JP6366422B2 - 塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂フィルムに関する。
塩化ビニル系樹脂及び可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物は、その可塑剤の配合量に応じた半硬質製品や軟質製品として、包装フィルムや容器、農業用フィルム、工業用フィルム、建材用フィルム、床材等に幅広く使用されている。
ここで、上記可塑剤としては、DOP(フタル酸ジオクチル)やDINP(フタル酸ジイソノニル)等のフタル酸系可塑剤が幅広く用いられている。
しかしながら、近年、これらのフタル酸系可塑剤は環境負荷物質に挙げられており、特にDOPは、REACH規制(Registration, Evaluation, and Authorization of Chemicals)において、EU向け製品への使用が近く規制される。
そこで、DOP等のフタル酸系可塑剤に代わる可塑剤として、DINCH(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)等の芳香族カルボン酸構造を有さない1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルを可塑剤として使用することが提案されている(例えば、特許文献1、2等)。
特開2011−231226号公報 特開2002−363366号公報
一方、特許文献1、2に記載されたDINCH等の1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルを可塑剤として含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムをカレンダー加工により製膜してみたところ、得られたフィルムにエア噛み跡が残り、外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムを製膜することができないことがあった。
そこで、本発明者らがその原因を追究したところ、半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムを得るために塩化ビニル系樹脂組成物中の可塑剤の配合量を少なくした場合には、塩化ビニル系樹脂組成物中に配合する熱安定剤の種類によって、カレンダー加工による製膜性(加工性)が大きく異なることが明らかとなった。
一方、特許文献1、2が想定しているような比較的多量の可塑剤(DINCH等)を含有する塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工により製膜した場合には、熱安定剤の種類による製膜性の違いに大きな差異は見られなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カレンダー加工により製膜された、可塑剤の含有量が比較的少ない半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムとして、エア噛み跡等の無い外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者らは、本目的を達成するために鋭意検討を行い、特定の熱安定剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダー加工による製膜によって、外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムとなることを見出し、本発明を完成した。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、塩化ビニル系樹脂組成物がカレンダー加工により製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤及びアルキルホスファイトを含有し、
上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6〜12重量部であることを特徴とする。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムにおいて、上記塩化ビニル系樹脂組成物は、フタル酸系可塑剤を含有しないことが好ましい。
また、上記塩化ビニル系樹脂組成物は、可塑剤として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルを含有することが好ましい。
さらに、上記塩化ビニル系樹脂組成物は、可塑剤として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル及びエポキシ系可塑剤を含有し、上記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルの含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、上記エポキシ系可塑剤の含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜4重量部であることも好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、厚さが、0.03〜0.05mmであることが好ましい。
また、上記塩化ビニル液樹脂フィルムは、内装材の印刷用透明フィルムとして使用されることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、特定量の可塑剤を含有するとともに、熱安定剤としてアルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工により製膜したものであるため、成膜時の加工性に優れるとともに、作製したフィルムが優れた外観を有する。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムを用いた内装材の一例を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例におけるカレンダー加工性の評価方法を説明するための模式図である。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、塩化ビニル系樹脂組成物がカレンダー加工により製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤及びアルキルホスファイトを含有し、
上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6〜12重量部であることを特徴とする。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂とともに、特定量の可塑剤とアルキルホスファイトとを含有しており、本発明ではこのことが重要である。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6〜12重量部の可塑剤を含有している。
そのため、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、所謂、半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムである。
半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムは、例えば、タイル材等の内装材の印刷用フィルムとして好適である。
図1は、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムを用いた内装材の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すタイル材10は、黒色のタイル地13bとその上に積層された白色のタイル地13aとからなるタイル基材13と、タイル基材13の上面に形成された本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムからなるクリア層11と、クリア層11上に形成された印刷層12とを備えている。
このようなタイル材10において、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムからなるクリア層11は、タイル基材13の表面を保護するともに、印刷層のインクを定着させる役割を有している。
ここで、クリア層11となる塩化ビニル系樹脂フィルムは、柔らかすぎると伸びや変形が生じてやすいため、タイル基材の表面に貼り付ける際の加工性や、その上面に印刷層を形成する際の印刷適性に劣ることとなる。そのため、内装材の印刷用フィルムとして用いる塩化ビニル系樹脂フィルムは、半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムであることが好ましいのである。
また、クリア層11となる塩化ビニル系樹脂フィルムは、コストダウンの観点等からその厚さが薄いことが望まれている。
そして、塩化ビニル系樹脂フィルムを半硬質のフィルムとするためには、可塑剤を多量に含有することができず、そのため、上記塩化ビニル系樹脂組成物では、可塑剤の含有量を上記塩化ビニル樹脂100重量部に対して6〜12重量部としている。
一方、上記可塑剤の含有量が6重量部未満では、カレンダー加工でフィルムを作製する場合、製膜時にフィルムが引き裂かれて製膜できないことがある。また、製膜することができたとしても、得られた塩化ビニル系樹脂フィルムは、硬く、柔軟性が乏しいため、タイル基材の表面に貼り付ける際など、塩化ビニル系樹脂フィルムを展開した際に、テンションの微差、振動等により容易に裂けたり、破断したりする。
また、上記可塑剤の含有量が12重量部を超えると、塩化ビニル樹脂フィルムが柔らかくなりすぎて、タイル基材の表面に貼り付ける際の作業性や、その上面に印刷層を形成する際の印刷適性に劣るともに、そもそも本発明が解決しようとする課題であるカレンダー加工時の製膜性が低下するとの不都合自体が発生しにくい。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムでは、上述した通り、上記塩化ビニル系樹脂組成物が、特定量の可塑剤を含有するとともに、熱安定剤としてアルキルホスファイトを含有する。
塩化ビニル系樹脂組成物に使用する熱安定剤としては有機ホスファイトが知られており、有機ホスファイトとしては、アルキルホスファイトの他、例えば、トリフェニルホスファイト、ジオクチルフェニルホスファイト等のフェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイトが知られている。
一方、本発明者らの知見によれば、熱安定剤としてフェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイトを含有する場合には、上記含有量の可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物では、カレンダー加工時の製膜性が低いのに対し、熱安定剤としてアルキルホスファイトを使用した場合には優れた加工性を確保することができる。
この理由については、次のように推測している。
熱安定剤としてフェニルホスファイト又はアルキルフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工により製膜した場合、得られた塩化ビニル系樹脂フィルムには、エアを噛み込んだエア噛み跡が残ることがある。これは、フェニルホスファイト又はアルキルフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物と金属(カレンダーロール)との密着性が低く、製膜時の脱気が不充分となることに原因があると推測している。
これに対して、アルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物は、フェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物に比べて、金属(カレンダーロール)との密着性が高く、製膜時に充分に脱気されるため、アルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー加工で製膜することにより、エア噛み跡の残留が無く、外観に優れた塩化ビニル系樹脂フィルムを得ることができると推測している。
また、このようなカレンダー加工時の製膜性の傾向は、厚さの薄い塩化ビニル系樹脂フィルムにおいてより顕著である。
なお、本明細書において、エア噛み跡とは、塩化ビニル系樹脂フィルムをカレンダー加工により製膜する際に、成膜過程で樹脂組成物内に入り込んだ気泡に起因して、フィルム内又はフィルム表面に残った欠点のことをいう。上記エア噛み跡は、カスレと称されることもある。
また、アルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を製膜した塩化ビニル系樹脂フィルムは、内装材の印刷用透明フィルムとして使用する際の安全性についても、フェニルホスファイト又はアルキルフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を製膜した塩化ビニル系樹脂フィルムに比べて優れている。
フェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を製膜した塩化ビニル系樹脂フィルムでは、フェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイト自体に不純物として含有されていたフェノールや、製膜時や製膜後にフェニルホスファイトやアルキルフェニルホスファイトの分解により生じたフェノールが塩化ビニル系樹脂フィルムから空気中に拡散し、環境汚染を引き起こすことがある。これに対し、アルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を製膜した塩化ビニル系樹脂フィルムでは、このような問題が発生しない。
特に、可塑剤の含有量が少ない塩化ビニル系樹脂組成物では、熱安定剤として配合した有機ホスファイトが分解しやすく、熱安定剤としてフェニルホスファイト又はアルキルフェニルホスファイトを使用した場合には、フェノールが発生するとの不都合が生じやすくなる。
これらの理由により、本発明では、塩化ビニル系樹脂組成物がアルキルホスファイトを含有しており、上記塩化ビニル系樹脂組成物は、フェニルホスファイト及びアルキルフェニルホスファイトを実質的に含有しないことが好ましい。
上記アルキルホスファイトとしては、例えば、炭素数8〜22のアルキル基を有するトリアルキルホスファイトが挙げられる。ここで、上記トリアルキルホスファイトが有する3つのアルキル基は、それぞれが独立して炭素数8〜22のアルキル基であればよく、全て同一であっても良いし、1つが異なっていても良いし、全て異なっていても良い。
上記トリアルキルホスファイトとしては、例えば、トリスデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリオレイル ホスファイト等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記塩化ビニル系樹脂組成物において、上記アルキルホスファイトの含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1〜5重量部が好ましい。
上記アルキルホスファイトの含有量が、1重量部未満では、加工時の熱安定性を確保することができないことがあり、一方、5重量部を超えると、アルキルホスファイトがプレートアウトすることがある。また、コストアップにもつながる。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、上記の通り、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤も含有する。
上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。
上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合可能な他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されないが、800〜1100であることが好ましい。
なお、本発明において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K 6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
上記可塑剤としては特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物に使用する従来公知の可塑剤を使用することができる。
上記可塑剤としては、例えば、下記化学式(1):
(式中、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数8〜13の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す)で表される1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルが好ましく、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルがより好ましい。
その理由は、環境に対する安全性に優れるとともに、例えば、DOA(アジピン酸ジオクチル)等のアジピン酸系可塑剤に比べて耐熱性に優れ、ポリエステル系可塑剤に比べてより安価で可塑化効率に優れるからである。
一方、上記可塑剤としては、DOPやDINP等のフタル酸系可塑剤は含有しないことが好ましい。環境負荷物質として安全性が懸念されるからである。
上記可塑剤としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル以外にも、例えば、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル、トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル、エポキシ化大豆油やエポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤、高分子ポリエステル可塑剤等を用いることができる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。勿論、上記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルと併用してもよい。
また、上記可塑剤として、上記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルと、他の可塑剤とを併用する場合、その組み合わせとしては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルとエポキシ系可塑剤との組み合わせが好ましい。
この場合、上記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルの含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、上記エポキシ系可塑剤の含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜4重量部であることが好ましい。このような含有量の1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル及びエポキシ系可塑剤を、上記アルキルホスファイトと組み合わせて用いることにより、カレンダー加工性に優れ、外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムになるとの優れた効果をより確実に享受することができる。
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルとエポキシ系可塑剤との組み合わせとしては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルとエポキシ化大豆油の組み合わせが特に好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、必要に応じて、更に、アルキルホスファイト以外の安定剤(但し、フェニルホスファイト及びアルキルフェニルホスファイトを除く)、帯電防止剤、加工助剤、着色防止剤、着色剤、紫外線吸収材、滑剤、改質剤、充填剤、希釈剤等のポリ塩化ビニル樹脂に一般的に使用される各種添加剤を更に含有させてもよい。
上記アルキルホスファイト以外の安定剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)やバリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合体、シリカ化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、上記塩化ビニル系樹脂組成物がカレンダー加工により製膜されたフィルムである。カレンダー加工によれば、厚さの薄いフィルムであっても優れた厚み精度で作製することができる。
上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式は特に限定されず、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等、従来公知の形式を採用することができる。
上記塩化ビニル系樹脂フィルムの厚さは、0.03〜0.05mmが好ましい。
厚さが0.03mm未満の塩化ビニル系樹脂フィルムは、実質的にカレンダー加工では作製することが困難であり、一方、0.05mmを超えると、コストアップにつながり、経済的に不利だからである。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの製膜に用いる塩化ビニル系樹脂組成物は、上記のような比較的厚さの薄いフィルムを製膜する際の加工性に極めて優れている。
即ち、厚さ0.03〜0.05mmの塩化ビニル系樹脂フィルムが、本発明の効果を享受するのに特に適したフィルムである。
また、内装材の印刷用透明フィルムとしては、厚さの薄いフィルムが望まれており、この点から、厚さ0.03〜0.05mm以下の塩化ビニル系樹脂フィルムは内装材の印刷用透明フィルムとして好適である。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、半硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムであり、その10%伸び時の引張応力は、25MPa以上であることが好ましい。
上記10%伸び時の引張応力が25MPa未満では、上記塩化ビニル系樹脂フィルムに印刷層を形成したり、タイル基材に貼り付けたりする際の引張張力に耐えることができないことがある。
このような本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、例えば、下記の方法により製造することができる。
まず、上記塩化ビニル系樹脂組成物に配合される原材料を押出機やバンバリーミキサ等を用いて溶融混練し、塩化ビニル系樹脂組成物を調製する。ここで、溶融混練の温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、130〜200℃程度である。
次いで、溶融した原料混合物(塩化ビニル系樹脂組成物)をカレンダー成形機に供給、圧延することで、塩化ビニル系樹脂フィルムを作製することができる。上記カレンダー成形機については上述した通りである。
また、成形時のカレンダー温度は特に限定されず、塩化ビニル系樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すれば良いが、通常、160〜200℃程度である。
本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムは、図1に示したように、例えば、タイル材等の内装材のクリア層11を構成する樹脂フィルムとして好適に使用することができる。
このとき、クリア層11は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよい。
また、図1に示したタイル材10においては、タイル基材として黒色タイル地と白色タイル地との積層体が用いられているが、上記タイル基材は必ずしも2層の積層体である必要はなく、単層であっても良いし、3層以上の積層体であってもよい。また、その色も黒色や白色に限定されるわけではなく、任意の色のタイル基材を用いることができる。
上記タイル基材の材質は特に限定されず、従来からタイル基材に使用されているものを用いることができる。上記タイル基材としては、例えば、その材料に本発明のフィルムに含まれる塩化ビニル樹脂と同様の塩化ビニル樹脂を用いたタイル基材が挙げられる。このようなタイル基材は、被熱ラミネート性が良好で安価である。
更に、図1に示したタイル材10において、印刷層12は、ベタ塗り層であっても良いし、模様等のデザインが描画された層であってもよい。上記印刷層は、インクジェット印刷やスクリーン印刷等、従来公知の印刷方法を用いて形成すればよい。
なお、タイル材10において印刷層は必ずしも形成されていなくてもよい。
また、タイル基材にクリア層及び印刷層を積層したタイル材において、印刷層の形成位置は、図1に示したようなクリア層の外側に限定されるわけではなく、クリア層の内側にバックプリント方式で形成されていてもよい。
勿論、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルムの用途は、タイル材等の内装材のクリア層(印刷用透明フィルム)に限定されるわけではなく、その他、例えば、内装材以外の建築資材、家具、電気製品、車両等の化粧フィルムや装飾用フィルムに用いる印刷用透明フィルム等、種々の用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(原材料)
塩化ビニル樹脂:カネカ社製、S1001N、平均重合度=1040
アルキルホスファイト:SC有機化学株式会社製、Chelex TD
フェニルホスファイト:城北化学工業社製、 JP−360
Ba−Zn化合物:ADEKA社製、AC−258
加工助剤:メタクリル酸メチル
改質剤:日本合成化学社製、EVA−BH
可塑剤:DINCH(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)
可塑剤(エポキシ化大豆油):三和合成化学社製、SE−100
耐候性安定剤:日本チバガイギー社製、チヌビン329
酸化防止剤:日本チバガイギー社製、イルガノックス1010
(実施例1〜4、比較例1〜7)
上記原材料を表1に示した配合量(表1中、配合量は重量部で示す)で配合した原料混合物を、バンバリーミキサを用いて溶融混錬し、塩化ビニル系樹脂組成物を調製した。
次に、塩化ビニル系樹脂組成物を4本逆L字ロール型24インチカレンダーに供給し、カレンダーロール設備温度180〜190℃、樹脂組成物の温度183〜187℃の条件下で、0.05mmの厚みにカレンダー成形し、幅110cmの塩化ビニル系樹脂フィルムを作製した。
実施例及び比較例で作製した塩化ビニル系樹脂フィルムについて下記の方法で評価した。結果を表2に示した。
なお、比較例1では、製膜時にフィルムが引き裂かれ製膜することができず、また、比較例7では、熱安定性が悪くフィルムを安定生産することができなかったため、下記の評価は行わなかった。
(10%伸び時の引張応力)
島津製作所製オートグラフAG−100NXplusを使用し、JIS K 7127に準拠して、引張速度50mm/min、23℃の条件で引張試験を行った。引張試験時の「10%伸びでの断面積当たりの引張力」を「10%伸び時の引張応力(MPa)」とした。
(フェノールの拡散速度)
JIS A 1901に準拠し、28℃で20Lの小型チャンバーを用いた試験方法にて、1日目のフェノールの拡散速度(μg/(m・h))を測定した。
なお、本評価は、実施例1及び比較例3で作製した塩化ビニル系樹脂フィルムについてのみ行った。
(エア噛み跡の有無)
目視観察により、長さ100mに渡ってエア噛み跡の有無を観察した。その上で、エア噛みが観察された場合は、エア噛み跡の1mあたりの平均個数を算出した。
(カレンダー加工性)
実施例及び比較例で使用した各塩化ビニル系樹脂組成物のカレンダー加工性を下記の方法で評価した。
図2は、実施例及び比較例におけるカレンダー加工性の評価方法を説明するための模式図である。
図2に示すように、本評価では、16インチの2本のロール(1対のロール)21a,21bをロール温度187℃、ロールギャップ(ロール間の距離)0.2mmに設定し、塩化ビニル系樹脂組成物22をロール上で5分間混練した後、混練された塩化ビニル系樹脂組成物が、厚さ0.2mmの塩化ビニル系樹脂フィルムとしてロール21bの表面より引きはがされる位置Pを特定した。その後、ロール21bの中心Pを通る水平線を基準線Lとし、この基準線Lと、フィルムの引きはがされる位置P及びロール21bの中心Pを結ぶ線分Lとのなす角度θを算出した。そして、上記θの値を基準にカレンダー加工性を評価した。なお、上記θは、上記位置Pが基準線Lより上方に位置する場合は正の値とし、基準線Lより下方に位置する場合は負の値とする。
また、本評価では、θの値の絶対値が小さい程(0°に近い程)カレンダー加工性に優れることとなる。
表2に示した結果から明らかなように、可塑剤の配合量が塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6〜12重量部と比較的少ない塩化ビニル系樹脂組成物を用いて、塩化ビニル系樹脂フィルムを作製する場合、熱安定剤としてアルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いると、カレンダー加工性に優れ、エア噛み跡の無い外観の良好な塩化ビニル系樹脂フィルムとなるのに対し、熱安定剤としてフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いた場合には、カレンダー加工性に劣り、得られた塩化ビニル系樹脂フィルムに多数のエア噛み跡が残ることが明らかとなった。
また、このような熱安定剤としてアルキルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いた場合と熱安定剤としてフェニルホスファイトを含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いた場合とでのカレンダー加工性の相違は、可塑剤の配合量が多い場合(比較例2及び6)には認められなかった。
10 タイル材
11 クリア層
12 印刷層
13 タイル基材
21a、21b ロール
22 塩化ビニル系樹脂組成物

Claims (5)

  1. 塩化ビニル系樹脂組成物がカレンダー加工により製膜された塩化ビニル系樹脂フィルムであって、
    前記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤及びアルキルホスファイトを含有し、
    前記可塑剤の含有量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して6〜12重量部であり、
    前記塩化ビニル系樹脂組成物は、フタル酸系可塑剤を含有しない
    ことを特徴とする塩化ビニル系樹脂フィルム。
  2. 前記塩化ビニル系樹脂組成物は、可塑剤として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルを含有する請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
  3. 前記塩化ビニル系樹脂組成物は、可塑剤として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル及びエポキシ系可塑剤を含有し、
    前記1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジエステルの含有量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、前記エポキシ系可塑剤の含有量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜4重量部である、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
  4. 厚さが、0.03〜0.05mmである請求項1〜3のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂フィルム。
  5. 内装材の印刷用透明フィルムとして使用される請求項1〜4のいずれかに記載の塩化ビ
    ニル系樹脂フィルム。
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