JP6873844B2 - 可視光反射材用アルミニウム部材 - Google Patents

可視光反射材用アルミニウム部材 Download PDF

Info

Publication number
JP6873844B2
JP6873844B2 JP2017126122A JP2017126122A JP6873844B2 JP 6873844 B2 JP6873844 B2 JP 6873844B2 JP 2017126122 A JP2017126122 A JP 2017126122A JP 2017126122 A JP2017126122 A JP 2017126122A JP 6873844 B2 JP6873844 B2 JP 6873844B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coat layer
visible light
aluminum
glossiness
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017126122A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018024018A (ja
JP2018024018A5 (ja
Inventor
一 和栗
一 和栗
光成 大八木
光成 大八木
享 新宮
享 新宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Original Assignee
TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA filed Critical TOYO ALMINIUM KABUSHIKI KAISHA
Publication of JP2018024018A publication Critical patent/JP2018024018A/ja
Publication of JP2018024018A5 publication Critical patent/JP2018024018A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6873844B2 publication Critical patent/JP6873844B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、可視光反射材用アルミニウム部材に関する。なお、本明細書においては、「アルミニウム箔」という用語は、純アルミニウム箔だけでなく、アルミニウム合金箔も含む意味で用いられる。
近年、環境への影響を低減する観点から、太陽光、照明光等の光を効率的に利用することが望まれている。光を効率的に利用するためには、光を最小限のエネルギー損失で正反射させる必要がある。正反射とは、入射角と反射角とが等しく、かつ反射光線が平行光線である反射をいう。
正反射の度合いは、光沢度(JIS Z 8741)によって評価される。光沢度は、被測定対象物の表面に対して光が一方向から特定の角度θ(たとえば60度)で入射されたときに角度θ(たとえば60度)で反射した光の光量によって評価される。
光沢度が高く、かつ、可視光領域での反射率が高い反射材として、銀およびアルミニウムが挙げられる。特に、アルミニウムは、金属の中でも低密度であるため軽量であり、優れた熱伝導性を有しており、比較的安価であり、かつ高い反射率を有している。そのため、アルミニウムは、可視光反射材の用途として注目されている。
国際公開第2015/019960号(特許文献1)には、表面粗さだけでなく、アルミニウム箔表面に存在する晶出物を制御することで、高い光沢度を有する可視光反射材用アルミニウム箔が開示されている。
国際公開第2015/019960号
しかしながら、特許文献1に記載の可視光反射材用アルミニウム箔は冷間圧延により製造されるため、その表面には圧延時に形成された転写筋(ロールマーク)が存在する。そのため、該可視光反射材用アルミニウム箔において、圧延方向と平行な方向(以下、RD方向という)における凹凸は小さく、圧延方向と垂直な方向(以下、TD方向という)における凹凸は大きい。その結果、TD方向から可視光を入射したときの上記可視光反射材用アルミニウム箔の光沢度は、RD方向から可視光を入射したときの当該アルミニウム箔の光沢度よりも低い。すなわち、上記可視光反射材用アルミニウム箔は、光沢度の異方性を有している。
反射材の光沢度の異方性が大きいと、反射材の向きを入射光に応じて指定する必要が生じ、また意匠性が悪くなるという問題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、光沢度が高く、かつ従来の可視光反射材用アルミニウム箔と比べて光沢度の異方性が小さい可視光反射材用アルミニウム部材を提供することにある。
本発明に係る可視光反射材用アルミニウム部材は、第1面を有するアルミニウム箔と、前記第1面に接して形成されており、かつ、前記第1面と交差する方向において前記第1面から離れた位置にある第2面を有する第1コート層と、前記第2面に接して形成されており、かつ、前記交差する方向において前記第2面から離れた位置にある第3面を有する第2コート層とを備える。前記第3面の表面粗さRaが8nm以下である。前記第1コート層の屈折率N1、前記第1コート層の膜厚d1、前記第2コート層の屈折率N2、および前記第2コート層の膜厚d2としたときに、以下の関係式(1)〜(3)を同時に満たす。(1)100<N1×d1<200。(2)400<2N1×d1+2N2×d2<650。(3)0.3<N2−N1。
上記可視光反射材用アルミニウム部材において、好ましくは、屈折率N1が1.3を超え1.6未満である。
上記可視光反射材用アルミニウム部材において、好ましくは、前記第1コート層を構成する材料が、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、および二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
上記可視光反射材用アルミニウム部材において、好ましくは、屈折率N2が1.6を超え2.3未満である。
上記可視光反射材用アルミニウム部材において、好ましくは、第2コート層を構成する材料が金属酸化物を含む。
上記可視光反射材用アルミニウム部材において、好ましくは、アルミニウム箔の前記第1面の表面粗さRaが14.0nm以下である。
本発明によれば、光沢度が高く、かつ従来の可視光反射材用アルミニウム箔と比べて光沢度の異方性が小さい可視光反射材用アルミニウム部材を提供することができる。
本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材を示す概略断面図である。 本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材の製造方法を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材の製造方法における冷間圧延を説明するための断面図である。 本実施の形態に係るアルミニウム箔を説明するための斜視図である。 本実施の形態に係るロールツーロール用アルミニウム箔を説明するための斜視図である。 本実施の形態に係るアルミニウム箔の第1面の表面粗さRzJISの測定結果を示すグラフである。 図6に示すグラフの部分拡大図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
[可視光反射材用アルミニウム部材の構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材10について説明する。可視光反射材用アルミニウム部材10は、アルミニウム箔1と、第1コート層2と、第2コート層3とを備える。
アルミニウム箔1は、第1面1A、および第1面1Aと反対側に位置する第4面1Bを有している。アルミニウム箔1を構成する材料は、アルミニウム(Al)を含む。アルミニウム箔1は、その製造方法において冷間圧延されている。そのため、アルミニウム箔1の表面(第1面1Aおよび第4面1B)には、RD方向X(図4参照)に沿って延びる圧延ロールの転写筋(図示しない)が形成されている。アルミニウム箔1の表面には、転写筋に起因した凹凸が形成されている。圧延ロールの転写筋に起因する凹凸は、例えば、RD方向Xに対して垂直な方向Y(TD方向)の第1面1Aの表面粗さRzJISの値として評価することができる(詳細は後述する)。
第1コート層2は、第1面1Aに接して形成されている。第1コート層2は、第1面1Aと交差する方向において第1面1Aから離れた位置にある第2面2Aを有している。第1面1Aと交差する方向において、第1コート層2において第1面1Aと接している面と第2面2Aとの間の距離が、後述する第1コート層2の膜厚d1である。第2コート層3は、第2面2Aに接して形成されている。
第2コート層3は、第2面2Aと交差する方向において第2面2Aから離れた位置にある第3面3Aを有している。第1面1Aと交差する方向において、第2コート層3において第2面2Aと接している面と第3面3Aとの間の距離が、後述する第2コート層3の膜厚d2である。
第2コート層3の第3面3Aの表面粗さRaは、8nm以下である。第3面3Aの表面粗さRaはJIS B0601(2001年版)およびISO4287(1997年版)で定義されている算術平均粗さRaである。
可視光反射材用アルミニウム部材10において、第1コート層2の屈折率N1、第1コート層2の膜厚d1、第2コート層3の屈折率N2、および第2コート層3の膜厚d2は以下のような3つの関係式を同時に満足する。
関係式(1) 100<N1×d1<200
関係式(2) 400<2N1×d1+2N2×d2<650
関係式(3) 0.3<N2−N1
本発明者らは、上記3つの関係式を同時に満足する可視光反射材用アルミニウム部材10は、上記3つの関係式の少なくとも1つを満足しない従来の可視光反射材用アルミニウム部材と比べ、光沢度が高くかつ光沢度の異方性が小さいことを見出した(詳細は後述する実施例参照)。本発明者らは、関係式(1)〜(3)により特定される構成の作用について以下のように推察している。
可視光反射材用アルミニウム部材10は、関係式(1)を満足する第1コート層2を備えることにより、第2面2Aでの反射光と第1面1Aでの反射光との干渉を利用して、第1面1Aに形成された凹凸が可視光反射材用アルミニウム部材10の光沢度に与える影響を抑えることができる。
具体的には、可視光反射材用アルミニウム部材10は、アルミニウム箔1と、第1コート層2を備えることにより、第1コート層2の第2面2Aに可視光(例えば400nm以上800nm以下の波長域、以下同じ)を入射させたときに第2面2Aでの反射光と、第1面1Aでの反射光との干渉を起こすことができる。このとき、第1コート層2が上記関係式(1)を満足することによって第2面2Aに入射し、第1面1Aで反射する光は転写筋などの凹凸の影響を受けづらくなる。その結果、第1コート層2の第2面2Aに可視光を入射させたときの光沢度の異方性は、関係式(1)を満足しない第1コート層の第2面に可視光を入射させたときに比べて小さくなる。その結果、第1コート層2の第2面2Aに可視光を入射させたときの光沢度の異方性は、関係式(1)を満足しない第1コート層の第2の面に可視光を入射させたときの光沢度の異方性と比べて、小さい。好ましくは、可視光反射材用アルミニウム部材10は、100<N1×d1<170なる関係式(4)を満足する。
さらに、可視光反射材用アルミニウム部材10は、関係式(2)を満足する第1コート層2および第2コート層3を備えることにより、可視光の入射方向に依らず高い光沢度を有している。
具体的には、可視光反射材用アルミニウム部材10は、アルミニウム箔1と、第1コート層2および第2コート層3とを備えることにより、第3面3Aに可視光を入射させたときに第3面3Aでの反射光と、第2面2Aでの反射光と、第1面1Aで反射する光との干渉を起こすことができる。このとき、第1コート層2および第2コート層3が関係式(2)を満足することによって第3面3Aで反射する光と第2面2Aで反射する光と第1面1Aで反射する光が強めあう。この場合、第3面3Aに可視光を入射させたときの光沢度は、関係式(2)を満足しない第1コート層および第2コート層を備えるアルミニウム部材に対し第3面に可視光を入射させたときの光沢度と比べて、可視光の入射方向に依らず等方的に大きくなる。好ましくは、可視光反射材用アルミニウム部材10は、400<2N1×d1+2N2×d2<550なる関係式(5)を満足する。
さらに、可視光反射材用アルミニウム部材10は、関係式(3)を満足する第1コート層2および第2コート層3を備えることにより、可視光の入射方向に依らず高い光沢度を有している。
具体的には、関係式(3)を満足する第1コート層2および第2コート層3を備える可視光反射材用アルミニウム部材10において、第2コート層3の屈折率N2は第1コート層2の屈折率N1よりも十分に大きい。その場合、光の干渉が大きくなるため、第3面3Aで反射する光と第2面2Aで反射する光と第1面1Aで反射する光が強めあう効果が大きくなる。その結果、可視光反射材用アルミニウム部材10の第3面3Aに可視光を入射させたときの光沢度は、関係式(3)を満足しないアルミニウム部材と比べて、高くなる。
このように、関係式(1)〜(3)を同時に満足する可視光反射材用アルミニウム部材10において、光沢度は高く、かつ光沢度の異方性は小さい。
また、可視光反射材用アルミニウム部材10の第3面3Aの表面粗さRaが8nm以下であることにより、第3面3Aでの光沢度は等方的に向上されている。第3面3Aの表面粗さRaは好ましくは7nm以下であり、より好ましくは5nm以下である。
可視光反射材用アルミニウム部材10は以下のような構成をさらに備えているのが好ましい。
好ましくは、第1コート層2の屈折率N1は1.3超え1.6未満である。このような第1コート層2を構成する材料として、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、および二酸化ケイ素(SiO)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。第2コート層3の屈折率N2は1.6超え2.3未満であるのが好ましい。このような第2コート層3を構成する材料として、二酸化チタン(TiO)または酸化ニオブ(Nb)などの金属酸化物を含むことが好ましい。このような第1コート層2および第2コート層3は、塗工により容易に形成され得る。そのため、屈折率N1が1.3超え1.6未満である第1コート層2と、屈折率N2が1.6超え2.3未満である第2コート層3とを備える可視光反射材用アルミニウム部材10は、上記関係式(3)を満たすことができ、かつ容易に製造され得る。
さらに好ましくは、第2コート層3の屈折率N2は1.8超え2.3未満である。この場合、屈折率N2と屈折率N1との差をさらに大きくすることができる。第3面3Aで反射する光と第2面2Aで反射する光と第1面1Aで反射する光が強めあう効果が大きくなる。その中でも、第2コート層3を構成する材料として、二酸化チタン(TiO)を含むことが好ましい。このようにすれば、TiOの屈折率N2は1.8超え2.3未満であるため、屈折率N2と屈折率N1との差をさらに大きくすることができる。さらに、TiOは、光触媒作用および親水性を有している。そのため、第2コート層3を構成する材料がTiOを含む場合、可視光反射材用アルミニウム部材10の第3面3Aは油などの汚れが付着されにくく、汚れの付着に伴う光沢度の低下が起こりにくい。また、TiOは、紫外線を吸収する性質を有する。そのため、第2コート層3を構成する材料がTiOを含む場合、可視光反射材用アルミニウム部材10は、人の肌または目に対する有害な紫外線を反射しにくく、人が活動する領域に配置される可視光反射材に好適である。
第1コート層2の膜厚d1および第2コート層3の膜厚d2は、50nm超え200nm未満であるのが好ましい。可視光反射材用アルミニウム部材10は、第1コート層2の膜厚d1および第2コート層3の膜厚d2が50nm超えである場合、膜厚d1,d2が50nm以下である場合と比べて、第3面3A,第2面2Aおよび第1面1Aでの各反射光の干渉による作用を強めることができる。その結果、膜厚d1,d2が50nm超えである可視光反射材用アルミニウム部材10は、膜厚d1,d2が50nm以下である可視光反射材用アルミニウム部材10と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さい。一方で、膜厚d1,d2が200nm超えである場合、膜厚d1,d2が200nm以下である場合と比べて、第3面3A,第2面2Aおよび第1面1Aでの各反射光の干渉による作用が大きくなり過ぎ、可視光反射材用アルミニウム部材10の光沢度は著しく低下する。可視光反射材用アルミニウム部材10は、膜厚d1,d2が200nm以下である場合、膜厚d1,d2が200nm超えである場合と比べて光沢度の低下を抑えることができる。
より好ましくは、膜厚d1,d2は、70nm超え150nm未満である。可視光反射材用アルミニウム部材10は、第1コート層2の膜厚d1および第2コート層3の膜厚d2が70nm超えである場合、膜厚d1,d2が50nm超え70nm以下である場合と比べて、第3面3A,第2面2Aおよび第1面1Aでの各反射光の干渉による作用を強めることができる。可視光反射材用アルミニウム部材10は、膜厚d1,d2が150nm未満である場合、膜厚d1,d2が150nm以上200nm以下である場合と比べて、第3面3A,第2面2Aおよび第1面1Aでの各反射光の干渉による作用が大きくなり過ぎることを抑制でき、光沢度の低下を抑えることができる。
アルミニウム箔1の第1面1Aの表面粗さRaは14.0nm以下であるのが好ましく、11.0nm以下であるのがより好ましく、10.0nm以下であるのがより好ましい。このようにすれば、第1面1Aに接するように形成される第1コート層2の膜厚d1が上記範囲内において比較的薄く、かつ第1コート層2が塗工により形成される場合にも、塗工ムラおよび塗工抜けの発生を防止することができる。また、第1面1Aの表面粗さRaが11.0nmを超えると、第1面1Aに達した可視光は拡散反射されやすくなるため、第1面1Aで反射された光のうち拡散反射された光が占める割合が大きくなる。拡散反射された光のエネルギー損失は大きい。そのため、第1面1Aの表面粗さRaが11.0nm以下である可視光反射材用アルミニウム部材10は、第1面1Aの表面粗さRaが11.0nm超えである可視光反射材用アルミニウム部材10と比べて、第1面1Aでの拡散反射に起因した光沢度の低下が抑制されている。
アルミニウム箔1は、予め定められた表面積の領域内に存在する晶出物の総表面積が当該領域の表面積に対して2%以下であるのが好ましい。アルミニウム箔1は、上記領域内に存在する上記晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm2以下であるのが好ましい。アルミニウム箔1は、上記領域において、前述の通り、第1面1Aの表面粗さRaが14.0nm以下であることが好ましい。また、アルミニウム箔1は、上記領域において、圧延方向に対して垂直な方向(TD方向)の第1面1Aの表面粗さRzJISが40nm以下であることが好ましい。上記予め定められた領域は、例えば第1面1Aの一部領域である。
晶出物とは、例えば、Al‐鉄(Fe)系、Al‐Fe‐マンガン(Mn)系、Al‐Mg‐珪素(Si)系、Al‐Mn系等の種々の金属間化合物をいう。晶出物の総表面積とは、観察領域を有する面(例えば第1面1A)に対して成す角度が90°±2°の方向(略垂直な方向)から該観察領域を見たときに確認される晶出物の当該方向に垂直な平面への投影面積の総和である。上記晶出物の1個当たりの平均表面積とは、晶出物の上記総表面積を、上記観察領域内に存在する晶出物の個数で除したものである。
晶出物は、アルミニウム箔1の表面である第1面1Aに凹凸を生じさせる。そのため、アルミニウム箔1は、予め定められた表面積の領域内に存在する晶出物の総表面積が当該領域の表面積に対して2%超えであると、第1面1Aでの可視光の光沢度が低下する。晶出物の1個当たりの平均表面積が2μmよりも大きいと、第1面1Aにおいて光沢度が相対的に低い領域が大きくなり、光沢度が低下する。アルミニウム箔1が、予め定められた表面積の領域内に存在する晶出物の総表面積が当該領域の表面積に対して2%以下であり、かつ上記領域内に存在する上記晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm2以下であれば、第1面1A上の凹凸に伴う光沢度の低下を抑制することができる。
なお、予め定められた表面積の領域とは、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)全体であってもよく、また一部であってもよい。ここで、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)とは、アルミニウム箔1の外観において目視、顕微鏡等によって確認され得る表面をいう。第1面1Aの晶出物に関する上記パラメータ、および表面粗さRa,RzJISは、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)を顕微鏡などで観察したときに、それぞれ予め定められた表面積の観察視野内で測定される。第1面1Aの晶出物の総表面積および平均表面積は、例えば光学顕微鏡の予め定められた観察視野内で観察、測定される。第1面1Aの表面粗さRa,RzJISは、例えば原子間力顕微鏡の予め定められた観察視野内で測定される。予め定められた表面積の領域とは、第1面1Aの晶出物の総表面積および平均表面積を測定する際の観察視野、および第1面1Aの表面粗さRa,RzJISを測定する際の観察視野のそれぞれに含まれる領域である。
上記予め定められた領域の平面形状は、任意の形状であればよいが例えば矩形状である。上記予め定められた領域は、晶出物の総表面積および平均表面積を測定する際の光学顕微鏡の予め定められた観察視野内の観察領域と、第1面1Aの表面粗さRa,RzJISを測定する際の原子間力顕微鏡の予め定められた観察領域とを含んでいる。各観察領域は、少なくとも一部が互いに重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
アルミニウム箔1は、上記領域において、第1面1AのRD方向XとTD方向Yの表面粗さRzJISが40nm以下であるのが好ましい。上述のように、圧延ロールの転写筋に起因する凹凸は、第1面1Aの表面粗さRzJISの値として評価することができる。第1面1Aの表面粗さRzJISが40nm以下である場合、第1面1Aに達した可視光は転写筋に起因する凹凸により拡散反射されにくく鏡面反射され易くなるため、可視光反射材用アルミニウム部材10の光沢度の低下を抑制することができる。
なお、第1面1Aの垂直な方向Yの表面粗さRzJISは、垂直な方向Yに沿った断面における2次元でのRzJIS値をJIS B0601(2001年版)およびISO4287(1997年版)に基づいた評価方法で測定される値である。なお、上記の第1面1Aの表面粗さRaとRzJISを得る方法としては、物理的な研磨、電解研磨、化学研磨等の研磨加工、あるいは、表面が鏡面状態である圧延ロールを用いた冷間圧延、等がある。表面が鏡面状態である圧延ロールを用いた冷間圧延については後述する。
アルミニウム箔1の厚みT(図1参照)は4μm以上300μm以下であることが好ましい。アルミニウム箔1の厚みTが4μm未満であると、アルミニウム箔1として機械的強度を維持することができず、製造時のハンドリング等によってアルミニウム箔1にシワが生じ、第1面1Aの表面粗さRa,RzJISが大きくなり、光沢度を低下させる原因となる。アルミニウム箔1の厚みTが300μmを超えると、アルミニウム箔1の重量が増大するだけでなく、成形等の加工に制限が加えられるので好ましくない。さらに好ましくは、アルミニウム箔1の厚みTは6μm以上250μm以下である。アルミニウム箔1の厚みTを上記範囲にするためには、一般的なアルミニウム箔の製造方法に従って鋳造と圧延を行えばよい。
アルミニウム箔1の組成は特に限定されないが、Feの含有量は0.001%質量以上0.5質量%以下であることが好ましい。Feはアルミニウムへの固溶度が小さいため、アルミニウムの鋳造時にFeAl3等の金属間化合物が晶出しやすくなる。これらの晶出物は、アルミニウム素地よりも可視光の反射率が低く、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)の光沢度を低下させる原因になる。Feの含有量が0.5質量%以上になると、添加しているFeが全て晶出した場合、Al‐Fe系金属間化合物としてのFeAl3の晶出量が1.2質量%を超えて存在することになり、光沢度は82.2%よりも低くなる傾向がある。このため、Feの含有量を0.5質量%以下にするのが望ましい。また、Feの含有量が0.001質量%未満であると、アルミニウム箔1の強度が低下する傾向がある。
また、アルミニウム箔1においてMnの含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。Feと同様にMnもアルミニウムへの固溶度が小さいため、アルミニウムの鋳造時にAl‐Fe‐Mn系の化合物等が晶出しやすくなる。Al‐Fe‐Mn系の晶出物は、Al‐Fe系の晶出物よりも微細であるが、これらの晶出物は、アルミニウム素地よりも可視光の反射率が低く、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)の光沢度を低下させる原因になる。マンガンの含有量が0.5質量%以上になると、添加しているMnが全て晶出した場合、Al‐Fe‐Mn系金属間化合物が1.5質量%を超えて存在することになり、光沢度は82.2%よりも低くなる傾向がある。このため、Mnの含有量を0.5質量%以下にするのが望ましい。
さらに、アルミニウム箔1においてSiの含有量は0.001%質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。Siはアルミニウムへの固溶度が大きく晶出物を形成し難いため、アルミニウム箔1において晶出物を生成させない程度の含有量であれば光沢度を低下させることがない。また、Siを含むと固溶強化によってアルミニウム箔1の機械的強度を向上させることができるので、厚みが薄い箔の圧延を容易にすることができる。Siの含有量が0.001質量%未満では、上述の効果を十分に得られない傾向にある。Siの含有量が0.3質量%を超えると、アルミニウム箔1に粗大な晶出物が発生しやすくなり、光沢度が低下するだけでなく、結晶粒の微細化効果も損なわれるため、強度と加工性も低下する傾向にある。
アルミニウム箔1においてMgの含有量は3質量%以下であることが好ましい。Mgはアルミニウムへの固溶度が最大で18質量%と大きく、晶出物の発生が極めて少ないため、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)の光沢度に大きな影響をおよぼすことなく、アルミニウム箔1の機械的強度を改善することができる。しかし、Mgの含有量が3質量%を超えると、アルミニウム箔1の機械的強度が高くなりすぎるので、アルミニウム箔1の圧延性が低下する傾向がある。アルミニウム箔1の好ましい反射特性と機械的強度とを兼ね備えるためには、Mgの含有量を2質量%以下にすることがさらに好ましい。
なお、アルミニウム箔1は、上記の特性と効果に影響を与えない程度の含有量で、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)鉛(Pb)、ナトリウム(Na)等の元素を含んでいてもよい。
[可視光反射材用アルミニウム部材の製造方法]
次に、本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材10の製造方法の一例について説明する。図2に示されるように、可視光反射材用アルミニウム部材10の製造方法は、鋳塊を準備する工程(S10)、鋳塊に均質化熱処理を行う工程(S20)、鋳塊を熱間圧延する工程(S30)、熱間圧延により得られた熱延材を冷間圧延する工程(S40)、冷間圧延により得られた冷延材を最終仕上げとして冷間圧延(以下、最終仕上げ冷間圧延という)してアルミニウム箔1を形成する工程(S50)と、最終仕上げ冷間圧延により得られたアルミニウム箔1上に第1コート層2を形成する工程(S60)と、第1コート層2上に第2コート層3を形成する工程(S70)とを備える。
まず、鋳塊が準備される(工程(S10))。具体的には、所定の組成のアルミニウムの溶湯を調製し、アルミニウムの溶湯を凝固させることにより鋳塊を鋳造(例えば半連続鋳造)する。好ましくは、溶湯中のFe、Mn、Siなどの金属元素の含有量は、アルミニウム箔1の表面(第1面1A)において予め定められた表面積の領域内に存在する晶出物の総表面積が、当該領域の表面積に対して2%以下となり、かつ晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm2以下となるように制御されている。
次に、得られた鋳塊が均質化熱処理される(工程(S20))。均質化熱処理は、たとえば加熱温度を400℃以上630℃以下、加熱時間を1時間以上20時間以下とする条件で行われる。
次に、鋳塊が熱間圧延される(工程(S30))。本工程により、所定の厚みW1を有する熱延材が得られる。熱間圧延は、1回または複数回行われてもよい。なお、連続鋳造によって薄板のアルミニウム鋳塊を製造する場合には、当該薄板状の鋳塊は本工程を介さずに冷間圧延されてもよい。
次に、熱間圧延により得られた熱延材が冷間圧延される(工程(S40))。本工程により、所定の厚みW2を有する冷延材(最終仕上げ冷間圧延工程(S50)における被圧延材)が得られる。本工程において、冷間圧延はたとえば中間焼鈍工程を挟んで複数回行われる。たとえば、まず熱延材に対し第1冷間圧延工程(S40A)を実施して熱延材の厚みW1よりも薄く冷延材の厚みW2よりも厚い圧延材を形成する。次に、得られた圧延材に対し中間焼鈍工程(S40B)を施す。中間焼鈍は、例えば焼鈍温度を50℃以上500℃以下、焼鈍時間を1秒以上20時間以下とする条件で行われる。次に、焼鈍後の圧延材に対し第2冷間圧延工程(S40C)を実施して厚みW2の冷延材を形成する。
次に、図2および図3に示されるように、冷延材(被圧延材11)が最終仕上げ冷間圧延される(工程(S50))。本工程では、圧延ロール101,102を用いて圧下率が35%以上の条件で被圧延材11を最終仕上げ冷間圧延する。圧延ロール101,102は被圧延材と接触して圧延するロール面を有している。被圧延材11を挟んで配置される一対の圧延ロール101,102のうち、少なくとも一方の圧延ロール101のロール面の表面粗さRaが40nm以下である。表面粗さRaが40nmより大きい圧延ロールを用いて被圧延材11を圧延すると、得られたアルミニウム箔1は第1面1AのRD方向Xに対して垂直な方向Yの表面粗さRzJISが40nmよりも大きくなり、第1面1Aの表面粗さRaも14.0nmを超えてしまう。最終仕上げ冷間圧延工程で使用する圧延ロールの表面粗さRaは、できるだけ小さいことが好ましく、より好ましくは30nm以下である。
最終仕上げ冷間圧延に使用される圧延油の種類は特に限定されないが、圧延油の粘度は低い方が好ましい。圧延油の粘度は、油温度が37.8℃(100°F)の時に1.7cSt以上3.5cSt以下であることが好ましく、より好ましくは2.0cSt以上3.0cSt以下である。本工程(S50)により、アルミニウム箔1が得られる。アルミニウム箔1の第1面1Aは、本工程(S50)において表面粗さRaが40nm以下である圧延ロールにより圧延されることにより形成されている。
次に、最終仕上げ冷間圧延により得られたアルミニウム箔1の第1面1Aに接するように、第1コート層2が形成される(工程(S60))。このとき、第1コート層2は、屈折率N1および膜厚d1が上記関係式(1)〜(3)を満足するように形成される。第1コート層2の形成方法は、任意の方法を採用し得るが、例えばスピンコーティング、バーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、およびダイコーティングなど、コーティング剤を塗工する方法のうちから選択される少なくとも1つであってもよい。また、第1コート層2の形成方法は、イオンプラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、蒸着処理、およびめっき処理などの群から選択される少なくとも1つの方法であってもよい。第1コート層2は、本工程(S60)において上記のような方法により第1面1A上に形成された皮膜が焼成されることにより形成されてもよい。
次に、第1コート層2の第2面2Aに接するように、第2コート層3が形成される(工程(S70))。このとき、第2コート層3は、屈折率N2および膜厚d2が上記関係式(2),(3)を満足するように形成される。第2コート層3の形成方法は、任意の方法を採用し得るが、例えばスピンコーティング、バーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、およびダイコーティングなど、コーティング剤を塗工する方法のうちから選択される少なくとも1つであってもよい。また、第2コート層3の形成方法は、イオンプラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、蒸着処理、およびめっき処理などの群から選択される少なくとも1つの方法であってもよい。第2コート層3は、本工程(S70)において上記のような方法により第2面2A上に形成された皮膜が焼成されることにより形成されてもよい。
このようにして、図1に示される可視光反射材用アルミニウム部材10を得ることができる。工程(S50)において最終仕上げ冷間圧延に用いられる圧延ロール101の表面粗さRaを40nm以下とし、かつ、工程(S60)および工程(S70)において上記関係式(1)〜(3)を満足するように第1コート層2および第2コート層3が形成されることにより、第3面3Aの表面粗さRaを8nm以下とすることができる。
最終仕上げ冷間圧延工程における圧下率が35%以上である理由は以下のとおりである。一般的に圧下率が低くなると、圧延ロールと被圧延材との間に噛み込まれる圧延油膜量が増える傾向にある。そのため、低い圧下率で最終仕上げ冷間圧延を行った場合、被圧延材の表面に圧延油が押し込まれることにより、当該表面には深さ数十〜数百nmの複数のオイルピットが形成される。その結果、得られた冷延材の表面には、オイルピットに起因した凹凸が多数形成されている。特に、35%よりも小さい圧下率で圧延を行うと、得られるアルミニウム箔1の第1面1Aの表面粗さRaは、オイルピットによる凹凸に大きく影響され、14.0nmを超えてしまう。圧下率の上限値は、特に限定されないが、好ましくは60%である。60%を超える圧下率では圧延性が悪くなる。さらに、60%超えの圧下率では、圧延中のせん断力が高くなり、冷延材の表面の一部が切り裂かれやすくなる。圧延中に冷延材から切り裂かれたアルミニウム粒子は、外径が数百nm〜数μmである。アルミニウム粒子の少なくとも一部は、圧延中に冷延材に圧入または付着されてアルミニウム箔1の表面に凹凸を形成する。その結果、アルミニウム箔1の当該表面は光沢度が低下する。これに対し、工程(S50)において35%以上60%以下の圧下率で冷間圧延されたアルミニウム箔1は、第1面1A上においてオイルピットおよびアルミニウム粒子に起因した凹凸の形成が抑制されている。
好ましくは、第1コート層2を形成する工程(S60)の前に、最終仕上げ冷間圧延工程(S50)により得られたアルミニウム箔1の第1面1Aは洗浄される。該洗浄は、第1面1Aに付着されている圧延油および上記アルミニウム粒子を除去または縮小させることができ、かつ、第1面1Aの平滑性を低下させないような条件で、実施される。洗浄には、例えば酸性溶液またはアルカリ性溶液が用いられる。酸性溶液は、例えば、フッ酸、リン酸、塩酸、および硫酸などの強酸性溶液から選択され得る。アルカリ性溶液は、例えば水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性溶液から選択され得る。アルミニウム箔1の第1面1A上に圧延油、アルミニウム粒子などが残存している場合には、可視光反射材用アルミニウム部材10の光沢度が低下する。そのため、第1コート層2を形成する工程(S60)の前に第1面1Aに対し上記のような洗浄工程が実施されることにより、可視光反射材用アルミニウム部材10は、第1面1Aへの付着物に起因した光沢度の低下が抑制され得る。
なお、上記のような第1コート層2および第2コート層3は、例えばロールツーロールプロセスにより形成されてもよい。この場合、図5に示されるように、アルミニウム箔1は、巻芯4にロール状に巻き付けられて、ロールツーロール用アルミニウム箔5を構成していてもよい。
上述のように、アルミニウム箔1は、文字通り「箔」であって、一般的に厚みが500μm程度以上となる「アルミニウム板」とは異なり以下のような種々のメリットを有する。すなわち、アルミニウム箔1は、軽量化に特に優れるとともに成形加工が容易であり、またアルミニウム板では困難である湾曲物への貼り付け等の形状追従性やフレキシブル性を示すというメリットがある。また、廃棄物の減量につながる等、環境に対する負荷の面でもアルミニウム板に対するメリットを有する。
可視光反射材用アルミニウム部材10は、アルミニウム箔1を備えることにより、任意の形状に成形し得る。具体的には、張り出し成形加工または深絞り成形加工によって任意の形状に加工してもよく、あるいは、折り曲げ加工または湾曲加工によって目的に応じた形状に加工してもよい。
なお、このような成形加工を容易に実施可能とするために、最終仕上げ冷間圧延工程(S50)後に、アルミニウム箔1に対して250℃以上450℃以下程度の温度で1時間以上30時間以下程度の熱処理を実施してもよい。上記洗浄工程を実施する場合には、該熱処理工程は、上記洗浄工程の前に実施されてもよいし、後に実施されてもよい。
本実施の形態に係る可視光反射材用アルミニウム部材10は、上記のメリットを活かし、照明機器の反射材、住宅等の採光用反射材、ストロボ反射材、ソーラークッカー(太陽光の集光による調理器具用反射材)、包装材、鏡、装飾材等の用途に好適に利用することができる。
以下に説明するように本発明の実施例と比較例のアルミニウム箔の試料を作製した。
表1に示される組成AおよびBのアルミニウムを用いて、表2および表3に示される製造方法に従って、表3に示される実施例1〜9および比較例1〜17のアルミニウム箔の試料を作製した。さらに、アルミニウム箔の各試料を用いて、表4に示される製造方法に従って、表4に示される実施例1〜9および比較例1〜17の可視光反射材用アルミニウム部材の試料を作製した。なお、表1において「その他元素計」とは、JISで規定される元素以外の不可避不純物元素(B、Bi、Pb、Naなど)の合計含有量を示す。
Figure 0006873844
Figure 0006873844
Figure 0006873844
Figure 0006873844
DC(Direct Casting)鋳造によって表1に示される組成を有するアルミニウムの鋳塊を作製し、該鋳塊を加熱炉にて表2に示される温度と時間で均質化熱処理を行った。その後、厚みが約6.5mmになるまで熱間圧延を行った。得られた熱間圧延材を用いて複数回の冷間圧延を行い、厚みが所定の値Tになるまで冷間圧延(最終仕上げ冷間圧延を含む)を行い、アルミニウム箔の試料を作製した。この際、最終仕上げ冷間圧延において表面粗さRaが40nmの圧延ロールを使用し、35%の圧下率で圧延を行った。さらに、表3に示されるように、実施例3〜9と比較例3〜17については、仕上げ冷間圧延後、35℃で1質量%の水酸化ナトリウム溶液に20秒間浸漬させ、表面を洗浄した。
得られたアルミニウム箔の各試料について、光学顕微鏡にて表面状態を観察し、晶出物の表面積と1個当たりの平均表面積を測定した。また、アルミニウム箔の各試料について表面凹凸を評価するために原子間力顕微鏡による観察に基づいて第1面の表面粗さRaと圧延方向に対して垂直な幅(TD)方向の第1面の表面粗さRzJISの値を測定した。以下、これらの測定方法について説明する。
光学顕微鏡観察は、ニコン株式会社製のECLIPSE L200を用い、500倍の倍率にてアルミニウム箔の表面を観察した。得られた174μm×134μmの矩形の視野における表面観察画像より、晶出物とアルミニウム素地とを2値化して、視野内に存在するすべての晶出物の表面積を測定した。個々の晶出物の表面積の測定値と視野の表面積とから、視野の表面積に対するすべての晶出物の総表面積の割合を算出した。さらに、個々の晶出物の表面積の測定値と視野内で観察される晶出物の個数とから、晶出物の1個当たりの平均表面積を算出した。表面観察画像は試料の幅方向で中央部付近を5点取り、それぞれの視野内ごとに算出した晶出物の総表面積の割合と晶出物の1個当たりの平均表面積について5点の平均値を表3に示す。なお、厳密には視野中に析出物が存在する可能性も否定できないが、本明細書においては、視野中で観察された金属間化合物はすべて晶出物とした。
原子間力顕微鏡による表面凹凸の観察は、株式会社日立ハイテクサイエンス製の走査型プローブ顕微鏡AFM5000IIを用いて、ダイナミックフォースモード方式(非接触)による表面形状を80μm×80μmの矩形の視野で行った。得られた観察結果に対して、最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングを行う3次曲面自動傾き補正で試料の傾きを補正し、第1面の表面粗さRaと圧延方向に対して垂直な幅方向(TD方向)の第1面の表面粗さRzJISとを測定した。第1面の表面粗さRaは、JIS B0601(2001年版)およびISO4287(1997年版)で定義されている算術平均粗さRaである。幅方向(TD方向)の第1面の表面粗さRzJISは、同視野内の任意の幅方向(TD方向)の断面における2次元でのRzJIS値をJIS B0601(2001年版)およびISO4287(1997年版)に基づいた評価方法で測定した。アルミニウム箔の第1面の表面粗さRa,RzJISの値を表3に示す。また、図6および図7は、TD方向での第1面の表面粗さRzJISの測定結果を示す。図6および図7に示されるように、本実施例のアルミニウム箔と同等の圧延条件により製造されたアルミニウム箔に形成された転写筋は、幅が1μm以上5μm以下、深さが10nm以上40nm以下の大きさを有していた。
上記アルミニウム箔の各試料を基材として、表4に示されるような第1コート層、または第1コート層および第2コート層を形成し、表4に示される実施例1〜9および比較例6〜17の可視光反射材用アルミニウム部材の試料を作製した。第1コート層を構成する材料は、SiO系材料(表4中種類D)またはアクリル系材料(表4中種類E)とした。第2コート層を構成する材料は、TiO系材料(表4中種類F)とした。
なお、比較例1〜5の可視光反射材用アルミニウム部材は、第1コート層および第2コート層が形成されていないアルミニウム箔とした。
第1コート層および第2コート層の形成は、ミカサ株式会社製SpinCoater MS-A150を用いて行った。具体的には、まず、表4中の種類の欄に示された主成分
にバインダーが混ぜられ、固形分濃度が10質量%以下になるよう溶剤で希釈されたコーティング剤が準備された。次に、上記アルミニウム箔の試料に、当該コーティング剤を滴下し、スピンコーティングにより500rpm以上2000rpm以下のスピードで10秒間コート後、180℃の温度で1分焼成することにより形成した。
得られた可視光反射材用アルミニウム部材の各試料について、上述の測定方法で第2コート層の第3面の表面粗さRaを測定した。また、膜厚計を用いて、第1コート層および第2コート層の膜厚及び屈折率を測定した。また、光沢計を用いて、光沢度と光沢度の異方性を評価した。以下、これらの測定方法について説明する。
第1コート層および第2コート層の各々の屈折率N1,N2および膜厚d1,d2の測定は、株式会社バイテック製Filmetrics F20を用い、以下のような測定方法により行った。可視光反射材用アルミニウム部材の上記第3面に可視光を照射したときに得られた反射光から、400nmから1100nmまでの波長範囲での反射率スペクトラムを得た。得られた反射率スペクトラムとの一致度が95%以上となる理論上のスペクトラムに基づき、膜厚と屈折率とを導出した。第1コート層および第2コート層の屈折率N1,N2および膜厚d1,d2の値を表4に示す。
光沢度の測定は、日本電色工業株式会社製Gloss meter VG7000を用い、可視光の入射角を60°として測定した。実施例1〜9および比較例1〜17の各可視光反射材用アルミニウム部材に対し、アルミニウム箔の圧延方向(RD方向)と圧延方向に対して垂直な方向(TD方向)との2方向の光沢度を測定した。2方向における光沢度の平均値を算出した。RD方向の光沢度からTD方向の光沢度を引いた値として、光沢度の異方性を評価した。光沢度および光沢度の差を表4に示す。
表4に示されるように、実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、第2コート層の第3面の表面粗さRaが8nm以下であり、かつ第1コート層の屈折率N1、膜厚d1および第2コート層の屈折率N2、膜厚d2が上記関係式(1)〜(3)を満足する。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が87.3%以上であり、かつ光沢度の差が1.0%以下であった。つまり、実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、可視光反射材として十分に高い光沢度を有し、かつ光沢度の異方性が十分に小さい。
これに対し、第1コート層および第2コート層が形成されておらず、上記関係式(1)〜(3)を満足しない比較例1〜5の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が87.2%以下であり、かつ光沢度の差が1.1以上であった。つまり、実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例1〜5の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さいことが確認された。
第1コート層のみが形成され、第2コート層が形成されておらず、上記関係式(1)〜(3)を満足しない比較例6の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が85.7%であり、かつ光沢度の差が1.1%であった。つまり、実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例6の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さいことが確認された。
第1コート層のみが形成され、第2コート層が形成されておらず、上記関係式(2),(3)を満足しない比較例7の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が74.2であり、かつ光沢度の差が0.2%であった。比較例7の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(1)のみを満足することにより、上述のように第2面で反射する光と第1面で反射する光とが干渉して弱めあうと考えられる。その結果、比較例7の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の異方性は小さいが、光沢度が低いと考えられる。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例7の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高いことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されており、かつ、上記関係式(1)〜(3)を満足するが、第2コート層の第3面の表面粗さRaが8.0nm超えである比較例8の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が82.7%であり、かつ光沢度の差が1.5%であった。つまり、実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例8の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さいことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されており上記関係式(2)および(3)を満足するが、上記関係式(1)を満足しない比較例9,10の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が87.6%以下であり、かつ光沢度の差が1.1%であった。比較例9,10の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(1)を満足しないため、上述のように第2面で反射する光と第1面で反射する光とが干渉して十分に弱めあっていないため、第1面に形成された転写筋が光沢度に与える影響を十分に小さくできていないと考えられる。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例9,10の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度の異方性が小さいことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されており上記関係式(1)および(3)を満足するが、上記関係式(2)を満足しない比較例11,12,16の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が86.9%以下であり、かつ光沢度の差が0.7%以上であった。比較例11,12,16の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(2)を満足しないため、上述のように可視光の入射方向に依らず光沢度が向上されていないと考えられる。実施例1〜8の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例11,12,16の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高いことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されており上記関係式(1)および(2)を満足するが、上記関係式(3)を満足しない比較例13,14の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が86.1%以下であり、かつ光沢度の差が0.4%以上であった。比較例13,14の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(3)を満足しないため、上述のように可視光の入射方向に依らず光沢度が向上されていないと考えられる。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例13,14の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高いことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されており上記関係式(3)を満足するが、上記関係式(1),(2)を満足しない比較例15の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が83.6%であり、かつ光沢度の差が1.1%であった。比較例15の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(1),(2)を満足しないため、上述のように第1面に形成された転写筋が光沢度に与える影響を十分に小さくできておらず、かつ光沢度が向上されていないと考えられる。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例15の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さいことが確認された。
第1コート層および第2コート層が形成されているが、上記関係式(1)〜(3)を満足しない比較例17の可視光反射材用アルミニウム部材は、光沢度の平均値が80.8%であり、かつ光沢度の差が1.2%であった。比較例17の可視光反射材用アルミニウム部材は、関係式(1)〜(3)を満足しないため、上述のように第1面に形成された転写筋が光沢度に与える影響を十分に小さくできておらず、かつ光沢度が向上されていないと考えられる。実施例1〜9の可視光反射材用アルミニウム部材は、比較例17の可視光反射材用アルミニウム部材と比べて、光沢度が高く、かつ光沢度の異方性が小さいことが確認された。
以上の結果より、本発明によって、従来実現しなかった可視光に対し高い反射率を有しているアルミニウム箔を得ることができたことがわかった。
なお、上記実施例に示す各試料の製造条件は、可視光反射材用アルミニウム部材10の製造方法の一例であって、これに限定されるものではない。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
1 アルミニウム箔、1A 第1面、1B 第4面、2 第1コート層、2A 第2面、3 第2コート層、3A 第3面、4 巻芯、5 ロールツーロール用アルミニウム箔、10 可視光反射材用アルミニウム部材、11 被圧延材、101,102 圧延ロール。

Claims (6)

  1. 第1面を有するアルミニウム箔と、
    前記第1面に接して形成されており、かつ、前記第1面と交差する方向において前記第1面から離れた位置にある第2面を有する第1コート層と、
    前記第2面に接して形成されており、かつ、前記交差する方向において前記第2面から離れた位置にある第3面を有する第2コート層とを備え、
    前記第3面の表面粗さRaが8nm以下であり、
    前記第1コート層の屈折率N1、前記第1コート層の膜厚d1、前記第2コート層の屈折率N2、および前記第2コート層の膜厚d2としたときに、以下の関係式(1)〜(3)を同時に満たし、
    前記第1コート層の膜厚d1および前記第2コート層の膜厚d2の各々が、70nm超え150nm未満である、可視光反射材用アルミニウム部材。
    (1)100<N1×d1<200
    (2)400<2N1×d1+2N2×d2<650
    (3)0.3<N2−N1
  2. 前記屈折率N1が1.3を超え1.6未満である、請求項1に記載の可視光反射材用アルミニウム部材。
  3. 前記第1コート層を構成する材料は、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、および二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の可視光反射材用アルミニウム部材。
  4. 前記屈折率N2が1.6を超え2.3未満である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の可視光反射材用アルミニウム部材。
  5. 前記第2コート層を構成する材料は金属酸化物を含む、請求項4に記載の可視光反射材用アルミニウム部材。
  6. 前記アルミニウム箔の前記第1面の表面粗さRaが14.0nm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の可視光反射材用アルミニウム部材。
JP2017126122A 2016-07-27 2017-06-28 可視光反射材用アルミニウム部材 Active JP6873844B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016147174 2016-07-27
JP2016147174 2016-07-27

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018024018A JP2018024018A (ja) 2018-02-15
JP2018024018A5 JP2018024018A5 (ja) 2018-04-12
JP6873844B2 true JP6873844B2 (ja) 2021-05-19

Family

ID=61193517

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017126122A Active JP6873844B2 (ja) 2016-07-27 2017-06-28 可視光反射材用アルミニウム部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6873844B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001083309A (ja) * 1999-09-09 2001-03-30 Matsushita Electric Works Ltd 反射鏡
JP2003114313A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Kiyousera Opt Kk 反射鏡およびこれを用いた映像プロジェクタ装置
JP2005071883A (ja) * 2003-08-26 2005-03-17 Yuka Denshi Co Ltd 面光源装置及びそれを用いた表示装置
JP2007076347A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 O-Well Corp 耐熱性光干渉反射構造体
WO2015019960A1 (ja) * 2013-08-05 2015-02-12 東洋アルミニウム株式会社 可視光反射材用アルミニウム箔とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018024018A (ja) 2018-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6794426B2 (ja) 紫外線反射材用アルミニウム箔
TWI629117B (zh) Aluminum foil for visible light reflecting material and method of producing the same
JP6713932B2 (ja) アルミニウム箔、電子デバイス、ロールツーロール用アルミニウム箔、およびアルミニウム箔の製造方法
JP2003532925A (ja) 反射器
JP6322294B2 (ja) 型の製造方法および反射防止膜の製造方法
EP2418521A2 (en) A method of making a temperature resistant highly reflective aluminium based surface for solar reflector applications and reflector parts made thereof
JP6309081B2 (ja) 型の製造方法および反射防止膜の製造方法
JP2018123403A (ja) 反射防止膜、反射防止膜の製造方法、型および型の製造方法
JP6873844B2 (ja) 可視光反射材用アルミニウム部材
CN110248753B (zh) 镁合金构件
JP6968542B2 (ja) アルミニウム箔積層体およびその製造方法
JP7065087B2 (ja) アルミニウム積層体およびその製造方法
JP6912229B2 (ja) 反射部材およびその製造方法
TWI758563B (zh) 鋁積層體及其製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180302

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200430

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6873844

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250