JP2015180917A - 像振れ補正装置及びその制御方法、撮像装置、レンズ装置、プログラム、記憶媒体 - Google Patents

像振れ補正装置及びその制御方法、撮像装置、レンズ装置、プログラム、記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】パンニングなどのカメラワークの動きが生じた場合でも、良好な像振れ補正効果を得られるようにした像振れ補正装置を提供する。【解決手段】振れ検出部から出力された振れ信号を低周波帯域の振れ信号と高周波帯域の振れ信号に分離する信号分離部と、振れ検出部の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判別するパンニング判別部と、高周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正部を制御するとともに低周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正部を制御する制御部とを備え、パンニング判別部によりパンニング動作と判別された場合、第2の像振れ補正部を第2の像振れ補正部の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ第1の像振れ補正部を第1の像振れ補正部の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有する。【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の補正光学系を用いて撮像画像の振れを補正する技術に関する。
近年、撮影者が静止した状態での手振れによって発生する撮像画像の振れを補正するだけでなく、片手で撮影した場合の比較的大きな振れや、撮影者が歩行しながら撮影を行うときに発生する撮像画像の大きな振れも補正する振れ補正機能が普及してきている。
像振れを補正する方法としては、光学的に補正レンズを移動させて振れに応じて光軸を変位させる光学的な像振れ補正や、撮像素子で取り込んだ画像から出力する切り出し領域を振れに応じて変化させる電子的な像振れ補正などの技術がある。
大きな振れを補正するためには、光学的な像振れ補正方式では補正角を広げる、電子的な像振れ補正方式では余剰画素領域を広くとる、といった対応が必要で、どちらの方法を採用するにしても補正範囲を広げなければならない。しかし、補正範囲を広げるためには、光学的な像振れ補正方式では、レンズやアクチュエータの大型化やレンズを大きく振った際の光学性能の劣化などの問題が生じる。また、電子的な像振れ補正方式では、実効領域の縮小による画質劣化や撮像素子の大型化による消費電力増加などの問題が生じてしまう。
このような問題に対して、特許文献1では、振れ補正用の二つの補正光学系を備えて駆動する方法が提案されている。また、特許文献2では、補正光学系と電子補正とを備え、振れを高周波帯域と低周波帯域に分離して、周波数帯域ごとに二つの補正系で補正する方法が提案されている。
特開2003−202499号公報 特開2010−4370号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術においては、動画撮影時のパンニングなどカメラワークの動きは考慮されていない。そのため、次のような問題点があった。
すなわち、パンニングなどのカメラ操作時にも、常に高周波と低周波とを分離して二つの補正系を制御すると振れの補正残りが生じてしまう。これは、パンニングを検出した時に低周波側は補正しないようにしないと補正端に当たってしまうためである。従ってパンニングを検出した時には、補正を行わないように補正制御の方法を切り替える必要がある。しかし、高周波と低周波とを分離した状態でパンニングの検出を行い、補正を行わないようにすると、高周波も補正を行わなくなってしまい、高周波の振れが残ってしまうという問題が生じる。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パンニングなどのカメラワークの動きが生じた場合でも、良好な像振れ補正効果を得られるようにした像振れ補正装置を提供することである。
本発明に係わる像振れ補正装置は、振れ検出手段から出力された振れ信号を低周波帯域の振れ信号と高周波帯域の振れ信号に分離する信号分離手段と、前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判定するパンニング判別手段と、前記高周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正手段を制御するとともに前記低周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正手段を制御する制御手段とを備え、前記パンニング判別手段によりパンニング動作と判定された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有することを特徴とする。
本発明によれば、パンニングなどのカメラワークの動きが生じた場合でも、良好な像振れ補正効果を得られるようにした撮像装置を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置のシステム構成を示すブロック図。 第1の実施形態のパンニング制御ブロックで実行される制御を説明するフローチャート。 第1の実施形態において、緩やかなパンニング時のブレ信号及びHPFの出力信号の波形の経時変化を示す図。 第1の実施形態において、急なパンニング時のブレ信号及びHPFの出力信号の波形の経時変化を示す図。 第2の実施形態に係わる撮像装置のシステム構成を示すブロック図。 第2の実施形態のパンニング制御ブロックで実行される制御を説明するフローチャート。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1において、101は撮影光学系で複数枚のレンズから構成されるレンズ群である。撮影光学系101は二つの光学式像振れ補正機構を備えている。102は、一つめの光学式像振れ補正機構であるシフトレンズで、光軸と垂直な二次元平面内で移動されることにより、撮像面に入射される光の入射角度を変更することが可能である。103は、変倍レンズであり、かつ二つめの光学式像振れ補正機構である。変倍レンズ103は、光軸方向に移動することにより撮影光学系101の倍率が変化し、撮像素子の撮像面に結像される像の倍率を変えることができる。また、光軸と垂直な二次元平面内で移動するか、あるいは光軸上の1点を中心とする球面状に回転することができ、光学式像振れ補正機構としても機能する。以降、シフトレンズ102を第1の補正光学系、変倍レンズ103を第2の補正光学系とも記す。
113は、撮影光学系101を介して結像された光学的な被写体像を光電変換して映像信号として出力する撮像素子であり、例えばCCDやCMOSセンサなどが用いられる。114は信号処理部であり、アナログ信号処理回路とデジタル信号処理回路からなる。アナログ信号処理回路は、撮像素子113で得られた信号に所定の処理を施してアナログ撮像信号を生成するものである。そして、例えばCDS(co-related double sampling:相関二重サンプリング)回路、AGC(Automatic Gain Control)回路等から構成されている。デジタル信号処理回路は、A/D変換器によりアナログ撮像信号をデジタル信号に変換し、ガンマ補正、ホワイトバランス補正等、所定の信号処理をしたデジタル映像信号を生成する。また、AF(オートフォーカス)制御やAE(オートエクスポージャー)制御用の評価信号なども生成する。
115は、記録制御部であり、記録開始や終了の指示に用いる操作部(不図示)によって映像信号の記録が指示された場合、信号処理部114から供給された映像信号を記録媒体116に出力し、記録させる。116は記録媒体であり、半導体メモリ等の情報記録媒体やハードディスクや磁気テープ等の磁気記録媒体などである。また、117は表示制御部であり、信号処理部114から供給された映像信号を出力して表示デバイス118に画像を表示させる。118は表示デバイスであり、液晶表示素子(LCDやビューファインダー)等により画像を表示する。
120は角速度センサユニットであり、撮像装置の振れの検出を行うためのセンサユニットである。例えば、振動ジャイロ等で構成されており、手振れ等による撮像装置全体の振れの角速度を検出して電気信号を出力する。角速度センサユニット120は、光軸に直交する一平面上で互いに直交した検出軸をなすように、例えば水平方向の回転軸(Yaw)と垂直方向の回転軸(Pitch)との2軸方向に二つの角速度センサを有する。そして、検出した各軸別々に補正量を算出し、水平方向及び垂直方向の2軸方向に第1及び第2の補正光学系を制御する。水平方向の回転軸(Yaw)と垂直方向の回転軸(Pitch)の補正量の演算及び補正光学系の制御は、両軸とも同じ処理で実現することができるので、以降は片方の軸についてのみ説明するものとする。
121はA/D変換器で、角速度センサユニット120から出力された電気信号をデジタル信号に変換してμCOM150に取り込む。取り込まれたデジタル信号は、HPF(ハイパスフィルタ)122に供給され、振れ信号に含まれる低域成分を遮断して振れ信号の高域成分を出力する。なおHPF122は、角速度センサユニット120のノイズ成分や温度特性などによって生じるDC電圧のドリフト分を除去することが目的である。そのため、本実施形態において必須の構成ではなく、A/D変換器121からの出力を周波数分離用HPF(ハイパスフィルタ)123に直接供給してもよい。
123は周波数分離用(信号分離用)HPFであり、角速度センサユニット120で検出した振れ信号から高周波帯域成分を抽出する。124は減算部で、元の振れ信号からHPF123を通過した高域成分を減算して、振れ信号に含まれる低周波帯域成分を生成する。
このように、角速度センサユニット120で検出した振れ信号を分離して、第1の補正光学系で像振れ補正を行うための第1の分離振れ信号と、第2の補正光学系で像振れ補正を行うための第2の分離振れ信号を生成する。なお、角速度センサで検出した振れを二つの補正光学系を用いて精度良く補正するためには、第1の分離振れ信号と第2の分離振れ信号は互いに相補的な信号に分離し、加算したときに元の振れ信号に復元できるように分離することが望ましい。上記のような構成とすることで、高周波帯域の振れ信号と低周波帯域の振れ信号は互いに相補的な関係となり、二つの補正光学系を用いて補正する場合であっても、元の振れ信号の周波数帯域を漏れなく補正できる。なお、HPF123の代わりにLPFで構成し、低域成分を通過させて一方の出力とし、元の信号から減算することで高域成分を生成してもう一方の出力とする構成としてもよい。
周波数分離用HPF123と減算部124で分離された第1の分離振れ信号と第2の分離振れ信号は、敏感度補正部125と、敏感度補正部135に供給される。敏感度補正部125、積分器126、飽和防止制御部127は、第1の分離振れ信号から第1の補正光学系(シフトレンズ102)の制御量を演算するためのブロックである。また、敏感度補正部135、積分器136、飽和防止制御部137は、第2の分離振れ信号から第2の補正光学系(変倍レンズ103)の制御量を演算するためのブロックである。そして、両者の処理は同じとなるので、第1の補正光学系の制御量を演算するブロックのみ説明する。
125は敏感度補正部であり、第1の補正光学系(すなわちシフトレンズ102)で像振れ補正を行うのに最適な振幅になるように第1の分離振れ信号を増幅する。なお、ここでの増幅とは、利得1倍以下も含まれる。敏感度補正部125で増幅された第1の分離振れ信号は、積分器126に供給される。
角速度センサユニット120で検出された振れ信号、並びにこれを分離することで生成された第1、第2の分離振れ信号は角速度である。これに対し、シフトレンズ102および変倍レンズ103の制御量は角変位であることから、角速度を時間積分して角変位に変換する必要がある。126は積分器であり、第1の分離振れ信号を積分演算して出力する。積分器126は、不完全積分を行い、その時定数を任意に変更することが可能となっている。
127は飽和防止制御部であり、シフトレンズ102が機械的な可動端に突き当たることがないように、積分器126で生成された制御量に制限をかけるためのものである。その制御の一例としては、第1の補正光学系の制御量が所定値(以下、リミット値と記す)を超えないように、積分器126からの出力にリミットを施した値を最終的な制御量(以下、駆動目標位置とも記す)として出力する。また、積分器126からの出力がリミット値に近づいたときに、積分器126の時定数を短くして、時間の経過とともに制御量が小さくなるように制御する。なお、敏感度補正部125によって振れ信号の増幅が行われているので、飽和防止制御部127の出力は、第1の補正光学系を用いてブレ補正を行うのに適した制御量となる。
次に、第1の補正光学系(シフトレンズ102)の駆動を制御するブロックについて説明する。
128は減算器で、シフトレンズ102の位置を検出する位置検出部104の出力信号をA/D変換器134にてデジタル信号に変換し、デジタル化したデータを飽和防止制御部127の出力である駆動目標位置から減算する。そして、その結果である偏差データを制御フィルタ129に供給する。ここで、端子A109と端子A133は、各々が電気的に接続されている。
129は制御フィルタで、入力データを所定のゲインで増幅する増幅器、及び位相補償フィルタで構成されている。減算器128から供給された偏差データは、制御フィルタ129において増幅器及び位相補償フィルタによる信号処理が行われた後、パルス幅変調部130に出力される。
130はパルス幅変調部で、制御フィルタ129を通過して供給されたデジタルデータを、パルス波のデューティー比を変化させる波形(即ちPWM波形)に変調して、モータ駆動部131に供給する。モータ105は、シフトレンズ102の駆動用のボイス・コイル型モータであり、モータ駆動部131に駆動されることにより、補正光学系102が光軸と垂直な方向に移動される。ここで、端子B110と端子B132は、各々が電気的に接続されている。
位置検出部104は、磁石とそれに対向する位置に備えられたホール・センサとからなり、シフトレンズ102の光軸と垂直な方向への移動量を検出し、その検出結果をA/D変換器134を介して、上述した減算器128に供給する。これによって、シフトレンズ102の光軸と垂直な方向への位置を、飽和防止制御部127の出力である駆動目標位置に追従させる、フィードバック制御系を構成している。
次に、第2の補正光学系(変倍レンズ103)の駆動を制御するブロックについて説明する。
138は減算器で、変倍レンズ103の位置を検出する位置検出部106の出力信号をA/D変換器144にてデジタル信号に変換し、デジタル化したデータを飽和防止制御部137の出力である駆動目標位置から減算する。そして、その結果である偏差データを制御フィルタ139に供給する。ここで、端子C111と端子C143は、各々が電気的に接続されている。
139は制御フィルタで、入力データを所定のゲインで増幅する増幅器、及び位相補償フィルタで構成されている。減算器138から供給された偏差データは、制御フィルタ139において増幅器及び位相補償フィルタによる信号処理が行われた後、パルス幅変調部140に出力される。
140はパルス幅変調部で、制御フィルタ139を通過して供給されたデジタルデータを、パルス波のデューティー比を変化させる波形(即ちPWM波形)に変調して、モータ駆動部141に供給する。モータ107は、変倍レンズ103の駆動用のボイス・コイル型モータであり、モータ駆動部141に駆動されることにより、変倍レンズ103が光軸と垂直な方向に移動される。ここで、端子D112と端子D142は、各々が電気的に接続されている。
位置検出部106は、磁石とそれに対向する位置に備えられたホール・センサとからなり、変倍レンズ103の光軸と垂直な方向への移動量を検出し、その検出結果をA/D変換器144を介して、上述した減算器138に供給する。これによって、変倍レンズ103の光軸と垂直な方向への位置を、飽和防止制御部137の出力である駆動目標位置に追従させる、フィードバック制御系を構成している。
このように、角速度センサユニット120で検出した振れ信号に基づいて補正光学系の駆動を行うことで、撮像装置の振れによって発生する画像の振れを補正することができる。
次に、パンニング制御するブロックについて説明する。
145はパンニング判別部である。パンニング判別部145には、入力信号としてA/D変換器121から出力される角速度データ、周波数分離用HPF123と減算部124で分離された第1の分離振れ信号と第2の分離振れ信号、あるいは、積分器126と積分器136の出力信号が入力される。そして、それらの入力信号に基づいて撮像装置のパンニング操作の状況(有無)を判別する。
具体的には、例えば、A/D変換器121から出力される角速度データや第1あるいは第2の分離振れ信号が所定の閾値以上となるか、あるいは、積分器の出力信号である角変位データが所定の閾値以上であるならば、パンニング操作の状態であると判定する。ここで、A/D変換器121からの出力信号及び第1第2の分離振れ信号は角速度であり、この角速度信号の値が所定の閾値より大きいか否かを判断してパンニング操作が急なパンニングか緩やかなパンニングかを判別する。そして、パンニング情報(判別結果)をパンニング制御部146に出力する。
146はパンニング制御部であり、パンニング判別部145からの判別結果に従ってパンニング制御を行う。具体的には、DCドリフト除去用のHPF122や周波数分離用HPF123の低域カットオフ周波数を徐々に高くして、ブレ補正が機能するブレの周波数領域を高域側に縮小する。または、積分器126や積分器136の積分演算に用いる時定数の値を徐々に小さくする。これにより、ブレ補正位置が徐々に中心位置(補正中心)へと移動し、積分器から出力される角変位データの値が基準値(ブレがない状態で取り得る値)に徐々に近づく(センタリング制御)。また更には、積分器126あるいは136の出力信号に応じて、敏感度補正部125,135からオフセット信号を減算することによって積分器126及び136に入力される角速度データのパンニング成分を除去する。このように、パンニング判別部145で判別されたパンニング情報に基づいて第1の補正光学系及び第2の補正光学系の制御量を変更する。
次に、パンニング判別部145とパンニング制御部146とからなるパンニング制御ブロックの動作の一例について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図2に示す処理は、例えば撮像装置の1フレームの画像の取り込み周期である60Hzなど、任意の所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS101では、パンニング判別部145がパンニング動作を判別するための各信号情報を取得する。次にステップS102では、入力された各信号情報を基に、撮像装置がパンニング動作されているか否かを判別し、パンニング動作がされていなければステップS103に進み、パンニング動作がされていればステップS104に進む。
次にステップS103では、パンニング制御部146において補正制御を変更せずに継続させて、処理を終了する。
ステップS104では、パンニングの速度が所定の閾値以上か否か(緩急状態)を判別し、パンニング速度が閾値以上の場合(パンニング速度判定)、すなわち急速なパンニングであればステップS105に進む。また、パンニング速度が閾値より小さい場合、すなわち緩やかなパンニングであればステップS106に進む。なお、パンニング速度は、先に記したように、角速度信号であるA/D変換器121からの出力信号及び第1及び第2の分離振れ信号の値を用いれば良い。これらの角速度信号が所定の閾値より大きいか否かを判断してパンニング操作が急なパンニングか緩やかなパンニングかを判別できる。
次にステップS105では、第1の補正光学系と第2の補正光学系とが共に(両方が)中心方向にセンタリングされるように、すなわち第1の補正光学系と第2の補正光学系との制御量が共に制御中心に向かうように、補正制御を変更させる。ステップS106では、高周波帯域成分を補正する第1の補正光学系は補正制御を変更せずに継続させ、低周波帯域成分を補正する第2の補正光学系だけがセンタリングされるように、すなわち第2の補正光学系の制御量が制御中心に向かうように補正制御を変更させる。
ここで、ステップS101でパンニング判別部145が取得する各信号情報の一例としては、先に記したように、A/D変換器121から出力される角速度データがあげられる。また、周波数分離用HPF123と減算部124とで分離された第1の分離振れ信号と第2の分離振れ信号である角速度信号や、積分器126と積分器136から出力される第1及び第2の分離振れ信号に対する角変位量などもあげられる。
次に、パンニング制御による各信号波形の出力について、図3及び図4のタイムチャートの例を用いて説明する。
図3は、緩やかなパンニング時の信号出力の時間的変化を示したタイムチャートのグラフである。まず、図3(A)に示した実線の波形が、角速度センサ120からの出力信号である。この出力信号には、点線に示すような大きな低周波成分が含まれており、これが緩やかなパンニング操作の動きを示している。図3(B)、図3(C)は、パンニング制御を行わない場合の周波数分離用HPF123によって分離された高周波と低周波の信号波形である。すなわち、図3(A)に示した角速度センサの出力信号を、高周波と低周波とに分離しただけの信号波形である。図3(B)が高周波成分を示す信号波形であり、図3(C)が低周波成分を示す信号波形である。一方、図3(D)、図3(E)は、パンニング制御を行ってDCドリフト除去用HPF122の低域カットオフ周波数を高くすることで、低域周波数を除去した時の、周波数分離用HPF123によって分離された高周波と低周波の信号波形である。図3(D)が高周波成分である第1の分離振れ信号であり、これは図3(B)と同じである。図3(E)が低周波成分である第2の分離振れ信号であり、カットオフ周波数を高くすることで、低周波成分が除去された波形になる。すなわち、緩やかなパンニング操作に対する本実施形態におけるパンニング制御では、高周波成分は角速度センサ120で検出した信号成分をそのまま補正光学系の補正量演算ブロックに出力するモードを選択することができる。
図4は、急なパンニング時の信号出力の時間的変化を示したタイムチャートのグラフである。まず、図4(A)に示した実線の波形が、角速度センサ120からの出力信号である。この出力信号には、点線に示すような大きな低周波成分が含まれており、これが急なパンニング操作の動きを示している。図4(B)、図4(C)は、パンニング制御を行わない場合の周波数分離用HPF123によって分離された高周波と低周波の信号波形である。すなわち、図4(A)に示した角速度センサの出力信号を、高周波と低周波とに分離しただけの信号波形である。図4(B)が高周波成分を示す信号波形であり、図4(C)が低周波成分を示す信号波形である。急なパンニング操作であるため、パンニングによる振動成分が図4(B)に示す高周波成分にも含まれている。
図4(D)、図4(E)は、パンニング制御を行ってDCドリフト除去用のHPF122及び周波数分離用HPF123の低域カットオフ周波数を高くすることで、パンニング成分を除去した時の、周波数分離用HPF123によって分離された高周波と低周波の信号波形である。図4(D)が高周波成分である第1の分離振れ信号であり、図4(B)から急なパンニングによって生じた急峻な振動成分が除去された波形となっている。図4(E)が低周波成分である第2の分離振れ信号であり、こちらも高周波成分と同様にパンニングによる振動成分が除去された波形になっている。すなわち、急なパンニング操作に対する本実施形態におけるパンニング制御では、高周波成分及び低周波成分の両成分に含まれるパンニング成分を共に除去して、補正光学系の補正量演算ブロックに出力する。
このように、パンニング制御では、例えば、周波数分離用HPF123のカットオフ周波数を高くすればHPF123からの出力信号を抑えることができ、また、DCドリフト除去用HPF122のカットオフ周波数を高くすれば低周波帯域成分の減衰を高めることができる。その結果、補正量を減らして補正光学系をセンタリングさせることができる。
なお、パンニング判別の方法やパンニング制御の方法は、上記の方法に限るものではなく、別の方法を用いても構わない。例えば、パンニング速度の判別方法としては、フレーム間の画像の変化から得られる動きベクトルの検出信号によってパンニング速度を判別することもできる。また例えば、パンニング制御方法としては、積分器のカットオフ周波数を変更して補正量を減衰させることもできるし、積分器に入力される角速度に対してオフセット量を減算して積分器出力が大きくならないようにすることで補正量を減衰させることもできる。
なお、ステップS105及びステップS106で行う補正光学系のセンタリング動作は、撮像装置のパンニング操作やチルティング操作である撮影操作の操作方向の軸に対して行う処理である。つまり、パンニングやチルティングと直行する方向の軸に対しては、ブレ補正の処理を継続させて構わない。
上記のように、本実施形態に示したシステムでは、急なパンニング時には高周波帯域成分及び低周波帯域成分のブレ補正を共に弱めるように制御する。また、緩やかなパンニング時には低周波帯域成分のみのブレ補正を弱めて高周波帯域成分のブレ補正制御は継続させる。これにより、パンニングなどのカメラワークの動きが生じた場合でも、パンニングの速度に応じて2つの補正光学系の動きを変えることで、緩やかなパンニング時は高周波帯域成分のブレ補正が可能になる。また、急なパンニング時は補正端に当たりにくくすることが可能となり、常に良好なブレ補正効果を実現することができる。
<第2の実施形態>
次に第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、パンニング速度の判別結果に応じて2つの補正光学系の動きを変える制御方法について説明した。本実施形態では、撮影モードに応じて2つの補正光学系のパンニング時の制御を変える方法について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係わる撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1と同じ部分は同一の番号を付している。次に、図5のシステムについて、図1と異なる部分について説明する。
図5において、図1に示したブロック図と異なるのは、撮影モード判別部147を備えることである。撮影モード判別部147は、例えば、ズームレンズのエンコーダ値やパルス値から焦点距離を検出するとともに、歩き撮影モードであるか否かを判別する。そして、パンニング制御部146に判別結果の情報を伝える。パンニング制御部146では、撮影モード判別部147から得られた撮影モード情報とパンニング判別部145から得られたパンニング情報を基に、パンニング制御を行う。
次に、本実施形態におけるパンニング制御ブロックの動作の一例について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図6に示す処理も、図2に示したフローと同様に、例えば撮像装置の1フレームの画像の取り込み周期である60Hzなど、任意の所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS201ではパンニング判別部145がパンニング動作を判別するための各信号情報を取得する。次にステップS202では、入力された各信号情報を基に、撮像装置がパンニング動作されているか否かを判別し、パンニング動作がされていなければステップS203に進み、パンニング動作がされていればステップS204に進む。
次にステップS203では、パンニング制御部146において補正制御を変更せずに継続させて、処理を終了する。
ステップS204では、撮影モード判別部147で検出した撮影モードが、所定の焦点距離よりもワイド側でかつ歩き撮影モードであるか否かを判定する。その結果、ワイド側歩き撮影モードでなければステップS205に進み、ワイド側歩き撮影モードであればステップ208に進む。
ステップS205では、角速度信号であるA/D変換器121からの出力信号及び第1及び第2の分離振れ信号の値が所定の閾値以上か否か(緩急状態)を判別する。そして、角速度信号が閾値以上の場合、すなわち急速なパンニングであればステップS206に進む。また、角速度信号が閾値より小さい場合、すなわち緩やかなパンニングであればステップS207に進む。
次にステップS206では、DCドリフト除去用HPF122のカットオフ周波数を高くして、低周波信号からなる第2の分離振れ信号の低周波成分を除去する。それと共に、周波数分離用HPF123のカットオフ周波数を高くして、高周波信号からなる第1の分離振れ信号の低周波成分を除去する。これにより、第1の補正光学系と第2の補正光学系との制御量が共に制御中心に向かうようにパンニング制御する。
ステップS207では、低周波成分からなる第2の分離振れ信号に対する積分器136の時定数を下げて、低周波帯域成分を補正する第2の補正光学系だけがセンタリングされるようする。すなわち第2の補正光学系の制御量が制御中心に向かうようにパンニング制御する。
ステップS208では、角速度信号であるA/D変換器121からの出力信号、及び第1及び第2の分離振れ信号の値が所定の閾値以上か否か(緩急状態)を判別する。そして、角速度信号が閾値以上の場合、すなわち急速なパンニングであればステップS209に進む。また、角速度信号が閾値より小さい場合、すなわち緩やかなパンニングであればステップS210に進む。
次にステップS209では、DCドリフト除去用のHPF122のカットオフ周波数を高くして、低周波信号からなる第2の分離振れ信号の低周波成分を除去する。それと共に、高周波信号に対する敏感度補正部125の出力からオフセット量を減算して、第1の分離振れ信号の積分器126に入力される角速度の値を小さくすることで、積分器126から出力される角変位量も小さくする。これにより、第1の補正光学系と第2の補正光学系との制御量が共に制御中心に向かうようにパンニング制御する。
ステップS210では、低周波信号に対する敏感度補正部135の出力からオフセット量を減算して、第2の分離振れ信号の積分器136に入力される角速度の値を小さくすることで、積分器136から出力される角変位量も小さくする。これにより、第2の補正光学系の制御量が制御中心に向かうようにパンニング制御する。
上記のように、本実施形態に示したシステムでは、ワイド側歩き撮影モードであるか否かを判断すると共に、急なパンニングか緩やかなパンニングかを判断する。これにより、ワイド側歩き撮影モードの急なパンニング時には、HPFのカットオフ周波数変更と共に高周波成分の角速度に対するオフセット減算によって、高周波帯域成分及び低周波帯域成分のブレ補正を共に弱めるように制御する。また、ワイド側歩き撮影モードの緩やかなパンニング時には、低周波成分の角速度に対するオフセット減算によって、高周波帯域成分のブレ補正制御は継続させつつ低周波帯域成分のみのブレ補正を弱めるように制御する。
また一方、ワイド側歩き撮影モードでない急なパンニング時には、HPFのカットオフ周波数変更によって、高周波帯域成分及び低周波帯域成分のブレ補正を共に弱めるように制御する。また、ワイド側歩き撮影モードでない緩やかなパンニング時には、低周波成分の積分器の時定数を下げることによって、高周波帯域成分のブレ補正制御は継続させつつ低周波帯域成分のみのブレ補正を弱めるように制御する。これにより、パンニングなどのカメラワークの動きが生じた場合でも、撮影時の焦点距離や撮影モード及びパンニングの速度に応じて2つの補正光学系の動きを変えることで、緩やかなパンニング時は高周波帯域成分のブレ補正が可能になる。また、急なパンニング時は補正端に当たりにくくすることが可能となり、常に良好なブレ補正効果を実現することができる。
なお、本実施形態では、角速度センサで振れの角速度を検出し、積分処理を施すことで補正光学系の角変位量を算出したが、別の振れ検出手段を用いても良い。例えば、加速度センサで振れの加速度を検出し、2回積分を施すことで、補正光学系の角変位量を算出する構成でもよい。
また、本実施形態では、補正光学系の一例として、撮影光学系のレンズ群の一部を光軸と垂直な二次元平面内で移動されることにより撮像画像の振れを補正する方法を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、補正光学系は光軸上の1点を中心とする球面状に回転するようにしてもよいし、可変頂角プリズム(VAP)や、撮像素子を光軸に垂直な方向に駆動する方法等を用いてもよい。また、複数の方式を組み合わせても良い。
また、更に、本実施形態では、二つめの光学式像振れ補正機構を変倍レンズと兼ねる構造としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1群の前玉レンズを二つめの補正機構としても良いし、他のレンズ群やその一部を像振れ補正機構としても良い。
また、本実施形態では、振れ信号を二つに分離し、二つの補正光学系を用いて像振れ補正を行う方法を例にとって説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、振れ信号を3つ以上に分離し、3つ以上の補正光学系を駆動して像振れ補正を行う形態でもよい。
また、本発明の第2の実施形態では、ワイド側歩き撮影モードであるか否かを判別したが、別の撮影モードとして、動画と静止画及び静止画のプレビュー時などの各撮影モードを判別してパンニング制御を切換える構成としてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101:撮影光学系、102:シフトレンズ、103変倍レンズ、113:撮像素子、120:角速度センサ、150:μCOM

Claims (12)

  1. 振れ検出手段から出力された振れ信号を低周波帯域の振れ信号と高周波帯域の振れ信号に分離する信号分離手段と、
    前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判別するパンニング判別手段と、
    前記高周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正手段を制御するとともに前記低周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正手段を制御する制御手段とを備え、
    前記パンニング判別手段によりパンニング動作と判別された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有することを特徴とする像振れ補正装置。
  2. 前記パンニング判別手段によりパンニング動作と判別された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行う第2のモードをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正装置。
  3. 前記制御手段は、前記パンニング判別手段により算出されたパンニング速度が所定の閾値よりも小さい場合、第1のモードを選択し、前記パンニング判別手段により算出されたパンニング速度が所定の閾値以上の場合、第2のモードを選択することを特徴とする請求項2に記載の像振れ補正装置。
  4. 前記像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御は、前記振れ信号の周波数帯域の選択を行うハイパスフィルタのカットオフ周波数を上げる制御を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  5. 前記像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御は、前記振れ信号から前記像振れ補正手段の補正中心に向かわせるオフセット量を減算する制御を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  6. 振れ検出手段から出力された振れ信号を第1の振れ信号と第2の振れ信号に分離する信号分離手段と、
    前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判別するパンニング判別手段と、
    前記第1の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正手段を制御するとともに前記第2の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正手段を制御する制御手段とを備え、
    前記パンニング判別手段によりパンニング動作と判別された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有することを特徴とする像振れ補正装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の像振れ補正装置と、撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の像振れ補正装置と、前記振れ検出手段とを有することを特徴とするレンズ装置。
  9. 振れ検出手段から出力された振れ信号を低周波帯域の振れ信号と高周波帯域の振れ信号に分離する信号分離工程と、
    前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判別するパンニング判別工程と、
    前記高周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正手段を制御するとともに前記低周波帯域の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正手段を制御する制御工程とを有し、
    前記パンニング判別工程においてパンニング動作と判別された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ、前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有することを特徴とする像振れ補正装置の制御方法。
  10. 振れ検出手段から出力された振れ信号を第1の振れ信号と第2の振れ信号に分離する信号分離工程と、
    前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング動作であるか否かを判別するパンニング判別工程と、
    前記第1の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第1の像振れ補正手段を制御するとともに前記第2の振れ信号に基づいて光学的に像振れを補正する第2の像振れ補正手段を制御する制御工程とを有し、
    前記パンニング判別工程においてパンニング動作と判別された場合、前記第2の像振れ補正手段を前記第2の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行い、且つ前記第1の像振れ補正手段を前記第1の像振れ補正手段の補正中心に向かわせる制御を行わない第1のモードを有することを特徴とする像振れ補正装置の制御方法。
  11. 請求項9または10に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  12. 請求項9または10に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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