JP2012058545A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレ補正機能を有する撮像装置において、パン・チルト中の低周波成分を除去しつつ、揺り戻しを除去できるようにする。
【解決手段】被写体像を撮像して撮像画像を得るための撮像素子を有する撮像装置であって、撮像装置に加わる振れを検出する振れ検出部と、振れ検出部の出力に基づいて振れ補正量を算出する補正量算出部と、振れ検出部の出力に基づいてパンニング状態またはチルティング状態であるかを判定する判定部と、撮像画像から画像の動きを示す動きベクトルを検出するベクトル検出部と、画像の移動量を算出する移動量算出部と、振れ補正量及び画像の移動量に基づいて、撮像画像のブレを光学的に補正するブレ補正部とを備え、画像の移動量は、撮像装置がパンニング状態またはチルティング状態であるときは、パンニング状態またはチルティング状態が終了したときの画像の移動量に相当し、パンニング状態が終了した後は動きベクトルに基づいて決定される。
【選択図】図1
【解決手段】被写体像を撮像して撮像画像を得るための撮像素子を有する撮像装置であって、撮像装置に加わる振れを検出する振れ検出部と、振れ検出部の出力に基づいて振れ補正量を算出する補正量算出部と、振れ検出部の出力に基づいてパンニング状態またはチルティング状態であるかを判定する判定部と、撮像画像から画像の動きを示す動きベクトルを検出するベクトル検出部と、画像の移動量を算出する移動量算出部と、振れ補正量及び画像の移動量に基づいて、撮像画像のブレを光学的に補正するブレ補正部とを備え、画像の移動量は、撮像装置がパンニング状態またはチルティング状態であるときは、パンニング状態またはチルティング状態が終了したときの画像の移動量に相当し、パンニング状態が終了した後は動きベクトルに基づいて決定される。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、手振れ等による撮像画像のブレを光学的に補正する機能を備えた撮像装置に関するものである。
近年、撮像装置の小型化や光学系の高倍率化に伴い、撮像装置に加わる振れ等が撮影画像の品位を低下させる大きな原因となっている。この点に着目し、このような装置の振れ等により生じた撮像画像のブレを補正するブレ補正機能を備えた撮像装置が種々提案されている。
ブレ補正機能を備えた撮像装置では、撮像装置本体の振れを検出して振れに応じた補正処理が行われる。この振れを検出する手段として、角速度センサや加速度センサを用い、これらセンサの出力信号により撮像装置本体の振れを検出するものがある。
このようなセンサの出力信号には、振れによる信号以外の成分が含まれることが一般に知られている。この振れによる信号以外の成分としては、センサに振れが加えられていないときに定常的に出力される低周波数の揺らぎ成分や、センサの固体差による基準電圧のバラつきなどの直流成分等が含まれる。このように低周波成分が含まれる場合、センサの出力信号をそのまま用いてブレ補正を行うと、補正の精度が低下する恐れがある。そこで、DCカットフィルタやハイパスフィルタを挿入し、センサの出力信号から低周波成分を除去して、ブレ信号を得ることが行われている。
また、パンニング或いはチルティングのように撮像装置を一方向に長時間移動させた場合、センサからの出力信号には低周波成分が多く含まれるので、ブレ補正を行うには何らかの手段で低周波成分を減衰させる必要がある。そこで、角速度及び角速度を積分した角変位データに基づいて、パンニング・チルティングの判定を行い、パンニング或いはチルティングに適した補正特性に切り換えることが行われている。すなわち、角速度が所定の閾値以上、或いは、角速度が所定の閾値に満たなくとも角変位データ(積分結果)が所定の閾値以上であるならば、パンニング状態或いはチルティング状態であると判定し、パンニング制御を行う。
このパンニング制御では、まずハイパスフィルタのカットオフ周波数を高域側に変移させる。これにより、低域の周波数に対しては、ブレ補正が応答しないようになる。また、角速度から角変位を求める際の積分演算に用いる積分器の時定数の値を短くなる方向に変移させる。これにより、ブレ補正位置が徐々に移動範囲中心へとセンタリングされ、角変位データの値が基準値(ブレがない状態においてとりうる値)に徐々に近づいていく。
上述した、パンニング・チルティングの制御は、例えば特許文献1等に開示されており、低域の周波数の応答を抑制しつつ、高域の周波数のブレ補正を行うことができ、パンニング状態或いはチルティング状態のブレ補正制御として有効である。
しかしながら、ハイパスフィルタを介することによって低周波成分を減衰させる構成では以下のような問題がある。パンニング・チルティングが継続して行われているときのように、センサからある一定以上の角速度が継続して出力されていると、角速度はハイパスフィルタによって減衰されるので徐々に基準値に近づいていく。そして、パンニング・チルティングが終了するとセンサからの角速度は急速に基準値に戻る。この急速な変化は、すなわち高い周波数成分であり、ハイパスフィルタを通過して出力信号は基準値から逆方向へ振れる。その後はハイパスフィルタの時定数に応じて徐々に基準値へと収束する。この基準値から逆方向への信号(以下、揺り戻しと呼ぶ)は実際の撮像装置本体の振れに対応する信号ではなく、この信号に基づいて補正を行うと手ブレ補正の精度が低下する恐れがある。
そこで、パイパスフィルタによる揺り戻しを除去する方法として、例えば特許文献2に開示される技術が提案されている。この技術では、ハイパスフィルタによる減衰特性を演算によって算出し、振れ信号に合成することで揺り戻しを除去する。
しかしながら、特許文献2に示すような従来のブレ補正機能においては、次のような問題があった。この方法では、ハイパスフィルタの減衰特性を算出し振れ信号に合成することで、揺り戻しを除去している。換言すれば、ハイパスフィルタによって減衰された低周波成分を復元していることになる。これは、パン・チルト等によって生じる揺り戻しを除去するとともに、パン・チルト中に生じる低周波成分も同様に復元しており、特許文献1で示すように本来除去したいパン・チルト中の低周波成分を減衰できないことになる。パン・チルト制御を目的として、揺り戻し除去後にデジタルハイパスフィルタを挿入することも考えられるが、ハイパスフィルタを介する限りは必ず揺り戻しが生じるので、特許文献2の目的を達成することができない。このように、従来では、パン・チルト中の低周波成分を除去しつつ、揺り戻しを除去することが出来ないという問題があった。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブレ補正機能を有する撮像装置において、パン・チルト中の低周波成分を除去しつつ、揺り戻しを除去できるようにすることである。
本発明に係わる撮像装置は、被写体像を撮像して撮像画像を得るための撮像素子を有する撮像装置であって、前記撮像装置に加わる振れを検出する振れ検出手段と、前記振れ検出手段の出力に基づいて振れ補正量を算出する補正量算出手段と、前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング状態またはチルティング状態であるかを判定する判定手段と、前記撮像画像から画像の動きを示す動きベクトルを検出するベクトル検出手段と、画像の移動量を算出する移動量算出手段と、前記振れ補正量及び前記画像の移動量に基づいて、撮像画像のブレを光学的に補正するブレ補正手段とを備え、前記画像の移動量は、前記撮像装置が前記パンニング状態またはチルティング状態であるときは、前記パンニング状態またはチルティング状態が終了したときの画像の移動量に相当し、前記パンニング状態が終了した後は前記動きベクトルに基づいて決定されることを特徴とする。
本発明によれば、ブレ補正機能を有する撮像装置において、パン・チルト中の低周波成分を除去しつつ、揺り戻しを除去することが可能となる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像画像のブレを補正可能な撮像装置の構成を示す図である。図1を参照して、本実施形態の撮像装置100の各構成部とその動作について具体的に説明する。角速度センサ101は撮像装置100に加わる振れの検出を行う。例えば、振動ジャイロの角速度センサを含み、手振れ等による撮像装置自体の振れを角速度信号として検出し、その角速度信号をアンプ102に供給する。アンプ102は、角速度センサ101からの角速度信号(振動成分)を、最適な感度に増幅して、A/D変換器103に供給する。A/D変換器103は、アンプ102からの角速度信号をデジタル化して、角速度データとしてuCOM123の内部のHPF104に供給する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像画像のブレを補正可能な撮像装置の構成を示す図である。図1を参照して、本実施形態の撮像装置100の各構成部とその動作について具体的に説明する。角速度センサ101は撮像装置100に加わる振れの検出を行う。例えば、振動ジャイロの角速度センサを含み、手振れ等による撮像装置自体の振れを角速度信号として検出し、その角速度信号をアンプ102に供給する。アンプ102は、角速度センサ101からの角速度信号(振動成分)を、最適な感度に増幅して、A/D変換器103に供給する。A/D変換器103は、アンプ102からの角速度信号をデジタル化して、角速度データとしてuCOM123の内部のHPF104に供給する。
uCOM123の内部には、A/D変換器103の出力が供給される基準値演算部122が備えられている。基準値演算部122は、例えばA/D変換器103を介して供給される角速度データの平均値を演算し、角速度の基準となる値(振れがない状態においてとりうる値)として出力する。基準値演算部122によって算出された基準値はA/D変換器103の出力から減算されHPF104に供給される。HPF104は、任意の周波数帯域でその特性を変更し得る機能を有しており、A/D変換器103からの角速度データに含まれる低周波成分を遮断して高周波数帯域の信号を出力する。積分器105は、任意の周波数帯域でその特性を変更し得る機能を有しており、HPF104から出力された角速度データを積分し、その積分結果を角変位データとして出力する。なお、パン・チルト検出部106の検出結果に応じて、HPF104、積分器105の演算が変更されるが、詳細は後述する。
撮像光学系115は、ズーミング、フォーカシング等の動作を行い、被写体像を撮像素子117に結像させる。ズームエンコーダ116は、撮像光学系115のズーム位置を検出し、uCOM123の内部の焦点距離補正部107に出力する。焦点距離補正部107では、ズームエンコーダ116の出力より、撮像光学系115の焦点距離を算出し、その焦点距離と積分器105の出力とから、補正光学系114の駆動量を算出する(補正量算出)。補正光学系114は、撮像光学系115の光軸に対して垂直な方向に移動可能なレンズであり、移動することで光学像の像ブレを補正する。また、補正光学系114は撮像光学系115中のシフトレンズであっても良いし、撮像素子119が光軸に直交する方向に移動する構成であっても良い。
制御フィルタ108には、角変位データと、補正光学系114の位置を検出する位置検出センサ112の出力をA/D変換器113によってデジタル化した値(位置検出データ)との差分が入力される。パルス幅変調回路109は、制御フィルタ108の出力をPWM(Pulse Width Modulation)信号に変換し出力する。モータ駆動部110は、パルス幅変調部109からのPWM出力に基づいて、補正光学系114を動かすためのモータ111を駆動し、撮像面への入射光の光軸を変えることで、撮像画像に生じるブレを光学的に補正する。
撮像素子117は、撮像光学系115によって結像された被写体像を電気信号に変換し、信号処理部118に供給する。信号処理部118は、撮像素子117により得られた信号から、例えばNTSCフォーマットに準拠したビデオ信号(映像信号)を生成して画像データとして出力すると同時に動きベクトル検出部119に供給する。また信号処理部から出力された画像データは、切出制御部121を介して出力される。
ここで、パンニング・チルティング時の制御について説明する。パン・チルト検出部106は、A/D変換器103から出力された角速度データ及び積分器105から出力された角変位データに基づいて、パンニング・チルティングの判定を行い、パンニング制御を行う。すなわち、角速度データが所定の閾値以上、或いは、角速度データが所定の閾値に満たなくとも角変位データ(積分結果)が所定の閾値以上であるならば、パンニング状態或いはチルティング状態であると判定する。なお、パン・チルト検出に用いられる角速度データは、角速度センサ101からの出力に対してハイパスフィルタを介さずに供給されている。したがって、角速度データに揺り戻しが無い状態で供給されるので、パンニング・チルティングの開始あるいは終了を正確に検出することが可能となっている。パンニング状態或いはチルティング状態であると判定がなされた場合には、パンニング制御を行う。
このパンニング制御では、まず、HPF104の低域カットオフ周波数を高域側に変移させる。これにより、低域の周波数に対してはブレ補正が応答しないようになる。また、積分器105での積分演算に用いる時定数の値を短くなる方向に変移させる。これにより、ブレ補正位置が徐々に移動範囲中心へとセンタリングされ、積分器105から出力される角変位データの値が基準値に徐々に近づいていく。
一方、そうでない場合には、パンニング状態或いはチルティング状態でないと判定し、HPF104の低域カットオフ周波数を低域側に変移させ、また、積分器105での積分演算に用いる時定数の値も長くなる方向に変移させる。これにより、HPF104の低域カットオフ周波数、及び積分器105での積分演算に用いる時定数の値が各々元の状態に戻され、パンニング制御を解除することになる。
ここで、ハイパスフィルタによって低周波数成分が除去される様子について図2を用いて説明する。ここではパンニング動作が行われた場合を想定して角速度センサ101からの出力信号を図2(A)に示す矩形波としている。また、HPF104を通した後の出力信号を図2(B)、積分器105の出力信号を図2(C)に示す。各図において、時間T1はパンニング開始時、時間T2はパンニング終了時の時刻を示している。
角速度センサ101の出力信号はハイパスフィルタを介することによって低周波成分が減衰されるので、時間T1から時間T2の区間では、図2(B)の曲線302に示すように徐々に減衰していく。曲線302の減衰率はHPF104の時定数によって決定される。時間T2において、パンニング動作の終了とともに角速度データが急速に基準値に変化する。これは、すなわち高い周波数成分を含む信号となっているため、ハイパスフィルタでは減衰されずに通過するのでマイナス方向に振れる。時間T2以降は曲線303で示すようにHPF104の時定数に応じて徐々に0に近づく。
補正光学系114は、図2(B)に示す波形を積分器105によって積分した出力結果に応じて駆動量が決定されるので、図2(C)の曲線304、305に示すようにブレ補正を行う。
このように、ハイパスフィルタを介することによって、パンニングの低周波成分が減衰されるが、パンニング終了時に逆方向に振れるので、実際にはパンニングによる撮像装置100の移動が止まっているにもかかわらず、図2(C)の曲線305のような逆方向への移動を示す信号が出力される。
そこで、本実施形態の撮像装置では、動きベクトル検出部119、動きベクトル処理部120、切出制御部121を含んで構成されている。動きベクトル検出部119は、信号処理部118からの映像信号に含まれる輝度信号を基に、動きベクトルを検出する。動きベクトル検出法としては、相関法やブロックマッチング法等がある。ここでは、その一例として、ブロックマッチング法を動きベクトル検出部119に採用するものとする。
動きベクトル検出部119の構成例を図3に示す。フィルタ201は、画像信号の高空間周波数成分等を除去する目的を有するものであり、信号処理部118から供給された映像信号から、動きベクトル検出に有用な空間周波数成分を抽出して出力する。2値化部202は、フィルタ201から出力された画像信号を所定のレベルを境に2値化して相関演算部203及び記憶部206に各々供給する。記憶部206は2値化部202の前回のサンプルデータを記憶し、2値化部202からの画像信号を、1フィールド期間遅延して相関演算部203に供給する。相関演算部203は2値化部202及び記憶部206の各出力の相関演算を行う。即ち、相関演算部203には、2値化部202からの画像信号(現フィールドの画像信号)と、記憶部206からの画像信号(前フィールドの画像信号)とが供給されることになる。そして相関演算部203は、上述したブロックマッチング法に従って、ブロック単位に現フィールドと前フィールドの相関演算を行い、その演算結果である相関値を動きベクトル検出部204に供給する。動きベクトル検出部204は相関演算部203からの相関値からブロック単位の動きベクトルを検出する。すなわち、相関値が最小となる前フィールドのブロックを探索し、その相対的なずれを動きベクトルとして検出する。動きベクトル決定部205は動きベクトル検出部204からのブロック単位の動きベクトルから全体の動きベクトルを決定する。例えば、ブロック単位の動きベクトルの中央値又は平均値を全体の動きベクトルとして決定する。そして、動きベクトル決定部205の出力が、uCOM123の内部の動きベクトル処理部120に供給される。上述のような構成により、動きベクトル検出部119では、画素単位での垂直方向及び水平方向各々の移動量すなわち動きベクトルを得ることができる。
動きベクトル処理部120は、パン・チルト検出部106の出力結果および動きベクトル検出部119から出力された動きベクトルに応じて、画像移動量を算出(移動量算出)するものである。すなわち、パン・チルト検出部106によって、撮像装置がパンニング状態もしくはチルティング状態ではないと判定された場合は、動きベクトルをそのまま画像移動量として算出する。また、パン・チルト検出部106によって、撮像装置がパンニング状態もしくはチルティング状態であると判定された場合は、揺り戻しによる画像移動量を算出(移動量算出)する。言い換えれば、画像移動量は、撮像装置がパンニング状態またはチルティング状態であるときは、パンニング状態またはチルティング状態が終了したときの画像の移動量に相当する。切出制御部121は、画像移動量に応じて、その画像移動量を抑制するような方向に切出領域を移動した後に、その切出領域内の画像データを順次出力する。
次に、本実施形態の撮像装置100の作用について図2および図4を用いて説明する。図2(D)は動きベクトル処理部120が出力する画像移動量、図2(E)は切出制御部121から出力される画像データにおける画像の動きを示している。また、図4に示すフローは所定の周期、例えばNTSCの規格に準拠したタイミングで処理が行われるとすると1/60秒毎に実行される。
ステップS401では、パン・チルト検出部106によって出力されるパンニング検出結果がパンニング状態か否かが判断される。パンニング状態と判断されると、ステップS406へ進み、そうでないと判断されるとステップS402へ進む。
ステップS406では、A/D変換器103から出力される角速度データの符号を判定する。正と判定されるとステップS407へ進み、負と判断されるとステップS408へ進む。ステップS407では前回の画像移動量に所定値を加算する。ステップS408では前回の画像移動量から所定値を減算する。ステップS409では画像移動量をメモリに記憶し、切出制御部121で切出領域の移動量として使用する。上述のステップS407及びS408はパンニング状態終了検出時に揺り戻しを抑制する方向に画像が移動するので、揺り戻しが収束した後の画像移動量が中心に近づくように予め逆方向に移動させるための処理であり、図2(D)の線分306を示している。
一方、ステップS401でパンニング状態ではないと判断されると、ステップS402へ進む。ステップS402では、最後にパンニング状態と判断されてから現在までの経過時間が所定時間Tpを超えたか否かを判断する。これは、揺り戻しによって逆方向に振れる量が同じである場合、角速度データが0に収束する時間はHPF104の時定数によって決定されるので、時間Tpはその時定数に応じて決定すればよい。時間Tpを超えたと判断されると、ステップS410へ進む。時間Tpを超えていないと判断されるとステップS403へ進み、揺り戻しの算出処理が行われる。
ステップS403では、動きベクトル検出部119によって検出された動きベクトルを取得する。この動きベクトルは、連続した撮像画像の単位時間当たりの移動量、すなわちパンニング終了後においては、HPF104によって生じた揺り戻しに基づいて補正を行った結果の画像の移動量を示すものである。ステップS404では、メモリに記憶されている画像移動量に動きベクトルを加算し、新たな画像移動量として算出する。ステップS405では画像移動量をメモリに記憶し、切出制御部121で切出領域の移動量として使用する。上記により、揺り戻しによる画像の動きを動きベクトルによって検出し、画像移動量として算出した結果が図2(D)の曲線307である。
ステップS410では、画像移動量に応じて、その画像移動量を抑制するような方向に切出領域を移動した後に、その切出領域内の画像データを順次出力する。このようにして図2(E)に示すように、動きベクトルによってパンニング後の揺り戻しを検出し、揺り戻しが抑制された画像データを得ることができる。
以上説明したように、角速度センサ101の出力に応じてパンニング・チルティングの判別を行い、パンニング・チルティング動作の終了を検出すると同時に動きベクトルを用いて画像の動きを補正する。これによって、パンニング或いはチルティング動作時には低周波成分を減衰させるとともに、パンニング終了後に生じる揺り戻しによる不快な画像の動きを除去することが可能となる。
なお、動きベクトル処理部120において、パンニング・チルティングと判断されている場合には、A/D変換機103から出力される角速度データの符号に応じて画像移動量から所定値を加減算している。しかしながら、算出された画像移動量をメモリに記憶し、画像移動量を0(ゼロ)としてもよい。また、パンニング・チルティングと判断されている場合には、パンニング・チルティングと判断される直前の画像移動量を保持してもよい。
(第2の実施形態)
本実施形態は、角速度センサを用いて撮像装置本体の振れを検出するとともに、動きベクトルによって画像のブレを検出し、それぞれの検出結果を足し合わせて補正光学系の駆動量を算出し、ブレを補正する構成のビデオカメラに本発明を用いた場合の例を示す。図5において、上述の図1に示す第1の実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態は、角速度センサを用いて撮像装置本体の振れを検出するとともに、動きベクトルによって画像のブレを検出し、それぞれの検出結果を足し合わせて補正光学系の駆動量を算出し、ブレを補正する構成のビデオカメラに本発明を用いた場合の例を示す。図5において、上述の図1に示す第1の実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5において、特に第1の実施形態と異なるのは、動きベクトル検出部119より得られた動きベクトルに基づいて補正光学系114の移動量を算出する動きベクトル補正量演算部124を備え、手ブレ補正に用いられている角速度センサ101より得られる角変位データ(ジャイロ系補正データ)と加算することにある。
動きベクトル検出部119は、撮像装置1000の撮像素子117により得られた撮像画像情報から、信号処理部118で生成された映像信号に含まれる輝度信号に基づいて画像の動きベクトルを検出する。動きベクトル補正量演算部124は、動きベクトル検出部119で検出された動きベクトルを補正光学系114の駆動量(ベクトル系補正データ)に変換する。具体的には、動きベクトル補正量演算部124は、動きベクトル検出部119から出力された動きベクトルのデータをローパスフィルタ(LPF)を用いて積分処理し、その積分結果をベクトル系補正データとして算出する。このベクトル系補正データと、上述したジャイロ系補正データを加算したデータが、最終的な補正光学系114の駆動量(最終補正データ)となる。
上記動きベクトルは、角速度センサ101によって検出した角速度に基づいて補正光学系114を駆動しブレの補正を行った結果の映像に対する画像の動き量であり、すなわち、ジャイロ系補正データによるブレ補正の補正残りを示している。角速度センサによる補正の応答特性は、例えば手振れの主な周波数成分である1〜10Hzの振れに対して応答するようにHPF104の時定数が設定されているので、動きベクトルによって検出される振れの周波数は概ね1Hz以下の周波数帯域である。さらに、補正光学系114を介し一つのフィードバックループを形成しているため、揺り戻しのような低い周波数成分を補正するのに有効である。
次に、本実施形態の撮像装置1000の動作について図6を用いて説明する。なお、このフローは所定の周期、例えばNTSCの規格に準拠したタイミングで処理が行われるとすると1/60秒毎に実行される。
ステップS601では、パン・チルト検出部106によって出力されるパンニング検出結果がパンニング状態か否かが判断される。パンニング状態と判断されると、ステップS606へ進み、そうでないと判断されるとステップS602へ進む。
ステップS606ではA/D変換器103から出力される角速度データの符号を判定する。正と判定されるとステップS607へ進み、負と判断されるとステップS608へ進む。ステップS607では前回の画像移動量に所定値を加算する。ステップS608では前回の画像移動量から所定値を減算する。ステップS609ではベクトル系補正データをメモリに記憶する。
一方、ステップS601でパンニング状態ではないと判断されると、ステップS602へ進む。ステップS602では、最後にパンニング状態と判断されてから現在までの経過時間Tが時間Tpを超えたか否かを判断する。時間Tp以上経過したと判断されると、ステップS603へ進む。時間Tpを超えていないと判断されるとステップS610へ進み、揺り戻しの算出処理が行われる。
ステップS603では、動きベクトル検出部119によって検出された動きベクトルを取得する。この動きベクトルは、連続した撮像画像の単位時間当たりの移動量、すなわちパンニング終了後においては、HPF104によって生じた揺り戻しに基づいて補正を行った結果の画像の移動量を示すものである。ステップS604では、取得された動きベクトルを入力信号としてLPFを介して積分し、ベクトル系補正データとして算出する。ステップS605では、ベクトル系補正データをメモリに記憶する。ステップS610ではベクトル系補正データとジャイロ系補正データを加算し、補正光学系114の最終駆動量として算出する。
このようにして動きベクトルによってパンニング後の揺り戻しを検出し、ジャイロ系補正データに加算した最終駆動量に基づいて補正光学系114を駆動することで、揺り戻しが抑制された画像データを得ることができる。
以上説明したように、角速度センサ101の出力に応じてパンニング・チルティングの判別を行い、パンニング・チルティング動作の終了を検出すると同時に動きベクトルを用いて画像の動きを補正する。これによって、パンニング或いはチルティング動作時には低周波成分を減衰させるとともに、パンニング終了後に生じる揺り戻しによる不快な画像の動きを除去することが可能となる。
これにより、パンニング・チルティング動作中の低周波数の応答を抑制しつつ、高域の周波数のブレ補正を行うことができ、かつ、パンニング状態或いはチルティング終了後のブレ補正効果を向上させた撮像装置を提供することが可能となる。
なお、動きベクトル補正量演算部124において、パンニング・チルティングと判断されている場合には、A/D変換器103から出力される角速度データの符号に応じてベクトル系補正データから所定値を加減算しているが、ベクトル系補正データを0としてもよい。また、パンニング・チルティングと判断されている場合には、パンニング・チルティングと判断される直前のベクトル系補正データを保持してもよい。
なお、ブレ補正を行う手段として、補正光学系114(例えばシフトレンズ)を例にとって説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、可変頂角プリズム(撮像光学系に垂直に配置された頂角の傾きが可変のプリズム:VAP)や、撮像素子を光軸に垂直な方向に駆動する方法等を用いてもよい。
Claims (6)
- 被写体像を撮像して撮像画像を得るための撮像素子を有する撮像装置であって、
前記撮像装置に加わる振れを検出する振れ検出手段と、
前記振れ検出手段の出力に基づいて振れ補正量を算出する補正量算出手段と、
前記振れ検出手段の出力に基づいてパンニング状態またはチルティング状態であるかを判定する判定手段と、
前記撮像画像から画像の動きを示す動きベクトルを検出するベクトル検出手段と、
画像の移動量を算出する移動量算出手段と、
前記振れ補正量及び前記画像の移動量に基づいて、撮像画像のブレを光学的に補正するブレ補正手段とを備え、
前記画像の移動量は、前記撮像装置が前記パンニング状態またはチルティング状態であるときは、前記パンニング状態またはチルティング状態が終了したときの画像の移動量に相当し、前記パンニング状態が終了した後は前記動きベクトルに基づいて決定されることを特徴とする撮像装置。 - 前記移動量算出手段は、前記振れ検出手段によって検出された方向と同じ方向に所定の時間をかけて画像が移動するように画像の移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記移動量算出手段は、前記判定手段が、前記撮像装置がパンニング状態またはチルティング状態であると判定している間は、パンニング状態またはチルティング状態であると判定される直前の画像の移動量を保持して出力し、パンニング状態またはチルティング状態が終了したと判定すると同時に、前記ベクトル検出手段の出力に基づいて前記画像の移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記移動量算出手段は、前記判定手段が、前記撮像装置がパンニング状態またはチルティング状態であると判定している間は、ゼロを出力し、パンニング状態またはチルティング状態が終了したと判定すると同時に、前記ベクトル検出手段の出力に基づいて前記画像の移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記ブレ補正手段は、撮像光学系の光軸に対して垂直な方向に移動可能なレンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記ブレ補正手段は、撮像光学系に垂直に配置された頂角の傾きが可変のプリズムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
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