JP2011162698A - 炭素材料分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】
分散性、貯蔵安定性に優れた分散樹脂フリーのカーボンブラック分散液を提供すること。
【解決手段】
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基との存在下で、有機溶剤中に炭素材料を分散する。
用途としては、当該炭素材料分散液を使用したされたディスプレイコーティング、また当該炭素材料分散液を使用して電極合材層が形成された電池用電極、それを用いたリチウムイオン二次電池などがある。
【選択図】なし

Description

本発明は、分散性、貯蔵安定性に優れた炭素材料分散液に関する。また、該分散液を使用して調整されたディスプレイコーティング用組成物に関する。更に、該分散液を使用して電極合材層が形成された電池用電極、および正極および負極の少なくとも一方が該電極であるリチウムイオン二次電池に関する。
炭素材料は、着色顔料、遮光材料、導電材料として、印刷インキ、インクジェットインキ、筆記具用インキ、塗料、プラスチック形成材料などの幅広い分野で使用されており、一般的にこれらの用途への要求品質を満たすには、炭素材料を有機溶剤中に微分散することが重要となる。
カーボンブラックの分散については、各種添加剤、例えば界面活性剤などの分散剤や顔料分散樹脂を用いて分散する方法がある。しかしながら界面活性剤による分散は、電離した極性官能基同士の静電反発を利用して分散安定化を図る為、水系での分散には有利であるが、水に比べ誘電率の低い有機溶剤中での分散には不向きとされ、特許文献1、特許文献2にあるように、通常、有機溶剤中での分散においては、顔料分散樹脂を用いる方法が採られてきた。これはカーボンブラック粒子表面に分散樹脂を吸着させ、吸着樹脂同士の立体反発を利用して分散の安定化を図るというものである。但しこの場合でも、カーボンブラック表面と分散樹脂との相互作用が不十分であると樹脂の脱着が起こり、容易に再凝集してしまう。また、一般的なカーボンブラックは樹脂と相互作用する表面官能基の量が少ないことや非常に粒径が細かく比表面積が大きなものが多い為、安定化に必要な分散樹脂量が大量となること、また、分散樹脂量が多くなってしまうと、インキや塗料適性を付与する為に加える樹脂や添加剤の使用できる量に制限が生じたり、更に分散樹脂とそれら添加剤との相溶性が悪い場合は、シンニングショックによる凝集や、インキ、塗料の経時安定性が低下するという問題がある。
そこで分散性改善を目的に、カーボンブラックを気相または液相で酸化処理し粒子表面に酸性官能基を導入する方法が検討されている。しかしながら、プラズマやオゾン処理の様な気相酸化では処理効率の低さや処理装置が高価である等の問題があり、液相処理では、硝酸や過酸化水素等の強酸を使用する為、作業安全性等に問題がある。特に硝酸処理によって酸化されたカーボンブラックについては変異原生の問題も指摘されている。
また、分散剤としてアミンを使用し、カーボンブラック表面の官能基との酸−塩基相互によりカーボンブラックに吸着させ、樹脂との親和性を高める方法が特許文献3に開示されている。しかしながら、カーボンブラック表面の官能基量が少ないとアミンの吸着が不十分であるため、カーボンブラックの選択に制限が生じる問題や、酸性官能基を含有する樹脂の使用が望ましいが、他の添加剤との相溶性や、最終的な塗料・インキ組成の自由度が狭まる問題が残る。
一方、有機色素残基、アントラキノン残基またはトリアジン残基等を母体骨格として側鎖に酸性基や塩基性基を置換基として有する顔料誘導体と、分散樹脂とを併用して分散を行う方法が、特許文献4に開示されている。この有機色素誘導体、アントラキノン誘導体またはトリアジン誘導体の作用機構としては、各種誘導体の極性官能基と樹脂の極性官能基が酸−塩基反応や水素結合等の相互作用をすることにより、これら誘導体が溶剤中に溶出し、この溶出物が有機色素残基、アントラキノン残基、またはトリアジン残基を吸着部位としてカーボンブラックに吸着して、樹脂層が立体反発効果を示し、カーボンブラックの分散安定化を図ると考えられている。この方法では、ほとんどの場合、インキ、塗料化用の樹脂をそのまま分散樹脂として使用できるので、分散剤に起因する相溶性の問題がなく、汎用性に優れる。しかし、カラーフィルター用の塗料やインクジェットインキ等の極めて高度な分散を要求される用途では、分散樹脂を併用しないと十分な分散が得られないことが多く、またその場合は、分散樹脂と他の添加剤との相溶性や、最終的な塗料・インキ組成の自由度が狭まる問題が残る。
そこで樹脂を用いずにカーボンブラック分散液を製造する方法として、塩基性官能基を有する有機色素誘導体またはトリアジン誘導体とカーボンブラックとを、酸存在下有機溶剤中で吸着処理する方法が特許文献5に開示されている。この方法では分散樹脂を使用しないため相溶性に優れる分散液を得ることができるが、誘導体と酸との併用によってカーボンブラックの分散安定性を確保しているため、塗料化時に添加剤などによって酸が中和されてしまうような場合はカーボンブラックが再凝集してしまう。また、分散に用いる溶剤としてはプロトン性の溶剤を併用する必要があり、例えば電子供与性溶剤単独での場合などに分散が困難であると思われる。
カーボンナノチューブは、高い導電性、機械的強度等の特徴を有することから、燃料電池、電極、電磁波シールド材、導電性樹脂、電界放出ディスプレー(FED)用部材、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料等、幅広い分野への利用が期待されている。カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーを使用する場合には、互いに絡み合うことなく溶液中に微分散していることが好ましいが、凝集性が強く、一般に分散は困難である。
カーボンナノチューブの分散性を向上させる試みとしては、特許文献6には分散剤として界面活性剤を用いる方法が開示されている。しかしながら、この方法ではカーボンナノチューブに対し50wt%程度の量の界面活性剤を使用しており、得られた分散液に塗膜形成用樹脂を添加し、塗膜を作成しても、硬化に寄与しない界面活性剤が塗膜の硬度、耐性を低下させてしまう。
以上のような問題に鑑み、本発明は分散樹脂を用いることなく分散性、貯蔵安定性に優れた炭素材料分散液を提供することを目的とする。
特開平7−268268号公報 特開2001−192595号公報 特開平11−256068号公報 特開2001−172530号公報 特開2005−213405号公報 特開2003−238126号公報
分散樹脂を用いることなく分散性、貯蔵安定性に優れた炭素材料分散液を提供すること。
本発明者らは、鋭意検討の結果、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基との存在下で、有機溶剤中に炭素材料を分散することで、分散樹脂を用いることなく分散性および貯蔵安定性に優れた炭素材料分散液を調製できることを見いだし、本発明に至った。
即ち本発明は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基と、炭素材料と、有機溶剤とを含む、炭素材料分散液に関する。
また本発明は、上記の塩基がアミンである炭素材料分散液に関する。
また本発明は、上記の有機溶剤の比誘電率が10以上である炭素材料分散液に関する。
また本発明は、上記の有機溶剤のドナー数が15Kcal/mol以上である炭素材料分散液に関する。
また本発明は、上記の炭素材料分散液を使用して調整されたディスプレイコーティング用組成物に関する。
また本発明は、上記の炭素材料分散液を使用して電極合材層が形成された電池用電極に関する。
また本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、上記の電池用電極であるリチウムイオン二次電池に関する。
本発明により、分散樹脂を用いることなく分散性および保存安定性良好な炭素材料の分散液が得られる。
本発明における炭素材料分散液は、炭素材料と、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基と、有機溶剤とを含むことを特徴とするが、以下にその詳細を説明する。
<炭素材料>
本発明に用いる炭素材料としては、特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。色、隠蔽性、導電性、入手の容易さ、およびコスト面などから、用途にあった炭素材料を選定することができる。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボンなども使用できる。しかし、有機色素誘導体またはトリアジン誘導体の吸着性、脱着性を考えた場合、官能基の少ない中性カーボンの方が好ましい。また、カーボンブラックの粒径としては、通常のインキや塗料に用いるカーボンブラックの粒径範囲と同様に0.01〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう粒径とは電子顕微鏡などで測定された平均一次粒子径を示し、この物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
本発明に用いるカーボンナノチューブは、グラファイトを筒状に巻いた形状を有する炭素材料であり、その直径は数nmから100nm程度で、長さは数nmから1mm程度である。半導体特性、塗膜の透明性等を発揮するには直径50nm以下、特に20nm以下が好ましい。長さは100nmから1mmが好ましく、特に500nmから1mmが好ましい。カーボンナノチューブには単層のものや多層構造になったものがあるが、いずれの構造であってもよい。また、カーボンナノファイバーとして分類される、繊維径が100nmから1μm程度のものについても使用可能である。
<塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体>
本発明には塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を用いる。とりわけ、下記一般式(1)で表されるトリアジン誘導体、または下記一般式(6)で表される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(1):

は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−を表し、Xは、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−または−NHSO−を表し、Xはそれぞれ独立に−NH−または、−O−を表し、Yは炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
Pは、一般式(2)、(3)または、一般式(4)のいずれかで示される置換基を表す。
Qは、−O−R、−NH−R、ハロゲン基、−X−Rまたは、一般式(2)、(3)もしくは、一般式(4)のいずれかで示される置換基を表す。
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または、置換基を有してもよいアルケニル基もしくは、置換基を有してもよいアリール基を表す。
一般式(2):
一般式(3):
一般式(4):

は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、−CH−または、−X−Y−X−を表す。Xは、−NH−または、−O−を表し、Xは、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−または、−CH−を表す。Yは炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
vは、1〜10の整数を表す。
、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、またはR、Rとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基を表す。
、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
は有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または下記一般式(5)で示される基を表す。
一般式(5):

Tは、−X−R10または、Wを表し、Uは、−X−R11または、Wを表す。
およびWは、それぞれ独立に−O−R、−NH−R、ハロゲン基または、一般式(2)、(3)もしくは、一般式(4)のいずれかで示される置換基を表す。
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または、置換基を有してもよいアルケニル基もしくは、置換基を有してもよいアリール基を表す。
は−NH−または−O−を表し、XおよびXは、それぞれ独立に−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−または−CHNHCOCHNH−を表す。
Yは炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を示す。
10およびR11はそれぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基を表す。
一般式(1)のRおよび、一般式(5)のR10、R11で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。
一般式(1)のRおよび、一般式(5)のR10、R11で表される複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、アクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基および芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)、およびフェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(1)および、一般式(5)のYは、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基または炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(6):

Zは、下記一般式(7)、(8)または、一般式(9)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものである。nは、1〜4の整数を表す。
一般式(7):
一般式(8):
一般式(9):

は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、−CH−または、−X−Y−X−を表す。Xは、−NH−または、−O−を表し、Xは、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−または、−CH−を表す。Yは炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
vは、1〜10の整数を表す。
、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、またはR、Rとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基を表す。
、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。
12は有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基を表す。
12で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。
また、R12で表される複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、アクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基および芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)、およびフェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(2)〜(4)および、一般式(6)〜(8)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、特開平11−199796号公報などに記載されている方法で合成することができる。
例えば、有機色素に式(10)〜式(13)で示される置換基を導入した後、これら置換機とアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミンまたは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリンなど)を反応させることによって、合成することができる。
式(10):−SOCl
式(11):−COCl
式(12):−CHNHCOCHCl
式(13):−CHCl
また、例えば、式(10)で示される置換基を導入する場合には、有機色素をクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、このときの反応温度、反応時間等の条件により、有機色素、アントラキノン、もしくはアクリドンに導入する式(10)で示される置換基数をコントロールすることができる。
また、式(11)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシル基を有する有機色素を公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
式(10)〜式(13)で示される置換基とアミン成分との反応時には、式(10)〜式(13)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、式(10)で示される置換基はスルホン酸基となり、式(11)で示される置換基はカルボン酸基となるが、いずれも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属もしくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
また、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(7)〜一般式(9)または、下記一般式(14)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分またはカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(14):

は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−または−X−Y−X−を表し、Xは、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−または−NHSO−を表し、Xはそれぞれ独立に−NH−または−O−を表し、Yは炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
Pは、一般式(2)、(3)または、一般式(4)のいずれかで示される置換基を表す。
Qは、−O−R、−NH−R、ハロゲン基、−X−Rまたは、一般式(2)、(3)もしくは、一般式(4)のいずれかで示される置換基を表す。
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または、置換基を有してもよいアルケニル基もしくは、置換基を有してもよいアリール基を表す。
また、本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(7)〜一般式(9)または、一般式(14)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジンなど)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、添加した誘導体が炭素材料表面に作用(例えば吸着)することにより、分散効果を発揮するものと思われる。そして、炭素材料表面に作用(例えば吸着)した上記誘導体が有する塩基性官能基の極性により、炭素材料表面の溶剤に対する濡れが促進され、炭素材料の凝集が解しやすくなるものと思われる。
<塩基>
本発明は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、塩基を併用することを特徴とする。詳しい理由は不明だが、上記誘導体と塩基を併用することで、炭素材料の良好な分散安定性を得られることを見出した。このとき用いる塩基としては、アルカリ金属などの金属水酸化物、弱酸と強塩基との反応によって生ずる塩類、アンモニア、アミンなど、種々の塩基が挙げられる。その中でも、有機溶剤への溶解性からアミンが好ましい。
また分子量は300以下が好ましく、200以下がさらに好ましい。分子量が300より大きいと、分散樹脂を使用しないという本発明の特徴が十分に活かされない場合がある。また、分子量が小さい塩基ほど添加量を減らせる傾向が見出された。同時に、分子量の小さい塩基は沸点も小さいため、分散液を使用して塗膜を形成する場合などに揮発させられる(塗膜に残留せず膜物性に悪影響を与えない)というメリットもある。具体的には、例えばヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミンなどの一級アミン、エチレンジアミンなどの二級アミン、トリエチルアミンなどの三級アミン、ジメチルアミノエタノール、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
<有機溶剤>
炭素材料の分散安定性を得るためには、極性の高い溶剤を使用するのが好ましい。
本発明に使用される有機溶剤としては、比誘電率が10以上の極性溶剤を使用することが好ましい。比誘電率は溶剤の極性の強さを表す指標のひとつであり、浅原ほか編「溶剤ハンドブック」((株)講談社サイエンティフィク、1990年)等に記載されている。10を下回ると塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の溶解性が著しく低下する。具体的には、メタノール(比誘電率:33.1)、エタノール(23.8)、2−プロパノール(18.3)、1−ブタノール(17.1)等のアルコールや1,2−エタンジオール(38.7)や1,2−プロパンジオール(32.0)、1,3−プロパンジオール(35.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、ジエチレングリコール(31.7)等のグリコール系溶剤、アセトン(20.7)、メチルエチルケトン(18.5)、メチルイソブチルケトン(13.1)の様なケトン類、その他N−メチルピロリドン(32.0)、アセトニトリル(37.5)、N,N―ジメチルホルムアミド(36.7)、ピリジン(12.3)、スルホラン(43.3)、ジメチルスルホキシド(48.9)等が挙げられるが、誘電率が上記の条件を満たすものであれば、特に制限はない。また、これらの溶剤は単独または2種類以上を併用して用いることができる。
また、炭素材料の分散安定性は、溶剤の電子供与性にも影響される傾向が見出された。電子供与性の大きな溶剤の使用が好ましく、とりわけドナー数が15Kcal/mol以上の有機溶剤が好ましいが、25Kcal/mol以上、60Kcal/mol以下の溶剤が更に好ましい。
ドナー数は、各種溶剤の電子供与性の強さを測る尺度であり、基準のアクセプターとして、ジクロロエタン中10−3M SbClを選び、ドナーとの反応モルエンタルピー値として定義される値であって、値が大きいほどその溶剤の電子供与性が強いことを示す。また、いくつかの溶剤については、ドナー数はその溶剤中におけるNaClO23Na−NMRの化学シフトから間接的に推定されている。このドナー数については、V.グートマン(大瀧、岡田訳)「ドナーとアクセプター」(学会出版センター(株)1983年)に記載されている。
溶剤が有する誘電率の大きさにもよるが、ドナー数が15Kcal/molを下回る溶剤を用いると、十分な分散安定化効果が得られない場合がある。また、ドナー数が60Kcal/molを超えた溶剤を用いても、顕著な分散向上効果はないものと思われる。具体的には、メタノール(ドナー数:19)、エタノール(20)、アセトン(17)、N−メチルピロリドン(27)N,N―ジメチルホルムアミド(27)、ピリジン(33)、ジメチルスルホキシド(30)、酢酸エチル(17)、テトラヒドロフラン(20)等が挙げられるが、ドナー数が上記の条件を満たすものであれば、特に制限はない。
また溶剤の選択は、本発明の分散液にバインダー成分等を添加する場合、上述の分散性に与える溶剤の影響に加え、バインダー成分に対する溶解性等を鑑みつつ行う。
<炭素材料分散液の製造方法>
本発明の分散液は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基との存在下で、有機溶剤中に炭素材料を分散するものである。上記の塩基は、上記誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させる際に上記誘導体と共に添加してもよいし、作用(例えば吸着)させた後に添加してもよい。また、後述する、上記誘導体であらかじめ表面処理した炭素材料を分散する際に添加してもよい。塩基存在下では分散液の粘度が低くなり、上記の誘導体を炭素材料に効率的に作用(例えば吸着)させることができるため、および作用(例えば吸着)させつつ炭素材料を分散することができるため、上記の塩基は上記誘導体と共に添加するのが好ましい。
この場合、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、塩基とを、有機溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加、混合することで、上記誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、有機溶剤に分散する。
また、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、炭素材料を有機溶剤に分散するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、炭素材料の塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体による表面処理について説明する。上記誘導体により表面処理された炭素材料を得る方法としては、乾式処理による方法および液相中での処理による方法が挙げられる。
まず、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、炭素材料との乾式処理について説明する。
本発明における乾式処理は、常温もしくは加熱下で、乾式処理装置により炭素材料および塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の、混合、粉砕等を行いながら、炭素材料表面に上記誘導体を作用(例えば吸着)させるものである。使用する装置としては特に限定されるものではく、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、アトライター、振動ミル等のメディア型分散機、ニーダー、ローラーミル、石臼式ミル、プラネタリーミキサー、フェンシェルミキサー、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))等のメディアレス分散・混錬機が使用できるが、コンタミ等を考慮し、メディアレスの分散・混錬機を使用するのが好ましい。
また、このとき処理物がゲル状にならない範囲で有機溶剤を添加してもよい。溶剤の添加による塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の濡れ、または(一部)溶解および、炭素材料の上記誘導体に対する濡れが向上することで、炭素材料と上記誘導体の相互作用(例えば吸着)促進の効果が期待される。この場合の有機溶剤の添加量は用いる材料により異なるが、上記誘導体の添加量に対して0.5〜20重量%である。また、必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式処理装置内部を脱酸素雰囲気として処理を行っても良い。
処理時間は用いる装置によって、また希望とする混練度に応じて任意に設定できる。これら処理を行うことにより、粉状もしくは塊状の処理物を得ることができる。得られた処理物については、その後、更に乾燥、粉砕を行っても良い。
続いて、炭素材料と、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体との液相処理について説明する。
本発明における液相処理は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、炭素材料および溶剤とを混合し、上記誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程と、上記誘導体が作用した炭素材料を凝集させ、凝集粒子を得る工程を含むことが好ましい。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程においては、上記誘導体が溶剤中に完全ないしは一部溶解していることが好ましい。また、上記誘導体と、炭素材料および溶剤の混合物を更に混練・分散することが好ましい。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程において、使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等の有機溶剤および、水が挙げられる。
また、炭素材料を溶剤に混合・分散させつつ、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を炭素材料に作用(例えば吸着)させるための装置としては、炭素材料分散液の製造に用いるのと同様の分散機を用いることができる。処理の効率や生産性の観点から、ミキサーやメディア型分散機の使用が好ましい。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体が作用した炭素材料を液中で凝集させ、凝集粒子を得る工程としては、上述の処理物を加熱および/もしくは減圧して溶剤を留去する方法、上記誘導体の溶剤に対する溶解性または分散性を低下させて凝集させる方法、炭素材料濃度を上げて流動性を奪う方法などが挙げられる。
そしてこれらの凝集物を、濾過または遠心分離等により取り出す。得られた処理物はそのまま使用することもできるが、その後、洗浄、乾燥、粉砕して使用するのが好ましい。
続いて、炭素材料分散液の組成について説明する。分散液中における炭素材料の濃度は、使用する炭素材料の比表面積や表面官能基量などの炭素材料固有の特性値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重量%以下である。炭素材料の濃度が低すぎると生産効率が悪くなり、炭素材料の濃度が高すぎると分散液の粘度が著しく高くなり、分散効率や分散液のハンドリング性が低下する場合がある。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の添加量は、用いる炭素材料の比表面積等により決定される。一般には、炭素材料100重量部に対して、0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、20重量部以下、さらに好ましくは、2重量部以上、10重量部以下である。塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の量が少ないと十分な分散効果が得られず、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られない。
また、塩基の添加量としては、有機色素誘導体またはトリアジン誘導体に含まれる塩基性官能基量に対して0.1〜10当量が好ましく、0.2〜5当量がさらに好ましい。塩基量が少ないと十分な分散効果が得られず、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られない。
炭素材料の分散粒径は、0.03μm以上、2μm以下、好ましくは、0.05μm以上、1μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.5μm以下に微細化することが望ましい。炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の組成物は、その作製が難しい場合がある。また、炭素材料の分散粒径が2μmを超える組成物は、塗工した際に膜欠陥を生じたり、貯蔵安定性が悪い場合がある。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
<炭素材料分散液の用途>
本発明の炭素材料分散液の利用分野としては、特に制限はないが、遮光性、導電性、耐久性、漆黒性等が要求される分野、例えば、グラビアインキ、オフセットインキ、磁気記録媒体用バックコート、静電トナー、インクジェット、自動車塗料、繊維・プラスチック形成材料、電池用電極において、安定かつ均一な組成物を提供し得るものである。中でも、分散樹脂を用いることなく分散安定化を図るという特徴から、高導電性が要求される分野や、塗膜の耐性(例えば硬度)が要求される分野において好適に用いられる。
炭素粒子間の導電性は、分散樹脂が炭素材料表面を被覆してしまうと低下する。本発明の炭素材料分散液は分散樹脂を使用しないため、導電性が求められる電池用電極で優れた特性を発揮する。特に、電極合材層の抵抗が大きいリチウムイオン二次電池に好適に用いられる。
また、塗膜の耐性(例えば硬度)は分散樹脂を多く添加すると低下する。これは分散樹脂は架橋、硬化に寄与しないためである。一方、高透明、高黒度の塗膜を形成するために、微細な炭素材料が用いられるが、分散には多量の分散樹脂が必要となり、塗膜の耐性が低下してしまう。本発明の炭素材料分散液は分散樹脂を使用しないため、高透明性と耐擦性の両方が要求されるディスプレイパネルのコーティング等で優れた特性を発揮する。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
実施例及び比較例で使用した炭素材料、塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、分散剤、塩基、酸、有機溶剤、活物質、バインダーを以下に示す。
<炭素材料>
・#30(三菱化学社製):ファーネスブラック、一次粒子径30nm、比表面積74m2/g。
・モナーク800(キャボット社製):ファーネスブラック、一次粒子径17nm、比表面積210m2/g、以下M800と略記する。
・デンカブラック粒状品(電気化学工業社製):アセチレンブラック、一次粒子径35nm、比表面積68m2/g、以下粒状品と略記する。
・EC−300J(アクゾ社製):ケッチェンブラック、一次粒子径40nm、比表面積800m2/g。
・カーボンナノチューブ:多層カーボンナノチューブ、繊維径10〜20nm、繊維長2〜5μm、以下CNTと略記する。
・VGCF(昭和電工社製):カーボンナノファイバー、繊維径150nm、繊維長10〜20μm。
<塩基性官能基を有する誘導体>
・塩基性官能基を有する有機色素誘導体:A、B、C、D、E、F、G
・塩基性官能基を有するトリアジン誘導体:H、I、J、K、L、M、N、O
表1〜表4に塩基性官能基を有する各種誘導体A〜Oを示す。
<分散剤>
[界面活性剤]
・エマルゲンA−60(花王社製):ノニオン性の界面活性剤(ポリオキシエチレン誘導体)、以下EmA−60と略記する。
・デモールN(花王社製):アニオン性の界面活性剤(β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩)、以下DemNと略記する。
[分散樹脂]
・エスレックBL−10(積水化学社製):ポリビニルブチラール樹脂、以下BL−10と略記する。
・ソルスパース20000(ルーブリゾール社製):塩基性基を含有する高分子共重合体、以下SP20000と略記する。
・アジスパーPB−821(味の素ファインテクノ社製):塩基性官能基含有共重合物、以下PB−821と略記する。
<塩基>
・ラウリルアミン:分子量185g/mol、以下LAと略記する。
・トリエチルアミン:分子量101g/mol、以下TEAと略記する。
・ジメチルアミノエタノール:分子量89g/mol、以下DMAEと略記する。
<酸>
・酢酸:分子量60g/mol。
<有機溶剤>
・メタノール:比誘電率33.1、ドナー数19.1。
・アセトン:比誘電率20.7、ドナー数17。
・ピリジン:比誘電率13.1、ドナー数33.1。
・N−メチル−2−ピロリドン:比誘電率32、ドナー数27.3、以下NMPと略記する。
<活物質>
・HLC−22(本荘ケミカル社製):正極用活物質コバルト酸リチウム(LiCoO)、平均粒径6.6μm、比表面積0.62m/g、以下LCOと略記する。
・MCMB6−28(大阪ガスケミカル社製):負極用活物質メソフェーズカーボン(MFC)、平均粒径5〜7μm、比表面積4m/g、以下MFCと略記する。
<バインダー>
・KFポリマーW1100(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、以下PVDFと略記する。
<表面処理炭素材料の調製>
[表面処理炭素材料(1)]
M800を100部、表3に示す誘導体Iを8部仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてアトライタにて30分分散した後、ビーズと分離し、表面処理炭素材料(1)を得た。
[表面処理炭素材料(2)]
M800を100部、表3に示す誘導体Jを8部、メタノールを300部仕込み、ディスパーにて30分攪拌混合した後、得られた処理物をろ過、乾燥し、表面処理炭素材料(2)を得た。
<バインダー液の調製>
テトラエトキシシラン9.8部、エチルシリケート40(三菱化学社製)8.1部、ビニルトリメトキシシラン3.3部、水3.9部、硝酸3.3部、メタノール6.5部、エタノール58.6部、イソプロピルアルコール(IPA)6.5部を3時間撹拌混合し、バインダー液Aを得た。
<炭素材料分散液の調製>
実施例、比較例で得られた炭素材料分散液の評価は、粘度、分散粒径の測定により行った。粘度の測定にはB型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、25℃、60rpmで行った。分散粒径の測定は、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用いて平均粒子径(D50の値)を測定した。測定時の希釈溶剤としてはメタノールを用いた。貯蔵安定性の評価は、カーボンブラック分散液を40℃で10日間保存した後の粒径の変化から評価した。カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバー分散液の分散度はグラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。
[実施例1〜実施例24]
表5に示す組成に従い、ガラス瓶に各種有機溶剤と塩基性官能基を有する誘導体(表1〜表4に示す誘導体A〜Oのいずれか)、および各種塩基を仕込み、混合溶解した後、各種カーボンブラックを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種カーボンブラック分散液を得た。いずれも低粘度かつ分散粒度が小さく、貯蔵安定性も良好であった。特に溶剤としてNMPまたはピリジンを使用した場合に、少量の塩基で分散安定化が可能であった。
[実施例25、実施例26]
表5に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPと表1に示す誘導体A、および塩基としてLAを仕込み、混合溶解した後、CNTまたはVGCFを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種炭素材料分散液を得た。いずれも低粘度かつ50μmゲージで評価した分散度は10μmであった。貯蔵安定性も良好であった。

[実施例27、実施例28]
表6に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPとLAとを仕込み、混合溶解した後、表面処理炭素材料(1)または(2)を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種カーボンブラック分散液を得た。いずれも低粘度かつ分散粒度が小さく、貯蔵安定性も良好であった。

[比較例1〜比較例4]
表7に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPと各種カーボンブラックとを仕込み、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散したが、分散液はいずれも著しく凝集していた。カーボンブラックは凝集性が強く、単独で溶剤に分散するのは困難である。
[比較例5、比較例6]
表7に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPとCNTまたはVGCFとを仕込み、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散したが、分散液はいずれも著しく凝集していた。100μmゲージで100μm以上の粗粒が多く見られた。
[比較例7〜比較例9]
表7に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPと、塩基性官能基を有する誘導体Aまたは誘導体Oとを仕込み、混合溶解した後、#30を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散したが、分散液は高粘度で凝集していた。塩基の有無が分散安定性に大きく影響する。
[比較例10〜比較例13]
表7に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPと各種塩基とを仕込み、混合した後、#30を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散したが、分散液はいずれも著しく凝集していた。塩基は単独で分散剤として機能するわけではなく、塩基性官能基を有する誘導体と併用することで分散安定化に寄与すると考えられる。

[比較例14、比較例15]
表8に示す組成に従い、ガラス瓶にNMPと、塩基性官能基を有する誘導体AまたはO、および酢酸を仕込み、混合溶解した後、#30を加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種炭素材料分散液を得た。いずれも実施例の分散液よりも高粘度かつ分散粒度が大きかった。電子供与性のNMPのみを溶剤として使用する場合、上記誘導体と酸を併用するよりも、上記誘導体と塩基を併用した方が分散安定化の効果が大きいと考えられる。
[比較例16〜比較例23]
表9に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPと各種分散剤とを仕込み、混合溶解した後、各種カーボンブラックを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種カーボンブラック分散液を得た。いずれも実施例の分散液よりも高粘度かつ分散粒度が大きかった。
[比較例24、比較例25]
表9に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPとSP20000またはPB−821とを仕込み、混合溶解した後、CNTまたはVGCFを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種炭素材料分散液を得た。いずれも実施例の分散液よりも粘度が高く、50μmゲージで評価した分散度はそれぞれ20μm、25μmであった。また経時で凝集傾向であった。

[比較例26〜比較例28]
表10に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPとSP20000またはPB−821とを仕込み、混合溶解した後、各種カーボンブラックを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種カーボンブラック分散液を得た。実施例と同等の分散度を得るために、分散剤が3倍以上必要であった。
[比較例29、比較例30]
表10に示す組成に従い、ガラス瓶にメタノールまたはNMPとSP20000またはPB−821とを仕込み、混合溶解した後、CNTまたはVGCFを加え、ジルコニアビーズをメディアとして、ペイントシェーカーで2時間分散し、各種炭素材料分散液を得た。実施例と同等の分散度を得るために、分散剤が4倍以上必要であった。

表5〜表10より、実施例の分散液は比較例の分散液に比べて、低粘度かつ分散粒度が小さく、貯蔵安定性も良好であった。また、分散に使用する成分が少量で済むことがわかる。
<電池電極用合材の調製>
実施例、比較例で得られた電池電極用合材の評価は、PETフィルム上にドクターブレードを用いて塗布した後、乾燥し、塗膜の表面抵抗と外観により行った。表面抵抗の測定にはロレスタ−GP(三菱化学アナリテック社製)を用いた(JISK 7149に準ず)。塗膜外観は目視で○:問題なし、△:斑模様あり、×:粗粒の筋引きあり、とした。
[実施例29〜実施例31、比較例31〜比較例36]
表11に示す組成に従い、LCOまたはMFCと、実施例または比較例で調製した各種分散液、およびPVDFとバインダーをディスパーにて混合し、各種電池電極用合材を得た。評価結果を表11に示した。

表11より、本発明の分散液を使用した実施例29〜実施例31の電池電極用合材は、炭素材料と溶剤のみの分散液を使用した比較例31〜比較例33に比べて塗膜の表面抵抗、外観ともに優れ、一般的な分散剤を使用した比較例に比べて塗膜の表面抵抗が優れることがわかる。
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
[実施例32、実施例33、比較例37〜比較例40]
先に調製した電池電極用合材(実施例29、実施例30、比較例31、比較例32、比較例34、比較例35)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの正極合材層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製#2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池負極評価用セルの組み立て>
[実施例34、比較例41、比較例42]
先に調製した電池電極用合材(実施例31、比較例33、比較例36)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ100μmの負極合材層を作製した。これを直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製#2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行った。
<リチウムイオン二次電池正極特性評価>
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観を目視にて確認し、部分的に合材が集電体より剥がれているのが確認された場合に×とした。評価結果を表12に示した。

表12より、本発明の電極を使用した実施例32、実施例33は、比較例に比べて電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。比較例37、比較例38は評価後、集電体から合材が剥落していた。
<リチウムイオン二次電池負極特性評価>
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧0.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜不良の有無を目視にて確認し、部分的に合材が集電体より剥がれているのが確認された場合に×とした。評価結果を表13に示した。

表13より、本発明の電極を使用した実施例34は、比較例に比べて電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。比較例41は評価後、集電体から合材が剥落していた。
<ディスプレイコーティング用組成物の調製>
実施例、比較例で得られたディスプレイコーティング用組成物の評価は、ガラス基材上にスピンコートし、70℃で5分予備乾燥後、200℃で15分焼成し、塗膜の透明性、外観、硬度により行った。透明性の測定にはヘイズメーター(日本電色社製、COH−300A)を用いて測定した。塗膜外観は目視で○:問題なし、△:斑模様あり、×:粗粒の筋引きあり、とした。硬度は鉛筆硬度試験(JIS K5600−5−4に準ず)により行った。
[実施例35、実施例36、比較例43〜比較例48]
表14に示す組成に従い、先に調整したバインダー液Aと、実施例または比較例で調整した各種分散液とを、炭素材料:その他の固形分=4:6となる比率で混合した後、エタノール:IPA=85:15の混合液で固形分濃度が0.4%となるように希釈し、各種ディスプレイコーティング用組成物を得た。評価結果を表14に示した。


表14より、本発明の分散液を使用した実施例35、実施例36のディスプレイコーティング用組成物は、炭素材料と溶剤のみの分散液を使用した比較例43、比較例44、および一般的な分散剤を使用した比較例45、比較例46に比べて塗膜の透明性、外観に優れることがわかる。また、一般的な分散剤を多く使用した比較例47、比較例48は、透明性は改善するものの、バインダー液との相溶性に起因するとみられる斑模様と、鉛筆硬度の低下が確認された。

Claims (7)

  1. 塩基性官能基を有する有機色素誘導体または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、分子量300以下の塩基と、炭素材料と、有機溶剤とを含む、炭素材料分散液。
  2. 塩基がアミンである請求項1記載の分散液。
  3. 有機溶剤の比誘電率が10以上である請求項1または2記載の分散液。
  4. 有機溶剤のドナー数が15Kcal/mol以上である請求項1〜3いずれか記載の分散液。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の分散液を使用して電極合材層が形成された電池用電極。
  6. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、請求項5記載の電池用電極であるリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1〜4いずれか記載の分散液を使用して調整されたディスプレイコーティング用組成物。
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