JP2015212314A - 表面改質無機酸化物粒子及び有機無機複合粒子の製造方法 - Google Patents

表面改質無機酸化物粒子及び有機無機複合粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性に優れる表面改質無機酸化物粒子及び該無機酸化物粒子を用いた有機無機複合粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、無機酸化物粒子の表面に、下記一般式(1)で表される有機ケイ素基と下記一般式(2)で表される有機ケイ素基とを有する表面改質無機酸化物粒子に関する。式中、R及びRは無機酸化物粒子の表面と結合する単結合、水素原子又はアルキル基を示し、Rは−CH−、−O−、−NH−、−NCH−又−NC−を示し、R及びRは水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜10の整数を示し、Rは、一般式(1)で表される有機ケイ素基とは異なる有機ケイ素基を示し、ハロゲン原子を含んでいてもよい。
Figure 2015212314

【選択図】なし

Description

本発明は、表面改質無機酸化物粒子、該表面改質無機酸化物粒子を用いた有機無機複合粒子の製造方法に関する。
従来、無機微粒子をポリマーと複合化することにより、光学特性の向上及び屈折率を制御する試みがなされている。この無機微粒子とポリマーとを複合させる方法としては、無機酸化物とポリマーとを混合する方法が一般的である(特許文献1参照)。一方、特許文献2には、無機化合物粒子に重合開始基を結合させて、該重合開始基からポリマーを重合させた有機無機複合体の製造方法が開示されている。
特開平11−326601号公報 国際公開第2012−115057号
しかしながら、特許文献1の方法では、無機微粒子がポリマー中に分散した状態であり、このコーティング剤を基材に塗布、乾燥する際に無機微粒子とポリマーとが不均一になり、無機酸化物とポリマーとの比率によっては、無機微粒子が凝集して濁る等の不具合が生じるため、目的とする複合体が得られないことがある。
引用文献2の方法で得られる有機無機複合体を溶媒等に分散させて用いようとした場合、十分な分散性が得られないことがある。
そこで、本発明は、分散性に優れる表面改質無機酸化物粒子、及び、該無機酸化物粒子を用いた有機無機複合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
[1]無機酸化物粒子の表面に、下記一般式(1)で表される有機ケイ素基と、下記一般式(2)で表される有機ケイ素基とを有する、表面改質無機酸化物粒子。
Figure 2015212314

[式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、無機酸化物粒子の表面と結合する単結合、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rは−CH−、−O−、−NH−、−NCH−又−NC−を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜10の整数を示す。]
Figure 2015212314

[式(2)中、Rは、前記一般式(1)で表される有機ケイ素基とは異なる有機ケイ素基を示し、ハロゲン原子を含んでいてもよい。]
[2]Rが下記一般式(3)で表される有機ケイ素基である、[1]に記載の表面改質無機酸化物粒子。
Figure 2015212314

[式(3)中、R、R及びRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R、R及びRはのうち少なくとも一つは炭素数1〜5のアルキル基である。]
[3]無機酸化物粒子の単位面積当たりの一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量が、0.001〜0.5本/nmであり、一般式(2)で表される有機ケイ素基の修飾量が、1.5本/nm〜10本/nmである、[1]又は[2]に記載の表面改質無機酸化物粒子。
[4]R及びRが、それぞれ独立に水素又は炭素数1〜5のアルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子。
[5]無機酸化物粒子の粒径が1〜200nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子。
[6]無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子。
[7]一般式(1)のXが、臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子である、[1]〜[6]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子。
[8]凝集度が5以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子と、重合性モノマーとを、触媒の存在下で重合する重合工程を備える、有機無機複合粒子の製造方法。
[10]重合工程を溶媒の存在下で行う、[9]に記載の方法。
[11]触媒が銅触媒である、[9]又は[10]に記載の方法。
[12]重合性モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[9]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13][1]〜[8]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物粒子と、[9]〜[12]のいずれかに記載の方法により得られる有機無機複合粒子とを含む組成物。
本発明によれば、分散性に優れる無機酸化物粒子、及び、該無機酸化物粒子を用いた有機無機複合粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
<表面改質無機酸化物粒子>
本実施形態の表面改質無機粒子は、無機酸化物粒子の表面に、下記一般式(1)で表される有機ケイ素基及び下記一般式(2)で表される有機ケイ素基を有する。
Figure 2015212314

式(1)中、R及びRは無機酸化物粒子表面と結合していてもよく、結合していなくてもよい。R及びRが無機酸化物粒子の表面と結合している場合、単結合を示し、無機酸化物粒子表面と結合していない場合、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Rは−CH−、−O−、−NH−、−NCH−又−NC−を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Xはハロゲン原子を示し、ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子が挙げられる。nは1〜10の整数を示す。
Figure 2015212314

式(2)中、Rは、一般式(1)で表される有機ケイ素基とは異なる有機ケイ素基を示し、ハロゲン原子を含んでいてもよい。Rは、下記一般式(3)で表される有機ケイ素基であることが好ましい。
Figure 2015212314

式(3)中、R、R及びRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す、ただし、R、R及びRはのうち少なくとも一つは炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基を構成する水素原子はハロゲン原子に置換されておいてもよい。
(有機ケイ素基)
本実施形態において、有機ケイ素基は、有機物とケイ素から構成される結合基であり、無機酸化物粒子表面に存在するものである。有機ケイ素基が結合される前の無機酸化物粒子の表面は、無機酸化物そのものから形成されていてもよいし、表面処理されていてもよい。ここでいう表面処理とは、化学反応、熱処理、光照射、プラズマ照射、放射線照射等により、無機酸化物粒子表面を官能基により修飾することである。
有機ケイ素基を無機酸化物粒子表面に結合させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸化物粒子表面の水酸基と有機ケイ素化合物とを反応させる方法、又は無機酸化物粒子表面の表面処理により導入された官能基と有機ケイ素化合物とを反応させる方法がある。無機酸化物粒子に結合した有機ケイ素基に、更に有機ケイ素化合物を反応させて、複数の有機ケイ素基を連結することも可能である。また、有機ケイ素化合物の種類によっては、水や触媒を併用してもよい。
有機ケイ素化合物が無機酸化物粒子表面と結合する官能基の数は、特に限定されるものではないが、好ましくは1官能である。官能基が2個以上存在すると、有機ケイ素化合物の縮合物(副生物)が生成し、その除去が困難になる傾向にある。また、表面改質無機酸化物粒子を用いた有機無機複合粒子を膜状に成形する場合、有機無機複合粒子中に未反応の有機ケイ素化合物の官能基が残存するため、加熱乾燥、加熱加工する工程等によってはアルコール、水等の低沸点成分を生成し、膜が発泡する傾向にある。また、無機酸化物粒子が凝集する要因にもなりうる。
有機ケイ素基は、重合開始基を有していることが好ましい。有機ケイ素基が有する重合開始基は、重合開始能を有する官能基であれば、特に限定されるものではない。例えば、ハロゲン原子を含む結合基が挙げられる。有機ハロゲン化合物を重合ラジカル開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする重合法を原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」)という。有機ケイ素基中ハロゲン原子の結合解離エネルギーは、低いことが好ましい。重合開始基は、例えば、3級炭素原子に結合したハロゲン原子、ビニル基、ビニリデン基及びフェニル基等の不飽和炭素−炭素結合に隣接する炭素原子に結合したハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基及びスルホニル基等のヘテロ原子含有共役性基に直接結合するか又はこれらに隣接する原子に結合したハロゲン原子、が導入された基が、好ましい構造として挙げられる。より具体的には、下記一般式(4)で表される有機ハロゲン化物基が重合開始基として好適である。
Figure 2015212314

式(4)中、R、R及びXは一般式(1)中のR、R及びXと同義である。
一般式(4)で示される重合開始基の具体例を下記化学式に示す。
Figure 2015212314
すなわち、本実施形態に係る一般式(1)で表される有機ケイ素基は、重合開始基として一般式(4)で表される有機ハロゲン化物基を有する。
一般式(1)で表される有機ケイ素基を有する有機ケイ素化合物の具体例としては、以下のようなシラン化合物がある。
・3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(Cas番号:370870−81−8)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(ジクロロメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:1057260−39−5)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:688359−84−4)
・3−(メトキシジメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:531505−27−8)
・3−(ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:1186667−60−6)
・3−(トリメトキシシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:314021−97−1)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−86−6)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)メチルジエトキシシラン(Cas番号:1186667−65−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリエトキシシリル)プロピル エステル(Cas番号:880339−31−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(クロロジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:438001−36−6)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:663174−64−9)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(メトキシジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:861807−46−7)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−85−5)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)トリエトキシシラン(Cas番号:1233513−06−8)
一般式(2)で表される有機ケイ素基を無機酸化物粒子の表面に形成できる有機ケイ素化合物として、一般式(3)で表される有機ケイ素基を有する化合物が挙げられ、具体例としては、以下のようなシラン化合物がある。
・ヘキサメチルジシラザン(Cas番号:999−97−3)
・N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア(Cas番号:18297−63−7)
・N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフロロアセトアミド(Cas番号:25561−30−2)
・トリメチルシリルトリフロロメタンスルホネート(Cas番号:27607−77−8)
・トリエチルシラン(Cas番号:617−86−7)
・トリメチルシリルアセチレン(Cas番号:1066−54−2)
・ヘキサメチルジシラン(Cas番号:1450−14−2)
・アリルトリメチルシラン(Cas番号:762−72−1)
・トリメチルビニルシラン(Cas番号:754−05−2)
・メチルトリメトキシシラン(Cas番号:1185−55−3)
・ジメチルジメトキシシラン(Cas番号:1112−39−6)
・フェニルトリメトキシシラン(Cas番号:2996−92−1)
・メチルトリエトキシシラン(Cas番号:2031−67−6)
・ジメチルジエトキシシラン(Cas番号:78−62−6)
・フェニルトリエトキシシラン(Cas番号:780−69−8)
・ヘキシルトリメトキシシラン(Cas番号:3069−19−0)
・ヘキシルトリエトキシシラン(Cas番号:18166−37−5)
・デシルトリメトキシシラン(Cas番号:5575−48−4)
表面改質無機酸化物粒子における一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量は、無機酸化物粒子の単位面積当たり0.001〜0.5本/nmであることが好ましく、0.005〜0.3本/nmであることがより好ましく、0.01〜0.1本/nmであることが更に好ましい。一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量が上記範囲にあると、表面改質無機酸化物粒子の分散性が向上し、粒子の凝集が起こりにくくなる。
表面改質無機酸化物粒子における一般式(2)で表される有機ケイ素基の修飾量は、無機酸化物粒子の単位面積当たり1.5〜10本/nmであることが好ましく、1.5〜7本/nmであることがより好ましく、1.5〜5本/nmであることが更に好ましい。一般式(2)で表される有機ケイ素基の修飾量が上記範囲にあると、表面改質無機酸化物粒子の分散性が向上し、粒子の凝集が起こりにくくなる。
一般式(1)又は(2)で表される有機ケイ素基がハロゲン原子を含む場合、有機ケイ素基の修飾量は、元素分析、後述する蛍光X線分析(XFR)等の方法によりハロゲン原子の含有量を測定することで算出することができる。一方、一般式(1)又は(2)で表される有機ケイ素基がハロゲン原子を含まない場合、有機ケイ素基の修飾量は、後述するX線電子分光分析(XPS)等の方法により表面改質無機酸化物粒子中の炭素の含有量を測定することで算出することができる。
一般式(1)及び(2)で表される有機ケイ素基の修飾量は、無機酸化物粒子と有機ケイ素化合物とを反応させる際の有機ケイ素化合物の配合量、反応条件等により、適宜調整することができる。
(無機酸化物粒子)
本明細書において、無機酸化物とは、1種類の無機成分及び酸素からなる酸化物、又は、2種類以上の無機成分及び酸素からなる複合酸化物である。複数種の元素は、粒子中に均一に存在していても、偏在していてもよく、ある元素の表面が別の元素の化合物によって被覆されていてもよい。また、無機成分とは、1族のアルカリ金属、2族のアルカリ土類金属、3〜12族の遷移金属、13〜15族の典型金属及びホウ素、ケイ素、ゲルマニウム等の半金属である。さらに2種以上の無機成分を含む複合酸化物においては、例えば、硫黄、リン、塩素等の非金属成分が含まれていてもよい。本実施形態に係る無機酸化物粒子としては、無機酸化物から形成された粒子であれば、特に限定されるものではないが、入手のし易さの観点から、酸化ケイ素、酸化チタン又は酸化ジルコニウムが好ましく、酸化ケイ素が特に好ましい。
無機酸化物粒子の形状や結晶形は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、結晶状、鱗片状、柱状、管状、繊維状、中空状、多孔質状、数珠状等、様々な形状であってよい。中でも、市販されている中空状、数珠状又は球状の無機酸化物粒子を好適に使用できる。
無機酸化物粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、1〜200nmが好ましい。本明細書において、粒径とは、粒子の外径の平均値をいう。光学材料用途として用いる場合、無機酸化物粒子の粒径が200nm以下であると、光の散乱などの問題が起こりにくく、粒径が1nm以上であると、無機酸化物粒子を構成する物質固有の特性を発揮できる。光学材料用途として、無機酸化物粒子の粒径は、より好ましくは1〜150nm、更に好ましくは10〜100nmである。特に、成膜性の高い有機無機複粒子、及びそれを利用したコーティング膜、成形体、光学材料等に透明性が要求される場合には、粒子の大きさがレイリー散乱領域に入る必要があるため、無機酸化物粒子の平均粒径は、10〜70nmであることがより一層好ましく、10〜60nmであることが特に好ましい。無機酸化物粒子の平均粒径の測定方法は、後述の実施例において詳細に説明される。
(表面改質無機酸化物粒子の製造方法)
本実施形態に係る表面改質無機酸化物粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、表面改質無機酸化物粒子は、例えば、無機酸化物粒子の表面に、重合開始基を有する有機ケイ素化合物及び重合開始基を有しない有機ケイ素化合物を結合させる工程により得ることができる。
無機酸化物粒子と特定の有機ケイ素化合物とを反応させることで、無機酸化物粒子の表面に一般式(1)及び(2)で表される有機ケイ素基が導入された表面改質無機酸化物粒子が得られる。無機酸化物粒子と特定の有機ケイ素化合物との反応は、これらが分散又は溶解する反応液中で行うことができ、加熱しながら反応を行ってもよい。
表面改質無機酸化物粒子は、以下のようにして作製してもよい。
(a)無機酸化物粒子の分散液に、重合開始基を有する有機ケイ素化合物を加え、所定の温度で反応させた後、重合開始基を有しない有機ケイ素化合物を加えて反応させて、表面改質無機酸化物粒子の分散液を得る。
(b)上記分散液を室温まで冷却した後、所定の溶媒で洗浄し、遠心分離等で固形分を分離・乾燥し、表面改質無機酸化物粒子を単離する。
重合開始基を有する有機ケイ素化合物としては、一般式(4)で表される基を有する有機ケイ素化合物が挙げられ、重合開始基を有しない有機ケイ素化合物としては、一般式(3)で表される基を有する有機ケイ素化合物が挙げられる。
無機酸化物粒子に対する有機ケイ素化合物の配合量は、特に限定されないが、一般式(1)で表される有機ケイ素基を有する有機ケイ素化合物の配合量は、無機酸化物粒子量100gに対して、0.0005mol〜1molが好ましく、0.0005mol〜0.5molがより好ましく、0.001mol〜0.2molが更に好ましい。一般式(1)で表される有機ケイ素基を有する有機ケイ素化合物の配合量が0.0005mol以上であれば、無機酸化物粒子の表面と効率よく反応しやすく、1mol以下であれば、反応液からの未反応の有機ケイ素化合物の除去が容易となる。
一般式(2)で表される有機ケイ素基を無機酸化物粒子の表面に形成できる有機ケイ素化合物の配合量は、特に限定されないが、無機酸化物粒子量100gに対して、0.01mol〜5molが好ましく、0.01mol〜2molがより好ましく、0.01mol〜1molが更に好ましい。一般式(2)で表される有機ケイ素基を無機酸化物粒子の表面に形成できる有機ケイ素化合物の配合量が0.001mol以上であれば、無機酸化物粒子の表面と効率よく反応しやすく、5mol以下であれば、未反応の有機ケイ素化合物が残留しにくくなる。
無機酸化物粒子と有機ケイ素化合物との反応温度は、常温でも反応が進むが、効率化の観点から、40℃〜90℃が好ましく、50℃〜90℃がより好ましく、60℃〜85℃が更に好ましい。
表面改質無機酸化物粒子の凝集度は、5以下であることが好ましい。凝集度は、表面改質無機酸化物粒子の溶媒への再分散性を示し、無機酸化物粒子を有機無機複合化に用いる際に分散性の観点から、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
<有機無機複合粒子の製造方法>
本実施形態に係る有機無機複合粒子は、上記表面改質無機酸化物粒子と、重合性モノマーとを触媒の存在下で重合する重合工程を備える方法により製造することができる。
より具体的には、表面改質無機酸化物粒子を溶媒に分散させた後、重合性モノマー及び触媒を加え、所定の条件で重合反応を行い、上記重合開始基により開始される重合性モノマーのリビングラジカル重合により、無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成させ、有機無機複合粒子を得られる。
(重合性モノマー)
重合性モノマーは、特に限定されるものではないが、ATRPで重合可能であることが好ましい。モノマーは、1種を単独で又は2種以上の異なるものを用いてもよい。
上記モノマーとしては、例えば、エチレン、「ブタ−1,3−ジエン、2−メチルブタ−1,3−ジエン、2−クロロブタ−1,3−ジエンのようなジエン類」、「スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−アミノスチレンなどのスチレン類」、「アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸アミド、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、アクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、アクリル酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、アクリル酸2−イソシアナトエチル、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどのアクリル酸エステル類」、「メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、メタクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロペンチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類」、「アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体」、「酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類」、「ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類」、「ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾル、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物」、「アリルアルコール、塩化アリル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなアリル化合物」、「フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ素アルキル基を有する化合物」、「アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−グリシジルスチレン等の官能性モノマー類」、「アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジアクリル酸無水物、ジアクリル酸1,2−エタンジイル、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、ジビニルベンゼンなどの反応性二重結合を二つ以上有する化合物」などが挙げられる。中でも、コーティング膜や成形体の透明性を特に重視する場合は、スチレン類、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを選択することが好ましい。
以下に、好ましい重合性モノマーの具体例を化学式で示す。
Figure 2015212314

メタクリル酸エステル
Figure 2015212314

アクリル酸エステル
Figure 2015212314

スチレン類
上記モノマーの重合形態は、特に限定されるものではないが、例えば、ホモ重合、ブロック共重合、ランダム共重合、グラジエント共重合、テーパード共重合又はグラフト共重合が挙げられる。中でも、Tgや屈折率等の物性制御の観点から、共重合が好ましく、より好ましくはグラフト共重合である。
ラジカル重合の方式は特に限定されず、例えば、塊状重合法又は溶液重合法を選択できる。更に、生産性や安全性の観点から、懸濁重合、乳化重合、分散重合、シード重合等の方式を採用してもよい。
重合温度は、特に限定されるものではなく、重合方法やモノマー種に応じ、適宜、選択することができる。例えばATRPの場合、重合温度は好ましくは−50℃〜200℃、より好ましくは0℃〜150℃、更に好ましくは20℃〜130℃である。モノマーがアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含む場合、40〜130℃で重合を行うと、比較的短時間で精密重合することができる。
重合時間は、特に制限されるものではなく、重合方法やモノマー種に応じ、適宜、選択することができるが、例えば、1〜32時間とすることができる。重合時間がこの範囲内にあると、有機無機複合粒子における無機酸化物粒子の含有量が好ましいものとなる。同様の観点から、重合時間は、1.5〜24時間とすることがより好ましい。
重合反応は、無溶媒で行っても、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒を使用する場合、表面改質無機酸化物粒子の分散性と、重合触媒の溶解性とが良好な溶媒が好ましい。溶媒は単独で用いても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アニソール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、エタノール、1−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、1,4−ジオキサン、水等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、モノマー100質量部に対し、0〜2000質量部が好ましく、より好ましくは0〜1000質量部である。溶媒量が少ないと、反応速度が大きい傾向にあり有利であるが、モノマー種や重合条件によっては、重合溶液粘度が高くなる傾向にある。また、溶媒量が多いと、重合溶液粘度が低くなるが、反応速度が低下するため、適宜、配合比率を調整するのが好ましい。
重合反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。触媒の種類は、特に限定されるものではないが、重合方法やモノマー種等により、任意の触媒を適宜、使用すればよい。例えば、ATRPの場合、触媒の種類は、一般的に知られている各種のものの中から、重合方式等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、Cu(0)、Cu、Cu2+、Fe、Fe2+、Fe3+、Ru2+又はRu3+を含む金属触媒を使用できる。中でも、分子量や分子量分布の高度な制御を達成するためには、特にCuを含む1価の銅化合物及び0価の銅が好ましい。その具体例としては、Cu(0)、CuCl、CuBr、CuBr、CuO等の銅触媒が挙げられる。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、重合開始基1モルに対して、通常0.01〜100モル、好ましくは0.01〜50モル、更に好ましくは0.01〜10モルである。
<組成物>
本実施形態の組成物は、表面改質無機粒子及び有機無機複合粒子を含む混合物であり、他の樹脂に分散していてもよいし、また、溶媒中に分散していてもよいし、他の樹脂又は溶媒に溶解していてもよい。
本実施形態の組成物中の表面改質無機粒子又は有機無機複合粒子が樹脂又は溶媒に溶解している場合、組成物中の均一性の点で好ましい。また、組成物は粉末状であってもよい。組成物が粉末状の場合、保存安定性の点で好ましい。
以下に本実施形態をより具体的に説明した実施例を例示する。ただし、本発明はその要旨を超えない限りにおいて以下の実施例に限定されるものではない。
<原材料>
実施例及び比較例で使用した原材料の内容を(1)〜(2)に示す。
(1)無機酸化物粒子溶液
20nm球状シリカ溶液:日産化学工業株式会社製、商品名「MEK−ST」、SiO含有量30質量%、比表面積220m/g(窒素吸着によるBET法で測定)
(2)有機ケイ素化合物
(2−1)(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(以下、BIDSという。)
公知の方法(特開−2006−257308号)に従って、下記化学式(5)で表されるBIDSを合成した。
Figure 2015212314
(2−2)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSという。):東京化成工業株式会社製。
[表面改質無機酸化物粒子の合成]
(実施例1)
冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。窒素下で、フラスコ内に20nm球状シリカ溶液を500g導入し、更に、2.9mLのBIDSを導入し、攪拌を開始した。フラスコを80℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら2時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、窒素下で43.0mLのHMDSを導入した。室温で2時間攪拌後、80℃で3時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。反応液をヘキサンに投入後、遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。遠沈管内の沈殿物を少量のTHFで溶解させて、更にヘキサンに投入後、遠心分離を行なった。遠沈管内の沈殿物を、真空乾燥機(アドバンテック社製 DRV320DA)を用いて真空下(5kPa以下)、60℃で24時間乾燥させて、粉末状の表面改質無機酸化物粒子を得た。
(実施例2〜7、比較例1)
表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で表面改質無機酸化物粒子を得た。
Figure 2015212314
表面改質無機酸化物粒子の物性の評価は以下の手順で行った。
<表面改質無機酸化物粒子の分析>
(一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量)
表面改質無機酸化物粒子中のハロゲン原子の量(質量%)を蛍光X線分析(XRF)装置(株式会社リガク製、商品名「ZSX」)を用いて測定し、無機酸化物粒子単位表面積当たりの一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量を、以下の式より算出した。
(1)一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量(本)=表面改質酸化物粒子量(g)×(表面改質無機酸化物粒子中のBr量(質量%)÷100÷79.9+表面改質無機酸化物粒子中のCl量(質量%)÷100÷35.5)×6.022×1023
(2)無機酸化物粒子の表面積(nm)=無機酸化物粒子量(g)×無機酸化物粒子の比表面積(m/g)×1018
(3)無機酸化物粒子単位表面積当たりの一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量(本/nm)=(1)÷(2)
(一般式(2)で表される有機ケイ素基の修飾量)
表面改質無機酸化物粒子中のC量をX線光電子分光分析(XPS)装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、商品名「ESCALAB250」)を用いて測定し、無機酸化物粒子単位表面積当たりの一般式(2)で表される有機ケイ素基の数(本/nm)を以下の式より算出した。
(1)一般式(2)で表される有機ケイ素基由来のC量(質量%)=表面改質無機酸化物粒子中の全C量(質量%)−一般式(1)で表される有機ケイ素基由来のC量(質量%)
(2)表面改質無機酸化物粒子単位表面積当たりの一般式(2)で表される有機ケイ素基の数(本)=表面改質無機酸化物粒子量(g)×(1)÷100÷12÷3×6.022×1023
(3)無機酸化物粒子の表面積(nm)=無機酸化物粒子量(g)×無機酸化物粒子の比表面積(m/g)×1018
(4)無機酸化物粒子単位表面積当たりの一般式(2)で表される有機ケイ素基の数(本/nm)=(2)÷(3)
(分散粒子径)
ガラス製の20cc小瓶中で、表面改質無機酸化物粒子1gをメチルエチルケトン5.6gに添加し、マグネチックスターラーで30分間混合した後、動的光散乱法(濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000)により表面改質無機酸化物粒子の分散粒子径を測定した。
(凝集度)
上述のようにして表面改質無機酸化物粒子の分散粒子径(A)を測定した後、一度、60℃で24時間真空乾燥させた表面改質無機酸化物粒子を再びメチルエチルケトン5.6gに再分散させた後の分散粒子径(B)を測定した。凝集度は、分散粒子径(B)を分散粒子径(A)で割った値である。
(溶媒分散性)
あらかじめ重さを測定したガラス製の20cc小瓶中で、表面改質無機酸化物粒子0.5gをメチルエチルケトン2.0gに添加し、マグネッチックスターラーで30分間混合した後、1時間静置し、沈殿物の有無を評価した。沈殿が生じた場合、パスツールピペットで上澄み液を除去し、沈殿物が残ったままのガラス製の20cc小瓶を60℃で1時間真空乾燥させた後、小瓶の重さを測定し、事前に測定した小瓶の重さから差し引くことで沈殿物の重さを求めた。溶媒中に沈殿物がない場合を○、沈殿物があり沈殿物の重さが0.15g以下の場合を△、沈殿物の重さが0.15gより重い場合を×とした。
[有機無機複合粒子の作製]
溶媒としてアセトンを、重合性モノマーとしてメタクリル酸メチル(以下、MMA)を、触媒としてCuBrを準備し、有機無機複合粒子を以下の手順で作製した。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、29mgのCuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、アセトンを100mL窒素下で導入し、攪拌した。
(2)(1)の溶液に、30mgのN,N,N’,N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA、Aldrich社製)を加え、攪拌したものを触媒溶液とした。
(3)回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、表面改質無機酸化物粒子を5.0g投入した後、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(4)(3)のフラスコに、窒素下でアセトンを10mL導入し、更にMMAを8mL導入し、50℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した後、(2)で調製した触媒溶液10mLを窒素下で導入し、反応液を攪拌し重合反応を行った。
(5)1時間後に反応液中の組成分析をGC測定より行い、MMAが消費されているかを確認し、重合が進行し、有機無機複合粒子の作製を判断した。
表面改質無機酸化物粒子の分散性が良好なままMMAの重合が進行したものを○、MMAの重合が進行するものの、重合に伴い表面改質無機酸化物粒子の分散性が悪くなるものを△、MMAの重合が進行しないものを×とした。
実施例及び比較例で作製した表面改質無機酸化物粒子の評価結果を表2に示す。
Figure 2015212314
表2より、本発明の表面改質無機酸化物粒子は、凝集度が低く、分散性に優れることが確認できる。
本発明によれば、分散性に優れた表面改質無機酸化物粒子が得られ、該表面改質無機酸化物粒子にポリマーが結合した有機無機複合粒子を作製することができる。また、有機無機複合粒子は、将来ナノ光学材料として有望なフォトニック結晶を構築することが可能となる。

Claims (13)

  1. 無機酸化物粒子の表面に、下記一般式(1)で表される有機ケイ素基及び下記一般式(2)で表される有機ケイ素基を有する、表面改質無機酸化物粒子。
    Figure 2015212314

    [式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、無機酸化物粒子の表面と結合する単結合、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rは−CH−、−O−、−NH−、−NCH−又−NC−を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは1〜10の整数を示す。]
    Figure 2015212314

    [式(2)中、Rは、前記一般式(1)で表される有機ケイ素基とは異なる有機ケイ素基を示し、ハロゲン原子を含んでいてもよい。]
  2. 前記Rが下記一般式(3)で表される有機ケイ素基である、請求項1に記載の表面改質無機酸化物粒子。
    Figure 2015212314

    [式(3)中、R、R及びRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R、R及びRはのうち少なくとも一つは炭素数1〜5のアルキル基である。]
  3. 前記無機酸化物粒子の単位面積当たりの前記一般式(1)で表される有機ケイ素基の修飾量が、0.001〜0.5本/nmであり、前記一般式(2)で表される有機ケイ素基の修飾量が、1.5本/nm〜10本/nmである、請求項1又は2に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  4. 前記R及びRが、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  5. 前記無機酸化物粒子の粒径が1〜200nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  6. 前記無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  7. 前記Xが、臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  8. 凝集度が5以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子と、重合性モノマーとを、触媒の存在下で重合する重合工程を備える、有機無機複合粒子の製造方法。
  10. 前記重合工程を溶媒の存在下で行う、請求項9に記載の方法。
  11. 前記触媒が銅触媒である、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記重合性モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面改質無機酸化物粒子と、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法により得られる有機無機複合粒子と、を含む、組成物。
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