JP4816183B2 - 光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム及びそれを用いたハードコートフィルム - Google Patents

光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム及びそれを用いたハードコートフィルム Download PDF

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本発明は光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムに関し、詳しくはハードコート積層時の干渉色むらを低減し、ハードコートとの耐湿密着性を煮沸試験に耐えうるレベルまで向上させ、かつハードコートを設置しない状態での加熱時析出するオリゴマーの大きさを小さく抑えることのできる光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは、ハードコートフィルムとしてタッチパネルや反射防止フィルムに好適に使用できるようにするための光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステル(PET、PENなど)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、非晶性ポリオレフィン(非晶PO)などの透明プラスティックフィルムは、ガラスと比べて、軽量・割れにくい・曲げられるといった好適な性質を持つため、液晶ディスプイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用部材や、銘板、窓貼りフィルムの基材として用いられている。中でも、二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有する上に、他の透明プラスティックフィルムに比べて、汎用性が高く、コストメリットに大きな優位性があるため、かかる用途に好適に用いられている。
しかし、二軸延伸ポリエステルフィルム単体では達成できない物性を要求する用途もある。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムは表面硬度が低く、また、耐摩耗性も不足しているため、フラットパネルディスプレイの保護フィルムや反射防止フィルム、タッチパネル、表示板、銘板、窓貼りフィルムなど、物品の表面に貼られる用途の場合、鋭利な物体との接触や摩擦などによって表面に損傷を受けやすい。このため、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面にハードコート層を設け、耐スクラッチ性、耐摩耗性を向上させることが知られている(例えば、特許文献1など)。このハードコート層としては、硬度や耐久性、生産性の点でアクリル系ハードコートが好適に用いられているが、反射防止フィルム、タッチパネル、銘板、窓貼りフィルムなどの基材として用いられる場合、ハードコート層にも透明性が要求される。かかる構成を有する従来のフィルムとして、例えば、特許文献2のフィルムが挙げられる。これは、実質的に外部粒子を含まない高透明な二軸延伸ポリエステルフィルムに積層膜を施してハードコート層との接着性を向上させた、耐久性に優れた高透明表面保護フィルムに関する発明である。他には、二軸延伸ポリエステルフィルムは耐候性がなく、窓貼りフィルム、農業用フィルムといった屋外での物品の表面に長期使用される場合、アクリル系バインダーに紫外線吸収剤を含んだ層を二軸延伸ポリエステルフィルム上に積層することが検討されている(特許文献3参照)。
しかし、前述した従来の技術をタッチパネル用途や反射防止フィルム用途に用いる場合には次の3点の問題点がある。
1つ目は干渉色むらに関してである。二軸延伸ポリエステルフィルムの面方向屈折率は一般的に1.66程度あり、アクリル系樹脂層の屈折率は一般的に1.5程度である。この屈折率差のため、二軸延伸ポリエステルフィルムとアクリル系樹脂層の界面で干渉が生じ、積層フィルム表面に色斑感が発生する。この色斑感は、積層フィルムが透明なほど、そして、太陽光や白熱灯より三波長蛍光灯という特殊な蛍光灯下で感知される。一方、屈折率が1.5程度あるトリアセチルセルロースフィルムの場合、アクリル系樹脂層を設けても屈折率差がないため、色斑は生じないが、コストが高く、取り扱い性も悪い。現在では、コストの安い二軸延伸ポリエステルフィルムを使用したハードコートフィルムにおいて、この干渉色むらに関しては強い改良要望がある。
2つ目には耐湿性に関してである。具体的には積層ポリエステルフィルムとハードコートの接着の耐湿性に関してであり、特に携帯用機器に用いられるハードコートフィルムに強く求められる。携帯用機器は浴室、高温多湿地域、寒冷地での結露等にも耐えうる耐湿性が要求される。これまでは250時間〜500時間にも及ぶ耐湿性検査が実施されていたが、検査工数の短縮及び究極の耐湿性を求めるため、昨今では煮沸試験が課されるようになってきている。公知例としては、積層膜に水分散性ポリエステル樹脂を使用しながら高温耐湿性の改良を施した例が開示されているが(特許文献4参照)、煮沸試験に耐えうるものではなかった。
3つ目には加熱時に積層フィルムの表面にオリゴマーが析出する事である。特にタッチパネル用途に用いられる場合には、電極となるITO導電膜を形成する際に100〜200℃の温度がかけられる。その場合にポリエステルフィルムから発生するオリゴマーによって、ITO導電膜の導電不良になったり、オリゴマーが輝点欠点となってディスプレイ上で見える、ヘイズが上がるといった不具合が生じる。反射防止フィルムの場合はそれほど強い加熱を一度に受けるわけではないが、高温地域でのオリゴマー析出、長期保管時の経時オリゴマー析出で、同様な不具合を生じる場合がある。オリゴマーに関する公知例としては多数あり光学フィルム用途としても、積層膜を施すことでオリゴマー析出を防止できるとする特許が存在するが(特許文献5参照)、積層膜についての詳細記載はなく、積層膜の構成についての鋭意検討無しには本用途には適用できなかった。
特開2000−214791号公報 特開平9−157420号公報 特開2001−232730号公報 特開平9−85919号公報 特開昭61−162337号公報
本発明の目的は、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた透明積層フィルム従来の利点を有したまま、ハードコート加工時の干渉色むらの軽減と接着性の煮沸試験耐性の向上、加熱時の加熱析出オリゴマーの低減を実現する光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する事にある。
すなわち、本発明は、
(1)積層膜(A)を有する光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
積層膜(A)が2種類のポリエステル樹脂(a)と(b)を含み、それぞれのガラス転移点Tg(a),Tg(b)が下記範囲であり、
ポリエステル樹脂(a)と(b)が下記構成であり、
積層膜(A)が、積層膜(A)全体を100wt%として、ポリエステル樹脂(a)と(b)を合わせて50wt%以上83wt%以下含み、メラミン系架橋剤を15wt%以上48wt%以下、オキサゾリン系架橋剤を2wt%以上35wt%以下含む、
光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
[ポリエステル樹脂(a)]
105℃≦Tg(a)≦135℃。
酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とSSIA(ソディウム・スルホネート・
イソフタル酸)を含み、ジオール成分にエチレングリコールを含み、酸性分中のSSIAの含有モル比率が、酸性分全体を50として、2/50〜15/50の範囲内とする。
[ポリエステル樹脂(b)]
65℃≦Tg(b)≦95℃。
酸成分にテレフタル酸とトリメリット酸を含み、ジオール成分にエチレングリコール
を含み、酸性分中のトリメリット酸の含有モル比率が、酸性分全体を50として、2/50〜20/50の範囲内とする。
(2)屈折率が1.55〜1.62かつ膜厚が50〜150nmの積層膜(A)を有し、
積層膜(A)上に屈折率が1.45〜1.55のハードコートを積層した後の該面の450〜600nmにおける分光反射率のリップルの振幅が2.0%以下、かつ1時間煮沸後のハードコート密着力が90%以上、積層膜(A)上にハードコートを積層しない状態での150℃60分加熱後の積層膜(A)上に析出するオリゴマー粒1つ当たりのサイズが面積換算で30μm以下であることを特徴とする光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム、
(3) (1)または(2)に記載の光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムにハードコートを積層させたハードコートフィルム、
である。
本発明によって、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた透明積層フィルム従来の利点を有したまま、ハードコート加工時の干渉色むらの軽減と接着性の煮沸試験耐性の向上、加熱時の加熱析出オリゴマーの低減を実現する光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができた。
本発明における光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムとは、ポリエステルの基材フィルムの上に積層膜(A)が片面もしくは両面に設けられたものである。以下に本発明における積層膜(A)について述べる。
ハードコート後の干渉色ムラを低減するためには、積層膜(A)上に屈折率が1.45〜1.55のハードコートを積層した後の450〜600nmにおける分光反射率のリップルの振幅が2.0%以下であることが必要であり、更に好ましくは1.5%以下である。この範囲であれば、色むらの差が小さく目立たなくなり、ディスプレイ上で人間の目で検知されないレベルとなる。二軸延伸ポリエステルフィルム上に数μm程度のアクリル系樹脂からなるハードコート層を設けた場合、ハードコート層表面の分光反射率にリップルと呼ばれるうねりが生じる(図2)。二軸延伸ポリエステルフィルムの面方向平均屈折率は1.66程度であり、アクリル系ハードコート層の屈折率は1.50程度であるため、両者の屈折率差は0.16程度と大きく、リップルの振幅が大きく、結果、反射率のムラすなわち色斑が顕著になる。特に、ある特定の狭い波長範囲で発光する三波長蛍光灯の場合、かかる狭い発光波長範囲では、ハードコート層の膜厚変動により生じるリップルの変動と発光波長領域のズレが大きくなり、色斑が助長される。そこで、かかる二軸延伸ポリエステルフィルムとハードコート層の間に、両者の屈折率の中間程度の屈折率を有する積層膜(A)を設けることでリップルの振幅を軽減することを可能とするものである。
すなわち、積層膜(A)の屈折率は1.55〜1.62が好ましく、より好ましくは、1.57〜1.61である。1.55より小さい場合は、アクリル系ハードコート層の屈折率に近くなり、二軸延伸ポリエステルフィルムとの屈折率差が大きくなるため、リップルの振幅は大きくなり色斑は顕著になる。逆に、1.62より大きい場合は、二軸延伸ポリエステルフィルムの屈折率に近くなり、アクリル系ハードコート層との屈折率差が大きくなるため、リップルの振幅は大きくなり色斑は顕著になる。また、かかる積層膜(A)の厚みは、リップルの大きな節を可視光領域(380〜780nm)に存在せしめるために、50nm〜150nmが好ましく、より好ましくは、70〜120nmである。50nmより小さい場合は、リップルの大きな節が紫外領域にシフトするため、可視光領域でのリップルの振幅が大きくなり、150nmより大きい場合は、リップルの大きな節が赤外領域にシフトするため可視光領域でのリップルの振幅が大きくなり、好ましくない。なお、リップルの大きな節とは、積層膜(A)の存在により二軸延伸ポリエステルフィルムとハードコート層のリップルの振幅が波長依存性を持ち、リップルの振幅が極小となる節のことを言う(図3)。
干渉色むら対策として、積層膜(A)の屈折率を1.55〜1.62にするためには、積層膜(A)の主剤の樹脂をポリエステルにすることが好ましい。もちろん補助的にアクリル樹脂やウレタン樹脂を併用しても良いが、あくまでも主剤はポリエステル樹脂が好ましく、積層膜(A)構成要素全体に対して50部以上であることが好ましい。高屈折率を実現するためのポリエステル樹脂(a)はガラス転移点の高い樹脂が好ましい。ガラス転移点Tg(a)は105℃以上135℃未満が好ましく、更に好ましくは110℃以上130℃未満である。ガラス転移点Tg(a)が105℃未満では屈折率を高くすることができず、また135℃以上では横延伸時の熱量がそれに比べ低いため塗膜亀裂が発生することになり好ましくない。例としては酸性分に2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることが必要である
また、ポリエステル樹脂(a)は水分散が非常に難しいものであるため、接着性、また後述する耐湿性や加熱析出オリゴマーの観点で考えれば、別種のポリエステル樹脂(b)を併用する事が必要であり、このポリエステル樹脂(b)のガラス転移点Tg(b)は65℃以上95℃未満が好ましく、更に好ましくは70℃以上90℃未満である。例としてはこのポリエステル樹脂(b)には酸性分としてテレフタル酸を使用することが必要である。積層膜(A)の屈折率はポリエステル(a)の(b)に対する混合重量比率によって左右されるが、屈折率、接着性、耐湿性、加熱オリゴマーを考慮した場合2:8〜5:5が好ましい。
ハードコートと積層膜(A)の接着性は極めて重要な基本特性であるが、この接着性に耐湿性も要求され、昨今では煮沸試験に耐えうる必要がある。本発明においては1時間煮沸後のハードコート密着力が90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。このような高耐湿性を実現するためには、積層膜(A)の構成要素に注意する必要がある。ポリエステル樹脂(a)の水分散には、酸性分に強い親水性を有するSSIAを共重合させることが好ましい。樹脂の水分散が難しいため強い親水性をもつSSIAを使用する必要がある。ただし親水性を高くしすぎると煮沸後のハードコート密着性を下げてしまうため、SSIAの共重合モル比率は酸性分中で酸性分全体を50として15/50以下とすることが必要であり、更に好ましくは10/50以下である。またポリエステル樹脂(a)を水分散させるために、少量の界面活性剤や溶剤を併用しても良い。ポリエステル樹脂(b)の水分散には、親水性がSSIAよりも低いトリメリット酸を共重合させる必要がある。またトリメリット酸の共重合モル比率は酸性分中で酸性分全体を50として20/50以下とすることが必要であり、更に好ましくは15/50以下である。
また主剤の樹脂以外の添加剤として架橋剤の併用が好ましい。本発明においては、メラミン系架橋剤とオキサゾリン系架橋剤を使用することが好ましい。メラミン系架橋剤は主にハードコートとの接着力の底上げに効果があり、積層膜(A)の構成要素全体に対して15wt%以上含まれていることが必要である。またオキサゾリン系架橋剤は主に耐湿性向上に効果を発揮する。ポリエステルフィルムに積層膜(A)を積層させる場合、縦延伸後、横延伸前が好ましいが、横延伸での加熱乾燥時にオキサゾリン系架橋剤はポリエステル樹脂(b)のトリメリット酸に含まれる官能基のカルボン酸基を失活する。このカルボン酸失活により、ハードコート耐湿密着性は大きく向上する事になる。またコーティング前の状態の塗液中では高温ではないので、オキサゾリン系架橋剤のカルボン酸失活は進まず、水分散に悪影響を与えることは少ない。このためオキサゾリン系架橋剤が積層膜(A)の構成要素全体に対して2wt%以上含まれていることが必要である
加熱時の析出オリゴマーについては、析出個数がフィルムヘイズの上昇に関係し、析出サイズが輝点欠点の発生に関係するが、より致命的となるのは輝点欠点の方である。本用途では150℃60分間の加熱をフィルムに施した際の積層膜(A)上に析出するオリゴマー粒1つ当たりのサイズが面積換算で30μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以下である。なお、ハードコートをしない面でのオリゴマー析出がより致命的であるが、ハードコート設置面でのオリゴマー析出もハードコートが透明で視認できるため問題となる。
加熱析出オリゴマーを改良するために、ポリエステルフィルムの基材部分の改良はこれまで数多くの公知例があるが、光学用途においては透明性の低減、色目の変化につながるため好ましくはない。そこで積層膜(A)によるオリゴマー析出ブロックが必要となる。それには積層膜(A)中に存在するオリゴマーの抜け道をいかに狭くする、もしくはなくしていくかが重要となる。オリゴマーの抜け道とはいわば積層膜(A)中の樹脂間隙に相当するが、これは水分散の樹脂塗液を塗布した後乾燥・固化させる際に形成される。この樹脂間隙を狭く、もしくはなくしていくためには水分散性の向上、もしくは水溶化が必要となる。
加熱析出オリゴマーのサイズを上記範囲内に縮小化させるため、ポリエステル樹脂の水分散性の向上を図ることが効果的であるが、そのためにはポリエステル樹脂(a)のSSIAの共重合モル比率は酸性分中で2/50以上であることが必要であり、更に好ましくは4/50以上である。またポリエステル樹脂(b)のトリメリット酸の共重合モル比率は酸性分中で2/50以上であることが必要であり、更に好ましくは8/50以上である。
また、積層膜(A)中には上記の樹脂や架橋剤以外にも、各種の添加剤、例えば、界面活性剤、溶剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが光学特性を損なわない範囲で配合されていてもよい。特に、積層膜中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
しかし積層ポリエステルフィルムの透明性を必要とする用途では、添加する粒子の大きさや添加量に注意が必要であり、光学用途に用いる場合は特に注意を要する。光学用途に使用するならば、用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜3μmが好ましく、より好ましくは0.01〜1μm、最も好ましくは0.02〜0.3μmであり、積層膜中の樹脂に対する混合比は固形分重量比で0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
積層膜(A)は、少なくともハードコート層と接する面には必要である。またハードコートの反対面に別の積層膜を直接設けない状態ならば、ハードコート設置後の滑り性(取り扱い性)の点、及び加熱析出オリゴマーを防止する目的から、積層膜(A)は両面に設置するのが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは光学用途に使用するものであるため、全光線透過率は90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上、更に好ましくは92%以上である。積層フィルム全体のヘイズは2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下である。全光線透過率が90%を下回ると、積層フィルムを物品の表面に設置した場合、フラットパネルディスプレイの輝度が低減したり、物品本来の色彩が暗く見えたりする。ヘイズが2%を大幅に越えると、積層フィルムを物品の表面に設置した場合、物品が白っぽく曇って見え、フラットパネルディスプレイの画像や家電など物品本来の外観を損なう可能性が生じるため好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムを製造するに際して、積層膜(A)を設けるのに好ましい方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に設け、フィルムと共に延伸する方法が好適であり、中でも生産性を考慮すると、上述で紹介するように、製膜工程中に塗布方法で設ける方法が最も好適である。また環境や人体への影響を考慮した場合、溶剤を主とする塗料ではなく、水を主として水分散性の固形分を含んだ水系塗料を用いるのが好ましい。
フィルム基材上への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。またコーティング膜の塗布の均一性や接着性を考慮して、表面にコロナ放電を施しても構わない。
次に、本発明におけるポリエステル製の基材フィルムについて説明する。本発明におけるポリエステルフィルムは、可視光線を十分に透過できる透明性があり、高次工程に耐えうる耐熱性や機械強度、寸法安定性を有するものであることが好ましい。また、フィルムの厚みは、30μm以下であると熱的および機械的安定性に不足が生じ、また、350μm以上であると、剛性が高すぎて取り扱い性が低下すること、ロール長尺化が物理的に困難になること、そして透明性などに問題が生じやすいため、30〜350μmが好ましく、より好ましくは50〜300μmである。そして、熱的および機械的安定性の問題から、二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。
ここで、二軸延伸ポリエステルフィルムとは、ジカルボン酸類とグリコール類を重合して得られるポリエステルを、必要に応じて乾燥し、公知の溶融押出し機に供給し、スリット状のダイから単層または複合層のシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着、冷却固化して未延伸シートとした後、二方向に延伸、熱処理したフィルムのことである。
ポリエステル樹脂に用いられるジカルボン酸類としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などが使用できる。また、フィルムのポリエステル樹脂に用いられるグリコール類としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールや、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどが使用できる。機械的強度、耐候性や耐化学薬品性、透明性などを考慮すると、前者にテレフタル酸もしくはナフタレンジカルボン酸を、後者にエチレングリコールを用いることが好ましい。また、重合時の触媒として、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを使用することが好ましい。また、これらのジカルボン酸類、グリコール類、触媒は、それぞれ2種以上を併用してもよい。
また、フィルムに走行性(易滑性)や耐候性、耐熱性などの機能を持たせるため、フィルム原料に粒子を添加してもよいが、フィルムの高透明性を損なわないように添加量や材質に十分な注意が必要である。添加量については好ましくはきわめて少量、さらに好ましくは無添加である。フィルムの走行性(易滑性)に関しては、前述のように積層膜の添加粒子で補助するのが好ましい。
延伸方法としては、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方法や、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸する同時二軸延伸延伸方法などの公知技術が用いられる。延伸前予熱温度および延伸温度は60℃〜130℃であり、延伸倍率は2.0〜5.0倍であり、必要ならば延伸後に140℃から240℃の熱処理を行う。またこの延伸時にかかってくる熱量を、積層膜を水系塗料として塗布した後乾燥させるのに利用してもよい。
最後に積層膜(A)上に設置されるハードコートについて述べる。本発明におけるハードコート層はアクリル樹脂を主成分とし、厚みは3μm〜20μmである必要があり、5μm〜15μmが好ましい。3μmを下回ると、硬度が不足したり、紫外線吸収剤を添加しても優れた耐候性が発現しないという問題が生じ、20μmを越えると、積層ポリエステルフィルムがカールしたりハードコートにクラック生じる可能性が高くなるためである。ハードコートの屈折率は、主成分がアクリル系であるため、1.47〜1.53程度が普通である。金属粒子などを添加することで屈折率を1.53より大きくすることは可能であるが、ハードコートがヘイジーになったり、屈折率が1程度である空気との屈折率差が大きくなるため、ハードコート表面の反射率が上昇するため好ましくない。また、基材である積層二軸延伸ポリエステルフィルムとの接着力が高い方が好ましく、更に、表面硬度は3H以上であることが好ましい。
かかるハードコート層の原料は、アクリル系樹脂であれば良いが、硬化性、可撓性、生産性の点で、活性線硬化型アクリル系が好ましい。活性線硬化型アクリル系とは、活性線重合成分としてアクリルオリゴマと反応性希釈剤を含むものである。必要に応じて光重合開始剤、光増感剤、改質剤、レベリング剤、易滑剤、帯電防止剤、溶剤などを添加しても良いが、本発明の効果、特に透明性や屈折率に影響を与えないように、添加量を考慮することが好ましい。アクリルオリゴマおよび反応希釈剤としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの単官能モノマーや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーといった公知物質が挙げられ、光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類などの公知物質が挙げられ、光増感剤としてはn−ブチルアミン、トリエチルアミンなどの公知物質が挙げられる。
ハードコート層の設置方法は、従来既知の方法で行えばよい。すなわち、刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、スプレー塗り、グラビアコート、バーコート、押出しコートなどが挙げられる。必要に応じて溶剤を乾燥し、活性線硬化型の場合、紫外線、電子線、ガンマ線などの活性エネルギーを照射し硬化を行う。
本発明における評価基準は次の通りである。
(1)積層膜(A)及びハードコートの屈折率
用いる樹脂を乾燥固化または活性線硬化させた膜厚1mm程度の膜について、アタゴ社製アッベ屈折計を用い、JIS−K−7105に従って測定した。すなわち、光源をナトリウムランプ(Na−D線)として、マウント液はヨウ化メチレンを用い、23℃、相対湿度65%下で、直交する2つの方向の複屈折率を測定し、その平均値を屈折率とした。
また積層膜(A)の屈折率を測定する他の方法として、積層二軸延伸ポリエステルフィルムの分光反射率を下記(3)の方法で測定し、積層膜の厚みを下記(2)の方法で測定し、下式1にフィッティングすることでも求めることができる。
式1
R=1−4n n/{n (1+n)+(1−n )(n −n )sin(2πn/λ)}
ただし、n:二軸延伸ポリエステルフィルムの面方向平均屈折率
:積層膜(A)の屈折率
:積層膜(A)の膜厚
λ:波長(入射角は0度と近似)
R:λにおける積層ポリエステルフィルムの分光反射率
またハードコートの屈折率を測定する他の方法として、ハードコートの表面の分光反射率を下記(3)の方法で測定し、ハードコートの厚みを下記(8)の方法で測定し、下式2にフィッティングすることでも求めることができる。
式2
d=Δm/{2(n−sinθ)1/2 −1−λ −1)}
ただし、λ、λ:リップルの2つの山または谷の波長
Δm:λ、λの間の干渉次数(リップルの数)
θ:入射角
d:ハードコートの膜厚
n:ハードコートの屈折率
(2)積層膜(A)の厚み
積層二軸延伸ポリエステルフィルムの断面を凍結超薄切片法にて切り出し、RuO染色による染色超薄切片法により、日立製作所製透過型電子顕微鏡H−7100FA型を用い、加速電圧100kVにて積層膜部の観察、写真撮影を行った。その断面写真から任意の5箇所の積層膜の厚みを拡大倍率から計算し平均化したものである。
(3)ハードコート後の450〜600nmにおける分光反射率のリップルの振幅
ハードコートとは反対の面に、ヤマト社製黒ビニールテープ200−38を貼り付けてサンプルを調整した。JIS−Z8722に従って、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球使用)を用いて前述で調整したサンプルのハードコート側の入射角5度の絶対反射率を測定し、図2、図3のようにリップルの振幅を測定した。このとき、光源はF10、視野角は2度にて計算した。
(4)1時間煮沸後のハードコート密着力
積層二軸延伸ポリエステルフィルムの積層膜(A)上にハードコートを積層させたハードコートフィルムを100mm×100mmの大きさに切りだし、純水からなる沸騰した湯(100℃)の中に該フィルム切片を1時間入れた。その後該フィルム片を取り出し乾燥させた後、ハードコート上に1mmのクロスカットを100個入れ、ニチバン社製セロハンテープ(登録商標)をその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90°方向に剥離し、ハードコートが残存した個数により評価を行った。
(5)150℃60分間加熱後の積層膜(A)上の析出オリゴマー粒の1つ当たりのサイズ
積層ポリエステルフィルムを100mm×100mmの大きさに切り取り、150℃に設定したオーブンの中で60分加熱した後、オーブンから取り出して冷却し、そのフィルム小片の表面を1000倍に設定した顕微鏡で観察した。100μm×100μmの面積の視野を5視野観察し、そこで見えた全てのオリゴマー粒の幅と長さと形状を記録し平均面積を計算して、それを1つ当たりのサイズとした。視野の面積、及びオリゴマー粒の平均サイズの測定は、接眼レンズに目盛りをつけ、目盛りと実長さの校正をしながら実施した。
(6)ガラス転移点
セイコー電子工業(株)製ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220にセイコー電子工業(株)製SSC5200ディスクステーションを接続して測定した。DSCの測定条件は次の通りである。すなわち、試料10mgをアルミニウムパンに調整後、DSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパン)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素中を用いて急冷処理をした。この試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートからガラス転移点を検知した。
(7)干渉色むら
ハードコートフィルムを暗室中で三波長蛍光灯を光源とし、ハードコート面を反射光で観察し、色むら感を次の基準で評価した。(◎)、(○)を色斑感が良好とした。
◎: ギラツキ、色斑が目立たない
○: ギラツキ、色斑が見えるが気にならない
△: 部分的に緑や、紫の色斑が目立つ
×: 全体に緑や紫の色斑、ギラツキが目立つ。
(8)ハードコードの厚み
積層フィルムの断面を切片に切り出し、断面にPt−Pdをイオンスパッタしてサンプルを調整し、日立製作所製社製走査電子顕微鏡S−800を用い、積層フィルム断面の観察、写真撮影を行った。その写真から積層膜(B)の厚みを測定した。
(9)二軸延伸ポリエステルフィルムの面方向平均屈折率
アタゴ社製アッベ屈折計を用い、JIS−K−7105に従って測定した。すなわち、光源をナトリウムランプ(Na−D線)として、マウント液はヨウ化メチレンを用い、23℃、相対湿度65%下で、長手方向と幅方向の複屈折率を測定し、長手方向と幅方向の屈折率の平均値を面方向平均屈折率とした。なお、積層膜(A)は100nm程度と薄いため、該測定では二軸延伸ポリエステルフィルムのみの屈折率が判明する。
(10)ハードコート密着力(初期接着力)
積層二軸延伸ポリエステルフィルムの積層膜(A)上にハードコートを積層させたハードコートフィルムにおいて、ハードコート上に1mmのクロスカットを100個入れ、ニチバン社製セロハンテープをその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90°方向に剥離し、ハードコートが残存した個数により評価を行った。
(11)ヘイズと全光線透過率
スガ試験機株式会社製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、JIS−K−7105に従って行った。
(12)積層二軸延伸ポリエステルフィルムの厚み
ソニー社製、デジタルマイクロメーターを使用し、JIS−C−2151に従って測定した。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストドラム上にキャストし無延伸シートとした後、これを100℃で予熱し、この温度にてロール延伸で長手方向に3.0倍延伸した。この後、易滑剤(粒径150nmのコロイダルシリカ、)を固形分比2.0wt%で添加した濃度4.5%の水系塗料を上記のフィルム両面に塗布した。その後、120℃で幅方向に3.5倍延伸し、220℃で熱処理した。これにより、総膜厚100nmの積層膜(A)が両面に形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とする125μm厚さの積層フィルムを得た。積層膜(A)の内訳は、Tg(a)が120℃、SSIAモル比率7/50のポリエステル樹脂(a)が19wt%、Tg(b)が80℃、トリメリット酸モル比率12/50のポリエステル樹脂(b)が45wt%、メラミン添加量が27wt%、オキサゾリン添加量が7wt%であり、その結果積層膜(A)の屈折率は1.59であった。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは15μm、また屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.5%、干渉色むら評価は◎、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は100/100であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとして好適な物であった。
実施例2
積層膜(A)の内訳は、Tg(a)が110℃、SSIAモル比率12/50のポリエステル樹脂(a)が15wt%、Tg(b)が70℃、トリメリット酸モル比率16/50のポリエステル樹脂(b)が62wt%、メラミン添加量が18wt%、オキサゾリン添加量が3wt%であり、その結果積層膜(A)の屈折率は1.56であった。また積層膜(A)の膜厚は60nmに調整した。それ以外はすべて実施例1と同様の方法にて125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは10μm、また屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.9%、干渉色むら評価は○、1h煮沸後のハードコート密着性は92/100、初期接着性は95/100であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとして好適な物であった。
実施例3
積層膜(A)の内訳は、Tg(a)が130℃、SSIAモル比率3/50のポリエステル樹脂(a)が35wt%、Tg(b)が90℃、トリメリット酸モル比率5/50のポリエステル樹脂(b)が37wt%、メラミン添加量が18wt%、オキサゾリン添加量が7wt%であり、その結果積層膜(A)の屈折率は1.61であった。また積層膜(A)の膜厚は130nmに調整した。それ以外はすべて実施例1と同様の方法にて125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは25μm、また屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.7%、干渉色むら評価は○、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は92/100であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとして好適な物であった。
比較例1
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてポリエステル樹脂(a)のTg(a)が95℃で含有量が6wt%、ポリエステル樹脂(b)の含有量が58wt%、積層膜(A)の屈折率が1.53であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは15μm、また屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は100/100であったが、ハードコート面反射率のリップル振幅は2.5%、干渉色むら評価は×であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例2
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてポリエステル樹脂(a)のTg(a)が140℃で含有量が39wt%、ポリエステル樹脂(b)の含有量が25wt%、積層膜(A)の屈折率が1.64であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは20μmであったが、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、1h煮沸後のハードコート密着性は0/100、初期接着性は0/100であり、またハードコート面反射率のリップル振幅は2.5%、干渉色むら評価は×であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例3
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の膜厚を40nmであることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは20μm、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は100/100であったが、ハードコート面反射率のリップル振幅は2.2%、干渉色むら評価は△であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例4
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の膜厚を160nmであることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは10μm、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は100/100であったが、ハードコート面反射率のリップル振幅は2.2%、干渉色むら評価は△であり、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例5
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてポリエステル樹脂(a)のSSIAモル比率が1/50、ポリエステル樹脂(b)のトリメリット酸モル比率が1/50であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムに屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、1h煮沸後のハードコート密着性は100/100、初期接着性は100/100、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.5%、干渉色むら評価は◎であったが、ハードコートしていない面での150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズが40μmであるため、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例6
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてポリエステル樹脂(a)のSSIAモル比率が17/50、ポリエステル樹脂(b)のトリメリット酸モル比率が22/50であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは5μm、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、初期接着性は100/100、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.5%、干渉色むら評価は◎であったが、1h煮沸後のハードコート密着性は30/100のため、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例7
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてオキサゾリンの添加量を1wt%、それに合わせてポリエステル樹脂(a)の含有量が21wt%、ポリエステル樹脂(b)の含有量が49wt%であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは10μm、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、初期接着性は100/100、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.5%、干渉色むら評価は◎であったが、1h煮沸後のハードコート密着性は70/100のため、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
比較例8
実施例1からの変更点を、積層膜(A)の内訳についてメラミンの添加量を10wt%、それに合わせてポリエステル樹脂(a)の含有量が24wt%、ポリエステル樹脂(b)の含有量が57wt%であることのみとして、125μm厚さの積層フィルムを得た。
この積層フィルムの150℃60分間での加熱析出オリゴマー1つ当たりの平均サイズは15μm、屈折率1.50膜厚7μmのハードコートを片面に積層した場合、ハードコート面反射率のリップル振幅は1.5%、干渉色むら評価は◎であったが、ハードコート初期接着性は50/100、また結果として1h煮沸後のハードコート密着性は46/100のため、ハードコート用の光学用ベースフィルムとしては不適切なものとなった。
Figure 0004816183
本発明は光学用途のなかでも、ハードコートを積層させて使用する用途に特に好適に用いられる。例えばITO導電膜を更に設置して、メンブレンスイッチ、タッチパネル、電子ペーパーなどに使用したり、反射防止膜を更に設置して、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどあらゆるディスプレイの表面に貼り付けたり、などに使用できる。
しかし本発明の利用可能性は上記に限定されるものではなく、高透明、低ヘイズを要求するあらゆる部材に対して好適に使用可能である。
本発明における積層二軸延伸ポリエステルフィルム、ハードコートフィルムの断面概図 積層膜(A)がない状態での二軸延伸ポリエステルフィルムの分光反射率、及びそのフィルムにハードコートを積層させたハードコートフィルムの分光反射率の一例 積層膜(A)を積層させた積層二軸延伸ポリエステルフィルムの分光反射率、及びそのフィルムにハードコートを積層させたハードコートフィルムの分光反射率の一例
符号の説明
1:二軸延伸ポリエステルフィルム(基材フィルム)
2:積層膜(A)
3:積層二軸延伸ポリエステルフィルム(請求項1〜4に該当)
4:ハードコート
5:ハードコートフィルム(請求項5に該当)
6:(積層膜(A)なしの)二軸延伸ポリエステルフィルムの分光反射率
7:6の二軸延伸ポリエステルフィルム上に積層させたハードコート表面の分光反射率
8:リップル
9:積層二軸延伸ポリエステルフィルムの積層膜(A)表面の分光反射率
10:9の積層二軸延伸ポリエステルフィルムの積層膜(A)上に積層させたハードコート表面の分光反射率
11:リップルの大きな節

Claims (3)

  1. 積層膜(A)を有する光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
    積層膜(A)が2種類のポリエステル樹脂(a)と(b)を含み、それぞれのガラス転移点Tg(a),Tg(b)が下記範囲であり、
    ポリエステル樹脂(a)と(b)が下記構成であり、
    積層膜(A)が、積層膜(A)全体を100wt%として、ポリエステル樹脂(a)と(b)を合わせて50wt%以上83wt%以下含み、メラミン系架橋剤を15wt%以上48wt%以下、オキサゾリン系架橋剤を2wt%以上35wt%以下含む、
    光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
    [ポリエステル樹脂(a)]
    105℃≦Tg(a)≦135℃。
    酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とSSIA(ソディウム・スルホネート・
    イソフタル酸)を含み、ジオール成分にエチレングリコールを含み、酸性分中のSSIAの含有モル比率が、酸性分全体を50として、2/50〜15/50の範囲内とする。
    [ポリエステル樹脂(b)]
    65℃≦Tg(b)≦95℃。
    酸成分にテレフタル酸とトリメリット酸を含み、ジオール成分にエチレングリコール
    を含み、酸性分中のトリメリット酸の含有モル比率が、酸性分全体を50として、2/50〜20/50の範囲内とする。
  2. 屈折率が1.55〜1.62かつ膜厚が50〜150nmの積層膜(A)を有し、積層膜(A)上に屈折率が1.45〜1.55のハードコートを積層した後の該面の450〜600nmにおける分光反射率のリップルの振幅が2.0%以下、かつ1時間煮沸後のハードコート密着力が90%以上、積層膜(A)上にハードコートを積層しない状態での150℃60分加熱後の積層膜(A)上に析出するオリゴマー粒1つ当たりのサイズが面積換算で30μm以下である請求項1に記載の光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1または2に記載の光学用積層二軸延伸ポリエステルフィルムにハードコートを積層させたハードコートフィルム。
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