JP5794943B2 - リチウム二次電池の電極用結着剤、該結着剤を用いて製造された電極を使用したリチウム二次電池。 - Google Patents
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Description
前記ポリイソシアネートの内、結着性及び耐電解液性の点から脂環族系及び/または芳香族系イソシアネートが好ましく、具体的には、ジイソシアネートとしては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、3官能以上のポリイソシアネートとしてはイソシアヌレートタイプが好ましい。
前述のようにポリウレタンに分岐構造を導入しウレタン結合の局在化により該ウレタン水分散体を含有する結着剤を使用した電極の耐電解液性が向上するという効果が得られるので好ましい。また、前記化合物の数平均分子量は特に制限されないが、50以上5000以下である事が好ましい。前記(B成分)のポリウレタン水分散体に含有されるポリウレタン中での含有量は特に制限されないが、結着性及び耐電解液性の両立の点からポリウレタン中30〜75重量%が好ましい。
[ポリウレタン水分散体の合成]
(合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにアデカポリエーテルBPX―11(商品名、ADEKA社製、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、平均水酸基価312mgKOH/g、活性水素基数2)120重量部、ニッポランN―4010(商品名、日本ポリウレタン工業社製、1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルポリオール、平均水酸基価55mgKOH/g、活性水素基数2)15重量部、ジメチロールプロピオン酸(活性水素基数2)16.3重量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート133.7重量部、デュラネート24A―100(旭化成ケミカルズ社製,ビウレット型イソシアネート)15.0重量部、メチルエチルケトン200重量部を加え、75℃で4時間反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量2.4%であるウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を45℃まで冷却し、トリエチルアミンを12.3重量部加え中和後、水900重量部を徐々に加えてホモジナイザーを使用し乳化分散させた。続いて、エチレンジアミン(活性水素基数2) 4.6重量部を水100重量部で希釈したアミン水溶液を加え、1時間鎖伸長反応を行った。これを減圧、50℃下、脱溶剤を行い、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Aを得た。
(合成例2)
アデカポリエーテルBPX―11を126.0重量部に、ニッポランN―4010 15重量部をニッポランN―4009(商品名、日本ポリウレタン工業社製、1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルポリオール、平均水酸基価112mgKOH/g、活性水素基数2)20.0重量部に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート133.7重量部をイソホロンジイソシアネート122.7重量部に、エチレンジアミン(活性水素基数2) 4.6重量部をイソホロンジアミン 15.1重量部に変更した以外は合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Bを得た。
(合成例3)
エチレンジアミン(活性水素基数2) 4.6重量部をジエチレントリアミン(活性水素基数3) 5.3重量部に変更した以外は、合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Cを得た。
(合成例4)
アデカポリエーテルBPX―11 120重量部とニッポランN―4010 15重量部をURIC H―62(商品名、伊藤製油社製、ヒマシ油系ポリオール、平均水酸基価260mgKOH/g、活性水素基数2)144.7重量部に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート133.7重量部をイソホロンジイソシアネート115.0重量部に、デュラネート24A―100 15.0重量部をデュラネートTPA―100(商品名、旭化成ケミカルズ社製、イソシアヌレート型イソシアネート)24.0重量部に、エチレンジアミン(活性水素基数2) 4.6重量部をメタキシレンジアミン(活性水素基数2) 15.0重量部に変更した以外は、合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Dを得た。
(合成例5)
アデカポリエーテルBPX―11 120重量部とニッポランN―4010 15重量部をETERNACOLL UH―100(商品名、宇部興産社製、1,6−ヘキサンジオールを構成成分とするポリカーボネートポリオール、平均水酸基価110mgKOH/g、活性水素基数2) 199.7重量部に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート133.7重量部をトリレンジイソシアネート 60重量部に、デュラネート24A―100 15.0重量部をデュラネートTPA―100(商品名、旭化成ケミカルズ社製、イソシアヌレート型イソシアネート) 24.0重量部に、エチレンジアミン(活性水素基数2)による鎖伸張反応を水(活性水素基数2)による鎖伸張反応に、変更した以外は、合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Eを得た。
(合成例6)
アデカポリエーテルBPX―11 120重量部とニッポランN―4010 15重量部をニッポランN―4009 211.7重量部に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート 133.7重量部とデュラネート24A―100 15.0重量部をヘキサメチレンジイソシアネート 72.0重量部に、エチレンジアミン(活性水素基数2)を4.3重量部に変更した以外は、合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Fを得た。
(合成例7)
アデカポリエーテルBPX―11 120重量部とニッポランN―4010 15重量部をPolyTHF 1000(商品名、BASF社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、平均水酸基価110mgKOH/g、活性水素基数2) 177.2重量部に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを106.5重量部に、エチレンジアミン(活性水素基数2)を5.5重量部に変更した以外は合成例1と同様に合成し、不揮発分約30%のポリウレタン水分散体Gを得た。
[ポリウレタン水分散体の評価]
得られたポリウレタン水分散体に関する各測定に際しては、下記方法を用いた。また、その結果を表1に示す。
(ポリウレタン水分散体の不揮発分の重量)
JIS K 6828に準じて測定した。
(ポリウレタン水分散体の樹脂固形分中の架橋密度)
数1の式より算出した。
(ポリウレタン水分散体の平均粒子径測定)
平均粒子径は、Microtrac UPA−UZ152(日機装社製)にて測定し、50%平均値を粒子径として算出した。
(ポリウレタン樹脂の酸価、ウレタン結合量、ウレア結合量)
ウレタン樹脂の合成時の仕込量および反応後の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量から算出した。
電極の製作に使用した結着剤について下記表2に示す。
(負極1)
負極活物質として、天然黒鉛100g、導電剤としてカーボンブラック0.5g(Timcal社製、Super−P)と増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として前記ポリウレタン水分散体Aの30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように負極スラリーを調製した。この負極スラリーを塗工機で厚み10μmの電解銅箔上にコーティングを行い、120℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、負極活物質7mg/cm2の負極1を得た。
(負極2〜8)
前記水性樹脂組成物Aを表2に記載のポリウレタン水分散体A、SBRに変更した以外は負極1と同様の方法で作成した。
(負極9)
負極活物質として、SiO(平均粒径4.5μm、比表面積5.5m2/g)100g、導電剤としてカーボンブラック5g(Timcal社製、Super−P)と増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として前記水性樹脂組成物の30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように負極スラリーを調製した。この負極スラリーを塗工機で厚み10μmの電解銅箔上にコーティングを行い、120℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、負極活物質2.5mg/cm2の負極を得た。
(負極10)
前記ポリウレタン水分散体をSBRに変更した以外は負極9と同様の方法で作成した。
(負極11)
負極活物質として、Li4Ti5O12100g、導電剤としてカーボンブラック5g(Timcal社製、Super−P)と増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として前記ポリウレタン水分散体の30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように負極スラリーを調製した。この負極スラリーを塗工機で厚み10μmの電解銅箔上にコーティングを行い、120℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、負極活物質9.7mg/cm2の負極を得た。
(負極12)
前記ポリウレタン水分散体をSBRに変更した以外は負極11と同様の方法で作成した。
[正極の作製]
(正極1)
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を7.8g、結着剤としてポリフッ化ビニリデン6g、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)61.3gを遊星型ミキサーで混合し、固形分65%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質13.8mg/cm2の正極を得た。
(正極2〜3)
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を7.8g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として表2の前記ポリウレタン水分散体30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質13.8mg/cm2の正極を得た。
(正極4)
正極活物質であるLiMn2O4100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を5g、結着剤としてポリフッ化ビニリデン6g、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)59.8gを遊星型ミキサーで混合し、固形分65%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質22mg/cm2の正極を得た。
(正極5)
正極活物質であるLiMn2O4100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を5g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として表2の前記ポリウレタン水分散体30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質22mg/cm2の正極を得た。
(正極6)
正極活物質であるLiFePO4100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を5g、結着剤としてポリフッ化ビニリデン6g、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)135.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分45%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質14.5mg/cm2の正極を得た。
(正極7)
正極活物質であるLiFePO4100g、導電剤としてカーボンブラック(Timcal社製、Super−P)を5g、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液100g、結着剤として表2の前記ポリウレタン水分散体30重量%溶液6.7gを遊星型ミキサーで混合し、固形分50%になるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを塗工機で厚み20μmのアルミニウム箔上にコーティングを行い、130℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、正極活物質14.5mg/cm2の正極を得た。
[電極の評価]
得られた電極について以下の項目について評価を実施した。評価結果を表3に示す。
(結着性評価)
上記で得られた負極電極の塗工面を外側に180℃折り曲げて戻した後に、塗工面の活物質の脱落程度を目視で判断した。
評価基準:
5点:0%脱落
4点:25%脱落
3点:50%脱落
2点:75%脱落
1点:100%脱落
(耐電解液性評価)
上記で得られた電極をEC(エチレンカーボネート)/PC(プロピレンカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)/DEC(ジエチルカーボネート)=1/1/1/1/1(vol)の混合溶剤に60℃、7日後浸漬後の塗膜外観を目視で判断した。
評価基準
○ :塗膜に変化無し
△ :塗膜に膨れ数点発生
× :塗膜が剥がれる。
上記で得られた正極、負極を下記表4のように組み合わせて、電極間にセパレータとしてポリオレフィン系(PE/PP)セパレータを挟んで積層し、各正負極に正極端子と負極端子を超音波溶接した。この積層体をアルミラミネート包材に入れ、注液用の開口部を残しヒートシールした。正極面積18cm2、負極面積19.8cm2とした注液前電池を作製した。次にエチレンカーボネートとジエチルカーボネート(30/70vol比)とを混合した溶媒にLiPF6(1.0mol/L)を溶解させた電解液を注液し、開口部をヒートシールし、評価用電池を得た。
作製したリチウム二次電池について、20℃における以下の評価項目、評価基準に従って電池性能の評価を行った。結果を表5に示す。
(セルインピーダンス)
セルインピーダンスは、インピーダンスアナライザー(ZAHNER社製)を用いて、周波数1kHzでの抵抗値を測定した。
(充放電サイクル特性)
充放電サイクル特性は、以下の条件で測定した。
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2或いはLiMn2O4、負極活物質として天然黒鉛を使用した場合は、1C相当の電流密度で4.2VまでCC(定電流)充電を行い、続いて4.2VでCV(定電圧)充電に切り替え、1.5時間充電したのち、1C相当の電流密度で2.7VまでCC放電するサイクルを20℃で300サイクル行い、このときの初回1C放電容量に対する300サイクル後1C放電容量比を1C充放電サイクル保持率とした。
正極活物質としてLiFePO4、負極活物質として天然黒鉛を使用した場合は、1C相当の電流密度で4.0VまでCC(定電流)充電を行い、続いて4.0VでCV(定電圧)充電に切り替え、1.5時間充電したのち、1C相当の電流密度で2.0VまでCC放電するサイクルを20℃で300サイクル行い、このときの初回1C放電容量に対する300サイクル後1C放電容量比を1C充放電サイクル保持率とした。
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、負極活物質としてLi4Ti5O12を使用した場合は、1C相当の電流密度で2.9VまでCC(定電流)充電を行い、続いて2.9VでCV(定電圧)充電に切り替え、1.5時間充電したのち、1C相当の電流密度で1.0VまでCC放電するサイクルを20℃で300サイクル行い、このときの初回1C放電容量に対する300サイクル後1C放電容量比を1C充放電サイクル保持率とした。
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、負極活物質としてSiOを使用した場合は、1C相当の電流密度で4.2VまでCC(定電流)充電を行い、続いて4.2VでCV(定電圧)充電に切り替え、1.5時間充電したのち、1C相当の電流密度で2.7VまでCC放電するサイクルを20℃で50サイクル行い、このときの初回1C放電容量に対する50サイクル後1C放電容量比を1C充放電サイクル保持率とした。
Claims (4)
- (A成分)ポリイソシアネート、(B成分)2個以上の活性水素基を有する化合物、(C成分)1個以上の活性水素基と親水性基を有する化合物、及び(D成分)鎖伸長剤、からなるポリウレタン水分散体を含有するリチウム二次電池の電極用結着剤であって、前記(A成分)が3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含有し、(A成分)の3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートの含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタンに対し5重量%以上30重量%以下であることを特徴とするリチウム二次電池の電極用結着剤。
- 前記(A成分)が脂環族系及び/または芳香族系イソシアネートを含有することを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池の電極用結着剤。
- 前記(B成分)がひまし油ポリオールを含有する事を特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のリチウム二次電池の電極用結着剤。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載されたリチウム二次電池の電極用結着剤を用いた電極。
を使用することを特徴とするリチウム二次電池。
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