JP5369549B2 - 負極合材およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
(ただし、下記一般式(1)で表される、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、及び下記一般式(4)で表される、酸性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、
塩基性官能基を有する、片末端領域に2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B1)のイソシアネート基と、を反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基と、
少なくともポリアミン(D1)を含むアミン化合物の一級及び/又は二級アミノ基と、
を反応してなるアミン価が1〜100mgKOH/gである重合体(G1)、
並びに、片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有するポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応してなるアミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、を反応してなるアミン価が5〜100mgKOH/gである重合体(G2)、
からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂と、
導電助剤としての炭素材料と、負極活物質を含む負極合材を除く。
一般式(1):
{一般式(1)中、
X 101 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 103 −Y 101 −X 104 −であり、
X 102 、及びX 104 は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
X 103 は、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHCO−、又は−NHSO 2 −であり、
Y 101 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 101 は、−SO 3 M 101 、−COOM 101 、又は−P(O)(−OM 101 ) 2 であり、
M 101 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量であり、
Q 101 は、−O−R 102 、−NH−R 102 、ハロゲン基、−X 101 −R 101 、又は−X 102 −Y 101 −Z 101 であり、
R 102 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基であり、
n 101 は、1〜4の整数であり、
R 101 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(2)で表される基であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素の残基であり、
複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、又はアントラキノンの残基である。
一般式(2):
〔一般式(2)中、
X 201 は、−NH−、又は−O−であり、
X 202 、及びX 203 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
R 201 、及びR 202 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、置換基を有していてもよい前記芳香族環残基、又は−Y 201 −Z 201 であり、
Y 201 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 201 は、−SO 3 M 201 、−COOM 201 、又は−P(O)(−OM 201 ) 2 であり、
M 201 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量である。〕}
一般式(4):
〔一般式(4)中、
X 401 は、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、−X 402 −Y 401 −、又は−X 402 −Y 401 −X 403 −であり、
X 402 は、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHCO−、又は−NHSO 2 −であり、
X 403 は、−NH−、又は−O−であり、
Y 401 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 401 は、−SO 3 M 401 、−COOM 401 、又は−P(O)(−OM 401 ) 2 であり、
M 401 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量であり、
R 401 は、有機色素残基であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素の残基であり、
n 401 は、1〜4の整数である。〕)
片末端領域に2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B1)のイソシアネート基と、を反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基と、
少なくともポリアミン(D1)を含むアミン化合物の一級及び/又は二級アミノ基と、
を反応してなるアミン価が1〜100mgKOH/gである重合体(G1)、並びに、
片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有するポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応してなるアミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、
を反応してなるアミン価が5〜100mgKOH/gである重合体(G2)、
からなる群から選ばれる1種類以上の塩基性官能基を有する樹脂である上記負極合材に関する。
本発明における酸性官能基を有する誘導体としては、酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から1種類以上選ばれるものである。
とりわけ、下記一般式(1)で示されるトリアジン誘導体、又は一般式(4)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
X101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X103−Y101−X104−であり、
X102、及びX104は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
X103は、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
Y101は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z101は、−SO3M、−COOM、又は−P(O)(−OM)2であり、
M101は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
Q101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101、又は−X102−Y101−Z101であり、
R102は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基であり、
n101は、1〜4の整数であり、
R101は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(2)で表される基である。
一般式(2):
X201は、−NH−、又は−O−であり、
X202、及びX203は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、又は−CH2NHCOCH2NH−であり、
R201、及びR202は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は−Y201−Z201であり、
Y201は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z201は、−SO3M201、−COOM201、又は−P(O)(−OM201)2であり、
M201は、1〜3価のカチオンの一当量である。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(3)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
X401、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、−X402−Y−、又は−X402−Y−X403−であり、
X402は、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
X403は、−NH−、又は−O−であり、
Y401は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z401は、−SO3M401、−COOM401、又は−P(O)(−OM401)2であり、
M401は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
R401は、有機色素残基であり、
n401は、1〜4の整数である。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(3)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(3):
上記分散剤の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、又は特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。
本発明の電池用組成物は、塩基性官能基を有する樹脂を含有している。また好ましい塩基性官能基としては、1〜3級のアミノ基である。塩基性官能基を有する樹脂は、分散安定性の観点から、以下に説明する、重合体(G1)、及び重合体(G2)からなる群から選ばれる1種類以上のの二つのタイプが好ましい。
上記の塩基性官能基を有する樹脂は、負極活物質と導電助剤としての炭素材料を結着する、または、負極活物質及び導電助剤としての炭素材料を集電極に結着するためのバインダーとしても機能するが、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上と併用することにより、負極活物質材料の分散性、分散安定性及を向上させることができる。
<塩基性官能基を有する重合体(G1)>
本発明で用いることのできる塩基性官能基を有する重合体(G1)は、片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、及びジイソシアネート(B1)のイソシアネート基とを反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基と、並びに、ポリアミン(D1)及びモノアミン(E1)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応させることによって合成される。
片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)(以下、ビニル重合体(A1)と略記する場合がある。)は、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a11)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(a12)をラジカル重合することで得ることができる。ビニル重合体(A1)のビニル重合体部位は、バインダー樹脂等の顔料担体及び分散媒である溶剤に親和性の高い部位であり、下記一般式(4)で表される。
R503は、水素原子又はメチル基であり、
n501は、2以上の整数、好ましくは3〜200の整数である。
ここで,R501がビニル重合体(A1)でいう、末端領域となる。]
分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a11)(以下、化合物(a11)と表記する場合がある。)としては、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物であれば特に限定されず、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(a12)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
〈エチレン性不飽和単量体(a12)〉
エチレン性不飽和単量体(a12)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、及びオキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;並びに、
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等があげられる。
スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体(a12)の中でも、分散性及び耐性の観点から、メチルメタクリレートが好ましく用いられ、顔料担体及び分散媒との親和性の観点から、メチルメタクリレートとブチルメタクリレート又はt−ブチルメタクリレートとを併用することがより好ましい。エチレン性不飽和単量体(a2)として、メチルメタクリレートを使用し、ブチルメタクリレートを使用しない場合には、エチレン性不飽和単量体(a12)の合計100重量%中、メチルメタクリレートの割合が30〜100重量%であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましい。又、エチレン性不飽和単量体(a12)として、メチルメタクリレートとブチルメタクリレート又はt−ブチルメタクリレートとを併用する場合には、両者の合計が、エチレン性不飽和単量体(a12)の30〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることがより好ましい。エチレン性不飽和単量体(a12)として、メチルメタクリレートを使用した場合、さらには、メチルメタクリレートとブチルメタクリレート又はt−ブチルメタクリレートとを併用した場合には、顔料分散性がより良好となる。メチルメタクリレートとブチルメタクリレート又はt−ブチルメタクリレートの共重合部位は、分散性等の基本物性を保ちつつ、バインダー樹脂や分散溶媒との親和性もよく、汎用性が高い。
該重量平均分子量が500〜30,000であれば、顔料の凝集を防ぐことにより、顔料分散体の粘度上昇を抑えることに有利である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
W1からWnは、使用している各単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、各単量体から得られるそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。
メチルメタクリレート:105℃(378K)
ブチルメタクリレート:20℃(293K)
t−ブチルメタクリレート:107℃(380K)
ラウリルメタクリレート:−65℃(208K)
2−エチルヘキシルメタクリレート:−10℃(263K)
シクロヘキシルメタクリレート:66℃(339K)
ブチルアクリレート:−45℃(228K)
エチルアクリレート:−20℃(253K)
ベンジルメタクリレート:54℃(327K)
スチレン:100℃(373K)
塩基性官能基を有する重合体(G1)の構成要素であるジイソシアネート(B1)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族含有ジイソシアネート(b11)、脂肪族含有ジイソシアネート(b12)、芳香脂肪族含有ジイソシアネート(b13)、及び脂環族含有ジイソシアネート(b14)等が挙げられる。
塩基性官能基を有する重合体(G1)の構成要素であるポリアミン(D1)としては、少なくとも2つの一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物であり、イソシアネート基と反応しウレア結合を生成するために用いられる。このようなアミンとしてジアミン(d11)が挙げられる。
エチレンジアミン、プロピレンジアミン[別名:1,2−ジアミノプロパン又は1,2−プロパンジアミン]、トリメチレンジアミン[別名:1,3−ジアミノプロパン又は1,3−プロパンジアミン]、テトラメチレンジアミン[別名:1,4−ジアミノブタン]、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチレンジアミン[別名:1,5−ジアミノペンタン]、ヘキサメチレンジアミン[別名:1,6−ジアミノヘキサン]、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びトリレンジアミン等の脂肪族ジアミン;
イソホロンジアミン、及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ジアミン;並びに、
フェニレンジアミン、及びキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等を挙げることができる。
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、及びN,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
N−メチルエチレンジアミン[別名:メチルアミノエチルアミン]、N−エチルエチレンジアミン[別名:エチルアミノエチルアミン]、N−メチル−1,3−プロパンジアミン[別名:N−メチル−1,3−ジアミノプロパン又はメチルアミノプロピルアミン]、N,2−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン[別名:イソプロピルアミノエチルアミン]、N−イソプロピル−1,3−ジアミノプロパン[別名:N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン又はイソプロピルアミノプロピルアミン]、及びN−ラウリル−1,3−プロパンジアミン[別名:N−ラウリル−1,3−ジアミノプロパン又はラウリルアミノプロピルアミン]等挙げることができる。
メチルイミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン〕、ラウリルイミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)ラウリルアミン〕、イミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミン〕、N,N‘−ビスアミノプロピル−1,3−プロピレンジアミン、及びN,N‘−ビスアミノプロピル−1,4−ブチレンジアミン等を挙げることができ、
2つの1級アミノ基と1つの3級アミノ基を有するメチルイミノビスプロピルアミン、及びラウリルイミノビスプロピルアミンは、ジイソシアネートとの反応制御がし易く好ましい。
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマール酸等の不飽和カルボン酸;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、インデン、及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル;
グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基を有する(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びtert−オクチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の置換アルキル(メタ)アクリルアミド;
1,3−ブタジエン、及びイソプレン等のジエン化合物;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー(マクロモノマー);並びに
シアン化ビニル等を挙げることができる。
塩基性官能基を有する重合体(G1)の構成要素であるアミン化合物としては、ポリアミン(D1)の他に、さらにモノアミン(E1)も使用することができる。モノアミン(E1)としては、分子内に第一級アミノ基又は第二級アミノ基を1個有するモノアミン化合物であり、モノアミン(E1)は、ジイソシアネート(B1)とポリアミン(D1)の反応において高分子量化しすぎるのを抑えるため、反応停止剤として使用される。モノアミン(E1)は、分子内に第一級アミノ基又は第二級アミノ基以外の他の極性官能基を有しても良い。このような極性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シアノ基、ニトロキシル基等が挙げられる。
アミノメタン、アミノエタン、1−アミノプロパン、2−アミノプロパン、1−アミノブタン、2−アミノブタン、1−アミノペンタン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、イソアミルアミン、N−エチルイソアミルアミン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、2−アミノヘプタン、2−オクチルアミン、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノドデカン、1−アミノトリデカン、1−アミノヘキサデカン、ステアリルアミン、アミノシクロプロパン、アミノシクロブタン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノシクロドデカン、1−アミノ−2−エチルヘキサン、1−アミノ−2−メチルプロパン、2−アミノ−2−メチルプロパン、3−アミノ−1−プロペン、3−アミノメチルヘプタン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ラウリロキシプロピルアミン、3−ミリスチロキシプロピルアミン、2−アミノメチルテトラヒドロフラン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリニックアシッド、イソニペコチックアシッド、メチルイソニペコテート、エチルイソニペコテート、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンブチリックアシッド塩酸塩、4−ピペリジノール、ピロリジン、3−アミノピロリジン、3−ピロリジノール、インドリン、アニリン、N−ブチルアニリン、o−アミノトルエン、m−アミノトルエン、p−アミノトルエン、o−ベンジルアニリン、p−ベンジルアニリン、1−アニリノナフタレン、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、5−アミノイソキノリン、o−アミノジフェニル、4−アミノジフェニルエーテル、β−アミノエチルベンゼン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、o−アミノアセトフェノン、m−アミノアセトフェノン、p−アミノアセトフェノン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、3−ベンジルアミノプロピオニックアシッドエチルエーテル、4−ベンジルピペリジン、α−フェニルエチルアミン、フェネシルアミン、p−メトキシフェネシルアミン、フルフリルアミン、p−アミノアゾベンゼン、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、アリルアミン、及びジフェニルアミン等が挙げられる。
中でも、剛直性のない脂肪族アミンで第二級アミノ基のみを有するモノアミン化合物は、分散性も良好であり好ましい。
ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジノール、ピロリジン、3−アミノピロリジン、及び3−ピロリジノール等が挙げられる。
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、及びN,N,2,2−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン等の一級アミノ基と三級アミノ基とを有するジアミン;並びに、
N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン等の二級アミノ基と三級アミノ基とを有するジアミンを挙げることができる。
塩基性官能基を有する重合体(G1)の構成要素であるウレタンプレポリマー(C1)は片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B1)のイソシアネート基と、を反応して得られる。
ウレタンプレポリマー(C1)の合成時には、公知の触媒(F1)を使用することができ、例えば三級アミン系化合物、及び有機金属系化合物等を挙げることができる。
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)等を挙げることができる。
ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2−エチルヘキサン酸錫等を挙げることができる。
ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系、オレイン酸鉛;
2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、及びナフテン酸鉛等の鉛系;
2−エチルヘキサン酸鉄、及び鉄アセチルアセトネート等の鉄系;
安息香酸コバルト、及び2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;
ナフテン酸亜鉛、及び2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;並びに、
ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系を挙げることができる。
上記3級アミン系化合物、及び有機金属系化合物等の触媒は、場合によっては単独でも使用できるが、併用することもでる。
ウレタンプレポリマー(C1)の合成時には公知の溶剤が好適に使用される。溶剤の使用は反応制御を容易にする役割を果たす。
かかる目的で使用される溶剤としては、例えば、
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。
片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B1)のイソシアネート基とを反応させてウレタンプレポリマー(C1)をつくるウレタン化反応は、種々の方法が可能である。1)全量仕込みで反応する場合と、2)片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A)及び必要に応じて、溶剤をフラスコに仕込み、ジイソシアネート(B1)を滴下した後必要に応じて触媒を添加する方法に大別されるが、反応を精密に制御する場合は2)が好ましい。ウレタンプレポリマー(C1)を得る反応の温度は120℃以下が好ましい。更に好ましくは50〜110℃である。110℃より高くなると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得られなくなる。ウレタン化反応は、触媒の存在下、50〜110℃で1〜20時間行うのが好ましい。
《塩基性官能基を有する重合体(G1)の製造方法及び合成条件等》
本発明の組成物を構成する塩基性官能基を有する重合体(G1)は、
分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a11)の存在下、エチレン性不飽和単量体(a12)をラジカル重合してなる、片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)を製造する第一の工程と、
前記片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基とジイソシアネート(B1)のイソシアネート基とを反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)を製造する第二の工程と、
両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基とポリアミン(D1)及びモノアミン(E2)の一級及び/又は二級アミノ基とを反応させる第三の工程と、により製造することができる。
1)ウレタンプレポリマー(C1)溶液をフラスコに仕込み、ポリアミン(D1)、及びモノアミン(E1)を滴下する方法、
2)ポリアミン(D1)、及びモノアミン(E1)、及び必要に応じて溶剤からなる溶液をフラスコに仕込み、ウレタンプレポリマー(C1)溶液を滴下する方法、
に大別される。
本発明で用いることのできる塩基性官能基を有する重合体(G2)は、片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を含むポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応してなる、アミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、2個以上のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、を反応させることによって合成される。
すなわち、重合体(A2)由来の溶媒親和性部位と、ポリアミン(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、ポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、を反応してなる、アミノ基及びウレア結合部位を有する顔料吸着性部位を有する構造となっている。前記アミノ基及びウレア結合部位を有する顔料吸着部位が、酸性官能基を有する有機色素誘導体、又は酸性官能基を有するトリアジン誘導体との相互作用能力に優れ、更に、誘導体を介して酸性に偏った顔料表面に対する顔料吸着性に優れ、分散安定化をはかることが可能である。
本発明における重合体(A)の重量平均分子量は500〜30,000が好ましく、これによって、立体反発効果に優れ、高い分散性、流動性、及び保存安定性を得ることが可能である。重合体(A)の重量平均分子量はさらに好ましくは2,000から20,000であり、最も好ましくは5,000から10,000である。500未満では、溶媒親和性ブロックによる立体反発効果が少なくなるため、好ましくない場合がある。また、30,000を超える場合は、分散体の粘度が高くなり好ましくない場合がある。
<ポリエステル(A21)>
ポリエステル(A21)は、公知の方法で製造することができ、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するモノアルコールを開始剤としてラクトン及び/又はラクチドを開環重合することで容易に得ることができる。
開環重合の開始剤として使用する(メタ)アクリロイル基を有するモノアルコールとしては、特に限定はなく、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート、及び2‐ヒドロキシ‐3‐(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる、ヒドロキシル基の反応性の観点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選ばれる1種類以上を使用するのが好ましい。
ラクトンとしては、特に限定はなく、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、及びアルキル置換されたε−カプロラクトン等が挙げられるが、開環重合性の観点から、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、及びアルキル置換されたε−カプロラクトンからなる群から選ばれる1種類以上を使用するのが好ましい。
一般式(6):
〔一般式(6)中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜20のアルキル基であり、
R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜9の低級アルキル基である。〕
本発明の製造方法において、特に好適なラクチドは、ラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)及びグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。
開環重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、
テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、及びベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩;
テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、及びテトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩;
トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;、
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、及び安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩;
ナトリウムアルコラート、及びカリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラート;
トリエチルアミン、及びトリフェニルアミン等の三級アミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキシド、及びジオクチル錫オキシド等の有機錫化合物;
アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等の有機アルミニウム化合物;
テトラ−n−ブチルチタネート、前記ダイマー、テトライソブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、及びジイソプロポキシ・ビス(トリエタノールアミネート)チタン等の有機チタネート化合物;並びに、
塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合温度は、100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅い場合があり、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、例えば、ラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい場合がある。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を重合する際には、ラジカル重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。ラジカル重合禁止剤としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、及びフェノチアジン等が好ましい。これらを単独もしくは併用で、(メタ)アクリロイル基を有するアルコール100重量%に対して、0.01重量%〜6重量%、好ましくは、0.05重量%〜1.0重量%の範囲で用いる。
ヒドロキシル基と反応しうる基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有さないモノアルコールとしては、水酸基を一個有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。
ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、及びパラクミルフェノキシエチルアルコール等の芳香環含有モノアルコール;並びに、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、及びテトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
二塩基酸無水物基を一個有する化合物は、二塩基酸無水物基を一個有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。
例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキセン1−2−ジカルボン酸無水物、ジシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、ナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、アントラセン−1,2−ジカルボン酸無水物、及びアントラセン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。又、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、複素環、芳香環、及びハロゲン等の置換基を有する前記ニ塩基酸無水物も挙げられる。
エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,2−グリシドキシエチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシブチルアクリレート、及び4,5−エポキシペンチルアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有さないモノカルボン酸は、(メタ)アクリロイル基を有しない、カルボキシル基を有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。
例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸等が挙げられる。
片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体(A22)は、片末端領域に1個又は2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(a23)に、ヒドロキシル基と反応しうる基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a24)を反応させることで得ることができる。
分子内に1個又は2個のヒドロキシル基と1個のチオール基とを有する化合物(s)としては、例えば、 1−メルカプトエタノール、及び2−メルカプトエタノール等の分子内に1個のヒドロキシル基と1個のチオール基とを有する化合物(s1);並びに、
1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分子内に2個のヒドロキシル基と1個のチオール基とを有する化合物(s2)が挙げられる。
分子内に2個のヒドロキシル基と1個のチオール基を有する化合物(s2)を用いることによって、最終的に得られる分散剤が、複数のアミノ基を有する顔料吸着部位と、複数の溶媒親和性部位と、を有する理想的な構造となる。
エチレン性不飽和単量体(a21)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル (メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
アクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、及びクロトン酸等の不飽和カルボン酸類;
前記カルボン酸のカプロラクトン付加物(付加モル数1〜5)類;
2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、及び(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
(メタ)アクリルアミド、及びN−ビニルホルムアミド等のアミノ基を有しないアミド類;並びに、
アミノ基を有しないアクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
一般式(7):
前記化合物(s)を連鎖移動剤として、目的とするビニル重合体(a23)の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(a21)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体(a23)を得ることができる。化合物(s)は、エチレン性不飽和単量体(a21)100重量部に対して、0。8〜30重量部を用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは1.5〜15重量部、さらに好ましくは2〜9重量部、特に好ましくは5〜9重量部である。1重量部未満では、分子量が大きくなり、分散体の粘度が高くなり好ましくない場合がある。30重量部を超えると、分子量が小さくなり、溶媒親和性ブロックによる立体反発効果が少なくなるため、好ましくない場合がある。
ラジカル重合の際、エチレン性不飽和単量体(a21)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ系化合物および有機過酸化物;並びに、
過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物な等が挙げられ、これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基と反応しうる基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物a24)としては、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
ポリエステル(A21)及びビニル重合体(A22)は、無溶剤、又は、必要に応じて溶剤を使用して合成することができる。
本発明のポリアミン(B2)は1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物であり、一級及び/又は二級アミンが片末端領域に(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基に付加反応し、アミノ基を有する重合体(C2)を生成する。さらに、アミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミンの内、一部又は全部をポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と反応させてウレア基を生成する。すなわち、本発明の分散剤は片末端領域に存在するアミノ基及びウレア結合が顔料吸着部位になる。このようなポリアミン(B2)としてジアミン(b21)が挙げられる。また、ポリアミン(B2)が、両末端に2個の一級及び/又は二級アミノ基を有し、さらに、両末端以外に二級及び/又は三級アミノ基を有する化合物である場合には、酸性顔料に対しての吸着性が上がるため、特に好ましい。
エチレンジアミン、プロピレンジアミン[別名:1,2−ジアミノプロパン又は1,2−プロパンジアミン]、トリメチレンジアミン[別名:1,3−ジアミノプロパン又は1,3−プロパンジアミン]、テトラメチレンジアミン[別名:1,4−ジアミノブタン]、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチレンジアミン[別名:1,5−ジアミノペンタン]、ヘキサメチレンジアミン[別名:1,6−ジアミノヘキサン]、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びトリレンジアミン等の脂肪族ジアミン;
イソホロンジアミン、及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ジアミン;並びに、
フェニレンジアミン、及びキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等を挙げることができる。
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、及びN,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
N−メチルエチレンジアミン[別名:メチルアミノエチルアミン]、N−エチルエチレンジアミン[別名:エチルアミノエチルアミン]、N−メチル−1,3−プロパンジアミン[別名:N−メチル−1,3−ジアミノプロパン又はメチルアミノプロピルアミン]、N,2−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン[別名:イソプロピルアミノエチルアミン]、N−イソプロピル−1,3−ジアミノプロパン[別名:N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン又はイソプロピルアミノプロピルアミン]、及びN−ラウリル−1,3−プロパンジアミン[別名:N−ラウリル−1,3−ジアミノプロパン又はラウリルアミノプロピルアミン]等挙げることができる。
N,N−ジメチルエチレンジアミン[別名:ジメチルアミノエチルアミン]、N,N−ジエチルエチレンジアミン[別名:ジエチルアミノエチルアミン]、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン[別名:N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン又はジメチルアミノプロピルアミン]等挙げることができる。
メチルイミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン〕、ラウリルイミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)ラウリルアミン〕、イミノビスプロピルアミン〔別名N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミン〕、N,N‘−ビスアミノプロピル−1,3−プロピレンジアミン、及びN,N‘−ビスアミノプロピル−1,4−ブチレンジアミン等を挙げることができ、
2個の一級アミノ基と1個の三級アミノ基を有するメチルイミノビスプロピルアミン、及びラウリルイミノビスプロピルアミンは、ジイソシアネートとの反応制御がし易く好ましい。
エチレン性不飽和単量体や二級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、例えば、ビニルアミンやアリルアミンの単独重合体(いわゆるポリビニルアミンやポリアリルアミン)、あるいはそれらと他のエチレン性不飽和単量体との共重合体、及び、エチレンイミンの開環重合体や塩化エチレンとエチレンジアミンとの重縮合体やオキサゾリドン−2の開環重合体(いわゆるポリエチレンイミン)から選ばれることが好ましい。重合体中における一級及び/又は二級アミノ基の含有率としては、重合体を基準として、単量体単位で10〜100重量%が好ましく、20〜100重量%がより好ましい。含有率が10重量%以上であれば、顔料の凝集を防ぎ、粘度の上昇を抑えることに効果的である。
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマール酸等の不飽和カルボン酸;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、インデン、及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル;
グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基を有する(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びtert−オクチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の置換アルキル(メタ)アクリルアミド;
1,3−ブタジエン、及びイソプレン等のジエン化合物;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー(マクロモノマー);並びに
シアン化ビニル等を挙げることができる。
本発明の分散剤を構成するアミン化合物としては、ポリアミン(B2)の他に、さらにモノアミンも使用することができる。モノアミンとしては、分子内に第一級アミノ基又は第二級アミノ基を1個有するモノアミン化合物であり、モノアミンは、重合体(A2)とポリアミン(B)の反応において高分子量化しすぎるのを抑えるため、反応停止剤として使用される。モノアミンは、分子内に第一級アミノ基又は第二級アミノ基以外の他の極性官能基を有しても良い。このような極性官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シアノ基、ニトロキシル基等が挙げられる。
アミノメタン、アミノエタン、1−アミノプロパン、2−アミノプロパン、1−アミノブタン、2−アミノブタン、1−アミノペンタン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、イソアミルアミン、N−エチルイソアミルアミン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、2−アミノヘプタン、2−オクチルアミン、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノドデカン、1−アミノトリデカン、1−アミノヘキサデカン、ステアリルアミン、アミノシクロプロパン、アミノシクロブタン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノシクロドデカン、1−アミノ−2−エチルヘキサン、1−アミノ−2−メチルプロパン、2−アミノ−2−メチルプロパン、3−アミノ−1−プロペン、3−アミノメチルヘプタン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ラウリロキシプロピルアミン、3−ミリスチロキシプロピルアミン、2−アミノメチルテトラヒドロフラン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリニックアシッド、イソニペコチックアシッド、メチルイソニペコテート、エチルイソニペコテート、2−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンブチリックアシッド塩酸塩、4−ピペリジノール、ピロリジン、3−アミノピロリジン、3−ピロリジノール、インドリン、アニリン、N−ブチルアニリン、o−アミノトルエン、m−アミノトルエン、p−アミノトルエン、o−ベンジルアニリン、p−ベンジルアニリン、1−アニリノナフタレン、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、5−アミノイソキノリン、o−アミノジフェニル、4−アミノジフェニルエーテル、β−アミノエチルベンゼン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、o−アミノアセトフェノン、m−アミノアセトフェノン、p−アミノアセトフェノン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、3−ベンジルアミノプロピオニックアシッドエチルエーテル、4−ベンジルピペリジン、α−フェニルエチルアミン、フェネシルアミン、p−メトキシフェネシルアミン、フルフリルアミン、p−アミノアゾベンゼン、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、アリルアミン、及びジフェニルアミン等が挙げられる。
アミノ基を有する重合体(C2)は、下記一般式(8)に示すように、ポリアミン(B2)の一級又は二級のアミノ基が、片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基に対して、付加反応することによって得られる。この反応は、一般にMichael付加反応と呼ばれている。重合体(A2)及びポリアミン(B2)の配合を調整することにより、イソシアネート基と反応しうる一級又は二級のアミノ基を有する構造にすることができる。
例えば、下記一般式(9)のように、片末端領域に1個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の分子1個に対し、一級アミノ基を2個有するジアミン(B2)の分子1個を反応させた場合、理論上、一級アミノ基1個と二級アミノ基1個とを有する重合体(C2)の分子1個が得られる。
又、例えば、下記一般式(10)のように、片末端領域に2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の分子1個に対し、一級アミノ基1個と二級アミノ基1個を有するジアミン(B2)の分子2個を反応させた場合、理論上、二級アミノ基4個を有する重合体(C2)の分子1個が得られる。
更に、例えば、下記一般式(11)のように、片末端領域に2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の分子n個に対し、一級アミノ基2個を有するジアミン(B)の分子(n+1)個を反応させた場合、理論上、一級アミノ基2個と二級アミノ基2n個とを有する重合体(C2)の分子1個が得られる。(nは、正の整数である。)
一般式(11):
又、例えば、下記一般式(12)のように、片末端領域に2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の分子n個に対し、二級アミノ基2個を有するジアミン(B2)の分子(n+1)個を反応させた場合、理論上、二級アミノ基2個と三級アミノ基2n個とを有する重合体(C2)の分子1個が得られる。(nは、正の整数である。)
一般式(12):
理論上としたのは、上記4例は、一級アミノ基が、二級アミノ基より反応性が高いため、必ず優先的に反応するとした場合であり、実際は、反応条件等により、一級アミノ基が残っていても、先に二級アミノ基が反応する場合もあるので、一部、予想とは異なる構造の重合体(C2)が得られる場合もあるが、上記付加反応は、ほぼ量論的に反応が進行するので、大部分が目的とする構造の重合体(C2)が得られ、その後の反応や、最終的な分散剤としての機能に問題はない。
片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有するポリアミン(B2)と、からアミノ基を有する重合体(C2)を得るためのMichael付加反応は、1)全量仕込みで反応する方法、2)ポリアミン(B2)及び必要に応じて溶剤からなる溶液をフラスコに仕込み、重合体(A2)溶液を滴下する方法に大別される。安定した反応になる方で合成を行うが、反応に問題がなければ、反応制御(分子設計制御)が容易な2)の方法が好ましい。
本発明の組成物を構成する塩基性官能基を有する重合体(G2)は、アミノ基及びウレア結合を有する分散剤であり、アミノ基を有する重合体(C2)の一級又は二級のアミノ基と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基を反応して得られる。アミノ基を有する重合体(C2)の一級又は二級のアミノ基は、反応させるポリイソシアネートの量を調整することにより、一部又は全部がウレア結合を形成し、残りは分散剤中にアミノ基として存在する。
また、アミノ基を有する重合体(C2)は一級又は二級のアミノ基以外にも三級アミノ基を有している場合は、三級アミノ基はイソシアネート基と反応せずそのまま顔料吸着基として分散剤中に残る。
又、例えば、下記一般式(14)のように、二級アミノ基1個を有する重合体(C2)の分子2個に対し、ジイソシアネート(D2)の分子1個を反応させた場合、理論上、二級アミノ基が、イソシアネート基と反応してウレア結合を形成し、ウレア結合を有する分散剤が得られる。下記一般式(14)中のW3が、ポリアミン(B2)及び/又は重合体(C2)由来の三級アミノ基を有する場合、前記分散剤は、三級アミノ基も有する。前記分散剤は、活性水素を有するアミノ基は有しない。
更に、例えば、下記一般式(15)のように、前記一般式(13)の生成物である、一級アミノ基2個と二級アミノ基2n個とを有する重合体(C2)の分子(m+1)個に対し、ジイソシアネート(D2)の分子m個を反応させた場合、理論上、一級アミノ基とイソシアネート基とが反応してウレア結合を形成し、一級アミノ基2個と二級アミノ基(2nm+2n)個とウレア結合2m個とを有する分散剤が得られる。下記一般式(15)中のY2が、ポリアミン(B2)及び/又は重合体(C2)由来の三級アミノ基を有する場合、前記分散剤は、三級アミノ基も有する。(n及びmは、正の整数である。)
一般式(15):
又、例えば、下記一般式(16)のように、一級アミノ基1個を有するポリアミン(B2)の分子2個と(メタ)アクリロイル基2個を有する重合体(A2)の分子1個とを反応して得られる、重合体(A2)由来の部分から見て両末端領域に、二級アミノ基を1個ずつ、合わせて2個を有する重合体(C2)の分子(m+1)個に対し、ジイソシアネート(D2)の分子m個を反応させた場合、理論上、前記二級級アミノ基とイソシアネート基とが反応してウレア結合を形成し、ポリウレア鎖から見てり両末端領域に、二級アミノ基を1個ずつ、合わせて2個有する分散剤が得られる。(mは、正の整数である。)
一般式(16):
〔一般式(16)中、X2は、重合体(C2)の前駆体である重合体(A2)の内、(メタ)アクリロイルオキシ基を除いた部分であり、Y3は、ポリアミン(B2)の内、一級アミノ基を除いた部分であり、W5は、重合体(C2)の内、アミノ基を有する部位を除いた部分であり、R6は、水素原子、又はメチル基であり、Z1は、ポリイソシアネート(D2)の内、イソシアネート基を除いた部分であり、mは、正の整数である。〕
理論上としたのは、上記4例は、一級アミノ基が、二級アミノ基より反応性が高いため、必ず優先的に反応するとした場合であり、実際は、反応条件等により、一級アミノ基が残っていても、先に二級アミノ基が反応する場合もあるので、一部、予想とは異なる構造の分散剤が得られる場合もあるが、上記反応は、ほぼ量論的に反応が進行するので、大部分が目的とする構造の重合体(C2)が得られ、分散剤としての機能に問題はない。
本発明に用いられるポリイソシアネート(D2)としては、従来公知のものを使用することができるが、分散体の低粘度効果から、ジイソシアネートであることが好ましく、例えば、芳香族系ジイソシアネート(d21)、脂肪族系ジイソシアネート(d22)、芳香族−脂肪族系ジイソシアネート(d23)、脂環族系ジイソシアネート(d24)、これらジイソシアネートのニ量体(ウレトジオン)、これらジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート)とモノアルコールとの反応物、及びこれらジイソシアネートとジオールとの反応物(両末端イソシアネートのウレタンプレポリマー)等が挙げられる。
2,4,6−トリイソシアネ−トトルエン、1,3,5−トリイソシアネ−トベンゼン、及び4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等の芳香族系トリイソシアネート;並びに、
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(別名MDIオリゴマー)等のポリメリック型芳香族系イソシアネートオリゴマー)等が挙げられる。
アミノ基を有する重合体(C2)とポリイソシアネート(D2)との反応は、1)全量仕込みで反応する場合と、2)重合体(C2)溶液をフラスコに仕込み、ポリイソシアネート(D2)を滴下する方法に大別されるが、反応を精密にする場合は2)が好ましい。本発明のウレア化反応の温度は、70℃以下が好ましい。更に好ましくは60℃以下である。60℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。70℃より高くなると反応速度の制御が困難であり、所定の分子量と構造を有する分散剤を得ることは難しい。
即ち、前記のように、配合当量比が、0.35〜0.9、好ましくは0.5〜0.8の時、三級アミノ基、ウレア結合、活性水素を有するアミノ基、及び溶剤親和部位のバランスが良くなり、優れた顔料分散安定性を示す。
前記片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1以上の一級及び/又は二級アミノ基を含むポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応する、アミノ基を有する重合体(C2)を製造する第二の工程と、並びに、
アミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、少なくとも2個以上のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、を反応させる第三の工程と、
を含む製造法により製造することができる。
各工程の合成方法及び条件等は前述のとおりである。
市販の塩基性官能基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、SOLSPERSE9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、20000、24000SC、24000GR、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500、39000等が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、EFKA4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4550、4560、4570、4580、4800等が挙げられる。
楠本化成社製の塩基性官能基を有する樹脂としては、ディスパロン1850、1860、DA−1401等が挙げられる。
共栄社化学製の塩基性官能基を有する樹脂としては、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−17等が挙げられる。
本発明で使用する負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe2O3、LiXFe3O4、LiXWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。
これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
これらの複合化処理は、必要に応じ複数を組み合わせて行っても良い。
本発明の負極合材に使用される導電助剤としては、炭素材料、リチウムと合金化し難い金属、導電性高分子材料等が挙げられるが、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック; 並びに、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の負極合材には、更に、バインダー成分を含有させることが好ましい。使用するバインダーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類、ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。
本発明の負極合材に使用される溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられるが、これに限定されない。
負極合材中の総固形分に占める負極活物質の割合は、80重量%以上、98.5重量%以下で使用することが望ましい。負極活物質の割合が80重量%を下回ると、十分な導電性、放電容量を得ることが難しくなる場合があり、98.5重量%を超えると、バインダー成分の割合が低下するため、集電体への密着性が低下し、負極活物質が脱離しやすくなる場合がある。
次に、本発明の負極合材の製造方法について説明する。
比誘電率が15を下回る溶剤では前記誘導体の溶解性が著しく低下し、負極活物質の分散性は低下するため、負極活物質濃度を上げることができないことが多く、また、比誘電率が200を超える溶剤を使用しても、顕著な効果が得られないことが多い。
次に、本発明の組成物を用いたリチウム二次電池について説明する。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
実施例で使用した分散剤について構造を表1〜表5に示す。
[負極活物質分散体1〜27]
表6に示す組成に従い、容器に、溶剤、塩基性官能基を有する各種誘導体、酸性官能基を有する樹脂を仕込み、混合攪拌して該誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、負極活物質を加え、メディアレス分散機であるフィルミックス(プライミクス社製)で分散し、負極活物質分散体(1)〜(27)を得た。
また、複合化負極活物質については、後述する方法で調整した複合化負極活物質(a)〜(d)を用いた。
尚、表6中のアニオン性の界面活性剤は、デモールN(β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王社製)を使用した。
[複合化負極活物質の調整(a)]
メソフェーズカーボンMFC(mesophase carbon)(MCMB 6−28、平均粒径5〜7μm、比表面積4m2/g大阪ガスケミカル社製)47部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)3部を、ハイブリダイゼーション(奈良機会製作所社製)で処理し複合化負極活物質(a)を得た。
[複合化負極活物質の調整(b)]
チタン酸リチウム(Li4Ti5O12、平均一次粒子径0.3μm、比表面積15m2/g)47部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)3部を、ハイブリダイゼーション(奈良機会製作所社製)で処理し複合化負極活物質(b)を得た。
[複合化負極活物質の調整(c)]
リチウムバナジウム酸化物(Li1.1V0.9O2、特開2008−153177記載の方法で作成したもの)、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、一次粒径48nm、比表面積48m2/g、電気化学工業社製)3部を、ハイブリダイゼーション(奈良機会製作所社製)で処理し複合化負極活物質(c)を得た。
[複合化負極活物質の調整(d)]
ケイ素粉末(平均一次粒子径3μm)を、炭素源としてトルエンを用いCVD処理し、カーボンコーティングされた複合化負極活物質(d)を得た。
[誘導体前処理負極活物質の調整(e)]
イオン交換水2000部に、分散剤De5部を添加した。ディスパーにて攪拌混合しつつ25%アンモニア水を添加し、液のpHを約10とし、分散剤を溶解させた。続いて、メソフェーズカーボンMFC(mesophase carbon)(MCMB 6−28、平均粒径5〜7μm、比表面積4m2/g大阪ガスケミカル社製)100部を加え、pHを9.5〜10.5の範囲で維持しながら攪拌混合した。次に、処理スラリーを磁石つきのストレーナーを通した後、1N塩酸水溶液を加え、液のpHを2〜3とした。このとき液の粘度が急激に上昇するため、適宜イオン交換水を追加した。凝集物を濾取した後、イオン交換水で洗浄、その後乾燥、粉砕して分散剤前処理処理負極活物質(e)を得た。
● 塩基性官能基を有する重合体(G1)タイプ
[アミノ基を有するビニル系樹脂(G1−1)の調整]
<ビニル重合体(A1−1)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート 500部、チオグリセロール 28部と、N−メチル−2−ピロリドン 528部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN 0.50部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量4200の、片末端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体(a−1)の固形分50%溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ビニル重合体(A1−1)の固形分50%溶液 1022部と、イソホロンジイソシアネート 45.2部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.11gを仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応した後、40℃まで冷却して、イミノビスプロピルアミン 26.7部、N−メチル−2−ピロリドン 363.3部の混合液中に30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、室温まで冷却して反応を終了した。固形分を40%に調整し、重合体(G1−1)の淡黄色透明溶液を得た。重合体(G1−1)の重量平均分子量は13500であり、アミン価27.5mg KOH/gであった。
<ビニル重合体(A1−2)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート 500部と、チオグリセロール 28部と、N−メチル−2−ピロリドン 528部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN 0.50部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量4800の、片末端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1−2)の固形分50%溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ビニル重合体(A1−2)の固形分50%溶液 1056部と、イソホロンジイソシアネート 115.1部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.12gを仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応した後、40℃まで冷却して、イミノビスプロピルアミン 25.5部と、2−アミノ−2−メチル−プロパノール 11.5部と、N−メチル−2−ピロリドン 492.0部の混合液中に30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、室温まで冷却して反応を終了した。固形分を40%に調整し、重合体(G1−2)の淡黄色透明溶液を得た。重合体(G1−2)の重量平均分子量は21600であり、アミン価17.4mg KOH/gであった。
<ビニル重合体(A1−3)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート 400部と、ブチルアクリレート 100部と、チオグリセロール 56部と、N−メチル−2−ピロリドン 556部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN 0.50部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量3000の、片末端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1−3)の固形分50%溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ビニル重合体(A1−3)の固形分50%溶液 1112部と、イソホロンジイソシアネート 230.2部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート 0.13gを仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応した後、40℃まで冷却して、メチルイミノビスプロピルアミン 56.4部と、ジブチルアミン 33.4部と、N−メチル−2−ピロリドン 757.9部の混合液中に30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、室温まで冷却して反応を終了した。固形分を40%に調整し、重合体(G1−3)の淡黄色透明溶液を得た。重合体(G1−3)の重量平均分子量は11900であり、アミン価25.2mg KOH/gであった。
[アミノ基を有するポリエステル系重合体(G2−1)の調整]
<片末端にアクリロイル基を有するポリエステル(A2−1)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、4−ヒドロキシブチルアクリレート20.8部とε−カプロラクトン379部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部を仕込み、乾燥空気流下で120℃で4時間加熱、撹拌し固形分測定により95%が反応したことを確認し反応を終了し、N−メチル−2−ピロリドン171部を加えて希釈し、更に、固形分70重量%に調整して、重量平均分子量6500の、片末端に1つのアクリロイ基を有するポリエステル(A2−1)の固形分70重量%溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イミノビスプロピルアミン18.9部と、N−メチル−2−ピロリドン248部を仕込み、50℃に加熱してポリエステル(A2−1)の固形分70重量%溶液571部を30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、イソホロンジイソシアネート16.0部、N−メチル−2−ピロリドン112部の混合液を30分かけて滴下し、更に2時間反応し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて、固形分30重量%に調整して、重量平均分子量13000、アミン価36mgKOH/gの重合体(G2−1)の固形分30重量%溶液を得た。
<重合体(G2−2)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルイミノビスプロピルアミン23.9部と、N−メチル−2−ピロリドン248部を仕込み、50℃に加熱してポリエステル(A2−1)の固形分70重量%溶液571部を30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、イソホロンジイソシアネート18.3部、N−メチル−2−ピロリドン207部の混合液を30分かけて滴下し、更に2時間反応し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて、固形分30重量%に調整して、重量平均分子量27000、アミン価41mgKOH/gの重合体(G2−2)の固形分30重量%溶液を得た。
<片末端にアクリロイル基を有するビニル重合体(A2−2)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート400部とブチルアクリレート100部、N−メチル−2−ピロリドン100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール27.5部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認し、N−メチル−2−ピロリドン427部を加えて希釈したのち、乾燥空気流下でアクリロイルオキシエチルイソシアネート32.6部、DBTDL 1部、メチルハイドロキノン0.3部を加え、さらに2時間加熱攪拌し、更に、固形分50重量%に調整して、重量平均分子量4500の、片末端に2つのアクリロイル基を有するビニル重合体(A2−2)の固形分50重量%溶液を得た。
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イミノビスプロピルアミン27.8部と、N−メチル−2−ピロリドン184部を仕込み、50℃に加熱してビニル重合体(A2−2)の固形分70重量%溶液500部を30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、イソホロンジイソシアネート15.7部、N−メチル−2−ピロリドン121部の混合液を30分かけて滴下し、更に2時間反応し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて、固形分30重量%に調整して、重量平均分子量15200、アミン価94mgKOH/gの重合体(G2−3)の固形分30重量%溶液を得た。
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
PB821:アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)
SP24000:SOLSPERSE24000GR(日本ルーブリゾール社製)
表7に示す組成に従い、容器に、溶剤、酸性官能基を有する各種誘導体を仕込み、混合攪拌して該誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、負極活物質、導電助剤を加え、メディアレス分散機であるフィルミックス(プライミクス社製)で分散し、負極活物質導電助剤共分散体(28)〜(31)を得た。
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径48nm、比表面積48m2/g。
・デンカブラックFX−35(電気化学工業社製):
アセチレンブラック、一次粒径23nm、比表面積133m2/g。
・Super−P Li(TIMCAL社製):
ファーネスブラック、一次粒径40nm、比表面積62m2/g。
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
負極活物質分散体1、2、7、9、21、22については、分散処理後の負極活物質の濡れ性評価を行った。
負極活物質分散体(1)〜(27)、負極活物質導電助剤共分散体(28)〜(31)を用い、以下の様にして負極合材ペースト(1)〜(31)を作成した。組成を表9および表10に示す。
[負極合材ペースト(1)〜(5)、(7)〜(10)、(12)〜(14)、(16)〜(27)]
負極活物質分散体146.5部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW1100、クレハ社製)4.9部、導電助剤2部およびN−メチル−2−ピロリドン18部を加え、プラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペーストとした。
尚、複合化負極活物質を使用している負極活物質分散体については、導電助剤量を1部とした。
負極活物質分散体146.5部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW1100、クレハ社製)4.9部、導電助剤2部およびN,N’−ジメチルホルムアミド18部を加え、プラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペーストとした。
尚、複合化負極活物質を使用している負極活物質分散体については、導電助剤量を1部とした。
負極活物質導電助剤共分散体148.5部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW1100、クレハ社製)4.9部、およびN−メチル−2−ピロリドン18部を加え、プラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペーストとした。
[負極合材ペースト(31)]
負極活物質導電助剤共分散体148.5部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW1100、クレハ社製)4.9部、およびN,N’−ジメチルホルムアミド18部を加え、プラネタリーミキサーにより混練し、負極合材ペーストとした。
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
先に調製した各種負極合材ペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥、圧延処理し、厚さ100μmの負極合材層(1)〜(31)を作製した。
<リチウム二次電池負極評価用セルの組み立て>
先に作製した負極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行い、セル組み立て後、以下に示す電池特性評価を行った。
[充放電サイクル特性 実施例6−31、比較例2−6]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電にて、0.05Vで満充電とし、充電時と同じレートの定電流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とした。
まず5回この充放電操作を行い、6回目の放電容量を初期値とした。その後、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜不良の有無を目視にて確認し、問題の無いものは「○」とした。評価結果を表11および表12に示す。
負極合材ペースト(1)、(19)、(22)、(23)について、40℃で1週間保存した後、上述した方法で負極および評価用セルを作成し、実施例6〜31および比較例2〜6と同様に充放電サイクル試験を行った。結果を表13に示す。
Claims (5)
- 酸性官能基を有する有機色素誘導体、および酸性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、塩基性官能基を有する樹脂と、負極活物質とを含むことを特徴とする負極合材。
(ただし、下記一般式(1)で表される、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、及び下記一般式(4)で表される、酸性官能基を有する有機色素誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体と、
塩基性官能基を有する、片末端領域に2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B1)のイソシアネート基と、を反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基と、
少なくともポリアミン(D1)を含むアミン化合物の一級及び/又は二級アミノ基と、
を反応してなるアミン価が1〜100mgKOH/gである重合体(G1)、
並びに、片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有するポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基と、を反応してなるアミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基と、を反応してなるアミン価が5〜100mgKOH/gである重合体(G2)、
からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂と、
導電助剤としての炭素材料と、負極活物質を含む負極合材を除く。
一般式(1):
{一般式(1)中、
X 101 は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、又は−X 103 −Y 101 −X 104 −であり、
X 102 、及びX 104 は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
X 103 は、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHCO−、又は−NHSO 2 −であり、
Y 101 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 101 は、−SO 3 M 101 、−COOM 101 、又は−P(O)(−OM 101 ) 2 であり、
M 101 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量であり、
Q 101 は、−O−R 102 、−NH−R 102 、ハロゲン基、−X 101 −R 101 、又は−X 102 −Y 101 −Z 101 であり、
R 102 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基であり、
n 101 は、1〜4の整数であり、
R 101 は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(2)で表される基であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素の残基であり、
複素環残基及び芳香族環残基は、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、又はアントラキノンの残基である。
一般式(2):
〔一般式(2)中、
X 201 は、−NH−、又は−O−であり、
X 202 、及びX 203 は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、又は−CH 2 NHCOCH 2 NH−であり、
R 201 、及びR 202 は、それぞれ独立に、前記有機色素残基、置換基を有していてもよい前記複素環残基、置換基を有していてもよい前記芳香族環残基、又は−Y 201 −Z 201 であり、
Y 201 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 201 は、−SO 3 M 201 、−COOM 201 、又は−P(O)(−OM 201 ) 2 であり、
M 201 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量である。〕}
一般式(4):
〔一般式(4)中、
X 401 は、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−CH 2 NHCOCH 2 NH−、−X 402 −Y 401 −、又は−X 402 −Y 401 −X 403 −であり、
X 402 は、−CONH−、−SO 2 NH−、−CH 2 NH−、−NHCO−、又は−NHSO 2 −であり、
X 403 は、−NH−、又は−O−であり、
Y 401 は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
Z 401 は、−SO 3 M 401 、−COOM 401 、又は−P(O)(−OM 401 ) 2 であり、
M 401 は、水素原子、金属カチオン、及び4級アンモニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種の1〜3価のカチオンの一当量であり、
R 401 は、有機色素残基であり、
有機色素残基は、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素の残基であり、
n 401 は、1〜4の整数である。〕) - 塩基性官能基を有する樹脂が、
片末端領域に2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)のヒドロキシル基と、ジイソシアネート(B1)のイソシアネート基とを反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C1)のイソシアネート基と、少なくともポリアミン(D1)を含むアミン化合物の一級及び/又は二級アミノ基とを反応してなるアミン価が1〜100mgKOH/gである重合体(G1)、並びに、
片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)の(メタ)アクリロイル基と、1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有するポリアミン(B2)の一級及び/又は二級アミノ基とを反応してなるアミノ基を有する重合体(C2)の一級及び/又は二級アミノ基と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(D2)のイソシアネート基とを反応してなるアミン価が5〜100mgKOH/gである重合体(G2)、からなる群から選ばれる1種類以上の塩基性官能基を有する樹脂である請求項1記載の負極合材。 - 重合体(G1)を構成する片末端領域に2個のヒドロキシル基を有するビニル重合体(A1)が、分子内に2つのヒドロキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(a11)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(a12)をラジカル重合してなることを特徴とする請求項2記載の負極合材。
- 重合体(G2)を構成する片末端領域に1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A2)が、ビニル重合体、又はポリエステルを含むことを特徴とする請求項2または3記載の負極合材。
- 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウム二次電池であって、
前記負極合材層が、請求項1ないし4いずれか記載の負極合材を用いて作成されたことを特徴とするリチウム二次電池。
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