JP2015172155A - 複合樹脂粒子、発泡性粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

複合樹脂粒子、発泡性粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】落球衝撃値や、機械的特性(耐落下衝撃圧縮性、耐落下衝撃性等)等の各種物性の温度依存性が抑制された発泡成形体を与えうる複合樹脂粒子を提供することを課題とする。【解決手段】ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む複合樹脂粒子であり、前記ポリエチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ50〜20質量%及び50〜80質量%の範囲で含まれ、前記ポリエチレン系樹脂が、925〜965kg/m3の範囲の中密度から高密度の第1ポリエチレン系樹脂と、直鎖状で、かつ前記第1ポリエチレン系樹脂より低密度の第2ポリエチレン系樹脂とから構成され、前記第1ポリエチレン系樹脂及び第2ポリエチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ90〜30質量%及び10〜70質量%の範囲で含まれることを特徴とする複合樹脂粒子により上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、複合樹脂粒子、発泡性粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、落球衝撃値が向上し、機械的特性(耐落下衝撃圧縮性、耐落下衝撃性等)等の各種物性の温度依存性が抑制された発泡成形体を与えうる複合樹脂粒子、発泡性粒子及び予備発泡粒子、それら粒子から得られた発泡成形体に関する。
ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、剛性、断熱性、軽量性、耐水性及び発泡成形性に優れていることが知られている。そのため、この発泡成形体は、緩衝材や建材用断熱材として広く用いられている。しかし、ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性が劣るという課題があった。
一方、ポリエチレン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に優れていることが知られている。そのため、この発泡成形体は、自動車関連部品に使用されている。しかし、ポリエチレン系樹脂は、発泡剤の保持性が劣ることから、発泡成形条件を精密に制御する必要がある。そのため製造コストが高くつくという課題があった。加えて、この発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体に比べて、剛性が劣るという課題もあった。
上記ポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる発泡成形体の課題を解決するために、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との複合樹脂粒子から得られた発泡成形体が報告されている。この発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂の優れた剛性及び発泡成形性と、ポリエチレン系樹脂の優れた耐薬品性及び耐衝撃性とを兼ね備えている。更に、特許第4072553号公報(特許文献1)及び特許第4072554号公報(特許文献2)では、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む複合樹脂粒子が、耐衝撃性のより改善された発泡成形体を与えることが報告されている。
特許第4072553号公報 特許第4072554号公報
上記公報に記載された複合樹脂粒子によれば、耐衝撃性が改善された発泡成形体を提供できる。しかし、発泡成形体の耐衝撃性を、広い温度範囲で、より向上させ得る複合樹脂粒子の提供が望まれている。
本発明の発明者等は、発泡成形体の原料を見直した結果、中密度〜高密度ポリエチレンと、直鎖状低密度ポリエチレンとを、特定の割合で複合樹脂粒子中に含有させることで、発泡成形体の耐衝撃性を、広い温度範囲で、より向上させ得ることを意外にも見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む複合樹脂粒子であり、
前記ポリエチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ50〜20質量%及び50〜80質量%の範囲で含まれ、
前記ポリエチレン系樹脂が、925〜965kg/m3の範囲の中密度から高密度の第1ポリエチレン系樹脂と、直鎖状で、かつ前記第1ポリエチレン系樹脂より低密度の第2ポリエチレン系樹脂とから構成され、
前記第1ポリエチレン系樹脂及び第2ポリエチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ90〜30質量%及び10〜70質量%の範囲で含まれることを特徴とする複合樹脂粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記複合樹脂粒子と、物理発泡剤とを含むことを特徴とする発泡性粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡性粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子が提供される。
更にまた、上記予備発泡粒子を型内発泡成形させて得られた発泡成形体が提供される。
本発明によれば、低温から高温の範囲(例えば、−35〜65℃)で機械的特性(例えば、耐落下衝撃圧縮性及び耐落下衝撃性)の変動が抑制され、かつ耐衝撃性が向上した発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子、発泡性粒子及び予備発泡粒子を提供できる。また、それら粒子から得られた機械的特性の変動が抑制され、かつ耐衝撃性が向上した発泡成形体を提供できる。
更に、以下のいずれかの場合、本発明は、機械的特性の変動がより抑制され、かつ耐衝撃性がより向上した発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子を提供できる。
(1)第2ポリエチレン系樹脂が、第1ポリエチレン系樹脂より15kg/m3以上低い密度を有する。
(2)第1ポリエチレン系樹脂が、140mJ/mg以上の結晶化熱量を有し、第2ポリエチレン系樹脂が、120mJ/mg以下の結晶化熱量を有する。
(3)複合樹脂粒子が、5重量%未満にゲル分率を抑制した粒子である。
(4)複合樹脂粒子が、1.0〜2.0mmの平均粒子径を有する。
(5)前記第1ポリエチレン系樹脂が、2個以上のピークを連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線中に備える。
(6)複合樹脂粒子が、更にカーボンブラックを0.5〜2.5質量%の範囲で含む。
(7)複合樹脂粒子が、ポリエチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系モノマーを含浸重合させることにより得られる。
また更に、以下のいずれかの場合、本発明は、機械的特性の変動がより抑制され、かつ耐衝撃性がより向上した発泡成形体を与え得る予備発泡粒子を提供できる。
(1)ポリスチレン系樹脂が、GPC測定による600,000〜1,000,000の範囲のZ平均分子量Mzを有する。
(2)ポリスチレン系樹脂が、GPC測定による250,000〜450,000の範囲の重量平均分子量Mwを有する。
本発明に使用可能なポリエチレン系樹脂の代表的なTREF溶出温度−溶出量曲線である。 実施例7に使用した第1ポリエチレン系樹脂の分子量分布曲線である。 実施例7に使用した第2ポリエチレン系樹脂の分子量分布曲線である。 50%圧縮時発生荷重及び50%圧縮時吸収エネルギー測定用の器具の概略図である。 50%圧縮時発生荷重及び50%圧縮時吸収エネルギー測定用の器具の概略図である。
(複合樹脂粒子)
本発明の複合樹脂粒子は、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む。
ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂の複合方法は、特に限定されず、公知の方法を種々使用できる。例えば、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを混錬する方法、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを含浸重合させる方法が挙げられる。
(1)ポリエチレン系樹脂
ポリエチレン系樹脂は、925〜965kg/m3の範囲の中密度から高密度の第1ポリエチレン系樹脂と、直鎖状で、かつ第1ポリエチレン系樹脂より低密度の第2ポリエチレン系樹脂とから構成される。
(a)第1ポリエチレン系樹脂
第1ポリエチレン系樹脂は、925〜965kg/m3の範囲の密度を有している。この密度範囲は、ポリエチレン系樹脂において、一般に、中密度から高密度であるとされる。このような密度を有するポリエチレン系樹脂は、機械的特性の温度依存性が他のポリエチレン系樹脂より小さい特徴がある。具体的には、−35℃の低温下でも機械的特性が低下しにくく、耐寒性に優れ、かつ融点とビカット軟化点が他のポリエチレン系樹脂よりも高いため、65℃の高温下でも機械的特性が低下しにくく、耐熱性に優れた発泡成形体を提供できる。密度が925kg/m3より小さい場合、耐熱性が不十分になることがある。965kg/m3より大きい場合、融点が高すぎて、発泡、成形しにくくなることがある。好ましい密度の範囲は、935〜960kg/m3である。
第1ポリエチレン系樹脂は、ポリスチレン換算で、25,000〜50,000の範囲の数平均分子量Mn、700,000〜1,300,000の範囲のZ平均分子量Mz、及び20〜50の範囲のMz/Mnを有していてもよい。本発明で好適に使用可能な第1ポリエチレン系樹脂は、Mzが一般的な中密度〜高密度ポリエチレン系樹脂に対して大きい傾向がある。そのため、Mz/Mnも一般的な中密度〜高密度ポリエチレン系樹脂に対して大きい傾向がある。
Mnが25,000未満の場合、耐衝撃性が不十分となることがある。Mnが50,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mzが700,000未満の場合、耐熱性が不十分となることがある。Mzが1,300,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mz/Mnが20未満の場合、機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。Mz/Mnが50より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。好ましいMnの範囲は25,000〜48,000であり、より好ましくは28,000〜48,000である。また、好ましいMzの範囲は80,000〜120,000であり、より好ましくは100,000〜110,000である。更に、好ましいMz/Mnの範囲は25〜48であり、より好ましくは28〜48である。
第1ポリエチレン系樹脂は、ポリスチレン換算で、150,000〜250,000の範囲の重量平均分子量Mw、及び4.5〜9.0の範囲のMw/Mnを有していることが好ましい。Mwが150,000未満の場合、耐衝撃性が不十分となることがある。Mwが250,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mw/Mnが4.5未満の場合、機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。Mw/Mnが9.0より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。好ましいMwの範囲は160,000〜240,000であり、より好ましくは200,000〜240,000である。また、好ましいMw/Mnの範囲は4.5〜8.5であり、より好ましくは4.8〜7.1である。
また、この樹脂は、2個以上のピークを連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線中に備えていてもよい。2個以上のピークを有することで、機械的特性の温度依存性が抑制され、耐衝撃性が改善された発泡成形体を提供できる。更に、ポリエチレン系樹脂は、2個のピークを有することが好ましい。特に2個のピークの内、高温側のピークは85〜100℃の間に、低温側のピークは65〜80℃の間に存在することが好ましい。なお、図1に上記公報に記載のポリエチレン系樹脂の代表的なTREF溶出温度−溶出量曲線を示す。
第1ポリエチレン系樹脂は、140mJ/mg以上の結晶化熱量を有する樹脂であることが好ましい。ここで、結晶化熱量が140mJ/mg未満である場合、発泡成形体の機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。好ましい結晶化熱量の範囲は150〜200mJ/mgであり、より好ましくは160〜190mJ/mgである。
第1ポリエチレン系樹脂は、0.1〜20の範囲のメルトフローレート[MFR(g/10分)、190℃、2.16kg荷重で測定]を有する樹脂であることが好ましい。ここで、MFRが0.1g/10分未満のポリエチレン系樹脂は、発泡倍率が低下するため好ましくない。また、20g/10分を超えると溶融張力が小さくなり発泡倍率が低下することに加え、発泡成形体の強度も低下するため好ましくない。より好ましいMFRは1〜10g/10分であり、更に好ましいMFRは2〜5g/10分である。
第1ポリエチレン系樹脂には、上記範囲の密度を有する公知の樹脂をいずれも使用できる。第1ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。炭素数3〜8のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン)、ジエン(例えば、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン)等が挙げられる。炭素数3〜8のオレフィン由来の成分が、ポリエチレン系樹脂に占める割合は、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。なお、発明を阻害しない範囲で、スチレンをエチレンと共重合させてもよい。
公知の樹脂としては、例えば、日本ポリエチレン社製のノバテックHDシリーズ、プライムポリマー社製のエボリューHシリーズ、東ソー社製のニポロンハードシリーズ、TOSOH−HMSシリーズ等の中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが挙げられる。
第1ポリエチレン系樹脂の製造方法には、特定の密度を備えるポリエチレン系樹脂の製造が可能であれば如何なる方法を用いることも可能である。例えば重合触媒及び/又は重合条件を多段階で変更する多段重合法、複数の重合触媒を混合した触媒による重合法、同一又は異なる重合触媒で調製した複数のポリエチレン系樹脂をブレンドする方法等を挙げることができる。
ポリエチレン系樹脂の分子量、結晶化熱量及びMFRの調整は、後述する実施例の製造条件そのもの、あるいは条件因子のマイナー変動によって任意に作り分けることが可能である。条件因子のマイナー変動とは、例えば、単独の重合触媒成分を複数の重合触媒成分の組み合わせに替えることや重合条件を変更すること等が該当する。例えば、重合反応を行う際の重合温度、エチレン分圧、共存させる水素等の分子量調整剤の量、添加するコモノマー量等で示されるいわゆる重合条件を制御すること、によって作り分けることも可能である。例えば、分子量は、水素等の分子量調整剤の量を減らすことで大きくすることができ、水素等の分子量調整剤の量を増やすことで小さくすることができる。また、結晶化熱量は、重合温度を高くすることで大きくすることができ、重合温度を低くすることで小さくすることができる。更に、MFRは、水素等の分子量調整剤の量を増やすことで大きくすることができ、水素等の分子量調整剤の量を減らすことで小さくすることができる。
第1ポリエチレン系樹脂中、溶出温度−溶出量曲線が2つのピークを有する第1ポリエチレン系樹脂は、例えば、東ソー社から入手可能である。また、以下に示すように、特開2010−24353号公報に記載された方法により製造されたポリエチレン系樹脂も好適に使用できる。
第1ポリエチレン系樹脂の製造に用いる重合触媒としては、例えば、特開2004−346304号公報、特開2005−248013号公報、特開2006−321991号公報、特開2007−169341号公報及び2008−050278号公報に記載の重合触媒及びそれらを公知の方法により組み合わせた重合触媒が挙げられる。
第1ポリエチレン系樹脂の製造において、重合温度は−100〜120℃が好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃、更には50〜120℃の範囲であることが好ましい。重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲であることが好ましい。
エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンからなる第1ポリエチレン系樹脂を使用する場合、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)は、1〜200であることが好ましく、より好ましくは3〜100、更に好ましくは5〜50である。また、重合時に水素等を用いて分子量の調節を行うことも可能である。
更に、第1ポリエチレン系樹脂は、マクロモノマーの存在下に、エチレンを重合させることで得られた樹脂であることが好ましい。具体的には、末端にビニル基を有するエチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体からなるマクロモノマーと、炭素数2以上のオレフィンとを共重合させることにより得られるポリエチレン系樹脂である。
ここで、マクロモノマーは、2,000以上のMnと、2〜5のMw/Mnとを有していることが好ましい。炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)等が挙げられる。これらオレフィンは、単独でも、2種以上の組み合わせでもよい。なお、炭素数2以上のオレフィンは、上記エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンから選択される。
マクロモノマーのMnは、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが更に好ましい。上限は、100,000であることが好ましい。また、Mw/Mnは、2〜4であることがより好ましく、2〜3.5であることが更に好ましい。
更に、マクロモノマーの主鎖であるメチレン炭素1000個当たりのビニル末端数をX、マクロモノマーの主鎖であるメチレン炭素1000個当たりの飽和末端数をYとした場合、式Z=X/[(X+Y)×2]で表されるZが0.25〜1であることが好ましい。Zは0.5〜1であることがより好ましい。なお、ビニル末端及び飽和末端は、1H−NMR、13C−NMR又はFT−IRによりその数を測定できることは、当業者によく知られている。例えば、13C−NMRの場合、ビニル末端は114ppmと139ppmに、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm及び14.1ppmにピークを有し、このピークからその数を測定できる。
上記マクロモノマーとオレフィンとを共重合させることで、本発明の使用に好適な第1ポリエチレン系樹脂が得られる。ここで、マクロモノマー以外の炭素数2以上のオレフィンに由来する樹脂(樹脂A)の全樹脂に対する割合は、1〜99質量%が好ましく、5〜90質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。樹脂Aの割合の測定は、樹脂のGPCチャートを、マクロモノマーのGPCチャートと比較することにより行うことができる。具体的には、両チャートの比較により樹脂Aに由来するピークを決定し、そのピークの面積の全ピークの面積に対する割合が、樹脂Aの割合に相当する。
重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、第1ポリエチレン系樹脂は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して単離できる。
重合はスラリー状態、溶液状態又は気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合には粒子形状の整った第1ポリエチレン系樹脂を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられる。更には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
(b)第2ポリエチレン系樹脂
第2ポリエチレン系樹脂は、直鎖状で、かつ第1ポリエチレン系樹脂より低密度の樹脂(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂:LLDPE)である。
第1ポリエチレン系樹脂は、引張破壊ひずみが小さいもの(例えば、JIS K6922−2による測定で、500%未満)が多いため、耐衝撃性が不十分な発泡成形体が得られることがある。第2ポリエチレン系樹脂は、引張破壊ひずみが高いため、第1ポリエチレン系樹脂と併用することで、発泡成形体の耐衝撃性を改善できると発明者等は考えている。更に、単に併用するだけではその効果は限定的であり、特定の併用割合の範囲があることも発明者等は見い出している。
第2ポリエチレン系樹脂の密度は、875〜929kg/m3の範囲であることが好ましい。また、第2ポリエチレン系樹脂の密度は、第1ポリエチレン系樹脂の密度より15kg/m3以上低いことが好ましい。
第2ポリエチレン系樹脂は、ポリスチレン換算で、65,000〜90,000の範囲の数平均分子量Mn、250,000〜400,000の範囲のZ平均分子量Mz、及び2〜10の範囲のMz/Mnを有していることが好ましい。Mnが65,000未満の場合、耐衝撃性が不十分となることがある。Mnが90,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mzが250,000未満の場合、機械的強度が不十分となることがある。Mzが400,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mz/Mnが2未満の場合、耐熱性が不十分となることがある。Mz/Mnが10より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。より好ましいMnの範囲は70,000〜85,000である。また、より好ましいMzの範囲は300,000〜350,000である。更に、より好ましいMz/Mnの範囲は3〜5である。
第2ポリエチレン系樹脂は、ポリスチレン換算で、150,000〜250,000の範囲の重量平均分子量Mw、及び1.5〜8の範囲のMw/Mnを有していることが好ましい。Mwが150,000未満の場合、耐衝撃性が不十分となることがある。Mwが250,000より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。Mw/Mnが1.5未満の場合、機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。Mw/Mnが8より大きい場合、発泡、成形しにくくなることがある。好ましいMwの範囲は180,000〜220,000であり、より好ましくは180,000〜200,000である。また、好ましいMw/Mnの範囲は2〜5であり、より好ましくは2〜3である。
第2ポリエチレン系樹脂は、120mJ/mg以下の結晶化熱量を有する樹脂であることが好ましい。ここで、結晶化熱量が120mJ/mgより大きい場合、発泡成形体の機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。好ましい結晶化熱量の範囲は70〜120mJ/mgであり、より好ましくは85〜115mJ/mgである。
第1ポリエチレン系樹脂の結晶化熱量は、第2ポリエチレン系樹脂の結晶化熱量より、30mJ/mg大きいことが好ましい。結晶化熱量が小さい第2ポリエチレン系樹脂に、結晶化熱量が大きい第1ポリエチレン系樹脂を添加することによって、発泡成形体の機械的特性の温度依存性を小さくすることができる、と発明者等は考えている。
第2ポリエチレン系樹脂は、0.1〜20の範囲のメルトフローレート[MFR(g/10分)、190℃、2.16kg荷重で測定]を有する樹脂であることが好ましい。ここで、MFRが0.1g/10分未満のポリエチレン系樹脂は、発泡倍率が低下するため好ましくない。また、20g/10分を超えると溶融張力が小さくなり発泡倍率が低下することに加え、発泡成形体の強度も低下するため好ましくない。より好ましいMFRは1〜10g/10分であり、更に好ましいMFRは2〜5g/10分である。
第2ポリエチレン系樹脂のMFRは、第1ポリエチレン系樹脂との相容性を鑑み、第1ポリエチレン系樹脂のMFRと近いことが好ましいと、発明者等は考えている。
第2ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体、又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体から通常構成される。炭素数3〜8のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン(例えば、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン)、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン)、ジエン(例えば、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン)等が挙げられる。炭素数3〜8のオレフィン由来の成分が、ポリエチレン系樹脂に占める割合は、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。なお、発明を阻害しない範囲で、スチレンをエチレンと共重合させてもよい。
第2ポリエチレン系樹脂には、市販の樹脂を使用可能である。
第1ポリエチレン系樹脂と第2ポリエチレン系樹脂の含有割合は、両樹脂合計に対して、前者が90〜30質量%、後者が10〜70質量%である。前者の割合が90質量%より大きい場合、耐衝撃性が不十分になることがある。一方、30質量%より小さい場合、機械的特性の温度依存性が大きくなることがある。好ましい前者と後者の含有割合は80〜40質量%と20〜60質量%であり、より好ましい前者と後者の含有割合は80〜50質量%と20〜50質量%であり、更に好ましい前者と後者の含有割合は80〜60質量%と20〜40質量%である。
(c)その他成分
ポリエチレン系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、炭素数2〜20のα−オレフィン単独重合体及び共重合体が挙げられる。具体的には、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体、エチレン/プロピレン/ポリエン共重合体、種々のプロピレン系ブロック共重合体やプロピレン系ランダム共重合体等が挙げられる。これら他の樹脂の配合割合は、全ポリエチレン系樹脂量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
ポリエチレン系樹脂には、必要に応じて、着色剤、安定剤、充填材(補強材)、高級脂肪酸金属塩、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、天然又は合成油、ワックス、紫外線吸収剤、耐候安定剤、防曇剤、坑ブロッキング剤、スリップ剤、被覆剤、中性子遮蔽剤等の添加剤が含まれていてもよい。この内、着色剤としては、無機及び有機の着色剤(顔料又は染料)をいずれも使用できる。特に、酸化鉄、カーボンブラック等の無機着色剤が好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維等が挙げられる。
カーボンブラックは、複合樹脂粒子製造時に、基材樹脂にカーボンブラックを分散させた組成物、いわゆるマスターバッチとして添加することで複合樹脂粒子中に存在させてもよい。マスターバッチは、マスターバッチ100質量部に対して好ましくは30〜50質量部、より好ましくは35〜45質量部の割合でカーボンブラックを含む。マスターバッチに含まれる基材樹脂としては、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
カーボンブラックは、ポリエチレン系樹脂中、1〜25質量%の範囲で含まれていることが好ましい。1質量%未満であれば、ポリエチレン系樹脂が十分着色されない場合がある。25質量%より多い場合、ポリエチレン系樹脂中に混合することが困難となり易い。より好ましい含有量は、2〜15質量%の範囲である。
安定剤は、酸化劣化や熱劣化等を防止する役割を果たし、公知物をいずれも使用できる。例えば、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
充填材としては、タルク、ガラス等が挙げられ、その形状は球状、板状、繊維状等特に限定されない。
高級脂肪族金属塩としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸と、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)やアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)との塩が挙げられる。
(2)ポリスチレン系樹脂
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン単量体、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン系モノマーに由来する樹脂が挙げられる。更に、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーと、スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体からなる成分であってもよい。他のモノマーとしては、ジビニルベンゼンのような多官能性モノマーや、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。これら他のモノマーを、ポリスチレン系樹脂に対して5質量%を超えない範囲で使用してもよい。
ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂の量は、両樹脂の合計を100質量%として、それぞれ50〜20質量%及び50〜80質量%である。また、ポリスチレン系樹脂の量が80質量%を超える場合、発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下することがある。50質量%より少ない場合、発泡成形体の剛性が低下することがある。好ましい量は40〜20質量%及び60〜80質量%であり、より好ましい量は40〜30質量%及び60〜70質量%である。
(3)形状
複合樹脂粒子の形状は、円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒子径が1.0〜2.0mmであることが好ましい。形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。
平均粒子径は1.0mm未満の場合、発泡性粒子に使用する場合、物理発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となり易い。2.0mmを超える場合、予備発泡粒子に使用する場合、成形用金型への充填性が悪くなり易く、発泡成形体の薄肉化も困難となり易い。
(4)その他
複合樹脂粒子は、5重量%以下にゲル分率が抑制されていることが好ましい。抑制されていることで、この粒子に由来する発泡成形体のリサイクル性を向上できる。
(発泡性粒子)
発泡性粒子は、上記複合樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させた粒子である。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテル等が挙げられる。これら物理発泡剤は、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。物理発泡剤の含有量は、複合樹脂粒子100質量部に対して、5〜25質量部であることが好ましい。
発泡性粒子の平均粒子径は、上記複合樹脂粒子と同程度とすることができる。また形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。
(予備発泡粒子)
予備発泡粒子は、上記発泡性粒子を予備発泡させて得られた粒子である。
予備発泡粒子は、20〜200kg/m3の嵩密度を有することが好ましい。嵩密度が20kg/m3より小さい場合、発泡させたときに独立気泡率が低下して、予備発泡粒子から得られる発泡成形体の強度が低下することがある。一方、200kg/m3より大きい場合、得られる発泡成形体を軽量化できないことがある。より好ましい嵩密度は、25〜100kg/m3である。嵩密度の測定法は、実施例の欄に記載する。
予備発泡粒子を構成するポリスチレン系樹脂のGPC測定によるZ平均分子量Mzは、600,000〜1,000,000であることが好ましい。Mzが、600,000より低いと、発泡成形体の強度が低下することがあるため好ましくない。一方、1,000,000より高いと、予備発泡粒子の二次発泡性が低下し、予備発泡粒子同士の融着性が低下して発泡成形体の強度が低下することがあるので好ましくない。より好ましいZ平均分子量Mzは、700,000〜900,000である。
ポリスチレン系樹脂のGPC測定による重量平均分子量Mwは、250,000〜450,000であることが好ましい。Mwが、250,000より低いと、発泡成形体の強度が低下することがあるため好ましくない。一方、450,000より高いと、予備発泡粒子の二次発泡性が低下し、予備発泡粒子同士の融着性が低下して発泡成形体の強度が低下することがあるので好ましくない。より好ましい重量平均分子量Mwは、300,000〜400,000である。
(発泡成形体)
発泡成形体は、上記予備発泡粒子を型内発泡成形させて得られた成形体である。発泡成形体は、耐薬品性、耐衝撃性及び剛性が優れていることに加えて、温度依存性が更に改善されている。
機械的特性の温度依存性の評価試験として、例えば、ASTM D3763−92に準拠した、ダイナタップ衝撃圧縮試験がある。
まず、ダイナタップ衝撃圧縮試験において、−35℃と23℃で評価した場合の50%圧縮時発生荷重Q-35とQ23の比Q-35/Q23を1.22以下とすることができる。更に、23℃と65℃で評価した場合の50%圧縮時発生荷重Q23とQ65の比Q65/Q23を0.77以上とすることができる。
次に、ダイナタップ衝撃圧縮試験において、−35℃と23℃で評価した場合の50%圧縮時吸収エネルギーE-35とE23の比E-35/E23を1.22以下とすることができる。更に、23℃と65℃で評価した場合の50%圧縮時吸収エネルギーE23とE65の比E65/E23を0.77以上とすることができる。
上記試験から、本発明によれば、例えば、−35℃〜65℃の範囲において機械的特性の温度依存性が低い発泡成形体が提供できる。
更に、25,000〜50,000の範囲の数平均分子量Mn、700,000〜1,300,000の範囲のZ平均分子量Mz、及び20〜50の範囲のMz/Mnを有する第1ポリエチレン系樹脂を使用し、第1ポリエチレン系樹脂と第2ポリエチレン系樹脂の含有割合を、前者が90〜30質量%、後者が10〜70質量%(より好ましくは、前者が80〜50質量%、後者が20〜50質量%)とすれば、−35℃〜65℃の範囲において、より温度依存性が低い発泡成形体が提供できる。
具体的には、まず、ダイナタップ衝撃圧縮試験において、−35℃と23℃で評価した場合の50%圧縮時発生荷重Q-35とQ23の比Q-35/Q23を1.20以下とすることができる。更に、23℃と65℃で評価した場合の50%圧縮時発生荷重Q23とQ65の比Q65/Q23を0.80以上とすることができる。
次に、ダイナタップ衝撃圧縮試験において、−35℃と23℃で評価した場合の50%圧縮時吸収エネルギーE-35とE23の比E-35/E23を1.20以下とすることができる。更に、23℃と65℃で評価した場合の50%圧縮時吸収エネルギーE23とE65の比E65/E23を0.80以上とすることができる。
また、本発明によれば、25cm以上のJIS K7211による落球衝撃値を有する発泡成形体を提供できる。
発泡成形体は、20〜200kg/m3の密度を有することが好ましい。密度が20kg/m3より小さい場合、独立気泡率が多くなるため、強度が低下することがある。一方、200kg/m3より大きい場合、質量が増加することがある。より好ましい密度は、25〜100kg/m3である。密度の測定法は、実施例の欄に記載する。
本発明の発泡成形体は、種々の用途に使用できるが、バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車両用緩衝材、電子部品、ガラスを含む各種工業資材、食品の緩衝材や搬送容器等の各種用途に使用できる。特に、車両用緩衝材に好適に使用できる。
(複合樹脂粒子、発泡性粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体の製造方法)
まず、複合樹脂粒子は、ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを溶融混練し、粒子状に切断することによって形成できるが、例えば、以下のように製造することが好ましい。
すなわち、水性懸濁液中に、上記ポリエチレン系樹脂の種粒子と、スチレン系モノマーと、必要に応じて重合開始剤とを分散させる。なお、スチレン系モノマーと重合開始剤とを予め混合して用いてもよい。
種粒子は、公知の方法により得ることができる。例えば、ポリエチレン系樹脂を、必要に応じて無機核剤と添加剤と共に、押出機中で溶融混練して押出すことでストランドを得、得られたストランドを、空気中でカット、水中でカット、加熱しつつカットすることで、造粒する方法が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂の種粒子は、円筒状、略球状ないしは球状であり、平均粒子径が0.2〜1.5mmであることが好ましい。また形状は、充填性をよくするには略球状ないしは球状がより好ましい。平均粒子径は0.2mm未満の場合、発泡性粒子に使用する場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となり易いので好ましくない。1.5mmを超える場合、予備発泡粒子に使用する場合、成形用金型への充填性が悪くなるだけでなく発泡成形体の薄肉化も困難となり易い。
無機核剤としては、例えば、タルク、二酸化珪素、マイカ、クレー、ゼオライト、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機核剤の使用量は、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、2質量部以下が好ましく、0.2〜1.5質量部がより好ましい。
水性懸濁液を構成する水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
重合開始剤としては、一般にスチレン系モノマーの懸濁重合用の開始剤として用いられているものが使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等の有機化過酸化物である。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、スチレン系モノマー100質量部に対して、0.1〜0.9質量部が好ましい。0.1質量部未満ではスチレン系モノマーの重合に時間がかかり過ぎることがある。0.9質量部を超える重合開始剤の使用は、ポリスチレン系樹脂の分子量が低くなることがある。より好ましい使用量は、0.2〜0.5質量部である。
水系懸濁液には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。分散剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。具体的には、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機物が挙げられる。更に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダのような界面活性剤を使用してもよい。
次に、得られた分散液をスチレン系モノマーが実質的に重合しない温度に加熱してスチレン系モノマーを種粒子に含浸させる。種粒子内部にスチレン系モノマーを含浸させる時間は、30分〜2時間が適当である。十分に含浸させる前に重合が進行するとポリスチレン系樹脂の重合体粉末を生成してしまうからである。前記モノマーが実質的に重合しない温度とは、高い方が含浸速度を速めるには有利であるが、重合開始剤の分解温度を考慮して決定することが好ましい。
次いで、スチレン系モノマーの重合を行う。重合は、特に限定されないが、105〜140℃で、1.5〜5時間行うことが好ましい。重合は、通常、加圧可能な密閉容器中で行われる。
なお、スチレン系モノマーの含浸と重合を複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けることで、ポリスチレンの重合体粉末の発生を極力少なくできる。
上記工程により複合樹脂粒子を得ることができる。得られた複合樹脂粒子は、内部がポリスチレン系樹脂リッチであり、外殻部がポリエチレン系樹脂リッチであるため、発泡成形体の物性に好影響を与えると発明者等は考えている。
次に、発泡性粒子は、上記重合中もしくは重合終了後の複合樹脂粒子に物理発泡剤を含浸することで得ることができる。この含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に物理発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉式の容器中で、物理発泡剤を圧入することにより行われる。
更に、予備発泡粒子は、上記発泡性粒子を、公知の方法で所定の嵩密度に予備発泡させることで得ることができる。
更に、発泡成形体は、予備発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、再度加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることで得ることができる。加熱用の媒体は水蒸気が好適に使用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、断りのない限り用いた試薬等は市販品を用いた。有機化合物で処理された粘土鉱物の調製、エチレン系重合体製造用触媒の調製、エチレン系重合体の製造及び溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。また、溶媒は全て予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)は東ソーファインケム社製を用いた。
以下の実施例における各種物性の測定法を下記する。
<ポリエチレン系樹脂の密度の測定>
密度は、JIS K6922−1:1997「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」に記載されている方法で測定する。
<ポリエチレン系樹脂のMFR>
MFRは、JIS K6922−1:1997「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第1部:呼び方のシステム及び仕様表記の基礎」に記載されている方法で、190℃、2.16kg荷重で測定する。
<TREFによる溶出温度−溶出量曲線の測定>
ポリエチレン系樹脂に、耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1500ppm、イルガフォス168TM;1500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所社製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練する。混練物を、ODCBに、その濃度が0.05質量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液5ミリリットルを、ガラスビーズを充填したカラムに注入した後、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、各温度において溶液に溶解可能な試料を準備溶出させる。
この際、溶剤中の試料濃度はメチレンの非対象伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出器で連続的に検出することで得られる。連続的に検出された濃度から、溶出温度−溶出量曲線を得ることができる。TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
<ポリエチレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Mz/Mn及びMw/Mnの測定>
上記値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて内部標準法にて測定したポリスチレン(PS)換算値を意味する。
具体的には、試料10mgを溶解ろ過装置(東ソー社製 DF−8020)に付属の濾過容器(100μmポアサイズ)に封入する。試験管に濾過容器と0.05重量%BHT(ブチルヒドロキシトルエン)入りO-ジクロロベンゼン6mLを加え密栓し、東ソー社製 DF−8020を用いて、160℃で5時間溶解させたものを測定試料とする。次の測定条件でクロマトグラフを用いて測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から、Mz、Mw及びMnを求め、得られた各平均分子量から、Mz/Mn及びMw/Mnを算出する。
使用装置:東ソー社製 HLC−8121GPC/HT
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn HHR(S)HT 1本(7.5mm I.D.×7.5cm)×1本
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−H(S)HT(7.8mm I.D.×30cm)×2本
移動相:O-ジクロロベンゼン
サンプル流量:1.0mL/min
リファレンス流量:0.5mL/min
検出器:RI検出器
試料濃度:0.17wt%
注入量:300μL
測定時間:40min
サンプリングピッチ:300msec
(装置各部設定温度)
溶媒ストッカ:50℃、システムオーブン:40℃、プレオーブン:145℃、カラムオーブン(カラム温度):145℃、サンプルテーブル:145℃、注入バルブ:145℃、トランスライン:145℃、廃液ライン:145℃、検出器:145℃
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320のものを用いる。
上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、3,450)及びB(3,120,000、442,000、54,000、7,590、1,320)にグループ分けした後、Aを各々3〜10mg秤量後O-ジクロロベンゼン50mLに溶解し、Bも各々3〜10mg秤量後O-ジクロロベンゼン50mLに溶解する。標準ポリスチレン検量線は、作成したA及びB溶解液を300μL注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)を作成することにより得られ、その検量線を用いてMz、Mw及びMnを求め、得られた各平均分子量から、Mz/Mn及びMw/Mnを算出する。
<ポリエチレン系樹脂の融点の測定>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製の測定容器の底に隙間のないよう試料を約6mg充填して、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持し、−40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いる。本発明において、融点とは、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値である。
<ポリエチレン系樹脂の結晶化熱量>
JIS K7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製の測定容器の底に隙間のないよう試料を約6mg充填して、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持し、−40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質はアルミナを用いる。本発明において結晶化熱量とは、Cooling過程にみられるDSC曲線の発熱ピークの面積から求められる値とする。この熱量は高温側のベースラインから発熱ピークが離れる点と発熱ピークが低温側のベースラインへ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出される。
<複合樹脂粒子のゲル分率>
ゲル分率(wt%)の測定は、以下のように行う。
200mLナスフラスコに複合樹脂粒子1.0gを精秤し、トルエン100mLと沸騰石0.03gを加え、冷却管を装着し、130℃に保ったオイルバスに浸けて24時間還流後、ナスフラスコ内の溶解液が冷めないうちに80メッシュ(線径φ0.12mm)金網にて濾過する。樹脂不溶物がある金網を真空オーブンにて130℃で1時間乾燥させた後、ゲージ圧で−0.06MPaで2時間乾燥させてトルエンを除去し、室温まで冷却後、金網上の不溶樹脂重量を精秤する。ゲル分率(wt%)は、以下の算出式により求める。
ゲル分率(wt%)=金網上の不溶樹脂重量(g)/試料重量(g)×100
<複合樹脂粒子の平均粒子径>
平均粒子径とはD50で表現される値である。
具体的には、ロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩(JIS Z8801)で試料約25gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
<予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数>
予備発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(kg/m3)=W÷500×1000
嵩密度の逆数の1000倍が嵩倍数である。
<ポリスチレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)の測定>
ポリスチレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン換算平均分子量を意味する。以下では、発泡成形体におけるポリスチレン系樹脂の各種平均分子量の測定法を説明しているが、発泡成形体は、複合樹脂粒子の集合体であり、複合樹脂粒子から発泡成形体を製造するまでの工程により各種平均分子量は変化しないため、複合樹脂粒子、発泡性粒子及び予備発泡粒子の各種平均分子量は、発泡成形体のものと同じである。
まず、スライサー(富士島工機社製FK−4N)にて発泡成形体を厚さ0.3mm、長さ100mm、幅80mmにスライスし、これを分子量測定用試料として扱う。具体的には、試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLにて24時間静置して完全溶解させ、得られた溶液をGL社製非水系0.45μmのクロマトディスク(13N)にて濾過した上で次の測定条件にてクロマトグラフを用いて測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。また、その時点で完全溶解していない場合は、更に24時間静置毎(合計72時間まで)に完全溶解しているか否かを確認し、72時間後に完全溶解できない場合は、試料に架橋成分が含まれていると判断し、溶解した成分の分子量を測定する。
(測定条件)
使用装置:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSECシステム(RI検出器内蔵)
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ−H(4.6mmI.D.×2cm)×1本
カラム:東ソー社製 TSKgel SuperHZM−H(4.6mmI.D.×15cm)×2本
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
移動相:THF
移動相流量:サンプル側ポンプ=0.175mL/min
リファレンス側ポンプ=0.175mL/min
検出器:RI検出器
試料濃度:0.3g/L
注入量:50μL
測定時間:0−25min
ランタイム:25min
サンプリングピッチ:200msec
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料は、東ソー社製、商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、5,480,000、3,840,000、355,000、102,000、37,900、9,100、2,630、500のものと、昭和電工社製、商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1,030,000のものを用いる。
上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(1,030,000)、グループB(3,840,000、102,000、9,100、500)及びグループC(5,480,000、355,000、37,900、2,630)にグループ分けした後、グループAを5mg秤量後THF20mLに溶解し、グループBも各々5〜10mg秤量後THF50mLに溶解し、グループCも各々1mg〜5mg秤量後THF40mLに溶解した。標準ポリスチレン検量線は、作成したA、B、及びC溶液50μLずつを注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成することにより得られ、その検量線を用いて平均分子量を算出した。
<発泡成形体の密度および倍数>
発泡成形体の密度は、JIS A9511:1995「発泡プラスチック保温板」記載の方法で測定する。
密度の逆数の1000倍が倍数である。
<発泡成形体の各試験温度での50%圧縮時発生荷重、及び50%圧縮時吸収エネルギー>
上記値は、ASTM D3763−92(Standard Test Method for High Speed Puncture Properties of Plastics Using Load and Displacement Sensors)に準拠した、ダイナタップ衝撃圧縮試験で測定する。測定においては、下記の条件に設定する。
試験装置: General Research社製 ダイナタップ衝撃試験装置 GRC 8250を使用し、タップの先端とクランプを下記に変更する。
タップ(3500lbs(15568N))の先端1は、φ1/2インチ半球形インサートから圧縮試験用平板(上側)2(ステンレス製、縦45mm×横45mm×高さ15mm、重量225g)にする。図4参照。
クランプの代わりに圧縮試験用平板(下側)3(ステンレス製)を取り付ける。平板の取り付け位置は、クロスヘッドの下限位置において上側と下側の圧縮試験用平板の間隔が15mmとなるようにする。図5参照。図5中、4は支持具、5は試験片、6はタップを意味する。
測定方法:試験片は全面表皮なしの縦35mm×横35mm×高さ35mmとし、試験前に−35℃±2℃、23℃±2℃、65℃±2℃の環境で16時間以上保管して品温を安定させる。GRC 8250付属の恒温槽を各試験温度−35℃±2℃、23℃±2℃、65℃±2℃に温調し、試験片を圧縮試験用平板(下側)に置き、その上に先端を圧縮試験用平板(上側)に変更したタップを試験速度3.01m/sec、試験荷重3.19kg、落錘距離46cmの条件で落下させて試験を行う。
解析ソフトImpulse Data Acquisitionを使用して測定チャート上のカーソルを変位17.5mmに手動で合わせ、チャートの右上、左上に表示される荷重及び吸収エネルギーの値を読み取って、50%圧縮時発生荷重及び50%圧縮時吸収エネルギーの値とする。試験数5個の平均を算出する。
得られた50%圧縮時発生荷重Q-35とQ23の比Q-35/Q23及びQ65とQ23の比Q65/Q23、また50%圧縮時吸収エネルギーE-35とE23の比E-35/E23及びE65とE23の比E65/E23を次の基準で評価する。
-35/Q23及びE-35/E23
○(良) :比が1.20未満
△(可) :比が1.20以上1.22未満の範囲
×(不可):比が1.22以上
65/Q23及びE65/E23
○(良) :比が0.80以上
△(可) :比が0.77以上0.80未満の範囲
×(不可):比が0.77未満
<発泡成形体の落球衝撃値>
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に記載の方法に準拠して落球衝撃強度を測定する。
得られた発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から40mm×215mm×20mm(厚さ)の試験片(6面とも表皮なし)を切り出す。
次いで、支点間の間隔が150mmになるように試験片の両端をクランプで固定し、重さ321gの剛球を所定の高さから試験片の中央部に落下させて、試験片の破壊の有無を観察する。
試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で剛球の落下高さ(試験高さ)を変えて試験して、落球衝撃値(cm)、すなわち50%破壊高さを次の計算式により算出する。
H50=Hi+d[Σ(i・ni)/N±0.5]
式中の記号は次のことを意味する。
H50 :50%破壊高さ(cm)
Hi :高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d :試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i :Hiのときを0とし,1つずつ増減する高さ水準(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni :各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
N :破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負の数、破壊しなかったデータを使用するときは正の数を採用
得られた落球衝撃値を次の基準で評価する。落球衝撃値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいことを示す。
◎(優) :落球衝撃値が40cm以上
○(良) :落球衝撃値が30cm以上40cm未満の範囲
△(可) :落球衝撃値が25cm以上30cm未満の範囲
×(不可):落球衝撃値が25cm未満
<発泡成形体の圧縮強度>
JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載の方法により測定する。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)、万能試験機データ処理UTPS−237(ソフトブレーン社製)を用いて、試験体サイズは50×50×厚み25mmで圧縮速度を10.0mm/min(1分あたりの移動速度ができるだけ試験片厚さの50%に近い速度)とする。厚みの10%圧縮時の圧縮応力(MPa)を測定する。試験片の数は3個とし、JIS K7100:1999「プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定する。
圧縮応力は次式により算出する。
σ10 = F10/A0
σ10 : 圧縮応力(MPa)
10 : 10%変形時の荷重(N)
0 : 試験片の初めの断面積(mm2
<発泡成形体の曲げ強度、及び曲げ破断点変位量>
曲げ強度、及び曲げ破断点変位量はJIS K7221−2:1999「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の求め方」記載の方法により測定する。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)、万能試験機データ処理ソフトUTPS−237(ソフトブレーン社製)を用いて、試験片サイズは幅75×長さ300×厚み25mm(加圧面側のみにスキン面あり)で、試験速度を10mm/min、加圧くさび10R、支持台10Rとして支点間距離200mmで、試験片のスキンを持たない面が伸びるように加圧し測定する。試験片の数は5個とし、JIS K7100:1999「プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定する。
曲げ強さ(MPa)は次式により算出する。
R =(1.5FR×L/bd2)×103
R :曲げ強さ(MPa)
R:最大荷重(kN)
L :支点間距離(mm)
b :試験片の幅(mm)
d :試験片の厚さ(mm)
この試験において、破断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%(たわみ量:30mm)を超えた時、直前のサンプリング点を曲げ破断点変位量(mm)として測定し、試験数5の平均を求める。
得られた曲げ破断点変位量を次の基準で評価する。曲げ破断点変位量が大きいほど発泡成形体の柔軟性が大きいことを示す。
◎(優) :曲げ破断点変位量が40mm以上
○(良) :曲げ破断点変位量が30mm以上40mm未満の範囲
△(可) :曲げ破断点変位量が20mm以上30mm未満の範囲
×(不可):曲げ破断点変位量が20mm未満
<リサイクル性の評価>
リサイクル性の評価は、得られた発泡成形体を粉砕機で粉砕した後、押出機(圧縮混錬単軸押出機:CER40Y 3.7MB−SX、星プラスチック社製、目皿:φ2mm×1穴)に投入して押出した場合、1時間あたりにストランドが切断される回数を測定し、5回以上/1時間を×、5回未満/1時間を○とする。
実施例1
第1ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン:日本ポリエチレン社製、品名ノバテックHD、品番HY540)100質量部、第2ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE:日本ポリエチレン社製、品名ハーモレックス、品番NF444A)233質量部及びカーボンブラックマスターバッチとして(ダウケミカルジャパン社製、製品名28E−40)36.7質量部をタンブラーミキサーに投入し、10分間混合した。
次いで、この樹脂混合物を単軸押出機(型式:CER40Y 3.7MB−SX、星プラスチック社製、口径40mmφ、ダイスプレート(口径1.5mm))に供給して温度230〜250℃で溶融混練し、ストランドカット方式によりファンカッター(星プラスチック社製、型式:FCW−110B/SE1−N)にて円筒状0.40〜0.60mg/個(平均0.5mg/個)に切断し、ポリエチレン系樹脂よりなる種粒子を得た。
次に、攪拌機付の5リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム30g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.15gを純水1.9kgに分散させて分散用媒体を得た。
分散用媒体に30℃で上記種粒子600gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
更に、この懸濁液に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.44g溶解させたスチレン単量体200gを30分かけて滴下した。滴下後、60分間保持することで、高密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体を含浸させた。含浸後、130℃に昇温し、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
次に、120℃に下げた懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.65gを純水0.1kgに溶解した水溶液を投入した後、ジクミルパーオキサイドを5.0g溶解させたスチレン単量体1200gを5時間かけて滴下した。スチレン単量体合計量は、種粒子100質量部に対して、233質量部とした。滴下後、気泡調整剤としてエチレン・ビスステアリン酸アマイド6.0gを投入し、120℃で1時間保持することで、高密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体を含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で3時間保持して重合(第2重合)させた。この重合の結果、複合樹脂粒子を得ることができた。
次いで、30℃以下まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。複合樹脂粒子2kgと水2リットルとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.50gを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。更に、発泡剤としてブタン(n−ブタン:イソブタン=7:3(質量比))520ミリリットル(300g)をオートクレーブに入れた。この後、70℃に昇温し、3時間攪拌を続けることで発泡性粒子を得ることができた。
その後、30℃以下まで冷却して、発泡性粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
次いで、得られた発泡性粒子を嵩密度50kg/m3に予備発泡させることで、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさの成形用金型に入れた。
その後、0.15MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、次いで、発泡成形体の面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、密度50kg/m3の発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例2
嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例3
第1ポリエチレン系樹脂をプライムポリマー社製エボリューH SP3510に変更し、第2ポリエチレン系樹脂及びカーボンブラックマスターバッチの添加量を100質量部及び22質量部に変更すること、成形時の調圧を0.11MPaに変更すること以外は実施例2と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例4
種粒子とスチレン単量体合計量の質量比を100:400(種粒子量は440g、第1重合と第2重合のスチレン単量体量は145g及び1415g)に変更し、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド量をそれぞれ0.32g及び5.62gに変更し、第2重合のスチレン単量体を5時間かけて滴下したこと、嵩密度及び密度を25.0kg/m3に変更すること以外は実施例3と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例1
第1ポリエチレン系樹脂を使用せず、カーボンブラックマスターバッチの添加量を11質量部に変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例2
第2ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製、品番カーネルKF270に変更し、嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は比較例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例3
第1ポリエチレン系樹脂を使用しないこと、カーボンブラックマスターバッチの添加量を11質量部に変更すること以外は実施例4と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例5
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチル−オクタデシルアミン330g(1.1mol)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを懸濁させた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10-3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。
[重合触媒(p)の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド8.45g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)の混合液を添加し、60℃で3時間攪拌した。この後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドに対して15mol%のジフェニル(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド2.36g(3.53mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、更にトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[重合触媒(q)の調製]
前記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、プロパン−1,3−ジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.63g(20.0mmol)とトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)の混合液を添加し、60℃で3時間攪拌した後、プロパン−1,3−ジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドに対して5mol%のジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.58g(1.05mmol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、更にトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.15M)を添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
内容積540リットルの重合器に、ヘキサン300リットル及び1−ブテン1.6リットルを導入し、オートクレーブの内温を80℃に昇温した。このオートクレーブに前記重合触媒(p)74ミリリットル及び前記重合触媒(q)125ミリリットルを添加し、エチレン/水素混合ガス(水素:1500ppm含)を分圧が0.9MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.9MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を80℃に制御した。重合開始90分後に重合器の内圧を脱圧した後、内容物をろ過し、乾燥して54kgの第1ポリエチレン系樹脂の粉末を得た。得られた粉末を200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練、ペレタイズすることで第1ポリエチレン系樹脂のペレットを得た。
[複合樹脂粒子の製造]
上記で得られた第1ポリエチレン系樹脂のペレット100質量部、第2ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE:日本ポリエチレン社製、品名ハーモレックス、品番NF444A)11質量部及びカーボンブラックマスターバッチ0質量部に変更し、種粒子とスチレン単量体合計量の質量比を100:150(種粒子量は760g、第1重合と第2重合のスチレン単量体量は250g及び990g)に変更し、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド量をそれぞれ0.55g及び4.46gに変更し、第2重合のスチレン単量体を4時間30分かけて滴下したこと、成形時の調圧を0.10MPaに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例6
嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は実施例5と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例7
第1ポリエチレン系樹脂を東ソー社製 品名:TOSOH−HMS グレード名:10S65Bに変更し、第2ポリエチレン系樹脂の添加量を43質量部に変更したこと以外は実施例5と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例8
嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は実施例7と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例9
第1ポリエチレン系樹脂を東ソー社製 品名:TOSOH−HMS グレード名:09S53Bに変更し、第2ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製、品名カーネル、品番KF270に変更し、その添加量を67質量部に変更したこと以外は実施例8と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例4
第1ポリエチレン系樹脂を使用しないこと以外は実施例5と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例5
嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は比較例4と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例10
第1ポリエチレン系樹脂を東ソー社製 品名:TOSOH−HMS グレード名:10S65Bに変更し、第2ポリエチレン系樹脂及びカーボンブラックマスターバッチの添加量を25質量部及び13.8質量部に変更すること、成形時の調圧を0.11MPaに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例11
嵩密度及び密度を33.3kg/m3に変更すること以外は実施例10と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例12
第1ポリエチレン系樹脂を東ソー社製 品名:TOSOH−HMS グレード名:CK57に変更し、第2ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製、品名カーネル、品番KF270に変更し、第2ポリエチレン系樹脂及びカーボンブラックマスターバッチの添加量を150質量部及び22質量部に変更すること、成形時の調圧を0.15MPaに変更すること以外は実施例11と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例13
第2ポリエチレン系樹脂を日本ポリエチレン社製、品名ハーモレックス、品番NF444Aに変更し、第2ポリエチレン系樹脂及びカーボンブラックマスターバッチの添加量を233質量部及び36.7質量部に変更すること、嵩密度及び密度を25.0kg/m3に変更すること以外は実施例12と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
表1〜9中、HDPE、LLDPE、PS及びMBは、それぞれ高密度ポリエチレン(第1ポリエチレン系樹脂)、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(第2ポリエチレン系樹脂)、ポリスチレン及びマスターバッチを意味する。
Figure 2015172155
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表5〜7から以下のことが分かる。
実施例から、925〜965kg/m3の範囲の中密度から高密度の第1ポリエチレン系樹脂と、直鎖状で、かつ前記第1ポリエチレン系樹脂より低密度の第2ポリエチレン系樹脂とを含む複合樹脂粒子は、小さい機械的特性の温度依存性、高い落球衝撃値、圧縮強度、曲げ強度及び曲げ破断点変位を有する発泡成形体が得られることが分かる。
1 タップの先端、2 圧縮試験用平板(上側)、3 圧縮試験用平板(下側)、4 支持具、5 試験片、6 タップ

Claims (13)

  1. ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む複合樹脂粒子であり、
    前記ポリエチレン系樹脂及びポリスチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ50〜20質量%及び50〜80質量%の範囲で含まれ、
    前記ポリエチレン系樹脂が、925〜965kg/m3の範囲の中密度から高密度の第1ポリエチレン系樹脂と、直鎖状で、かつ前記第1ポリエチレン系樹脂より低密度の第2ポリエチレン系樹脂とから構成され、
    前記第1ポリエチレン系樹脂及び第2ポリエチレン系樹脂が、これら樹脂の合計に対して、それぞれ90〜30質量%及び10〜70質量%の範囲で含まれることを特徴とする複合樹脂粒子。
  2. 前記第2ポリエチレン系樹脂が、前記第1ポリエチレン系樹脂より15kg/m3以上低い密度を有する請求項1に記載の複合樹脂粒子。
  3. 前記第1ポリエチレン系樹脂が、140mJ/mg以上の結晶化熱量を有し、前記第2ポリエチレン系樹脂が、120mJ/mg以下の結晶化熱量を有する請求項1又は2に記載の複合樹脂粒子。
  4. 前記複合樹脂粒子が、5重量%未満にゲル分率を抑制した粒子である請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子。
  5. 前記複合樹脂粒子が、1.0〜2.0mmの平均粒子径を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子。
  6. 前記第1ポリエチレン系樹脂が、2個以上のピークを連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線中に備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子。
  7. 前記複合樹脂粒子が、更にカーボンブラックを0.5〜2.5質量%の範囲で含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子。
  8. 前記複合樹脂粒子が、ポリエチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系モノマーを含浸重合させることにより得られる請求項1〜7のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子。
  9. 請求項1〜8いずれか1つに記載の複合樹脂粒子と、物理発泡剤とを含むことを特徴とする発泡性粒子。
  10. 請求項9に記載の発泡性粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子。
  11. ポリスチレン系樹脂が、GPC測定による600,000〜1,000,000の範囲のZ平均分子量Mzを有する請求項10に記載の予備発泡粒子。
  12. ポリスチレン系樹脂が、GPC測定による250,000〜450,000の範囲の重量平均分子量Mwを有する請求項11に記載の予備発泡粒子。
  13. 請求項10〜12のいずれか1つに記載の予備発泡粒子を型内発泡成形させて得られた発泡成形体。
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