JP5286994B2 - 電池用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電池を構成する電極を作製するために使用する組成物及びその製造方法に関する。特に、本発明の電極用組成物は、リチウム二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、アルカリマンガン電池、鉛電池、燃料電池、キャパシタ等に用いることができるが、特にリチウム二次電池に用いると好適である。
又、本発明は、大電流での放電特性あるいは充電特性、サイクル特性、及び電極合材の導電性に優れ、電極集電体と電極合材との接触抵抗が小さい電極を具備するリチウム二次電池に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ重量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。また、自動車搭載用等の大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型の非水電解質二次電池の実現が望まれている。
そのような要求に応えるため、リチウム二次電池の開発が活発に行われている。リチウム二次電池の電極としては、リチウムイオンを含む正極活物質と導電助剤と有機バインダー等からなる電極合材を金属箔の集電体の表面に固着させた正極、及び、リチウムイオンの脱挿入可能な負極活物質と導電助剤と有機バインダー等からなる電極合材を金属箔の集電体の表面に固着させた負極が使用されている。
一般的に、正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウム遷移金属複合酸化物が用いられているが、これらは電子伝導性が低く、単独での使用では十分な電池性能が得られない。そこで、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)等の炭素材料を導電助剤として添加することで導電性を改善し、電極の内部抵抗を低減することが試みられている。とりわけ電極の内部抵抗を低減することは、大電流での放電を可能とすることや、充放電の効率を向上させる上で非常に重要となっている。
一方、負極活物質としては、通常グラファイト(黒鉛)が用いられている。黒鉛はそれ自身が導電性を有しているものの、黒鉛とともに導電助剤としてアセチレンブラック等のカーボンブラックを添加すると充放電特性が改善されることが知られている。これは、一般に用いられる黒鉛粒子は大きいために、黒鉛単独で使用すると電極層に充填された時の隙間が多くなってしまうが、導電助剤としてカーボンブラックを併用した場合は、微細なカーボンブラック粒子が黒鉛粒子間の隙間を埋めることで接触面積が増え、抵抗が下がるためではないかと思われる。しかしながら、この場合も導電助剤の分散が不十分であると、導電効果が低減する。
この様に、とりわけ電極の内部抵抗を低減することは、大電流での放電を可能とすることや、充放電の効率を向上させる上で非常に重要な要素の一つとなっている。
しかしながら、導電性に優れた炭素材料(導電助剤)は、ストラクチャーや比表面積が大きいため凝集力が強く、リチウム二次電池の電極合材形成用スラリー中に均一混合・分散することが困難である。そして、導電助剤である炭素材料の分散性や粒度の制御が不十分な場合、均一な導電ネットワークが形成さないために電極の内部抵抗の低減が図れず、その結果、活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物やグラファイト等の性能を十分に引き出せないという問題が生じている。また、電極合材中の導電助剤の分散が不十分であると、部分的凝集に起因して電極板上に抵抗分布が生じ、電池として使用した際に電流が集中し、部分的な発熱及び劣化が促進される等の不具合が生ずることがある。
また、金属箔等の電極集電体上に電極合材層を形成する場合、多数回充放電を繰り返すと、集電体と電極合材層の界面や、電極合材内部における活物質と導電助剤界面の密着性が悪化し、電池性能が低下する問題がある。これは、充放電におけるリチウムイオンのドープ、脱ドープにより活物質及び電極合材層が膨張、収縮を繰り返すために、電極合材層と集電体界面及び、活物質と導電助剤界面に局部的なせん断応力が発生し界面の密着性が悪化するためと考えられている。そしてこの場合も、導電助剤の分散が不十分であると、密着低下が著しくなる。これは、粗大な凝集粒子が存在すると、応力が緩和されにくくなるためであると思われる。
また、電極集電体と電極合材間の問題として、例えば正極の集電体としてアルミニウムを用いると、この表面に絶縁性の酸化皮膜が形成され、電極集電体と電極合材間の接触抵抗が上昇するといった問題もある。
前述の様な電極集電体と電極合材間の不具合に対して、いくつかの提案がなされている。例えば特許文献1及び特許文献2には、カーボンブラック等の導電剤を分散した塗膜を、電極下地層として集電極上に形成する方法が試みられているが、この場合も導電剤の分散が悪いと十分な効果が得られない。
リチウム二次電池においては導電助剤である炭素材料の分散が重要なポイントの一つである。特許文献3、特許文献4には、カーボンブラックを溶剤に分散する際に、分散剤として界面活性剤を用いる例が記載されている。しかしながら、界面活性剤は炭素材料表面への吸着力が弱いため、良好な分散安定性を得るには界面活性剤の添加量を多くしなければならず、この結果、含有可能な活物質の量が少なくなり、電池容量が低下してしまう。また、界面活性剤の炭素材料への吸着が不十分であると、炭素材料が凝集してしまう。また、一般的な界面活性剤では、水溶液中での分散と比較して、有機溶剤中での分散効果が著しく低い。
また、特許文献5及び特許文献6には、カーボンブラックを溶剤又は水に分散する際に、分散樹脂を添加することでカーボンスラリーの分散状態を改善し、そのカーボンスラリーと、活物質とを混合して、電極用合材を作製する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、カーボンブラックの分散性は向上するものの、比表面積の大きな微細なカーボンブラックの分散を行う場合には大量の分散樹脂が必要となること、及び分子量の大きな分散樹脂がカーボンブラック表面を被覆してしまうこと等から、導電ネットワークが阻害され電極の抵抗が増大し、結果的にカーボンブラックの分散向上による効果を相殺してしまう場合がある。
更に、電極材料の分散性の向上と併せて、充放電の効率を向上させる上で重要な要素としては、電極の電解液に対する濡れ性の向上が挙げられる。電極反応は、電極材料表面と電解液との接触界面で起こるため、電解液が電極内部まで浸透し電極材料が良く濡れることが重要となる。電極反応を促進させる方法としては、微細な活物質や導電助剤を用いて電極の表面積を増大させる方法が検討されているが、特に炭素材料を用いる場合は、電解液に対する濡れが悪く、実際の接触面積が大きくならないため、電池性能の向上が難しいといった問題がある。
電極の濡れ性を改善する方法として、特許文献7には、電極中に繊維径1〜1000nmの炭素繊維を含有させることで、活物質粒子間に微細な空隙を持たせる方法が開示されている。しかしながら、通常、炭素繊維は複雑に絡み合っているため、均一な分散が難しく、炭素繊維を混ぜるだけでは、均一な電極を作製することができない。また、同文献では、分散制御のために炭素繊維の表面を酸化処理した炭素繊維を使用する方法も挙げられているが、炭素繊維を直接、酸化処理すると、炭素繊維の導電性や強度が低下してしまうという問題がある。また、特許文献8には、炭素粉末を主剤とする負極材料に高級脂肪酸アルカリ塩の様な界面活性剤を吸着させ、濡れ性を改善する方法が開示されているが、上述したように界面活性剤は特に非水系での分散性能が十分でないことが多く、均一な電極塗膜が得られない。これらの例では、いずれも電極材料の分散性を含めたトータルでの性能としては不十分であった。
特開2000−123823号公報 特開2002−298853号公報 特開昭63−236258号公報 特開平8−190912号公報 特開2003−157846号公報 特表2006−516795号公報 特開2005−063955号公報 特開平6−60877号公報
本発明は、導電助剤を含む電池用組成物において、導電助剤の導電性を阻害せずに分散安定化を図ること、炭素材料である導電助剤の電解液に対する濡れ性を向上させること、並びに、本発明の電池用組成物を用いて作製される電池の電池性能を向上させることを目的とする。
前記課題は、下記一般式(2)で表わされる、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及下記一般式(7)で表わされる、塩基性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、
カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)、
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなるポリビニル系樹脂(A2)、並びに、
下記一般式(1):
(HOOC−) m −R 21 −(−COO−[−R 23 −COO−] n −R 22 t (1)
〔一般式(1)中、R 21 は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、R 22 は、モノアルコール残基であり、R 23 は、ラクトン残基であり、mは、2又は3であり、nは、1〜50の整数であり、tは、(4−m)である。〕
で表されるポリエステル系樹脂(A3)
からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有する樹脂と、
分散粒径(D 50 )が、2μm以下である、導電助剤としての炭素材料と、
酸性官能基を有する樹脂以外のバインダー成分とを含んでなる電池用組成物により解決される。
一般式(2):

{一般式(2)中、
1 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 2 −Y 1 −X 3 −であり、
2 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHC
O−、又は−NHSO 2 −であり、
3 は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
1 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
Qは、−O−R 2 、−NH−R 2 、ハロゲン基、−X 1 −R 1 、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
2 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニ
ル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
1 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
1 は、1〜4の整数であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素の残基であり、
複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドンの残基である。
一般式(3):

一般式(4):

一般式(5):

〔一般式(3)〜(5)中、
4 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
NHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 5 −Y 2 −X 6 −であり、
5 は、−NH−、又は−O−であり、
6 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
NHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
2 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、
3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換
されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR 3 とR 4 とで
一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
5 、R 6 、R 7 、及びR 8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
9 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は
置換されていてもよいアリール基である。〕
一般式(6):
〔一般式(6)中、
Tは、−X 8 −R 10 、又はW 1 であり、
Uは、−X 9 −R 11 、又はW 2 であり、
1 、及びW 2 は、それぞれ独立に、−O−R 20 、−NH−R 20 、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
20 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
7 は、−NH−、又は−O−であり、
8 、及びX 9 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−
、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
3 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
10 、及びR 11 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族環残基である。〕}
一般式(7):

{一般式(7)中、
Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
2 は、1〜4の整数であり、
12 は、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族残基である。
一般式(8):

一般式(9):

一般式(10):

〔一般式(8)〜(10)中、
10 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 11 −Y 4 −X 12 −であり、
11 は、−NH−、又は−O−であり、
12 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
4 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1 は、1〜10の整数であり、
13 、及びR 14 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、
置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR 3 とR 4 とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
15 、R 16 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよ
いアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
19 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
又、本発明は、バインダー成分が、分子内にフッ素原子を含む高分子化合物である前記電池用組成物に関する。
本発明は、更に、溶剤と、を含んでなる前記電池用組成物に関する。
本発明は、更に、正極活物質又は負極活物質と、を含んでなる前期電池用組成物に関する。
又、本発明は、下記一般式(2)で表わされる、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及下記一般式(7)で表わされる、塩基性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)、
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなるポリビニル系樹脂(A2)、並びに、
下記一般式(1):
(HOOC−) m −R 21 −(−COO−[−R 23 −COO−] n −R 22 t (1)
〔一般式(1)中、R 21 は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、R 22 は、モノアルコール残基であり、R 23 は、ラクトン残基であり、mは、2又は3であり、nは、1〜50の整数であり、tは、(4−m)である。〕
で表されるポリエステル系樹脂(A3)
からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散する電池用組成物の製造方法に関する。
一般式(2):

{一般式(2)中、
1 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 2 −Y 1 −X 3 −であり、
2 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHC
O−、又は−NHSO 2 −であり、
3 は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
1 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
Qは、−O−R 2 、−NH−R 2 、ハロゲン基、−X 1 −R 1 、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
2 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニ
ル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
1 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
1 は、1〜4の整数であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素の残基であり、
複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドンの残基である。
一般式(3):

一般式(4):

一般式(5):

〔一般式(3)〜(5)中、
4 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
NHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 5 −Y 2 −X 6 −であり、
5 は、−NH−、又は−O−であり、
6 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
NHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
2 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、
3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換
されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR 3 とR 4 とで
一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
5 、R 6 、R 7 、及びR 8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
9 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は
置換されていてもよいアリール基である。〕
一般式(6):
〔一般式(6)中、
Tは、−X 8 −R 10 、又はW 1 であり、
Uは、−X 9 −R 11 、又はW 2 であり、
1 、及びW 2 は、それぞれ独立に、−O−R 20 、−NH−R 20 、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
20 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
7 は、−NH−、又は−O−であり、
8 、及びX 9 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−
、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
3 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
10 、及びR 11 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族環残基である。〕}
一般式(7):

{一般式(7)中、
Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
2 は、1〜4の整数であり、
12 は、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族残基である。
一般式(8):

一般式(9):

一般式(10):

〔一般式(8)〜(10)中、
10 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 11 −Y 4 −X 12 −であり、
11 は、−NH−、又は−O−であり、
12 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
4 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1 は、1〜10の整数であり、
13 、及びR 14 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、
置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR 3 とR 4 とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
15 、R 16 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよ
いアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
19 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
又、本発明は、前記製造方法において、前記分散剤と前記炭素材料に追加して、正極活物質又は負極活物質溶剤に共分散する電池用組成物の製造方法に関する。
又、本発明は、前記製造方法において、前記分散剤と前記炭素材料に追加して、正極活物質又は負極活物質と、バインダー成分と、を溶剤に共分散する電池用組成物の製造方法に関する。
又、本発明は、前記製造方法で製造された電池用組成物に、正極活物質又は負極活物質を混合する電池用組成物の製造方法に関する。
又、本発明は、前記製造方法で製造された電池用組成物に、正極活物質又は負極活物質と、バインダー成分と、を混合する電池用組成物の製造方法に関する。
又、本発明は、前記製造方法において、前記塩基性官能基を有する有機色素誘導体、及前記塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及び前記酸性官能基を有する樹脂からなる群から選ばれる1種以上の処理剤で、あらかじめ処理された導電助剤としての炭素材料を使用する電池用組成物の製造方法に関する。
更に、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、正極合材層又は負極合材層が、前記電池用組成物を使用して形成されてなるリチウム二次電池に関する。
更に、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質と、を具備するリチウム二次電池であって、正極合材層と集電体との間及び/又は負極合材層と集電体との間に、前記電池用組成物を使用して形成してなる電極下地層を有するリチウム二次電池に関する。
更に、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、前記正極合材層又は前記負極合材層が、製造方法により製造された電池用組成物を使用して形成されてなるリチウム二次電池に関する。
更に、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質と、を具備するリチウム二次電池であって、正極合材層と集電体との間及び/又は負極合材層と集電体との間に、前記製造方法により製造された電池用組成物を使用して形成された電極下地層を有するリチウム二次電池に関する。

本発明の好ましい実施態様によれば、導電助剤の導電性を阻害することなく、分散安定性に優れた電池組成物を得ることができる。更に、本発明の好ましい実施態様に係る電池用組成物を、リチウム二次電池等の電極に使用することにより、電極活物質及び導電助剤が、電極合材中に均一に混合され、電極集電体と電極合材との密着性、活物質と導電助剤との密着性、並びに電極合材の電解液に対する濡れ性が、改善されて、電極の内部抵抗の低減を促すと共に、充放電の効率を向上することができ、電池性能を総合的に向上させることができる。
本発明における電池用組成物は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を含んでなることを特徴とするが、以下にその詳細を説明する。
<導電助剤としての炭素材料>
本発明における導電助剤としては、炭素材料が最も好ましい。炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、及びフラーレン等を単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、及びコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体若しくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等の各種のものを単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡等で測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック、プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、及び5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック、ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック、並びに、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<塩基性官能基を有する各種誘導体>
本発明における塩基性官能基を有する誘導体としては、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から1種類以上選ばれるものである。
とりわけ、下記一般式(2)で示されるトリアジン誘導体、又は一般式(7)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(2):
[一般式(2)中、
1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X2−Y1−X3−であり、
2は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
3は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
1は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
Qは、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン基、−X1−R1、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
2は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
1は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
1は、1〜4の整数である。
一般式(3):
一般式(4):
一般式(5):
〔一般式(3)〜(5)中、
4は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−、又は−X5−Y2−X6−であり、
5は、−NH−、又は−O−であり、
6は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、又は−CH2−であり、
2は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、
3 及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR3 とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
5 、R6 、R7 、及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
9は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕
一般式(6):
〔一般式(6)中、
Tは、−X8−R10、又はW1であり、
Uは、−X9−R11、又はW2であり、
1、及びW2は、それぞれ独立に、−O−R20、−NH−R20、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
20は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
7は、−NH−、又は−O−であり、
8、及びX9は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、又は−CH2NHCOCH2NH−であり、
3は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
10、及びR11は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、又は置換基を有していてもよい芳香族環残基である。〕}
一般式(2)のR1、並びに、一般式(6)のR10、及びR11で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
一般式(2)のR1、並びに、一般式(6)のR10、及びR11で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基、及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(3)及び(4)中のR3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR3 とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(2)〜(6)のY1、Y2、及びY3は、それぞれ独立に、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基、又はアリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(7):
{一般式(7)中、
Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
2は、1〜4の整数であり、
12は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、又は置換基を有していてもよい芳香族残基である。
一般式(8):
一般式(9):
一般式(10):
〔一般式(8)〜(10)中、
10は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−、又は−X11−Y4−X12−であり、
11は、−NH−、又は−O−であり、
12は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、又は−CH2−であり、
4は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1は、1〜10の整数であり、
13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR3とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
15 、R16 、R17 、及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
19は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
一般式(7)のR12で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
又、一般式(7)のR12で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、及びブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
又、一般式(8)及び(9)中のR13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR13 とR14とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(3)〜(5)、並びに、一般式(7)〜(9)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジ ン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエ チルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、及び1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有する塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、又は特開平11−199796号公報等に記載されている方法で合成することができる。
例えば、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに、式(11)〜式(14)で示される置換基を導入した後、これら置換機とアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、若しくは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等)を反応させることによって、合成することができる。
一般式(11):
−SO2Cl
一般式(12):
−COCl
一般式(13):
−CH2NHCOCH2Cl
一般式(14):
−CH2Cl
又、例えば、式(11)で示される置換基を導入する場合には、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンをクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、このときの反応温度、反応時間等の条件により、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに導入する式(11)で示される置換基数をコントロールすることができる。
又、式(12)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシル基を有する有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンを公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
式(11)〜式(14)で示される置換基とアミン成分との反応時には、式(11)〜式(14)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、式(11)で示される置換基はスルホン酸基となり、式(12)で示される置換基はカルボン酸基となるが、いずれも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属若しくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
又、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(8)〜(10)、又は下記一般式(15)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分又はカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(15):
{一般式(15)中、
13は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X14−Y5−X15−であり、
14は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
15は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
5は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1は、上記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
2は、−O−R24、−NH−R24、ハロゲン基、−X1−R25、又は上記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
24は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
25は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は上記一般式(6)で示される基である。}
又、本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に上記一般式(8)〜(10)、又は一般式(15)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、若しくはN−メチルピペラジン等)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミン又はアルコール等を反応させることによって得られる。
上記の塩基性官能基を有する各種誘導体の効果のひとつとして、添加した誘導体が炭素材料表面に作用(例えば吸着)することにより、分散効果を発揮するものと考えられる。
すなわち、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加、混合することで、これら誘導体の炭素材料への作用(例えば吸着)が進み、炭素材表面に作用(例えば吸着)した誘導体が有する塩基性官能基の極性により、炭素表面の溶剤に対する濡れが促進され、炭素材の凝集が解しやすくなるものと考えられる。
又、後述する酸性官能基を有する樹脂の酸性官能基と上記誘導体が有する塩基性官能基の相互作用(例えば酸−塩基相互作用)により、炭素材料と樹脂成分との密着性が向上するとともに、炭素材料の分散安定性が更に増すと考えられる。
更に、上記酸性官能基を有する樹脂を介して、炭素材料とバインダー成分であるフッ素原子含有高分子化合物等との密着性も向上するため、電極集電体若しくは電極合材中の活物質との密着性も向上すると考えられる。
<酸性官能基を有する樹脂>
本発明の電池用組成物は、酸性官能基を有する樹脂を含有している。また好ましい酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基である。酸性官能基を有する樹脂は、分散安定性の観点から、(A1)〜(A3)の三つのタイプが好ましい。
上記の酸性官能基を有する樹脂は、電極活物質、及び導電助剤としての炭素材料どうしを結着する、又は、電極活物質、及び導電助剤としての炭素材料を集電極に結着するためのバインダーとしても機能するが、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上と併用することにより、炭素材料の分散安定性及び、電極合材層の密着性を向上させることができる。
すなわち、炭素材表面に作用(例えば吸着)した塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、若しくは塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の塩基性官能基と、酸性官能基を有する樹脂の酸性官能基との相互作用(例えば酸−塩基相互作用)、又は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、若しくは塩基性官能基を有するトリアジン誘導体と、酸性官能基を有する樹脂が相互作用(例えば酸−塩基相互作用)しつつ炭素材料表面に吸着することにより、酸性官能基を有する樹脂の炭素材料表面への吸着が促進され、炭素材料と樹脂成分との密着性が向上すると共に、樹脂の立体障害による反発により、炭素材料の分散安定性が向上するものと考えられる。又、炭素材料とバインダー成分である分子内にフッ素原子を含む高分子化合物との密着性も向上するため、使用するバインダー量を減らすことも期待できる。
<酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)>
酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)は、特に限定されるものではないが、特公昭52−24959号公報、特開58−136605号公報、特開平2−604号公報、特開平6−172452号公報、WO2004−049475号公報、特許第3121943号公報、又は特許第3784494号公報等を参考に合成することができる。以下、具体例を示すが、モノマーとは、エチレン性不飽和単量体を意味する。
例えば、スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンのホモポリマー(単独重合体)、又は、フッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデン以外のフッ素を有するモノマー、及びフッ素を有しないその他のモノマーからなる群から選ばれた1種類以上のモノマーと、のコポリマー(共重合体)を、スルホン化することにより得られる。フッ化ビニリデン以外のフッ素を有するモノマーとしては、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。又、その他のモノマーとは、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーであり、例えば、エチレン、クロロエチレン、プロピレン、(メタ)アクリル酸アルキル、及びスチレン等が挙げられる。スルホン化は、例えば濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、アミド硫酸、三酸化硫黄、又はトリエチルホスフェート錯体のようなスルホン化剤により、ポリフッ化ビニリデン系樹脂における重合単位中の水素をスルホン酸基に置換することで行われる。
例えば、カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンと、カルボキシル基を有するモノマーと、フッ化ビニリデン以外のフッ素を有するモノマー、及びフッ素を有しないその他のモノマーからなる群から選ばれた1種類以上のモノマーと、を共重合することにより、得ることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びクロトン酸等の不飽和一塩基酸、並びに、イタコン酸、マレイン酸、及びシトラコン酸等の不飽和二塩基酸(及びそれらのモノエステル)等が挙げられる。
又、フッ素を有するモノマーとしては、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
又、その他のモノマーとは、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーであり、例えば、エチレン、クロロエチレン、プロピレン、(メタ)アクリル酸アルキル、及びスチレン等が挙げられる。
又、市販のカルボキシル基含有ポリフッ化ビニリデン系の樹脂としては、KFポリマーW#9100、W#9200、及びW#9300(クレハ社製)等が挙げられる。
例えば、燐酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンと、燐酸基を有するモノマーと、フッ化ビニリデン以外のフッ素を有するモノマー、及びフッ素を有しないその他のモノマーからなる群から選ばれた1種類以上のモノマーと、を共重合することにより、得ることができる。
燐酸基を有するモノマーとしては、アルキレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性アルコキシリン酸(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性アルコキシリン酸ジ(メタ)アクリレート、グリシジル基を含む(メタ)アクリレートとリン酸とを反応させて得られるアダクト体等が挙げられる。
又、フッ素を有するモノマーとしては、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
又、その他のモノマーとは、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーであり、例えば、エチレン、クロロエチレン、プロピレン、(メタ)アクリル酸アルキル、及びスチレン等が挙げられる。
更に、燐酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、水酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂に燐酸化剤である燐酸、五酸化燐、オキシ塩化燐、ポリ燐酸、又はオルト燐酸等を作用させて燐酸エステルとして得ることができる。
水酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンと、水酸基を有するモノマーと、フッ化ビニリデン以外のフッ素を有するモノマー、及びフッ素を有しないその他のモノマーからなる群から選ばれた1種類以上のモノマーと、を共重合することにより、得ることができる。
水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリレート類とアリルエーテル類があり、(メタ)アクリレート類としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、1,1,1−トリメチロールプロパン又はグリセロールのジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。水酸基を有するアリルエーテル類としては、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オコチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル等が挙げられる。
又、フッ素を有するモノマーとしては、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
又、その他のモノマーとは、フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーであり、例えば、エチレン、クロロエチレン、プロピレン、(メタ)アクリル酸アルキル、及びスチレン等が挙げられる。
酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)の重量平均分子量は、3,000〜1,000,000が好ましい。ただし、バインダー成分として、酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)のみを使用する場合は、10,000〜1,000,0000が好ましい。分子量が小さいと、バインダーとしての耐性が低下することがある。また、分子量が大きくなると、バインダーの耐性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、合材成分が凝集してしまう場合がある。
<酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)>
酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)を製造するための第一の工程は、一般式(16)に示すように、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)を製造する工程である。分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)のチオール基が連鎖移動剤として働き、エチレン性不飽和単量体(m)が重合した溶媒親和性ビニル重合体部位(M)の末端に、S原子を介して2つの水酸基が導入されたビニル重合体(a)が合成される。
一般式(16):
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)を、目的とするビニル重合体(a)の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体(a)を得ることができる。好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物(s)を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、及び2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等があげられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びN−メチルピロリドン等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
エチレン性不飽和単量体(m)としては、以下に示す一般的なエチレン性不飽和単量体(m1)が挙げられる。一般的なエチレン性不飽和単量体(m1)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂肪族環を有する(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等のヘテロ環を有する(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、
酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等があげられるが、特にこれらに限定されるものではなく、2種類以上を組み合わせたり、必要に応じて、以下に示す単量体を併用しても良い。
エチレン性不飽和単量体(m)の一つとして、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)を併用することもできる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸二量体、アクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)、及びメタクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)等から1種又は2種以上を選択することができる。
本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体(m)の中でも、ベンジル(メタ)アクリレートを単量体全体の20重量%〜70重量%使用するのが好ましい。20重量%未満では、溶媒親和性が低くなり、十分な立体反発効果が得られず、顔料分散性が低下する場合があり、70重量%を超えると、分散剤自身の溶剤への溶解性が上がるため顔料への吸着が不十分になったり、溶媒親和部同士の絡み合いにより、顔料組成物の粘度が高くなったりする場合がある。
また、本発明においては、更に上記に例示したエチレン性不飽和単量体(m)と共に、ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m3)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(m4)、及びt−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(m5)の少なくとも1つから選ばれるエチレン性不飽和単量体用いて、ビニル重合体(a)を製造することが出来る。これらの単量体を使用することにより、単量体中の架橋性官能基(それぞれブロックイソシアネート基、オキセタン基、t−ブチル基)が焼きつけにより架橋するため、本発明によるインクジェットインキを用いた展色物を熱硬化した後に耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、耐アルカリ性を更に向上することができる。
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m3)としては、例えば、カレンズMOI−BM、及びカレンズMOI−BP(昭和電工製)等が挙げられる。オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(m4)としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(宇部興産製)等が挙げられる。t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(m5)としては、例えば、t−ブチルメタクリレート、及びt−ブチルアクリレート等が挙げられる。
単量体の有するブロックイソシアネート基は、水酸基と併用すると水酸基と架橋反応するためより好ましく、オキセタン基はカルボキシル基と併用するとカルボキシル基と架橋反応するためより好ましく、t−ブチル基は、水酸基と併用すると水酸基と架橋反応し、オキセタン基と併用するとオキセタン基と架橋反応するためより好ましい。
カルボキシル基を組み合わせる場合、本発明の硬化性分散剤中には、テトラカルボン酸二無水物(b)由来のカルボキシル基を硬化性部位として利用できるが、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体をエチレン性不飽和単量体(m2)として併用することで、硬化性分散剤にカルボキシル基を容易に導入することができる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸二量体、アクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)、及びメタクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)等から1種又は2種以上を選択することができる。
又、水酸基を組み合わせる場合、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m6)をエチレン性不飽和単量体として併用することでも硬化性分散剤に水酸基を導入することができる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m6)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3、又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、及びグリセロール(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、及びN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、及び2−(又は3−、又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;並びに、
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、及び2−(又は3−、又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類が挙げられる。
又、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、及びヒドロキシアルキルアリルエーテル類にアルキレンオキサイド又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明で用いる水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、並びに、これらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン、並びに、これらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
本発明においては、ビニル重合体(a)に不飽和結合を導入することも出来る。
ビニル重合体(a)に不飽和結合を導入する方法としては、ビニル重合体(a)中に水酸基を導入し、後からイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m7)を反応させる方法、ビニル重合体(a)中にカルボキシル基を導入し、後からエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(m8)を反応させる方法、ビニル重合体(a)中にエポキシ基を導入し、後からカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m2)を反応させる方法が挙げられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m7)としては、カレンズMOI(昭和電工製 2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)、及びカレンズAOI(昭和電工製 2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート)等が、挙げられる。エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(m8)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及びサイクロマーM100(ダイセル化学工業製 3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)製造のための第二の工程は、下記一般式(17)に示すように、第一の工程で得られた片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)と、テトラカルボン酸二無水物(b)とを反応させる工程である。
一般式(17):
片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβとすると、理論上、α=βでは、分子量が無限大に大きくなるので、α>βあるいはα<βとして、α/βの比率を変えて、目的とする分子量にコントロールすることが多い。例えば、α=β+1の場合、両末端が水酸基となり、それ以上分子量が大きくならず、酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2-1)を安定に合成することができる。一方、β=α+1の場合、両末端が酸無水物基となり、安定性が悪くなるため、酸無水物基を加水分解して、末端をカルボキシル基とした酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2-2)を合成することができる。
次に、酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の第二の製造工程における各構成要素について説明する。
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物(b)は、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)と反応してエステル結合を形成し、かつ、生成するポリエステル主鎖上にペンダントカルボキシル基を残すことができる。一般式(17)の生成物中に残っている酸無水物基を加水分解すれば、この反応による生成物は、構造式中のX1部分にカルボキシル基を2個又は3個を有しており、この複数のカルボキシル基が導電助剤である炭素材料への吸着部位として有効である。
しかしながら、X0に結合しているカルボキシル基が1個のみである場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
本発明におけるX0は、テトラカルボン酸ニ無水物(b)が片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)と反応した後の反応残基である。好ましくは、下記一般式(18)、又は一般式(19)で示されるテトラカルボン酸二無水物が、水酸基を有するビニル重合体(a)と反応した後の反応残基である。
一般式(18):

〔一般式(18)中、kは1又は2である。〕
一般式(19):
〔一般式(19)中、Q0は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、下記一般式(20):

で表される基、又は下記一般式(21):

で表される基である。〕
本発明では、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)とテトラカルボン酸二無水物(b)とを反応させることにより、上記一般式(17)における生成物中のX1に結合する複数のカルボキシル基部分が導電助剤である炭素材料への吸着部として機能し、ビニル重合体部分が溶媒親和部として機能する。
片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)の重量平均分子量は、1,000〜10,000が好ましく、この部位が分散媒である溶剤への親和性部分となる。ビニル重合体(a)の重量平均分子量が1,000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、導電助剤である炭素材料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。また10、000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。更に、分散体の粘度が高くなる場合がある。ビニル重合体(a)は、分子量を上記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好である。酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の第一の工程で説明したように、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)の重量平均分子量は、エチレン性不飽和単量体(m)に対する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の使用重量、反応温度、反応時間、エチレン性不飽和単量体(m)に対する必要に応じて使用する重合開始剤の使用重量、必要に応じて使用する重合溶剤の種類、及び重合時のエチレン性不飽和単量体(m)濃度によりコントロールできる。
テトラカルボン酸ニ無水物(b)としては、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、及びビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の脂肪族テトラカルボン酸無水物;並びに、
ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、及び3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物(b)は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。更に、本発明に好ましく使用されるものは、導電助剤である炭素材料分散体の低粘度化の観点から一般式(18)又は一般式(19)で表されるような、芳香族テトラカルボン酸無水物であり、更に好ましくは芳香族環を二つ以上有するテトラカルボン酸無水物である。また、分子中にカルボン酸無水物基を1つ持つ化合物や3つ以上持つ化合物を併用して使用することができる。
本発明で用いることのできる酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の第二の工程で用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
本発明で用いることのできる酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になる等の問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
本発明で用いることのできる酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)は、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)、テトラカルボン酸二無水物(b)を反応させることで得られる。テトラカルボン酸無水物(b)中の酸無水物基とビニル重合体(a)中の水酸基とのモル比は、ビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβとすると、2β/2α=β/α=0.3〜1.2が、好ましく、更に好ましくはβ/α=0.5〜1.0、最も好ましくはβ/α=0.6〜0.8の場合である。β/α>1で反応させる場合は、残存する酸無水物基を必要量の水で加水分解して使用してもよい。0.3未満であると、導電助剤である炭素材料への吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、また樹脂の酸価も低くなる場合もある。また1.2を超えるとポリエステルが高分子量化を起こしてしまい、電池用組成物として使用した時に、樹脂間の相互作用が強くなり逆に増粘が起きる場合がある。
酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の第二の工程の反応温度は80℃〜180℃、好ましくは、90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、ポリエステルの酸価が5〜200の範囲に入ったとき、又は、水酸基価が20〜200の範囲に入った時に反応を止めてもよい。
得られた酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜25,000である。重量平均分子量が2,000未満であれば電池用組成物の安定性が低下する場合があり、25,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、電池用組成物の増粘が起きる場合がある。また、得られた酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)の酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。更に好ましくは、5〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜100mgKOH/gである。酸価が5未満では、導電助剤である炭素材料への吸着能が低下し分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり電池用組成物の粘度が高くなる場合がある。
<酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)>
本発明で用いることのできる酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)は、下記一般式(1)で表される構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。その製造方法は、例えば、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合して片末端に水酸基を有するポリエステルを製造する第一の工程と、該片末端に水酸基を有するポリエステルと、テトラカルボン酸二無水物を反応させる第二の工程とからなる方法であることが好ましい。
一般式(1):
(HOOC−)m−R21−(−COO−[−R23−COO−]n−R22t (1)
〔一般式(1)中、R21は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、R22は、モノアルコール残基であり、R23は、ラクトン残基であり、mは、2又は3であり、nは、1〜50の整数であり、tは、(4−m)である。〕
酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に用いることのできるモノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であれば、特に限定されない。脂肪族モノアルコールとしては、例えば、好ましくは炭素原子数1〜30(より好ましくは炭素原子数1〜25)の直鎖状若しくは分岐状の置換若しくは非置換の飽和脂肪族モノアルコール、あるいは炭素原子数1〜30(より好ましくは炭素原子数1〜25)の置換若しくは非置換の飽和脂環式モノアルコールを挙げることができる。飽和脂肪族モノアルコール又は飽和脂環式モノアルコールの置換基としては、例えば、カルボキシル基を挙げることができる。
脂肪族モノアルコールを例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、又はオレイルアルコール等を挙げることができる。脂環式モノアルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
脂肪族モノアルコールとしては、分岐脂肪族モノアルコールが好ましく、例えば、2−エチルヘキサノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、又は2−ヘキシルデカノール等の炭素原子数8〜20のものが好ましい。
前記モノアルコールとしては、炭素原子数6〜30(より好ましくは炭素原子数6〜25)の置換若しくは非置換の芳香族モノアルコール、例えば、フェノール又はクミルフェノールを用いることもできる。又、炭素原子数1〜6の脂肪族基部分を有し、炭素原子数6〜10の芳香族基で置換された飽和脂肪族モノアルコール、例えば、ベンジルアルコールを用いることもできる。
更に、前記モノアルコールとして、片末端に水酸基を有するモノアルキレングリコールモノエーテル又は片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールモノエーテルを用いることもできる。これらのモノアルキレングリコールモノエーテル又はポリアルキレングリコールモノエーテルとしては、好ましくは、モノ若しくはポリエチレングリコール又はモノ若しくはポリプロピレングリコールの炭素原子数1〜8のアルキルモノエーテルを挙げることができ、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができる。
更に、酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に用いることのできるモノアルコールとしては、エチレン性不飽和二重結合1つ又はそれ以上を有するモノアルコールを挙げることができる。前記エチレン性不飽和二重結合の例としては、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。これらは、1つの化合物中に異なる種類の二重結合を有する化合物であることができる。
前記のエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合1つ、2つ、又は3つ以上を有する不飽和モノアルコール化合物を用いることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が1つのモノアルコールとしては、(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜8のヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
エチレン性不飽和二重結合の数が2つのモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、又はグリセリンジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が3つのモノアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合の数が5つのモノアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを挙げることができる。
前記で例示した脂肪族モノアルコール、芳香族モノアルコール、及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールの水酸基を開始基として、アルキレンオキサイドを付加重合して得られるアルコール、すなわち、片末端をエーテル化又はエステル化したポリアルキレングリコールも、酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に用いることができる。付加重合に用いるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又は1,2−、1,4−、2,3−若しくは1,3−ブチレンオキサイド、あるいはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。アルキレンオキサイドの付加数は、一分子中、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは5〜100である。
アルキレンオキサイドの付加は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行うことができる。こうして得られる付加重合生成物の市販品としては、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、又は日本油脂社製ブレンマーシリーズ等がある。
具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、又は10APB−500B等がある。
酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に用いることができるモノアルコールは、上記例示に限定されることなく、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用することもできる。
上記モノアルコールのうち、例えば4−メチル−2−ペンタノール、イソペンタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、又は2−ヘキシルデカノール等の分岐脂肪族モノアルコール、又は片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることで、結晶性が低下し、室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
前記モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合することによって、片末端に水酸基を有し、前記樹脂型分散剤の製造に用いることができるポリエステルを得ることができる。前記開環重合に用いることができるラクトンは、好ましくは4員環〜10員環、より好ましくは5員環〜7員環のラクトンであり、環構成炭素原子は、置換されているかあるいは非置換であることができる。環構成炭素原子の置換基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基を挙げることができる。また、環内にエチレン結合1つ又はそれ以上を含む不飽和ラクトン、又は芳香族化合物(例えば、ベンゼン)との縮合ラクトンも用いることができる。
好適なラクトンとして、具体的には、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを挙げることができ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。アルキル置換基としては、例えば、炭素原子数1〜4のアルキル基、特には、メチル基又はエチル基を挙げることができ、これらのアルキル置換基1つ又はそれ以上で置換されていることができる。
前記ラクトンは、上記例示に限定されることなく用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用することもできる。2種類以上を併用することで結晶性が低下し、室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
前記モノアルコールと前記ラクトンとの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管及びコンデンサを接続した反応器に、前記モノアルコール、前記ラクトン、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。前記モノアルコールとして低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。また、前記モノアルコールとしてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
前記モノアルコール1モルに対する前記ラクトンの付加モル数は、1〜50モル、好ましくは、3〜20モル、最も好ましくは4〜16モルである。付加モル数が、1モルより少ないと、導電助剤である炭素材料を分散させる効果を得ることができず、50モルより大きいと分子量が大きくなりすぎ、導電助剤である炭素材料の分散性や電池用組成物の流動性の低下を招く。
前記開環重合用の重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、又はベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又は安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、又はカリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、又は塩化亜鉛等の亜鉛化合物等を挙げることができる。触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppm以上となると、酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm以下では環状エステルの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
前記開環重合反応は、無溶剤で実施するか、又は適当な脱水有機溶媒を使用することもできる。前記開環重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま電池用組成物の一部として使用することもできる。
前記開環重合反応は、好ましくは100℃から220℃、より好ましくは110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、210℃を超えるとラクトンの付加反応以外の副反応、例えばラクトン付加体のラクトンモノマーへの分解、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールを使用する場合に使用される重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、又はフェノチアジン等が好ましく、これらを単独で用いるかあるいは併用することができ、使用量は、好ましくは0.01%〜6%、より好ましくは0.05%〜1.0%の範囲である。
本発明で用いる酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)は、前記の第一の工程で得られた片末端に水酸基を有するポリエステルの水酸基と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる(第二の工程)ことにより得ることが好ましい。
第二の工程で使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、複素環式テトラカルボン酸二無水物、又は多環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
具体的には、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、若しくはビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物;又は、
2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、若しくは5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等の複素環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
更に、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の多環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に、芳香族環2つ以上を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、特には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、又は9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物が好ましい。
酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に用いることができるテトラカルボン酸二無水物は、上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物を二つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。更に、酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)の製造に好適に用いることができるテトラカルボン酸二無水物は、電池用組成物の低粘度化の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、更に好ましくは芳香族環2つ以上(特には2〜4)を有するテトラカルボン酸二無水物である。
第二の工程での反応比率は、片末端に水酸基を有するポリエステルの水酸基のモル数〈H〉に対する、テトラカルボン酸無水物の無水環のモル数〈N〉の比率〔〈H〉/〈N〉〕が、好ましくは0.5<〈H〉/〈N〉<1.2、更に好ましくは0.7<〈H〉/〈N〉<1.1、最も好ましくは〈H〉/〈N〉=1である。〈H〉/〈N〉<1で反応させる場合は、残存する酸無水物を必要量の水で加水分解して使用してもよい。
第二の工程には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、3級アミン系化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、又は1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等を挙げることができる。
第一の工程、第二の工程ともに無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
反応温度は80℃〜180℃、好ましくは、90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではハーフエステル化したものが、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。
前記一般式(1)において、nは好ましくは1〜30の整数、より好ましくは2〜20の整数である。前記一般式(1)において、nとtとの少なくとも一方が2以上である場合には、前記一般式(1)に存在する複数のR3は、全てが同じ基であるか、複数種の基を含むことができる。
前記一般式(1)で表される酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)として好ましい化合物は、 21 が、一般式(22):
で表される基、一般式(23):
で表される基、又は一般式(24):

(式中、A0は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CH32−、−C(CF32−、一般式(25):
で表される基、又は一般式(26):
で表される基である。)
で表される基であり、 22 が、炭素原子数8〜20の脂肪族アルキル基、又は分子量200〜1500の末端エーテル若しくはエステルポリオキシアルキレン(アルキレン部分の炭素原子数が2〜4)基であり、 23 が、ヘキサメチレン基、ペンタメチレン基、又はアルキル置換されたヘキサメチレン基であり、mが、2又は3であり、nが、3〜20の整数であり、そしてtが、(4−m)である一般式(1)で表される酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)である。

酸性官能基を有する樹脂は、上記記載の三つのタイプのみに限定されるものでなく、三つのタイプ以外のポリビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ホルマリン縮合物、シリコーン系、及びこれらの複合系ポリマー等が挙げられる。更に、これらの酸性官能基を有する樹脂は2種類以上を併用することもできる。
<その他の市販の酸性官能基を有する樹脂>
市販の酸性官能基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ビックケミー社製の酸性官能基を有する樹脂としては、 Anti−Terra−U、U100、203、204、205、Disperbyk−101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、2001、BYK−P104、P104S、P105、9076、又は220Sが挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の酸性官能基を有する樹脂としては、SOLSPERSE3000、21000、26000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、又は53095が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の酸性官能基を有する樹脂としては、EFKA4510、4530、5010、5044、5244、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、又は5071が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の酸性官能基を有する樹脂としては、アジスパーPN411、又はアジスパーPA111が挙げられる。
ELEMENTIS社製の酸性官能基を有する樹脂としては、NuosperseFX−504、600、605、FA620、2008、FA−196、又はFA−601が挙げられる。
ライオン社製の酸性官能基を有する樹脂としては、ポリティA−550、又はポリティPS−1900が挙げられる。
楠本化成社製の酸性官能基を有する樹脂としては、ディスパロン2150、KS−860、KS−873SN、1831、1860、PW−36、DA−1200、DA−703−50、DA−7301、DA−325、DA−375、又はDA−234が挙げられる。
BASFジャパン製の酸性官能基を有する樹脂としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、52J、57J、60J、61J、62J、63J、70J、HPD−96J、501J、354J、6610、PDX−6102B、7100、390、711、511、7001、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630、352J、252D、538J7640、7641、631、790、780、又は7610等が挙げられる。
三菱レイヨン製の酸性官能基を有する樹脂としては、ダイヤナールBR−60、64、73、77、79、83、87、88、90、93、102、106、113、又は116等が挙げられる。
<溶剤>
本発明に使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられる。
バインダー樹脂成分の溶解性や、導電助剤である炭素材料の分散安定性を得るためには、極性の高い溶剤を使用するのが好ましい。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミド等の様な窒素をジアルキル化したアミド系溶剤、N−メチルピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド、並びに、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。二種類以上を併用することもできる。
<正極活物質及び負極活物質>
本発明の組成物を正極合材若しくは負極合材に用いる場合は、塩基性官能基を有する各種誘導体、酸性官能基を有する樹脂、導電助剤としての炭素材料、及び溶剤以外に、少なくとも正極活物質又は負極活物質を含有させる。
使用する正極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、及び導電性高分子等を使用することができる。例えば、Ti、Fe、Co、Ni、及びMn等の遷移金属の酸化物、前記遷移金属とリチウムとの複合酸化物、並びに、前記遷移金属の硫化物等の無機化合物等が挙げられる。
具体的には、
MnO、V25、V613、及びTiO2等の遷移金属酸化物粉末;
層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、及びスピネル構造のマンガン酸リチウム等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末;
オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料;並びに、
TiS2、及びFeS等の遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
又、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、及びポリチオフェン等の導電性ポリマーを使用することもできる。
又、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
使用する負極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な、
金属リチウム;
リチウム合金、スズ合金、及びシリコン合金等の金属合金;
LiXFe23、LiXFe34、及びLiXWO2等の金属とリチウムの金属酸化物;
ポリアセチレン、及びポリ−p−フェニレン等の導電性高分子;並びに、
ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、及び炭素繊維等の炭素系材料が用いられる。
<バインダー>
本発明の組成物には、更に、酸性官能基を有する樹脂以外のバインダー成分を含有させることができる。使用するバインダーとしては、
エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、又はビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体又は共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、及び共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
また、バインダーとしてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、合材成分が著しく凝集してしまうことがある。
<本発明の組成物の用途>
本発明の組成物は、正極合材又は負極合材に用いることができる。正極合材又は負極合材に用いる場合は、上記の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、溶剤とを含んでなる組成物に、正極活物質又は負極活物質、及びバインダー成分を含有させた正・負極合材ペーストとして使用することが好ましい。
電極合材ペースト中の総固形分に占める活物質の割合は、80重量%以上、98.5重量%以下が好ましい。また、電極合材ペースト中の総固形分に占める、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料とを合わせた固形分の割合は、0.5重量%以上、19重量%以下が好ましい。そして、電極合材ペースト中の総固形分に占める、バインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)の割合は、1重量%以上、10重量%以下が好ましい。また、電極合材ペーストの適正粘度は、電極合材ペーストの塗工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
本発明における正・負極合材ペーストは、導電助剤としての炭素材料の分散性に優れるだけでなく、正・負極活物質の凝集を緩和する効果もある。導電助剤である炭素材料の分散性が優れるため、導電助剤としての炭素材料及び正・負極活物質を溶剤に混合・分散する際のエネルギーが、炭素材料(導電助剤)の凝集物に阻害されることなく効率よく活物質に伝わり、結果的に正・負極活物質の分散性も向上させることができるものと考えられる。
正極合材ペーストでは、正極活物質の周りに導電助剤である炭素材料粒子を均一に配位・付着させることができ、正極合材層に優れた導電性及び密着性を付与できる。また、導電性が向上することにより、導電助剤としての炭素材料の添加量を減らすことができるため、正極活物質の添加量を相対的に増やすことができ、電池の大きな特性である容量を大きくすることができる。
更に、本発明の正極合材ペーストは、正極活物質、炭素材料(導電助剤)の凝集が極めて少ないため、集電体に塗布した際に平滑性の高い均一な塗膜を得ることができ、集電体と正極合材との密着性が改善される。また、塩基性官能基を有する誘導体及び酸性官能基を有する樹脂が炭素材料(導電助剤)表面に作用(例えば吸着)しているため、リチウム遷移金属複合酸化物のような正極活物質の表面と炭素材料(導電助剤)表面との相互作用が強まり、塩基性官能基を有する誘導体及び酸性官能基を有する樹脂を使用しない場合と比較して正極活物質と炭素材料(導電助剤)との密着性が向上する。
また、負極合材ペーストでは、負極活物質として炭素材料系の活物質を使用した場合、添加している塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる一種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂との効果により、炭素材料系活物質の凝集が緩和される。そして、負極活物質の周りに炭素材料(導電助剤)を均一に配位・付着させることができ、負極合材層に優れた導電性及び密着性を付与できる。
本発明の組成物は、電極下地層にも用いることができる。電極下地層に用いる場合は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、及び溶剤とを含んでなる分散体をそのまま使用しても良いが、上記のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)を追加し、電極下地ペーストとして使用することもできる。電極下地層に用いる組成物の総固形分に占める導電助剤としての炭素材料の割合は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、10重量%以上、90重量%以下が更に好ましい。導電助剤としての炭素材料が少ないと、下地層の導電性が保てない場合があり、一方、導電助剤としての炭素材料が多すぎると、塗膜の耐性が低下する場合がある。また、電極下地ペーストの適正粘度は、電極下地ペーストの塗工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
<本発明の組成物の製造方法>
次に、本発明の組成物の製造方法について説明する。
本発明の組成物は、例えば、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散し、該分散体に、必要に応じて正極活物質、負極活物質、又は追加のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)を混合することにより、製造することができる。各成分の添加順序等については、これに限定されるわけではない。また、必要に応じて更に溶剤を追加しても良い。
上記製造方法は、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂とを、溶剤中に完全又は一部溶解させ、その溶液中に導電助剤としての炭素材料を添加、混合することで、前記誘導体及び酸性官能基を有する樹脂を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、溶剤に分散するのが好ましい。このときの分散体中における炭素材料の濃度は、使用する炭素材料の比表面積や表面官能基量等の炭素材料固有の特性値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重量%以下である。炭素材料の濃度が低すぎると生産効率が悪くなり、炭素材料の濃度が高すぎると分散体の粘度が著しく高くなり、分散効率や分散体のハンドリング性が低下する場合がある。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体の添加量は、用いる導電助剤としての炭素材料の比表面積等により決定される。一般には、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体を、炭素材料100重量部に対して、0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以下、更に好ましくは、2重量部以上、30重量部以下で添加する。添加量が少ないと十分な分散効果が得られず、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られないことがある。
また、導電助剤としての炭素材料を溶剤に分散するにあたり、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂を添加することが好ましい。そして、導電助剤としての炭素材料を分散する時に添加する酸性官能基を有する樹脂の量としては、炭素材料100重量部に対して1重量部以上、200重量部以下が好ましいが、1重量部以上、100重量部以下が更に好ましい。
また、上記塩基性官能基を有する誘導体及び酸性官能基を有する樹脂を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、溶剤に分散するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。
例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;又は、
その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
又、追加分のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)の添加方法としては、上記の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散してなる分散体を攪拌しつつ、追加のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)を固形のまま添加し、溶解させる方法が挙げられる。また、追加のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)を溶剤に溶解させたものを事前に作製しておき、上記分散体と混合する方法が挙げられる。また、追加のバインダー成分(酸性官能基を有する樹脂以外の樹脂成分)を上記分散体に添加した後に、上記分散装置で再度分散処理を行っても良い。
正極活物質又は負極活物質の添加方法としては、上記の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散してなる分散体を攪拌しつつ、正極活物質又は負極活物質を添加し、分散させる方法が挙げられる。又、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散するときに、正極活物質又は負極活物質の一部ないしは全量を、同時に添加して共分散処理を行うこともできる。又、このときの混合、分散を行うための装置としては、通常の顔料分散等に用いられている上述の分散装置が使用できる。
導電助剤としての炭素材料の分散粒径は、0.03μm以上、2μm以下、好ましくは、0.05μm以上、1μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.5μm以下に微細化することが望ましい。導電助剤としての炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の組成物は、その作製が難しい場合がある。また、導電助剤としての炭素材料の分散粒径が2μmを超える組成物を用いた場合には、電極の抵抗分布のバラつきや、低抵抗化のために導電助剤の添加量を増やさなければならなくなる等の不具合が生じる場合がある。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
本発明の電池用組成物は、上述するように、通常は溶剤を含む分散体(液)、又はペースト等として、製造、流通、使用される。これは、導電助剤や活物質と塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、を乾燥粉体の状態で混合しても、導電助剤や活物質に均一に作用させることは難しく、液相法で、導電助剤や活物質を溶剤に分散することにより、導電助剤や活物質に、均一に、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、酸性官能基を有する樹脂と、を作用させることができるからである。また、以下に説明するように、集電体に電極合材層を形成する場合には、液状の分散体をできるだけ均一に塗布してこれを乾燥させることが好ましいからである。
しかしながら、例えば、液相法で作製した分散体を、運搬コスト等の理由から、一度溶剤を除去して乾燥粉体とすることも考えられる。そして、この乾燥粉体を適当な溶剤で再分散させて、電極合材層の形成に用いることも考えられる。したがって、本発明の組成物は、液状の分散体に限られず、このような、乾燥粉体の状態の組成物であってもよい。
<リチウム二次電池>
次に、本発明の組成物を用いたリチウム二次電池について説明する。
リチウム二次電池は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備する。前記正極合材層と前記集電体との間や、前記負極合材層と前記集電体との間には、電極下地層が形成されていてもよい。
電極について、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状のものも使用できる。
集電体上に電極下地層を形成する方法としては、前述の電極下地ペーストを電極集電体に塗布、乾燥する方法が挙げられる。電極下地層の膜厚としては、導電性及び密着性が保たれる範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.05μm以上、20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、10μm以下である。
集電体上に電極合材層を形成する方法としては、集電体上に上述の電極合材ペーストを直接塗布し乾燥する方法、及び集電体上に電極下地層を形成した後に電極合材ペーストを塗布し乾燥する方法等が挙げられる。また、電極下地層の上に電極合材層を形成する場合、集電体上に電極下地ペーストを塗布した後、湿潤状態のうちに電極合材ペーストを重ねて塗布し、乾燥を行っても良い。電極合材層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
塗布方法については、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、又は静電塗装法等が挙げられる。又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<電解液>
本発明のリチウム二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の組成物を用いたリチウム二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレータとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。カーボン分散体の粒度分布測定には、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用い、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)を求めた。但し、導電助剤としてカーボンナノファイバーを用いたカーボン分散体の分散粒度は、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。また、電極合材ペーストの分散粒度については、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。
又、以下、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体は、塩基性官能基を有する誘導体と略記する。
<導電助剤用カーボン分散体の調製>
[カーボン分散体1〜35]
表6に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、酸性官能基を有する各種樹脂のいずれかを仕込み、樹脂を完全ないしは一部溶解させた。次に、表1〜表4に示す塩基性官能基を有する各種誘導体(A)〜(O)のいずれかを仕込み、混合攪拌して誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となるカーボンブラックを加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散し、カーボン分散体を得た。得られたカーボン分散体の分散評価結果を、表7に示した。
実施例及び比較例で使用したカーボンブラック、塩基性官能基を有する誘導体、及び酸性官能基を有する樹脂を以下に示す。
<カーボンブラック>
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g。
・デンカブラック粉状品(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径35nm、比表面積68m2/g。
・デンカブラックFX−35(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径23nm、比表面積133m2/g。
・トーカブラック#5500(東海カーボン社製):
ファーネスブラック、一次粒径21nm、比表面積170m2/g。
・Super−P Li(TIMCAL社製):
ファーネスブラック、一次粒径40nm、比表面積62m2/g。
・EC−300J(アクゾ社製):
ケッチェンブラック、一次粒径40nm、比表面積800m2/g。
・VGCF(昭和電工社製):
カーボンナノファイバー(CNF)、繊維長10〜20μm、繊維径15 0nm、比表面積13m2/g。
<塩基性官能基を有する誘導体(A)〜(O)>
・塩基性官能基を有する色素誘導体:(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(H)
・塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体:(F)、(L)
・塩基性官能基を有するアクリドン誘導体:(G)
・塩基性官能基を有するトリアジン誘導体:(H)、(I)、(J)、(K)、(L)、(M)、(N)、(O)

<酸性官能基を有する樹脂>
・酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)タイプ
(A1−1)スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂:重量平均分子量約1万。
(A1−2)スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂:重量平均分子量約28万。
(A1−3)スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂:重量平均分子量約100万。
(A1−4)燐酸基含有ポリフッ化ビニリデン系樹脂:重量平均分子量約1万。
(A1−5)KFポリマーW#9100(クレハ社製):
カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂、重量平均分子量約28万。
[スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1−1)〜(A1−3)の調整]
スルホン酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂の調製は、特許第3784494号公報に準じた。即ち、1Lのセパラブルフラスコ中で各種分子量のポリフッ化ビニリデン系樹脂100gをクロロホルム400mLに分散させ、攪拌しながらクロロスルホン酸100mLを滴下した後に、2時間加熱還流させた。その後、反応液を氷水中に注ぎ、固形物を濾別し、水洗、乾燥を経て、スルホン酸変性ポリフッ化ビニリデン樹脂を得た。
重量平均分子量約1万のポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、公知の方法で合成した1,1-ジフルオロエチレンのホモポリマーを使用し、重量平均分子量約28万及び約100万のポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、それぞれKFポリマーW#1100、W#7300(クレハ社製、1,1-ジフルオロエチレンのホモポリマー)を使用した。
[燐酸基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1−4)の調整]
まず、特開平6−172452号公報に準じて以下の様に、ヒドロキシル基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を合成した。即ち、2Lのオートクレーブに、イオン交換水1040g、メチルセルロース0.8g、酢酸エチル2.5g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート4g、フッ化ビニリデン396g、2-ヒドロキシエチルアクリレート4gを仕込み、28℃で45時間懸濁重合を行った。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後、80℃で20時間乾燥して重合体を得た。次に、窒素ガス導入管及び、コンデンサをつけた1Lのセパラブルフラスコ中で上記のヒドロキシル基含有ポリフッ化ビニリデン系樹脂100gをクロロホルム400mLに分散させ、窒素下で攪拌しながらオルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸100gを混合した後、2時間加熱還流させた。その後、反応液を氷水中に注ぎ、固形物を濾別し、水洗、乾燥を経て、燐酸変性ポリフッ化ビニリデン樹脂(A1−4)を得た。
・酸性官能基を有するポリビニル系樹脂(A2)タイプ
[カルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−1)の調整]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、N-メチルピロリドン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分50%のカルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−1)溶液を得た。得られたポリビニル系樹脂(A2−1)の重量平均分子量(Mw)は8,500、酸価は 43mgKOH/gであった。
[カルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−2)の調整]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート180部とメタクリル酸20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、N-メチルピロリドン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分50%のカルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−2)溶液を得た。得られたポリビニル系樹脂(A2−2)の重量平均分子量(Mw)は8,600、酸価は 93mgKOH/gであった。
[カルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−3)の調整]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、エチルアクリレート160部とメチルメタクリレート30部とメタクリル酸10部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、N-メチルピロリドン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分50%のカルボキシル基を有するポリビニル系樹脂(A2−3)溶液を得た。得られたポリビニル系樹脂(A2−3)の重量平均分子量(Mw)は8,400、酸価は 70mgKOH/gであった。
・酸性官能基を有するポリエステル系樹脂(A3)タイプ
[カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂(A3−1)の調整]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂(A3−1)を得た。得られたポリエステル系樹脂(A3−1)は、常温で白色ワックス状固体であった。
[カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂(A3−2)の調整]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、メトキシPEG400(片末端メトキシ化ポリエチレングリコール;分子量400)169.0部、ε−カプロラクトン96.4部、δ−バレロラクトン84.6部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物62.2部を加え、120℃で2時間反応させカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂(A3−2)を得た。得られたポリエステル系樹脂(A3−2)は、常温で淡黄色透明液体であった。
・(A1)〜(A3)タイプ以外の酸性官能基を有する樹脂(B)
(B1)Disperbyk−111(ビックケミー社製):燐酸基を有する樹脂
<バインダー>
・KFポリマーW#1100(クレハ社製):
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、重量平均分子量約28万。
<塩基性官能基を有する誘導体、及び/又は酸性官能基を有する樹脂で表面処理されたカーボンの調整>
表5に示す組成及び処理方法に従って、塩基性官能基を有する誘導体、及び/又は酸性官能基を有する樹脂によるカーボンの表面処理を行った。酸性基を有する樹脂の使用量は、固形分換算で表記した。
[表面処理カーボン(1)]
導電助剤となるアセチレンブラック(デンカブラック粉状品、一次粒径35nm、比表面積68m2/g、電気化学工業社製)100部、塩基性官能基を有する誘導体(B)2部、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を0.3部仕込み、アトライターにて処理することで表面処理カーボン(1)を得た。
[表面処理カーボン(2)]
ニーダーに、導電助剤となるアセチレンブラック(デンカブラックFX−35、一次粒径23nm、比表面積133m2/g、電気化学工業社製)100部、塩基性官能基を有する誘導体(E)3部、及びNMPを156部仕込み、混練処理を行った。得られた処理物を乾燥、粉砕し、表面処理カーボン(2)を得た。
[表面処理カーボン(3)]
ニーダーに、導電助剤となるケッチェンブラック(EC−300J、比表面積800m2/g、アクゾ社製)100部、塩基性官能基を有する誘導体(F)7部、酸性官能基を有する樹脂(A2−1)8部、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を268部仕込み、混練処理を行った。
得られた処理物をヘキサン1000部中に添加して攪拌した後、凝集物を濾取、乾燥、粉砕して表面処理カーボン(3)を得た。
[表面処理カーボン(4)]
導電助剤となるファーネスブラック(Super−P Li、一次粒径40nm、比表面積62m2/g、TIMCAL社製)100部、塩基性官能基を有する誘導体(H)5部、及びNMPを0.3部仕込み、アトライターにて処理することで表面処理カーボン(4)を得た。
[表面処理カーボン(5)]
ニーダーに、導電助剤となるファーネスブラック(トーカブラック#5500、一次粒径21nm、比表面積170m2/g、東海カーボン社製)100部、塩基性官能基を有する誘導体(H)6部、酸性官能基を有する樹脂(A3−1)4部、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を268部仕込み、混練処理を行った。
得られた処理物をヘキサン1000部中に添加して攪拌した後、凝集物を濾取、乾燥、粉砕して表面処理カーボン(5)を得た。
<表面処理の有無によるカーボンの濡れ性評価>
分散剤処理前の各種カーボン及び、各種分散剤処理カーボンを80℃で10時間減圧乾燥した。続いて乾燥物をメノウ製の乳鉢で粉砕した後、更に80℃で12時間減圧乾燥した。得られた乾燥物を再度メノウ製乳鉢で粉砕した後、錠剤成型器(Specac社製)にて500kgf/cm2で荷重をかけ、カーボンのペレットを作製(直径10mm、厚0.5mm)した。このペレットにマイクロシリンジにて、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1混合した液滴を落とし、液滴がペレットに浸透する時間を測定した。この測定を各サンプルとも5回行い、それらの平均浸透時間が1秒未満であったものを「◎」、1秒以上、5秒未満であったものを「○」、5秒以上、10秒未満であったものを「△」、10秒以上であったものを「×」とした。
カーボンの濡れ性評価の結果を表5に示した。

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMF:N,N−ジメチルホルムアルデヒド

カーボン分散体(25)〜(28)、(35)の粒度はグラインドゲージによる判定。

<リチウム二次電池用正極合材ペーストの調製>
[実施例1〜8、比較例1、2]
先に調製したカーボン分散体50部(カーボンブラック量として5部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合した後に、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO2(HLC−17、平均粒径9.28μm、比表面積0.54m2/g、本荘ケミカル社製)90部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表8を参照)
[実施例9〜14、比較例3]
正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO2(HLC−17、平均粒径9.28μm、比表面積0.54m2/g、本荘ケミカル社製)90部に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンをプラネタリーミキサーにより混練した後に、先に調製したカーボン分散体50部(カーボンブラック量として5部)を加え更に混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表8を参照)
[実施例15〜20、比較例4〜6]
分散剤(塩基性官能基を有する誘導体と酸性官能基を有する樹脂)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマー、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合撹拌した後に、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO2(HLC−17、平均粒径9.28μm、比表面積0.54m2/g、本荘ケミカル社製)90部、カーボンブラック5部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=90/5/5)とした。(表9を参照)
[比較例7、8]
バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマー、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合撹拌した後に、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO2(HLC−17、平均粒径9.28μm、比表面積0.54m2/g、本荘ケミカル社製)90部、カーボンブラック5部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダー=90/5/5)とした。(表9を参照)
[実施例21、比較例9]
先に調製したカーボン分散体90部(カーボンブラック量として9部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合した後に、正極活物質としてマンガン酸リチウムLiMn24(CELLSEED S−LM、平均粒径12μm、比表面積0.48m2/g、日本化学工業社製)85部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=85/9/6)とした。(表10を参照)
[実施例22]
先に調製したカーボン分散体40部(カーボンブラック量として4部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)5部、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合した後に、正極活物質としてニッケル酸リチウムLiNiO2(田中化学研究所社製)91部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=91/4/5)とした。(表10を参照)
[実施例23]
先に調製したカーボン分散体40部(カーボンブラック量として4部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)5部、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合した後に、正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(平均粒径3.6μm、比表面積15m2/g、 TIANJIN STL ENERGY TECHNOLOGY社製)91部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=91/4/5)とした。(表10を参照)
[比較例10]
バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマー、クレハ社製)5部、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合撹拌した後に、正極活物質としてニッケル酸リチウムLiNiO2(田中化学研究所社製)91部、カーボンブラック4部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダー=91/4/5)とした。(表10を参照)
[比較例11]
バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマー、クレハ社製)5部、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合撹拌した後に、正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(平均粒径3.6μm、比表面積15m2/g、 TIANJIN STL ENERGY TECHNOLOGY社製)91部、カーボンブラック4部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、正極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダー=91/4/5)とした。(表10を参照)

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
PVDF:ポリフッ化ビニリデン

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
<リチウム二次電池用負極合材ペーストの調製>
[実施例24〜37、比較例12〜15]
先に調製したカーボン分散体20部(カーボンブラック量として2部)に対して、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマーW#1100、クレハ社製)、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合した後に、負極活物質としてメソフェーズカーボン(MCMB 6−28、平均粒径5〜7μm、比表面積4m2/g大阪ガスケミカル社製)93部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=93/2/5)とした。(表11を参照)
[比較例16]
バインダーとしてポリフッ化ビニリデンPVDF(KFポリマー、クレハ社製)5部、N−メチル−2−ピロリドンを高速ディスパーで混合撹拌した後に、負極活物質としてメソフェーズカーボン(MCMB 6−28、平均粒径5〜7μm、比表面積4m2/g大阪ガスケミカル社製)93部、カーボンブラック2部を加えプラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペースト(固形分比率;60%、固形分組成比率;活物質/カーボンブラック/バインダーと分散剤=93/2/5)とした。(表11を参照)

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン

<電極下地用ペーストの調製>
[実施例38、39、比較例17、19]
カーボン分散体100部(カーボンブラック量として10部)に、ポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW#1100、クレハ社製)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分10%)95部を加え、高速ディスパーにて混合撹拌し、導電性下地層用ペーストとした。(表12、13を参照)
[比較例18、20]
ガラス瓶にN−メチル−2−ピロリドン175部、ポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW#1100、クレハ社製)10部、及び導電助剤となるカーボンブラック10部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散し、導電性下地層用ペーストとした。(表12、13を参照)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン

<リチウム二次電池用正極の作製>
[実施例1〜23、比較例1〜11]
先に調製した各種正極合材ペーストを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ80μmの正極合材層を作製した。(表8〜10を参照)
[実施例38、比較例17、18]
先に調製した電極下地層ペーストを、厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、厚さ2μmの電極下地層を作製した。つづいて、電極下地層上に比較例7で調製した正極合材ペーストをドクターブレードで塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ80μmの正極合材層を作製した。(表12を参照)
<リチウム二次電池用負極の作製>
[実施例24〜37、比較例12〜16]
先に調製した各種負極合材ペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ80μmの負極合材層を作製した。(表11を参照)
[実施例39、比較例19、20]
先に調製した各種電極下地層ペーストを、厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥し、厚さ2μmの電極下地層を作製した。次に、電極下地層上に比較例16で調製した負極合材ペーストをドクターブレードで塗布した後、減圧加熱乾燥し、ロールプレス等による圧延処理を行い、厚さ80μmの負極合材層を作製した。(表13を参照)
<リチウム二次電池正極評価用セルの組み立て>
先に作製した正極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極及び対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグロ−ボックス内で行い、セル組み立て後、所定の電池特性評価を行った。
<リチウム二次電池負極評価用セルの組み立て>
先に作製した負極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極及び対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPF6 を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグロ−ボックス内で行い、セル組み立て後、所定の電池特性評価を行った。
<リチウム二次電池正極特性評価>
[充放電サイクル特性 実施例1〜22、比較例1〜10]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観を目視にて確認した。評価結果を表14〜16に示した。
[充放電サイクル特性 実施例23、比較例11]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で放電下限電圧2.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観を目視にて確認した。評価結果を表16に示した。
[直流内部抵抗測定 実施例5、6、18、21〜23、比較例2、8、9〜11]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電レート0.2Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、0.1C、0.2C、0.5C、1.0Cのレートの定電流で5秒放電後、電池電圧を測定した。電流値に対し電圧値をプロットし、得られた直線関係の傾きを内部抵抗とした。評価結果を表14〜表16に示すが、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合については、実施例6の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。正極活物質としてマンガン酸リチウムを用いた場合については、実施例21の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。また、正極活物質としてニッケル酸リチウムを用いた場合については、実施例22の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。また、極活物質としてリン酸鉄リチウムを用いたものについては、実施例23の内部抵抗測定値を100としたときの相対値として示した。

表6〜表10、及び表14〜表16から分かるように、実施例では、塩基性官能基を有する誘導体と酸性官能基を有する樹脂を使用することで、導電助剤であるカーボンブラックの分散性が向上したため、比較例に比べて正極合材ペーストでの分散性及び経時安定性が向上した。また、比較例に比べて、内部抵抗の低下傾向が見られるとともに、電池容量及び、20サイクル容量維持率が向上した。
また、本発明の電極下地層を設けた電極(実施例38)では、密着性の向上が見られた(表12参照)。
<リチウム二次電池負極特性評価>
[充放電サイクル特性 実施例24〜37、39、比較例12〜16、19、20]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧0.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜不良の有無を目視にて確認した。評価結果を表13、表17に示した。

表6、表7、表11、表13、表17から分かるように、実施例では、塩基性官能基を有する誘導体と酸性官能基を有する樹脂を使用することで、導電助剤であるカーボンブラックの分散性が向上したため、比較例に比べて負極合材ペーストでの分散性及び経時安定性が向上した。また、比較例に比べて、電池容量及び、20サイクル容量維持率が向上した。
また、本発明の電極下地層を設けた電極(実施例39)では、密着性の向上が見られた(表13参照)。

Claims (14)

  1. 下記一般式(2)で表わされる、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及下記一般式(7)で表わされる、塩基性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、
    カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)、
    分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなるポリビニル系樹脂(A2)、並びに、
    下記一般式(1):
    (HOOC−) m −R 21 −(−COO−[−R 23 −COO−] n −R 22 t (1)
    〔一般式(1)中、R 21 は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、R 22 は、モノアルコール残基であり、R 23 は、ラクトン残基であり、mは、2又は3であり、nは、1〜50の整数であり、tは、(4−m)である。〕
    で表されるポリエステル系樹脂(A3)
    からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有する樹脂と、
    分散粒径(D 50 )が、2μm以下である、導電助剤としての炭素材料と、
    酸性官能基を有する樹脂以外のバインダー成分とを含んでなる電池用組成物。
    一般式(2):

    {一般式(2)中、
    1 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 2 −Y 1 −X 3 −であり、
    2 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHC
    O−、又は−NHSO 2 −であり、
    3 は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
    1 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
    Qは、−O−R 2 、−NH−R 2 、ハロゲン基、−X 1 −R 1 、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
    2 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニ
    ル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
    1 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
    1 は、1〜4の整数であり、
    有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素の残基であり、
    複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドンの残基である。
    一般式(3):

    一般式(4):

    一般式(5):

    〔一般式(3)〜(5)中、
    4 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
    NHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 5 −Y 2 −X 6 −であり、
    5 は、−NH−、又は−O−であり、
    6 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
    NHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
    2 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    vは、1〜10の整数であり、
    3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換
    されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR 3 とR 4 とで
    一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
    5 、R 6 、R 7 、及びR 8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいア
    ルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
    9 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は
    置換されていてもよいアリール基である。〕
    一般式(6):
    〔一般式(6)中、
    Tは、−X 8 −R 10 、又はW 1 であり、
    Uは、−X 9 −R 11 、又はW 2 であり、
    1 、及びW 2 は、それぞれ独立に、−O−R 20 、−NH−R 20 、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
    20 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
    7 は、−NH−、又は−O−であり、
    8 、及びX 9 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−
    、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
    3 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    10 、及びR 11 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族環残基である。〕}
    一般式(7):

    {一般式(7)中、
    Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
    2 は、1〜4の整数であり、
    12 は、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族残基である。
    一般式(8):

    一般式(9):

    一般式(10):

    〔一般式(8)〜(10)中、
    10 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 11 −Y 4 −X 12 −であり、
    11 は、−NH−、又は−O−であり、
    12 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
    4 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    1 は、1〜10の整数であり、
    13 、及びR 14 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、
    置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR 3 とR 4 とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
    15 、R 16 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよ
    いアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
    19 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
  2. バインダー成分が、分子内にフッ素原子を含む高分子化合物である請求項記載の電池用組成物。
  3. 更に、溶剤と、を含んでなる請求項1または2記載の電池用組成物。
  4. 更に、正極活物質又は負極活物質と、を含んでなる請求項1〜いずれか記載の電池用組成物。
  5. 下記一般式(2)で表わされる、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及下記一般式(7)で表わされる、塩基性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A1)、
    分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなるポリビニル系樹脂(A2)、並びに、
    下記一般式(1):
    (HOOC−) m −R 21 −(−COO−[−R 23 −COO−] n −R 22 t (1)
    〔一般式(1)中、R 21 は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、R 22 は、モノアルコール残基であり、R 23 は、ラクトン残基であり、mは、2又は3であり、nは、1〜50の整数であり、tは、(4−m)である。〕
    で表されるポリエステル系樹脂(A3)
    からなる群から選ばれる1種類以上の酸性官能基を有する樹脂と、導電助剤としての炭素材料と、を溶剤に分散する電池用組成物の製造方法。
    一般式(2):

    {一般式(2)中、
    1 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 2 −Y 1 −X 3 −であり、
    2 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHC
    O−、又は−NHSO 2 −であり、
    3 は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
    1 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    Pは、下記一般式(3)、(4)、又は(5)のいずれかで示される置換基であり、
    Qは、−O−R 2 、−NH−R 2 、ハロゲン基、−X 1 −R 1 、又は下記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
    2 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニ
    ル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
    1 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(6)で示される基であり、
    1 は、1〜4の整数であり、
    有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素の残基であり、
    複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドンの残基である。
    一般式(3):

    一般式(4):

    一般式(5):

    〔一般式(3)〜(5)中、
    4 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
    NHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 5 −Y 2 −X 6 −であり、
    5 は、−NH−、又は−O−であり、
    6 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCO
    NHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
    2 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    vは、1〜10の整数であり、
    3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換
    されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、又はR 3 とR 4 とで
    一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
    5 、R 6 、R 7 、及びR 8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいア
    ルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
    9 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は
    置換されていてもよいアリール基である。〕
    一般式(6):
    〔一般式(6)中、
    Tは、−X 8 −R 10 、又はW 1 であり、
    Uは、−X 9 −R 11 、又はW 2 であり、
    1 、及びW 2 は、それぞれ独立に、−O−R 20 、−NH−R 20 、ハロゲン基、又は前記一般式(3)、(4)、若しくは(5)のいずれかで示される置換基であり、
    20 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
    7 は、−NH−、又は−O−であり、
    8 、及びX 9 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−
    、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
    3 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    10 、及びR 11 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族環残基である。〕}
    一般式(7):

    {一般式(7)中、
    Zは、下記一般式(8)、(9)、及び(10)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
    2 は、1〜4の整数であり、
    12 は、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、又は置換基を有していてもよい前記芳香族残基である。
    一般式(8):

    一般式(9):

    一般式(10):

    〔一般式(8)〜(10)中、
    10 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、−CH 2 −、又は−X 11 −Y 4 −X 12 −であり、
    11 は、−NH−、又は−O−であり、
    12 は、直接結合、−SO 2 −、−CO−、−CH 2 NHCOCH 2 −、−CH 2 NHCONHCH 2 −、又は−CH 2 −であり、
    4 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を
    有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
    1 は、1〜10の整数であり、
    13 、及びR 14 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、
    置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR 3 とR 4 とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基であり、
    15 、R 16 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよ
    いアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
    19 は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。〕}
  6. 請求項5に記載の製造方法において、前記分散剤と前記炭素材料に追加して、正極活物質又は負極活物質溶剤に共分散する電池用組成物の製造方法。
  7. 請求項5に記載の製造方法において、前記分散剤と前記炭素材料に追加して、正極活物質又は負極活物質と、バインダー成分と、を溶剤に共分散する電池用組成物の製造方法。
  8. 請求項5に記載の製造方法で製造された電池用組成物に、正極活物質又は負極活物質を混合する電池用組成物の製造方法。
  9. 請求項5に記載の製造方法で製造された電池用組成物に、正極活物質又は負極活物質と、バインダー成分と、を混合する電池用組成物の製造方法。
  10. 請求項5〜9いずれか1項に記載の製造方法において、前記塩基性官能基を有する有機色素誘導体、及前記塩基性官能基を有するトリアジン誘導体、及び前記酸性官能基を有する樹脂からなる群から選ばれる1種以上の処理剤で、あらかじめ処理された導電助剤としての炭素材料を使用する電池用組成物の製造方法。
  11. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、前記正極合材層又は前記負極合材層が、請求項記載の電池用組成物を使用して形成されてなるリチウム二次電池。
  12. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質と、を具備するリチウム二次電池であって、正極合材層と集電体との間及び/又は負極合材層と集電体との間に、請求項1〜いずれか記載の電池用組成物を使用して形成してなる電極下地層を有するリチウム二次電池。
  13. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、前記正極合材層又は前記負極合材層が、請求項6〜9いずれか記載の製造方法により製造された電池用組成物を使用して形成されてなるリチウム二次電池。
  14. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質と、を具備するリチウム二次電池であって、正極合材層と集電体との間及び/又は負極合材層と集電体との間に、請求項5記載の製造方法により製造された電池用組成物を使用して形成された電極下地層を有するリチウム二次電池。
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