JP2017171761A - クマリン化合物又はそれらの塩、並びにこれを含んだ顔料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】レッド系等の有機顔料を含む顔料組成物を、凝集、沈降、経時的な粘度の増加を引き起こすことなく微粒子化及び高濃度化した、カラーフィルター用レジスト等の着色剤として安定な組成物の提供。【解決手段】式(1)で表される構造を有するクマリン化合物又はそれらの塩。(R1及びR2は夫々独立にH又はC1〜4のアルキル基;R3〜R6は夫々独立にH、C1〜4のアルキル基又はハロゲン原子;R7はH又はC1〜4のヒドロキシアルコキシアルキル基;MはH、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は−NZ1Z2Z3Z4基;Z1〜Z4は夫々独立にH、C1〜4のアルキル基又はアラルキル基等;X及びYはO、S又は二価の連結基−NR8−;R8はH又はC1〜4のアルキル基)【選択図】なし
Description
本発明は、液晶ディスプレイや撮像素子などの製造に使用されるカラーフィルター用レジストやインクジェット用インクに用いられるクマリン化合物又はそれらの塩、並びに該化合物を含有する流動性や透明性に優れる顔料組成物に関する。
塗料や印刷インキ、近年ではカラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、顔料が利用されている。顔料は、耐熱性、耐候性、耐マイグレーション等の諸特性で、染料と比較して堅牢性の面で優れるが、一方で組成物にした際の凝集、沈降、経時的な粘度の増加、異種顔料と混合した際の色分かれ等の潜在的な問題を有している。
また最近では、液晶ディスプレイの高コントラスト化や撮像素子の微細化、インクジェットインクの高着色や高鮮明化等を達成するために、顔料の微粒子化及び顔料組成物中における顔料の高濃度化の要求が高まっているが、粒子径の微細化に伴い、また顔料の高濃度化に伴い凝集が起こりやすくなり、安定な分散体を得ることが困難となっている。
こうした問題を解決するために、顔料自体の改良検討(顔料表面処理)や顔料に対して良好な吸着性を有する分散剤、界面活性剤の開発、及び顔料誘導体等の提案がこれまでに行われてきた。顔料誘導体とは微粒子化する顔料と同構造あるいは類似構造の顔料に、酸性や塩基性等の置換基を導入した化合物で、顔料との親和性や吸着性を有し、且つ酸・塩基相互作用により分散剤とも強い結合力を有する為、顔料の微粒子化・分散安定化を向上する性質があり、顔料の粉砕・分散微粒子化工程等において使用されている。カラーフィルターやインクジェットで用いられる顔料としては、フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、染料レーキ顔料等が挙げられ、特にフタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料を中心に数々の顔料誘導体が報告されてきた。例えば、顔料のスルホン化物あるいはその金属塩を顔料と混和する方法(特許文献1〜3)、置換アミノメチル誘導体を混和する方法(特許文献4)フタルイミドメチル誘導体を混和する方法(特許文献5)等が知られている。
これらの方法は、特定の骨格を有する顔料に対する効果は認められるものの、スルホン基、アミノメチル基、フタルイミドメチル基などを導入することが構造上難しい顔料に対しては、導入する置換基の数や位置の制御が難しく、結果として分散剤としての効果が不充分であり、しかも色調にも悪影響を及ぼす副生成物が多量に生成し、顔料分散液の品質が安定しない等の課題を有する。
また、これまでカラーフィルターのレッド用の顔料として広く使用されているピグメントレッド254を用いた顔料組成物は、透過率の向上が課題であった。
また、これまでカラーフィルターのレッド用の顔料として広く使用されているピグメントレッド254を用いた顔料組成物は、透過率の向上が課題であった。
本発明が解決しようとする課題は、C.I.ピグメントレッド254をはじめとするレッド系等の有機顔料を含む顔料組成物(顔料分散液)を、凝集、沈降、経時的な粘度の増加を引き起こすことなく顔料の微粒子化及び高濃度化することであり、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な組成物(分散体)を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、クマリンスルホン酸誘導体からなる化合物を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(1)
すなわち、本発明は、
(1)下記式(1)
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。R3乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R7は水素原子又は炭素数1乃至6のヒドロキシアルコキシアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は−NZ1Z2Z3Z4基を表す。Z1乃至Z4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基、アリール基、又は炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基が置換した炭素数1乃至4のアルキル基を表す。X及びYはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR8−を表す。R8は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。)で表される構造を有するクマリン化合物又はそれらの塩、
(2)X及びYが二価の連結基−NH−である前項(1)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(3)R1及びR2がそれぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基であり、R3乃至R6が水素原子であり、R7が炭素数1乃至4のヒドロキシアルコキシアルキル基であり、Mがセシウム原子、カルシウム原子、バリウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)である前項(1)又は(2)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(4)R1及びR2がエチル基であり、R7がヒドロキシエトキシエチル基である前項(3)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物、
(6)樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である前項(5)に記載の顔料組成物、
(7)有機顔料100質量部に対するクマリン化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である前項(5)又は(6)に記載の顔料組成物、
(8)有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である前項(5)乃至(7)のいずれか一項に記載の顔料組成物、
(9)前項(5)乃至(8)のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト、
(10)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物、
(11)更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する前項(10)に記載のインクジェット用インク組成物、
に関する。
(2)X及びYが二価の連結基−NH−である前項(1)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(3)R1及びR2がそれぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基であり、R3乃至R6が水素原子であり、R7が炭素数1乃至4のヒドロキシアルコキシアルキル基であり、Mがセシウム原子、カルシウム原子、バリウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)である前項(1)又は(2)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(4)R1及びR2がエチル基であり、R7がヒドロキシエトキシエチル基である前項(3)に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物、
(6)樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である前項(5)に記載の顔料組成物、
(7)有機顔料100質量部に対するクマリン化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である前項(5)又は(6)に記載の顔料組成物、
(8)有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である前項(5)乃至(7)のいずれか一項に記載の顔料組成物、
(9)前項(5)乃至(8)のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト、
(10)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物、
(11)更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する前項(10)に記載のインクジェット用インク組成物、
に関する。
本発明の式(1)で示されるクマリン化合物又はそれらの塩は製造が極めて容易であり、該化合物を使用することにより、C.I.ピグメントレッド254等の顔料を含む顔料組成物を、凝集、沈降、経時的な粘度の増加を引き起こすことなく微粒子化・高濃度化することが可能となり、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な分散体を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のクマリン化合物又はそれらの塩は下記式(1)で表される構造を有する。
本発明のクマリン化合物又はそれらの塩は下記式(1)で表される構造を有する。
本発明のクマリン化合物又はそれらの塩は、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として好適に用いることができる。以下、便宜上、「本発明のクマリン化合物又はそれらの塩」を含めて、単に「本発明の化合物」と簡略して記載することもある。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖であることが好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。
式(1)におけるR1及びR2としては、それぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基であることが好ましく、両者が同一の炭素数1乃至4のアルキル基であることがより好ましく、両者が同一のメチル基又はエチル基であることが更に好ましく、両者がエチル基であることが特に好ましい。
式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖であることが好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。
式(1)におけるR1及びR2としては、それぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基であることが好ましく、両者が同一の炭素数1乃至4のアルキル基であることがより好ましく、両者が同一のメチル基又はエチル基であることが更に好ましく、両者がエチル基であることが特に好ましい。
式(1)中、R3乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。
式(1)のR3乃至R6が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
式(1)のR3乃至R6が表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子である。
式(1)におけるR3乃至R6としては、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(1)のR3乃至R6が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
式(1)のR3乃至R6が表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子である。
式(1)におけるR3乃至R6としては、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(1)中、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は−NZ1Z2Z3Z4基を表す。Z1乃至Z4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基、アリール基、又は炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基が置換した炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(1)中のMが表すアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の具体例としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、フランシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子及びラジウム原子が挙げられ、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子又はバリウム原子であることが好ましく、セシウム原子、カルシウム原子又はバリウム原子であることがよりこの好ましく、セシウム原子又はカルシウム原子であることが更に好ましく、セシウム原子であることが特に好ましい。
Mがアルカリ土類金属の場合、−SO3M基との結合に関与しない一方の正の電荷は、負の電荷を有するいかなる物質や化合物等と結合していても構わず、これらは全て本発明の式(1)で表される構造を有するクマリン化合物またはそれらの塩の範疇に含まれる。
Mがアルカリ土類金属である式(1)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩の好ましいものとしては、例えば下記式(3)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩の二量体が挙げられる。
式(1)中のMが表すアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子の具体例としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、フランシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子及びラジウム原子が挙げられ、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子又はバリウム原子であることが好ましく、セシウム原子、カルシウム原子又はバリウム原子であることがよりこの好ましく、セシウム原子又はカルシウム原子であることが更に好ましく、セシウム原子であることが特に好ましい。
Mがアルカリ土類金属の場合、−SO3M基との結合に関与しない一方の正の電荷は、負の電荷を有するいかなる物質や化合物等と結合していても構わず、これらは全て本発明の式(1)で表される構造を有するクマリン化合物またはそれらの塩の範疇に含まれる。
Mがアルカリ土類金属である式(1)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩の好ましいものとしては、例えば下記式(3)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩の二量体が挙げられる。
式(3)中、R1乃至R7、X及びYは式(1)におけるR1乃至R7、X及びYと同じ意味を表し、Aは二価の連結基−SO3MAESO3−を表し、MAEはアルカリ土類金属原子を表す。
式(3)は本発明のクマリン化合物の二量体の一例であるが、二量体以上の多量体も本発明のクマリン化合物又はそれらの塩の範疇に含まれる。
式(3)は本発明のクマリン化合物の二量体の一例であるが、二量体以上の多量体も本発明のクマリン化合物又はそれらの塩の範疇に含まれる。
式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基及び2−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシエチル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基及びフェニルブチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられ、好ましくはシクロヘキシル基である。尚、ここで言うシクロアルキル基は飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環で増環されていてもよく、シクロアルキル基の環上の水素原子及び/又は増環上の水素原子はアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。増環されており、かつアルキル基を有する炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、ロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)が好ましい。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアリール基の具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基及び2−ヒドロキシブチル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシエチル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基及びフェニルブチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられ、好ましくはシクロヘキシル基である。尚、ここで言うシクロアルキル基は飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環で増環されていてもよく、シクロアルキル基の環上の水素原子及び/又は増環上の水素原子はアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。増環されており、かつアルキル基を有する炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、ロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)が好ましい。
式(1)中のZ1乃至Z4が表すアリール基の具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基が置換した炭素数1乃至4のアルキル基とは、炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基を置換基として有する炭素数1乃至4のアルキル基、即ちシクロアルキル置換アルキル基であり、該シクロアルキルアルキル基中の炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例としては、式(1)中のZ1乃至Z4が表す炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、また該シクロアルキル基中の炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられる。
式(1)におけるMとしては、それぞれ独立にリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子若しくはバリウム原子であるか、又は−NZ1Z2Z3Z4基であって、かつZ1乃至Z4がそれぞれ独立に水素原子若しくは炭素数5若しくは炭素数6のシクロアルキル基であることが好ましく、セシウム原子、カルシウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)であることがより好ましい。
式(1)中、R7は水素原子又は炭素数1乃至6のヒドロキシアルコキシアルキル基を表す。
式(1)のR7が表すヒドロキシアルコキシ基の具体例としては、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基及び2−ヒドロキシエトキシブチル基等が挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエトキシエチル基または2−ヒドロキシプロポキシエチル基であり、2−ヒドロキシエトキシエチル基がより好ましい。
式(1)におけるR7としては、炭素数1乃至6のヒドロキシアルコキシアルキル基であることが好ましく、炭素数1乃至4のヒドロキシアルコキシアルキル基であることがより好ましく、ヒドロキシエトキシエチル基であることが更に好ましい。
式(1)のR7が表すヒドロキシアルコキシ基の具体例としては、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基及び2−ヒドロキシエトキシブチル基等が挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエトキシエチル基または2−ヒドロキシプロポキシエチル基であり、2−ヒドロキシエトキシエチル基がより好ましい。
式(1)におけるR7としては、炭素数1乃至6のヒドロキシアルコキシアルキル基であることが好ましく、炭素数1乃至4のヒドロキシアルコキシアルキル基であることがより好ましく、ヒドロキシエトキシエチル基であることが更に好ましい。
式(1)中、X及びYはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR8−を表す。R8は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(1)中のR8が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
式(1)におけるX及びYとしては酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR8−であって、R7が水素原子又はメチル基であることが好ましく、二価の連結基−NR8−であって、R8が水素原子であることがより好ましい。
本発明の式(1)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩としては、上記したR1乃至R7(−NZ1Z2Z3Z4基中のZ1乃至Z4)、M、X及びY(二価の連結基−NR8−中のR8)それぞれの好ましいものを組み合わせた化合物又はそれらの塩がより好ましく、より好ましいものを組み合わせた化合物又はそれらの塩が更に好ましい。
式(1)中のR8が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)のR1及びR2が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
式(1)におけるX及びYとしては酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR8−であって、R7が水素原子又はメチル基であることが好ましく、二価の連結基−NR8−であって、R8が水素原子であることがより好ましい。
本発明の式(1)で表されるクマリン化合物又はそれらの塩としては、上記したR1乃至R7(−NZ1Z2Z3Z4基中のZ1乃至Z4)、M、X及びY(二価の連結基−NR8−中のR8)それぞれの好ましいものを組み合わせた化合物又はそれらの塩がより好ましく、より好ましいものを組み合わせた化合物又はそれらの塩が更に好ましい。
式(1)の化合物を造塩する際に用いられるアミンとしては、例えば、アンモニア、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルアミン及びロジンアミン(18−アミノアビエタ−8,11,13−トリエン)等が挙げられる。
前記式(1)で表されるクマリン化合物の塩は、遊離酸やその互変異性体、及びそれら各種の塩の混合物であってもよい。例えばセシウム塩とアンモニウム塩の混合物、遊離酸セシウム塩の混合物、リチウム塩、カルシウム塩及びセシウム塩の混合物など、いずれの組み合わせを用いても良い。塩の種類によって溶解性などの物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択したり、複数の塩などを含む場合にはその比率を変化させることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
式(1)で示される本発明のクマリン化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。
すなわち、特許文献7に記載の方法により、下記式(4)で示される化合物と下記式(5)で表される化合物を縮合反応させることにより、下記式(6)で示される化合物を得ることが出来る。下記式(6)におけるR6は、例えば特許文献9の方法により導入することができる。得られた下記式(6)で示される化合物を常法によりニトロ化することにより、下記式(7)で示される化合物を得ることが出来る。得られた下記式(7)で示される化合物を常法により還元することにより、下記式(8)で示される化合物を得ることが出来る。
常法により得られた下記式(9)で表される化合物と下記式(8)表される化合物を縮合反応させることにより、所望の化合物を得ることができる。
下記式(4)乃至(9)において、R1乃至R7、X及びYha上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
すなわち、特許文献7に記載の方法により、下記式(4)で示される化合物と下記式(5)で表される化合物を縮合反応させることにより、下記式(6)で示される化合物を得ることが出来る。下記式(6)におけるR6は、例えば特許文献9の方法により導入することができる。得られた下記式(6)で示される化合物を常法によりニトロ化することにより、下記式(7)で示される化合物を得ることが出来る。得られた下記式(7)で示される化合物を常法により還元することにより、下記式(8)で示される化合物を得ることが出来る。
常法により得られた下記式(9)で表される化合物と下記式(8)表される化合物を縮合反応させることにより、所望の化合物を得ることができる。
下記式(4)乃至(9)において、R1乃至R7、X及びYha上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
本発明の化合物の具体例を以下に示す。尚、化合物の酸性官能基は便宜上、遊離酸の形で表すものとする。
本発明の顔料組成物は、本発明の化合物、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する。
本発明の顔料組成物が含有する有機顔料は、カラーインデックスに記載されたものなど従来公知のものであれば特に限定されないが、本発明の式(1)で表される化合物自体がレッド系の色相を有するため、有機顔料本来の色相を損なわない意味ではレッド系の有機顔料を用いるのが好ましく、カラーインデックスでピグメントレッドに分類される有機顔料を用いるのがより好ましく、C.I.ピグメントレッド254が好ましい。また、本発明の化合物と混合した際の分散安定性に優れるという意味で、顔料組成物が含有する有機顔料は、ジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料であることが好ましい。
本発明の顔料組成物が含有する有機顔料は、カラーインデックスに記載されたものなど従来公知のものであれば特に限定されないが、本発明の式(1)で表される化合物自体がレッド系の色相を有するため、有機顔料本来の色相を損なわない意味ではレッド系の有機顔料を用いるのが好ましく、カラーインデックスでピグメントレッドに分類される有機顔料を用いるのがより好ましく、C.I.ピグメントレッド254が好ましい。また、本発明の化合物と混合した際の分散安定性に優れるという意味で、顔料組成物が含有する有機顔料は、ジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料であることが好ましい。
本発明の顔料組成物が含有する樹脂分散剤は、公知の樹脂分散剤であれば特に限定されないが、本発明の化合物との親和性を考慮した場合、カチオン系の樹脂分散剤が好ましい。カチオン系の樹脂分散剤としては、例えば、ビッグケミージャパン株式会社のBYK112、116、140、142、161、162、164、166、182、2000、2001、2050、2070、2150、エフカ社のEFKA4010、4015、4020、4050、4055、4060、4300、4330、4400、4406、日本ルーブリゾール株式会社のソルスパース、24000、32500、味の素ファインテクノ社のアジスパーPB711、821、822、881などが挙げられる。樹脂分散剤の添加量は、有機顔料100質量部に対して通常5乃至100質量部、好ましくは10乃至50質量部である。樹脂分散剤の添加量が5質量部よりも少ない場合は、良好な分散安定性を得ることができない。
本発明の顔料組成物には、必要により有機溶剤を加えることができる。用い得る有機溶剤は特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。有機溶剤は顔料組成物中に90質量%以下を占める量が用いられる。
本発明のカラーレジストは、本発明の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有する。
本発明のカラーレジストに用い得るバインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、スチレン系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体、セルロースアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。バインダー樹脂は顔料組成物中に50質量%以下を占める量が用いられる。
本発明のカラーレジストに用い得るバインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、スチレン系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体、セルロースアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。バインダー樹脂は顔料組成物中に50質量%以下を占める量が用いられる。
本発明のカラーフィルターレジストに用い得る重合性化合物としては、光重合モノマー、エポキシ化合物及びメラミン系化合物等が挙げられる。これらの重合性化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−フルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP−1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA−30(日本化薬製)、UA−33H(新中村化学製)、UA−53H(新中村化学製)及びM−8060(東亞合成製)等の(メタ)アクリレートモノマー;TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)及びDPMP(堺化学製)等のチオール系重合モノマー;日本化薬製品のNC−6000、NC−6300、NC−6300H、NC−3000、EOCN−1020、XD−1000、EPPN−501H、BREN−S、NC−7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、プリンテック製品のVG−3101L、サイラエースS510(チッソ)、TEPIC(日産化学工業)等のエポキシ化合物;並びにメチロール化メラミン及びMw−30(三和ケミカル)等のメラミン系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの重合性化合物には、必要により重合開始剤や硬化促進剤等を併用することが好ましい。
これらの重合性化合物には、必要により重合開始剤や硬化促進剤等を併用することが好ましい。
本発明の顔料組成物に必要により加えることのできるその他の添加剤としては、例えばチクソ付与剤、重合開始剤や硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤、有機又は無機フィラー、カップリング剤等が挙げられるが、これらは顔料組成物の具体的な目的用途によって選択すればよく上記に限定されない。また、その添加量も、具体的な目的用途に合わせて選択すれば良い。
本発明の顔料組成物は、例えば次のような方法で調整することができる。すなわち、有機顔料及び本発明の化合物の配合の方法としては、従来公知の種々の方法、例えば、それぞれの乾燥粉末やプレスケーキを単に混合する方法やニーダー、ビーズミル、ディゾルバー、アトライター等の各種分散機により機械的に混合する方法、水又は有機溶剤中に有機顔料を懸濁させ、その中に本発明の化合物を添加混合して有機顔料の表面に均一に沈着する方法などが挙げられる。次に、得られた有機顔料及び本発明の化合物の混合物に、樹脂分散剤と必要に応じて各種有機溶剤、バインダー樹脂、各種添加剤等を配合して、サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより、所望の顔料組成物を製造することができる。或いは簡便的には、有機顔料、本発明の化合物及び樹脂分散剤と必要に応じてその他の成分を、一括で混合及び分散しても構わない。なお、本発明の顔料組成物における本発明の化合物の添加量は、有機顔料100質量部に対して通常0.1乃至70質量部であり、好ましくは0.5乃至60質量部、より好ましくは1乃至50質量部である。本発明の化合物の配合割合が少なすぎると、目的とする分散安定性及び有機顔料の微粒子化が達成されず、また配合割合を増やしすぎても分散安定性の低下が認められるため、配合量の最適化が必要である。
本発明の顔料組成物の用途は特に限定されず、例えばグラビア印刷インキなどの各種印刷インキ、塗料、電子写真用乾式トナー又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、カラーフィルター用レジスト着色剤などの種々の用途が挙げられる。特に、本発明の顔料組成物は、顔料の微粒子化及び高い安定性が要求されるカラーフィルター用レジスト着色剤、インクジェット記録用インキとして有用である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。実施例における極大吸収波長は分光光度計「(株)島津製作所製UV−3150」で測定した値であり、酸価はJIS K−0070:1992に準拠した測定方法で測定した値である。また、重量平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィーの測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した値である。
実施例1(上記具体例化合物のNo.3で示される化合物の合成)
(工程1)
反応容器中で98%硫酸100部にC.I.ディスパースイエロー82を25部溶解させた後、この溶解液に、98%硫酸20部に70%硝酸8.2部を加えて調製した溶解液を30乃至40℃で45分間掛けて滴下し、同温度で一時間撹拌した。反応液を500部の氷水中に約10分間で滴下し、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(10)で表される化合物を含むウェットケーキ150部を得た。
(工程1)
反応容器中で98%硫酸100部にC.I.ディスパースイエロー82を25部溶解させた後、この溶解液に、98%硫酸20部に70%硝酸8.2部を加えて調製した溶解液を30乃至40℃で45分間掛けて滴下し、同温度で一時間撹拌した。反応液を500部の氷水中に約10分間で滴下し、析出した固体を濾過分離することにより、下記式(10)で表される化合物を含むウェットケーキ150部を得た。
(工程2)
反応容器中で水150部に鉄粉15部と35%塩酸3部を加え90乃至95℃で30分間撹拌した後、この懸濁液にNMP300部に工程1で得られた式(10)で表される化合物を含むウェットケーキ150部を懸濁させた液を70乃至85℃で10分間掛けて滴下し、同温度で一時間撹拌した。反応液を濾過し、下記式(11)で表される化合物を含む溶解液600部を得た。
反応容器中で水150部に鉄粉15部と35%塩酸3部を加え90乃至95℃で30分間撹拌した後、この懸濁液にNMP300部に工程1で得られた式(10)で表される化合物を含むウェットケーキ150部を懸濁させた液を70乃至85℃で10分間掛けて滴下し、同温度で一時間撹拌した。反応液を濾過し、下記式(11)で表される化合物を含む溶解液600部を得た。
(工程3)
4−アミノベンゼンスルホン酸17.5部を水150部に加え25%水酸化ナトリウム水溶液でpH5乃至6にすることにより「水溶液1」を得た。攪拌下、氷水250部に塩化シアヌル18.4部を加えて懸濁し、反応温度0乃至5℃で先に得られた「水溶液1」を全量添加した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を2.5乃至3.5に保持し、同温度で1時間攪拌して「反応液1」を得た。2−(2−アミノエトキシ)エタノール10.5部を水50部に加え35%塩酸水溶液でpH7乃至8にすることにより「水溶液2」を得た。上記「反応液1」に反応温度60乃至70℃で上記「水溶液2」を全量加えた。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を6.5乃至7.5に保持し、同温度で1時間攪拌して下記式(12)で表される化合物を含む「水溶液3」を650部得た。
4−アミノベンゼンスルホン酸17.5部を水150部に加え25%水酸化ナトリウム水溶液でpH5乃至6にすることにより「水溶液1」を得た。攪拌下、氷水250部に塩化シアヌル18.4部を加えて懸濁し、反応温度0乃至5℃で先に得られた「水溶液1」を全量添加した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を2.5乃至3.5に保持し、同温度で1時間攪拌して「反応液1」を得た。2−(2−アミノエトキシ)エタノール10.5部を水50部に加え35%塩酸水溶液でpH7乃至8にすることにより「水溶液2」を得た。上記「反応液1」に反応温度60乃至70℃で上記「水溶液2」を全量加えた。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を6.5乃至7.5に保持し、同温度で1時間攪拌して下記式(12)で表される化合物を含む「水溶液3」を650部得た。
(工程4)
反応容器に工程2で得られた式(8)で表される化合物を含む溶解液200部及び工程3で得られた式(9)で表される化合物を含む水溶液80部を加え、100℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却し、この反応液に塩化セシウム10.6部を加え、30乃至45℃で一時間撹拌した。反応液をろ過して得られたウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、具体例化合物No.3で示される化合物3.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは440nm(NMP)であった。
反応容器に工程2で得られた式(8)で表される化合物を含む溶解液200部及び工程3で得られた式(9)で表される化合物を含む水溶液80部を加え、100℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却し、この反応液に塩化セシウム10.6部を加え、30乃至45℃で一時間撹拌した。反応液をろ過して得られたウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、具体例化合物No.3で示される化合物3.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは440nm(NMP)であった。
実施例2(上記具体例化合物のNo.6で示される化合物の合成)
(工程5)
塩化セシウム10.6部を使用する代わりに塩化カルシウム3.0部を使用した以外は工程4と同様にして、具体例化合物No.6で示される化合物3.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは440nm(NMP)であった。
(工程5)
塩化セシウム10.6部を使用する代わりに塩化カルシウム3.0部を使用した以外は工程4と同様にして、具体例化合物No.6で示される化合物3.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは440nm(NMP)であった。
合成例1(バインダー樹脂Aの調整)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一なバインダー樹脂溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、バインダー樹脂Aを得た。得られたバインダー樹脂Aのポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一なバインダー樹脂溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、バインダー樹脂Aを得た。得られたバインダー樹脂Aのポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
実施例3(本発明の顔料組成物の調製)
有機顔料としてC.I.ピグメントレッド254 10.0部、本発明の化合物として実施例1で得られたNo.3で示される化合物1.0部、バインダー樹脂として合成例1で得られたバインダー樹脂A1.8部、樹脂分散剤としてアジスパーPB881(味の素ファインテクノ社製)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82部を配合し、プレミキシングの後、0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散した。得られた分散液を5μmのフィルタでろ過することにより顔料組成物を調製した。
有機顔料としてC.I.ピグメントレッド254 10.0部、本発明の化合物として実施例1で得られたNo.3で示される化合物1.0部、バインダー樹脂として合成例1で得られたバインダー樹脂A1.8部、樹脂分散剤としてアジスパーPB881(味の素ファインテクノ社製)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82部を配合し、プレミキシングの後、0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散した。得られた分散液を5μmのフィルタでろ過することにより顔料組成物を調製した。
実施例4(本発明の顔料組成物の調製)
実施例1で得られたNo.3で示される化合物の代わりに実施例2で得られたNo.6で示される化合物を用いた以外は実施例3と同じ方法で、顔料組成物を調製した。
実施例1で得られたNo.3で示される化合物の代わりに実施例2で得られたNo.6で示される化合物を用いた以外は実施例3と同じ方法で、顔料組成物を調製した。
比較例1(比較用の顔料組成物の調製)
実施例1で得られたNo.3で示される化合物を用いなかったこと以外は実施例3と同じ方法で顔料組成物を調製した。
実施例1で得られたNo.3で示される化合物を用いなかったこと以外は実施例3と同じ方法で顔料組成物を調製した。
上記実施例3、4及び比較例1の顔料組成物について、B型粘度計を用い、室温(25℃)10rpmの条件で粘度の測定を行い、下記の基準で評価した。尚、保存安定性を確認するために、初期(調整直後)の他に40℃で3日放置後の粘度も測定及び評価した。結果を表1に示した。
・評価基準
初期粘度:20mPa・s未満○、20mPa・s以上×
40℃×3日後粘度増加率:20%未満○、20%以上×
尚、調製直後にゲル化したものについては、40℃で3日放置後の粘度は「測定不能」とした。
・評価基準
初期粘度:20mPa・s未満○、20mPa・s以上×
40℃×3日後粘度増加率:20%未満○、20%以上×
尚、調製直後にゲル化したものについては、40℃で3日放置後の粘度は「測定不能」とした。
表1から明らかなように、実施例3及び4の顔料組成物は、本顔料誘導体を添加しない比較例1と比べて初期粘度が低く抑えられており、実際に使用する際の作業性並びにレジストやインクの品質を損なわないものである。更に保存安定性についても、比較例と比べて良好な結果を示した。
具体的には、比較例1がゲル化により分散不可であるのに対し、実施例3及び4は40℃×3日後の粘度増加率は30%以下であった。
具体的には、比較例1がゲル化により分散不可であるのに対し、実施例3及び4は40℃×3日後の粘度増加率は30%以下であった。
本発明のクマリン化合物を用いることにより、凝集、沈降、経時的な粘度の増加をすることなく、微粒子化・高濃度化することが可能であり、顔料誘導体は、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な分散体を得るために非常に有用である。
Claims (11)
- 下記式(1)
- X及びYが二価の連結基−NH−である請求項1に記載のクマリン化合物又はそれらの塩。
- R1及びR2がそれぞれ独立に炭素数1乃至4のアルキル基であり、R3乃至R6が水素原子であり、R7が炭素数1乃至4のヒドロキシアルコキシアルキル基であり、Mがセシウム原子、カルシウム原子、バリウム原子又はロジンアンモニウム(アビエタ−8,11,13−トリエン−18−アンモニウム)である請求項1又は2に記載のクマリン化合物又はそれらの塩。
- R1及びR2がエチル基であり、R7がヒドロキシエトキシエチル基である請求項3に記載のクマリン化合物又はそれらの塩。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物。
- 樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である請求項5に記載の顔料組成物。
- 有機顔料100質量部に対するクマリン化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である請求項5又は6に記載の顔料組成物。
- 有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である請求項5乃至7のいずれか一項に記載の顔料組成物。
- 請求項5乃至8のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のクマリン化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物。
- 更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する請求項10に記載のインクジェット用インク組成物。
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CN118388862A (zh) * | 2024-04-30 | 2024-07-26 | 广东安拓普聚合物科技股份有限公司 | 一种发光的匹克球 |
-
2016
- 2016-03-23 JP JP2016058357A patent/JP2017171761A/ja active Pending
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