JP2015203723A5 - - Google Patents

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光学素子及びそれを有する光学系
本発明は、光学素子及びそれを有する光学系に関するものである。
従来、ビデオカメラ、写真カメラ、テレビカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズの各面には、透過光量を上げると共に、不要光によるゴースト、フレア等の発生を回避するために反射防止膜が施されている。反射防止膜は多くの場合、誘電体薄膜を多層積層した多層膜より構成されている。
一般的に、反射防止膜は、より多くの層を重ねる程、反射防止効果が高くなる。また高い反射防止効果を得るためには、反射防止膜の最表層(最上層)に、屈折率の低い層を用いるのが有効である。この屈折率の低い層として、SiO2(シリカ)やMgF2(フッ化マグネシウム)等の媒質に、波長以下の微細な空孔を持たせた、いわゆる、多孔質よりなる層が知られている。このとき、媒質中の空気の割合によって、実質的な屈折率を低下させることができる。層中の空孔の割合を5割程度にすると、屈折率1.25程度の多孔質層が実現できる。従来多孔質層を用いた反射防止膜が知られている(特許文献1)。
特許文献1は、最上層がシリカを主成分とする屈折率が1.270の多孔質層を用いた反射防止膜を開示している。具体的には基板上に7層を積層した構成よりなり、基板側から、1層目にアルミナを主成分とした層、2層目以降は、屈折率1.95以上、2.25以下の高屈折率層と、屈折率1.35以上、1.50以下の低屈折率層とが交互に積層している。そして、最上層に屈折率1.270の多孔質層(超低屈折率層)を配置している。それにより波長550nmでの反射率が0.3%以下、波長700nmでの反射率0.6〜1.3%以下の高性能な反射防止効果を得ている。
特開2009−157264号公報
特許文献1に開示された反射防止膜は、従来の最表層にSiO2や、MgF2を用いた反射防止膜と比較すると反射率が低い。しかしながら、広い波長域における反射率は近年の撮影レンズ用の反射防止膜としては必ずしも十分でない。例えば、センサー面との反射に基づくゴーストや、全反射面との反射に基づくゴーストなどを効果的に防止するには広い波長域にわたり反射率を低くする必要がある。
広帯域の波長域において反射率を低くし、良好なる反射防止機能を得るには、基板上に設ける誘電体薄膜よりなる層の数や各層の屈折率、そして最上層の低屈折率の層等を適切に設定することが重要になってくる。これらの構成が適切でないと、広帯域の波長域で良好なる反射防止効果を得るのが困難になる。
本発明は、広帯域な波長域において良好な反射防止性能を有する光学素子及びそれを有する光学系の提供を目的とする。
本発明の光学素子は、基板と、
前記基板上に形成され反射防止膜を有し、
前記反射防止膜は前記基板に近い側から順に、第1層乃至第7層が積層されて構成されており、
前記第1層乃至第6層はそれぞれ、互いに屈折率が異なる3種類の媒質のいずれかから成り、
前記3種類の媒質の波長550nmの光に対する屈折率の各々をnL、nM、nHとし、前記第7層の屈折率をn7としたとき、
1.35≦nL≦1.50
1.40≦nM≦1.65
1.6≦nH≦2.2
1.1≦n7≦1.3
nL<nM<nH
なる条件式を満足し、
折率がnLである媒質からなる層と屈折率がnHである媒質からなる層とは互いに接していないことを特徴としている。
本発明によれば、広帯域な波長域において良好な反射防止性能を有する光学素子が得られる。
本発明の実施例1乃至実施例4に係る反射防止膜の模式図 中空粒子の配列状態とバインダーの充填を示す模式図 実施例1の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 実施例2の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 実施例3の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 実施例4の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 本発明の実施例5、6に係る反射防止膜の模式図 実施例5の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 実施例6の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 比較例1の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ 比較例2の反射防止膜の反射率の分光特性のグラフ
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。本発明の光学素子は、例えば撮影レンズに用いられるレンズやフィルター等である。反射防止膜は基板に近い側から順に第1層乃至第7層の層とが積層して構成されている。第1層乃至第6層はそれぞれ屈折率の異なる3種類の媒質のいずれかからなる。
図1は、本発明の実施例1乃至4にかかわる光学素子の概略模式図である。図7は本発明の実施例5,6の光学素子の概略模式図である。各実施例に係る反射防止膜10は、7つの層を基板8の光入射面に積層して構成されている。7つの層は基板8側に近い順に、第1層膜1、第2層膜2、第3層膜3、・・・第7層膜7の順で積層している。
光学素子101は基板8と反射防止膜10を有している。第1層膜1乃至第6層膜6までは蒸着により成膜された誘電体薄膜からなる層である。多層膜層9は、蒸着での成膜か、スパッタ成膜により形成する。従来の反射防止膜の製造と同等の技術で製造が可能である。
また、第7層膜7は、ウェット成膜により形成された超低屈折率層(多孔質層)(中空粒子含有層)よりなっている。
図2は図1,図7の超低屈折率層(中空粒子含有層)よりなる第7層膜7を示す模式図である。超低屈折率層である第7層膜7は、複数の中空粒子12を有し、中空粒子12は内部に空隙11を持つ中空シリカよりなる。そして複数の中空粒子12と中空粒子12の隙間をバインダー(誘電体)13で埋めた中空粒子含有層の構造よりなっている。超低屈折率層は、内部に含む空隙11により通常の誘電体媒質では実現困難な屈折率1.3以下の低屈折率の層である。
中空粒子12は、球体又はほぼ球体よりなり、シリカ(SiO2)または、MgF2を主成分としている。ここで主成分とは50%以上の重量比よりなる物質をいう。シリカまたは、MgF2の殻の部分の厚さは2nm〜8nm程度であり、中空粒子12の直径は30nm〜60nm程度である。中空粒子12の大きさは散乱光を考慮すると直径60nm以下が好ましく、小さい方がより好ましい。ただし、低屈折率のためには中空粒子12内部の空隙率Vが60%程度は必要であるため、殻の厚さを薄くできない場合、直径は30nm程度が限度となる。
シリカ(屈折率1.46)を用いて屈折率1.25を実現するためには、空気の含有率を50%程度にしなければならない。中空粒子12を最密配列させると、中空粒子12の空間充填率は約74%となる。残りの36%を全てバインダー13で埋めたと仮定すると、中空粒子12の空隙率は68%程度が必要となる。
中空粒子12を溶媒に混ぜ、スピンコート法または、ディップコート法で成膜する。その際、溶媒の濃度と塗布条件を調整、最適化し、中空粒子12が配列した状態で成膜する。図2に示す様に、中空粒子12は狭い領域では最密状態で配列している。塗布条件次第で中空粒子12は自己配列し、きれいな配列となる。直径60nm以下の中空粒子12は可視光では回折を生じないが、ランダムに配列させると散乱光が発生する。配列度合いを上げることでで、散乱光は低減できる。配列した中空粒子12は、2層から3層程度の積層されたものとなっている。
更に、そこにシリカなどのバインダー13をゾルゲル法により作製し、図2の様に中空粒子12間の空隙をバインダー13で結合することで、配列を固定させ強度を確保する構造としている。中空粒子12の塗布後、バインダー13により結合する必要がある。ゾルゲル法により中空粒子12の塗布後の素子に、スピンコート法などで、バインダー13用の溶液の塗工を行い、乾燥させる。乾燥後、焼成によりよりバインドを高める。
乾燥、及び焼成は乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥後、焼成によりよりバインドを高める。一般的には300℃以下の温度を用いることが好ましい。塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返しても良い。媒質の屈折率が低い順に媒質L、媒質M、媒質Hとする。
実施例1乃至4の反射防止膜10における多層膜層9は、媒質L、媒質M、媒質Hの3種類の媒質より選ばれた1つの媒質より構成されている。基板8と接する第1層1は媒質Mであり、超低屈折率層である第7層7と接する第6層6は媒質Hである。従来は、その間の第2層2乃至第5層5までは、媒質Mと媒質Hが繰り返す様に積層した構成よりなっている。
これに対して、本発明の反射防止膜10は途中の媒質Hを1層だけ媒質Lに置換してある。具体的には基板8より媒質M、H、M、L、M、Hの順になっている。最上層(ここでは第7層)に超低屈折率の層を配置すると良好な反射防止膜10が得られる事は周知である。しかし、その際の分光反射率の細かなリップルを補正するためには、従来の媒質M(L),媒質Hの繰り返しでは不十分である。媒質Mと屈折率差の小さい媒質Lを用いることで、媒質Mと媒質Lの界面での反射率は、比較的小さなものとなるため、それの面を干渉に使うことで、分光反射率の細かなリップルを補正することを容易にしている。
各実施例の反射防止膜は、3種類の媒質の波長550nmに対する屈折率の各々をnL、nM、nHとするとき、第1層の媒質の屈折率はnM、第6層の媒質の屈折率はnHであり、屈折率がnLである媒質の層と屈折率がnHである媒質の層とは互いに接しないように積層されている。即ち、屈折率がnLである媒質からなる層と屈折率がnHである媒質からなる層の間には、屈折率がnMである媒質からなる層が設けられている。そして屈折率nL、屈折率nM、屈折率nH、第7層の屈折率をn7としたとき
1.35≦nL≦1.50
1.40≦nM≦1.65
1.6≦nH≦2.2
1.1≦n7≦1.3
nL<nM<nH
なる条件式を満足する。
以下に、各実施例の具体的な構成を示す。ただし、これらは例に過ぎず、本発明の実施例はこれらの条件に限定されるものではない。図1に示す実施例1乃至4の反射防止膜10では、波長550nmの光に対する第1層乃至第7層までの媒質の屈折率を各々n1乃至n7、第1層乃至第7層の光学膜厚を各々d1(nm)乃至d7(nm)とする。
このとき、
n1=nM、10≦d1≦180
n2=nH、5≦d2≦80
n3=nM、5≦d3≦95
n4=nL、20≦d4≦100
n5=nM、5≦d5≦75
n6=nH、5≦d6≦65
130≦d7≦160
なる条件式を満たす。
次に実施例1乃至4の反射防止膜について説明する。
[実施例1]
本発明の反射防止膜の実施例1について説明する。実施例1の反射防止膜10は屈折率1.52(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に第1層1乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。
表1に実施例1の反射防止膜における各層の屈折率と光学膜厚(厚さ×屈折率)の設計値を示す。図1に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層1乃至第6層6からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法、またはスパッタ法により成膜する。
第7層7は、図2に示すような超低屈折率の多孔層である。第7層7はSiO2よりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ中空粒子含有層である。中空粒子12の平均直径は40nm程度であり、内部が空洞11となっている。その中空粒子12が最密に近い状態で積層している。その中空粒子12同士の空隙をSiO2を主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.25の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図3(a)に実施例1の反射防止膜10の反射率の波長特性のグラフを示す。図(b)は図3(a)の一部分の拡大図である。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長630nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.03%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.2%以下であり、特に波長430nmから波長600nmの範囲では、反射率0.1%以下となっている。実施例1の反射防止膜10は角度特性も良好である。
[実施例2]
実施例2の反射防止膜10は、屈折率1.85(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に第1層1乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。表2に実施例2の反射防止膜における各層の屈折率と光学膜厚の設計値を示す。図1に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層乃至第6層からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法により成膜する。
第7層7は、図2に示すようなMgF2よりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ超低屈折率の層(中空粒子含有層)である。平均直径が43nm程度の中空粒子を最密に近い状態で積層している。その空隙をMgF2または、SiO2を主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.20の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図4(a)に実施例2の反射防止膜10の反射率の波長特性のグラフを示す。図4(b)は図4(a)の一部分の拡大図である。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長650nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.05%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.2%以下である。実施例2の反射防止膜10は角度特性も良好である。
[実施例3]
実施例3の反射防止膜10は、屈折率1.52(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に第1層乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。表3に実施例3の反射防止膜における各層の屈折率と光学膜厚の設計値を示す。図1に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層1乃至第6層6からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法により成膜する。
図2に示すような第7層7は、MgF2よりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ超低屈折率の層(中空粒子含有層)である。中空粒子12の平均直径は43nm程度であり、それが最密に近い状態で積層している。その空隙をMgF2または、SiO2を主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.20の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図5(a)に実施例3の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフと示す。図5(b)は図5(a)の一部分の拡大図である。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長620nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.05%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.2%以下である。実施例3の反射防止膜10は角度特性も良好である。
[実施例4]
実施例4の反射防止膜10は、屈折率1.73(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に第1層1乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。表4に実施例3の反射防止膜における各層の屈折率と光学膜厚の設計値を示す。図1に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層1乃至第6層6からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法により成膜する。
図2に示すような第7層7は、MgF2よりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ超低屈折率の層(中空粒子含有層)である。中空粒子12の平均直径は43nmであり、それが最密に近い状態で積層している。その空隙をMgF2を主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.15の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図6(a)に実施例4の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフと示す。図6(b)は図6(a)の一部分の拡大図である。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長650nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.02%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.1%以下である。実施例4の反射防止膜10は角度特性も良好である。
図7に示す実施例5,6の反射防止膜では、波長550nmの光に対する第1層乃至第7層までの媒質の屈折率を各々n1乃至n7、第1層乃至第7層の光学膜厚を各々d1(nm)乃至d7(nm)とする。
このとき、
n1=nM、10≦d1≦180
n2=nL、5≦d2≦90
n3=nM、50≦d3≦160
n4=nH、10≦d4≦45
n5=nM、50≦d5≦150
n6=nH、5≦d6≦65
130≦d7≦160
なる条件式を満たす。
実施例5,6は第1層1乃至第6層6の屈折率は順に、nM,nL,nM,nH,nM,nHである。実施例5,6は基板8側から順に、第1層1乃至第6層6の媒質の屈折率が順に、nM,nL,nM,nH,nM,nHとなっている点が実施例1乃至4と異なっている。実施例5,6では第2層2と第4層4の媒質の屈折率が実施例1乃至4と異なっている。
次に本発明の反射防止膜10の実施例5,6を説明する。
[実施例5]
実施例5の反射防止膜10は、屈折率1.81(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に第1層1乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。
表5に実施例5の反射防止膜における屈折率と光学膜厚の設計値を示す。図7に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層1乃至第6層6からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法により成膜する。
図2に示すような、第7層7は、シリカよりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ超低屈折率の層(中空粒子含有層)である。中空粒子12の平均直径は30nm程度であり、それが最密に近い状態で積層している。その空隙をシリカを主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.25の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図8(a)に実施例5の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフを示す。図8(b)は図8(a)の一部分の拡大図である。
波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長650nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.08%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.2%以下である。実施例5の反射防止膜10は角度特性も良好である。
[実施例6]
実施例6の反射防止膜10は、屈折率1.52(以下、屈折率、光学膜厚はλ=550nmの値とする)のガラス基板8上に、第1層1乃至第7層7の7つの層が積層された構成よりなっている。表6に実施例6の反射防止膜における屈折率と光学膜厚の設計値を示す。図7に示すように基板8上に誘電体薄膜の第1層1乃至第6層6からなる多層膜層9が配置される。これらの誘電体薄膜は、真空蒸着法により成膜する。
第7層7は図2に示すようなシリカよりなる中空粒子12を配列させ、その空隙にバインダー13を埋め込んだ超低屈折率の層(中空粒子含有層)である。中空粒子12の平均直径は30nm程度であり、それが最密に近い状態で積層している。その空隙をシリカを主体としたバインダー13で埋めている。第7層7は屈折率が約1.25の層となっている。バインダー塗布後、オーブンで加熱し、より強度を高めている。
図9(a)に実施例6の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフと示す。図9(b)は図9(a)の一部分の拡大図である。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示す。波長430nmから波長650nmの範囲で、入射角度0度における反射率は0.05%以下の超高性能な反射防止膜となっている。入射角度30度における反射率も0.2%以下である。実施例6の反射防止膜10は角度特性も良好である。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
[比較例1]
表7に本発明の反射防止膜に対する比較例1の反射防止膜における各層の屈折率と光学膜厚の数値を示す。比較例1において第1層乃至第7層は、前述の各実施例と同等の製法で形成される。
図10(a)に比較例1の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフと示す。図10(b)は図10(a)の一部分の拡大図である。図10(a),(b)は前述した各実施例と同じ条件での分光反射率計算の結果のグラフである。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示したものである。入射角度0度における反射率は、波長430nmで0.08%程度であり、波長650nmでは0.1%を超えている。入射角度30度における反射率は、波長650nmでは、0.4%よりも高くなっている。
[比較例2]
表8に本発明の反射防止膜に対する比較例2の反射防止膜の構成における各層の屈折率と光学膜厚の数値を示す。比較例2において第1層乃至第7層は、前述の各実施例と同等の製法で形成される。
図11(a)に比較例1の反射防止膜の反射率の波長特性のグラフと示す。図11(b)は図11(a)の一部分の拡大図である。図11(a),(b)は前述した各実施例と同じ条件での分光反射率計算の結果のグラフである。波長400nmから波長800nmの範囲で、入射角度、0度、15度、30度、45度と60度のシミュレーション結果を示したものである。
入射角度0度における反射率は、波長430nmで0.1%を超えており、波長650nmでは0.15%を超えている。入射角度30度における反射率は、波長520nmでは0.2%程度にもなっており、波長650nmでは、0.4%よりも高くなっている。
以上のように本発明によれば、最上層に屈折率1.15から1.3の低屈折率の層を用いた構成において、波長550nmでの反射率0.05%以下かつ、波長700nmでの反射率0.3%以下の高性能な反射防止性能を有する。そしてゴーストやフレアの発生を効果的に低減できる反射防止膜が得られる。
本発明の光学素子は、反射防止膜をレンズやフィルター等の面の上に付与して構成されている。また本発明の撮影レンズ、ファインダー系、観察系、投射光学系等の光学系の光学面には前述した反射防止膜が付与されている。
1 第1層 2 第2層 3 第3層 4 第4層 5 第5層
6 第6層 7 第7層(超低屈折率層) 8 基板
9 誘電体薄膜からなる多層膜層 10 反射防止膜
11 空洞 12 中空粒子 13 バインダー

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され反射防止膜を有し、
    前記反射防止膜は前記基板に近い側から順に、第1層乃至第7層が積層されて構成されており、
    前記第1層乃至第6層はそれぞれ、互いに屈折率が異なる3種類の媒質のいずれかから成り、
    前記3種類の媒質の波長550nmの光に対する屈折率の各々をnL、nM、nHとし、前記第7層の屈折率をn7としたとき、
    1.35≦nL≦1.50
    1.40≦nM≦1.65
    1.6≦nH≦2.2
    1.1≦n7≦1.3
    nL<nM<nH
    なる条件式を満足し、
    折率がnLである媒質からなる層と屈折率がnHである媒質からなる層とは互いに接していないことを特徴とする光学素子
  2. 前記第1層の媒質の屈折率はnMであることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第6層の媒質の屈折率はnHであることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 屈折率がnLである媒質からなる層と屈折率がnHである媒質からなる層の間には、屈折率がnMである媒質からなる層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 波長550nmの光に対する前記第1層乃至第層の媒質の屈率をn1乃至n6とし、波長550nmの光に対する前記第1層乃至第7層の光学膜厚をd1(nm)乃至d7(nm)としたとき、
    n1=nM、10≦d1≦180
    n2=nH、5≦d2≦80
    n3=nM、5≦d3≦95
    n4=nL、20≦d4≦100
    n5=nM、5≦d5≦75
    n6=nH、5≦d6≦65
    130≦d7≦160
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学素子
  6. 波長550nmの光に対する前記第1層乃至第層の媒質の屈折率n1乃至n6とし、波長550nmの光に対する前記第1層乃至第7層の光学膜厚をd1(nm)乃至d7(nm)したとき、
    n1=nM、10≦d1≦180
    n2=nL、5≦d2≦90
    n3=nM、50≦d3≦160
    n4=nH、10≦d4≦45
    n5=nM、50≦d5≦150
    n6=nH、5≦d6≦65
    130≦d7≦160
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学素子
  7. 前記第7層は、複数の中空粒子と該中空粒子同士の空隙に充填されたバインダーとを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光学素子
  8. 前記中空粒子は中空シリカよりなることを特徴とする請求項に記載の光学素子
  9. 前記バインダーはSiO2を主成分とすることを特徴とする請求項またはに記載の光学素子
  10. 前記光学素子の前記反射防止膜が設けられている面に入射角0°で入射する波長430nmから650nmの光に対する反射率は、0.08%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学素子を有することを特徴とする光学系。
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