JP2015196787A - 塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、塩化ビニル系樹脂は一般に電気絶縁性が良好であり、この特性を活かして、例えば、電線被覆材料等としても使用されている。
また、特許文献1に開示された帯電防止フィルムは、比較的多量の可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いて作製されているため(例えば、特許文献1の実施例参照)、モジュラスが低く、タイル加工性に劣り、例えば、内装材の最外層に設けるトップコート層として使用するのには適していなかった。
本発明者らは鋭意検討を行い、特定の塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工により製膜した塩化ビニル系樹脂組成物であれば、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、アジピン酸ジエステル、カチオン系帯電防止剤、及び、ノニオン系帯電防止剤を含有し、かつ、上記アジピン酸ジエステルの含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して18〜24重量部であることを特徴とする。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、表面抵抗値が1.0×1011Ω以下であることが好ましい。
更に、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、内装材のトップコート層として使用されるものであることが好ましい。
上記アジピン酸ジエステルの具体例としては、例えば、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)等が挙げられる。これらのなかでは、経済的な観点からDOAが好ましい。
上記アジピン酸ジエステルは、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
上記アジピン酸ジエステルの含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して24重量部を超えると、上記塩化ビニル系樹脂フィルムの表面抵抗値は低下させることができるものの100%モジュラスが小さくなる。そのため、例えば、タイル基材等の内装材に貼り付けて使用する場合にタイル加工性が低くなる。
一方、上記アジピン酸ジエステルの含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、18重量部未満では、そもそも塵や埃などが付着することを防止するという本発明の目的を達成するための導電性(表面抵抗)を確保することが困難である。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの目的の一つは、フィルムの表面抵抗を下げ、塵や埃が付着することを防止することにある。ここで、表面抵抗値を低くするためだけであれば、上記アジピン酸ジエステルの配合量を多くすればその目的は達成することができる。
一方、上記塩化ビニル系樹脂フィルムをタイル基材等の内装材のトップコート層として使用する場合には、例えば、タイル基材等に上記塩化ビニル系樹脂フィルムを熱ラミネートする。このときフィルムにはフレア(タルミ)が生じるため、フィルムにテンションを掛けるべく、フィルムを引っ張る必要がある。しかしながら、上述したようにアジピン酸ジエステルの含有量が多いとモジュラスが小さくなり、モジュラスが小さいと引っ張った際にフィルムが容易に伸びてしまうため、あまり強く引っ張ることができない。そのため、アジピン酸ジエステルを多量に含有する塩化ビニル系樹脂フィルムを熱ラミネートする際には、引張力を小さくしなければならず、その結果、加工速度(貼り付け速度)を上げることができなくなり、結果的に、アジピン酸ジエステルを多量に含有した塩化ビニル系樹脂フィルムでは、タイル加工性が低くなる。
上記塩化ビニル系樹脂組成物では、カチオン系帯電防止剤に加えて、ノニオン系帯電防止剤を併用して配合することも重要であり、これら2種類の帯電防止剤を含有することにより、塩化ビニル系樹脂フィルムの表面抵抗値を確実に低く抑えることができる。
カチオン系帯電防止剤が配合されていないと表面抵抗値を抑えることが難しく、また、カチオン系帯電防止剤のみが配合されており、ノニオン系帯電防止剤が配合されていないと、帯電防止剤を配合することによる表面抵抗値の低減効果がカチオン系帯電防止剤を増量しても頭打ちしてしまう。
これらのカチオン系帯電防止剤は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
上記ノニオン系帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が好ましい。
本発明において、アニオン系帯電防止剤を実質的に含有しないとは、アニオン系帯電防止剤を全く含有しないか、または、その含有量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3重量部以下であることをいう。
上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合可能な他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
なお、本発明において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K 6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
上記安定剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)やバリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合体、シリカ化合物等が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
なお、本明細書において、上記安定剤は、熱安定剤、加工安定剤も包含する。
0.5重量部未満では、安定剤としての効果を充分に享受することができないことがあり、8重量部を超えると、加工時にプレートアウトすることがある。
本発明において、ハイドロタルサイトを実質的に含有しないとは、ハイドロタルサイトを全く含有しないか、または、その含有量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.05重量部以下であることをいう。
上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式は特に限定されず、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等、従来公知の形式を採用することができる。
上記厚さが0.04mm未満では、厚さの均一な塩化ビニル樹脂フィルムを作製することが困難であり、一方、0.4mmを超えると、作製された塩化ビニル樹脂フィルムを巻き上げることが困難となる。
特に、上記塩化ビニル系樹脂フィルムが内装材のトップコート層として使用される場合、上記塩化ビニル系樹脂フィルムの厚さは、0.2〜0.4mmが好ましい。内装材のトップコート層として使用した際に、摩耗が生じてもトップコート層としての機能を果たすことができるからである。
表面抵抗値が上記範囲にあると、フィルム表面の帯電を抑制することができ、例えば、床材等の内装材のトップコート層として使用した際に、フィルム表面に塵や埃などが付着することを防止することができる。
上記表面抵抗値は、所定量のアジピン酸ジエステルと、カチオン系帯電防止剤及びノニオン系帯電防止剤とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いることで、タイル加工性等の他の要求特性を満足しつつ達成されうる。
100%モジュラスが上記範囲にあると、床材等の内装材のトップコート層として使用する際のタイル加工性に優れるからである。
即ち、まず、上記塩化ビニル系樹脂組成物に配合される原材料を押出機やバンバリーミキサ等を用いて溶融混練し、塩化ビニル系樹脂組成物を調製する。ここで、溶融混練の温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、130〜200℃程度である。
また、成形時のカレンダー温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、160〜200℃程度である。
図1に示す床材10は、黒色のタイル地13bとその上に積層された白色のタイル地13aとからなるタイル基材13と、タイル基材13の上面に形成された印刷層12と、印刷層12上の最外層に形成された本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムからなるトップコート層11とを備えている。
上記タイル基材の材質は特に限定されず、従来からタイル基材に使用されているものを用いることができる。上記タイル基材としては、例えば、その材料に本発明のフィルムに含まれる塩化ビニル樹脂と同様の塩化ビニル樹脂を用いたタイル基材が挙げられる。このようなタイル基材は、被熱ラミネート性が良好で安価である。
なお、床材10において印刷層は必ずしも形成されていなくてもよい。
塩化ビニル樹脂:カネカ社製、S1001N、平均重合度=1040
着色防止剤(β−ジケトン化合物):昭島化学工業社製、RH−50
熱安定剤(Ba−Zn化合物):ADEKA社製、AC−258
加工安定剤(シリカ化合物):トクヤマ社製、ファインシール B
加工助剤:メタクリル酸メチル
ハイドロタルサイト:協和化学工業社製、アルカマイザー #1
可塑剤:DOA(アジピン酸ジオクチル)
可塑剤:DOP(フタル酸ジオクチル)
カチオン系帯電防止剤:ADEKA社製、アデカサイザー LV−70
カチオン・ノニオン複合系帯電防止剤:新日本理化社製、プラスタット C−500
アニオン系帯電防止剤:クラリアント社製、ホスタスタットHS−1
上記原材料を表1に示した配合量(表1中、配合量は重量部で示す)で配合した原料混合物を、バンバリーミキサを用いて溶融混錬し、塩化ビニル系樹脂組成物を調製した。
次に、塩化ビニル系樹脂組成物を4本逆L字ロール型24インチカレンダーに供給し、カレンダーロール設備温度180〜190℃、樹脂組成物の温度183〜187℃の条件下で、0.3mmの厚みにカレンダー成形し、幅110cmの塩化ビニル系樹脂フィルムを作製した。
(フィルム表面性)
作製した塩化ビニル系樹脂フィルムを目視観察し、下記の基準で評価した。
良好:0.5mm2以上の異物の個数が10m内で5個未満である。
不良:0.5mm2以上の異物の個数が10m内で5個以上である。
日本電色工業社製、濁色計NDH 300Aを用いて、JIS K 7105に準拠して測定した。
島津製作所社製、万能引張試験機オートグラフAGS−Xを用いて、JIS K 6734に準拠して測定した。
塩化ビニル系樹脂フィルムの表面にプローブを当て1000Vの電圧をかけ、10sec保持によりハイレスターUP(三菱化学アナリテック社製)で表面抵抗値を測定した。
また、アジピン酸ジエステルに代えてフタル酸ジエステルを使用した場合(比較例2)には、表面抵抗値が大きくなるため、所望の帯電防止能を確保することが困難となる。
また、ハイドロタルサイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を使用した場合(参考例1)には、フィルム表面性に劣ることとなる。
また、アニオン系帯電防止剤を使用した場合(参考例2)には、塩化ビニル系樹脂フィルムのヘイズ値が大きく透明性に劣り、また、フィルム表面性にも劣ることとなる。
11 トップコート層
12 印刷層
13 タイル基材
Claims (4)
- 塩化ビニル系樹脂組成物がカレンダー加工により製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
前記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、アジピン酸ジエステル、カチオン系帯電防止剤、及び、ノニオン系帯電防止剤を含有し、かつ、前記アジピン酸ジエステルの含有量が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して18〜24重量部であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂フィルム。 - 前記塩化ビニル系樹脂組成物は、実質的にハイドロタルサイトを含有しない請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 表面抵抗値が1.0×1011Ω以下である請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 内装材のトップコート層として使用される請求項1〜3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
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