JP4457579B2 - 表面処理カーボンブラックならびにカーボンブラック組成物 - Google Patents

表面処理カーボンブラックならびにカーボンブラック組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性および分散安定性が良好な表面処理カーボンブラック、その製造方法、およびそれを用いてなるカーボンブラック組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは、着色顔料や遮光材料として印刷インキ、塗料、プラスチック形成材料などの分野で広く使用されている。これらの製品において着色性、光吸収性能を向上させるためにはカーボンブラックを溶剤や樹脂中に均一に分散させなければならない。
一般に、分散させるカーボンブラックの表面状態と樹脂との関係は、塩基性表面(電子供与性)を有するカーボンブラックは酸性官能基をもつ高分子と強く吸着し、酸性表面(電子受容性)を有するカーボンブラックには塩基性官能基をもつ高分子が吸着されやすい傾向がある。したがって、混合するカーボンブラックと樹脂との電荷極性が相違している場合には良好な分散安定性が得られることになる。このような性質を利用してカーボンブラックの分散性を高めるために、例えば気相酸化または液相酸化によりカーボンブラック表面を酸化処理して酸性官能基を導入することが行われていた。
【0003】
しかし、気相酸化により酸化処理したカーボンブラックは、酸性度が低いために、十分な分散性が得られないという欠点を持つ。また、液相酸化により酸化処理したカーボンブラックは、処理後の精製が困難であるという欠点を持つ。
これに対して、カーボンブラックを樹脂および溶剤に分散する際に、1級アミノ基と3級アミノ基を有するアミン化合物を分散剤として用いる方法(例えば、特許文献1、2参照)や、カーボンブラックを1級アミノ基と3級アミノ基を有するアミン化合物によりメカノケミカル的に処理する方法(特許文献3参照)によりカーボンブラックの分散性を大幅に改良する試みがなされた。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−256068号公報
【特許文献2】
特開2001−344738号公報
【特許文献3】
特開平11−256067号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、1級アミノ基を有するアミン化合物を分散剤として用いる方法では、1級アミノ基が反応性、電子供与性が高い為に、得られるカーボンブラック組成物の分散安定性が低く、また紫外線等の活性エネルギー線硬化性もしくは熱硬化性の塗料等に用いた場合に硬化阻害を引き起こすという問題があった。また、カーボンブラック表面をアミン化合物によりメカノケミカル的に処理を行う方法では、カーボンブラック表面に導入された塩基性官能基が十分でない為に、特に低粘度、高顔料分といった厳しい分散条件において十分な分散性および分散安定性を得ることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、均一かつ高い分散性と良好な分散安定性とを有し、塗料等に用いた時に粘度が低く、経時粘度変化が小さく、塗工物の光沢値が高い表面処理カーボンブラック及びカーボンブラック組成物の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明における表面処理カーボンブラックは、酸性カーボンブラック表面に存在するカルボキシル基にアミン化合物を反応させることにより得られる、均一かつ高い分散性と、良好な分散安定性を兼ね備えるものである。
すなわち、本発明における表面処理カーボンブラックは、下記一般式(1)で表される官能基を有する表面処理カーボンブラックである。
【0008】
【化3】
Figure 0004457579
〔式中、R1は水素原子、もしくはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、R2は炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる、3級アミノ基、エーテル結合または複素環を含んでよい結合基、R3、R4はそれぞれビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(R3、R4は一体となってビニル基を含んでよい5員環または6員環を形成してもよい)、nは1〜3の整数を表す。〕
【0009】
一般式(1)において、R1に含まれる炭素原子数は0〜15、R2の分子量は14〜500、R3、R4それぞれに含まれる炭素原子数は1〜15であることが好ましい。また、表面処理カーボンブラックの平均1次粒子径は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の表面処理カーボンブラックは、種々の方法で製造することができるが、表面にカルボキシル基を有する酸性カーボンブラックのカルボキシル基を塩素化した後、下記一般式(2)で表される化合物を反応させることにより製造することが好ましい。
【化4】
Figure 0004457579
〔式中、R5は水素原子、もしくはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、R6は炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる、3級アミノ基、エーテル結合または複素環を含んでよい結合基、R7、R8はビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(R7、R8は一体となってビニル基を含んでよい5員環または6員環を形成してもよい)、nは1〜3の整数を表す。〕
【0011】
酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基量は、0.2μmol/m2以上10μmol/m2以下であることが好ましい。
また、本発明におけるカーボンブラック組成物は、前記表面処理カーボンブラックおよび樹脂を含む組成物であり、さらに有機溶剤を含むことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の表面処理カーボンブラックについて詳細に説明する。
本発明の表面処理カーボンブラックは、表面に下記一般式(1)で表される官能基を有するカーボンブラックであり、下記一般式(1)で表される官能基は、カーボンブラック表面とアミド結合を介して結合し、3級アミノ基を1〜5個有する官能基であることに特徴がある。
【0013】
【化5】
Figure 0004457579
【0014】
カーボンブラック表面に導入される、一般式(1)で表される官能基は、ハロゲン化アルキル基、水酸基、1級または2級アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、カルボキシル基、スルフィド基等の高い反応性、極性を有する置換基を含んではならない。高い反応性、極性を有する置換基が含まれると、カーボンブラック組成物ならびにそれを用いた分散液の分散安定性が損なわれる。また、塗料等の用途で反応性や極性の高い添加剤と併用すると、化学結合や相互作用を生じ分散安定性が損なわれる。また、紫外線等の活性エネルギー線硬化性、熱硬化性塗料等に本発明の表面処理カーボンブラックを用いた場合に硬化阻害を引き起こすおそれが生じる。
【0015】
一般式(1)中のR1は、水素原子、もしくは直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。なお、R1に含まれる炭素原子数としては0〜15が好ましい。
1の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子は、ビニル基で置換されていても良い。
【0016】
また、一般式(1)中のR2は、炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる結合基である。前記結合基は、3級アミノ基を含んでいてもよく、エーテル結合を含んでいてもよい。また、複素環を含んでいてもよい。また、なお、R2の分子量は14〜500が好ましい。
このような結合基としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン等の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0017】
複素環としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を単独もしくは2種以上含んでいるものであり、より高い分散性、分散安定性を得るという意味において、窒素原子を含むものが好ましい。複素環の例としては、ピロール環、ピロリジン環、インドール環、カルバトール環、ピリジン環、ピペリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ベンゾイミダゾリン環、ジアジン環、ピペラジン環、トリアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、テトラジン環、プリン環、プテリジン環、カルボリン環、キノリジン環、キヌクリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、チアジン環、チアジアゾール環が挙げられる。
【0018】
複素環の中では、ピロール環、ピロリジン環、インドール環、カルバトール環、ピリジン環、ピペリジン環、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ベンゾイミダゾリン環、ジアジン環、ピペラジン環、トリアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、テトラジン環、プリン環、プテリジン環、カルボリン環、キノリジン環、キヌクリジン環が好ましく、トリアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、テトラジン環がさらに好ましい。
【0019】
また、一般式(1)中のR3およびR4は、それぞれ直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。R3およびR4は、一体となって5員環または6員環を形成してもよい。なお、R3、R4に含まれる炭素原子数としては1〜15が好ましい。
3、R4の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。R3およびR4が一体となった複素環基の例として、例えばピロリジニル基、ピペリジノ基が挙げられる。これらのアルキル基および複素環基中の水素原子は、ビニル基で置換されていても良い。
【0020】
本発明の表面処理カーボンブラックは、平均一次粒子径が10nm以上200nm以下であることが好ましく、15nm以上150nm以下であることがより好ましい。なお、平均一次粒子径とは、一般にカーボンブラックの物理特性を示すのに用いられるものであり、電子顕微鏡などで測定された一次粒子径の平均値である。平均一次粒子径が10nm未満の表面処理カーボンブラックは、比表面積が大き過ぎるために、表面処理カーボンブラック粒子同士の凝集力が大きくなり、充分な分散性や分散安定性が得られ難い。一方、平均一次粒子径が200nmを超える表面処理カーボンブラックは、特に低粘度分散系において沈降を生じることがあり、かつ塗料等に用いた場合に塗工物の表面平滑性が著しく低下することがある。
【0021】
次に、本発明の表面処理カーボンブラックの製造方法について説明する。
本発明の表面処理カーボンブラックは、表面にカルボキシル基を有する酸性カーボンブラックのカルボキシル基を塩素化した後、下記一般式(2)で表される化合物を反応させることにより製造することができる。
【0022】
【化6】
Figure 0004457579
〔式中、R5は水素原子、もしくはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、R6は炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる、3級アミノ基、エーテル結合または複素環を含んでよい結合基、R7、R8はビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(R7、R8は一体となってビニル基を含んでよい5員環または6員環を形成してもよい)、nは1〜3の整数を表す。〕
【0023】
表面処理カーボンブラックの原料として用いられる酸性カーボンブラックは、表面に、カルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(−OH)、キノン基(>C=O)等の酸性官能基を有し、JIS K6221に従い測定されるpHが7未満のカーボンブラックである。
酸性カーボンブラックとしては、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックに、通常行われているオゾン処理、プラズマ処理、液相酸化処理等が施された酸化処理カーボンブラックを用いることができる。
【0024】
酸性カーボンブラック表面に存在するカルボキシル基量は、好ましくは0.2μmol/m2以上10μmol/m2以下であり、特に好ましくは0.5μmol/m2以上〜5μmol/m2以下である。
表面のカルボキシル基量が0.2μmol/m2より少ないカーボンブラックを用いると、カルボキシル基と一般式(2)で表されるアミン化合物との反応により形成される上記一般式(1)で表される官能基が少なくなるために、充分な分散安定性を有する表面処理カーボンブラックを得ることが困難となる。一方、カルボキシル基量が10μmol/m2より多いカーボンブラックを用いると、一般式(2)で表されるアミン化合物と反応しない未反応のカルボキシル基が多く存在するため、分散安定性に優れる表面処理カーボンブラックが得られ難いばかりでなく、塗料等で用いた場合に充分な耐水性が得られないことがある。
酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基量は滴定法により測定することができる。
【0025】
酸性カーボンブラックの具体例としては、三菱化学株式会社製#2700、#2650、#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、デグサ社製ColorBlack FW200、ColorBlack FW2、ColorBlack FW2V、ColorBlack FW1、ColorBlack FW18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 550、Special Black 350、Special Black 250、Special Black 100、Printex 150T、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、東海カーボン株式会社製#8500/F、#8300/F、#5500、#4500、#4400、#4300などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0026】
表面処理カーボンブラックの原料として用いられる一般式(2)で表されるアミン化合物は、1個の1級または2級アミノ基と1〜5個の3級アミノ基とを有する化合物であり、1級または2級アミノ基とカーボンブラック表面に存在するカルボキシル基とが反応してアミド結合を形成することにより、一般式(1)で表される官能基がカーボンブラック表面に導入される。
【0027】
一般式(2)で表されるアミン化合物の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−メチル−ラウリルアミノプロピルアミン、N,N−ジオクチルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、下記式(3)の化合物などが挙げられる。
【0028】
【化7】
Figure 0004457579
【0029】
酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基とアミン化合物とを反応させる方法としては様々な方法があるが、カルボキシル基を塩素化してカルボニルクロリドにし、そのカルボニルクロリドとアミン化合物とを反応させる方法が好ましい。カルボニルクロリドと1級または2級アミノ基との反応性は非常に高く、そのため目的の表面処理カーボンブラックを容易に製造することができる。
カルボキシル基をカルボニルクロリドにせずに、直接1級または2級アミノ基との反応させると、カルボニルクロリドに比べ反応性が低いために、十分にアミン化合物を酸性カーボンブラック表面に導入することができず、そのため十分な分散性または分散安定性が得られない。
【0030】
カルボキシル基を塩素化する方法としては、カルボキシル基と塩素化剤とを反応させる方法が好ましく、塩素化剤としては、塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化ホスホニル、五塩化リン、オキシ塩化リンなどを用いることができる。また、塩素化する時に酸性カーボンブラックを分散する溶媒としては、酸性カーボンブラックを凝集することなく分散できる溶媒であれば特に制限はなく、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等の一般的な有機溶剤や、クロルスルホン酸などを用いることができる。
【0031】
カルボキシル基を塩素化する時の塩素化剤の使用量は、酸性カーボンブラック表面に存在するカルボキシル基1molに対し、好ましくは1〜2000molさらに好ましくは4〜200molである。
また、カルボキシル基を塩素化する時の反応温度は、カルボキシル基を効率的に塩素化するために、40〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
【0032】
表面のカルボキシル基を塩素化してカルボニルクロリドにしたカーボンブラックと上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させる時には、表面のカルボキシル基をカルボニルクロリドにしたカーボンブラックを凝集することなく分散することができ、反応させるアミン化合物が溶解する溶媒を使用することができる。このような溶媒としては、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等の有機溶剤、および水を用いることができる。
【0033】
表面のカルボキシル基を塩素化してカルボニルクロリドにしたカーボンブラックと上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させる時のアミン化合物の添加量は、塩素化する前にカーボンブラック表面に存在していたカルボキシル基1molに対し、アミン化合物が0.5〜50molとなる比率であることが好ましい。アミン化合物の添加量がカルボキシル基1molに対し0.5molより少ないと、カーボンブラック表面に一般式(1)で表される官能基が充分に導入されず、得られる表面処理カーボンブラックの分散効果が小さく好ましくない。また、添加量が50molより多いと、カルボニルクロリドと反応しない余剰の未反応アミン化合物を完全に除去できず、得られる表面処理カーボンブラックの分散安定性が損なわれたり、紫外線等の活性エネルギー線硬化性塗料等に使用した場合に効果阻害を引き起こすことがある。
【0034】
表面のカルボキシル基を塩素化してカルボニルクロリドにしたカーボンブラックと上記一般式(2)で表されるアミン化合物とを反応させる時の反応温度は、カルボニルクロリドとアミン化合物を効率的に反応させるために、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
【0035】
本発明の表面処理カーボンブラックでは、アミン化合物中の1級または2級アミノ基とカーボンブラック表面に存在するカルボキシル基とが反応してアミド結合を形成している。そのため、アミン化合物の3級アミノ基がカーボンブラック粒子表面に配位し、表面処理カーボンブラックに樹脂や有機溶媒を含有させて塗料等を調整する際に、使用される樹脂や有機溶剤と表面処理カーボンブラックとの親和性が向上し、カーボンブラックの分散性が高められているものと考えられる。
【0036】
次に、本発明の表面処理カーボンブラックを用いたカーボンブラック組成物について説明する。
カーボンブラック組成物は、樹脂および本発明の表面処理カーボンブラックを含むものであり、用途に応じて樹脂を選択することができる。樹脂としては、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアリル樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0037】
カーボンブラック組成物に含有させる樹脂は、酸性官能基を有することが好ましい。酸性官能基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホウ酸基等が挙げられる。酸性官能基は、アミン化合物が導入された表面処理カーボンブラックとの親和性が高く、酸性官能基を有する樹脂を含有させることにより、カーボンブラックの分散性を向上させることができる。
カーボンブラック組成物における樹脂の含有量は、表面処理カーボンブラック100重量部に対して1〜200重量部であることが好ましく、5〜50重量部であることがより好ましい。
【0038】
また、カーボンブラック組成物には、本発明の表面処理カーボンブラックの分散性をさらに向上させる目的で、塩基性基を有する顔料誘導体、アントラキノン誘導体もしくはトリアジン誘導体を含有させることができる。
【0039】
塩基性基を有する顔料誘導体を構成する有機色素は、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の色素である。
【0040】
また、塩基性基を有するアントラキノン誘導体は、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基またはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基または塩素等のハロゲン等の置換基を有していてもよい。
【0041】
また、塩基性基を有するトリアジン誘導体は、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基またはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基またはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素等のハロゲンまたはメチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニル基またはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンである。
【0042】
塩基性基を有する顔料誘導体、アントラキノン誘導体もしくはトリアジン誘導体の具体例を以下に示す。構造式中、CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
【化8】
Figure 0004457579
【0043】
【化9】
Figure 0004457579
【0044】
【化10】
Figure 0004457579
【0045】
【化11】
Figure 0004457579
【0046】
また、カーボンブラック組成物には、表面処理カーボンブラックに対する樹脂の吸着の促進、および組成物の低粘度化を目的として、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を用いることができる。
【0047】
カーボンブラック組成物は、上記表面処理カーボンブラックと上記樹脂とを混合撹拌することにより製造することができる。混合撹拌の方法には特に制限はなく、乾式分散法または湿式分散法により行うことができる。
乾式分散法による製造に用いる粉砕機または分散機としては、せん断応力によりカーボンブラック粒子を微分散させる3本ロールミルや2本ロールミル、高速気流中でカーボンブラック粒子同士またはカーボンブラック粒子と樹脂や分散機壁面の衝突力により分散させるハイブリダイゼーションシステム、強力な圧縮力の中で強いせん断力により微分散させるメカノヒュージョンシステムやシータコンポーザー、ガラスビーズやジルコニアビーズなどのメディアの衝撃力によりカーボンブラック粒子を微分散させるボールミルやアトライター、CFミルなどを挙げることができる。
【0048】
また、湿式分散法による製造に用いる粉砕機または分散機としては、前記3本ロールミルや2本ロールミル、ボールミル、アトライターの他ガラスビーズやジルコニアビーズなどのメディアの衝撃力によりカーボンブラック粒子を微分散させるサンドミル、バスケットミル、ペイントコンディショナーなどや、せん断応力、キャビテーション、衝突力、ポテンシャルコアなどを発生させるような回転羽根によって微分散させるディスパー、ホモジナイザー、ジーナス、クレアミックス(R)や、カーボンブラック粒子同士またはカーボンブラック粒子と樹脂や分散機壁面の衝突力やせん断力によって微分散させるニーダー、エクストルーダー、ジェットミルなどや、超音波により微分散させる超音波分散機などを挙げることができる。
【0049】
カーボンブラック組成物を用いた塗料等の調整法としては特に制限はなく、カーボンブラック組成物の製造工程で例示した各種分散機または粉砕機を用いて調整することができる。各成分の混合時または分散後に、他の成分を添加しても差し支えない。他の成分としては、分散剤、潤滑剤、活性剤、架橋剤、レベリング剤、消泡剤、溶剤等が挙げられる。また、紫外線等の活性エネルギー線による硬化性を付与するのであれば、硬化性モノマーを添加すればよい。このような硬化性モノマーとしては特に限定はなく、アクリル系モノマー、メタクリレート系モノマー、カチオン重合系モノマー等を用いることができる。
【0050】
本発明におけるカーボンブラック組成物の利用分野としては、特に限定はなく、遮光性、耐久性、漆黒性等が要求される分野、例えば、グラビアインキ、オフセットインキ、磁気記録媒体用バックコート、静電トナー、インクジェットインキ、自動車用塗料、繊維・プラスチック形成材料等に用いることができる。また、本発明におけるカーボンブラック組成物は、硬化阻害を引き起こしにくいため、紫外線等の活性エネルギー線による硬化性を必要とするUV塗料、UVインキ、カラーフィルター用レジスト等に好適に用いられる。
【0051】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。例中、「部」は、「重量部」である。実施例ならびに比較例で使用したカーボンブラックA〜Cの表面のpHおよびカルボキシル基量を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
[pH測定(JIS K6221)]カーボンブラック10gに蒸留水100mlを加え、ホットプレート上で15分煮沸し室温まで冷却後、遠心分離機で上澄液を取り除き泥状物のpHをガラス電極pHメーターで測定した。
【0052】
[カルボキシル基(−COOH)量の測定]乾燥カーボンブラック1gを1mg単位で秤量し、0.1規定の炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを4時間振盪して反応させたのち、濾過し、濾液の上澄み液20mlを採取して0.01規定の塩酸水溶液で滴定した。カルボキシル基量は、カーボンブラックの単位表面積あたりのμmol量(μmol/m2)として下記式にて算出した。
【数1】
Figure 0004457579
【0053】
【表1】
Figure 0004457579
【0054】
(実施例1)
4口フラスコに温度計、冷却管、攪拌装置を取り付けてクロルスルホン酸800部を仕込み、氷浴にて10℃以下に保ちながらカーボンブラックA50部を30分かけて仕込んだ。仕込み終了後100℃に昇温し、1時間加熱攪拌して酸性カーボンブラックをクロロスルホン酸中に分散させた。加熱後、氷浴にて10℃以下まで冷却し、10℃以下に保ちながら塩化チオニル50部(カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し43.6mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後60℃まで昇温し、2時間加熱攪拌を行いカルボキシル基のカルボニルクロリド化反応を実施した。加熱後、氷浴にて10℃以下まで冷却し、反応液を氷水中に一気に滴下して反応を停止させた。反応停止後、ろ過、水ふりかけ洗浄を行い、酸を十分除去した後、1000部の精製水中に再分散させ、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン5.0部(カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し4.0mol)を加え、80℃まで昇温後1時間加熱攪拌を行い、カルボニルクロリドとアミン化合物との反応を実施した。加熱終了後、室温まで冷却した後、ろ過、水ふりかけ洗浄を行い、余剰のアミン化合物を十分に除去した後、80℃で10時間乾燥させ、粉砕を行い、表面処理カーボンブラックDを得た。
【0055】
(実施例2)
カーボンブラックAをカーボンブラックBに替え、N,N−ジエチルアミノプロピルアミンをN,N−ジメチルアミノプロピルアミンに替えた以外は、実施例1と同様にして表面処理カーボンブラックEを得た。なお、塩化チオニルの添加量は、カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し174.9molであり、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンの添加量は、カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し16.0molであった。
【0056】
(比較例1)
カーボンブラックAをカーボンブラックCに、塩化チオニルの添加量を50部から5部に、N,N−ジエチルアミノプロピルアミンの添加量を5.0部から1.5部に替えた以外は、実施例1と同様にして表面処理カーボンブラックFを得た。なお、塩化チオニルの添加量は、カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し152.6molであり、N,N−ジエチルアミノプロピルアミンの添加量は、カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し42.0molであった。
【0057】
(比較例2)
N,N−ジエチルアミノプロピルアミンを1,4−ブタンジアミンに替えた以外は、実施例1と同様にして表面処理カーボンブラックGを得た。なお、1,4−ブタンジアミンの添加量は、カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し5.9molであった。
【0058】
(比較例3)
カーボンブラックA 12.0部、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン1.5部(カーボンブラック表面のカルボキシル基1molに対し5.0mol)、トルエン86.5部からなる組成物にジルコニアビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)にて3時間分散した。 その後、濾別して80℃で10時間乾燥し、THFを溶媒として20時間のソックスレー抽出を行い、余剰のN,N−ジエチルアミノプロピルアミンを除去した後、再度80℃で10時間乾燥、粉砕して表面処理カーボンブラックHを得た。
【0059】
実施例1〜2、比較例1〜3で得られた表面処理カーボンブラックの平均1次粒子径、pHおよびカルボキシル基量を上記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0004457579
【0061】
実施例1〜2、比較例1〜3で得られた表面処理カーボンブラックを用いて、カーボンブラック組成物を以下の方法で製造した。また、比較例4として、表面処理カーボンブラックの替わりに、カーボンブラックA16.6部とN,N−ジメチルアミノプロピルアミン0.4部の混合物を用いて、カーボンブラック組成物を製造した。
まず、カーボンブラック組成物を製造する時に用いたアクリル樹脂Aの製造方法について説明する。
【0062】
[アクリル樹脂Aの製造方法]
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付けてシクロヘキサノン735部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメチルメタクリレート30部、n−ブチルメタクリレート180部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45部、メタクリル酸45部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル15部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分30%のアクリル樹脂Aのシクロヘキサノン溶液を得た。アクリル樹脂Aの重量平均分子量は30000であった。
【0063】
[カーボンブラック組成物の製造方法]
表面処理カーボンブラックラック17.0部、アクリル樹脂Aのシクロヘキサノン溶液10.0部、シクロヘキサノン73.0部からなる組成物にジルコニアビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)にて4時間分散してカーボンブラック組成物を得た。
得られたカーボンブラック組成物について、初期粘度、経時後粘度、光沢値、光学濃度、およびUV硬化性を以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0064】
(1)初期粘度および経時粘度安定性
E型粘度計(東機産業株式会社製「VISCONIC ELD」)を用い、回転数10rpmにて、25℃でカーボンブラック組成物の粘度を測定した(初期粘度)。また、カーボンブラック組成物を40℃で7日間保存した後、同様にして粘度を測定した(経時後粘度)。
【0065】
(2)光沢(60゜鏡面反射率)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、カーボンブラック組成物をコーター(RK PRINT−COAT INSTRUMENT LTD.社製「RKコントロールコーター」)を用いて塗工(#2バーコーター使用)し、室温で5分放置した後に105℃で5分間の焼き付けを行った。得られた塗膜の60゜−60゜反射率を光沢計(BYK社製「micro−TRI−gloss」)により測定した。
【0066】
(3)反射濃度
カーボンブラック組成物55.00部およびシクロヘキサノン45.00部を混合攪拌してカーボンブラック希釈分散液を作製した。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、得られたカーボンブラック希釈分散液をコーター(RK PRINT−COAT INSTRUMENT LTD.社製「RKコントロールコーター」)を用いて塗工(#2バーコーター使用)し、室温で5分放置した後に105℃で5分間の焼き付けを行った。得られた塗膜の反射濃度を反射濃度計(X−rite社製「X−rite528」)により測定した。
【0067】
(4)UV硬化性
カーボンブラック組成物49.2部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア369」)4.0部、光硬化性モノマー(東亞合成株式会社製「アロニックスM−402A」)5.5部、アクリル樹脂A0.8部、シクロヘキサノン40.5部を攪拌混合してUV硬化性塗料を作製した。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、得られたUV硬化性塗料コーター(RKPRINT−COAT INSTRUMENT LTD.社製「RKコントロールコーター」)を用いて塗工(#2バーコーター使用)し、室温で5分放置した後に105℃で5分間の焼き付けを行った。得られた塗膜に、UV照射装置(株式会社東芝製)により紫外線照射(照射エネルギー量108mJ/cm2)を行い、照射後のタックの有無を指触で確認した(○:タック無、×:タック有)。
【0068】
【表3】
Figure 0004457579
【0069】
【発明の効果】
本発明における表面処理カーボンブラックは、分散性、分散安定性が非常に高く、また塗料等に用いた場合に反射濃度が高く、硬化性等に優れている。

Claims (6)

  1. 表面にカルボキシル基を有する酸性カーボンブラックのカルボキシル基を塩素化した後、下記一般式(2)で表される化合物を反応させることによって製造されることを特徴とする、表面に下記一般式(1)で表される官能基(ただし、ハロゲン化アルキル基、水酸基、1級または2級アミノ基、二トリル基、ニトロ基、アルデヒド基、カルボキシル基、スルフィド基を除く。)を有することを特徴とする表面処理カーボンブラック。
    一般式(1)
    Figure 0004457579
    〔式中、Rは水素原子、もしくはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、Rは炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる、3級アミノ基、エーテル結合または複素環を含んでよい結合基、R、Rはそれぞれビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(R、Rは一体となってビニル基を含んでよい5員環または6員環を形成してもよい)、nは1〜3の整数を表す。〕
    一般式(2)
    Figure 0004457579
    〔式中、Rは水素原子、もしくはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、Rは炭素原子、水素原子より構成される化学的に合理的な組み合わせからなる、3級アミノ基、エーテル結合または複素環を含んでよい結合基、R、Rはビニル基を含んでよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(R、Rは一体となってビニル基を含んでよい5員環または6員環を形成してもよい)、nは1〜3の整数を表す。〕
  2. 一般式(1)において、Rに含まれる炭素原子数が0〜15、Rの分子量が14〜500、R、Rそれぞれに含まれる炭素原子数が1〜15であることを特徴とする請求項1記載の表面処理カーボンブラック。
  3. 平均1次粒子径が10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の表面処理カーボンブラック。
  4. 酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基量が0.2μmol/m以上10μmol/m以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の表面処理カーボンブラック。
  5. 請求項1ないし4いずれか1項に記載の表面処理カーボンブラックおよび樹脂を含むことを特徴とするカーボンブラック組成物。
  6. さらに有機溶剤を含むことを特徴とする請求項5記載のカーボンブラック組成物。
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