JP2015172621A - カーボンブラック分散液およびそれを用いた塗膜、中間転写ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】分散安定性と保存安定性、安全衛生性に優れたカーボンブラック分散液を提供すること。また、ゆず肌やハジキ、ブツなどの塗膜表面に欠陥(表面性欠陥)がない良好な塗膜を形成でき、表面抵抗のバラつきが抑制され、耐折強度に優れ、長期間良好な画像形成を行うことができる中間転写ベルトを提供すること。【解決手段】カーボンブラックと、トリアジン誘導体と、ポリビニルアルコールと、溶剤とを含有してなるカーボンブラック分散液であって、ポリビニルアルコールのけん化度が30〜65mol%の範囲であり、溶剤がγ−ブチロラクトンであることを特徴とするカーボンブラック分散液およびそれを塗布した塗膜を具備してなる中間転写ベルト。【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラック分散液に関する。また、該分散液を使用した塗膜及び中間転写ベルトに関する。
近年、複写機、レーザープリンタ、ビデオプリンタ、ファクシミリ及びそれらの複合機には、電子写真方式や静電印刷方式等の画像形成プロセスを採用した画像形成装置が用いられている。この種の装置では、フルカラー画像形成のための多色のトナーの重ね合わせを効率よく行うために、中間転写ベルトに像を一旦転写し、それを紙などの被記録媒体上に転写(二次転写)してから定着を行う中間転写方式が採用されている。また、装置の小型化等を目的に、中間転写ベルトに紙などの被記録媒体の搬送も兼ねさせる方式も検討されている。
前記中間転写ベルトは、静電的に像を転写するために表面抵抗率(半導電性)及び抵抗均一性が求められる。中間転写ベルトの材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート(PC)/ポリアルキレンフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの樹脂が報告されており、これらの樹脂にカーボンブラックや金属微粒子などの導電性フィラーを分散し、シームレスベルトに加工することで中間転写ベルトを得ることができる。例えば、導電性フィラーとしてアセチレンブラック等のカーボンブラックをポリイミドに分散した中間転写ベルトが報告されている。
上記材料の中で、ポリイミドは、機械的強度が高いという長所を有するため、中間転写ベルトの材料として使用されるが、精密な加工・整形が困難であるという短所がある。そのため、ポリイミドを用いた中間転写ベルトを生産する際には、ポリアミック酸等のポリイミド前駆体溶液を遠心成型法などのキャスト工法で成型した後に、加熱してポリイミド化するという方法が採用されている。これまでに、ポリアミック酸等のポリイミド前駆体を溶解できる溶剤としては、専らN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)が使用されてきたが、安全衛生上の問題から、特別な作業環境や設備が必要となることから、NMPに替わる溶剤が求められていた。
ところで、カーボンブラック分散液を製造する場合、カーボンブラックと溶剤だけでは分散安定化が困難であるため、一般的に分散剤を併用する。溶剤としてNMPを用いたカーボンブラック分散液としては、特許文献1では分散剤としてアミン系界面活性剤を使用する例(特許文献1)、特許文献2ではトリアジン誘導体を使用する例(特許文献2)等が知られている。
しかしながら、上で説明した理由から、溶剤としてNMPから他の代替溶剤に変更すると、カーボンブラック分散液の分散性が悪化したり、分散液の保存安定性が悪化するといった問題が懸念されてきた。
更に、特許文献3で指摘されているように、ポリアミドイミド樹脂を用いて、ゆず肌やハジキ、ブツなどの塗膜表面に欠陥(表面性欠陥)がない良好な塗膜を得るためには、適切な添加剤を選択する必要があるが、溶剤種の変更に伴って、分散液の分散安定性が悪化し、表面性欠陥が生じ易くなるという問題が懸念されてきた。したがって、そのような表面性欠陥がなく、中間転写ベルトに好適に使用可能な、良好な塗膜を形成できるカーボンブラック分散液が求められていた。
特開2010−195879号公報 特開2013−112740号公報 特開2005−139351号公報
以上の状況を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、分散安定性と保存安定性、安全衛生性に優れたカーボンブラック分散液を提供することである。また、ゆず肌やハジキ、ブツなどの塗膜表面に欠陥(表面性欠陥)がない良好な塗膜を形成でき、表面抵抗のバラつきが抑制され、耐折強度に優れ、長期間良好な画像形成を行うことができる中間転写ベルトを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分散剤として、トリアジン誘導体と特定のけん化度を有するポリビニルアルコールとを併用することにより、NMPよりも安全衛生性に優れたγ−ブチロラクトンを主溶剤とするカーボンブラック分散液を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カーボンブラックと、トリアジン誘導体と、ポリビニルアルコールと、溶剤とを含有してなるカーボンブラック分散液であって、ポリビニルアルコールのけん化度が30〜65mol%の範囲であり、溶剤がγ−ブチロラクトンであることを特徴とするカーボンブラック分散液に関する。
また、本発明は、ポリビニルアルコールのけん化度が、45〜55mol%の範囲であることを特徴とする上記カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明は、カーボンブラック100質量部に対して、ポリビニルアルコールが4質量部以上10質量部以下含有し、且つトリアジン誘導体が3質量部以上8質量部以下含有してなることを特徴とする上記カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明は、さらに、ポリアミドイミドを含有してなる上記カーボンブラック分散液に関する。
また、本発明は、上記カーボンブラック分散液を塗布してなる塗膜に関する。
また、本発明は、上記塗膜を具備してなる中間転写ベルトに関する。
本発明の効果として、分散安定性と保存安定性、安全衛生性に優れたカーボンブラック分散液を提供することできるようになった。これにより、ゆず肌やハジキ、ブツなどの塗膜表面に欠陥(表面性欠陥)がない良好な塗膜を形成することが可能となり、表面抵抗のバラつきが抑制され、耐折強度に優れ、長期間良好な画像形成を行うことができる中間転写ベルトを提供することができるようになった。
以下、本発明を詳細に説明する。
<カーボンブラック>
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボンブラック、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることによって、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基のような酸素含有極性官能基をカーボンブラック表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。
本発明で用いるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、アセチレンブラックやファーネスブラックなど、高い導電性を有し、かつ工業的に生産されるカーボンブラックが好適に用いられる。
また、分散液の製造に用いるカーボンブラックの平均一次粒子径としては、一般的な分散液や塗料に用いられるカーボンブラックの平均一次粒子径範囲と同様に0.01〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましく、0.01〜0.1μmがさらに好ましい。ここでいう平均一次粒子径とは、電子顕微鏡で測定された算術平均粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
カーボンブラックの物理的特性を表すその他の物性値としては、BET比表面積やpHが知られている。BET比表面積は、窒素吸着によりBET法で測定された比表面積(以下、単に比表面積と記載)を指し、この比表面積はカーボンブラックの表面積に対応しており、比表面積が大きいほど分散剤を必要とする量も多くなる。pHはカーボンブラック表面の官能基や含有不純物の影響を受けて変化する。
<ポリビニルアルコール>
本発明では、分散剤としてポリビニルアルコールを用いる。すなわちポリビニルアルコールをバインダーとしてではなく分散剤として使用する。本発明で用いるポリビニルアルコールの製造方法については特に制限はないが、以下、ポリ酢酸ビニルを原料とし、これをけん化することによって得られたポリビニルアルコールについて記述する。
一般に、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合させて得られたポリ酢酸ビニルを原料とし、このポリ酢酸ビニルをけん化して、アセチル基を水酸基に置換することによって得られる。この合成プロセスのために、ポリビニルアルコールはアセチル基と水酸基を有し、その比率はけん化度として表される。
なお、本発明におけるけん化度とは、ポリビニルアルコール中に含まれる一般式(A)で表される繰り返し単位の割合(モル%)を表す。例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得たポリビニルアルコールの場合、ポリビニルアルコール中に含まれるビニルアルコール骨格に由来した水酸基数を、酢酸ビニル骨格に由来したアセチル基数とビニルアルコール骨格に由来した水酸基数の和で除した値を意味する。
一般式(A)
Figure 2015172621
本発明で使用するポリビニルアルコールは、ポリビニルエステル、特にポリ酢酸ビニルをけん化することによって得られるポリビニルアルコールが主に使用されるが、これに限定されない。また、けん化度は30〜65mol%の範囲であり、45〜55mol%のの範囲がより好ましい。上記けん化度のポリビニルアルコールであれば、各種の市販品、合成品を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
また、上記けん化度の範囲内であれば、水酸基、酢酸基以外の官能基として、例えば、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イソシアネート基を導入されたものや、各種の塩によって変性されたもの、その他アニオンあるいはカチオン変性されたもの、不飽和変性されたもの、アルデヒド類によってアセタール変性(ブチラール変性、アセトアセタール変性、ホルマール変性等)されたもの、ジオール構造を導入されたものなども、本発明で使用するけん化度が30〜65mol%であるポリビニルアルコールの範囲に含まれ、これらは、単独もしくは2種類以上併せて使用することができる。
けん化度が30mol%より小さいものは、γ−ブチロラクトンに対する溶解性は非常に良好だが、カーボンブラックに対する吸着性が乏しいために分散には有効ではないと考えられ、また、けん化度が65mol%より大きいものは、γ−ブチロラクトンに対してほとんど溶解、膨潤しないことから、たとえカーボンブラックに吸着されたとしても、γ−ブチロラクトン側に高分子鎖を伸ばすことが出来ず、そのために効果的に立体反発出来ないものと推察される。これに対して、けん化度が30〜65mol%のものは、γ−ブチロラクトンに対する溶解、または膨潤性と、カーボンブラックに対する吸着性や吸着後の立体反発効果の兼合いが良好であることから、分散剤として特に有効に機能するものと考えられる。
上記けん化度範囲に含まれる市販のポリビニルアルコールとしては、例えば、クラレポバール(クラレ社製ポリビニルアルコール)や、ゴーセノール(日本合成化学工業社製ポリビニルアルコール)、デンカポバール(電気化学工業社製)、J−ポバール(日本酢ビ・ポバール社製)などの商品名で、種々のグレードを市場より入手することが出来る。
より具体的には、ゴーセノール LL−810(けん化度45.0〜51.0mol%、JIS K6726に準ずる液温20℃における4%水溶液粘度7.0〜10.0mPa・s)、ゴーセノール LL−920(けん化度30.0〜38.0mol%、4%水溶液粘度30.0〜38.0mPa・s)、ゴーセノールLL−940(けん化度34.0〜42.0mol%、4%水溶液粘度20.0〜28.0mPa・s)、クラレLMポリマー LM−10HD(けん化度38.0〜42.0mol%、4%水溶液粘度4.5〜5.7mPa・s)、LM−20(けん化38.0〜42.0mol%、4%水溶液粘度3.0〜4.0mPa・s)、LM−25(けん化度33.0〜38.0mol%、)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<トリアジン誘導体>
まず、本発明において使用する顔料誘導体について説明する。本発明において使用する顔料誘導体は、酸性または塩基性の官能基を有するトリアジン誘導体である。
<酸性トリアジン誘導体>
酸性顔料誘導体の中でも、とりわけ、下記一般式(1)で示される酸性官能基を有するトリアジン誘導体が好ましい。まず、一般式(1)で示される酸性官能基を有するトリアジン誘導体について説明する。
一般式(1)
Figure 2015172621
[X1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X3−Y−X4−を表し、X2及びX4は、それぞれ独立に、−NH−または−O−を表し、X3は、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−を表し、Yは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Zは、−SO3M、−COOM、−P(O)(−OM)2または−O−P(O)(−OM)2を表し、Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、Qは、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン基、−X1−R1または−X2−Y−Zを表し、R2は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。R1は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または、下記一般式(2)で表される基を表す。]
一般式(2)
Figure 2015172621
[X5は、−NH−または−O−を表し、X6及びX7は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または−Y−Zを表し、Y及びZは、一般式(1)におけるY及びZと同義である。]
上記において、R1、R3、R4における有機色素残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の残基が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素の残基が、分散性に優れた効果を発揮するため好ましい。
また、上記において、R1、R3、R4における複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン等の複素環残基、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン等の芳香族環残基が挙げられる。とりわけ、S、N、Oのヘテロ原子のいずれかを含む複素環残基が、分散性に優れた効果を発揮するため好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)のYは、置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表すが、炭素数20以下が好ましく、炭素数10以下がより好ましい。特に好ましい態様としては、置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基または炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
2における置換基を有してもよいアルキル基および置換基を有してもよいアルケニル基の好ましい態様は、炭素数20以下のものである。更に好ましくは、炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキル基が挙げられる。ここで、置換基を有するアルキル基および置換基を有するアルケニル基とは、アルキル基またはアルケニル基の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基、水酸基、メルカプト基等に置換されたものを挙げることができる。
Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素イオン(プロトン)、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。また、分散剤の構造(一分子)中にMを2つ以上有する場合、Mは、プロトン、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンのいずれか一種のみでも良いし、二種以上の組み合わせでも良い。
金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、コバルト等の金属のカチオンが挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(3)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(3)
Figure 2015172621
[R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。]
5、R6、R7、R8は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R5、R6、R7、R8が炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
4級アンモニウムカチオンの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において使用する酸性顔料誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。
<塩基性トリアジン誘導体>
塩基性顔料誘導体の中でも、とりわけ、下記一般式(101)で示される塩基性官能基を有するトリアジン誘導体が好ましい。まず、一般式(101)で示される塩基性官能基を有するトリアジン誘導体について説明する。
一般式(101)
Figure 2015172621
101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X102−Y1−X103−を表し、X102は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−を表し、X103は、−NH−または−O−を表し、Y1は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
Pは、一般式(102)、一般式(103)または一般式(104)のいずれかで示される基を表す。
101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101または一般式(102)、一般式(103)もしくは一般式(104)のいずれかで示される基を表す。
102は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基または置換基を有してもよいアリール基を表す。
一般式(102)
Figure 2015172621
一般式(103)
Figure 2015172621
一般式(104)
Figure 2015172621
104は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または−X105−Y1−X106−を表す。X105は、−NH−または−O−を表し、X106は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または−CH2−を表す。
1は、1〜10の整数を表す。
103およびR104は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または複素環残基を表し、R103とR104が結合して環を形成しても良い。
105、R106、R107およびR108は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
109は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
oは、1〜4の整数を表す。
101は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または下記一般式(105)で示される基を表す。
一般式(105)
Figure 2015172621
Tは、−X108−R110またはW1を表し、Uは、−X109−R111またはW2を表す。
1およびW2は、それぞれ独立に、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基または一般式(102)、一般式(103)もしくは一般式(104)のいずれかで示される基を表す。
107は、−NH−または−O−を表し、X108およびX109は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−を表す。
110およびR111は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基または置換基を有していてもよい芳香族環残基を表す。
一般式(101)のR101および一般式(105)のR110、R111における有機色素残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の残基が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
一般式(101)のR101および一般式(105)のR110、R111における複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、アクリドン等の残基が挙げられる。これらの複素環残基および芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシル基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)、およびフェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
103およびR104は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または複素環残基を表し、R103とR104が結合して環を形成しても良い。とりわけ、水素原子であることが、電池内での金属析出を抑える効果が高いと思われ好ましい。
一般式(101)および一般式(105)のY1は、炭素数20以下の置換基を有してもよいアルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表すが、好ましくは、置換基を有してもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基または炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(102)〜(104)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、特開平11−199796号公報等に記載されている方法で合成することができる。
例えば、本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体は、有機色素、複素環化合物(例えば、アクリドン)または芳香族環化合物(例えば、アントラキノン)に式(110)〜式(113)で示される置換基を導入した後、これら置換機とアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミンまたは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等)を反応させることによって、合成することができる。
式(110) −SO2Cl
式(111) −COCl
式(112) −CH2NHCOCH2Cl
式(113) −CH2Cl
また、例えば、式(110)で示される置換基を導入する場合には、有機色素、複素環化合物(例えば、アクリドン)または芳香族環化合物(例えば、アントラキノン)をクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、このときの反応温度、反応時間等の条件により、有機色素、複素環化合物(例えば、アクリドン)または芳香族環化合物(例えば、アントラキノン)に導入する式(110)で示される置換基数をコントロールすることができる。
また、式(111)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシル基を有する有機色素、複素環化合物(例えば、アクリドン)または芳香族環化合物(例えば、アントラキノン)を公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
式(110)〜式(113)で示される置換基とアミン成分との反応時には、式(110)〜式(113)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、式(110)で示される置換基はスルホン酸基となり、式(111)で示される置換基はカルボン酸基となるが、いずれも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属もしくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
また、有機色素がアゾ系色素である場合は、式(107)〜式(109)または、下記一般式(114)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分またはカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(114)
Figure 2015172621
101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X102−Y1−X103−を表し、X102は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−を表し、X103はそれぞれ独立に−NH−または−O−を表し、Y1は炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
Pは、一般式(102)、(103)または、一般式(104)のいずれかで示される置換基を表す。
101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101または、一般式(102)、(103)もしくは、一般式(104)のいずれかで示される置換基を表す。
102は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または、置換基を有してもよいアルケニル基もしくは、置換基を有してもよいアリール基を表す。
また、本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に式(107)〜式(109)または、一般式(114)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジン等)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
本発明で使用する顔料誘導体は、酸性または塩基性の官能基を有するトリアジン誘導体であることが好ましく、酸性または塩基性の官能基を有するトリアジン誘導体であることがより好ましく、酸性の官能基を有するトリアジン誘導体であることさらに好ましく、アゾ結合を有さず、かつ酸性の官能基を有するトリアジン誘導体であることが特に好ましい。
上記トリアジン誘導体は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用しても良い。
<ポリアミドイミド>
本発明で得られるポリアミドイミド樹脂はジイソシアネート法や酸クロリド法などの通常用いられる方法で得られる。ジイソシアネート法ではトリメリット酸無水物などの酸成分モノマーをジイソシアネートなどのアミン分と反応させる。本発明のポリアミドイミド樹脂を得るには酸成分モノマーとしてトリメリット酸無水物を用いることが必須であるが、溶剤に対する溶解性、重合性等を付与するためには、カルボン酸成分として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、5−tert−ブチル−1,3ベンゼンジカルボン酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン4,4′ジカルボン酸、ジフェニルメタン2,4′ジカルボン酸、ジフェニルメタン3,4′ジカルボン酸、ジフェニルメタン3,3′ジカルボン酸、1,2ジフェニルエタン4,4′ジカルボン酸、1,2ジフェニルエタン2,4′ジカルボン酸、1,2ジフェニルエタン3,4′ジカルボン酸、1,2ジフェニルエタン3,3′ジカルボン酸、2,2′ビス(4カルボキシフェニル)プロパン、2−(2カルボキシフェニル)2−(4カルボキシフェニル)プロパン、2−(3カルボキシフェニル)2−(4カルボキシフェニル)プロパン、ジフェニルエーテル4,4′ジカルボン酸、ジフェニルエーテル2,4ジカルボン酸、ジフェニルエーテル3,4ジカルボン酸、ジフェニルエーテル3,3′ジカルボン酸、ジフェニルスルホン4,4′ジカルボン酸、ジフ10ェニルスルホン2,4ジカルボン酸、ジフェニルスルホン3,4ジカルボン酸、ジフェニルスルホン3,3′ジカルボン酸、ベンゾフェノン4,4′ジカルボン酸、ベンゾフェノン2,4ジカルボン酸、ベンゾフェノン3,4ジカルボン酸、ベンゾフェノン3,3′ジカルボン酸、ピリジン2,6ジカルボン酸、ビス[(4カルボキシ)フタルイミド]4,4′ジフェニルエーテル、ビス[(4カルボキシ)フタルイミド]α,α′メタキシレン等の芳香族ジカルボン酸、ブタン−1,2,4トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4トリカルボン酸及び20これらの無水物、ブタン1,2,3,4テトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノン3,3′,4,4′テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル3,3′,4,4′テトラカルボン酸、ビフェニル3,3′,4,4′テトラカルボン酸、ビフェニル2,2′,3,3′テトラカルボン酸、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸、ナフタレン1,2,4,5テトラカルボン酸、ナフタレン1,4,5,8テトラカルボン酸、及びこれらの二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロ30トリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等のアルキレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等の一種又は二種以上の混合物を共重合することができる。
ポリアミドイミドは、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミド酸が溶解された状態の、いわゆるポリイアミドイミド溶液、ポリアミドイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。ポリアミドイミド溶液の例としては、「HPC−3010」(日立化成社製)、「バイロマックス HR−22BL」(東洋紡社製)等が代表的なものとして挙げられる。
<γ−ブチロラクトン>
γ−ブチロラクトンは、分散液の分散媒(溶剤)として用いられる。本発明では、ポリビニルアルコールおよび顔料誘導体の分散剤としての性能、中間転写ベルトとしての性能を損なわない範囲で、γ−ブチロラクトン以外に、他の溶剤を1種類以上併用しても良いが、本発明の想定する産業上の利用可能性から、γ−ブチロラクトンを単独で用いることが好ましい。
<ポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液の調製>
ポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液は、カーボンブラックが、分散剤としてポリビニルアルコール及びトリアジン誘導体を用いて分散した状態でポリアミドイミドと共存する溶液を指す。上記の分散状態を得ることができれば、その分散順序に限定されることはない。例えば、トリアジン誘導体を用いてカーボンブラックを一旦有機溶剤中に分散し、ポリアミドイミド溶液に添加してもいいし、トリアジン誘導体を用いてカーボンブラックをポリアミドイミド溶液中にて分散しても良い。また、ポリアミドイミドの前駆体であるトリメリット酸無水物あるいはその誘導体とジイソシアネートなどのアミン成分を含む溶液中にカーボンブラックを分散し、前駆体を反応させ、カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液を得てもよい。
<カーボンブラック分散液の製造方法>
本発明の分散液は、ポリビニルアルコールとトリアジン誘導体とを分散剤として用いてカーボンブラックをγ−ブチロラクトン中に分散したものである。この場合、分散剤とカーボンブラックを同時、または順次添加し、混合することで、分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させつつ分散する。但し、カーボンブラック分散液の製造をより容易に行うためには、分散剤をγ−ブチロラクトン中に溶解、膨潤、または分散させ、その後、液中にカーボンブラックを添加し、混合することで分散剤をカーボンブラックに作用(吸着)させることが、より好ましい。
分散装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機を使用することができる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等、シルバーソン社製「アブラミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、コロイドミル(PUC社製「PUCコロイドミル」、IKA社製「コロイドミルMK」)類、コーンミル(IKA社製「コーンミルMKO」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、乾式処理により、カーボンブラックを分散剤で表面処理した後、分散液を製造する場合について説明する。γ−ブチロラクトン中に、下記乾式処理により得たカーボンブラックとポリビニルアルコールと顔料誘導体の混合物を添加、混合する事により、カーボンブラック分散液を得ることが出来る。
本発明における乾式処理は、常温もしくは加熱下で乾式処理装置により、カーボンブラックおよびポリビニルアルコールと顔料誘導体の混合、粉砕等を行いながら、カーボンブラック表面に上記分散剤を作用(吸着)させるものである。但し、カーボンブラック表面に上記分散剤が完全に吸着されている必要はなく、ある程度均質に混合出来ていれば、実用上は問題無い場合もある。使用する装置は、特に限定されるものではく、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、振動ミル等のメディア型分散機、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、プラネタリーミキサー、フェンシェルミキサー、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等の分散・混錬機が使用できるが、コンタミ等を考慮し、メディアレスの分散・混錬機を使用するのがより好ましい。
また、このとき処理物がゲル状にならない範囲で有機溶剤を添加してもよい。溶剤の添加によるポリビニルアルコールおよび顔料誘導体の濡れ、または(一部)溶解、およびカーボンブラックの上記分散剤に対する濡れが向上することで、カーボンブラックと上記分散剤間相互作用の促進が期待される。このとき用いる溶剤は特に限定されるものではないが、γ−ブチロラクトン以外を使用する場合は処理後に乾燥することが望ましい。また、有機溶剤の添加量は用いる材料により異なるが、上記分散剤の添加量に対して0.5〜100重量%である。さらに、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式処理装置内部を脱酸素雰囲気として処理を行っても良い。
乾式処理時間は、用いる装置によって、また希望とする混練度に応じて任意に設定できる。これらの乾式処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の処理物を得ることができる。得られた処理物については、その後さらに、乾燥、粉砕しても良い。
本発明において、カーボンブラックに対する分散剤としてのポリビニルアルコールおよびトリアジン誘導体の添加量は、カーボンブラック100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上、40重量部以下が好ましく、0.5重量部以上、20重量部以下がより好ましく、1重量部以上、20重量部以下がさらに好ましく、1重量部以上、18重量部以下が特に好ましい。
カーボンブラック分散液における分散剤の添加量は、添加するカーボンブラックの比表面積やカーボンブラック粒子の分散後の平均粒子径、カーボンブラックへの分散剤の吸着量等により決定される。
上記のような比率で配合することにより、本発明が解決しようとする課題であるカーボンブラック分散液の低粘度化が可能となり、高濃度で分散性と貯蔵安定性に優れた分散液を得ることが容易となる。
<中間転写ベルトの作製方法>
本発明の中間転写ベルトは、ポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液を塗工した塗膜を加熱することで、γ−ブチロラクトンを除去するとともに、硬化させることができる。通常のポリアミドイミド樹脂組成物は、乾燥及び硬化のために熱処理され、少なくとも200℃以上での加熱が必要である。これは、低温で硬化させた場合は塗膜中に残留したγ−ブチロラクトンや硬化が不十分になることによって、機械的強度が劣る可能性があるためである。
加熱方法としては、加熱炉内を通過させる方法や加熱風を吹き付ける方法などが挙げられるが、特に制限されない。例えば加熱炉としては放射型、循環風型などが挙げられ、加熱風を形成する機器としては、熱風器、遠赤外線ヒーターなどがあげられる。また、前期塗膜を形成するための金型の周囲にコイルを巻き、誘導加熱によって直接金型を加温する方法も挙げられる。
ポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液を無端ベルト(シームレスベルト)に成型する際には以下に例示する方法が挙げられる。ポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液を用いて作成した塗膜を遠心成型して均一化した後、該塗膜の加熱を行ってγ−ブチロラクトンを除去すると共に、硬化を進行させることができる。
まず、円筒金型にポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液を供給し、回転遠心成型法により金型内周面に遠心力によって均一に展開する。このとき溶液の粘度はB型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ベルトの厚みばらつきの原因となる。製膜後、80〜150℃にて加熱を行い、溶媒を除去する。次いで200〜400℃の高温で加熱することにより、硬化を進行させる。カーボンブラックの分散状態のばらつきや、ベルトの抵抗値のばらつきを防止する観点から、この有機溶剤除去およびイミド化反応時の加熱は均等に行う必要がある。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら加熱する、有機溶剤を蒸発させるための熱風の循環を調整する等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくするなどの方法がある。最後に、室温まで冷却した後、金型から取り出し、無端ベルト(シームレスベルト)に成形されたカーボンブラック分散ポリアミドイミドを得る。
このようにして得られたカーボンブラック分散ポリアミドイミドは、カーボンブラックの分散性が高く、電気抵抗値のばらつきが小さいことから、電子写真方式や静電印刷方式の画像形成装置の機能性ベルトとして、特に中間転写ベルトとして好適に使用し得、中間転写ベルトとして使用した場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラ(白抜け、トナーのチリ等)の不具合を生じることなく、良好な画質を転写することが可能となる。
本発明の電子写真用ポリイミドベルトは、好適な態様において、その表面抵抗率の常用対数値logρs(Ω/□)が8.0〜14の半導電性を示し、さらに導電性フィラーとしてのカーボンブラックの分散状態が良好であることから、安定した電気特性、機械的特性を示す。よって、中間転写ベルト以外に、電子写真方式や静電印刷方式の画像形成装置における紙などの被記録媒体の搬送も兼ねさせる転写ベルト等の他の機能性ベルトとしても、使用可能である。
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例中、部は質量部を、%は質量%を、それぞれ表す。
実施例及び比較例で使用したカーボンブラック(「CB」と略記することがある)、ポリビニルアルコール(「PVA」と略記することがある)、トリアジン誘導体、バインダーを以下に示す。また、各表には、各原料の組成のみを記載しているが、特に記載の無い残りの成分は、全てγ−ブチロラクトン(「GBL」と略記することがある)である。
<カーボンブラック(CB)>
・#33(三菱化学社製):ファーネスブラック、平均一次粒子径30nm、比表面積85m2/g、以下、#33と略記する。
・#5(三菱化学社製):ファーネスブラック、平均一次粒子径76nm、比表面積29m2/g、以下、#5と略記する。
・MA100(三菱化学社製):酸化処理カーボンブラック、平均一次粒子径24nm、比表面積110m2/g、以下、MA100と略記する。
(カーボンブラックの平均一次粒子径の測定方法)
カーボンブラックの平均一次粒子径(MV)は、以下に示す方法により測定(算出)した。カーボンブラックの粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、樹脂型分散剤としてDisperbyk−161(ビックケミー社)を少量添加し、超音波洗浄機の水浴中で1分間分散処理して測定用試料を調製した。この試料を測定用ターゲットに塗布、乾燥し、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製透過型電子顕微鏡H−7650)により、100個以上のカーボンブラックの一次粒子が観察出来る写真を撮影した。撮影された画像にて、カーボンブラック粒子の任意の100個を選び、その一次粒子の短軸径と長軸径の平均値を粒子径(d)とし、次いで個々のカーボンブラックを、求めた粒子径(d)を有する球とみなして、それぞれの粒子の体積(V)を求め、この作業を100個のカーボンブラック粒子について行い、そこから下記式(201)を用いて算出した。

式(201) MV=Σ(V・d)/Σ(V)
<ポリビニルアルコール(PVA)>
・ゴーセノール LL−920(日本合成化学社製):けん化度30.0mol%、以下、LL−920と略記する。
・ゴーセノール LL−940(日本合成化学社製):けん化度42.0mol%、以下、LL−940と略記する。
・ゴーセノール LL−810(日本合成化学社製):けん化度48.0mol%、以下、LL−810と略記する。
・クラレポバール PVA−105(クラレ社製): ポリビニルアルコール、けん化度98mol%、以下、PVA−105と略記する。
・合成品1:ポリビニルアルコール、けん化度25mol%。
・合成品2:ポリビニルアルコール、けん化度55mol%。
・合成品3:ポリビニルアルコール、けん化度60mol%。
・合成品4:ポリビニルアルコール、けん化度65mol%。
・合成品5:ポリビニルアルコール、けん化度70mol%。
尚、上記合成品1から合成品5は、業界公知の方法により、ポリ酢酸ビニルを水酸化ナトリウムでけん化することにより得た。
<トリアジン誘導体>
酸性官能基を有するトリアジン誘導体の構造を表1−1に、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の構造を表1−2に、それぞれ示した。
表1−1
Figure 2015172621
表1−2
Figure 2015172621
<ポリアミドイミド溶液>
・HPC−3010(日立化成社製):ポリアミドイミド30%、GBL70%から成る樹脂溶液。
・バイロマックス HR−22BL:(東洋紡社製):ポリアミドイミド20%、GBL80%から成る樹脂溶液。
<カーボンブラック分散液、ポリアミドイミド含有カーボンブラック分散液の評価>
実施例、比較例で得られたカーボンブラック分散液の評価(分散安定性と保存安定性)は、粘度と分散粒径を測定することにより行った。分散液の作成直後と、分散液を密閉容器中で、50℃のオーブン中7日間、および14日間保存した後の、それぞれの分散液の粘度と分散粒径(D50値)を測定した。分散直後と保存後の粘度、分散粒径の値とを比較して算出した変化率で保存安定性を評価した。変化率(R)は式(202)の通りで、保存後の測定値(A)から分散直後の測定値(B)を引いた後、分散直後の測定値で割り、100倍して求めた。

式(202) R[%]=(A−B)/B×100

作成直後から粘度、分散粒径の変化率の値が小さいものほど保存安定性が良好であることを示す。
分散液の粘度は、B型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、分散液温度25℃、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて測定した。測定の前処理として分散液をディゾルバー(回転数3000rpm、2分)で撹拌した後、30秒以内に測定した。測定に使用したローターは、粘度が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。得られた粘度が10000mPa・s以上の場合については、「>10000」と記載したが、これは評価に用いたB型粘度計では測定不可能なほどに高粘度であったことを示す。低粘度であるほど分散安定性が良好であり、高粘度であるほど分散安定性が不良であることを示す。
また、分散液の分散粒径は、分散液をGBLにより適切な濃度に希釈した後に、超音波処理を施した液を測定サンプルとして用い、動的光散乱法方式の粒度分布計(日機装社製「ナノトラックUPA−EX」、光源波長780nm)を用いて分散粒径(D50値)を測定した。各種測定条件は、上記方法によりGBL希釈した分散液のローディングインデックス値を0.7以上1.3以下に、粒子条件を、吸収性粒子、粒子形状非球形、密度1.80とし、溶媒条件を、溶媒屈折率1.47、液温20℃における溶媒粘度1.80mPa・s、液温25℃における溶媒粘度1.65mPa・sと設定し、得られたメジアン径をD50値として表記した。測定結果は、液温25℃のGBLについてバックグラウンド値を測定した後、上記方法にて調製した液温25℃のサンプルを測定容器に充填し、上記測定条件にて測定を行うことにより分散粒径(D50値)を計測した。
同じカーボンブラックを使用して同じ分散処理をした場合、D50値が小さいほど分散安定性が良好であり、大きいほど分散安定性が不良であることを示す。
<メディア分散によるカーボンブラック分散液の調製>
[実施例1〜実施例24、比較例1〜比較例7]
表2−1に示す組成に従い、ガラス瓶にGBLとポリビニルアルコールとトリアジン誘導体とをそれぞれ仕込み、充分に混合した後、カーボンブラックを加え、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで3時間分散し、各カーボンブラック分散液を作成した。得られたカーボンブラック分散液の評価結果を表2−2に示した。実施例1〜実施例24で得られた分散液は、いずれも低粘度かつD50値が小さく、50℃、14日間保存後も粘度、分散粒径の変化率が2%未満と保存安定性も良好であった。特に優れたものは50℃、14日間保存後も粘度、分散粒径の変化率が1%未満であった。これに対して、比較例1〜比較例7で得られた分散液はいずれも経時と共に増粘、またはD50値の増大がみられ、分散安定性、保存安定性共に不良であった。
Figure 2015172621
Figure 2015172621
<ポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液の調製>
[実施例25〜実施例49、比較例8〜比較例14]
表2−3に示す組成に従い、上記で作成したカーボンブラック分散液とポリアミドイミド溶液とGBLとを、固形分が20%、固形分中のカーボンブラック濃度が20%になるようにガラス瓶に仕込み、遠心式攪拌脱泡機(あわとり練太郎AR500、シンキー社製)にて2200rpmで3分間攪拌し、さらに2000rpmで30秒間攪拌して脱泡して、ポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液を得た。得られたポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液の評価結果を表2−3に示した。実施例25〜実施例49で得られた分散液は、いずれも低粘度かつD50値が小さく、50℃、14日間保存後も粘度、分散粒径の変化率が2%未満と保存安定性も良好であった。特に優れたものは50℃、14日間保存後も粘度、分散粒径の変化率が1%未満であった。これに対して、比較例8〜比較例14で得られた分散液は、いずれも経時と共に増粘、またはD50値の増大がみられ、分散安定性、保存安定性共に不良であった。
Figure 2015172621
<ポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液を使った塗膜の評価>
上記カーボンブラック分散液を塗布した塗膜は、塗膜表面状態、60°光沢値、表面抵抗ばらつきにより評価した。塗膜表面状態は、目視にて塗膜表面に凝集物(ブツ)発生の有無、マイグレーションの有無を確認した。これらは塗膜が不均一であること意味しており、凝集物やマイグレーションが見られないことが必要である。60°光沢値は、光沢計(光沢計VG7000、日本電色工業社製)にて鏡面光沢度−測定方法(JIS Z8741)に準拠した方法で測定した。60°光沢値が高いものほど、均一且つ微細にカーボンブラックが分散できていることを示す。表面抵抗ばらつきは、塗布をハイレスタ−IPMCP−HT260(三菱化学社製、プローブHR−100)を用いて、100V/10秒印加時の表面抵抗を10点測定し、得られた個々の表面抵抗率の最大値の対数値と最小値の対数値の差を表面抵抗ばらつきとした。
<ポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液を使った塗膜の作成>
[実施例50〜実施例74、比較例15〜比較例21]
上記で作成したポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレードを用いて塗工した後、減圧下120℃で30分間加熱乾燥し、膜厚5μmの塗膜をそれぞれ作製した。得られた塗膜の評価結果を表2−4に示した。実施例50〜実施例74で得られた塗膜は、いずれも良好な塗膜表面状態、高い60°光沢値、低い表面抵抗ばらつきを示した。これに対して、比較例15〜比較例21で得られた塗膜は、いずれも、凝集物あるいはマイグレーションが見られた上に、実施例50〜実施例74で得られた塗膜に比べて、低い光沢、高い表面抵抗ばらつきを示しており、カーボンブラックが均一に分散した塗膜が得られていないことが明らかとなった。
Figure 2015172621
<中間転写ベルトの作製と評価>
[実施例75〜実施例99、比較例22〜比較例28]
内径100mm、長さ300mmの内面を鏡面仕上げした金属製円筒を型として用いた。この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記で作成したポリアミドイミドを含むカーボンブラック分散液を、それぞれ円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜が満遍なく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して60分間加熱した。さらに昇温して200℃で20分間加熱、次いで、300℃で30分間加熱した後、回転を停止して、徐冷して取り出し、形成された塗膜を円筒内面から剥離し、膜厚65μmの中間転写ベルトを得た。得られた中間転写ベルトは、上記塗膜と同じ方法と評価基準で、塗膜表面状態と表面抵抗ばらつきにより評価した。得られた中間転写ベルトの評価結果を表2−5に示した。実施例75〜実施例99で得られた中間転写ベルトは、いずれも良好な塗膜表面状態と低い表面抵抗ばらつきを示した。これに対して、比較例22〜比較例28で得られた中間転写ベルトは、いずれも、実施例75〜実施例99で得られた塗膜に比べて、いずれも、凝集物あるいはマイグレーションが見られた上に、高い表面抵抗ばらつきを示しており、カーボンブラックが均一に分散した中間転写ベルトを得られていないことが明らかとなった。
Figure 2015172621

Claims (6)

  1. カーボンブラックと、トリアジン誘導体と、ポリビニルアルコールと、溶剤とを含有してなるカーボンブラック分散液であって、ポリビニルアルコールのけん化度が30〜65mol%の範囲であり、溶剤がγ−ブチロラクトンであることを特徴とするカーボンブラック分散液。
  2. ポリビニルアルコールのけん化度が、45〜55mol%の範囲であることを特徴とする請求項1記載のカーボンブラック分散液。
  3. カーボンブラック100質量部に対して、ポリビニルアルコールが4質量部以上10質量部以下含有し、且つトリアジン誘導体が3質量部以上8質量部以下含有してなることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンブラック分散液。
  4. さらに、ポリアミドイミドを含有してなる請求項1〜3いずれか記載のカーボンブラック分散液。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のカーボンブラック分散液を塗布してなる塗膜。
  6. 請求項5記載の塗膜を具備してなる中間転写ベルト。
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