JP2011021070A - ビニル系ポリマーの製造方法 - Google Patents

ビニル系ポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ビニル系単量体の懸濁重合法において、高収率で高い連鎖移動効果を示し、なおかつ着色の問題のないビニル系ポリマーを得るための製造方法を提供する。
【解決手段】 ビニル系単量体を、式(1)で示されるコバルト錯体と、式(2)で示される特定の過酸化物系開始剤を組み合わせて使用し、懸濁重合法による重合を行うことで、高収率で高い連鎖移動効果を示し、なおかつ着色の問題のないビニル系ポリマーを得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系ポリマーの製造方法に関する。
懸濁重合法は、ビニル系ポリマーの重合方法の一つであって、粒子径が10〜1000μm程度の球状ビニル系ポリマー粒子を固形で製造する方法として、良く知られている。この重合方法は、一般的に、撹拌機を備えた反応器に、分散剤を溶解させた水性媒体と重合開始剤を含むビニル系単量体を仕込み、撹拌、加熱することで固形のビニル系ポリマーを得るものである。
懸濁重合法は、水性媒体中で行うため反応熱の除去が容易であり、簡便に固形のビニル系ポリマーを製造できるという点から、広く採用されているが、一方、生成するビニル系ポリマーの分子量は低下しにくいという欠点がある。
従来、懸濁重合法により、低分子量のビニル系ポリマーを製造する際には、開始剤やメルカプタン系の連鎖移動剤を多用し、重合温度を媒体の沸点以上に加熱し、加圧下で重合する方法が一般的であった。
しかしながらこの方法では、発熱制御が困難といった課題や、多量の開始剤や連鎖移動剤を使用するため、開始剤分解物や残存連鎖移動剤、あるいは残存ビニル系単量体由来の臭気、塗膜性能の悪化といった課題があった。
特許文献1及び2には、上記課題を解決するために、特定のコバルト錯体を用いて、触媒的連鎖移動重合法(Catalytic Chain Transfer Polymerization、CCTP法)によって、上記課題を解決し、効果的に低分子量化を達成し得ると記載されている。
特許第3587530号公報 特公平6−23209号号公報
しかしながら、コバルト錯体を用いても特許文献1に記載の2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等のアゾ系開始剤を用いた場合には、開始剤由来の窒素が原因となり、比重の軽いビニル系ポリマーや二次凝集物が多量に発生し、収率が著しく低下する課題があった。
また、特許文献1及び2に記載の過酸化ベンゾイルを使用した場合には、コバルト錯体の連鎖移動効果が低下する傾向があり、目的とする低分子量のものを得るためにはコバルト錯体量を多く添加する必要があり、その結果コバルト錯体によるビニル系ポリマーの着色が問題となる場合があった。
そこで本発明では、コバルト錯体と特定の開始剤を組み合わせることにより、高収率で高い連鎖移動効果を示し、なおかつ着色の問題のないビニル系ポリマーが得られる懸濁重合方法を見出した。
本発明の要旨は、ビニル系単量体を、式(1)〔式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基;Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基及びアリール基〕で表されるコバルト錯体及び式(2)で表される過酸化物系開始剤〔式(2)中、R、R’は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基〕を使用した懸濁重合法によるビニル系ポリマーの製造方法に関する。
〔式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基;Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基及びアリール基〕
〔式(2)中、R、R’は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基〕
また、使用する過酸化物系開始剤は、Rが炭素数6〜12のアルキル基である。
本発明の製造方法では、従来の懸濁重合方法と比較して高い連鎖移動効果を有するため、より少量の開始剤でも低分子量のビニル系ポリマーを得ることができ、収率良く重合することができる。さらにコバルト錯体に由来するビニル系ポリマーが着色する問題も解決できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用されるコバルト錯体としては、式(1)に示されるコバルト錯体が使用でき、例えば、特許第3587530号公報、特公平6−23209号公報、特公平7−35411号公報、USP45269945号公報、USP4694054、USP4837326号公報、USP4886861号公報、USP5324879号公報、WO95/17435号公報、特表平9−510499号公報等に記載されているもの等を使用することができる。
〔式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基;Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基及びアリール基〕
具体的には、ビス(ボロンジフルオロジメチルジオキシイミノシクロヘキサン)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジメチルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビシナルイミノヒドロキシイミノ化合物のコバルト(II)錯体、テトラアザテトラアルキルシクロテトラデカテトラエンのコバルト(II)錯体、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)錯体、ジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエンのコバルト(II)錯体、コバルト(II)ポルフィリン錯体などがあげられる。これらは一種以上を適宜選択して使用することができる。中でも、水性媒体中に安定に存在し、連鎖移動効果が高いビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)(R〜R:フェニル基、X:F原子)が好ましい。
コバルト錯体の使用量は、特に制限されないが、ビニル系単量体100質量部に対して、0.0005〜0.02質量部の範囲内であることが好ましく、0.001〜0.015質量部の範囲内であると更に好ましく、0.002〜0.01の範囲内であると特に好ましい。コバルト錯体の使用量が0.0005質量部以上である場合、ビニル系ポリマーの分子量が効率よく低下する傾向にある。また、コバルト錯体の使用量が0.02質量部以下であれば、コバルト錯体によるビニル系ポリマーの着色が問題とならないため好ましい。
同じ開始剤量でより分子量を低下させるためには、連鎖移動効果が高いことが必要である。連鎖移動効果は、それぞれの開始剤を使用した際の連鎖移動定数Csを求めることによって定量的に表すことができる。
すなわち、
1/DPn=1/DPn,0+Cs〔Co(II)〕/〔M〕・・・(式3)
Dpn:連鎖移動剤存在下の重合で生成するビニル系ポリマーの重合度
Dpn,0:連鎖移動剤不存在下の重合で生成するビニル系ポリマーの重合度
Cs:連鎖移動定数
〔Co(II)〕/〔M〕:仕込みのCo錯体とビニル系単量体のmol比
参考:ラジカル重合ハンドブック、蒲池幹治他監修、ティー・エヌ・エス株式会社出版、p,38〜48
(式3)により求められるCs:連鎖移動定数が大きいほど、同じ開始剤量であってもより分子量を低下させることができる。好ましくはCsが2000以上であり、より好ましくは4000以上である。
本発明において使用される重合開始剤としては、式(2)に示す過酸化物系開始剤が使用される。
〔式(2)中、R、R’は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基〕
式(2)の開始剤としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(R:炭素数8のアルキル基、R’:炭素数7のアルキル基)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(R:炭素数6のアルキル基、R’:炭素数7のアルキル基)、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(R:炭素数4のアルキル基、R’:炭素数7のアルキル基)、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾアート、などが挙げられる。これらは一種以上を適宜選択して使用することができる。また、式(2)中のRは特に制限されないが、炭素数6〜12のアルキル基であることが好ましい。式(2)中のRが炭素数6以上のアルキル基である場合、より連鎖移動効果が高くなる傾向にあり、炭素数12以下のアルキル基である場合、着色が低減する傾向にある。また、式(2)中のR’はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であれば特に制限されない。中でも、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(R:炭素数8のアルキル基、R’:炭素数7のアルキル基)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(R:炭素数6のアルキル基、R’:炭素数7のアルキル基)が好ましい。
重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、ビニル系単量体100質量部に対して、0.05〜10質量部の範囲内であることが好ましく、更に0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。重合開始剤の使用量が0.05質量部以上である場合に、ビニル系単量体の重合速度が向上し、比較的短時間でビニル系ポリマーを製造することが可能となる傾向にある。また、10質量部以下の場合に、重合発熱が緩和され、重合温度制御が容易となる傾向にある。
懸濁重合法については、例えば、特開2006−282935号公報等で公知の条件で行えば良い。以下に、懸濁重合法によるビニル系ポリマーの製造方法の一例を示す。
分散剤を含む水にビニル系単量体、連鎖移動剤、重合開始剤を添加し、懸濁化させ、その水性懸濁液を加熱することにより重合反応を進行させ、重合後の水性懸濁液を濾過、洗浄、脱水、乾燥する。得られるビニル系ポリマーは固形粒子である。
本発明において使用されるビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体;などが挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/またはメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及び/またはメタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリロニトリル」は「アクリロニトリル及び/またはメタクリロニトリル」を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド及び/またはメタクリルアミド」を意味する。
本発明において使用される分散剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチルの共重合物のアルカリ金属塩、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコール、メチルセルロース等が使用できる。分散剤の量としても、特に制限されないが、水性懸濁液中0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲内であることが更に好ましい。分散剤の使用量が0.005質量%以上であると、懸濁重合液の分散安定性が良好であり、得られるビニル系ポリマーの洗浄性、脱水性、乾燥性及び流動性が良好となる傾向にある。また、5質量%以下の場合に、重合時の泡立ちが少なく、重合安定性が良好となる傾向にある。なお、水性懸濁液の分散安定性向上を目的として、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を使用しても良い。
重合温度は、特に制限されないが、50〜130℃であることが好ましく、60〜100℃の範囲内であることが更に好ましい。重合温度が50℃以上である場合、比較的短時間で重合を完了させることができ、また、懸濁重合時に分散安定性が良好となる傾向にある。また、130℃以下である場合に、重合発熱が緩和され、重合温度制御が容易となる傾向にある。
本発明により得られる低分子量のビニル系ポリマーは、塗料、インキ用途、特に、高固形分の有機溶剤型塗料用樹脂、光硬化型塗料用樹脂、あるいは粉体塗料用樹脂などに適している。固形で得られるため、有機溶剤型塗料組成物、光硬化型塗料組成物として使用する際、溶解時の有機溶剤やビニル系単量体は様々な種類のものを使用することが出来る。また、低分子量のビニル系ポリマーであるため、有機溶剤やビニル系単量体に高濃度で溶解しても、低粘度を保持し、塗装性に優れるため、低VOC対策としての環境配慮型塗料に適応可能である。
本発明により製造されるビニル系ポリマーのMw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)は、特に制限されないが、例えば、有機溶剤型塗料用樹脂として使用する場合、ビニル系ポリマーのMw/Mnが4以下であることが好ましく、3以下であることが更に好ましい。ビニル系ポリマーのMw/Mnが4以下である場合、種々の溶剤に対する溶解性が向上する傾向にある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を表す。また、本実施例及び比較例における各物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
(1)収率
得られた正常なビニル系ポリマーの質量を測定し、収率(%)を下記式(4)より算出した。なお、正常なビニル系ポリマーとは、正味の質量を意味し、重合中に重合装置に付着した凝集物や、空気を含んだ二次凝集物等を除いたものである。
収率(%)=正常なビニル系ポリマーの質量(g)/仕込みのビニル系単量体の質量(g)×100・・・(4)
(2)ガードナー色数
得られた正常なビニル系ポリマー10gをガードナー試験管にとり、JIS K 5600に準拠して、ガードナー色数標準液と比色することにより測定した。
(3)分子量(Mw、Mn及びMw/Mn)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)「HLC−8120」(商品名、東ソー株式会社製)を用いて測定した。カラムは、TSKgel G5000HXL*GMHXL−L(商品名、東ソー株式会社製)を使用した。また、検量線は、TSK標準ポリスチレンF288/F80/F40/F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(商品名、東ソー株式会社製)及びスチレンを使用して作成した。
得られた正常なビニル系ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に0.4質量%になるように溶解した溶液100μlを使用して、40℃で測定を行った。標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を算出した。
(4)連鎖移動定数
(3)で得られた分子量測定結果を元に、(式3)からそれぞれの開始剤を使用した際の連鎖移動定数Csを求めた。
1/DPn=1/DPn,0+Cs〔Co(II)〕/〔M〕・・・(式3)
Dpn:連鎖移動剤存在下の重合で生成するビニル系ポリマーの重合度
Dpn,0:連鎖移動剤不存在下の重合で生成するビニル系ポリマーの重合度
Cs:連鎖移動定数
〔Co(II)〕/〔M〕:仕込みのCo錯体とビニル系単量体のmol比
なお、本願ではそれぞれの開始剤につき、1/DPnと〔Co(II)〕/〔M〕の値をプロットし、その傾きからCsを求めた。
製造例1〔分散剤1の製造〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
製造例2〔連鎖移動剤1の製造〕
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00gおよびジフェニルグリオキシム1.93g、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mlを入れ、室温で30分間攪拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mlを加え、さらに6時間攪拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤1を2.12g得た。
〔実施例1−a〕〔ビニル系ポリマーの製造〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤1(固形分10質量%)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレートを100部、連鎖移動剤1を0.005部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.05部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して約1時間反応し、さらに重合率を上げるため、後処理温度として90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、ポリマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、ビニル系ポリマーを得た。このビニル系ポリマーは、Mw280000、Mw/Mn3.7であった。
表中の記号は以下の通りである。
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)
パーヘキシルO:t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)
LPO:ラウロイルパーオキサイド
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
AMBN:2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
AIBN:2,2'−アゾビスイソブチロニトリル
〔実施例1−b〜3−b、比較例1−a〜4〕
開始剤の種類、添加量を表1および表2に示されるものとしたこと以外は、実施例1−aと同様にしてビニル系ポリマーを得た。評価結果を表1および表2に示す。
実施例1−a〜3−bでは、収率、連鎖移動効果が高く、着色も低いビニル系ポリマーを得ることができた。
これに対し、比較例1−a、1−bでは、ジアシル型の過酸化物系開始剤を使用しているため、それぞれ同量のコバルト錯体を使用した実施例1−c、1−dと比較して、連鎖移動効果が低く、さらに高い着色もみられた
また、比較例2−a、比較例2−bでは、ジアシル型の過酸化物系開始剤を使用しているため、同量のコバルト錯体を使用した実施例1−b、実施例1−cと比較して、連鎖移動効果が低く、収率も低い場合もあった。
比較例3、4では、アゾ系開始剤を使用しているため、同量のコバルト錯体を使用した実施例1−cと比較して、連鎖移動効果は高かったが、著しく収率が低かった。

Claims (2)

  1. ビニル系単量体を、下記式(1)で表されるコバルト錯体、及び下記式(2)で表される過酸化物系開始剤を使用し、懸濁重合法によってビニル系ポリマーを製造する方法。
    〔式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基;Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基及びアリール基〕
    〔式(2)中、R、R’は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基〕
  2. 式(2)中のRが炭素数6〜12のアルキル基である過酸化物開始剤を用いる請求項1記載のビニル系ポリマーの製造方法。
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