JP2017132997A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物およびポリ塩化ビニル系樹脂シート - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物およびポリ塩化ビニル系樹脂シート Download PDF

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麻理奈 永木
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麻理奈 永木
琢真 後藤
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琢真 後藤
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Shoichi Nagahashi
祥一 永橋
圭亮 下野
Keisuke Shimono
圭亮 下野
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Abstract

【課題】より優れた柔軟性および耐候性を有するポリ塩化ビニル系樹脂シートおよびそれを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、35重量部80重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体に由来する基幹ポリマーと、20重量部以上65重量部以下の塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーに由来するグラフト鎖とのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)、および、エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)100重量部に対し10重量部以上200重量部以下熱可塑性エラストマー(ii)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物およびシートに関する。より具体的には、本発明は、塩化ビニル系樹脂防水シートなどの、長期的に耐久性を維持するシートおよびそれに用いられる樹脂組成物に関する。
屋外に施設される防水シートには、一般的に塩化ビニル系樹脂製のものが用いられる。一般的に塩化ビニル系樹脂防水シートは耐久性の問題があり、耐久性を備えさせるための提案が種々なされている。
たとえば、特開2000−234005号公報(特許文献1)には、可塑剤を使用せず、柔軟性、耐候性に優れた、住宅の陸屋根に張設される防水シートの原料となる防水シート用樹脂が記載されている。
特開2000−234005号公報
特開2000−234005号公報(特許文献1)に記載のシートは、可塑剤の移行に起因する耐久性の低下を防ぐ目的で、特定量のアクリル系共重合体に特定量の塩化ビニルまたは塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト重合させ、塩化ビニル系樹脂自体の柔軟性を向上させている。しかしながら、このシートであっても依然として柔軟性および耐候性について改善の余地がある。
そこで本発明の目的は、より優れた柔軟性および耐候性を有するポリ塩化ビニル系樹脂シートおよびそれを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、所定量のエチレン−酢酸ビニル共重合体と所定量の酢酸ビニルモノマーとのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂に、所定量の熱可塑性エラストマーを含ませたポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いることによって上記本発明の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、35重量部80重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体に由来する基幹ポリマーと、20重量部以上65重量部以下の塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーに由来するグラフト鎖とのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)、および、当該エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)100重量部に対し10重量部以上200重量部以下の熱可塑性エラストマー(ii)を含む。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートとして成形された場合に、より優れた柔軟性および耐候性が具わる。
(2)
上記(1)のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー(ii)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、および塩素化ポリエチレンからなる群から選ばれてよい。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートとして成形された場合に、柔軟性および耐候性をさらに向上させることができる。
(3)
上記(1)または(2)のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が(メタ)アクリル系粒子を含んでよい。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートとして成形された場合に、シートの柔軟性および耐候性をさらに向上させることができる。
(4)
上記(1)から(3)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、10重量%以上80重量%以下の無機充填剤を含んでよい。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの良好な強度および成形性を得ることができる。また、無機充填剤が無機系紫外線吸収剤として機能する場合は、良好な紫外線バリア性を具えてより良好な耐候性も得ることができる。
(5)
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、上記(1)から(4)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含むシートである。
これによって、より優れた柔軟性および耐候性が具わったポリ塩化ビニル系樹脂シートとなる。
(6)
上記(5)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、総厚が1.0mm以上5.0mm以下であってよい。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートに、良好な強度および施工性が具わる。
(7)
上記(5)または(6)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、強化繊維を含んでよい。
(8)
上記(7)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、強化繊維を含む補強層と、補強層の一方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層と、他方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層または他の層と、を含んでよい。
これらによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートに、良好な強度および寸法安定性が具わる。
(9)
上記(5)から(8)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、または、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層に被覆層が積層されている場合(つまり上記(8)の場合)はポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層および被覆層の少なくともいずれかが、紫外線遮蔽剤を含むことによって紫外線バリア層を構成してよい。この場合、ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、紫外線バリア層が、シート総厚の20%の肉厚において、300nm以上400nm以下の紫外線透過率にして5%以下の紫外線バリア性を有する。
このように、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層自体を紫外線バリア層として機能させてもよいし、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層とは別に設けられた被覆層を紫外線バリア層として機能させてもよいし、それら両方を紫外線バリア層として機能させてもよい。これによって、紫外線による劣化が紫外線バリア層の表面(つまり紫外線が入射する面)付近のみにとどまりポリ塩化ビニル系樹脂シートの大部分で劣化を免れるため、当該シート全体として機械的特性を維持することができる。したがって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートに良好な耐候性が具わる。
(10)
上記(9)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、被覆層のみが紫外線バリア層を構成してよい。この場合、被覆層である紫外線バリア層の厚みが、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の20%以下である。
これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの比較的薄い被覆層で紫外線を効率的に遮蔽することで、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層を紫外線から効果的に保護してより良好な耐候性を得るとともに、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層に紫外線遮蔽剤を用いないためその厚みを確保し溶剤溶着性または熱融着性を良好に具えることができる。
(11)
上記(8)から(10)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、被覆層が、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる樹脂に紫外線遮蔽剤を含む。
これによって、表層で紫外線を遮蔽することでエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層を紫外線から保護してより良好な耐候性を得ることができる。
なお、グラフト塩化ビニル系樹脂は、(メタ)アリルグラフト塩化ビニル系樹脂およびエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)からなる群から選ばれる。
(12)
上記(5)から(11)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、屋外に設置して用いられる施工資材であってよい。
このように、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、より優れた柔軟性、または当該柔軟性および紫外線バリア性によって、熱および/または紫外線に曝露される屋外に設置されて使用される施工資材である場合に優れた耐候性がより有用に発揮される。このため、施工面に対する再施工の回数を低減することができる。したがって、特に専用金具を使用して施工する場合、長期的には、再施工の都度必要となる専用金具の打ち込み箇所の増加を抑えることができる。
本発明によれば、より優れた柔軟性および耐候性を有するポリ塩化ビニル系樹脂シートおよびそれを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。 本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの一例の模式的断面図である。
[1.ポリ塩化ビニル系樹脂組成物]
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを含む。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを必須成分として含み、さらに、(メタ)アクリル系粒子、可塑剤、紫外線遮蔽剤および無機充填剤の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
[1−1.エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系(PVC−TG)樹脂]
エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニルモノマーの重合体グラフト鎖を含んで構成されるグラフト共重合体、および、エチレン-酢酸ビニル共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニル混合モノマー(塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマー以外のモノマーとの混合モノマーをいう)の重合体グラフト鎖とを含んで構成されるグラフト共重合体である。PVC−TG樹脂(i-2)を用いることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐候性を向上させることができる点で好ましい。
PVC−TG樹脂(i)は、平均重合度が400以上2500以下であってよい。平均重合度を上記範囲内とすることによって、良好な柔軟性を得ることができる。この効果をより好ましく得る観点から、平均重合度はたとえば640以上1300以下であってよい。
なお、平均重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
[1−1−1.基幹ポリマー]
PVC−TG樹脂(i)の基幹ポリマーを与えるエチレン-酢酸ビニル共重合体の量は、35重量部以上80重量部以下である。当該量が上記下限値以上であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐劣化性を向上させる点、および低温柔軟性を維持する点などで好ましく、上記上限値以下であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の成形性を得やすい点で好ましい。これらの特性をより好ましく得る観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体の量は、40重量部以上75重量部以下であってよい。
PVC−TG樹脂(i)の基幹ポリマーを構成するエチレン-酢酸ビニル共重合体としては特に限定されない。たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対する酢酸ビニル由来の構成単位の重量比がたとえば1.5重量%以上40重量%以下であってよい。酢酸ビニルの構成単位の重量比が上記下限値以上であることは、ゴム弾性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高める点、および低温柔軟性を維持する点などで好ましく、上記上限値以下であることは、良好なハンドリング性および加工性を得る点で好ましい。これらの特性を好ましく得る観点から、酢酸ビニルの構成単位の重量比は、10重量%以上35重量%以下であることが好ましい。
なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量はJIS K 6924に準拠して測定することができる。
[1−1−2.グラフト鎖]
PVC−TG樹脂(i)のグラフト鎖を与える重合性モノマーは、塩化ビニルモノマーのみであってもよいし、塩化ビニル混合モノマー(塩化ビニルモノマーと、塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーとの混合モノマー)であってもよい。
グラフト鎖を与える塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーの量は、基幹ポリマーを与えるエチレン-酢酸ビニル共重合体の35重量部以上80重量部以下に対し、20重量部以上65重量部以下である。当該量が上記下限値以上であることは、塩化ビニル系樹脂層の成形性を得やすい点で好ましく、上記上限値以下であることは、塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐劣化性を向上させる点、および低温柔軟性を維持する点などで好ましい。これらの特性をより好ましく得る観点から、グラフト鎖を与える塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーの量は、25重量部以上60重量部以下であってよい。
塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーは、1種または複数種が組み合わされて用いられてよい。塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーとしては、スチレン化合物、ジエン化合物、(メタ)アクリル酸アミド、ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸ジエステル及びグリシジル化合物等が挙げられる。
上記スチレン化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tertブトキシスチレン及びクロロメチルスチレン等が挙げられる。上記ジエン化合物としては、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン及びイソプレン等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アミドとしては、(メタ)アクリル酸−アミド、N,N−ジメチルアミド及びN,N−プロピルアミド等が挙げられる。上記ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸−アニリド、(メタ)アクリロニトリル、アクロレイン、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリドン及び酢酸ビニル等が挙げられる。上記不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等が挙げられる。上記グリシジル化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、及び2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン等が挙げられる。
[1−1−3.PVC−TG樹脂(i)の合成]
PVC−TG樹脂(i)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などいずれの重合法で得られたものであってもよい。
PVC−TG樹脂(i)は、基幹ポリマーを構成するためのエチレン−酢酸ビニル共重合体を35重量部以上、80重量部以下と、グラフト側鎖を構成するための塩化ビニルモノマーを20重量部以上、65重量部以下と、を共重合させることにより得てよい。または、上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、基幹ポリマーを構成するためのエチレン−酢酸ビニル共重合体を35重量部以上、80重量部以下と、グラフト側鎖を構成するための塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計20重量部以上、65重量部以下と、を共重合させることにより得てよい。これによって、ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐劣化性を向上させ、低温柔軟性を維持するとともに、ポリ塩化ビニル系樹脂層の成形性を得やすくすることができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐候性をより向上させ、低温柔軟性をより良好に維持するとともに、ポリ塩化ビニル系樹脂層の成形性をより得やすくする観点からは、PVC−TG樹脂(i)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体40重量部以上、75重量部以下と、塩化ビニルモノマー25重量部以上、60重量部以下とを共重合させることにより得ることが好ましく、または、エチレン−酢酸ビニル共重合体40重量部以上、75重量部以下と、塩化ビニルモノマー及び塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーを合計25重量部以上、60重量部以下とを共重合させることにより得られることが好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を得る際、および上記エチレン−酢酸ビニル共重合体と上記塩化ビニルモノマー等とを重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤は特に限定されない。上記重合開始剤は、モノマー成分に可溶である油溶性のフリーラジカルを発生する化合物であることが好ましい。上記重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記重合開始剤としては、有機パーオキサイド化合物及びアゾ化合物等が挙げられる。これら以外の重合開始剤を用いてもよい。上記有機パーオキサイド化合物としては、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート及びα−クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を得る際に、および上記エチレン−酢酸ビニル共重合体と上記塩化ビニルモノマー等とを重合させる際に、分散剤を用いることが好ましい。該分散剤は、モノマー成分の液滴を懸濁及び分散させ、分散を安定化させる役割を有する。上記分散剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記分散剤は特に限定されない。上記分散剤の好ましい例としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、並びに無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
重合に用いる成分(重合可能な成分)100重量部に対して、上記分散剤の使用量(含有量)は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
[1−2.熱可塑性エラストマー(ii)]
熱可塑性エラストマー(ii)は、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの引張特性および柔軟性を良好とするため、ならびに、ポリ塩化ビニル系樹脂シートなどの施工資材の溶剤溶着性または熱融着性を高めるために含まれる。特に、総厚が薄膜化されたポリ塩化ビニル系樹脂シートなどの施工資材の溶剤溶着性または熱融着性を確保する場合に有用である。熱可塑性エラストマー(ii)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性エラストマー(ii)は、後述の(メタ)アクリル系粒子とは区別される。
熱可塑性エラストマー(ii)の持つ機械的物性の付与効果をより一層良好に発揮する観点からは、熱可塑性エラストマー(ii)は、PVC−TG樹脂(i)と相溶可能であることが好ましい。本明細書において、「相溶可能」とは、PVC−TG樹脂(i)に対して、加熱成形時に均一分散することを意味する。
熱可塑性エラストマー(ii)としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、アクリルゴム(アクリル酸エステル−2−クロロエチルビニルエーテル共重合体(ACM)、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体(ANM)など)、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体など)、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマー(ii)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。接着性(熱融着性、溶剤溶着性)、柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、熱可塑性エラストマー(ii)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、および塩素化ポリエチレンであることが好ましい。これらの好ましい熱可塑性エラストマーを用いる場合に、好ましい熱可塑性エラストマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
常温(23℃)での柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、熱可塑性エラストマー(ii)は、塩素化ポリエチレンであることが好ましい。接着性(熱融着性、溶剤溶着性)、常温(23℃)での柔軟性、低温(たとえば0℃以下)での柔軟性、及び引張破断伸びをより一層良好にする観点からは、熱可塑性エラストマー(ii)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、又は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体であることが好ましく、エチレン−(メタ)アクリル酸n−ブチル−一酸化炭素共重合体であることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、PVC−TG樹脂(i)100重量部に対して、熱可塑性エラストマー(ii)の含有量は10重量部以上、200重量部以下であってよい。上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において、PVC−TG樹脂(i)100重量部に対して、熱可塑性エラストマー(ii)の含有量は好ましくは20重量部以上、より好ましくは40重量部以上であり、好ましくは150重量部以下である。熱可塑性エラストマー(ii)の含有量が上記下限以上であると、熱可塑性エラストマー(ii)による柔軟性、熱融着性、溶剤溶着強度、および伸びなどの改質効果がより一層良好になる。熱可塑性エラストマー(ii)の含有量が上記上限以下であると、PVC−TG樹脂(i)による柔軟性がより一層良好になる。
熱可塑性エラストマー(ii)は、可塑剤と異なり移行または抜けが起こらないため、機械的特性の低下をより有効に防止することができる。
また、熱可塑性エラストマー(ii)は、可塑剤の使用量を低減または完全排除することができる。本発明ではポリ塩化ビニル系樹脂としてPVC−TG樹脂(i)を用いるため、熱可塑性エラストマー(ii)を用いることによって、可塑剤の含有量を0重量%にしても良好な柔軟性を得ることができる。つまり、良好な柔軟性を得ることができるとともに、機械的特性の低下も有効に防止することができる。
[1−3.(メタ)アクリル系粒子]
(メタ)アクリル系粒子は、柔軟性を向上させるために含まれてよい。(メタ)アクリル系粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリル系粒子とは、(メタ)アクリル化合物から得られる粒子であり、より具体的には(メタ)アクリルゴム粒子である。
(メタ)アクリル系粒子としては、カルボン酸変性(メタ)アクリルゴム、エポキシ変性(メタ)アクリルゴム、塩素化(メタ)アクリルゴム、シリコーン変性(メタ)アクリルゴムなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系粒子は、架橋構造を有するコア部と、単量体成分がコア部にグラフト重合した重合体を主成分とするシェル部からなるコアシェル型グラフト共重合体であってよい。コア部は、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエンおよびスチレン−ブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体成分を含んで構成される架橋ゴムであってよく、シェル部は、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体成分がコア部にグラフト重合した重合体であってよい。柔軟性をより良好に得る観点から、コアシェル型グラフト共重合体中、コア部の含有量がシェル部の含有量よりも大きいことが好ましい。
コアシェル型グラフト共重合体のより具体的な例としては、ブチルアクリレートの架橋ゴム粒子に、メチルメタクリレートをグラフト共重合させて得られるアクリル系グラフト共重合体;ブタジエンまたはスチレン−ブタジエンの架橋ゴム粒子に、メチルメタクリレートおよび必要に応じてスチレンをグラフト共重合させて得られるメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MCS樹脂);ブチルアクリレートの架橋ゴム粒子にアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト共重合させて得られるASAなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系粒子が含まれる場合、その含有量は、PVC−TG樹脂(i)100重量部に対して、たとえば0重量部超80重量部以下であってよい。上記下限値超であることは、柔軟性および伸びの向上効果を良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、成形性を良好に得る点で好ましい。これらの特性をより良好に得る観点から、(メタ)アクリル系粒子の含有量は、PVC−TG樹脂(i)100重量部に対して、20重量部以上60重量部以下であることがより好ましい。
[1−4.可塑剤]
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、高分子系可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤などが挙げられる。可塑剤は、23℃、1atm環境下で液体状態であり、たとえば熱可塑性エラストマー(ii)のように可塑化作用のある固体高分子とは区別される。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジオクタデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレートなどが挙げられる。
アジピン酸エステル系可塑剤としては、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどが挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、フェノール・レゾルシノールポリホスフェート、フェノール・ビスフェノールAポリホスフェートなどが挙げられる。
高分子系可塑剤としては、重量平均分子量500以上、より好ましくは500以上10000以下の可塑剤であることが好ましい。分子量と粘度との間には相関があり、後述の粘度となる分子量であることがより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であることは、可塑剤の保留性が良好で抜けまたは移行が起こりにくい点で好ましく、上記上限値以下であることは、可塑性を付与し易い点で好ましい。なお、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定法(標準物質:ポリスチレン)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指すものとする。
具体的には、高分子系可塑剤としてポリエステル系可塑剤などが挙げられる。ポリエステル系可塑剤は、多価アルコールおよび多価カルボン酸、ならびに、一価アルコールおよび/または一塩基酸から得られるポリエステルである。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族二塩基酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和脂肪族二塩基酸、またはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸などの二塩基酸などが挙げられる。一価アルコールとしては、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2EH)、ノニルアルコール、イソノニルアルコール(INA)、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ウンデシルアルコール(UA)、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。一塩基酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラギン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪族一塩基酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪族一塩基酸、安息香酸、トルイル酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸等の芳香族一塩基酸などが挙げられる。より好ましくは、一般式 A−D−[−G−D−]n −A (ただし、Aは封鎖剤(一価アルコールまたは一価カルボン酸)、Dは二塩基酸、Gはグリコール、nは1以上の整数を表す)で表されるポリエステル系可塑剤が挙げられる。
高分子系可塑剤の粘度は、200mPa・s/25℃以上であってよい。好ましくは、高分子可塑剤の粘度は200mPa・s/25℃以上10000mPa・s/25℃以下であってよい。当該粘度が上記下限値以上であることは、抜けまたは移行を抑制する点で好ましく、上記上限値以下であることは、可塑化能を発揮し易い点で好ましい。上記の特性をより良好に得る観点から、高分子系可塑剤の粘度は、さらに1000mPa・s/25℃以上10000mPa・s/25℃以上以下であることが好ましい。なお、粘度とは、JIS Z8803に準拠して得られる粘度である。
エポキシ化植物油系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等、エポキシ化アマニ油などが挙げられる。
可塑剤としては、上述のほか、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤などが挙げられる。
上述の可塑剤の中でも、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤、および高分子系可塑剤、特に重量平均分子量500以上のものが、散逸しにくく、長期耐久性に優れたシートが得られる点で好ましい。さらに、高分子系可塑剤は、長期耐久性を損なわずに柔軟性を得る点、または当該柔軟性と熱融着性とを向上させる点で好ましい。
上記の可塑剤は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。
可塑剤の含有量は、PVC−TG樹脂(i)100重量部に対して、0重量部以上25重量部以下であってよい。可塑剤の含有量が25重量部以下という少量に抑えられることにより、可塑剤の抜けまたは移行によるポリ塩化ビニル系樹脂シートの機械的特性の低下を抑制することができる。また、常温(23℃)での破断強度が良好であり、シート全体としての強度に優れる。
本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物に柔軟性の高いPVC−TG樹脂(i)が用いられるため、可塑剤の含有量は0重量%であってもよい。これによって、可塑剤の移行または抜けによる機械的特性の低下を生じさせないことができる。特に、上述した可塑剤のうち、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤、および高分子系可塑剤(好ましくは重量平均分子量500以上の可塑剤)を除く可塑剤は、可塑剤の移行または抜けによる機械的特性の低下を防ぐ観点から、実質的に含まないことがより好ましい。実質的に含まないとは、完全に排除されることつまり全く含まない(含量が0重量%)ことが好ましいが、上述の本発明の耐候性を損なわない程度の極微量(たとえば、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、0重量%超4重量%以下、好ましくは3重量%以下)が混入している態様も許容する。
[1−5.紫外線遮蔽剤]
紫外線遮蔽剤は、顔料、紫外線吸収剤、および無機系紫外線遮蔽剤を含む。紫外線遮蔽剤を用いる場合は顔料を必須とし、紫外線吸収剤および無機系紫外線遮蔽剤は顔料と併用して用いられることが好ましい。紫外線遮蔽剤を含ませることによって、ポリ塩化ビニル系樹脂層自体を紫外線バリア層として機能させることができる。以下、紫外線遮蔽剤を含む場合のポリ塩化ビニル系樹脂層を紫外線バリア層と記載する場合がある。
顔料としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン;フタロシアニン系、イソインドリノン系、ペリレン系、アゾ系、縮合アゾ系、キナクリドン系、アンスラキノン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、ジオキサジン系、酸化チタン系、酸化鉄系、酸化クロム系、クロム酸鉛系、スピネル型焼成系、ジケトピロロピロール系、酸化マンガン−酸化ビスマス複合塩系、酸化マンガン−イットリウム複合塩系、酸化鉄−酸化クロム複合塩系などの顔料が挙げられる。顔料は、1種または複数種の組み合わせで用いられてよい。
顔料が含まれる場合、その含量は、所望の紫外線透過性能を得られるよう、紫外線バリア層の厚みに応じて適宜調整されるが、紫外線バリア層を構成する樹脂組成物(100重量%)中、たとえば、1重量%以上10重量%以下、好ましくは2重量%以上5重量%以下であってよい。顔料の含量が上記下限値以上であることは、所望の紫外線透過率を達成するために必要な層厚寸法の肥大化を抑制する効果、ならびに、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの機械的特性の低下を抑制する効果を良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、使用量に対する当該効果を効率的に得る点および加工性の点で好ましい。
紫外線吸収剤としては、フェニルサレシレ−ト、p−tert−ブチルフェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−トなどのサリチル酸系;2,4−ギヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ−ル系;2−エチルへキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレ−ト、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレ−トなどのシアノアクリレ−ト系の有機系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種または複数種の組み合わせで用いられてよい。
紫外線吸収剤が含まれる場合、その含量は、所望の紫外線透過性能を得られるよう、紫外線バリア層の厚みに応じて適宜調整されるが、紫外線バリア層を構成する樹脂組成物(100重量%)に対してたとえば0.05重量%以上0.6重量%以下、好ましくは0.1重量%以上0.6重量%以下であってよい。紫外線吸収剤の含量が上記下限値以上であることは、所望の紫外線透過率を達成するために必要な層厚寸法の肥大化を抑制する効果、ならびに、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの機械的特性の低下を抑制する効果を良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、使用量に対する当該効果を効率的に得る点、およびブリードまたはブルームの発生を防止する点で好ましい。
無機系紫外線遮蔽剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化セリウム、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ゼオライト、グラファイトなどが挙げられる。無機充填剤としては、1種または複数種の組み合わせで用いられてよい。
特に、熱可塑性エラストマー(ii)としてエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体を用いた場合は、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体の脱酢酸による分解を防止し引張伸びを良好に保つ観点から、紫外線遮蔽剤を用いることが特に有用である。
[1−6.無機充填剤]
無機充填剤としては、上述した無機系紫外線遮蔽剤と、紫外線遮蔽効果のない無機物との両方を含む。たとえば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物または金属水酸化物;アルミナけい酸ナトリウム、ハイドロカルマイト、けい酸アルミニウム、けい酸マグネシウム、けい酸カルシウム、ゼオライト等のけい酸金属塩;活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、PMF、石膏繊維、ゾノライト、MOS、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。無機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
無機充填剤が含まれる場合、その含有量(上述の無機系紫外線遮蔽剤と、紫外線遮蔽効果のない無機物との合計量)は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(100重量%)中、たとえば2重量%以上80重量%以下、好ましくは5重量%以上50重量%以下、より好ましくは8重量%以上30重量%以下であってよい。無機充填剤の含有量が上記下限値以上であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの強度向上の点で好ましく、さらに、無機充填剤が上述の無機系紫外線遮蔽剤にも該当する場合は、紫外線バリア性を向上させてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐候性をより良好に得る点で好ましい。また、無機充填剤の含有量が上記上限値以下であることは、強度および伸びを良好に得る点で好ましい。
[1−7.その他]
なお、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物には上述した成分の他、滑剤、加工助剤、安定剤、安定化助剤、光安定剤、および酸化防止剤などが含まれてもよい。
滑剤としては、たとえば、ステアリン酸等の脂肪酸類;脂肪酸エステル類;オレフィンワックス類等が挙げられる。これらの滑剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
加工助剤としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーの単独重合体もしくは共重合体;上記(メタ)アクリレート系モノマーとスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの加工助剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
安定剤としては、たとえば、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート等の有機錫系安定剤;鉛白、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、シリカゲル共沈硅酸鉛、ステアリン酸鉛、安息香酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系安定剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
安定化助剤としては、たとえば、リン酸エステル等が挙げられる。これらの安定化助剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
光安定剤としては、たとえば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
[2.ポリ塩化ビニル系樹脂シート]
本発明のポリ塩化ビニル樹脂シートは、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物から成形することができる。ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、柔軟性が求められるとともに、使用時または保存時に自然環境(光、温度、水分などによる負荷)に晒されうるシートであればよい。たとえば、施工シートおよび役物などの施工資材(好ましくは防水シートおよび防水などの防水資材);合皮生地、エナメル生地、化粧シートなどの生地材が挙げられる。
[2−1.物性]
本発明の塩化ビニル系樹脂シートは、柔軟性および耐候性を奏するため、以下の物性を有していることが好ましい。
剛性および強度ならびに耐衝撃性の観点から、劣化前の常温(23℃)での引張弾性率が、0.1MPa以上200MPa以下、好ましくは0.1MPa以上100MPa以下、より好ましくは0.1MPa以上50MPa以下であってよい。また、温度変動に対する施工安定性の観点から、劣化前の23℃における引張弾性率と−20℃における引張弾性率との差が100倍以下であることが好ましい。
なお、引張弾性率は、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、弾性率を測定して得られる。より具体的には、引張速度200mm/分、初期つかみ間距離30mm、23℃の条件下で、引張を行い、変位0.025mmおよび0.125mmの値を用いて引張弾性率を測定して得てよい。
一方、低温施工性の観点から、劣化前の−20℃での曲げ弾性率が1MPa以上500MPa以下、好ましくは400MPa以下、より好ましくは350MPa以下、さらに好ましくは200MPa以下、より一層好ましくは100MPaであってよい。また、温度変動に対する施工安定性の観点から、23℃における曲げ弾性率と−20℃における曲げ弾性率との差が100倍以下であることが好ましい。
なお、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して得られる測定値である。
低温施工性の観点からは、5℃での貯蔵弾性率が2×10Pa以上5×10Pa以下、好ましくは2×10Pa以上4×10Pa以下、より好ましくは2×10Pa以上3×10Pa以下であってもよい。貯蔵弾性率が上記下限値以上であることは、適度なコシによって施工性に優れる点で好ましく、上記上限値以下であることは、低温環境下でも適度な柔軟性によって施工性に優れる点で好ましい。
なお、貯蔵弾性率は、JIS K 7244−4に準拠して得られる測定値である。
さらに、割れ耐性の観点から、劣化前の200mm/分での引張破断伸びは、たとえば250%以上、好ましくは300%以上、さらに好ましくは350%以上であってよい。これによって、より好ましい割れ耐性が具わる。引張破断伸びの範囲内の上限は特に限定されないが、施工面への追従性などを考慮するとたとえば1000%であってよい。であってよい。
なお、引張破断伸びは、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、破断時伸びを測定して得られる。より具体的には、引張破断伸び(%)は、引張条件200mm/分、初期つかみ間距離30mm、23℃の条件下、初期つかみ間距離に対するつかみ間距離の増加量の割合(%)として得てよい。なお、成形後のシートが強化繊維(後述)を含む場合は、強化繊維破断時の伸びではなく、強化繊維破断後も樹脂部分が伸び続け、当該樹脂部分が破断したときの伸びを引張破断伸びとする。
耐風圧の観点からは、劣化前の引張強度がたとえば5MPa以上、好ましくは10MPa以上であってよい。であってよい。これによって、台風などによる強風での負圧負荷による破断を防ぐことができる。
なお、引張強度は、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、破断時強度を測定して得られる。なお、成形後のシートが強化繊維(後述)を含む場合は、強化繊維破断時の伸びではなく、強化繊維破断後も樹脂部分が伸び続け、当該樹脂部分が破断したときの強度を引張強度とする。
ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、紫外線遮蔽剤を含むことによって、紫外線バリア層が、シート総厚の20%の肉厚において、300nm以上400nm以下の紫外線透過率にして5%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下の紫外線バリア性を有することが好ましい。これによって、紫外線による劣化が紫外線バリア層の表面(つまり紫外線が入射する面)付近のみにとどまりポリ塩化ビニル系樹脂シートの大部分で劣化を免れるため、当該シート全体として機械的特性の低下を抑制し良好な割れ特性を得ることができる。
なお、上述のようにポリ塩化ビニル系樹脂層に紫外線遮蔽剤を含ませることで当該ポリ塩化ビニル系樹脂層自体を紫外線バリア層として機能させてもよいし、ポリ塩化ビニル系樹脂層の被覆層(後述)に紫外線遮蔽剤を含ませることで当該被覆層を紫外線バリア層として機能させてもよい。さらに、紫外線遮蔽剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂層と被覆層とのいずれか一方のみに含まれてもよいし、両方に含まれてもよい。
[2−2.層構成]
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、上述のPVC−TG樹脂(i)および熱可塑性エラストマー(ii)を含む本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の成形層(後述図1から図6におけるポリ塩化ビニル系樹脂層200,200a)を少なくとも含む。ポリ塩化ビニル系樹脂シートが施工資材である場合、施工時において溶剤溶着または熱溶着によって施工面に接着することができる。
図1から図6に、便宜上、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートが施工シートの一例の防水シートである場合を挙げ、その模式的断面図を示す。以下、図面に基づいて説明するが、以下の説明は、ポリ塩化ビニル系樹脂シートが防水シート以外のシートである場合にも同様に適用される。
図1に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100は、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で構成されるポリ塩化ビニル系樹脂層200のみで構成されている。
図2に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100aは、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物に強化繊維(後述)を含むポリ塩化ビニル系樹脂層200aのみで構成されている。ポリ塩化ビニル系樹脂層200aは、強化繊維を含む補強層210の少なくも一方の面に本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が積層された態様で構成されている。したがって、補強層210の一方の面に本発明の本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が積層され、他方の面に本発明の本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220(図2の態様)または他の層(後述図6の態様)が積層されてよい。図2に示された態様では、補強層210の両方に本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が設けられている。この場合、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220の一方と他方とは、異なる組成のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で構成されることで、それぞれ異なる機能を付してよい。一方のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220は、たとえば熱可塑性エラストマーを他方よりも多く含ませるなどにより、施工時において、施工面に溶剤溶着または熱溶着による接着層としてより適するように機能させることができる。さらにこの場合において、他方のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220は、紫外線遮蔽剤を含ませることにより、バリア層として機能させることができる。
図3に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100bは、ポリ塩化ビニル系樹脂層200に、他の樹脂で構成される被覆層310が積層されている。被覆層310は、施工時における表側に位置する。図4に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100cは、ポリ塩化ビニル系樹脂層200に、被覆層310に加え、被覆層310とは反対側に、他の層として他の樹脂で構成される裏層320とが積層されている。裏層320は、施工面に接着させられるための、接着性樹脂組成物で構成された接着層であってもよいし、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物ではないポリ塩化ビニル系樹脂組成物(上述の可塑剤を含んでもよい)で構成された層であってもよいし、それらの積層であってもよい。図5に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100dは、ポリ塩化ビニル系樹脂層200aに被覆層310が積層されている。図6に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100eは、ポリ塩化ビニル系樹脂層200aに、他の層として他の樹脂で構成される裏層320が積層されている。図示された態様では、補強層210の一方の面に本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が設けられ、他方の面に裏層320が積層されている。
これらの態様において、被覆層310および裏層320は、上述の物性を損なわないように積層される。
なお、図示された態様の他、ポリ塩化ビニル系樹脂層200に他の樹脂で構成される内部層が内在していてもよい。また、被覆層310、裏層320および内部層は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100におけるポリ塩化ビニル系樹脂層200、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100aにおける他方のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100b,100c,100dにおける被覆層310は、紫外線遮蔽剤を含有することで、紫外線バリア層として機能させることもできる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100eのように、上述のポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aと他の層(上述の例では、被覆層310、裏層320、および内部層)との積層体として構成される場合、当該他の層が占める厚みの合計は、上記の物性(特に引張破断伸び)を損なわないようにする観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100e全体の厚みのたとえば20%以下であることが好ましい。他の層によって付加されうる特性(たとえば紫外線バリア性など)を確保しやすくする観点から、当該他の層が占める厚みの合計は、1%以上であることが好ましい。
[2−3.ポリ塩化ビニル系樹脂層]
ポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aは、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の成形物を含んで構成される。
[2−3−1.強化繊維]
ポリ塩化ビニル系樹脂層は、強化繊維を含んでよい。強化繊維を含むポリ塩化ビニル系樹脂層200aでは、ポリ塩化ビニル系樹脂層が強化繊維で強化されている。強化繊維を含む層である補強層210では、強化繊維にポリ塩化ビニル系樹脂組成物が含浸されていてもよいし、含浸されていなくてもよい。強化繊維を含むことによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの強度および寸法安定性の向上効果が得られる。特に、総厚が薄膜化されたポリ塩化ビニル系樹脂シートの強度を確保する場合に有用である。
強化繊維の形態としては特に限定されず、たとえば、トウ、クロス、チョップドファイバー、連続繊維などの繊維の方向を一方向に引き揃えた形態;連続繊維を経緯にして織物とした形態;トウの方向を一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態;繊維の方向を一方向に引き揃えた複数の繊維シートを、それぞれ繊維の方向が異なるように重ね補助糸でステッチして留めたマルチアキシャルワープニットの形態;および、繊維の不織布の形態などが挙げられる。
繊維は、PAN (ポリアクリロニトリル) 系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維などの炭素繊維;スチール繊維などの金属繊維;ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの無機繊維;ならびに、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、高強度ポリプロピレンなどの有機繊維;ケナフ、麻などの天然繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独または複数種の組み合わせで使用されてよい。
上述の繊維の中でも、伸びが良好で繰り返し荷重に対して強いことから、ポリエステルクロスが特に好ましい。
[2−3−2.厚み]
ポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aの厚みは、低温柔軟性を確保しやすくする観点、または、当該観点とともに、良好な溶剤溶着性または熱融着性を得やすくする観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の80%以上であることが好ましい。
[2−4.被覆層]
図3から図5に示したようにポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100b,100c,100dが被覆層310を有する場合において、被覆層310が紫外線遮蔽剤を含む場合、被覆層310を構成する樹脂組成物中に含ませることができる紫外線遮蔽剤の具体例としては、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物に含んでよい紫外線遮蔽剤として述べたものが挙げられる。被覆層310を構成する樹脂組成物中の紫外線遮蔽剤の含量は、上述のポリ塩化ビニル系樹脂層中に含んでよい量と同様である。
また、被覆層310には上述した無機充填材を含ませることもできる。無機充填材の具体例としては、上述のポリ塩化ビニル系樹脂層に含んでよい無機充填材として述べたものが挙げられる。被覆層310を構成する樹脂組成物中の無機充填材の含量は、上述のポリ塩化ビニル系樹脂層中に含んでよい量と同様である。
被覆層310を構成する樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる樹脂を含んでよい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルからなる群から選ばれる(メタ)アクリル酸系モノマー成分で構成される単独重合体または共重合体であってよい。あるいは、(メタ)アクリル系樹脂は、上記の(メタ)アクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体を主鎖として、(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマー(以下、その他のモノマーと記載する。)の重合体側鎖が導入されているグラフト共重合体であってもよい。その他のモノマーとしては、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル系樹脂は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。その他のモノマーの重合体側鎖は、柔軟性等を考慮して、(メタ)アクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体(主鎖)100重量部に対してたとえば60重量部以下であってよい。
被覆層310の柔軟性をより好ましく得る観点からは、(メタ)アクリル系樹脂は、塩素を含むモノマー(たとえば塩化ビニルモノマー)成分を共重合成分として実質的に含んでいないことが好ましい。塩素を含むモノマー成分を共重合成分として実質的に含んでいないとは、塩素を含むモノマー成分を全く含まない(含量が0重量部)態様に加え、柔軟性を損なわない程度に微量(たとえば、(メタ)アクリル酸系モノマーの単独重合体または共重合体100重量部に対して0重量部超、1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下)共重合している態様も許容する。したがって、(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸系モノマー成分で構成される単独重合体および共重合体、ならびに、当該単独重合体および共重合体を主鎖として、スチレン、アクリロニトリルおよび酢酸ビニルからなる群から選ばれる他のモノマーの重合体がグラフト側鎖として導入されているグラフト共重合体である。この場合も、(メタ)アクリル系樹脂は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などが挙げられる。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などいずれの重合法で得られたものであってもよい。
ポリ塩化ビニル系樹脂が共重合体である場合、共重合体の態様としては限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、およびグラフト共重合を問わない。
上記のポリ塩化ビニル系樹脂は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。
とくにポリ塩化ビニル系樹脂がグラフト共重合の態様である場合、ポリ塩化ビニル系樹脂は、(メタ)アリルグラフト塩化ビニル系(PVC−AG)樹脂およびエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系(PVC−TG)樹脂からなる群から選ばれるグラフト塩化ビニル系樹脂であってよい。これによって、被覆層310の柔軟性をより好ましく得ることができる。
PVC−AG樹脂は、(メタ)アクリル系共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニルモノマーの重合体グラフト鎖とを含んで構成されるグラフト共重合体、および、(メタ)アクリル系共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニル混合モノマー(塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマー以外のモノマーとの混合モノマーをいう)の重合体グラフト鎖とを含んで構成されるグラフト共重合体である。基幹ポリマーが(メタ)アクリル系共重合体であることを除いて上述したPVC−TG樹脂(i)と同様である。具体的には、特開2000−234005号公報に記載のものが用いられる。
被覆層310に含まれてよい(PVC−TG)樹脂としては、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で用いられるエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系(PVC−TG)樹脂(i)として挙げたものが用いられる。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物層と同様に、被覆層310には可塑剤を実質的に含まないことが好ましい。これによって、可塑剤の抜けによる機械的特性の低下を抑制することができる。
[2−5.総厚]
ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100e全体の厚みは、たとえば1.0mm以上5.0mm以下であってよい。上記下限値以上であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層による柔軟性を確保しやすくし且つ強度を確保する観点、または当該観点とともに良好な溶剤溶着性または熱融着性を得やすくする観点で好ましく、上記上限値以下であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100eの重量を最小限にして良好な施工性を得る観点から好ましい。これらの特性をより良好に得る観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの厚みは、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上2.0mm、さらに好ましくは1.0mm以上1.5mm以下であってよい。
[2−6.製造]
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートへの成形法は、当業者が容易に選択することができる。たとえばポリ塩化ビニル系樹脂防水シートは、カレンダー法または押出法などによってシート成形することで得ることができる。ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートが複層構造である場合、それぞれの層を構成する樹脂組成物を調製した後、たとえば、PVC−TG樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー法、押出法などによってシート成形し、他の層を構成する樹脂組成物をカレンダー法により積層して一体化してもよいし、それぞれの樹脂組成物を予め個別にカレンダー法または押出法によりシート成形し、その後、ラミネート法などの積層方法で積層一体化してもよい。また、それぞれの樹脂組成物を共押出によって多層化してもよい。ポリ塩化ビニル系樹脂防水役物は、プレス成形などによって、出隅入隅などの屈曲形状または角形状に合わせて成形されてよい。屈曲形状または角形状に対応する部分は、防水シートと接合部分よりも厚肉に形成されてよい。
[2−7.使用]
本発明の塩化ビニル系樹脂シートは、良好な耐候性を有するため、長期使用に付される用途で用いられることができる。
たとえば、屋外のように熱および/または紫外線に曝露される環境で用いられる施工資材である場合に有用である。本発明の塩化ビニル系樹脂シートが施工シートである場合、その施工において、接着剤を裏面に塗布して施工面に貼り付けてもよいし、溶剤で裏面を溶解させて溶剤溶着により施工面に貼り付けてもよいし、専用金具および電磁誘導加熱機の組み合わせまたは温風溶接機を用いて熱融着により施工面に固定してもよい。また、シート同士の接合は、溶剤溶着または熱融着によって行うことができる。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、長期耐候性によって、施工面に対する再施工の回数を低減することができる。したがって、特に専用金具を使用して施工する場合、長期的には、再施工の都度必要となる専用金具の打ち込み箇所の増加を抑えることができる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂シートが生地材である場合は、たとえば基布の表面に積層された態様で、鞄、靴、服、家具などに加工されてよい。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の発明に限定されるものではない。
実施例1から実施例12、および比較例1において、以下のようにポリ塩化ビニル系樹脂組成物およびポリ塩化ビニル系樹脂シートを製造した。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の配合を表1および表3(それぞれの数値は重量部で表している。)に、およびポリ塩化ビニル系樹脂シートの長期耐性試験などの結果を表2および表4に示す。
[実施例1]
エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)としてPVC−TG樹脂(積水化学社製PVC TG−40、エチレン−酢酸ビニル40重量%、ポリ塩化ビニル60重量%、平均重合度650)、熱可塑製エラストマー(ii)としてエチレン−アクリル酸n−ブチル−一酸化炭素共重合体(エルバロイHP441、三井デュポンポリケミカル社製)および塩素化ポリエチレンゴム(タイリン6000、ダウ・ケミカル社製)、無機充填剤として炭酸カルシウム(W305、白石カルシウム社製)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(Viosorb550、共同薬品社製)、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(Irganox1010、BASFジャパン社製)、アクリル系粒子としてコアシェル型アクリルゴム(カネエースFM−40、カネカ社製)、顔料としてカーボンブラックと酸化チタンとを含む混合物、安定剤としてスズ安定剤(TVS#8570、日東化成社製)、および滑剤(wax−OP、クラリアントケミカルズ社製)をそれぞれ下記表1に示す量で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形し、図1に相当する層構成の厚み2.0mmのポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。なお、表1中の数値は重量部で表されている(後述の表3についても同様)。
[実施例2]
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において熱可塑製エラストマー(ii)の量を表1に記載のとおりに変更し、アクリル系粒子を使用せず、強化繊維としてポリエステルクロス(ESW33130、倉敷紡績社製)を用い、かつ、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図2に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例3]
ポリエステルクロスを用いなかったことを除いて、実施例2と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例4]
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において熱可塑製エラストマー(ii)をエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(742、三井デュポンポリケミカル社製)かつ表1に記載の量に変更し、アクリル系粒子を使用せず、総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例5]
顔料の量を表1に記載のとおりに変更し、総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例4と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例6]
総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例7]
塩素化ポリエチレンの量とアクリル系粒子の量とを表3に記載のとおりに変更し、紫外線吸収剤を用いず、かつ、総厚を表4に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例8]
アクリル系粒子を用いず、総厚を表4に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例9]
強化繊維としてポリエステルクロスを用いたことを除いて、実施例8と同様にして、図2に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例10]
アクリル系粒子を用いなかったことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例11]
アクリル系粒子を用いず、顔料の量を表3に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[実施例12]
炭酸カルシウムの量を表3に記載のとおりに変更し、総厚を表4に記載の通りに変更したことを除いて、実施例11と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[比較例1]
(非グラフト)ストレート塩化ビニル系樹脂TS1300S(積水化学工業社製)と、スズ安定剤(TVS#KK8570、日東化成社製)と、低分子可塑剤DOP(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル))と、炭酸カルシウムと、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(Irganox1010、BASFジャパン社製)と、滑剤(wax−OP、クラリアントケミカルズ社製)を下記の表3に示す配合量で混合して、(非グラフト)塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた(非グラフト)塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形し、図1に相当する層構成の厚み1.5mmのポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
[ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの物性評価]
以下のようにして、得られたポリ塩化ビニル系樹脂シートを縦100mm、横100mmにカットしたサンプルについて、熱劣化前と熱劣化後とにおける各物性(引張破断伸び、引張強度、引張弾性率、および紫外線透過率)と、熱劣化前における紫外線透過率と、を測定した。熱劣化は、得られたポリ塩化ビニル系樹脂シートを120℃のオーブンで240時間加熱することによって行った。
引張破断伸び:JIS K 6251−8号ダンベルを用いて、200mm/minの速度で引張試験を行った。破断伸びは、チャック間(初期30mm)の伸びとして算出した。
引張強度:JIS K 6251−8号ダンベルを用いて、200mm/minの速度で引張試験を行った。引張強度は試験片の巾と厚みとを用いて算出した。
引張弾性率:JIS K 6251−8号ダンベルを用いて、200mm/minの速度で引張試験を行った。引張弾性率は試験片の巾と厚みとを用いて算出した。
紫外線透過率:分光光度計(UV−1800、島津製作所製)を用いて、ポリ塩化ビニル系樹脂シート(b)の総厚の20%の厚みのシートサンプルを用意し、このシートサンプルの300nm以上400nm以下の紫外線透過率の測定を行った。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
本明細書におけるポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,100b,100c,100d,100eは請求項中の「ポリ塩化ビニル系樹脂シート」に相当し、ポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aは「ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層」に相当し、補強層210は「補強層」に相当し、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220は「補強層の一方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂」「補強層の…他方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層」に相当し、被覆層310は「被覆層」に相当し、裏層320は「補強層の…他方の面に積層された…他の層」に相当する。
本発明は、屋内および屋外を問わず使用時または保存時に自然環境(光、温度、水分などによる負荷)に晒されうるシートに利用される。たとえば、施工シートおよび役物などの施工資材(好ましくは防水シートおよび防水役物などの防水資材);合皮生地、エナメル生地、化粧シートなどの生地材に利用されてよい。
100,100a,100b,100c,100d,100e…ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート(ポリ塩化ビニル系樹脂シート)
200,200a…ポリ塩化ビニル系樹脂層(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層)
210…補強層
220…ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層(補強層の一方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、他方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層)
310…被覆層
320…裏層(他方の面に積層された他の層)

Claims (12)

  1. 35重量部80重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体に由来する基幹ポリマーと、20重量部以上65重量部以下の塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーに由来するグラフト鎖とのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)、および、前記エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)100重量部に対し10重量部以上200重量部以下の熱可塑性エラストマー(ii)を含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性エラストマー(ii)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、および塩素化ポリエチレンからなる群から選ばれる、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が(メタ)アクリル系粒子を含む、請求項1または2に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 10重量%以上80重量%以下の無機充填剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含むポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  6. 総厚が1.0mm以上5.0mm以下である、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  7. 強化繊維を含む、請求項5または6に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  8. 前記強化繊維を含む補強層と、前記補強層の一方の面に積層された前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層と、他方の面に積層された前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層または他の層と、を含む、請求項7に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  9. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、または、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層に被覆層が積層されている場合は前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層および前記被覆層の少なくともいずれかが、紫外線遮蔽剤を含むことによって紫外線バリア層を構成し、前記紫外線バリア層が、前記ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の20%の肉厚における300nm以上400nm以下の紫外線透過率が5%以下の紫外線バリア性を有する、請求項5から8のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  10. 前記被覆層のみが前記紫外線バリア層を構成し、前記紫外線バリア層の厚みが総厚の20%以下である、請求項9に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  11. 前記被覆層が、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる樹脂に前記紫外線遮蔽剤を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
  12. 屋外に設置して用いられる施工資材である、請求項5から11のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
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