができる。さらに、反射防止層の表面反射光と、反射防止層の下層の界面反射光との干渉により、反射光を弱めて眩しさを低減することができる。さらに、防眩層が活性エネルギー線硬化性樹脂で形成されるため、防眩層がハードコート層として機能することができる。
本発明の第2の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記シリカ粒子が、不定形シリカ粒子であり、前記防眩層中に10〜50重量%含まれ、ヘーズが、2〜20%であり、380〜780nmの波長領域における視感反射率が、2.0%以下である。
このように構成すると、好適な粒子形状と粒子濃度により適した表面粗さを防眩性反射防止ハードコートフィルムに付与することができる。また、好適な視感反射率により外光等の映り込みや眩しさを抑制することができる。さらに、好適なヘーズにより映り込み、表示画像のぼやけを抑制することができる。
本発明の第3の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記防眩層が、粒子径1〜100nmの無機酸化物微粒子をさらに含有する。
このように構成すると、防眩層に含まれた無機酸化物微粒子により別の性質を与えることができる。無機酸化物微粒子としては、高屈折率微粒子、および導電性微粒子が挙げられる。
本発明の第4の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第3の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記無機酸化物微粒子がジルコニアである。
このように構成すると、防眩層に含まれた無機酸化物微粒子であるジルコニアにより、より視感反射率を低減できるという性質を防眩性反射防止ハードコートフィルムに与えることができる。
本発明の第5の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1〜第4のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記反射防止層形成後の表面の算術平均粗さが、0.02〜0.1μmであり、前記防眩層形成後の表面の算術平均粗さが、0.02〜0.1μmであり、前記反射防止層形成後の表面の算術平均粗さが、前記防眩層形成後の表面の算術平均粗さの60%以上である。
このように構成すると、防眩層に反射防止層が追従することにより、膜厚のばらつきによる干渉ムラを抑えるとともに反射防止効果を高めることができる。また、算術平均粗さが小さすぎて映り込みが抑制できないということや、算術平均粗さが大きすぎてギラつきが抑制できないということがない。
本発明の第6の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1〜第5のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記反射防止層が、フッ素系樹脂と、体積平均粒子径5〜70nmの金属酸化物微粒子であって重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させた金属酸化物微粒子と、を含有し、屈折率が1.25〜1.38である。
このように構成すると、好適な反射防止層の屈折率により、反射防止層として良好な反射防止膜を形成することができる。また、フッ素系樹脂からなることにより、表面のすべりをよくして防眩性反射防止ハードコートフィルムの傷つき防止性を高めることができる。さらに体積平均粒子径5〜70nmの金属酸化物微粒子であって重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させた金属酸化物微粒子を含有することにより、フッ素系樹脂の低い膜強度を補い、耐擦傷性に優れた反射防止層を得ることができる。
本発明の第7の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1〜第6のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、
前記基材のリタデーションが5000〜30000nmである。
このように構成すると、偏向サングラスで観測した時に反射光の干渉ムラを低減できる。
本発明の第8の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1〜第7のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記基材の一層の防眩層と一層の反射防止層が備えられていない他方面側に、印刷可能層を備える。
このように構成すると、防眩性反射防止ハードコートフィルムの印刷性を向上させ、意匠を付与することができる。
本発明の第9の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムは、上記本発明の第1〜第8のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムにおいて、前記基材の他方面側に、粘着層を備える。
このように構成すると、防眩性反射防止ハードコートフィルムの粘着性を向上させ、使用時の利便性を高めることができる。
本発明の第10の態様に係る画像表示装置は、上記本発明の第1〜第9のいずれか1の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムを表面に備える。
このように構成すると、画像表示装置は、ギラつき、映り込み、反射を抑制し、かつハードコート性を兼ね備えたフィルムを有する。よって、画面の視認性と傷つき防止性を向上させることができる。
本発明の第11の態様に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法は、透明なフィルム状の基材に、防眩層と反射防止層とを積層した、防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法であって、透明なフィルム状の基材の一方の面側に、前記防眩層を形成するための、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることにより、前記防眩層を積層する工程と;前記防眩層の上に、反射防止層を形成するための、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることにより、反射防止層を積層する工程と;を備える。前記反射防止層は、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、紫外線を照射することにより硬化される。前記防眩層の厚みが、3〜15μmであり、前記反射防止層の厚みが、50〜150nmである。前記防眩層の塗布液が、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、前記樹脂組成物が、体積平均粒子径0.15〜0.5μmであり、体積基準の累積分布から得られる90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を含有する。
このように構成すると、防眩性反射防止ハードコートフィルムの防汚性を向上させることができる。
本発明の防眩性反射防止ハードコートフィルムは、高詳細な画像表示装置に使用した場合であっても、映り込み防止とギラつき防止、および低反射率化と耐擦傷性をそれぞれ両立させ、表示画質の低下を極力抑えつつ、優れた防眩性および反射防止性を画像表示装置に付与することができる。
さらに、各種ディスプレイに使用した際に視認性が良好で、優れた耐擦傷性を有する表面保護用フィルムとしても利用可能な防眩性反射防止ハードコートフィルムを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る防眩性反射防止ハードコートフィルム1の断面図である。 本発明の第10の実施の形態に係る画像表示装置2の構成を示す図である。 本発明の第11の実施の形態に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法を示すフロー図である。 (a)は防眩層の防眩性を説明するための図である。(b)は反射防止層の反射防止性を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明において、塗布液は、硬化性樹脂を含み、硬化性樹脂のみであっても、硬化性樹脂と溶媒との混合物であってもよい。
≪防眩性反射防止ハードコートフィルム1≫
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る防眩性反射防止ハードコートフィルム1(以下、フィルム1と表記することもある)について説明する。なお、図1は多層に構成されたフィルム1の層構成を説明するものであり、各層の厚みは誇張されている。防眩性反射防止ハードコートフィルム1は、透明なフィルム状の基材10と、反射防止層11、防眩層12を備える。図1に示すように、透明なフィルム状の基材10の一方の面(図1では基材10の上側)に、防眩層12、反射防止層11の順に積層される。
防眩層は、図4(a)に示すように、含有する粒子と表面凹凸により入射光を拡散させ、反射光の眩しさを低減させる機能を持つ。
反射防止層は、図4(b)に示すように、反射防止層の表面反射光と下層(図4(b)では基材)の界面反射光との干渉により、反射光を弱めて眩しさを低減させる機能を持つ。
本発明の防眩性反射防止ハードコートフィルムは、防眩層と反射防止層の組み合わせにより、ギラつき、映り込み、反射を抑制すると同時に、ハードコート性をも有する。
[基材10]
基材10には、透明性を有するフィルム状の各種のプラスチックやガラスを用いることができる。透明性を有するプラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)や、PMMA/PC積層フィルム等が好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等、およびフィルム表面の平滑性やハンドリング性に優れているためより好ましい。ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、燃焼性に優れているためより好ましい。トリアセチルセルロースは光学異方性が小さいためより好ましい。価格・入手の容易さをも考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材10の膜厚は、好ましくは50〜500μmであり、より好ましくは80〜300μmである。基材10の膜厚が50μm以上であると、基材の機械的強度が充分であり、基材に各層を形成することが容易になる。また、膜厚が500μm以下であると、防眩性反射防止ハードコートフィルム1の厚みが厚くなりすぎず、本フィルムを用いた製品(例えば後述の画像表示装置)がコンパクトである。
[防眩層12]
防眩層12は、図1に示すように、透明なフィルム状の基材10上に、微粒子および硬化性樹脂を含む樹脂組成物の塗布液を塗布し、得られた塗膜を硬化させることで形成される。防眩層12の積層には、塗布液を均一にコーティングするウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法としては、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等を用いることができる。
グラビアコート法は、表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを塗布液に浸し、グラビアロール表面の凸凹部に付着した塗布液をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯めることで正確に計量し、基材に転移させる方式である。グラビアコート法により、低粘度の液を薄くコーティングすることができる。
ダイコート法は、ダイと呼ばれる塗布用ヘッドから液を加圧して押出しながらコーティングする方式である。ダイコート法により、高精度なコーティングが可能となる。さらに、塗布時に液が外気にさらされないため、乾きによる塗布液の濃度変化などが起こりにくい。
その他のウェットコーティング法としては、スピンコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロットコート法などを挙げることができる。積層する方法は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。
ウェットコーティング法を用いることにより、毎分数十メートルのライン速度(例えば約20m/分)かつ大面積で積層できるため、大量に製造でき、生産効率を上げることができる。
ここで硬化性樹脂とは、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線などの活性エネルギー線照射により架橋する活性エネルギー線硬化性樹脂や、加熱により架橋する熱硬化性樹脂である。硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの硬化性樹脂の中で好ましくは、生産性上の観点から、紫外線照射により短時間で成膜硬化する紫外線硬化性樹脂である。紫外線硬化性樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化性樹脂100重量%に対して、1〜10重量%とすることが好ましい。1重量%以上であれば硬化不良が起こりにくく、10重量%以下であれば着色等の原因になりにくい。なお、硬化性樹脂は、塗布するためには塗布液の状態で用いる。そのため、硬化性樹脂は液状であることが好ましい。硬化性樹脂が固体である場合には、溶媒で溶解して用いればよい。
塗布液中の硬化性樹脂の濃度は、塗布液の粘度がウェットコーティング法等の積層方法に応じた粘度になるように選択することができる。前記濃度は、1〜80重量%が好ましく、より好ましくは、2〜60重量%である。塗布液中の硬化性樹脂の濃度は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒を用いて、調整することができる。また、塗布液には、必要に応じて公知の他の添加剤、例えば、界面活性剤などのレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤を添加すると、塗布液の表面張力をコントロールすることができ、ハジキ、クレーター等の層形成時に生ずる表面欠陥を抑制することができる。
硬化性樹脂を硬化させるための硬化処理としては、加熱、紫外線照射、電子線照射等の硬化処理が挙げられる。なお、塗膜に溶媒を含む場合には、通常、50〜200℃の範囲内で数十秒〜数分、塗膜を加熱し、塗膜中に残留している溶媒を除いた後に、硬化処理を行なうことが好ましい。加熱による硬化としては、例えば、通常、180〜250℃、好ましくは200〜250℃の温度で加熱すればよい。このとき、オーブンを用いた場合には、30〜90分間、ホットプレートを用いた場合には、5〜30分間加熱すればよい。また、紫外線照射による硬化としては、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200〜400nmの波長の紫外線を塗膜に短時間(数秒〜数十秒の範囲内)照射すればよい。また、電子線照射による硬化としては、300keV以下の自己遮蔽型の低エネルギー電子加速器から低エネルギー電子線を塗膜に照射すればよい。
防眩層12には、硬化後の防眩層12が入射光を拡散するようにシリカ(酸化ケイ素)粒子を含有させる。
シリカ粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)、板状、繊維状、または不定形状があり、不定形状のシリカ粒子(不定形シリカ粒子ということがある。)が好ましい。ここで、不定形状のシリカ粒子とは、シリカ一次粒子凝集体を微粉末化した形状が一定でない粒子をいう。不定形の粒子を用いると、塗膜表面に効果的に凹凸を付与できる。
シリカ粒子の含有量は、防眩層中に10〜50重量%が好ましく、より好ましくは15〜25重量%である。不定形シリカ粒子の含有量も同様である。良好な防眩性を発現させるためには10重量%以上が好ましく、基材に対する良好な密着性を維持するためには、50重量%未満であることが好ましい。
シリカ粒子の体積平均粒子径は、0.3〜0.9μmが好ましく、塗膜の透明性を考慮すると、0.4〜0.7μmが好ましい。体積平均粒子径が0.3μm以上であると入射光を十分に拡散でき、0.9μm以下であるとギラつき(チラつき)を十分に抑制できる。なお、微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−950V2、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。材料メーカーから提供される体積平均粒子径情報を利用することも可能であり、粒子径値の多少の違いは機械差として許容すべきものである。
本発明では、シリカ粒子として、反応性シリカ粒子を使用することができる。
反応性シリカ粒子は、シリカ粒子を、重合性基を持ったシランカップリング剤(例えば、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)で処理したものが使用できる。
本発明では、防眩層12の屈折率調整や導電性付与のために、さらに有機系または無機系の微粒子を含有させてもよい。より具体的には、有機微粒子や無機酸化物微粒子が使用できる。
防眩層中に含有される有機微粒子の具体的な例としては、アクリル樹脂微粒子、アクリル−スチレン樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリウレタン樹脂微粒子、エポキシ樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子がある。これらは1種で使用しても、2種以上を併用してもよい。
防眩層中に含有される無機酸化物微粒子の具体的な例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、ケイ酸ジルコニウム、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アンチモン、氷晶石、蛍石、燐灰石、方解石、石膏、およびタルクがある。好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、および酸化鉄であり、より好ましくは、屈折率の大きいルチル型酸化チタン、酸化ジルコニウム、導電性を付与できるドーピングされた酸化スズ、安価な酸化アルミニウム、および酸化ケイ素である。これらは1種で使用しても、2種以上を併用してもよい。無機酸化物微粒子は、粒子径1〜100nmのものが利用できる。
このように、防眩層12には微粒子が添加されるため、微粒子の種類や量を調整することにより、所望の防眩性を有する防眩層12を容易に得ることができる。
防眩層12の屈折率は、1.45〜1.58であり、好ましくは1.48〜1.52である。屈折率が1.45以上であると、後述の反射防止層11との屈折率差が小さくなりすぎず、十分に反射・映り込みを防止できる。一方で、屈折率が1.58以下であると、アクリル樹脂等をベースとして防眩層を形成することができ、十分な硬度を確保できる。
防眩層12の膜厚は3〜15μmであり、好ましくは3〜8μmであり、特に好ましくは4〜6μmである。膜厚が3μm以上であると、十分な鉛筆硬度が得られる。膜厚が15μm以下であると、硬化膜の引張応力によるフィルムのカールを抑制できる。
[反射防止層11]
反射防止層11は、図1に示すように、防眩層12上に、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の塗布液を塗布し、得られた塗膜を硬化させることで形成される。反射防止層11に用いる硬化性樹脂の種類、硬化性樹脂の積層方法、硬化処理方法は、防眩層12について記載した硬化性樹脂の種類、積層方法、硬化方法を用いることができる。なお、反射防止層11と防眩層12に用いる硬化性樹脂の種類は、同一でもよく、異なってもよい。同一の硬化性樹脂を用いると、同一の材料を使用できるため、生産性を向上させることができる。異なる硬化性樹脂を用いると、選択可能な屈折率の幅が広がり、屈折率の調整が容易になる。特に反射防止層の場合には、中空シリカを分散させる、フッ素系樹脂を用いる等の手段で屈折率を小さくすることが好ましい。
反射防止層11の膜厚は、50〜150nmであり、好ましくは70〜110nmであり、より好ましくは80〜100nmである。反射防止層の膜厚が50〜150nmであると、反射率が最小となる波長を可視光線の波長の中央(550nm)付近とすることができ、視感反射率を大きく低下させることができる。また、反射防止層の膜厚が50nm以上であると、反射光が黄色くなることを回避できる。150nm以下であると、反射光が青色となることを回避できるとともに、反射防止層の表面が平滑になりすぎず、防眩性を維持できる。
反射防止層11の屈折率は、1.25〜1.38であり、好ましくは1.30〜1.38である。屈折率が1.25以上であると、添加する無機物(中空シリカなど)の量が過剰になり相対的に硬化性樹脂の比率が少なくなることで硬化性樹脂層の強度が不十分となることを回避できる。あるいは硬化性樹脂としてフッ素系樹脂を含む混合物を用いた場合に、フッ素系樹脂の量が過剰になり硬化性樹脂層の強度が不十分となることを回避できる。屈折率が1.38以下であると、前述の防眩層12との屈折率差が小さく、十分に反射・映り込みを防止できないことを回避できる。なお、反射防止層11の屈折率は、防眩層12の屈折率よりも低くなるように調整することが必須である。
反射防止層11の一実施の形態として、下記を含む光硬化性低屈折率樹脂組成物を用いることができる。
(A)重合性基を有する有機化合物を結合させた金属酸化物微粒子
(B)重合性基を有する含フッ素重合体およびモノマー
(C)(メタ)アクリル系モノマー
(D)光重合開始剤
(E)溶媒
この光硬化性低屈折率樹脂組成物は、市販品を購入して使用してもよく、上記(A)〜(E)の成分を混合して使用してもよい。市販品としてはTU−2361、TU−2360(いずれもJSR(株)製)が利用できる。
重合性基を有する有機化合物を結合させた金属酸化物微粒子(A)は、金属酸化物微粒子(A1)と、重合性基を含む有機化合物(A2)とを結合させた粒子である。結合とは、共有結合であってもよく、物理吸着等の非共有結合であってもよい。重合性有機化合物で修飾した金属酸化物微粒子のスラリーとしては、オルガノシリカゾルPGM−AC−2140YおよびPGM−AC−4130Y(いずれも日産化学工業(株)製)、アドマナノYA010C−SM1およびYA050C−SM1(いずれもアドマテックス(株)製)などが利用できる。
重合性基を有する含フッ素重合体およびモノマー(B)としては、ディフェンサOP−3803(DIC(株)製)、低屈折率フッ素モノマーLINC−202UA、LINC−152EPA(いずれも共栄社化学(株)製)などが利用できる。
(C)(メタ)アクリル系モノマー、(D)光重合開始剤、(E)溶媒としては、防眩層作製時に用いるものと同様のものが利用できる。
金属酸化物微粒子(A1)としては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。特に、高硬度および屈折率を低めに調整することが容易という理由からアモルファスシリカが好ましい。
金属酸化物微粒子(A1)の体積平均粒子径は、5〜70nmが好ましく、硬化後の厚みを考慮すると、30〜60nmが好ましい。
金属酸化物微粒子(A1)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)、板状、繊維状、または不定形状であり、好ましくは塗膜強度を付与できる球状、不定形状、棒状、屈折率を小さくできる中空状である。
上記(A)の含有量は、反射防止層中に10〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜60重量%である。(A)の機能を発現させるためには10重量%以上が好ましく、塗膜強度や下層に対する良好な密着性を維持するためには、80重量%未満であることが好ましい。(D)光重合開始剤の含有量は、反射防止層中に0.1〜10重量%であることが好ましい。0.1重量%以上であれば硬化不良が起こりにくく、10重量%以下であれば着色等の原因になりにくい。(E)溶媒の含有量は、塗布液の全体量に対して80重量%〜99重量%が好ましい。80重量%よりも小さいと塗布液の粘度が大きすぎて、数十〜数百nmの均一な薄膜を形成することが困難であり、99重量%よりも大きいと塗布液の粘度が小さすぎて、数十〜数百nmの均一な薄膜を形成することが困難である。
[防眩性反射防止ハードコートフィルム]
防眩性反射防止ハードコートフィルムは、380〜780nmの波長領域における視感反射率が2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.2%以下である。この範囲であると、映り込みや外光の眩しさをより抑制できる。
さらに、防眩性反射防止ハードコートフィルムのヘーズは、2〜20%であることが好ましく、より好ましくは3〜10%である。2%以上であると、映り込みをより抑制できる。20%以下であると、表示画像がぼやけるのを防ぐことができる。
防眩性反射防止ハードコートフィルムは、防眩層形成後の防眩層表面の算術平均粗さを、0.02〜0.1μmとし、反射防止層形成後の反射防止層表面の算術平均粗さを、0.02〜0.1μmとし、反射防止層形成後の表面の算術平均粗さが、反射防止層形成前の表面の算術平均粗さの60%以上であるであることが好ましく、より好ましくは80%以上である。この範囲であると、防眩層表面の凹凸に反射防止層を追従させやすく、膜厚のばらつきによる干渉ムラを抑えるとともに反射防止効果を高めることができる。また、算術平均粗さが0.02μm以上であると映り込みが抑制でき、算術平均粗さが0.1μmより小さいとギラつきが抑制できる。
防眩性反射防止ハードコートフィルムは、防眩層/反射防止層のない基材の他方面側に機能層を備えてもよい。機能層としては、例えば、印刷可能層を挙げることができる。印刷可能層は、硬化性樹脂からなる層であって、水酸基、カルボキシル基、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖のうち少なくとも1つを有するアクリル系化合物から形成される。なお、硬化性樹脂中に含まれる官能基(または高分子鎖)により、印刷可能層は、30〜50mN/m、好ましくは35〜45の表面自由エネルギーを有することが好ましい。印刷するインクは特に問わない。印刷可能層の屈折率は、1.30〜1.70であり、好ましくは1.40〜1.60である。印刷可能層の膜厚は0.5〜5.0μmであり、好ましくは2.0〜4.0μmである。印刷可能層を備えることにより、反射・写り込み防止しかつ印刷性を兼ね備えた防眩性反射防止ハードコートフィルムとなる。
防眩性反射防止ハードコートフィルムは、防眩層/反射防止層のない基材の他方面側にさらに、粘着層を備えてもよい。粘着層は、防眩性反射防止ハードコートフィルムの粘着性を向上させるものであれば特に制限されない。
≪画像表示装置2≫
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像表示装置2について説明する。画像表示装置2は、本発明に係る防眩性反射防止ハードコートフィルム1と、機械的処理により映し出された像を表示する画像パネル14とを備える。画像パネル14には、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を挙げることができる。図2に示すように、画像パネル14上に、反射防止層11(図1参照)が上側になるように防眩性反射防止ハードコートフィルム1が載置される。
なお、図2では、ディスプレイの窓枠13を誇張しているため、画像表示装置2の中央部分、すなわち防眩性反射防止ハードコートフィルム1と画像パネル14の間に空間があるが、実際には防眩性反射防止ハードコートフィルム1は画像パネル14上に密着して載置される。また、防眩性反射防止ハードコートフィルム1は、窓枠13の内側のみにおいて、画像パネル14に密着して載置されてもよい。
≪防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法≫
図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法について説明する。まず、透明なフィルム状の基材10の一方の面にウェットコーティング法を用いて塗布液を塗布し、溶媒が含まれている場合には、該塗布液を乾燥させた後、得られた塗膜を硬化させることにより、防眩層12を生成する(S01)。次に、防眩層12上にウェットコーティング法を用いて塗布液を塗布し、溶媒が含まれている場合には、該塗布液を乾燥させた後、得られた塗膜を硬化させることにより、反射防止層11を生成する(S02)。
なお、反射防止層11を硬化させる際は、窒素パージにより酸素濃度を5%以下にすることが好ましい。酸素濃度が5%以下であると、フッ素系樹脂を用いた場合に優れた防汚性を付与することができる。
また、防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法は、反射防止層11の膜厚を所望の膜厚とするために、塗布液中の樹脂の濃度等を調整する工程、防眩層12のヘーズを所望のヘーズとするために、無機酸化物の種類や量を調整する工程をさらに備えてもよい。
以下に本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
各種物性等の測定方法を以下に示す。
<粒子径>
シリカの粒子径分布は動的光散乱法(Nanotrac UPA−UT151、日機装(株))によって測定した。この装置で測定可能な粒子径の範囲は以下の式(1)のように表される。
0.0008≦(粘度/mPa・s)×(粒子径/μm)≦6.54・・・式(1)
測定に用いるシリカ分散液の粘度を2mPa・s以下とすることで、3.27μm以下の粒子の粒子径を測定することができる。シリカ分散液の粘度を下げるため、粒子径分布測定時にはプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いてシリカ分散液の固形分濃度を1.0%とした。固形分濃度を小さくすることには、測定液をニュートン流体に近付ける効果もある。
また、動的光散乱法においては粘度が粒子径分布の測定結果に大きい影響を与えるため、測定液の粘度を25℃と30℃において測定した。この2点の粘度データおよび測定セルの温度(実測値)を用いて、粒子径分布測定時の粘度を予測し、粒子径の補正を行った。
なお、補正は装置の標準機能を用いて行った。SEMでの観察結果から分析時には粒子の形状を非球形とした。単分散粒子測定モードは使用しなかった。測定された粒子径分布から、体積平均粒子径と、体積基準の累積分布から得られる90%粒子径が得られた。
<粘度>
上述の通り、動的光散乱法において必要となる液の粘度を測定した。固形分濃度を1.0%としたときの粘度を25℃と30℃で測定した。測定にはE型粘度計(TVE−25、東機産業(株)製)を用いた。恒温槽を用いて温度を一定に保ち、回転数100rpmでコーンロータ(1°34′×R24)を回転させて5分後の測定値を記録した。
<粒子形状>
粒子形状は走査型電子顕微鏡(SEM)(SU−70、(株)日立ハイテクノロジーズ製)によって確認した。なお、電子線による試料の帯電を防ぐため、SEM観察前に試料を白金スパッタ膜によって被覆し、表面に導電性を付与した。
<視感反射率>
紫外可視分光光度計(UV−2450・MPC−2200・ASR−3105、(株)島津製作所製)によって入射角5°で波長380〜780nmの範囲の絶対鏡面反射率スペクトルを測定し、以下の式に基づいて視感反射率(刺激値Y)を計算した。
Figure 2020122926
Figure 2020122926

ただし、λは可視光線の波長(nm)を表し、S(λ)はCIEで定義されるD65光源の光、y(λ)はCIEで定義される2°視野の等色関数、R(λ)は紫外可視分光光度計で測定した絶対鏡面反射率である。
<膜厚>
反射分光膜厚計(FE−3000、大塚電子(株)製)により反射率スペクトルを測定した。反射率の実測値と理論式を用い、膜厚をフィッティングパラメータとして、最小二乗法により膜厚を決定した。防眩層の膜厚についてはピークバレー法も併用して測定を行った。
<屈折率>
ガラス基板上にスピンコートによって薄膜を作製し、オーブンで乾燥後、紫外線を照射して屈折率測定用の硬化膜を得た。表面粗さ測定装置(アルファステップIQ、KLA Tencor(株)製)を用いて硬化膜の厚さを測定した。さらに反射分光膜厚計(FE−3000、大塚電子(株)製)を用いて硬化膜の絶対反射率スペクトルを測定した。絶対反射率の実測値と理論式を用い、膜厚測定時とは逆に、屈折率をフィッティングパラメータとして、最小二乗法により屈折率を決定した。屈折率には光の波長依存性があるが、589nmの値を用いた。ただし、100nmを超える粒子径の微粒子を含む薄膜は表面が平滑でないため、100nmを超える粒子を含む硬化膜の屈折率をこの方法で正確に測定するのは難しい。
<全光線透過率>
JIS K 7361−1の規格に準拠し、ヘーズメーター(NDH−5000SP、日本電色工業(株)製)を用いて、全光線透過率を測定した。
<ヘーズ>
JIS K 7136の規格に準拠し、ヘーズメーター(NDH−5000SP、日本電色工業(株)製)を用いて、ヘーズを測定した。
<グロス>
JIS Z 8741の規格に準拠し、グロスメーター(VG−7000、日本電色工業(株)製)を用いて、入射角60°におけるグロスを測定した。なお、フィルムの防眩層および反射防止層を形成した面とは反対側(フィルム裏面)からの測定光の反射を防ぐため、フィルム裏面に黒色PETフィルム(NE−B50S+、日栄化工(株)製)を貼り付けた上で測定を行った。
<耐ギラつき性>
防眩性反射防止ハードコートフィルムを、液晶ディスプレイ(401ppi、iPhone(登録商標) 6Plus(アップル(株)製))と密着させ、ギラつきを目視で評価した。
結果は以下の通りに判定を行った。
◎:ギラつきはほとんどない。
○:ギラつきはよく見るとあるが気にならない。
×:ギラつきがあり、画面の視認性を低下させている。
<像鮮明度(透過)>
防眩性反射防止ハードコートフィルムを通してディスプレイを見た際の視認性のよさの指標として、透過の像鮮明度(0°)を測定した。くし幅によって像鮮明度はあまり変わらなかったが、くし幅2mmの像鮮明度を記録した。透過の像鮮明度は、大きい方がディスプレイの視認性がよい。
<像鮮明度(反射)>
ディスプレイに対する映り込み度合いの指標として、反射の像鮮明度(写像性)を測定した。JIS K 7374の規格に準拠し、写像性測定器(ICM−1T、スガ試験機(株))を用いて、45°反射、くし幅1mmにおける像鮮明度を記録した。この反射角度とくし幅を選んだのは、目視での映り込みの度合いと数値に最も相関関係があったからである。
なお、フィルムのハードコート層および反射防止層を形成した面とは反対側(フィルム裏面)からの測定光の反射を防ぐため、フィルム裏面に黒色PETフィルム(NE−B50S+、日栄化工(株)製)を貼り付けた上で測定を行った。反射の像鮮明度は、小さい方が映り込み抑制効果が大きい。
<リタデーション>
エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製)を用いて、基材フィルムの面内リタデーションを測定した。リタデーションには光の波長依存性があるため、589nmにおける値を用いた。
なお、リタデーションは進相軸と遅相軸の屈折率差の絶対値と、フィルム厚さの積として定義される。
<偏光サングラス装着時の液晶ディスプレイ視認性>
白色LEDをバックライトとして使用している液晶ディスプレイ(LIFEBOOK(商品名)U937/P、富士通(株)製)の表面に、偏光板をクロスニコル配置となるように設置した。このとき、液晶ディスプレイから出る光は偏光板によって遮られ、液晶ディスプレイは全く視認できなくなった。続いてこの液晶ディスプレイ表面と偏光板の間に対象のフィルムを挿入した。挿入したフィルムを回転させることで液晶ディスプレイが視認できるようになる角度があるか確認した。判定は次のように行った。
◎:ある角度で対象のフィルムを挿入したとき、液晶ディスプレイが問題なく視認可能である。
〇:ある角度で対象のフィルムを挿入したとき、液晶ディスプレイが視認可能であるが、虹ムラが発生している。
×:どの角度で対象のフィルムを挿入しても、液晶ディスプレイを視認できない。
<耐擦傷性>
ハードコート性の評価の一つであり、衣服などと擦れた際の、傷つき難さの指標として耐擦傷性を評価した。試験は表面性試験機(Heidon 14FW、新東科学(株)製)を用いて行った。
まず1cmの底面積を持つ円柱状の冶具に、スチールウール#0000を両面テープで貼り付けた。次にスチールウールの繊維方向が往復運動と直角になるように、冶具を表面性試験機に取り付けた。200gfの荷重(圧力200gf/cm)が試験片にかかるように装置をセットし、1200mm/分の速度で5cmの範囲を10往復擦った。フィルム裏面に黒色PETフィルム(NE−B50S+、日栄化工(株)製)を貼り付け、反射にて傷つきの目立ち易さを目視評価した。結果は以下の通りに判定を行った。
◎:傷がない
〇:よく見ると傷はあるが、目立ち難い
×:目立つ傷がある
<鉛筆硬度>
JIS K 5600−5−4の規格に準拠し(荷重750g)、ひっかき硬度(鉛筆法)試験器(KT―VF2380、コーテック(株)製)を用いて鉛筆硬度を測定した。
<表面粗さ>
JIS B 0651の規格に準拠し、表面粗さ測定装置(アルファステップIQ、KLA Tencor(株)製)を用いて算術平均粗さRaを測定した。
次に、防眩層形成用の光硬化性樹脂組成物(塗布液)の調製方法を示す。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Aの調製
光重合性を有するアクリル酸エステルオリゴマーおよびモノマーの混合物:30.0重量%、反応性シリカ微粒子および分散剤:15.0重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル:53.0重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:2.0重量%を混合し、ディスパーで攪拌後、ビーズミルでシリカ微粒子の分散を行い、フィルターでろ過して光硬化性樹脂組成物を得た。
得られた光硬化性樹脂組成物中のシリカ微粒子の粒子径分布を、動的光散乱法を用いて測定した。シリカ微粒子の体積平均粒子径は0.22μmであり、体積基準の90%粒子径は0.36μmであった。
さらに光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加えて表1のような組成の光重合性樹脂組成物(塗布液)Aを作製した。薄膜作製後、SEMにより粒子形状を確認すると、光硬化性樹脂組成物Aに含まれるシリカ微粒子は不定形であった。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Bの調製
光硬化性樹脂組成物(塗布液)A作製の工程において、光重合開始剤等を加える前のシリカ分散液に、さらにジルコニア分散液(NANON5、(株)ソーラー製)、光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加えて表1のような組成の光重合性樹脂組成物(塗布液)Bを作製した。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Cの調製
光重合性を有するアクリル酸エステルオリゴマーおよびモノマーの混合物:36.0重量%、シリカ微粒子および分散剤:12.4重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル:48.5重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:3.1重量%を混合し、ディスパーで攪拌後、ビーズミルでシリカ微粒子の分散を行い、フィルターでろ過して光硬化性樹脂組成物を得た。
得られた光硬化性樹脂組成物中のシリカ微粒子の粒子径分布を、動的光散乱法を用いて測定した。シリカ微粒子の体積平均粒子径は0.25μmであり、体積基準の90%粒子径は0.40μmだった。
さらに光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加えて表1のような組成の光重合性樹脂組成物(塗布液)Cを作製した。薄膜作製後、SEMにより粒子形状を確認すると、光硬化性樹脂組成物Cに含まれるシリカ微粒子は不定形であった。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Dの調製
光重合性を有するアクリル酸エステルオリゴマーおよびモノマーの混合物:36.0重量%、シリカ微粒子および分散剤:12.4重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル:48.5重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:3.1重量%を混合し、ディスパーで攪拌後、ビーズミルでシリカ微粒子の分散を行い、フィルターでろ過して光硬化性樹脂組成物を得た。
得られた光硬化性樹脂組成物中のシリカ微粒子の粒子径分布を、動的光散乱法を用いて測定した。シリカ微粒子の体積平均粒子径は0.28μmであり、体積基準の90%粒子径は0.63μmであった。
さらに光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加えて表1のような組成の光重合性樹脂組成物(塗布液)Dを作製した。薄膜作製後、SEMにより粒子形状を確認すると、光硬化性樹脂組成物Dに含まれるシリカ微粒子は不定形であった。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Eの調製
光重合性を有するアクリル酸エステルオリゴマーおよびモノマーの混合物:36.0重量%、反応性シリカ微粒子および分散剤:12.4重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル:48.5重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:3.1重量%を混合し、ディスパーで攪拌後、ビーズミルでシリカ微粒子の分散を行い、フィルターでろ過して光硬化性樹脂組成物を得た。
得られた光硬化性樹脂組成物中のシリカ微粒子の粒子径分布を、動的光散乱法を用いて測定した。シリカ微粒子の体積平均粒子径は0.36μmであり、体積基準の90%粒子径は0.63μmであった。
さらに光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加えて表1のような組成の光重合性樹脂組成物(塗布液)Dを作製した。薄膜作製後、SEMにより粒子形状を確認すると、光硬化性樹脂組成物Dに含まれるシリカ微粒子は不定形であった。
・光硬化性樹脂組成物(塗布液)Fの調製
光重合性を有するアクリル酸エステルオリゴマーおよびモノマーの混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、光重合開始剤(Irgacure184、BASF(株)製)、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび酢酸ブチル)、レベリング剤(BYK−3550、ビックケミージャパン(株)製)を加え、ディスパーで攪拌して、表1のような組成の光硬化性樹脂組成物Fを得た。
塗布液A〜Fの組成を表1(光硬化性樹脂組成物(塗布液))に示した。なお、微粒子の配合比は防眩性反射防止ハードコートフィルム作製後のヘーズが10%程度となるように調整した。
Figure 2020122926
さらに反射防止層形成用の光硬化性低屈折率樹脂組成物(塗布液)の調製方法を示す。
・光硬化性低屈折率樹脂組成物(塗布液)Gの調製
光硬化性低屈折率樹脂組成物(TU−2360、荒川化学工業(株)製)24重量%を溶媒76重量%で希釈して、これを光硬化性低屈折率樹脂組成物(塗布液)Gとした。
[実施例1]
・透光性基材
透光性基材として、両面に易接着加工された厚さ80μmポリエステル製フィルム(SRF TA048、東洋紡(株)製)を用いた。リタデーションを測定したところ、9100nmであった。
・防眩層の形成
前記基材上にバーコーターを用いて、光硬化性樹脂組成物(塗布液)Aを乾燥後の平均膜厚が4μm程度になるように塗布した後、温度80℃のオーブンで2分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下で高圧水銀ランプを用いて、照射量300mJ/cmで光硬化を行い、防眩層を形成した。
100nmを超える粒子径の微粒子を含む層の屈折率を本明細書に記載した方法で測定するのは難しい。589nmにおける防眩層の樹脂のみの屈折率は1.52であり、シリカ微粒子の屈折率は1.46であるため、今回形成した防眩層の見かけの屈折率は1.46〜1.52の間にあると考えられる。
・反射防止層の形成
前記基材の防眩層を形成した面に、バーコーターを用いて光硬化性低屈折率樹脂組成物(塗布液)Gを乾燥後の平均膜厚が90〜100nm程度になるように塗布した後、温度80℃のオーブンで1分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下で高圧水銀ランプを用いて照射量300mJ/cmで光硬化を行い、反射防止層を形成した。反射防止層の589nmにおける屈折率は1.35であった。
[実施例2]
光硬化性樹脂組成物(塗布液)Bを用いた以外は実施例1と同様にして防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製した。
[実施例3]
光硬化性樹脂組成物(塗布液)Cを用いた以外は実施例1と同様にして防眩性反射防止ハードコートフィルムを作製した。
[比較例1]
防眩層形成時に光硬化性樹脂組成物(塗布液)Dを用いた以外は実施例1と同様に防眩層および反射防止層を形成した。
[比較例2]
防眩層形成時に光硬化性樹脂組成物(塗布液)Eを用いた以外は実施例1と同様に防眩層および反射防止層を形成した。
[比較例3]
防眩層の乾燥後平均膜厚が2μm程度になるように塗布した以外は、実施例1と同様に防眩層および反射防止層を形成した。
[比較例4]
防眩層(ハードコート)層形成時に光硬化性樹脂組成物(塗布液)Fを用いた以外は実施例1と同様にハードコート層および反射防止層を形成した。
実施例1〜3および比較例1〜4の組成と物性値を表2に示した。各種物性値の測定結果も共に示した。なお、微粒子の配合比は防眩性反射防止ハードコートフィルム作製後のヘーズが10%程度になるように調整した。
Figure 2020122926
<耐擦傷性について>
実施例1と比較例2、または実施例3と比較例1を比較すると、体積平均粒子径が0.15〜0.5μmであり、かつ体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を用いることで、比較的よい耐擦傷性が得られることがわかる。体積平均粒子径が0.15〜0.5μmであっても、体積基準の90%粒子径が0.5μmより大きいシリカ粒子を用いると、耐擦傷性は悪い。粗大粒子を含むと表面の凹凸が大きくなり、大きい凸部分にスチールウールが当たって削れやすくなることが原因であると考えられる。
当初は防眩層に使用するシリカを樹脂と反応させ、強固な結合を作ることで耐擦傷性がよくなると予想していた。しかし、実際にはシリカが粗大粒子を含まず、体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を用いることが重要であり、反応性シリカを用いることは重要ではないことがわかった。
<ギラつきと映り込みについて>
実施例1と実施例3を、比較例1と比較例2を比較すると、体積平均粒子径が0.15〜0.5μmであり、かつ体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を用いることで、比較的よい耐ギラつき性が得られることがわかる。体積平均粒子径が0.15〜0.5μmであっても、体積基準の90%粒子径が0.5μmより大きいシリカ粒子を用いると、耐ギラつき性は悪い。粗大粒子を含むと表面の凹凸が大きくなり、そのレンズ効果でギラつきが大きくなると推測される。
さらに、同じ例について透過の像鮮明度に注目すると、体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を用いることで、体積基準の90%粒子径が0.5μmより大きいシリカ粒子を用いるよりも、ディスプレイの視認性がよくなることがわかる。
ただし、映り込み抑制効果は体積基準の90%粒子径が0.5μmより大きいシリカ粒子を用いた方がよいことが、反射45°の像鮮明度からわかる。シリカの粒子径分布は耐擦傷性、耐ギラつき性、映り込み抑制効果のバランスを考えて制御する必要があり、体積平均粒子径が0.15〜0.5μmであり、かつ体積基準の90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を用いるとこれらのバランスのとれた防眩性反射防止ハードコートフィルムが得られる。
<ジルコニアの添加について>
実施例1と実施例2を比較すると、防眩層にジルコニアを添加することで視感反射率が低下していることがわかる。これによって映り込む外光の眩しさをより低減することができる。
<防眩層膜厚について>
実施例1と比較例3を比較すると、防眩層を3μm以上にすることで、十分な鉛筆硬度(耐傷付き性)が得られることがわかる。
1 防眩性反射防止ハードコートフィルム
2 画像表示装置
10 基材
11 反射防止層
12 防眩層
13 窓枠
14 画像パネル

Claims (11)

  1. 透明なフィルム状の基材と、
    前記基材の片面側に、前記基材側から一層の防眩層と一層の反射防止層と、をこの順に備え、
    前記防眩層の厚みが、3〜15μmであり、
    前記反射防止層の厚みが、50〜150nmであり、
    前記防眩層が、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化した硬化物であり、
    前記防眩層が、体積平均粒子径0.15〜0.5μmであり、体積基準の累積分布から得られる90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を含有する、
    防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  2. 前記シリカ粒子が、不定形シリカ粒子であり、前記防眩層中に10〜50重量%含まれ、
    ヘーズが、2〜20%であり、
    380〜780nmの波長領域における視感反射率が、2.0%以下である、
    請求項1に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  3. 前記防眩層が、粒子径1〜100nmの無機酸化物微粒子をさらに含有する請求項1または2に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  4. 前記無機酸化物微粒子がジルコニアである請求項3に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  5. 前記防眩層形成後の表面の算術平均粗さが、0.02〜0.1μmであり、前記反射防止層形成後の表面の算術平均粗さが、前記防眩層形成後の表面の算術平均粗さの60%以上である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  6. 前記反射防止層が、フッ素系樹脂と、体積平均粒子径5〜70nmの金属酸化物微粒子であって重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させた金属酸化物微粒子と、を含有し、前記反射防止層の屈折率が1.25〜1.38である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  7. 前記基材のリタデーションが5000〜30000nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム
  8. 前記基材の一層の防眩層と一層の反射防止層が備えられていない他方面側に、印刷可能層を備える、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  9. 前記基材の他方面側に、粘着層を備える、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の防眩性反射防止ハードコートフィルムを表面に備える、
    画像表示装置。
  11. 透明なフィルム状の基材に、防眩層と反射防止層とを積層した、防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法であって、
    透明なフィルム状の基材の一方の面側に、前記防眩層を形成するための、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることにより、前記防眩層を積層する工程と、
    前記防眩層の上に、反射防止層を形成するための、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させることにより、反射防止層を積層する工程と、を備え、
    前記防眩層および反射防止層は、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、紫外線を照射することにより硬化され、
    前記防眩層の厚みが、3〜15μmであり、
    前記反射防止層の厚みが、50〜150nmであり、
    前記防眩層の塗布液が、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む樹脂組成物であり、
    前記樹脂組成物が、体積平均粒子径0.15〜0.5μmであり、体積基準の累積分布から得られる90%粒子径が0.5μm以下である、シリカ粒子を含有する、
    防眩性反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114231136A (zh) * 2021-12-20 2022-03-25 江苏皇冠新材料科技有限公司 抗菌ag涂布液组合物、抗菌ag涂布液、抗菌ag书写膜及其制备方法

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