JP5468964B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
(a)フェノキシ樹脂
(b)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(c)アリールアミン型酸化防止剤
本実施形態に係る積層体(以下「本積層体」と称する)は、炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aを主成分とする熱硬化性樹脂層(X層)と、熱可塑性樹脂Bを主成分とし、且つ特定の成分Cを含有する熱可塑性樹脂層(Y層)と、ハロゲンを含有する熱可塑性樹脂Dを主成分とする熱可塑性樹脂層(Z層)とが積層されてなる構成を備えた積層体である。
熱硬化性樹脂層(X層)は、炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aを主成分とする層であればよい。
熱硬化性樹脂複合化物Aとは、炭素繊維を主成分とする繊維体と、マトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂とを複合一体化してなる複合化物である。
熱硬化性樹脂複合化物Aを構成する熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれた1種の樹脂又は2種以上の樹脂、或いは、これらの変性体、又は、前記1種の樹脂又は2種以上の樹脂或いはこれらの変性体に、エラストマーやゴム成分、硬化剤、硬化促進剤、触媒等を添加した樹脂組成物を挙げることができる。
特にエポキシ樹脂は接着性が高いため、例えば炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂複合化物、すなわち炭素繊維と熱硬化性樹脂との複合化物からX層を形成する場合に、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いると、高い力学特性を得ることができる。よって、炭素繊維を含有するエポキシ樹脂複合化物が好ましい。
アミン類を前駆体とするグリシジルアミン型エポキシ樹脂として、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール及びトリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体などを挙げることができる。中でも、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンは、耐熱性に優れており好ましい。
エポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤や硬化触媒等を含んでもよいし、含まなくてもよいが、ライフの面から後者の方が好ましい。前者の場合でも潜在性の高い硬化剤や硬化触媒であれば、特に大きな問題とはならない。
また、エポキシ樹脂は、添加剤としてフェノキシ樹脂やビスフェノールA型エポキシ樹脂モノマー及びジフェニルアミンを含んでもよい。
熱硬化性樹脂複合化物Aを構成する炭素繊維としては、炭素の含有率が85〜100質量%の範囲内であり、少なくとも部分的にグラファイト構造を有する繊維状材料であるのが好ましい。例えばポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどを挙げることができる。
中でも、高剛性、二次加工性の発現などの面から、ポリアクリロニトリル系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が特に好ましい。
炭素繊維の特性上も、高強度炭素繊維、高弾性率炭素繊維、またはそれらの混合物など、成形物の用途に応じて選択すればよい。中でも、糸状の連続繊維が特に好ましい。
連続した炭素繊維の長さは、連続繊維で強化された繊維強化樹脂の取扱い性に優れることや、高い剛性が得られるため、10mm以上であるのが好ましい。
炭素繊維と熱硬化性樹脂とを複合化する方法としては、細かく切断した繊維をプラスチック中に均一に混入させる方法や、連続繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法などを挙げることができる。より具体的には、熱硬化性樹脂中に炭素繊維を含浸させた薄いシート状の含浸体からなるプリプレグを作製しておき、このプリプレグを積層して加熱溶融一体化してなる構成の樹脂複合材を挙げることができる。
Y層は、熱可塑性樹脂Bを主成分として含有し、且つ所定の成分Cを含有する層であればよい。
熱可塑性樹脂Bに特定の成分Cを配合することにより、X層とY層間、並びにY層とZ層間の界面接着性を顕著に良好にすることができる。
熱可塑性樹脂Bとしては、例えばエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、オキシメチレン系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、カーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フェニレン系樹脂、エーテルイミド系樹脂、スルホン系樹脂、アリレート系樹脂、エーテルスルホン、ケトン、エーテルケトン、エーテルエーテルケトン、エーテルケトンケトン、アリレート、エーテルニトリル系樹脂、イミド、アミドイミド系樹脂、フェノール系樹脂、テトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂等を挙げることができ、これらのうちの一種又は2種以上の混合樹脂或いは共重合体を選択して用いることができる。
中でも、好適な成形温度を有するという観点から、例えばABS樹脂(ブレンドタイプ)、ABS樹脂(グラフトタイプ)、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合物(AS樹脂)、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂などが好ましく、これらのうちの一種又は2種以上の混合樹脂或いは共重合体を選択して好適に用いることができる。
なお、熱可塑性樹脂Bは発泡性であってもよい。
これらの塩素含有樹脂は、懸濁重合、乳化重合及び溶液重合等のいずれの方法によって製造されたものも使用することができる。
この際、安定剤としては、例えばカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、スズ、鉛などの金属の有機酸塩、無機酸塩などから選ばれる1種以上を採用することができる。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレートなどのジアルキルフタレート類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのホスフェート類、エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物類などから選ばれる1種以上を採用することができる。
滑剤としては、例えばポリエチレンワックスなどの炭化水素類、ステアリン酸などの高級脂肪酸類、ブチルステアレートなどのエステル類などから選ばれる1種以上を採用することができる。
熱可塑制樹脂Bに多種類の樹脂を添加して試験した結果、次の(a)〜(c)を配合すると、Y層の界面接着性を顕著に良好にすることができ、耐薬品性や剛性に優れた性能を得られることが分かった。
(a)フェノキシ樹脂
(b)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(c)アリールアミン型酸化防止剤
フェノキシ樹脂は、末端にエポキシ基を有する樹脂であり、これがエポキシ樹脂と反応するため、熱硬化性樹脂複合化物Aの熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合に特に好適である。
これらの中でも、上述した好ましい重量平均分子量60,000を有するJER E1256が好ましく使用される。
本積層体に用いるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びレゾルシノール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
他方、 固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比較し架橋密度の低い構造を与えるため耐熱性は低くなるが、より靭性の高い構造が得られるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂などと組み合わせて用いるのが好ましい。
また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂及びジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため、好適に用いることができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂及びイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与えるため、好適に用いることができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、ジャパンエポキシレジン社製「JER806、807及び1750」、大日本インキ化学工業(株)製「エピクロン830」、及び東都化成(株)製「エポトートYD―170」などを挙げることができる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、ナガセケムテックス(株)製「デコナールEX−201」などを挙げることができる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂市販品としては、住友化学(株)製「ELM434」、Vantico社製「アラルダイトMY720、MY721、MY9512、MY9663、東都化成(株)製「エポトートYH―434」などを挙げることができる。
アミノフェノール型のエポキシ樹脂市販品としては、住友化学(株)製「ELM120やELM100」、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート630」、Vantico社製「アラルダイトMY0510」などを挙げることができる。
グリシジルアニリン型のエポキシ樹脂市販品としては、日本化薬(株)製「GANやGOT」などを挙げることができる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬(株)「NC−3000」などを挙げることができる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、大日本インキ化学工業(株)製「HP7200」などを挙げることができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、旭化成エポキシ(株)製「AER4152」などを挙げることができる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、ダウケミカル社製「DEN431やDEN438」、及びジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート」などを挙げることができる。
本積層体に用いるアリールアミン型酸化防止剤として、アリール基を有する2級アミンであれば好適に使用することができる。例えば4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(精工化学社製「ノンフレックスDCD」)、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン(精工化学社製「ノンフレックスOD」)、フェニル−1−ナフチルアミン(大内新興化学社製「ノックラックPA」)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学社製「ノックラックホワイト」)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興社化学製「ノックラックDP」)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学社製「ノックラック810−NA」)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学社製「ノックラック6C」)、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(大内新興化学社製「ノックラックG−1」)等を挙げることができる。
成分Cは、熱可塑制樹脂B100質量部に対して0.01〜100質量部の割合で含まれるのが好ましい。0.01質量部以上であれば接着性向上効果が発揮でき、100質量部以下であれば成形性が良好である。よって、かかる観点から、成分Cの含有量は、熱可塑制樹脂B100質量部に対して0.1〜30質量部であるのが特に好ましく、中でも0.1〜10質量部であるのがさらに好ましい。
Y層は、諸物性を改良、調整する目的で、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で他の樹脂や、改質剤、充填剤、可塑剤、紫外線吸収剤、安定剤などを適宜含有することは適宜可能である。
Z層は、ハロゲンを含有する熱可塑性樹脂D(以下「ハロゲン含有熱可塑性樹脂D」とも称する)を主成分とする層であればよい。
具体的には、例えばポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体等を挙げることができ、これら2種類以上の樹脂からなるアロイも、ハロゲン含有熱可塑性樹脂Dとして用いることもできる。
また、これらのハロゲン含有樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の非含ハロゲン樹脂とのアロイも、ハロゲン含有熱可塑性樹脂Dとして用いることもできる。
さらにまた、チーグラー型触媒を用いて製造されるオレフィン樹脂中には、ハロゲン含有触媒残渣を含むが、かかるハロゲン含有触媒残渣を含んだオレフィン樹脂も、ハロゲン含有熱可塑性樹脂Dとして用いることができる。
塩素含有樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン等のホモポリマー、塩化ビニルに共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルとのコポリマー、ポリ塩化ビニルにグラフト重合可能な不飽和結合を有するモノマーとポリ塩化ビニルとのグラフトポリマー、塩化ビニルにグラフト重合可能な不飽和結合を有するポリマーと塩化ビニルとのグラフトポリマー、及びこれらの混合物を挙げることができる。
これらの塩素含有樹脂は、懸濁重合、乳化重合及び溶液重合等のいずれの方法によって製造されたものも使用することができる。
この際、安定剤としては、例えばカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、スズ、鉛などの金属の有機酸塩、無機酸塩などから選ばれる1種以上が採用される。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレートなどのジアルキルフタレート類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのホスフェート類、エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物類などから選ばれる1種以上が採用される。
滑剤としては、例えばポリエチレンワックスなどの炭化水素類、ステアリン酸などの高級脂肪酸類、ブチルステアレートなどのエステル類などから選ばれる1種以上が採用される。
Z層は、諸物性を改良、調整する目的で、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で他の樹脂や、改質剤、充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤などを適宜含有することは適宜可能である。
本積層体の積層構成としては、熱硬化性樹脂層(X層)と熱可塑性樹脂層(Y層)と熱可塑性樹脂層(Z層)をそれぞれ1層以上備えていればよい。例えばX層/Y層/Z層、X層/Z層/Y層からなる3層構成であってもよいし、Z層/Y層/X層/Y層、Z層/Y層/X層/Z層、Y層/X層/Z層/X層などからなる4層構成であってもよいし、さらにそれ以上の多層構成、例えば図1に示すように、Z層/Y層/X層/Y層/Z層/Y層/X層/Y層/Z層などであってもよい。
また、必要に応じて、X層とY層の間、X層とZ層の間、Y層とZ層の間に他の層が介在してもよい。
また、耐薬品性を考慮すると、Z層を最外層に配置する構成、特にZ層を表裏層として配置するのが好ましい。
本積層体は、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aを主成分するX層形成シート、熱可塑性樹脂Bを主成分とし、且つ成分Cを含有するY層形成シート、ハロゲン含有熱可塑性樹脂Dを主成分とするZ層形成シートをとそれぞれ作製し、これらのシートを積層し、互いに結合することにより得ることができる。但し、この製法に限定されるものではない。
他方、Y層形成シート及びZ層形成シートは、例えばカレンダ法または押出し法などの公知の成形方法で成形すればよい。
熱可塑制樹脂Bに特定の成分Cを配合することにより、X層とY層間、並びにY層とZ層間の熱圧着による界面接着性を顕著に良好にすることができる。
例えば、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aを主成分するX層形成シートと、熱可塑性樹脂Bを主成分とし、且つ成分Cを含有するY層形成シートと、ハロゲン含有熱可塑性樹脂Dを主成分とするZ層形成シートとを重ねて積層し、これらを加熱及び加圧して熱圧着すればよい。
この際の熱圧着条件の目安としては、例えば温度を160〜220℃、圧力を10kg/cm2〜100kg/cm2
、時間を10分〜100分とするのが好ましい。
本積層体は、熱硬化性樹脂複合化物Aを構成する熱硬化性樹脂の硬化温度に加熱することにより、当該熱硬化性樹脂の硬化と同時に成形を行うことができる点が特徴の一つである。
この際、Y層に含有される成分Cは、熱可塑性樹脂Bに相容性を付与すると共に化学結合を付与することができるため、熱硬化性樹脂層(X層)と熱可塑性樹脂層(Y層)との間、並びに熱可塑性樹脂層(Y層)と熱可塑性樹脂層(Z層)との間に強固な界面接着性を付与することができる。
よって、本積層体を成形して得られる成形体は、強固な界面接着性であるために、耐薬品性、高剛性特性を有する積層体となる。
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
先ず、原料について説明する。
炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aとして、未硬化エポキシ樹脂を含浸させたPAN系炭素繊維プリプレグシート(炭素繊維:引張弾性率230GPa、目付け250g/m2)を用いた。
また、成分Cとしての、フェノキシ樹脂であるビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER E1256」、重量平均分子量60,000)3質量部を、同じくY層の原料として用いた。
上記の熱可塑性樹脂B、錫系熱安定剤及び滑剤からなる樹脂組成物と、上記成分C(熱可塑性樹脂Bを100質量部に対して5質量部)とを8インチロールで5分間混練し、0.2mm厚みのロールシート(;Y層形成シート)を得た。
上記のハロゲン含有熱可塑性樹脂D、錫系熱安定剤、滑剤及び紫外線吸収剤からなる樹脂組成物を8インチロールで5分間混練し、1mm厚みのロールシート(;Z層形成シート)を得た。
上記エポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維プリプレグシート(X層)の表裏面に上記Y層形成シートを重ねると共に、上記Z層形成シート3枚を重ねて9層構成(Z/Y/X/Y/Z/Y/X/Y/Z)とし、これを温度180℃×圧力30kg/cm2で熱圧着し、9層の積層体(Z/Y/X/Y/Z/Y/X/Y/Z=1mm/0.2mm/0.2mm/0.2mm/7mm/0.2mm/0.2mm/0.2mm/1mm)を得た。
実施例1において、成分Cとしてグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER825」)を用いた以外は、実施例1同様に積層体を得た。
実施例1において、表裏層のハロゲン含有熱可塑性樹脂Dとして、フッ素樹脂(EFEP;ダイキン工業社製ネオフロンRP4020)を用いた以外は、実施例1同様に積層体を得た。
実施例1において、X層の炭素繊維プリプレグを、ピッチ系炭素繊維プリプレグシート(炭素繊維:引張弾性率640GPa、目付け340g/m2)に変更した以外は、実施例1同様に積層体を得た。
実施例1において、X層の炭素繊維プリプレグを、ガラス繊維プリプレグ(三菱レイヨン社製パイロフィルGE352H160S)に変更した以外は、実施例1同様に積層体を得た。
実施例1において、表裏層のハロゲン含有熱可塑性樹脂Dの代わりに、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製ノーブレンFH3315)を用いた以外は、実施例1同様に積層体を得た。
1.耐薬品性試験
実施例及び比較例で得た積層体について、耐薬品性試験を実施した結果を表1に示す。
耐薬品性試験では、水、10%塩化ナトリウム、40%水酸化ナトリウム、30%硫酸、40%硝酸、35%塩酸の6種類の溶液に、それぞれの積層体を1週間浸漬し、その重量変化率を測定し比較した。
○:重量変化率の和が3%未満。
×:重量変化率の和が3%以上。
実施例及び比較例で得た積層体について、機械強度試験を実施した結果を表1に示す。
機械強度試験として、JIS K 7171による曲げ弾性率を測定した。
○:基準積層体に対する曲げ弾性率向上倍率が2倍以上。
×:基準積層体に対する曲げ弾性率向上倍率が2倍未満。
実施例及び比較例で得た積層体について難燃性を評価した結果を表1に示す。
難燃性評価試験として、UL94V(IEC60695−11−10B法、ASTEM D3801)による燃焼試験を実施した。
○:V−0
×:V−1
Claims (6)
- 炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂複合化物Aを主成分とする熱硬化性樹脂層(X層)と、熱可塑性樹脂Bを主成分とし、且つ以下の(a)又は(b)から選択される1種又は2種以上の成分Cを含有する熱可塑性樹脂層(Y層)と、ハロゲンを含有する熱可塑性樹脂Dを主成分とする熱可塑性樹脂層(Z層)とを積層してなる構成を備えた積層体。
(a)フェノキシ樹脂
(b)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂 - 上記熱硬化性樹脂層(X層)と熱可塑性樹脂層(Y層)が隣接する配置よりなる構成を備えた請求項1記載の積層体。
- 熱圧着されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
- 熱硬化性樹脂層(X層)の主成分が、炭素繊維を含有するエポキシ樹脂複合化物であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂層(Y層)の主成分が、塩素含有樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂層(Z層)を最外層に配置してなる構成を備えた請求項1〜5の何れかに記載の積層体。
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