JP2014174208A - 反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の屈折率の基板に対して、高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系を提供する。
【解決手段】屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層を積層した反射防止膜であって、基準波長λを587.6nm、1.43≦ns≦2.10とし、第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)、第7層の屈折率をn7、光学膜厚をd7(nm)とするとき、夫々を所定範囲内の条件を満たすようにする。
【選択図】図1
【解決手段】屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層を積層した反射防止膜であって、基準波長λを587.6nm、1.43≦ns≦2.10とし、第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)、第7層の屈折率をn7、光学膜厚をd7(nm)とするとき、夫々を所定範囲内の条件を満たすようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、反射防止膜、およびそれを有する光学素子並びに光学系に関するものである。
従来、ビデオカメラ、写真カメラ、テレビカメラ等の撮影レンズに用いられる光学部材には、両面或いは片面に透過光量を上げると共に、不要光によるゴースト、フレアを回避するための反射防止膜が施されている。これらの反射防止膜の製法には、蒸着法やスパッタ法の真空成膜法や、ディップコート、スピンコート等の湿式成膜法が用いられている。近年、ビデオカメラやテレビカメラはHDなどの高精細化に伴い、また写真カメラは高画質化に伴い、高性能な反射防止膜が必要とされている。
一般的に、反射防止膜は、より多くの層を重ねる程、反射防止効果が高い膜を作ることが可能となる。高性能な反射防止機能を得るためには、反射防止膜の最表層(最上層)に用いられる材料には、屈折率の低い層が必要である。この屈折率の低い層を形成するための材料として、SiO2(シリカ)やMgF2(フッ化マグネシウム)等の無機系材料、シリコン樹脂や非晶質のフッ素樹脂などの有機材料を用いることが知られている。
さらに、反射率を低く抑えるために、シリカやフッ化マグネシウムの層内に空隙を形成することにより、屈折率を下げることが知られている。例えば、特許文献1には、7層構造による最表層に湿式法により形成されたシリカエアロゲルを用いた反射防止膜が提案されている。また、特許文献2には、1層目から6層目を真空蒸着法で物理成膜を形成し、その上層にナノ多孔質膜(湿式法により形成され、屈折率を1.19程度まで下げた膜)を最上層として形成した7層構造の反射防止膜が提案されている。
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、可視波長域での入射角が0度の場合における反射率が700nmの波長において0.7%以上あり、700nm以上の波長においては急激な反射の増加が見られ、反射防止帯域が狭くなっている。また、反射防止に関する入射角度特性も良くない。さらに屈折率が1.6から1.95までの基板に形成された膜構成しか開示しておらず、高屈折率の硝子材料含め様々な屈折率(基板)を有する硝子材料が使用されるレンズなどの光学素子への適応性が低い。
また、上述の特許文献2に開示された従来技術でも同様の問題がある。
本発明の目的は、種々の屈折率の基板に対して、高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る反射防止膜は、屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層を積層した反射防止膜であって、
基準波長λを587.6nm、1.43≦ns≦2.10とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)、
前記第7層の屈折率をn7、光学膜厚をd7(nm)とするとき、
1.4≦n1≦1.85、 10nm≦d1≦160nm、
1.75≦n2≦2.35、 10nm≦d2≦90nm、
1.40≦n3≦1.85、 30nm≦d3≦120nm、
1.75≦n4≦2.35、 15nm≦d4≦300nm、
1.40≦n5≦1.85、 15nm≦d5≦200nm、
1.40≦n6≦1.60、 10nm≦d6≦100nm、
1.15≦n7≦1.30、 80nm≦d7≦150nm
を満たすことを特徴とする。
基準波長λを587.6nm、1.43≦ns≦2.10とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)、
前記第7層の屈折率をn7、光学膜厚をd7(nm)とするとき、
1.4≦n1≦1.85、 10nm≦d1≦160nm、
1.75≦n2≦2.35、 10nm≦d2≦90nm、
1.40≦n3≦1.85、 30nm≦d3≦120nm、
1.75≦n4≦2.35、 15nm≦d4≦300nm、
1.40≦n5≦1.85、 15nm≦d5≦200nm、
1.40≦n6≦1.60、 10nm≦d6≦100nm、
1.15≦n7≦1.30、 80nm≦d7≦150nm
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、種々の屈折率の基板に対して、高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系を提供できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(光学素子および光学系)
図12に、本発明の実施形態に係る反射防止膜を付与した光学素子としてのレンズ、およびそれを有する光学系としての撮像光学系(結像光学系)を示す。この撮像光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズなどの光学機器に用いられる。図12において、103は撮像面であり、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)が配置される。102は絞り、G101からG111は光学素子としてのレンズである。これらのレンズのうち、入射面及び射出面の少なくとも一方に、後述する反射防止膜が付与されている。図12に示す撮像光学系の数値実施例を表1に示す。
図12に、本発明の実施形態に係る反射防止膜を付与した光学素子としてのレンズ、およびそれを有する光学系としての撮像光学系(結像光学系)を示す。この撮像光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズなどの光学機器に用いられる。図12において、103は撮像面であり、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)が配置される。102は絞り、G101からG111は光学素子としてのレンズである。これらのレンズのうち、入射面及び射出面の少なくとも一方に、後述する反射防止膜が付与されている。図12に示す撮像光学系の数値実施例を表1に示す。
ここで、rは面の曲率半径、dは面間隔、nは屈折率、vはアッベ数を示す。
(反射防止膜)
図1は、本発明の実施形態に係る反射防止膜の略図を示す。反射防止101は7層膜からなり、基板20に対して、基板側より順に第1層(層11)、第2層(層12)、第3層(層13)、第4層(層14)、第5層(層15)、第6層(層16)、第7層(層17)の薄膜を積層したものである。本実施形態に係る反射防止膜は、基準波長λ=587.6nm(d線)とし、反射率が0度入射(垂直入射)で従来例の0.7%以上に比べ小さく、かつ反射防止帯域が従来例に比べ広い特性を備える。
図1は、本発明の実施形態に係る反射防止膜の略図を示す。反射防止101は7層膜からなり、基板20に対して、基板側より順に第1層(層11)、第2層(層12)、第3層(層13)、第4層(層14)、第5層(層15)、第6層(層16)、第7層(層17)の薄膜を積層したものである。本実施形態に係る反射防止膜は、基準波長λ=587.6nm(d線)とし、反射率が0度入射(垂直入射)で従来例の0.7%以上に比べ小さく、かつ反射防止帯域が従来例に比べ広い特性を備える。
1)屈折率
基準波長λを587.6nm、基板20の屈折率をns(1.43≦ns≦2.10)として、鋭意検討した結果、本実施形態に係る反射防止膜では、各層が以下の屈折率を備える。即ち、第1層の屈折率n1は1.40≦n1≦1.85、第2層の屈折率n2は1.75≦n2≦2.35、第3層の屈折率n3は1.40≦n3≦1.85である。また、第4層の屈折率n4は1.75≦n4≦2.35、第5層の屈折率n5は1.40≦n5≦1.85、第6層の屈折率n6は1.40≦n6≦1.60、第7層の屈折率n7は1.15≦n7≦1.30である。
基準波長λを587.6nm、基板20の屈折率をns(1.43≦ns≦2.10)として、鋭意検討した結果、本実施形態に係る反射防止膜では、各層が以下の屈折率を備える。即ち、第1層の屈折率n1は1.40≦n1≦1.85、第2層の屈折率n2は1.75≦n2≦2.35、第3層の屈折率n3は1.40≦n3≦1.85である。また、第4層の屈折率n4は1.75≦n4≦2.35、第5層の屈折率n5は1.40≦n5≦1.85、第6層の屈折率n6は1.40≦n6≦1.60、第7層の屈折率n7は1.15≦n7≦1.30である。
第1層(層11)は基板20と接しており、基板20の屈折率の影響を受け易く、層11の屈折率n1と、層12の屈折率n2を、n1<n2となる様に設定することが好ましい。これにより、特性の敏感度を低く抑えることができる。
さらに、各層の屈折率は、以下の条件式(1)もしくは条件式(2)を満たすことが好ましい。
n2>n3<n4>n5<n6>n7・・・(1)
n2>n3<n4>n5>n6>n7・・・(2)
即ち、第3層の屈折率は、第2層の屈折率と第4層の屈折率よりも低く、また、第5層の屈折率は、第4層の屈折率よりも低く、第7層の屈折率は、第6層の屈折率より低い関係で設定することが好ましい。第6層の屈折率は、第5層の屈折率より高く、もしくは低く設定される。また、最も空気115側の最上層である第7層17は、空気の屈折率との差を小さくして反射率を低くするため、屈折率を小さく設定することが好ましい。
n2>n3<n4>n5>n6>n7・・・(2)
即ち、第3層の屈折率は、第2層の屈折率と第4層の屈折率よりも低く、また、第5層の屈折率は、第4層の屈折率よりも低く、第7層の屈折率は、第6層の屈折率より低い関係で設定することが好ましい。第6層の屈折率は、第5層の屈折率より高く、もしくは低く設定される。また、最も空気115側の最上層である第7層17は、空気の屈折率との差を小さくして反射率を低くするため、屈折率を小さく設定することが好ましい。
ここで、後述の具体的実施例では、条件式(1)を満たす場合(実施例2)と、条件式(2)を満たす場合(実施例1など)を具体的に示す。
2)光学膜厚
鋭意検討した結果、本実施形態に係る反射防止膜では、各層が以下の光学膜圧を備える。即ち、第1層目11の光学膜厚d1は10nm≦d1≦160nm、第2層目12の光学膜厚d2は10nm≦d2≦90nm、第3層目13の光学膜厚d3は30nm≦d3≦120nmである。また、第4層目14の光学膜厚d4は15nm≦d4≦300nm、第5層目15の光学膜厚d5は15nm≦d5≦200nm、第6層目16の光学膜厚d6は10nm≦d6≦100nm、第7層目17の光学膜厚d7は80nm≦d7≦150nmである。
鋭意検討した結果、本実施形態に係る反射防止膜では、各層が以下の光学膜圧を備える。即ち、第1層目11の光学膜厚d1は10nm≦d1≦160nm、第2層目12の光学膜厚d2は10nm≦d2≦90nm、第3層目13の光学膜厚d3は30nm≦d3≦120nmである。また、第4層目14の光学膜厚d4は15nm≦d4≦300nm、第5層目15の光学膜厚d5は15nm≦d5≦200nm、第6層目16の光学膜厚d6は10nm≦d6≦100nm、第7層目17の光学膜厚d7は80nm≦d7≦150nmである。
第1層目11から第7層目17までの光学膜厚は、上記設定した範囲を外れると、波長帯域が狭くなる、リップルの高さが大きくなる等、反射防止性能の劣化や角度特性の劣化につながるため、上記設定した範囲であることが望ましい。
3)材料および製法
第7層以外の6層である層11乃至層16の材料は、第1層目11から第6層目16は無機系膜(シリカ(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等)から成る。製法としては、成膜の簡便さから真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜されることが望ましい。
第7層以外の6層である層11乃至層16の材料は、第1層目11から第6層目16は無機系膜(シリカ(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等)から成る。製法としては、成膜の簡便さから真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜されることが望ましい。
また、層16は、SiO2(シリカ)を主成分とする膜であることが望ましい。これは、最上層である層17がゾルゲル法により作製されるため、その下層(層16)に濡れ性の高いシリカを用いることで、密着性を高めることができるからである。
また、層12は、チタン、タンタル、ジルコニア、クロム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、イットリウムの酸化物の単体乃至は混合物の層からなることが望ましい。
最も空気115側の最上層である第7層(層17)は、屈折率を下げる必要があるため、SiO2、MgF2のような屈折率の低いものが好ましい。さらに屈折率を低いものにするため、第7層17の主成分は中空微粒子であることが好ましい。主成分とは、少なくとも光学特性が主成分とみなされた材質の純粋物質と同一とみなせる程度まで該物質が主体となって構成されていることを意味している。
ここで、酸化シリコンもしくはフッ化マグネシウムからなる中空微粒子は、バインダーにより結合する。内部に空隙を有するため、空隙に含まれる空気(屈折率1.0)によって屈折率を1.2〜1.3に下げることができる。空孔は単孔、多孔どちらでも良く適宜選択することができる。さらに、中空微粒子の内部に空隙があることで、空隙に水分や不純物の吸着を防ぐことができる。このため、耐環境性が良くなり、屈折率変化のない安定した特性を得ることができる。
中空微粒子はバインダーにより結合する必要があるため、ゾルゲル法で作製することが好ましい。塗工方法としては特に限定されることはなく、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることができる。レンズのような曲面を有する基材(基板)へ膜厚を均一に成膜できる観点から、塗料をスピンコートで成膜することが好ましい。塗工後は乾燥を行う。
乾燥は乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず且つ中空粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。一般的には300℃以下の温度を用いることが好ましい。塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返しても良い。
以下に、具体的な実施例を示す。ただし、これらは例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、屈折率1.52のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3=n5<n2=n4として、反射防止膜を表2に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
本実施例では、屈折率1.52のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3=n5<n2=n4として、反射防止膜を表2に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図2に、波長400nmから700nm範囲での、入射角が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、波長400nmから700nmの範囲で、入射角が0度の場合における反射率は0.2%以下であり、入射角が45度の場合であっても波長400nmから660nmの範囲で1.0%以下、波長700nmにおいても1.5%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.806のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5<n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3=n5<n2=n4=n6として、反射防止膜を表3に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図3に、波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、波長400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.2%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても波長400nmから650nmの範囲で1.0%以下、波長700nmにおいても1.5%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.60のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3=n5<n2=n4として、反射防止膜を表4に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は屈折率が1.15になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで2時間焼成した。
図4に、波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、波長400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.15%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても波長400nmから650nmの範囲で0.5%以下、波長700nmにおいても0.8%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率2.00のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3=n5<n2=n4として、反射防止膜を表5に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層目17は、屈折率が1.18になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図5に波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、410nmから660nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.2%以下で、400nm、700nmにおいても0.3%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても、400nmから620nmの範囲で1.0%以下、700nmにおいても1.6%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率2.00のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n5<n2=n4として、反射防止膜を表6に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層目17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図6に波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、420nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.5%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても400nmから650nmの範囲で1.0%以下であり、700nmにおいても2.0%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.88のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n5<n2=n4として、反射防止膜を表7に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.20になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで2時間焼成した。
図7に波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.15%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても400nmから650nmの範囲で0.6%以下、700nmにおいても1.3%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.52のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n5<n2=n4として、反射防止膜を表8に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図8に、波長400nmから700nm範囲での、0度、45度入射における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.16%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても400nmから650nmの範囲で0.8%以下、700nmにおいても1.5%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.52のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n5<n2=n4として、反射防止膜を表9に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図9に、波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.15%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても、400nmから650nmの範囲で0.8%以下、700nmにおいても1.3%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.43のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3<n2=n4として、反射防止膜を表10に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図10に、波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.15%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても、400nmから650nmの範囲で0.7%以下、700nmにおいても1.3%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本実施例では、屈折率1.70のガラス基板上に、n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7、かつn7<n1となるように、n1=n3<n2=n4として、反射防止膜を表11に示した膜構成で作製した。このとき、層11から層16までは真空蒸着法により成膜した。また、層17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液にバインダー溶液を加え、混合調整した液をスピンコーターで塗工し、100〜250℃のクリーンオーブンで1時間焼成した。
図11に、波長400nmから700nm範囲での、入射角度が0度、45度の場合における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、400nmから700nmの範囲で、入射角度が0度の場合における反射率は0.2%以下である。また、入射角度が45度の場合であっても、400nmから650nmの範囲で0.8%以下、700nmにおいても1.2%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であることが分かる。
本発明は上述した具体的実施例に限定されるものでなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、反射防止膜を基板面としての光学面の上に付与した光学素子としてレンズを示したが、プリズムや透光フィルタなどであっても良い。
11・・第1層(層1)、12・・第2層(層2)、13・・第3層(層3)、14・・第4層(層4)、15・・第5層(層5)、16・・第6層(層6)、17・・第7層(層7)、20・・基板、101・・反射防止膜
Claims (15)
- 屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層、第7層を積層した反射防止膜であって、
基準波長λを587.6nm、1.43≦ns≦2.10とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)、
前記第7層の屈折率をn7、光学膜厚をd7(nm)とするとき、
1.40≦n1≦1.85、 10nm≦d1≦160nm、
1.75≦n2≦2.35、 10nm≦d2≦90nm、
1.40≦n3≦1.85、 30nm≦d3≦120nm、
1.75≦n4≦2.35、 15nm≦d4≦300nm、
1.40≦n5≦1.85、 15nm≦d5≦200nm、
1.40≦n6≦1.60、 10nm≦d6≦100nm、
1.15≦n7≦1.30、 80nm≦d7≦150nm
を満たすことを特徴とする反射防止膜。 - n7<n6<n5もしくはn7<n6>n5であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- n1<n2であることを特徴とする請求項2に記載の反射防止膜。
- n7<n1であることを特徴とする請求項2または3に記載の反射防止膜。
- n7<n1、かつ、n1=n5<n2=n4もしくはn1=n3<n2=n4であることを特徴とする請求項2または3に記載の反射防止膜。
- n1=n3=n5<n2=n4であることを特徴とする請求項5に記載の反射防止膜。
- n1<n2>n3<n4>n5>n6>n7もしくはn1<n2>n3<n4>n5<n6>n7であることを特徴とする請求項6に記載の反射防止膜。
- 前記第7層は、主成分が中空微粒子から成る層であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記中空微粒子が、酸化シリコンもしくはフッ化マグネシウムから成ることを特徴とする請求項8に記載の反射防止膜。
- 前記第6層は、主成分がSiO2から成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第2層は、チタン、タンタル、ジルコニア、クロム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、イットリウムの内のいずれかの酸化物の単体もしくは前記酸化物の混合物から成ることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第6層は、無機系膜であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第6層は、真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜され、前記第7層は、ゾルゲル法で作製されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の前記反射防止膜を基板面としての光学面の上に付与した光学素子。
- 請求項14に記載の前記光学素子を有する光学系。
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