JP5721181B2 - 塩化ビニル系樹脂フィルム、及び、塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、このような塩化ビニル系樹脂フィルムは、カレンダー成形法、Tダイ押出成形法、キャスト法等の製膜方法を用いて製造されている。
これらの製膜方法のうち、カレンダー成形法は、厚さの薄いフィルムを品質良く、かつ、高い生産性で製造することができる点で、塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法として有効ある。
しかしながら、フィルム材料(塩化ビニル系樹脂組成物)に特定の帯電防止剤を所定量配合することで、カレンダー成形時の加工性を確保しつつ、フィッシュアイ等の異物欠点の発生を回避できることは一切知られていなかった。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、
上記帯電防止剤の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部であることを特徴とする。
また、上記塩化ビニル系樹脂フィルムにおいて、上記帯電防止剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜0.5重量部であることが好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、
上記帯電防止剤の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部であることを特徴とする。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、塩化ビニル系樹脂組成物がロール加工工程を経て製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、
上記帯電防止剤の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部であることを特徴とする。
これらのなかでは、アルキルスルホネートが好ましい。その理由は、少量の添加で極めて外観に優れ、絶縁性を備えた塩化ビニル系樹脂フィルムとなるからである。
また、上記アルキルスルホネートにおいて、スルホネート基(例えば、−SO3Na)は、アルキル基の末端に結合していても良いし、側鎖に結合していても良い。
上記アルキルスルホネートは、アルキル基が直鎖状で、かつ、その末端にスルホネート基が結合したものが特に好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上記アニオン系帯電防止剤以外の帯電防止剤を含有しないことが好ましい。製膜時の加工性に劣り、外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムとならない場合があるからである。
これに対し、上記アニオン系帯電防止剤の含有量が0.1重量部未満では、ロール加工工程において、剥離帯電を抑制するには不十分で、フィルム表面に異物欠点が発生し、フィルムの外観が劣化することとなり、また、1重量部を超えると、帯電防止剤の凝集物が残る可能性がある。また、フィルム中の帯電防止剤量が過多となることから、フィルム製膜後、時間経過とともにブリードしたり、ブルームしたりし、外観性能上問題となる。更には、塩化ビニル系樹脂フィルムの絶縁性が低下する原因となる。
上記アニオン系帯電防止剤の含有量は、0.1〜0.5重量部であることが好ましい。0.5重量部を超えると、ロール加工工程における加工性が低下し、フィルムとして、フローマークが発生して外観が悪くなる場合があるからである。
上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合可能な他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
なお、本発明において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K 6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
上記可塑剤としては特に限定されず、従来から塩化ビニル系樹脂組成物に使用されているものを用いることができ、具体例としては、例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル等のフタル酸ジエステル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル、トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル、エポキシ化大豆油やエポキシ樹脂等エポキシ系可塑剤、高分子ポリエステル可塑剤等が挙げられる。
5重量部未満では、フィルムが硬く、加工性が悪くなる場合があり、一方、100重量部を超えると、柔らかすぎて加工がしにくい場合がある。
上記安定剤としては、例えば、エポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)やバリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン、ハイドロタルサイト、β−ジケトン化合物、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合体等が挙げられる。
これらの安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
0.5重量部未満では、熱安定剤としての効果を充分に享受することができないことがあり、5重量部を超えると、加工時にプレートアウトすることがあるからである。
本発明において、塩化ビニル系樹脂フィルムは、ロール加工工程を経て製膜されたフィルムであればよい。
なお、ここで、溶融状態にある樹脂組成物とは、その粘度が150℃〜200℃において1×105mPa・s以下である樹脂組成物をいう。
そして、このようなロール加工工程を有する最も代表的な製膜方法(フィルムの成形方法)としては、カレンダー成形が挙げられる。
ただし、上記塩化ビニル系樹脂フィルムを成形する方法は、カレンダー成形に限定されるわけではなく、Tダイ押出成形法等のカレンダー成形以外のフィルムの成形方法であっても、その工程の一部に上記ロール加工工程を有する場合には、上記塩化ビニル系樹脂フィルムを製造する方法として用いることができる。
カレンダー成形等のロール加工工程を有するフィルムの製造方法では、厚さが0.5mm以下のフィルムを作製する際に、特にフィッシュアイの発生が問題になりやすく、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの効果を享受するのに特に適しているからである。
なお、上記塩化ビニル系樹脂フィルムの厚さの下限は特に限定されないが、製膜することができればどれだけ薄くても良いが、通常、製膜することができる下限が0.04mm程度である。
上記表面抵抗値がこの範囲にあると、絶縁フィルムとして好適だからである。
このような構成を備えた本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、後述する本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法により好適に製造することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法は、少なくともロール加工工程を有する成形方法を用いて塩化ビニル系樹脂組成物を製膜する塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法であって、
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、
上記帯電防止剤の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部であることを特徴とする。
そして、アニオン系帯電防止剤の含有量が0.5重量部以下であると、特に加工性に優れることとなる。
ここで、上記塩化ビニル系樹脂組成物の組成は、既に説明した通りである。
ここで溶融混練の温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、130〜200℃程度である。
ここで、カレンダー成形の形式は、特に限定されず、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等を挙げることができる。
また、カレンダー温度は、温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、160〜200℃程度である。
本発明の効果を、顕著に享受することができるからである。
平均重合度1050のポリ塩化ビニル樹脂(カネカ社製、S1001N)100重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート23重量部、バリウム・亜鉛系安定剤(ADEKA社製、AC258)3重量部、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム(クラリアント社製、ホスタスタットHS−1)0.1重量部を、180℃のテストロールで混練し、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
図1は、剥離帯電量の測定箇所を説明するための模式図である。
即ち、上記塩化ビニル系樹脂組成物をバンバリーミキサで混練後、ドロップロールで調整し、逆L型4本カレンダー10に投入してシーティングし、巻き取りして厚さ0.1mm×幅1mの塩化ビニル系樹脂フィルム11を1000m製造した。このとき、4本目のカレンダーロール10aの温度は180℃とした。
ここで、フィルムを製造した際に、フィルムの、4本目のカレンダーロール10aから剥離したフィルム材料の表面(図1中、「A」参照)の剥離帯電量(180℃)を非接触ハンディ静電気測定器(春日電機社製、KSD−1000)で測定した。結果は表1に示した。
〇:問題なし。
△:やや剥離しやすい。
×:滑性が良すぎる。
即ち、フィルム表面にプローブを当て1000Vの電圧をかけ、10sec保持によりハイレスターUP(三菱化学アナリテック社製)で表面抵抗値を測定した。
帯電防止剤の配合量及び種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
その後、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、剥離帯電量、異物欠点の個数、カレンダー成形時の加工性、及び、表面抵抗値を評価した。結果を表1に示した。
また、上記アニオン系帯電防止剤の配合量を塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.1〜0.5とすることで、ロール加工性もより良好となることが明らかとなった。
一方、比較例4〜6に示すように、帯電防止剤として、アニオン系帯電防止剤以外の帯電防止剤(ノニオン系帯電防止剤であるポリグリセリンポリ脂肪酸エステル)を使用した場合には、剥離帯電を充分に防止することができず、フィルム表面の異物欠点の発生を防止することができないことも明らかとなった。
11 塩化ビニル系樹脂フィルム
Claims (4)
- 塩化ビニル系樹脂組成物がロール加工工程を経て製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
前記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、かつノニオン系界面活性剤を含有しないものであり、
前記アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤は、アルキルスルホネートであり、
前記アルキルスルホネートは、炭素数が14〜17の直鎖状のアルキル基の末端に、スルホネート基が結合した構造を有し、
前記帯電防止剤の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜0.5重量部であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂フィルム。 - 表面抵抗率が、1×1013Ω/□以上である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 少なくともロール加工工程を有する成形方法を用いて塩化ビニル系樹脂組成物を製膜する塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法であって、
前記塩化ビニル系樹脂組成物は、少なくとも塩化ビニル系樹脂、及び、アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤を含有し、かつノニオン系界面活性剤を含有しないものであり、
前記アニオン系界面活性剤からなる帯電防止剤は、アルキルスルホネートであり、
前記アルキルスルホネートは、炭素数が14〜17の直鎖状のアルキル基の末端に、スルホネート基が結合した構造を有し、
前記帯電防止剤の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜0.5重量部であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法。 - 少なくともロール加工工程を有する成形方法が、カレンダー成形である請求項3に記載の塩化ビニル系樹脂フィルムの製造方法。
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