JP2018159750A - 反射部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】350nm以上1100nm以下の複数の波長範囲に属する各光に対し高い反射率を有する反射部材を提供する。
【解決手段】アルミニウム基材1と、アルミニウム基材に接する第1コート層2と、第1コート層に接する第2コート層3とを備え、第2コート層の表面粗さ≦10nmであり、第1コート層の屈折率N1、膜厚d1、第2コート層の屈折率N2、膜厚d2、1≦k1≦3の自然数、(k1+1)≦k2≦(k1+3)の自然数、(2×k1)の正の奇数>h1,(2×k2)の正の奇数>h2としたとき,以下の関係式を満たす。(1)0.3<N2−N1(2)350<2×N1×d1+2×N2×d2<1650(3)(h1−0.3)/(2×k1)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h1+0.3)/(2×k1)(4)(h2−0.3)/(2×k2)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h2+0.3)/(2×k2)
【選択図】図1

Description

本発明は、350nm以上1100nm以下の光の波長範囲において、複数の波長範囲で高い反射率を示す反射部材およびその製造方法に関する。
近年、植物を効率的に栽培する方法が非常に注目されている。そのひとつに、コンテナなどの設備内で温度や湿度、光量、CO2濃度などを制御して植物を栽培する植物工場がある。植物工場では、太陽光に代わる光源としてLEDや蛍光灯等が使用されている。
しかし、植物工場では限られたスペースに多くの苗を密集させて栽培する。そのため、光源の配置によっては、一部の苗は、その周囲の苗によって光が遮られることにより生じる陰に配置され、十分に生育できない。
また、屋外やグリーンハウスなど、太陽光を用いて植物を栽培する設備においても、限られたスペースに多くの苗を密集させて栽培するため、同様の問題が生じ得る。
上記問題を解決するために、反射部材を用いて、光源のみによっては陰が形成され得る部分に植えられた苗に、光源から発せられた光を集光させることが考えられる。
また、近年、植物の栽培技術において、350nm以上1100nm以下の波長範囲内における異なる波長範囲の光が異なる効果を奏するとして着目されている。例えば、700nm以上1300nm以下の波長の光は発芽を促進する効果を奏する。650nm以上700nm以下の波長の光は苗の伸長を促進する効果を奏する。500nm以上550nm以下の波長の光は病害を防除する効果およびハダニを抑制する効果を奏する。380nm以上450nm以下の波長の光は葉の形態形成を促進する効果を奏する。350nm以上380nm以下の波長の光は花芽の形成を促進する効果やアントシアンの合成を促進する効果を奏する。
350nm以上1100nm以下の波長の光に対する反射率が高い材料として、アルミニウム(Al)および銀(Ag)が挙げられる。しかし、銀は、非常に高価であり、また酸化しやすいため、植物栽培用途の反射部材としては適切でない。一方、アルミニウムは、軽量で、非常に安価であり、高い耐食性を有している。そのため、アルミニウムは、350nm以上1100nm以下の波長の光に対する反射部材に好適である。
国際公開第2015/019960号(特許文献1)には、可視光反射材用アルミニウム箔が開示されている。
また、特開2007−76347号公報(特許文献2)には、特定の波長範囲の光の反射率を高める技術として、屈折率の異なる材料からなる膜を交互に連続した積層構造体が開示されている。
国際公開第2015/019960号 特開2007−76347号公報
しかしながら、国際公開第2015/019960号に記載のアルミニウム箔の反射率は、350nm以上1100nm以下の各波長の光に対して、ほぼ一定である。一方、特開2007−76347号公報に記載の積層構造体では、ごく限られた特定の波長の光に対する反射率は高いが、その波長以外の波長範囲の光に対する反射率は非常に低い。
そのため、これらの従来の反射部材は、異なる複数の波長範囲に属する各光に対し特に高い反射率が要求される、例えば上記の植物栽培用途などの反射部材には不向きである。
そこで、本発明の目的は、従来のアルミニウム箔等の反射部材と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲内の異なる複数の波長範囲に属する各光に対して高い反射率を有する反射部材およびその製造方法を提供することである。
本発明に従った反射部材は、第1面を有するアルミニウム基材と、第1面に接して形成されており、かつ、第1面と交差する方向において第1面から離れた位置にある第2面を有する第1コート層と、第2面に接して形成されており、かつ、交差する方向において第2面から離れた位置にある第3面を有する第2コート層とを備える。第3面の表面粗さRaが10nm以下である。第1コート層の屈折率N1、第1コート層の膜厚d1、第2コート層の屈折率N2、第2コート層の膜厚d2、1以上3以下の自然数k1、(k1+1)以上(k1+3)以下の自然数k2、(2×k1)未満の正の奇数h1、および(2×k2)未満の正の奇数h2としたときに、反射部材は以下の関係式(1)〜(4)を満たす。(1)0.3<N2−N1。(2)350<2×N1×d1+2×N2×d2<1650。(3)(h1−0.3)/(2×k1)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h1+0.3)/(2×k1)。(4)(h2−0.3)/(2×k2)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h2+0.3)/(2×k2)。
本発明によれば、従来のアルミニウム箔等の反射部材と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲内の異なる複数の波長範囲に属する各光に対して高い反射率を有する反射部材およびその製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係る反射部材を示す概略断面図である。 本実施の形態に係る反射部材の製造方法を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る反射部材の変形例を示す概略断面図である。 本実施の形態に係る反射部材の変形例の製造方法を示すフローチャートである。 実施例1の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例2の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例3の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例4の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例5の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例6の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例7の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 実施例8の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例1の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例2の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例3の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例4の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例5の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例6の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例7の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。 比較例8の350nm以上1100nm以下の波長範囲の光に対する反射率を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
[反射部材の構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る反射部材10について説明する。反射部材10は、アルミニウム基材1と、第1コート層2と、第2コート層3とを備える。
アルミニウム基材1は、第1面1A、および第1面1Aと反対側に位置する第4面1Bを有している。アルミニウム基材1を構成する材料は、アルミニウム(Al)を含む。アルミニウム基材1は、例えばアルミニウム箔である。
第1コート層2は、第1面1Aに接して形成されている。第1コート層2は、第1面1Aと交差する方向において第1面1Aから離れた位置にある第2面2Aを有している。第1面1Aと交差する方向において、第1コート層2において第1面1Aと接している面と第2面2Aとの間の距離が、後述する第1コート層2の膜厚d1である。第2コート層3は、第2面2Aに接して形成されている。
第2コート層3は、第2面2Aと交差する方向において第2面2Aから離れた位置にある第3面3Aを有している。第1面1Aと交差する方向において、第2コート層3において第2面2Aと接している面と第3面3Aとの間の距離が、後述する第2コート層3の膜厚d2である。
第2コート層3の第3面3Aの表面粗さRaは、10nm以下である。第3面3Aの表面粗さRaはJIS B0601(2001年版)およびISO4287(1997年版)で定義されている算術平均粗さRaを、観察された表面に対して適用できるように三次元に拡張して算出された値である。
さらに、第1コート層2の屈折率N1、第1コート層2の膜厚d1、第2コート層3の屈折率N2、および第2コート層3の膜厚d2は以下の4つの関係式を満足する。なお、膜厚d1およびd2の各単位はnmである。
関係式(1)0.3<N2−N1
関係式(2)350<2×N1×d1+2×N2×d2<1650
関係式(3)(h1−0.3)/(2×k1)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h1+0.3)/(2×k1)
関係式(4)(h2−0.3)/(2×k2)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h2+0.3)/(2×k2)
関係式(3)および(4)において、k1は、1以上3以下の自然数である。つまり、k1は、1、2または3である。k2は、k1+1以上k1+3以下の自然数である。h1は、2k1未満の正の奇数である。h2は、2k2未満の正の奇数h2である。
本発明者らは、上記4つの関係式を満足する反射部材10は、上記4つの関係式の少なくとも1つを満足しない従来の反射部材と比べ、350nm以上1100nm以下の波長範囲内の異なる複数の波長範囲に属する各光に対して高い反射率を有することを見出した(詳細は後述する実施例参照)。
本発明者らは、関係式(1)および(2)により特定される構成の作用について以下のように推察している。まず、上記関係式(1)および(2)を満足することにより、以下の関係式(5)および(6)で表される第1波長λ1および第2波長λ2の各光に対する反射率が強調され得る。なお、本明細書において強調という用語は、第1〜第3面での各反射光の干渉作用によって、上記波長λ1又はλ2を含む波長範囲内の光、例えば波長λ1,λ2を中心とした前後30nm以内のいずれかの波長を含む光(λ1,λ2±30nm)に対する反射部材10の反射率が、当該波長範囲の光に対するアルミニウム基材1の反射率より高くなるという意味で用いられる。
関係式(5)(2N1×d1+2N2×d2)/k1−50≦λ1≦(2N1×d1+2N2×d2)/k1+50
関係式(6)(2N1×d1+2N2×d2)/k2−50≦λ2≦(2N1×d1+2N2×d2)/k2+50
反射部材10は、関係式(1)を満足する第1コート層2および第2コート層3を備えることにより、第3面3Aでの反射光と第2面2Aでの反射光と第1面1Aでの反射光との干渉の効果が高められている。そのため、反射部材10の第3面3Aに特定の波長の光が入射されたときに、第3面3Aでの反射光と第2面2Aでの反射光と第1面1Aでの反射光とが強めあうことで、特定の波長範囲の光に対する反射率が強調され得る。
さらに、反射部材10の第1コート層2および第2コート層3が関係式(2)を満足することにより、関係式(5),(6)によって表される第1波長λ1および第2波長とλ2の各光に対する反射率が350nm以上1100nm以下の波長範囲においてピーク値を示す。
具体的には、N1・d1+N2・d2が350未満となるような第1コート層および第2コート層では、図14(比較例2の図)のように、光の干渉作用が小さく、反射率を強調できる波長範囲が350nm以上1100nm以下の波長範囲のなかに1つ以下になる。一方、N1・d1+N2・d2が1650超えとなるような第1コート層および第2コート層では、図15(比較例3の図)のように、光の干渉作用が大きくなり過ぎて、反射率を強調できる波長範囲が狭くすぎるため、非実用的である。
関係式(2)を満足する第1コート層2および第2コート層3では、2N1×d1+2N2×d2(第3面3Aで反射する光と第1面1Aで反射する光の光路差)の整数分の1の波長で、反射率が強調される。関係式(5)を満足する第1波長λ1および関係式(6)を満足する第2波長λ2(λ1>λ2)は、上記のような第1コート層2および第2コート層3によって反射率が強調される波長のうち、350nm以上1100nm以下の波長範囲にあるものである。
本発明者らは、上記関係式(1)および(2)を満足する反射部材の反射率が、そのN1×d1+N2×d2(第1コート層2および第2コート層3の光学的膜厚の和)に対するN1×d1(第1コート層2の光学的膜厚)の比率に応じて変化することを発見した。より具体的には、本発明者らは、上記関係式(1)および(2)を満足する反射部材の反射率が、0超え1未満の範囲での上記比率の変化に応じて周期的に増減することを発見した。
さらに本発明者らは、上記関係式(1)〜(4)を満足する反射部材10の反射率は、上記関係式(1)〜(4)を満足しない従来の反射部材の反射率、特に上記関係式(1)および(2)を満足するが上記関係式(3)または(4)を満足しない反射部材の反射率よりも高いことを発見した。異なる観点から言えば、本発明者らは、上記関係式(1)および(2)を満足する反射部材の反射率が従来の反射部材の反射率よりも高い値を示すときの上記比率を特定する上記関係式(3)および(4)を見出した。つまり、本発明者らは、第3面3Aの表面粗さRaが10nm以下であり、かつ上記関係式(1)〜(4)を満足する反射部材10が、従来のアルミニウム箔等の反射部材と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲内の異なる複数の波長範囲に属する各光に対して高い反射率を有することを見出した(詳細は後述する実施例参照)。
上記反射部材10は、さらに以下のような特徴を備えていることが好ましい。
好ましくは、アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウム(Al)の純度は99%以上である。アルミニウム基材1に鉄(Fe)や銅(Cu)などの不純物が存在する場合、アルミニウムはこれらの不純物と金属間化合物を形成する。該金属間化合物は晶析出物となってアルミニウム基材1の表面である第1面1Aに現れ、第1面1Aに凹凸を生じさせる。第1面1Aに凹凸があると第1面1Aに達した光は第1面1Aで吸収されやすくなる。また、第1面1Aに現れた晶析出物は、第1面1Aでの光の反射を阻害する要因となる。そのため、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が大きいほど、第1面1Aでの全反射率は低下する。アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウムの純度は99%未満であると、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が大きくなり、第1面1Aでの全反射率が低下する。一方で、アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウムの純度は99%以上であると、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が非常に小さくなるため、または晶析出物が形成されないため、第1面1Aでの全反射率は低下しない。そのため、第1面1Aのアルミニウムの純度は99%以上である反射部材10は、第1面1Aのアルミニウムの純度は99%未満である反射部材10と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲において全反射率が大きくなる。
好ましくは、アルミニウム基材1の第1面1Aの表面粗さRaは10nm以下である。このようにすれば、第1面1Aに接するように形成される第1コート層2の膜厚d1(単位:nm)が100nmより薄い場合にも、第1コート層2における膜厚ムラおよび抜け等の異常の発生が防止され得る。また、第1面1Aの表面粗さRaが10nmを超えると、第1面1Aに達した光は第1面1Aで吸収されやすくなる。そのため、第1面1Aの表面粗さRaが10nm以下である反射部材10は、第1面1Aの表面粗さRaが10nm超えである反射部材と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲において全反射率が大きくなる。
好ましくは、第1コート層2の屈折率N1は1.6未満である。このような第1コート層2を構成する材料は、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、および二酸化ケイ素(SiO2)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
好ましくは、第2コート層3の屈折率N2は1.8以上である。このような第2コート層3を構成する材料は、二酸化チタン(TiO2)または酸化ニオブ(Nb25)などの金属酸化物を含むことが好ましい。屈折率N1が1.6未満である第1コート層2、および屈折率N2が1.8以上である第2コート層3は、塗工または蒸着により容易に形成され得る。そのため、このような第1コート層2および第2コート層3を備える反射部材10は、上記関係式(1)を満たすことができ、かつ容易に製造され得る。
第1波長λ1は、例えば第2波長λ2よりも150nm以上長い。好ましくは、第1波長λ1は第2波長λ2よりも200nm以上長い。第1波長λ1および第2波長λ2の各光に対する反射部材10の反射率は、90%以上である。第2波長λ2超え第1波長λ1未満の波長範囲に含まれる第3波長の光に対する反射部材10の反射率は、第1波長λ1および第2波長λ2の各光に対する反射部材10の反射率未満である。第3波長の光に対する反射部材10の反射率は、例えば90%未満である。好ましくは、第1波長λ1を含む波長範囲内の各波長に対する反射部材10の反射率、および第2波長λ1を含む波長範囲内の各波長に対する反射部材10の反射率は、90%以上である。この場合、第3波長は、第1波長λ1を含む波長範囲の下限値未満、第2波長λ2を含む波長範囲の上限値超えである。
[反射部材の製造方法]
図2に示されるように、本実施の形態に係る反射部材10の製造方法は、アルミニウム基材1を準備する工程(S10)と、第1コート層2を形成する工程(S20)と、第2コート層3を形成する工程(S30)とを備える。
アルミニウム基材1を準備する工程(S10)では、例えばアルミニウム箔としてのアルミニウム基材1が準備される。この場合、本工程(S10)は、鋳塊を準備する工程(S11)、鋳塊に均質化熱処理を行う工程(S12)、鋳塊を熱間圧延する工程(S13)、熱間圧延により得られた熱延材を冷間圧延する工程(S14)、冷間圧延により得られた冷延材を最終仕上げとして冷間圧延(以下、最終仕上げ冷間圧延という)する工程(S15)とを含む。
まず、鋳塊が準備される(工程(S11))。具体的には、所定の組成のアルミニウムの溶湯を調製し、アルミニウムの溶湯を凝固させることにより鋳塊を鋳造(例えば半連続鋳造)する。好ましくは、溶湯中の鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)などの金属元素の含有量は、アルミニウム基材1の表面(第1面1A)においてアルミニウムの純度が99%以上となるように制御されている。
次に、得られた鋳塊が均質化熱処理される(工程(S12))。均質化熱処理は、たとえば加熱温度を400℃以上630℃以下、加熱時間を1時間以上20時間以下とする条件で行われる。
次に、鋳塊が熱間圧延される(工程(S13))。本工程により、所定の厚みW1を有する熱延材が得られる。熱間圧延は、1回または複数回行われてもよい。なお、連続鋳造によって薄板のアルミニウム鋳塊を製造する場合には、当該薄板状の鋳塊は本工程を介さずに冷間圧延されてもよい。
次に、熱間圧延により得られた熱延材が冷間圧延される(工程(S14))。本工程により、所定の厚みW2を有する冷延材(最終仕上げ冷間圧延工程(S15)における被圧延材)が得られる。本工程において、冷間圧延はたとえば中間焼鈍工程を挟んで複数回行われる。たとえば、まず熱延材に対し第1冷間圧延工程(S14A)を実施して熱延材の厚みW1よりも薄く冷延材の厚みW2よりも厚い圧延材を形成する。次に、得られた圧延材に対し中間焼鈍工程(S14B)を施す。中間焼鈍は、例えば焼鈍温度を50℃以上500℃以下、焼鈍時間を1秒以上20時間以下とする条件で行われる。次に、焼鈍後の圧延材に対し第2冷間圧延工程(S14C)を実施して厚みW2の冷延材を形成する。
次に、冷延材が最終仕上げ冷間圧延される(工程(S15))。本工程では、圧延ロールを用いて圧下率が35%以上の条件で被圧延材を最終仕上げ冷間圧延する。圧延ロールは被圧延材と接触して圧延するロール面を有している。被圧延材を挟んで配置される一対の圧延ロールのうち、少なくとも一方の圧延ロールのロール面の表面粗さRaが40nm以下である。表面粗さRaが40nmより大きい圧延ロールを用いて被圧延材を圧延すると、得られたアルミニウム基材1は第1面1Aの圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzJISが40nmよりも大きくなり、第1面1Aの表面粗さRaも10nmを超えてしまう。最終仕上げ冷間圧延工程で使用する圧延ロールの表面粗さRaは、できるだけ小さいことが好ましく、より好ましくは30nm以下である。第1面1Aおよび第4面1Bには、圧延ロールの転写筋(図示しない)が圧延方向に沿って形成されている。
次に、最終仕上げ冷間圧延により得られたアルミニウム基材1の第1面1Aに接するように、第1コート層2が形成される(工程(S20))。このとき、第1コート層2は、屈折率N1および膜厚d1が上記関係式(1)〜(4)を満足するように形成される。好ましくは、第1コート層2は、その屈折率が1.6未満となるように形成される。第1コート層2の形成方法は、任意の方法を採用し得るが、例えばスピンコーティング、バーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、およびダイコーティングなど、コーティング剤を塗工する方法のうちから選択される少なくとも1つであってもよい。また、第1コート層2の形成方法は、イオンプラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、蒸着処理、およびめっき処理などの群から選択される少なくとも1つの方法であってもよい。
次に、第1コート層2の第2面2Aに接するように、第2コート層3が形成される(工程(S30))。このとき、第2コート層3は、屈折率N2および膜厚d2が上記関係式(1)〜(4)を満足するように形成される。好ましくは、第2コート層3は、その屈折率N2が1.8以上である。
このようにして、図1に示される反射部材10を得ることができる。なお、工程(S15)において最終仕上げ冷間圧延に用いられる圧延ロールの表面粗さRaを40nm以下とし、かつ、工程(S60)および工程(S70)において上記関係式(1)〜(4)を満足するように第1コート層2および第2コート層3が形成されることにより、第2コート層3の第3面3Aの表面粗さRaを10nm以下とすることができる。
なお、本実施の形態に係る反射部材10はアルミニウム箔として構成されているアルミニウム基材1を備えているが、これに限られるものでは無い。図3に示されるように、本実施の形態の変形例に係る反射部材11は基板4上に形成されたアルミニウム薄膜として構成されているアルミニウム基材1を備えていてもよい。基板4は、アルミニウム薄膜としてのアルミニウム基材1の第1面1Aの反対側に位置する第4面1Bに接して形成されている。基板4を構成する材料は、アルミニウム基材1を構成する材料とは同じであってもよいし、異なっていてもよいが、異なっている方が好ましい。このような反射部材11であっても、第3面3Aの表面粗さRaが10nm以下とされ得る。さらに該反射部材11は上記関係式(1)〜(4)を満足し得る。そのため、このような反射部材11は、反射部材10と同様の効果を奏することができる。なお、このような反射部材11は、図4に示される製造方法により製造され得る。まず、基板4が準備され(工程(S16))、準備された基板4上にアルミニウム基材1が形成される(工程(S17))。アルミニウム基材1は、例えば蒸着法により形成される。その後、上記工程(S20)および工程(S30)と同様の方法により第1コート層2および第2コート層3が形成される。
なお、反射部材10,11の第1コート層2および第2コート層3の構成は、反射部材10が反射すべき光の波長範囲に応じて設計され得る。まず、反射すべき光の波長範囲に基づいて、第1波長λ1および第2波長λ2を設定する。次に、該第1波長λ1および第2波長λ2が代入された関係式(5)および(6)を満足するとともに、関係式(3)および(4)を満足するような屈折率N1,N2および膜厚d1,d2を求める。このようにして、第1コート層2および第2コート層3が設計され得る。
以下に説明するように本実施の形態の実施例と比較例の反射部材の試料を作製した。まず、表1に示されるアルミニウム純度の異なるA,BおよびCの3種のアルミニウムを用いて、同一の製造方法により実施例1〜8および比較例1〜8のアルミニウム箔としてのアルミニウム基材を作製した。アルミニウム純度Aは99.99%以上、アルミニウム純度Bは99.40%以上、アルミニウム純度Aは98.96%以上である。さらに、各アルミニウム基材を用いて、表1に示される実施例1〜8および比較例1〜8の反射部材の試料を作製した。
比較例1は、上記関係式(2)〜(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(1)を満足しないものとした。
比較例2,3は、上記関係式(1)、(3)および(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(2)を満足しないものとした。比較例2は上記関係式(2)において(2N1×d1+2N2×d2)が350以下であるものであり、比較例3は上記関係式(2)において(2N1×d1+2N2×d2)が1650以上であるものである。
比較例4は、上記関係式(1)、(2)および(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(3)を満足しないものとした。
比較例5は、上記関係式(1)〜(3)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(4)を満足しないものとした。
比較例6は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第1面のアルミニウム純度が99%以上であるが、第3面の表面粗さRaが10nm超えであるものとした。
比較例7は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であるが、第1面のアルミニウム純度が99%未満であるものとした。
比較例8は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第1面のアルミニウム純度が99%以上であるが、第1面の表面粗さRaが10nm超えであるものとした。
Figure 2018159750
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具体的には、半連続鋳造によって上記純度A〜Cを有するアルミニウムの鋳塊を作製し、該鋳塊を加熱炉にて均質化熱処理を行った。その後、厚みが7.0mm以下になるまで熱間圧延を行った。得られた熱間圧延材を用いて複数回の冷間圧延を行い、厚みが所定の値Tになるまで冷間圧延(最終仕上げ冷間圧延を含む)を行った。さらに、仕上げ冷間圧延後、35℃で1質量%の水酸化ナトリウム溶液に20秒間浸漬させ、表面を洗浄した。このようにして得られた各アルミニウム基材について、第1面の表面粗さRaおよび第1面での全反射率を測定した(測定方法等は後述する)。
上記アルミニウム箔としてのアルミニウム基材上に、表1に示されるような第1コート層および第2コート層を形成し、表1に示される実施例1〜8および比較例1〜8の反射部材の試料を作製した。第1コート層を構成する材料は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、金属フッ化物(フッ化マグネシウム(MgF2))、および二酸化ケイ素(SiO2)を含むものとした。第2コート層を構成する材料は、金属酸化物(TiOまたはNb25)を含むものとした。第1コート層および第2コート層の形成には、ミカサ株式会社製SpinCoater MS-A150を用いた。
まず、各アルミニウム基材の第1表面上に、第1コート層となるべき第1コーティング剤を滴下してスピンコート方式によりコートし、その後180℃以上300℃以下の温度で1分以上10分以下焼成した。第1コーティング剤は、第1コート層の主成分に溶剤やバインダーなどを混ぜたものである。これにより、各アルミニウム基材上に第1コート層を形成した。
次に、第1コート層の第2面上に、第2コート層となるべき第2コーティング剤を滴下し、スピンコート方式によりコートし、その後180℃以上300℃以下の温度で1分以上10分以下焼成した。第2コーティング剤は、第2コート層の主成分に溶剤やバインダーなどを混ぜたものである。これにより、各アルミニウム基材および第1コート層上に第2コート層を形成した。
このようにして得られた反射部材の各試料について、第2コート層の第3面の表面粗さRaを測定した。さらに、各試料について、膜厚計を用いて第1コート層および第2コート層の各膜厚を測定した。さらに、各試料について、全反射率を測定した。以下、これらの測定方法について説明する。
[測定方法]
第1面および第3面の表面粗さRaの測定は、セイコーインスツルメンツ株式会社製の走査型プローブ顕微鏡 Nanopics1000を用いて、ダンピング方式(非接触)による表面形状を80μm×80μmの矩形の視野で行った。得られた観察結果に対して、最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングを行う3次曲面自動傾き補正で試料の傾きを補正し、表面粗さRaを測定した。表面粗さRaは、JIS B0601(1982年版)で定義されている中心線平均粗さRaを、観察された表面全体に対して適用できるように三次元に拡張して算出された値である。アルミニウム基材の第1面の表面粗さRaの値、および第2コート層の第3面の表面粗さRaの値を上記表1に示す。
第1コート層および第2コート層の膜厚d1,d2および屈折率N1,N2の測定は、株式会社バイテック製 Filmetrics F20を用いて、反射部材からの反射光における350nm以上1100nm以下の波長範囲での反射率スペクトラムを理論上のスペクトラムと近似する自動マッピング方式で行った。近似計算の精度、すなわち実際に測定したスペクトラムと理論上のスペクトラムとの一致度が95%以上となる膜厚と屈折率とを導出した。第1コート層および第2コート層の各膜厚および屈折率の値を上記表2に示す。
各アルミニウム基材および各反射部材の全反射率の測定は、日本分光株式会社製紫外可視光近赤外分光光度計(V−570型)を用い、スペクトラロン標準反射板(Labsphere社製SRS−99010)をリファレンスとして積分球での全反射率を測定した。全反射率の測定はある一方向(アルミニウム基材の圧延方向)とそれに垂直な方向との2つの方向で行い、得られた2つの測定値の平均値を全反射率として評価した。350nm以上1100nm以下の波長範囲で測定された各アルミニウム基材の全反射率を上記表1に示す。
一方、各反射部材については、まず上記方法により250nm以上2000nm以下の各波長の光に対する全反射率(上記2方向での平均値)を求めた。測定結果から、350nm以上1100nm以下の波長範囲で全反射率(平均値)が極大値となっている波長のうち上記関係式(5)および(6)を満たす2つの波長を、各反射部材の第1波長λ1および第2波長λ2(λ1>λ2)とした。第1波長λ1および第2波長λ2と、第1波長λ1および第2波長λ2での全反射率を上記表2に示す。
[評価結果]
表2および図5〜図12に示されるように、実施例1〜8に係る反射部材は、上記関係式(1)〜(4)を満足しており、かつ第3面の表面粗さRaが10nm以下である。実施例1〜8に係る反射部材では、第1波長λ1およびこれと異なる第2波長λ2の各光に対する反射率が、いずれも90%以上であった。図5〜図12に示されるように、第2波長λ2超え第1波長λ1未満の波長範囲内の第3波長の光に対する全反射率は90%未満(具体的には70%未満)であった。第1波長λ1を含み90%以上の全反射率を示す波長範囲は、第2波長λ2を含み90%以上の全反射率を示す波長範囲よりも広かった。第2波長λ2を含み90%以上の全反射率を示す波長範囲は、50nm以上であった。また、第1波長λ1は、第2波長λ2よりも150nm以上長かった。
これに対し、比較例1〜8では、350nm以上1100nm以下の波長範囲内の2つの波長の各光に対する反射率の少なくとも一方が90%未満であった。比較例1〜8では、350nm以上1100nm以下の波長範囲内で全反射率が90%以上を示す2つ以上の波長が確認されなかった。
図13に示されるように、比較例1では、第1波長λ1(676nm)での全反射率は90%以上であるが、第2波長λ2(457nm)での全反射率は90%未満であった。これは、比較例1の反射部材では、関係式(1)を満足しないため、第3面での反射光、第2面での反射光、および第1面での反射光による干渉の効果が十分に高められていないことが原因と考えられる。
図14に示されるように、比較例2では、第1波長λ1(636nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上当該第1波長λ1未満および第1波長λ1超え1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、上述のように、比較例2の反射部材では、関係式(2)を満足しないため光の干渉作用が小さく、反射率を強調できる波長範囲が350nm以上1100nm以下の波長範囲のなかに1つ以下になると考えられる。
図15に示されるように、比較例3では、第1波長λ1(1132nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、上述のように、比較例3の反射部材では、関係式(2)を満足しないため光の干渉作用が大きくなり過ぎ、全反射率のスペクトラムにおいて高さが低く幅が狭いピークが多数形成されるため、反射率を十分に強調できる波長範囲が350nm以上1100nm以下の波長範囲のなかに1つも形成されなかったと考えられる。
図16に示されるように、比較例4では、第2波長λ2(457nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上当該第2波長λ2未満および第2波長λ2超え1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、比較例4の反射部材では、関係式(3)を満足しないため、350nm以上1100nm以下の波長範囲の長波長側において反射率が十分に強調され得なかったと考えられる。
図17に示されるように、比較例5では、第1波長λ1(633nm)での全反射率は90%以上であるが、第2波長λ2(475nm)での全反射率は90%未満であった。これは、比較例5の反射部材では、関係式(4)を満足しないため、350nm以上1100nm以下の波長範囲の短波長側において反射率が十分に強調され得なかったと考えられる。
図18に示されるように、比較例6では、350nm以上1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、比較例6の反射部材では、第3面の表面粗さRaが10nm超えであるため、第3面に入射した光が拡散反射してしまい、光の干渉作用が小さくなり、350nm以上1100nm以下の波長範囲において反射率が十分に強調され得なかったと考えられる。
図19に示されるように、比較例7では、第1波長λ1(687nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上当該第1波長λ1未満および第1波長λ1超え1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、比較例7の反射部材では、第1面のアルミニウムの純度が99%未満であるために該第1面には晶出物が比較的多く現れており、晶出物によって第1面1Aでの光の反射が阻害されたと考えられる。
図20に示されるように、比較例8では、第1波長λ1(687nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上当該第1波長λ1未満および第1波長λ1超え1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、比較例8の反射部材では、第1面の表面粗さRaが10nm超えであるため、第1面に入射した光が拡散反射してしまい、光の干渉作用が小さくなり、350nm以上1100nm以下の波長範囲において反射率が十分に強調され得なかったと考えられる。
以上の結果より、本実施の形態によって、従来実現しなかった複数の波長範囲において反射率を強調させた反射部材が提供できることが確認された。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
1 アルミニウム基材、1A 第1面、1B 第4面、2 第1コート層、2A 第2面、3 第2コート層、3A 第3面、4 基板、10,11 反射部材。
上記反射部材10は、さらに以下のような特徴を備えていることが好ましい。
好ましくは、アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウム(Al)の純度は99質量%以上である。アルミニウム基材1に鉄(Fe)や銅(Cu)などの不純物が存在する場合、アルミニウムはこれらの不純物と金属間化合物を形成する。該金属間化合物は晶析出物となってアルミニウム基材1の表面である第1面1Aに現れ、第1面1Aに凹凸を生じさせる。第1面1Aに凹凸があると第1面1Aに達した光は第1面1Aで吸収されやすくなる。また、第1面1Aに現れた晶析出物は、第1面1Aでの光の反射を阻害する要因となる。そのため、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が大きいほど、第1面1Aでの全反射率は低下する。アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウムの純度は99質量%未満であると、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が大きくなり、第1面1Aでの全反射率が低下する。一方で、アルミニウム基材1の第1面1Aのアルミニウムの純度は99質量%以上であると、晶析出物が第1面1Aの表面積に占める割合が非常に小さくなるため、または晶析出物が形成されないため、第1面1Aでの全反射率は低下しない。そのため、第1面1Aのアルミニウムの純度は99質量%以上である反射部材10は、第1面1Aのアルミニウムの純度は99質量%未満である反射部材10と比べて、350nm以上1100nm以下の波長範囲において全反射率が大きくなる。
まず、鋳塊が準備される(工程(S11))。具体的には、所定の組成のアルミニウムの溶湯を調製し、アルミニウムの溶湯を凝固させることにより鋳塊を鋳造(例えば半連続鋳造)する。好ましくは、溶湯中の鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)などの金属元素の含有量は、アルミニウム基材1の表面(第1面1A)においてアルミニウムの純度が99質量%以上となるように制御されている。
以下に説明するように本実施の形態の実施例と比較例の反射部材の試料を作製した。まず、表1に示されるアルミニウム純度の異なるA,BおよびCの3種のアルミニウムを用いて、同一の製造方法により実施例1〜8および比較例1〜8のアルミニウム箔としてのアルミニウム基材を作製した。アルミニウム純度Aは99.99質量%以上、アルミニウム純度Bは99.40質量%以上、アルミニウム純度は98.96質量%以上である。さらに、各アルミニウム基材を用いて、表1に示される実施例1〜8および比較例1〜8の反射部材の試料を作製した。
比較例1は、上記関係式(2)〜(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(1)を満足しないものとした。
比較例2,3は、上記関係式(1)、(3)および(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(2)を満足しないものとした。比較例2は上記関係式(2)において(2N1×d1+2N2×d2)が350以下であるものであり、比較例3は上記関係式(2)において(2N1×d1+2N2×d2)が1650以上であるものである。
比較例4は、上記関係式(1)、(2)および(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(3)を満足しないものとした。
比較例5は、上記関係式(1)〜(3)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であり、かつ第1面の表面粗さRaが10nm以下であるが、上記関係式(4)を満足しないものとした。
比較例6は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であるが、第3面の表面粗さRaが10nm超えであるものとした。
比較例7は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第3面の表面粗さRaが10nm以下であるが、第1面のアルミニウム純度が99質量%未満であるものとした。
比較例8は、上記関係式(1)〜(4)を満足し、第1面のアルミニウム純度が99質量%以上であるが、第1面の表面粗さRaが10nm超えであるものとした。
図19に示されるように、比較例7では、第1波長λ1(687nm)での全反射率は90%以上であるが、350nm以上当該第1波長λ1未満および第1波長λ1超え1100nm以下の各波長での全反射率は90%未満であった。これは、比較例7の反射部材では、第1面のアルミニウムの純度が99質量%未満であるために該第1面には晶出物が比較的多く現れており、晶出物によって第1面1Aでの光の反射が阻害されたと考えられる。

Claims (9)

  1. 第1面を有するアルミニウム基材と、
    前記第1面に接して形成されており、かつ、前記第1面と交差する方向において前記第1面から離れた位置にある第2面を有する第1コート層と、
    前記第2面に接して形成されており、かつ、前記交差する方向において前記第2面から離れた位置にある第3面を有する第2コート層とを備え、
    前記第3面の表面粗さRaが10nm以下であり、
    前記第1コート層の屈折率N1、前記第1コート層の膜厚d1、前記第2コート層の屈折率N2、前記第2コート層の膜厚d2、1以上3以下の自然数k1、(k1+1)以上(k1+3)以下の自然数k2、(2×k1)未満の正の奇数h1、および(2×k2)未満の正の奇数h2としたときに、以下の関係式(1)〜(4)を満たす、反射部材。
    (1)0.3<N2−N1
    (2)350<2×N1×d1+2×N2×d2<1650
    (3)(h1−0.3)/(2×k1)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h1+0.3)/(2×k1)
    (4)(h2−0.3)/(2×k2)≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦(h2+0.3)/(2×k2)
  2. 以下の関係式(5)をさらに満たす、請求項1に記載の反射部材。
    (5)0.78≦N1×d1/(N1×d1+N2×d2)≦0.82
  3. 前記アルミニウム基材のアルミニウム純度が99%以上である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の反射部材。
  4. 前記アルミニウム基材の前記第1面の表面粗さRaが10nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射部材。
  5. 前記第1コート層の屈折率N1が1.6未満であり、
    前記第1コート層を構成する材料は、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、および二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射部材。
  6. 前記第2コート層の屈折率N2が1.8以上であり、
    前記第2コート層を構成する材料は、金属酸化物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射部材。
  7. 前記アルミニウム基材は、アルミニウム箔を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射部材。
  8. 前記アルミニウム基材を構成する材料とは異なる材料で構成されている基板をさらに備え、
    前記アルミニウム基材は、前記基板上に形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射部材を製造する方法であって、
    圧延または蒸着により、表面粗さRaが10nm以下とされた前記第1面を有する前記アルミニウム基材を形成する工程と、
    前記アルミニウム基材の前記第1面上に前記第1コート層および前記第2コート層を形成する工程とを備える、反射部材の製造方法。
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