JP2018168244A - ベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、並びにこれを含んだ顔料組成物 - Google Patents
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また、これまでカラーフィルターのレッド用の顔料として広く使用されているピグメントレッド254を用いた顔料組成物は、透過率の向上が課題であった。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(1)
(2)R1乃至R4が水素原子、ハロゲン原子、又は−SO3M基であり、Mが水素原子、セシウム原子、カルシウム原子、バリウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)である前項(1)に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、
(3)R1乃至R4が水素原子である前項(2)に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、
(4)Mが水素原子、又はカルシウム原子である前項(3)に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物、
(6)樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である前項(5)に記載の顔料組成物、
(7)有機顔料100質量部に対するベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である前項(5)又は(6)に記載の顔料組成物、
(8)有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である前項(5)乃至(7)のいずれか一項に記載の顔料組成物、
(9)前項(5)乃至(8)のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト、
(10)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物、及び
(11)更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する前項(10)に記載のインクジェット用インク組成物、
に関する。
本発明のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩は下記式(1)で表される構造を有する。
式(1)のR1乃至R4が表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、臭素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
式(1)中のMが表すアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の具体例としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、フランシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子及びラジウム原子が挙げられ、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子又はバリウム原子であることが好ましく、セシウム原子、カルシウム原子又はバリウム原子であることがよりこの好ましく、セシウム原子又はカルシウム原子であることが更に好ましく、カルシウム原子であることが特に好ましい。
尚、R1乃至R4の少なくとも一つが−SO3M基又は−CO2M基を表し、かつMがアルカリ土類金属の場合、該−SO3M基または該−CO2M基との結合に関与しない一方の正の電荷は、負の電荷を有するいかなる物質や化合物等と結合していても構わず、これらは全て本発明の式(1)で表される構造を有するベンゾイミダゾロン化合物またはそれらの塩の範疇に含まれる。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基及び2−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシエチル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、好ましくはシクロヘキシル基である。尚、ここで言うシクロアルキル基は飽和炭化水素環および/又は不飽和炭化水素環で増環されていてもよく、シクロアルキル基の環上の水素原子および/又は増環上の水素原子はアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。増環されており、かつアルキル基を有する炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基を有する−NZ1Z2Z3Z4基の具体例としては、ロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)が好ましい。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアリール基の具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
なお、下記表1内にある略語は、以下の意味を有する。
H:水素原子、Ca:カルシウム原子、Cs:セシウム原子、Ba:バリウム原子
本発明の顔料組成物が含有する有機顔料は、カラーインデックスに記載されたものなど従来公知のものであれば特に限定されないが、本発明の式(1)で表される化合物自体がレッド系の色相を有するため、有機顔料本来の色相を損なわない意味ではレッド系の有機顔料を用いるのが好ましく、カラーインデックスでピグメントレッドに分類される有機顔料を用いるのがより好ましく、C.I.ピグメントレッド254が更に好ましい。また、本発明の化合物と混合した際の分散安定性に優れるという意味で、顔料組成物が含有する有機顔料は、ジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料であることが好ましい。
本発明のカラーレジストに用い得るバインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、スチレン系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体、セルロースアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。バインダー樹脂は顔料組成物中に50質量%以下を占める量が用いられる。
これらの重合性化合物には、必要により重合開始剤や硬化促進剤等を併用することが好ましい。
(工程1)
2−(p−アミノフェニル)−6−メチル−7−ベンゾチアゾールスルホン酸9.6部を水100部に加え25%水酸化ナトリウム水溶液でpH10にすることにより「水溶液1」を得た。攪拌下、氷水150部に塩化シアヌル5.5部を加えて懸濁し、反応温度0乃至5℃で先に得られた「水溶液1」を全量添加した。この間、反応系内に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH値を2.5乃至3.5に保持し、同温度で1時間攪拌し、下記式(3)で表される化合物を含む「水溶液2」を300部得た。
反応容器に5−アミノベンゾイミダゾロン9.0部とNMP100部及び工程1で得られた式(3)で表される化合物を含む「水溶液2」の全量を加え、100℃で20時間反応させた後、40℃まで冷却し、この反応液をろ過して、具体例化合物No.1で示される化合物を含むウェットケーキ100部を得た。
工程2で得られた具体例化合物No.1で示される化合物を含むウェットケーキ100部を水600部に懸濁させ、35%塩酸を加えpH1以下とし、1時間撹拌した後に、ろ過を行い、得られたウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、具体例化合物No.1で示される化合物21.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは349nm(NMP)であった。
(工程3)
工程1で得られた具体例化合物No.1で表される化合物を含むウェットケーキ100部を水600部に懸濁させ、25%水酸化ナトリウムを加え、pH9乃至10とし、この懸濁液に塩化カルシウム1.7部を加え、1時間撹拌した後にろ過を行い、得られたウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、具体例化合物No.2で示される化合物22.5部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは349nm(NMP)であった。
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一なバインダー樹脂溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、バインダー樹脂Aを得た。得られたバインダー樹脂Aのポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
有機顔料としてC.I.ピグメントレッド254 10.0部、本発明の化合物として実施例1で得られたNo.1で示される化合物1.0部、バインダー樹脂として合成例1で得られたバインダー樹脂A1.8部、樹脂分散剤としてアジスパーPB881(味の素ファインテクノ社製)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82部を配合し、プレミキシングの後、0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散した。得られた分散液を5μmのフィルタでろ過することにより顔料組成物を調製した。
実施例1で得られたNo.1で示される化合物の代わりに実施例2で得られたNo.2で示される化合物を用いた以外は実施例3と同じ方法で、顔料組成物を調製した。
実施例1で得られたNo.1で示される化合物を用いなかったこと以外は実施例3と同じ方法で顔料組成物を調製した。
実施例3、4及び比較例1で得られた顔料組成物について、B型粘度計を用い、室温(25℃)10rpmの条件で粘度を測定し、下記の基準で評価した。尚、保存安定性を確認するために、初期(調整直後)の他に40℃で3日放置後の粘度も測定及び評価した。結果を表2に示した。
・評価基準
初期粘度:20mPa・s未満○、20mPa・s以上×
40℃×3日後粘度増加率:20%未満○、20%以上×
尚、調製直後にゲル化したものについては、40℃で3日放置後の粘度は「評価不能」とした。
具体的には、実施例3及び4は比較例1がゲル化により分散不可であるのに対し、40℃×3日後の粘度増加率は20%以下であった。
Claims (11)
- R1乃至R4が水素原子、ハロゲン原子、又は−SO3M基であり、Mが水素原子、セシウム原子、カルシウム原子、バリウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)である請求項1に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩。
- R1乃至R4が水素原子である請求項2に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩。
- Mが水素原子、又はカルシウム原子である請求項3に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物。
- 樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である請求項5に記載の顔料組成物。
- 有機顔料100質量部に対するベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である請求項5又は6に記載の顔料組成物。
- 有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である請求項5乃至7のいずれか一項に記載の顔料組成物。
- 請求項5乃至8のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のベンゾイミダゾロン化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物。
- 更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する請求項10に記載のインクジェット用インク組成物。
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