JP5693944B2 - 成膜性を有する有機−無機複合体及びその製造方法 - Google Patents
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[1]
(A)空隙率が5〜80%である無機酸化物粒子と、(B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成され、分子量の分散度が2.3以下であり、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーと、を備え、成膜性を有する有機−無機複合体。
[2]
ガラス転移温度が、−10〜180℃である、[1]に記載の有機−無機複合体。
[3]
ハロゲン含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.001〜5質量%である、[1]又は[2]に記載の有機−無機複合体。
[4]
銅含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.2質量%以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[5]
フッ素含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.1〜60質量%である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[6]
前記無機酸化物粒子の平均粒径が1〜200nmである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[7]
前記無機酸化物粒子の円形度が0.5〜1である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[8]
前記無機酸化物粒子が中空粒子である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[9]
前記無機酸化物粒子が中空シリカ粒子である、[8]に記載の有機−無機複合体。
[10]
前記無機酸化物粒子が、厚み1〜30nmの外殻を有する、[8]又は[9]に記載の有機−無機複合体。
[11]
前記無機酸化物粒子の屈折率が1.05〜1.4である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[12]
前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として2〜96質量%である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[13]
前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全体積を基準として1〜94体積%である、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[14]
前記ラジカル重合性モノマーが、少なくとも1種のフッ素含有モノマーを含む、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[15]
前記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル類から選択される少なくとも1種のモノマーを含む、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[16]
前記ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを含み、前記ポリマーが前記アクリル酸エステルと前記メタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、[1]〜[15]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[17]
前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーである、[1]〜[16]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[18]
前記ポリマーの分子量の分散度が1.0〜1.9である、[1]〜[17]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[19]
前記ポリマーの数平均分子量が、5000〜200000g/molである、[1]〜[18]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
[20]
無機酸化物粒子と重合開始基を有するカップリング剤とを反応させて表面改質無機酸化物粒子を製造する工程と、前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成させる工程と、を備える、[1]〜[19]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[21]
前記リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である、[20]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[22]
前記重合開始基がハロゲン原子を含む、[20]又は[21]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[23]
前記表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量が0.02〜10質量%である、[22]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[24]
前記カップリング剤が、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、[20]〜[23]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[25]
前記官能基が、クロロシリル基又はアルコキシシリル基である、[24]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[26]
前記カップリング剤が、1個又は2個の前記官能基を有する、[25]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[27]
[1]〜[19]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、コーティング材。
[28]
有機溶媒を更に含む、[27]に記載のコーティング材。
[29]
固形分濃度が1〜70質量%である、[27]又は[28]に記載のコーティング材。
[30]
[27]〜[29]のいずれか1項に記載のコーティング材を含む、コーティング膜。
[31]
屈折率が1.05〜1.4である、[30]に記載のコーティング膜。
[32]
鉛筆硬度がHB以上である、[30]又は[31]に記載のコーティング膜。
[33]
水接触角が75°以上である、[30]〜[32]のいずれか1項に記載のコーティング膜。
[34]
油接触角が30°以上である、[30]〜[33]のいずれか1項に記載のコーティング膜。
[35]
[1]〜[19]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、成形体。
[36]
粒子分散度が0.6以下である、[35]に記載の成形体。
[37]
屈折率が1.05〜1.4である、[35]又は[36]に記載の成形体。
[38]
[30]〜[34]のいずれか1項に記載のコーティング膜、又は[35]〜[37]のいずれか1項に記載の成形体を備える光学部材。
[39]
[1]〜[19]のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、光学材料。
無機酸化物粒子は、炭素以外の元素の酸化物である、無機酸化物から形成された粒子であれば、特に限定されるものではない。コーティング膜や成形体の透明性と屈折率制御の容易性の観点から、無機酸化物粒子は、中空粒子が好ましい。中空シリカ粒子又は多孔性シリカ粒子がさらに好ましい。これらの中でも、屈折率制御の観点から、中空シリカ粒子が好ましい。2種以上の無機酸化物粒子を組み合わせて使用することも可能である。
有機−無機複合体を構成するポリマーは、無機酸化物粒子の表面にカップリング剤((C)重合開始基を有するカップリング剤)を介して共有結合により結合している。このポリマーは、1種または2種以上のラジカル重合性モノマーをモノマー単位として含んでいる。有機−無機複合体は、異なるモノマー単位から構成される複数種のポリマーを含有していてよい。
分子量の分散度=Mw/Mn
本実施の形態における(C)カップリング剤は、無機物粒子表面と、上述のポリマーとを連結するために用いられる化合物である。このカップリング剤は、重合開始基と、無機酸化物粒子表面と反応して結合を生成する官能基とを有する化合物であれば、特に限定されるものではない。このときの無機酸化物粒子表面は、無機酸化物そのものから形成されていてもよいし、表面処理されていてもよい。ここでいう表面処理とは、化学反応、熱処理、光照射、プラズマ照射、放射線照射等により、無機酸化物粒子表面を官能基により修飾することである。
・3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(Cas番号:370870−81−8)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(ジクロロメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:1057260−39−5)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:688359−84−4)
・3−(メトキシジメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:531505−27−8)
・3−(ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:1186667−60−6)
・3−(トリメトキシシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:314021−97−1)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−86−6)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)メチルジエトキシシラン(Cas番号:1186667−65−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリエトキシシリル)プロピル エステル(Cas番号:880339−31−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(クロロジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:438001−36−6)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:663174−64−9)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(メトキシジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:861807−46−7)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−85−5)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)トリエトキシシラン(Cas番号:1233513−06−8)
本実施の形態に係る有機−無機複合体は、例えば、無機酸化物粒子と重合開始基を有するカップリング剤とを反応させて表面改質無機酸化物粒子を製造する工程と、重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成させる工程と、を備える方法により得ることができる。
本実施の形態のコーティング材は、上述の有機−無機複合体を含み、コーティング膜を形成するために用いられる材料である。コーティング材の形態は、液体でも固体でもよく、溶媒、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素等の有機−無機複合体以外の物質を含んでいてもよい。
本実施の形態のコーティング膜は、上述のコーティング材を、後述の手法でコーティングした膜であれば、特に限定されるものではないが、一般的には、基材(例えば、PETフィルム、TACフィルム、ガラス、金属、シリコンウエハ、LED、半導体、CD、DVD等)に、数nm〜数cmの厚みで形成した膜を指す。
本実施の形態の成形体は、上述の有機−無機複合体を所定の形状に成形したものである。成形方法は特に限定されないが、通常は、温度、圧力、光(可視光、紫外線、赤外線、近赤外線等)、電子線、プラズマ、衝撃波等の刺激を、有機−無機複合体に与え、所望の形状に成形するのが一般的である。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形、スピンコート等、一般のポリマー材料の成形法を採用することができる。また、その形状も、何ら限定されるものではなく、例えば、ブロック状、ペレット状、板状、フィルム状等、様々な形態をとり得る。また成形時に、溶媒、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素、火薬・爆薬、肥料、医薬品、医薬品添加物、医薬部外品、食品、食品添加物、調味料、無機粒子、硬化剤、硬化促進剤、酸発生剤、カチオン発生剤等を加えて成形用組成物を準備し、これを成形することは、何ら制限されない。
粒子分散度=(隣り合う粒子間の重心間距離の平均偏差)/(隣り合う粒子間の重心間距離)
本実施の形態に係る光学材料は、上述の有機−無機複合体を含有し、光学部材を形成するために用いられる。光学材料は、例えば、反射防止膜、コーティング材、ハードコート剤として好適に利用できる。
<無機酸化物粒子の空隙率、平均粒径、中空粒子の外殻厚み>
[平均粒径]
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、HR−STEMという。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個について、各々の粒子の外径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(5)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「無機酸化物粒子の平均粒径」とした。
(6)次いで、上記(1)〜(3)と同様の方法で得られた、HR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、中空粒子200個について、各々の中空粒子の内径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(7)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「中空粒子の平均内径」とした。
(8)上記で求めた、無機酸化物の平均粒径と、中空粒子の平均内径より、中空粒子の外殻厚みを以下の式に従って、算出した。
中空粒子の外殻厚み=(無機酸化物粒子の平均粒径−中空粒子の平均内径)/2 ・・・(6)
(9)上記中空粒子の平均内径から、以下の式に従って、中空粒子の内腔半径aを求めた。
中空粒子の内腔半径a=中空粒子の平均内径/2 ・・・(7)
(10)上記無機酸化物粒子の平均粒径から、以下の式に従って、無機酸化物粒子の半径bを求めた。
無機酸化物粒子の半径b=無機酸化物粒子の平均粒径/2 ・・・(8)
(11)上記(9)〜(10)で求めた、中空粒子の内腔半径a、及び、無機酸化物粒子の半径bを、以下の式に代入し、無機酸化物粒子の空隙率を求めた。
空隙率(%)=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100 ・・・(9)
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、HR−STEMの透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、粒子200個各々の円形度を求めた。円形度が0.5以上である場合を「A」、円形度が0.5未満の場合を「B」と判定した。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長) ・・・(10)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
(5)200個の粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機酸化物粒子の円形度とした。
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、HR−STEMの透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)上記HR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、粒子200個各々の外径の、「最大長」及び「最小幅」を算出した。図1は、各粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。図1に示されるように、「最大長」とは、HR−STEM像における粒子の周上の任意の2点間の距離の最大値を指し、「最小幅」とは、粒子が最大長を示す方向に対して垂直な方向における粒子の幅を指す。
(5)求められた最大長L及び最小幅Dを下記式に代入して、粒子200個各々のL/Dを求めた。
L/D=(最大長)/(最小幅) ・・・(11)
(6)200個の粒子のL/Dのうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機酸化物粒子のL/Dとした。
無機酸化物粒子の屈折率は、標準屈折液(Cargill社製)を使用して、以下の方法により求めた。但し、所望の屈折率の標準屈折液が入手出来ない場合は、屈折率既知の試薬で代用した。
(1)無機酸化物粒子の分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させた。
(2)これを120℃の真空乾燥機で乾燥し、粉末にした。
(3)屈折率既知の標準屈折液を、2〜3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合した。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を無機酸化物粒子の屈折率とした。
表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量を、燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で求めた。
(1)サンプルを酸素気流中で、石英燃焼管を使用して燃焼させ、発生したガスを、吸収液(3%過酸化水素水)に吸収させた。
(2)吸収液を適宜希釈し、吸収液中の臭素イオンと塩素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。
(3)測定された臭素イオン及び塩素イオンの合計量から、表面改質無機酸化物の質量に対する、臭素イオン及び塩素イオンの合計量を、ハロゲン含有量として求めた。
ASTM D792に準じて測定した。
ポリマーの分子量及び分子量の分散度を、「分解法」又は「添加法」により求めた。成膜性有機−無機複合体が、トルエンに対して易分散の場合は「分解法」で測定を行い、難溶性の場合は「添加法」で測定した。
[分解法]
(前処理)
無機酸化物粒子に結合したポリマーの分子量測定のための前処理として、以下の手順に従って、有機−無機複合体に対してふっ化水素酸処理(以下、「HF処理」という。)を施した。
(1)テフロン(登録商標)製回転子を入れたテフロン(登録商標)製、又は、任意の樹脂製容器に、2mLのトルエン(和光純薬工業株式会社製)と、15mgの相間移動触媒(Aldrich社製、「Alquat336」)を加え、攪拌して、相間移動触媒がトルエンに溶解した溶液を得る。
(2)溶液に有機−無機複合体のサンプル200mgを加え、攪拌により溶解させる。
(3)得られた溶液に、更に、2mLのふっ化水素酸(和光純薬工業株式会社製、濃度:46〜48%)を加え、室温で24時間攪拌して、無機酸化物粒子からポリマーを分離する。
(4)上記溶液を、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の水溶液によって中和する。この時、相分離が悪い場合は、さらにトルエン2mLを加えて遠心分離した溶液を使用してもよい。
上記前処理で得られたサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
ポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を以下の式に代入して、ポリマーの分子量の分散度を求めた。分子量の分散度が1.9以下である場合を「A」、分子量の分散度が1.9を超える場合を「B」と判定した。
分子量の分散度=Mw/Mn ・・・(12)
[添加法]
以下の方法で前処理を行い、「分子量測定」と「分子量の分散度」は、上述の「分解法」と同様の方法で求めた。
(前処理)
以下の手順に従って、無機酸化物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量の分散度」を求めた。分子量測定用サンプルとして、実施例とは別に、重合開始剤を添加した状態で有機−無機複合体を合成し、重合開始剤の添加により副生するポリマーを測定し、これを無機酸化物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量の分散度」とみなした。
(1)分子量測定用サンプルの合成
(1−1)実施例と同様の方法で、有機−無機複合体の原料を配合した。
(1−2)上記溶液に、モノマー:重合開始剤=100:(0.01〜0.25)(mol比)となるように、重合開始剤を外割で加えた。重合開始剤は、実施例の重合液中の臭素含有量に対し、約10〜20%の臭素含有量となるように配合した。
・重合開始剤:2−ブロモイソ酪酸エチル(EBIB):Aldrich社製
(1−3)上記溶液に触媒溶液を加え、実施例と同様の方法で、測定用サンプル(有機−無機複合体と副正ポリマーの混合物)を重合した。
(1−4)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(1−5)残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返し、残った沈殿物を、実施例と同様の方法で乾燥した。
(2)上記(1)で得られた、分子量測定用サンプル1gに、10mLの溶媒(例えば、MIBK)を加え、24時間攪拌した。
(3)上記溶液に適量のTHFを加え、更に1時間攪拌した溶液を、遠心分離した。
(4)上述の「分解法」と同様の方法で、遠心分離後の上澄み液を測定し、「分子量」と「分子量の分散度」を求めた。
(1)サンプル瓶に10gの有機−無機複合体をはかりとり、MIBKを加えて100mLとした後、回転子を入れて、内容物をスターラーで24時間攪拌した。
(2)別のサンプル瓶に、10mLの上記溶液をはかりとり、THFを加えて100mLに希釈後、回転子を入れて、内容物をスターラーで、更に24時間攪拌した。
(3)上記溶液を遠沈管に移し、遠心分離機で、6600rpmで30分間処理した。
(4)遠心分離後の上澄み液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行い、有機−無機複合体におけるフリーポリマーを測定した。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の、ピークトップ分子量(Mp)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(5)上記で得られた、Mp>800のピークを、フリーポリマーとして定量した。定量の際には、Mpが最も近い「定量標準物質」を下記から選択して検量線を作成し、定量標準物質換算で、有機−無機複合体中のフリーポリマーの量(質量%)を算出した。またピークが複数ある場合は、それらの合計量を求め、フリーポリマーの量(質量%)とした。
(5−1)定量標準物質:ポリメタクリル酸メチル(創和科学株式会社製)
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA850(Mp=860)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA2K(Mp=2,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA7K(Mp=7,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA11K(Mp=11,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA21K(Mp=20,850)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA30K(Mp=33,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA45K(Mp=46,300)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA85K(Mp=87,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA110K(Mp=107,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA190K(Mp=185,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA225K(Mp=240,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA320K(Mp=322,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA680K(Mp=670,000)」
(6)有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)の測定
熱重量測定装置により、以下の条件で有機−無機複合体を加熱したときの質量減量(質量%)をn=3で測定し、その平均値を「有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマー)」とした。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
(7)上記で得られた「フリーポリマーの量(質量%)」と、「有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)」から、下記式に従って「無機酸化物に結合しているポリマーの量(質量%)」を算出した。
無機酸化物に結合しているポリマーの量(質量%)=(A−B)/A×100 ・・・(13)
ここで、A:有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)、B:フリーポリマーの量(質量%)である。
示差走査熱量測定装置(DSC)により、以下の条件で有機−無機複合体のTgを求めた。
・装置:PerkinElmer社製、「Diamond DSC」
・温度プログラム:−40℃スタート→20分間保持→20℃/分で昇温→200℃
有機−無機複合体のハロゲン含有量は、前述の「表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量の測定」と同様の方法で求めた。
酸分解及びそれに続くICP発光分析法により、以下の手順で、銅含有量を求めた。
(1)サンプルを、硫酸(和光純薬工業株式会社製)、硝酸(和光純薬工業株式会社製)、フッ化水素酸(和光純薬工業株式会社製)で分解した。
(2)更に、硝酸(1+2)で加温溶解を行った。
(3)上記溶液を希釈し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、「ICPS−8100」)で測定した。
燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で、フッ素含有量を求めた。
(1)サンプルを酸素気流下で、石英燃焼管を使用して燃焼させた。このとき、サンプルは必要に応じ、溶解及び/又は希釈してから使用してもよい。
(2)燃焼により発生したガスを、氷冷した吸収液(0.2%NaOH水溶液)に吸収させた。
(3)吸収液を適宜希釈し、吸収液中のフッ素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。測定されたフッ素イオンの量から、有機−無機複合体の質量に対するフッ素イオンの量をフッ素含有量として求めた。
熱重量測定装置により、以下の条件で有機−無機複合体を加熱したときの質量減量を求めた。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
(1)質量%
測定された質量減量(質量%)を以下の式に代入し、無機酸化物の含有量(質量%)を算出した。
無機酸化物含有量(質量%)=100−質量減量(質量%)
(2)体積%
(2−1)ポリマーの質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を、ポリマーの質量(mg)と見なし、その値を下記式に代入して、ポリマーの体積(μL)を算出した。
ポリマーの体積(μL)={ポリマーの質量(mg)}/{ポリマーの比重}
(2−2)無機酸化物の質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を下記式に代入して、無機酸化物の質量(mg)を算出した。
無機酸化物の質量(mg)=試料量(mg)−質量減量(mg)
無機酸化物の質量を下記式に代入して、無機酸化物の体積(μL)を算出した。
無機酸化物の体積(μL)={無機酸化物の質量(mg)}/{無機酸化物の密度(g/cm3)}
(2−3)無機酸化物含有量(体積%)の算出
上記のようにして得られた値を下記式に代入して、無機酸化物含有量(体積%)を算出した。
有機−無機複合体に、任意の溶媒を加え、室温で24時間攪拌処理を行い、有機−無機複合体の溶媒分散液を調製したものを、コーティング材とした。尚、必要に応じ、超音波処理やエバポレーターによる濃縮処理を加えた。
以下の手順で、コーティング材の固形分濃度を求めた。
(1)秤量瓶に、コーティング材をはかりとり、内容物の質量(質量A)を記録した。
(2)内容物の流動性が無くなるまで、窒素気流下で、上記秤量瓶を風乾した。
(3)上記秤量瓶を、105℃、真空下で、24時間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで冷却した。
(4)秤量瓶の質量をはかり、内容物の質量(質量B)を記録した。
(5)以下の式により、固形分を求めた。
固形分(質量%)=(質量B)/(質量A)×100
以下の手順で、コーティング膜を作製した。
(1)上述のコーティング材を、適量、はかりとる。
(2)PETフィルム又はTACフィルムの上に、(1)のコーティング材を載せ、速やかにバーコーターで塗工した。但しバーコーターは、乾燥後のコーティング膜厚が3μm程度になるように、適宜選択した。
・PETフィルム:東洋紡績株式会社製、「コスモシャイン4100」(厚み100μm、全光線透過率90%、ヘーズ0.9%)
・TACフィルム:富士フィルム株式会社製(厚み80μm、全光線透過率93%、ヘーズ0.7%)
(3)1時間風乾後、100℃の防爆型送風乾燥機で、1時間乾燥したものを、コーティング膜とした。
上記コーティング膜、及び後述の成形体を目視により観察し、粒子の凝集が実質的に見られない場合を合格(「A」)と判定し、粒子の凝集が見られた場合を「B」と判定した。
屈折率測定装置を使用し、上記コーティング膜、及び後述の成形体の屈折率を下記条件で測定した。
・装置:Metricon社製、「MODEL 2010 PRISM COUPLER」
・モード:コーティング膜はシングルフィルムモード、成形体はバルクモードで測定
・測定波長:633nm
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH 5000W」)を使用し、「JIS K7105:プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、コーティング膜の、全光線透過率とヘーズを測定した。
電動鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を使用し、荷重500gで、「JIS K5600−5−4:塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準じて、コーティング膜の、鉛筆硬度を測定した。
接触角計(協和界面科学株式会社製)を使用し、液滴法で、コーティング膜の水接触角(水に対する接触角)と、油接触角(n−ヘキサデカンに対する接触角)を測定した。
コーティング膜の密着性を、「JIS K5600−5−4:塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準じて評価した。
JISの分類法で、分類0と1は合格(「A」)と判定し、分類2〜5は不合格(「B」)と判定した。
圧縮成形機を用いて、以下の条件で有機−無機複合体を真空熱プレスすることによって、厚み約50〜100μmの成形体を作製した。
・装置:株式会社神藤金属工業所製、「SFV−30」
・温度:100〜255℃、但し、特に問題が無い場合は、150℃で成形体を作製した。
(1)成形体から超薄切片を作製した。
(2)上記超薄切片を、HR−STEMの走査モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(3)上記HR−STEM像を、上記画像解析ソフトで処理し、粒子500個について、重心間距離法により、下記式に従って、各々の粒子分散度を求め、その平均値を成形体の粒子分散度とした。粒子分散度が小さいほど、粒子がより均一に分散していることを意味し、粒子分散度≦0.6であると、物性のバラつきが抑制できる。
粒子分散度=(隣り合う粒子間の重心間距離の平均偏差)/(隣り合う粒子間の重心間距離) ・・・(14)
実施例及び比較例で使用した原材料の内容を以下の(1)〜(8)に示す。
(1)無機酸化物溶液
(1−1)中空シリカ粒子溶液−1
・製造メーカー:日揮触媒化成株式会社製
・20質量%中空シリカ粒子/MIBK溶液
・平均粒径48nm、外殻厚み8.5nm
・空隙率:27%
・無機酸化物粒子の屈折率:1.30
(1−2)中空シリカ粒子溶液−2
・製造メーカー:日揮触媒化成株式会社製
・中空シリカ粒子含有量:20質量%
・20質量%中空シリカ粒子/MIBK溶液
・平均粒径64nm、外殻厚み9nm
・空隙率:37%
・無機酸化物粒子の屈折率:1.25
(1−3)中空シリカ粒子溶液−3
・製造メーカー:日揮触媒化成株式会社製
・中空シリカ粒子含有量:20質量%
・20質量%中空シリカ粒子/イソプロピルアルコール溶液
・平均粒径60nm、外殻厚み10nm
・空隙率:30%
・無機酸化物粒子の屈折率:1.31
(1−4)SiO2溶液
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MIBK−ST」
・SiO2含有量:31質量%
・空隙率:0%
・屈折率:1.45
(2−1)3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(以下、「BPS」という。)
公知の方法(特開2006−063042号公報等)を参考に、下記化学式(10)で表されるBPSを合成した。
公知の方法(特開2006−257308号公報)に従って、下記化学式(11)で表されるBIDSを合成した。
公知の方法(特開2006−257308号公報)に従って、下記化学式(12)で表されるBPSHを合成した。
(3−1)臭化銅(I)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(3−2)臭化銅(II)(CuBr2):和光純薬工業株式会社製
(4)配位子
(4−1)N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。):Aldrich社製
(4−2)4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ジピリジン(以下、「dNbpy」という。):Aldrich社製
(5)モノマー
以下のモノマーは全て、アルミナカラムを通じて重合禁止剤を除去した後、1時間以上窒素バブリングして、脱酸素処理を行ってから使用した。アルミナカラムが使用できない場合は、蒸留等の公知の方法で、重合禁止剤を除去してもよい。
(5−1)メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−2)アクリル酸メチル(以下、「MA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−3)アクリル酸エチル(以下、「EA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−4)アクリル酸n−ブチル(以下、「nBA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−5)メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(以下、「TFEMA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−6)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(以下、「TFEA」という。):東京化成工業株式会社製
(5−7)メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(以下、「PFPMA」という。):関東化学株式会社製
(5−8)メタクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(以下、(「HFIMA」という。):関東化学株式会社製
(5−9)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」という。):東京化成工業株式会社製
(6−1)メタノール:和光純薬工業株式会社製
(6−2)メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−3)メチルエチルケトン(以下、「MEK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−4)テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−5)ヘキサン:和光純薬工業株式会社製
(6−6)トルエン:和光純薬工業株式会社製
(6−7)シクロヘキサノン:和光純薬工業株式会社製
(7)メタノール−水混合溶液
(7−1)メタノール−水混合溶液−1:77容量%のメタノールと、23容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(7−2)メタノール−水混合溶液−2:80容量%のメタノールと、20容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(8)重合開始剤
(8−1)2−ブロモイソ酪酸エチル(以下、「EBIB」という。):Aldrich社製
(9)水酸化ナトリウム(以下、「NaOH」という。):和光純薬工業株式会社製
以下の手順に従って、BPS改質中空シリカ粒子−1(BPSが表面に結合した、中空シリカ粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に86容量%の中空シリカ粒子溶液−1(平均粒径48nm)を導入し、更に、7容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で7容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液−1に投入し、混合した。
(8)上記溶液を遠沈管に移し、上記遠心分離機を用いて、10000rpm、10℃で、90分間、遠心分離を行った。
(9)遠心分離で得られた沈殿物に、少量のTHFを加えて攪拌し、溶解した。
(10)上記溶液をヘキサンに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(11)残った沈殿物にヘキサンを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を10回繰り返した。
(12)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(13)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質中空シリカ粒子−1(BPSが表面に結合した、中空シリカ粒子)を得た。
(14)BPS改質中空シリカ粒子−1のハロゲン含有量は1.0質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
中空シリカ粒子溶液−1(平均粒径48nm)を89容量%、BPSを3.5容量%、HMDSを7.5容量%に、配合量を変更し、上記表面改質無機酸化物粒子−1の合成と同様の方法で、BPS改質中空シリカ粒子−2(BPSが表面に結合した、中空シリカ粒子)を合成した。BPS改質中空シリカ粒子−2のハロゲン含有量は、0.6質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
中空シリカ粒子溶液−1(平均粒径48nm)を、中空シリカ粒子溶液−2(平均粒径64nm)に変更した以外は、上記表面改質無機酸化物粒子−1の合成と同様の方法で、BPS改質中空シリカ粒子−3(BPSが表面に結合した、中空シリカ粒子)を合成した。BPS改質中空シリカ粒子−3のハロゲン含有量は、1.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
以下の手順に従って、BIDS改質中空シリカ粒子−4(BIDSが表面に結合した、中空シリカ粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に85容量%の中空シリカ粒子溶液−1(平均粒径48nm)を導入し、更に、15容量%のBIDSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、反応液を遠沈管に移し、上記遠心分離機を用いて、10000rpm、10℃で、1時間、遠心分離した後、ヘキサンに投入し、攪拌した。
(5)上記溶液を静置後、上記遠心分離機で、任意の回転数で遠心分離を行い、上澄み液を廃棄した。
(6)残った沈殿物に、再度、ヘキサンを加え、(5)の操作を行った。
(7)更に、上記(5)〜(6)の操作を10回繰り返した。
(8)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(9)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BIDS改質中空シリカ粒子を得た。
(10)BIDS改質中空シリカ粒子のハロゲン含有量は、0.4質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
以下の手順に従って、BPS改質シリカ粒子(BPSが表面に結合した、シリカ粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に88容量%のSiO2溶液を導入し、更に、2容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で10容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液−2に投入、混合し、静置後、上澄み液を廃棄した。
(8)沈殿物に窒素を吹き込み、残留する液体を揮発させた後、少量のTHFを加え、攪拌により沈殿物をTHFに溶解させた。
(9)上記溶液をメタノールに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(10)残った沈殿物にメタノールを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を10回繰り返した。
(11)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質シリカ粒子を得た。
(13)BPS改質シリカ粒子のハロゲン含有量は、1.6質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Aを、表1の配合に従って、以下の手順で製造した。各成分の濃度は、全成分の合計量を基準とした数値である。得られた有機−無機複合体Aの評価結果を表2に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBr2を加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、60℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質中空シリカ粒子−1を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りの溶媒(MIBK)を導入し、超音波洗浄機で10分間処理した後、更にモノマー(MMA、nBA)を導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を2時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、メタノール(メタノールのみで固形分が析出しにくい場合は、更に水を加えても良い。)に投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、メタノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(10)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、有機−無機複合体Aを得た。
(11)有機−無機複合体AのTgを上述の方法で測定したところ、0℃であった。
(12)有機−無機複合体Aのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、0.5質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(13)有機−無機複合体Aの銅含有量を、上述の方法で測定したところ、0.02質量%であった。
(14)有機−無機複合体Aのフッ素含有量を、上述の方法で測定したところ、0質量%であった。
(15)有機−無機複合体Aを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、Mn=11,500、Mw=16,500であった。更に、分子量の分散度(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.43(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
(16)有機−無機複合体Aのフリーポリマー量を測定したところ、フリーポリマーは検出されず、無機酸化物に結合しているポリマーの量は100質量%であった。
(17)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子の平均粒径を求めたところ、48nmであった。
(18)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子(中空SiO2)の空隙率は27%、外殻厚みは、8.5nmであった。
(19)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子の円形度を求めたところ、円形度=0.96(≧0.5)であった。
(20)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子のL/Dを求めたところ、L/D=1.08(≦2)であった。
(21)有機−無機複合体Aの無機酸化物含有量を上述の方法で測定したところ、無機酸化物含有量は、53質量%(2〜96質量%)及び42体積%(1〜94体積%)であった。
(22)10質量%となるように、有機−無機複合体AとMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。
(23)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。
(24)コーティング膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は91%、ヘーズは0.7%であった。
(25)上述の方法でコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.39であり、比較例2のSiO2−g−p(MMA−co−BA)の屈折率1.46と比較して、顕著に低い値を示した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。
(26)更に、上述の方法で測定した、コーティング膜の鉛筆硬度はHであり、比較例5のpMMAのコーティング膜の鉛筆硬度(F)と比較しても、十分な強度であった。
(27)上述の方法で、コーティング膜の密着性を評価した結果、合格(「A」)であった。
(28)上述の方法で、コーティング膜の接触角を評価した結果、水接触角は68°、油接触角は15°であった。
(29)有機−無機複合体Aを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で成形体の屈折率を測定したところ、1.39であり、比較例2のSiO2−g−p(MMA−co−BA)の屈折率1.46と比較して、顕著に低い値を示した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。
(30)上記成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.14(≦0.6)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
有機−無機複合体Bを、表1の配合に従って、重合反応条件を、90℃、1.25時間とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Bの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Cを、表1の配合に従って、重合反応条件を、90℃、25分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Cの評価果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Dを、表1の配合に従って、BPS改質中空シリカ粒子−1をBPS改質中空シリカ粒子−3に変更し、重合反応条件を、90℃、50分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Dの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Eを、表1の配合に従って、BPS改質中空SiO2粒子−1をBPS改質中空SiO2粒子−2に変更し、重合反応条件を、75℃、10分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Eの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Fを、表1の配合に従って、重合反応条件を、75℃、15分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Fの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Gを、表1の配合に従って、重合反応条件を、60℃、12時間とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Gの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Hを、表1の配合に従って、重合反応条件を、60℃、18時間とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Hの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
表1の配合に従って、以下の手順で、有機−無機複合体Iを製造し、実施例1と同様の方法で評価した。
(1)触媒溶液を予め調製せず、冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質中空シリカ粒子−2、触媒、配位子を投入した。
(2)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(3)フラスコに、窒素下でモノマーを導入して攪拌後、60℃で35分間重合反応を行った。
(4)以降の処理は、実施例1と同様の手順で行い、有機−無機複合体Iを得た。
得られた有機−無機複合体Iの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
表1の配合に従って、以下の手順で、有機−無機複合体Jを製造し、実施例1と同様の方法で評価した。
(1)重合反応条件を、60℃、20分間とした以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行った。
(2)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、メタノールに投入して攪拌し、静置した。
(3)静置後、上澄み液を廃棄し、残った沈殿物を減圧ろ過しながら、メタノールで洗浄した。更に、ろ紙上に残った沈殿物を、減圧ろ過しながら、沸騰水で洗浄した。
(4)上記(3)の操作を8回繰り返した後、沈殿物を、実施例1と同様の方法で乾燥させて、有機−無機複合体Jを得た。
有機−無機複合体Kを、表1の配合に従って、重合反応条件を、60℃、25分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Kの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
有機−無機複合体Lを、表1の配合に従って、重合反応条件を、60℃、20分とした以外は実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体Lの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
表1の配合に従って、以下の手順で、無機酸化物粒子を配合せずに重合反応を行い、p(MMA−co−BA)を合成した。得られたp(MMA−co−BA)を、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBr2を加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、60℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)回転子を入れたシュレンクフラスコを、内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKとEBIBを窒素下で導入し、攪拌したものを、重合開始剤溶液とした。
(4)回転子を入れた、別のシュレンクフラスコに、冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りの溶媒とモノマーを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液と重合開始剤溶液を、窒素下で導入後、反応液を10時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、メタノールに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(8)残った沈殿物に、メタノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(10)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、p(MMA−co−BA)を得た。
(11)更に、実施例1と同じ手順で評価を行った。ただし、p(MMA−co−BA)の分子量は、HF処理を省略し、GPCで測定した。その結果、Mn=82,000、Mw=105,000、Mw/Mn=1.28(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が形成されていることがわかった。
(12)上記、BPS改質中空シリカ粒子−1と、上記で得られたp(MMA−co−BA)を、53:47の質量比で混合したものと、回転子を、還流管を接続した丸底フラスコに入れた。
(13)更に、窒素下で、適量のTHFを加え、60℃で30分間、攪拌した。
(14)上記溶液を、室温まで冷却後、メタノールに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(15)残った沈殿物に、メタノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(16)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(17)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、有機−無機複合体αを得た。
(18)有機−無機複合体αの無機酸化物粒子の平均粒径、無機酸化物粒子(中空シリカ粒子)の空隙率、外殻厚み、円形度、L/Dを測定しようと試みたが、凝集により、測定不能であった。但し、実施例1と同じBPS改質シリカ粒子−1を使用していることから、同等の形状であると推定される。
(19)有機−無機複合体αのTgを上述の方法で測定したところ、−12〜8℃の間でバラつきがあり、正確な値が得られなかった。
(20)有機−無機複合体αのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、0.2〜0.8質量%の間でバラつきがあり、正確な値が得られなかった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(21)有機−無機複合体αの無機酸化物含有量を、上述の方法で測定したところ、無機酸化物含有量が、44〜60質量%でばらついており、正確な値が求められなかった。
(22)上記有機−無機複合体αを、上述の方法で調製し、コーティング膜と成形体を得た。得られたコーティング膜と成形体の外観を目視で確認したところ、部分的に粒子の凝集が見られ、透明性が維持できなかった。
(23)また、上述の方法で、コーティング膜の全光線透過率とヘーズを測定したが、バラつきが大きく、正確な測定ができなかった。
(24)更に、上述の方法で、コーティング膜と成形体の屈折率を測定したところ、1.43〜1.39の間でばらついており、無機化合物粒子が均一に分散していないことがわかった。
(25)成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.73(>0.6)であり、粒子の分散性が不良であることが確認された。
有機−無機複合体βを、表1の配合に従って、BPS改質中空シリカ粒子−1をBPS改質シリカ粒子に変更し、重合時間を、1時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、製造し、評価した。得られた有機−無機複合体βの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
以下の手順に従って、有機−無機複合体γを製造し、実施例1と同様の方法で評価した。得られた有機−無機複合体γの評価結果を表2に示す。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に92.4質量%の中空シリカ粒子溶液−3(平均粒径60nm)を導入し、更に、5.6質量%のBPSHと、0.3質量%のイソプロポキシアルミニウムエチルアセテートを加え、攪拌混合した。
(3)次に1.7質量%のイオン交換水を導入し、60℃で、10時間、攪拌した。
(4)反応液を室温まで冷却した後、反応液を遠沈管に移し、遠心分離機を用いて、10000rpm、10℃で、1時間、遠心分離した後、上澄み液を廃棄した。
(5)残った沈殿物に、シクロヘキサノンを加えて精製を行い、この操作を5回繰り返した。
(6)精製後、シクロヘキサノンを追加して、固形分濃度を30質量%としたものを、中空シリカ粒子溶液−4とした。
(7)シュレンクフラスコに、7.8質量%の上記中空シリカ粒子溶液−4、12.9質量%のトルエン、0.3質量%のCuBr、1.6質量%のdNbpyを導入し、攪拌混合した。
(8)上記容器を密閉後、冷却脱気と窒素置換を3回繰り返し、容器内を窒素置換した。
(9)更に窒素下で、77.5質量%のMMAを導入し、60℃で、8時間反応した。
(10)上記溶液を室温まで冷却後、ヘキサンに投入し、静置後、上澄み液を廃棄した。更に、この操作を3回繰り返し、精製を行った。
(11)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、有機−無機複合体γを得たが、緑〜茶色に着色していた。
(13)有機−無機複合体γのTgを上述の方法で測定したところ、101℃であった。
(14)有機−無機複合体γのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、0.04質量%であり、塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(15)有機−無機複合体γの銅含有量を、上述の方法で測定したところ、0.93質量%と非常に高く、これが着色の原因と推定された。
(16)有機−無機複合体γを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、メインピークが2つの山に分かれて観測された。Mn=108200、Mw=296500、Mw/Mn=2.74(>2.3)であり、ポリマー鎖長の揃ったポリマーが重合されていないことがわかった。更に、Mn>1000000以上の部分に、カップリング剤の加水分解縮合物と思われる高分子量体の大きなピークが発現した。
(17)有機−無機複合体γにおける、無機酸化物に結合しているポリマーの量は、5892質量%の間でバラつき、正確な値が得られなかった。
(18)有機−無機複合体γの無機酸化物粒子の平均粒径を求めたところ、60nmであった。
(19)有機−無機複合体γの無機酸化物粒子(中空SiO2)の空隙率は30%、外殻厚みは、10nmであった。
(20)有機−無機複合体γの無機酸化物粒子の円形度を求めたところ、円形度=0.94(≧0.5)であった。
(21)有機−無機複合体γの無機酸化物粒子のL/Dを求めたところ、L/D=1.12(≦2)であった。
(20)有機−無機複合体γの無機酸化物含有量を、上述の方法で測定したところ、無機酸化物含有量は10質量%(2〜96質量%)及び7体積%(1〜94体積%)であった。
(22)10質量%となるように、有機−無機複合体γとMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。
(23)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、やや粒子の凝集が見られ、微白濁を呈しており、黄〜褐色の着色が見られた。
(24)コーティング膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は90〜92%、ヘーズは0.7〜3.8%とバラつきが見られた。
(25)更に、上述の方法で、コーティング膜と成形体の屈折率を測定したところ、1.47であり、比較例2のSiO2−g−p(MMA−co−BA)の屈折率1.46よりも屈折率が高く、市販の汎用ポリマーと同程度の屈折率しか発現しないことがわかった。
モノマーとしてMMAの代わりにHEMAを使用し、溶媒としてトルエンの代わりにMEKを使用し、重合温度を70℃とした以外は、比較例3と同じ方法で、有機−無機複合体δを製造し、実施例1と同様の方法で評価した。得られた有機−無機複合体δの評価結果を表2に示す。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
・アセトン(和光純薬工業株式会社製)
・MEK(和光純薬工業株式会社製)
・MIBK(和光純薬工業株式会社製)
・MIBK:MEK混合溶媒(1:3〜3:1、比率はmol比)
・トルエン(和光純薬工業株式会社製)
・アニソール(和光純薬工業株式会社製)
・酢酸ブチル(和光純薬工業株式会社製)
・酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(和光純薬工業株式会社製)
実施例1の有機−無機複合体Aの代わりに、ポリ(メタクリル酸メチル)(Aldrich社製、以下、pMMAという。)を使用して、コーティング膜を作製し、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表2に示す。コーティング膜は透明性を有するものの、屈折率は1.49であった。
実施例1の有機−無機複合体Aの代わりに、上述の「中空シリカ粒子溶液−1」「表面改質無機酸化物−1(BPS改質中空シリカ粒子−1)」を使用して、コーティング膜を作製し、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1の有機−無機複合体Aの代わりに、上述の「表面改質無機酸化物−1(BPS改質中空シリカ粒子−1)」を使用して、コーティング膜を作製し、実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
Claims (38)
- (A)空隙率が5〜80%であり、平均粒径が1〜200nmである無機酸化物粒子と、
(B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成され、分子量の分散度が2.3以下であり、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーと、を備え、成膜性を有する有機−無機複合体。 - ガラス転移温度が、−10〜180℃である、請求項1に記載の有機−無機複合体。
- ハロゲン含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.001〜5質量%である、請求項1又は2に記載の有機−無機複合体。
- 銅含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.2質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- フッ素含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.1〜60質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子の円形度が0.5〜1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子が中空粒子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子が中空シリカ粒子である、請求項7に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子が、厚み1〜30nmの外殻を有する、請求項7又は8に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子の屈折率が1.05〜1.4である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として2〜96質量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全体積を基準として1〜94体積%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ラジカル重合性モノマーが、少なくとも1種のフッ素含有モノマーを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを含み、前記ポリマーが前記アクリル酸エステルと前記メタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ポリマーの分子量の分散度が1.0〜1.9である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 前記ポリマーの数平均分子量が、5000〜200000g/molである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
- 無機酸化物粒子と重合開始基を有するカップリング剤とを反応させて表面改質無機酸化物粒子を製造する工程と、
前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成させる工程と、
を備える、請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。 - 前記リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である、請求項19に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 前記重合開始基がハロゲン原子を含む、請求項19又は20に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 前記表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量が0.02〜10質量%である、請求項21に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 前記カップリング剤が、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項19〜22のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 前記官能基が、クロロシリル基又はアルコキシシリル基である、請求項23に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 前記カップリング剤が、1個又は2個の前記官能基を有する、請求項24に記載の有機−無機複合体の製造方法。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、コーティング材。
- 有機溶媒を更に含む、請求項26に記載のコーティング材。
- 固形分濃度が1〜70質量%である、請求項26又は27に記載のコーティング材。
- 請求項26〜28のいずれか1項に記載のコーティング材を含む、コーティング膜。
- 屈折率が1.05〜1.4である、請求項29に記載のコーティング膜。
- 鉛筆硬度がHB以上である、請求項29又は30に記載のコーティング膜。
- 水接触角が75°以上である、請求項29〜31のいずれか1項に記載のコーティング膜。
- 油接触角が30°以上である、請求項29〜32のいずれか1項に記載のコーティング膜。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、成形体。
- 粒子分散度が0.6以下である、請求項34に記載の成形体。
- 屈折率が1.05〜1.4である、請求項34又は35に記載の成形体。
- 請求項29〜33のいずれか1項に記載のコーティング膜、又は請求項34〜36のいずれか1項に記載の成形体を備える光学部材。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、光学材料。
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