JP2015165561A - 半導体デバイス用基板洗浄液及び半導体デバイス用基板の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)一般式(1)で示される化合物、(B)アゾール系化合物、(C)pH調整剤及び(D)水の4成分を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液であって、該洗浄液中の(B)の濃度が0.001〜2質量%である、半導体デバイス用基板洗浄液。
【選択図】なし
Description
そのため、従来、Cu配線を有する半導体デバイス用基板のCMPにおいて、研磨剤にはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールやそれらの誘導体等の防食剤が添加されており、この防食剤がCu酸化膜に強く配位して保護膜を形成することにより、CMPにおけるCu配線の腐食を抑制している(例えば特許文献1)。
CMP後の洗浄においては、酸性洗浄液とアルカリ性洗浄液が用いられている。酸性水溶液中では、コロイダルシリカが正に帯電し、基板表面は負に帯電し、電気的な引力が働き、コロイダルシリカの除去は困難となる。これに対し、アルカリ性水溶液中ではOH−が豊富に存在するため、コロイダルシリカと基板表面は共に負に帯電し、電気的な斥力が働き、コロイダルシリカの除去が行いやすくなる。しかし、一方で、Cu表面が酸化されるという欠点も存在する。
の群から選ばれる洗浄剤に、腐食阻止化合物として、イミダゾール、メルカプトメチルイミダゾールなどを含むpHが約10〜13の半導体加工物洗浄用組成物が開示されている。また、特許文献3には、中性ないし低いpH範囲内(約2〜6)の半導体ワークピースを洗浄する組成物が開示されており、クエン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、アスパラギン酸、安息香酸、クエン酸、システイン、グリシン、グルコン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、マレイン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸およびそれらの混合物からなる群の中から選ばれる洗浄剤、およびアスコルビン酸、ベンゾトリアゾール、カフェー酸、ケイ皮酸、システイン、グルコース、イミダゾール、メルカプトチアゾリン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトメチルイミダゾール、タンニン酸、チオグリセロール、チオサリチル酸、トリアゾール、バニリン、バニリン酸およびそれらの混合物からなる群の中からから選ばれる腐食防止化合物を含む組成物が記載されている。
かかる状況下、本発明の目的は、半導体デバイス用基板、特に表面に金属配線やバリアメタルを有する半導体デバイス用基板におけるCMP工程後の洗浄工程に用いられ、金属配線やバリアメタルに対する十分な防食性を有し、残渣の発生及び基板表面への残渣の付着を抑制することができる洗浄液及び洗浄方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は以下の発明に係るものである。
[1] 以下の成分(A)〜(D)を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液であって、該洗浄液中の(B)の濃度が0.001〜2質量%である、半導体デバイス用基板洗浄液。
(B)アゾール系化合物
(C)pH調整剤
(D)水
[2] 前記成分(A) 一般式(1)で示される化合物がヒスチジン及びその誘導体またはその塩である、[1]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液
[3] 前記成分(B)アゾール系化合物が、イミダゾール、N − メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール及びピロールからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[4] 前記成分(C)pH調整剤が、アルカリ金属及び/若しくはアルカリ土類金属を含む無機アルカリ化合物又は下記式(2)で示される有機第4級アンモニウム水酸化物を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
(上記式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
[5] 更に成分(E)キレート剤を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[6] 更に成分(F)界面活性剤を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[7] 前記成分(E)キレート剤が、ジアミノプロパン、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ピコリン酸、グリシン及びイミノジ酢酸からなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする[5]又は[6]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[8] 前記成分(F)界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であることを特徴とする[6]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[9] 前記アニオン界面活性剤が、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする[8]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[10] 更に成分(G)還元剤を含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[11] 前記成分(G)還元剤が、アスコルビン酸アスコルビン酸若しくはその塩及び/又は没食子酸若しくはその塩であることを特徴とする[10]に記載の半導体デバイス用基板洗浄剤。
[12] [1]〜[11]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液を用いて、半導体デバイス用基板を洗浄することを特徴とする半導体デバイス用基板の洗浄方法。[13] 半導体デバイス用基板が、基板表面にCu配線を有し、かつ、化学的機械的研磨を行った後の基板であることを特徴とする請求項12に記載の半導体デバイス用基板の洗浄方法。
本発明の半導体デバイス用基板洗浄液(以下、「本発明の洗浄液」と称す場合がある。)は、半導体デバイス用基板の洗浄、好ましくは、半導体デバイス製造における化学的機械的研磨(CMP)工程の後に行われる、半導体デバイス用基板の洗浄工程に用いられる洗浄液であって、以下の成分(A)〜(D)を含有してなり、かつpHが8以上の洗浄液であることを特徴とする。
(B)アゾール系化合物
(C)pH調整剤
(D)水
前述のように、アルカリ性水溶液中では、OH−が豊富に存在するため、コロイダルシ
リカ等のパーティクル表面が負に帯電し、洗浄対象となる基板表面も同様に負に帯電する。液中のゼータ電位が同符号に制御されることにより、電気的な反発力が発生する。その結果、基板表面からの前記パーティクルの除去を容易にすることができ、また、一度除去したパーティクルが基板表面に再付着することを防ぐこともできる。
通常、アルカリ性溶液中では、半導体デバイス用基板表面に配線等として存在するCu(以下、「Cu配線」と呼ぶことがある。)は、その表面が酸化され酸化銅となる。酸化銅は洗浄液中のキレート作用を持つ成分により溶解され、腐食の原因となるが、本発明においては、洗浄液中の成分(B)の防食作用によって、Cu配線の溶解を防ぐことができる。
以下、本発明の洗浄液に含まれる各成分についてその作用と共に詳細に説明する。
本発明の洗浄液に含まれる成分(A)は、下記一般式(1)で示される化合物は、基板表面の金属配線に含まれる、タングステンやコバルトなどの不純物金属や、CMP工程で使用されるバリアスラリー中に存在する防食剤と銅との不溶性金属錯体をキレート作用により溶解、除去する作用を有するものである。
式(1)において、R1、R3は好ましくは、カルボキシル基である。R2は好ましくは、水素原子である。
成分(A) の式(1)で示される化合物の中でも、具体的に好ましくは、ヒスチジン及び/若しくはその誘導体、又はそれらの塩である。
本発明の洗浄液に含まれる成分(B)は、アゾール系化合物であるが、金属の溶解を防ぐ作用を有するものである。特にバリアメタルがコバルトの場合、より効果的に作用する。
アゾール系化合物の中でも、具体的に、好ましくは、イミダゾール、N − メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール及びピロールからなる群より選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、イミダゾール、トリアゾール、チアゾールであり、特に好ましくはイミダゾールである。
本発明の洗浄液において含まれる成分(C)pH調整剤は、目的とするpHに調整できる成分であれば、特に限定されず、酸化合物又はアルカリ化合物を使用することができる。酸化合物としては硫酸や硝酸などの無機酸及びその塩、又は、酢酸、乳酸などの有機酸及びその塩が好適な例として挙げられる。
本発明の洗浄剤において、使用される成分(C)pH調整剤として、好ましくは、アルカリ金属及び/若しくはアルカリ土類金属を含む無機アルカリ化合物又は下記式(2)で
示される有機第4級アンモニウム水酸化物である。
(上記式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、Rが、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基、特に直鎖の炭素数1〜4のアルキル基及び/又は直鎖の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であるものが好ましい。Rのアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられるが、上記一般式(1)中の4つのR1が全てメチル基である場合は除く。ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4の低級ヒドロキシアルキル基が挙げられる。
これらの有機第4級アンモニウム水酸化物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
本発明の洗浄液において使用される成分(E)水は、主に溶媒としての役割を果たし、不純物を極力低減させた脱イオン水や超純水を用いることが好ましい。
本発明の洗浄剤において、上述の成分(A)〜(D)に加えて、好ましくは、更に成分(E)として成分(A)以外のキレート剤を含んでいても良い。ただし、本発明のキレート剤(成分(E))は、上述の式(1)で示される化合物は除く。
キレート剤は基板表面の金属配線に含まれる、タングステンやコバルトなどの不純物金属や、CMP工程で使用されるバリアスラリー中に存在する防食剤と銅との不溶性金属錯体をキレート作用により溶解、除去する作用を有するものである。
成分(E)として、特にシュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ピコリン酸、エチレンジアミン、アミノエタノール、エチレンジアミン四酢酸、アンモニア、グリシン、アスパラギン酸、イミノジ酢酸、アラニン及びβ−アラニンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。また、これらの塩も好適に用いることもできる。
これらのうち、キレート効果の強度、品質の安定性や入手のしやすさにおいて、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、ピコリン酸、グリシン及びイミノジ酢酸からなる群から選ばれた少なくとも1種を好適に用いることができる。
本発明の洗浄剤において、上述の成分(A)〜(D)に加えて、更に成分(F)として界面活性剤を含んでいてもよい。層間絶縁膜表面は疎水性であるため、水をベース組成とする洗浄液では洗浄が困難である。成分(F)の界面活性剤は、疎水性基板表面の親水性を向上させる作用を有するものである。界面活性剤を配合して基板表面との親和性を向上させることで、基板上に存在するパーティクルなどとの間にも洗浄液の作用を及ぼすことができ、残渣の除去に貢献することができる。界面活性剤を含まない洗浄液では、洗浄液と疎水性基板表面との親和性が低いために、洗浄効果が低くなる。
本発明の洗浄液において好適に用いることができる界面活性剤として、アニオン性界面活性剤がある。アニオン性界面活性剤の例として、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩が挙げられ、特に好ましいスルホン酸型アニオン性界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸(“DBS”と略記することがある)、ドデカンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。この中でも、品質の安定性や入手のしやすさから、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩が好適に用いられる。
上記式(3)において、R5は直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、その炭素数は8〜15、好ましくは10〜13である。また、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基であり、mは3〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4.5〜10である。また、nは1〜6、好ましくは1〜3である。
これらのアニオン性界面活性剤等の界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
本発明の洗浄剤において、上述の成分(A)〜(D)に加えて、更に成分(G)として還元剤を含むことが好ましい。還元剤とは、洗浄液の酸化還元電位を下げる作用を有するものである。
成分(G)還元剤の中でも好ましくは、アスコルビン酸若しくはその塩及び/又は没食子酸若しくはその塩が挙げられる。
本発明の洗浄液には、その性能を損なわない範囲において、上記成分(A)〜(G)以外の成分を任意の割合で含有していてもよい。
その他の成分としては、次のようなものが挙げられる。
成分(B)の効果を保管するパラトルエンスルホン酸及びその塩やナフタレンスルホン酸及びその塩;ベンゾトリアゾール、3−アミノトリアゾール、N(R3)3(R3は互
いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基)、ウレア、チオウレア等の含窒素有機化合物;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー;R4OH(R4は炭素数1〜4のアルキル基)等のアルキルアルコール系化合物;等の防食剤:
水素、アルゴン、窒素、二酸化炭素、アンモニア等の溶存ガス:
フッ酸、フッ化アンモニウム、BHF(バッファードフッ酸)等のドライエッチング後に強固に付着したポリマー等の除去効果が期待できるエッチング促進剤:
過酸化水素、オゾン、酸素等の酸化剤:
また、溶媒として、エタノールなど水以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の洗浄液の製造方法は、特に限定されず従来公知の方法によればよく、例えば、洗浄液の構成成分(成分(A)〜(D)、必要に応じて用いられるその他の成分)を混合することで製造することができる。通常、溶媒である(D)水に、成分(A)〜(C)、必要に応じて用いられるその他の成分を添加することにより製造される。
本発明の洗浄液は、洗浄に適した濃度になるように、各成分の濃度を調整して製造することもできるが、輸送、保管時のコストを抑制する観点から、それぞれの成分を高濃度で含有する洗浄液(以下、「洗浄原液」と称す。)を製造した後に水で希釈して使用されることも多い。
成分(C)が、0.001〜0.5質量%である。
また、成分(A)〜(D)に加えて成分(F)を含む場合、洗浄原液の好適な濃度範囲としては、0.001〜0.1質量%である。
半導体デバイス用基板の洗浄を行う際における洗浄液の各成分の濃度は、洗浄対象となる半導体デバイス用基板に応じて適宜決定される。
なお、洗浄に供する洗浄液は、洗浄対象となる半導体デバイス用基板に対して各成分の濃度が適切なものとなるように洗浄原液を希釈して製造してもよいし、その濃度になるように直接各成分を調整して製造してもよい。
次いで、本発明の半導体デバイス用基板の洗浄方法(以下、「本発明の洗浄方法」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の洗浄方法は、上述の本発明の洗浄液を半導体デバイス用基板に直接接触させる方法で行なわれる。
この中でも、本発明の洗浄液は、Cu配線、バリアメタルに腐食を引き起こすことなく効果的な洗浄を行えることができるため配線などとして表面に金属又は金属化合物を有する半導体デバイス用基板に対して特に好適であり、特に表面にCu配線を有する半導体デバイス用基板に対して好適である。
CMP工程では、研磨剤を用いて基板をパッドに擦り付けて研磨が行われる。
研磨剤には、コロイダルシリカ(SiO2)、フュームドシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、セリア(CeO2)などの研磨粒子が含まれる。このような研磨粒子は、半導体デバイス用基板の微粒子汚染の主因となるが、本発明の洗浄液は、基板に付着した微粒子を除去して洗浄液中に分散させると共に再付着を防止する作用を有しているため、微粒子汚染の除去に対して高い効果を示す。
防食剤としては、防食効果の高いアゾール系防食剤が好ましく用いられる。より具体的には、へテロ原子が窒素原子のみの複素環を含むものとして、ジアゾール系やトリアゾール系、テトラゾール系が挙げられ、窒素原子と酸素原子の複素環を含むものとして、オキサゾール系やイソオキサゾール系、オキサジアゾール系が挙げられ、窒素原子と硫黄原子の複素環を含むものとして、チアゾール系やイソチアゾール系、チアジアゾール系が挙げ
られる。その中でも特に、防食効果に優れるベンゾトリアゾール(BTA)系の防食剤が好ましく用いられている。
即ち、研磨剤中にこれらの防食剤が存在すると、Cu膜表面の腐食を抑える反面、研磨時に溶出したCuイオンと反応し、多量の不溶性析出物を生じる。本発明の洗浄液は、このような不溶性析出物を効率的に溶解除去することができ、スループットの向上が可能である。
上述のように本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄液を半導体デバイス用基板に直接接触させる方法で行われる。なお、洗浄対象となる半導体デバイス用基板の種類に合わせて、好適な成分濃度の洗浄液が選択される。
また、本発明の洗浄方法は、物理力による洗浄方法、特に、洗浄ブラシを使用したスクラブ洗浄や周波数0.5メガヘルツ以上の超音波洗浄を併用すると、基板に付着した微粒子による汚染の除去性が更に向上し、洗浄時間の短縮にも繋がるので好ましい。特に、CMP後の洗浄においては、樹脂製ブラシを使用してスクラブ洗浄を行うのが好ましい。樹脂製ブラシの材質は、任意に選択し得るが、例えばPVA(ポリビニルアルコール)やその変性物であるPVF(ポリビニルホルマール)を使用するのが好ましい。
本発明の洗浄方法において、洗浄液の温度は、通常は室温でよいが、性能を損なわない範囲で30〜70℃程度に加温してもよい。
<洗浄液原液の調製>
成分(A)式(1)で示される化合物として、ヒスチジンを1質量%、成分(B)アゾール系化合物として、イミダゾール0.01質量%成分(C)pH調整剤として、8質量%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、成分(D)の水を混合して、表−1に示す組成の実施例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。次いで、該洗浄液原液に水を加えて40倍希釈して実施例1の洗浄液を調製した。
実施例1の洗浄液をマグネティックスターラーを用いて攪拌しながら、pH計((株)堀場製作所製 商品名「D−24」)でpHの測定を行なった。測定サンプルは恒温槽中で25℃に液温を保った。測定結果を表−1に示した。
Cu膜を成膜したシリコン基板(またはCo膜を成膜したシリコン基板・BR>Jを25mm角にカットし、蛍光X線分析装置(Rigaku社製 型式:「RIX3000」)を用いて基板の膜厚を測定した。続いて、実施例1の洗浄液中に25℃に所定の時間1時間浸漬させた。浸漬後の基板を取り出してすぐに超純水で洗浄し、エアーブローで乾燥させた。 浸漬を終えた基板を再度、最初の測定条件と同様に蛍光X線分析装置で膜厚を測定し、Cu基板及びCo基板の溶解した膜厚量(膜厚減少量)を測定し、Cuエッチレート[nm/min]、Coエッチレート[nm/min]を求めた。結果を表−1に示した。
酢酸銅(II)(無水)を超純水で溶解し1.5質量%の水溶液(酢酸銅水溶液)を作製した。続いて、ベンゾトリアゾールを超純水で溶解し1.0質量%の水溶液(BTA水溶液)を作製した。酢酸銅水溶液に対し、2倍の重量のBTA水溶液を加え撹拌し、0.9質量%Cu−BTA水溶液を作製した。洗浄液40g対し、Cu−BTA水溶液を100μl加え、2分間撹拌し、溶解の有無を目視で確認した。不要物が出るまで、0.9%Cu−BTA水溶液を加え続けた。添加液量からCu−BTA溶解度[mg/L]を求めた。
上記のCu−BTA溶解度測定で調製した0.9質量%Cu−BTA80gに、23.6%コロイダルシリカ水溶液(扶桑化学PH−H10)を100μg添加し2mLを200mmCu基板上に200rpm10秒後、2000rpm10秒スピンコートした。枚葉洗浄機を用いて、基板表面の洗浄を行った。洗浄後の基板について、表面検査装置(株式会社日立ハイテクフィールディング製「LS−6600」)を用いて、欠陥数を計測した。結果を表−1に示した。
実施例1において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を0.5質量%に変更した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実
験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例1において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を1質量%に変更した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例1において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(A)式(1)の化合物であるヒスチジンの量を0.5質量%、成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を0.1質量%に変更した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−
1に示す。
実施例4において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を1質量%に変更した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例1において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を0.1質量%に変更し、更に成分(F)界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸を0.5質量%混合して原液を調製した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例6において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(F)界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸の代わりに成分(E)キレート剤としてクエン酸を0.5質量%混合して原液を調製した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例1において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物であるイミダゾールの量を0.2質量%に変更し、更に成分(F)界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸を0.5質量%と成分(E)キレート剤としてクエン酸を0.5質量%混合して原液を調製した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例8において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物として、チアゾールを0.2質量%混合して原液を調製した以外は、全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
実施例8において、半導体デバイス用基板洗浄液の原液に含まれる成分(B)アゾール系化合物として、トリアゾールを0.3質量%混合して原液を調製した以外は、全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−1に示す。
成分(B)アゾール系化合物として、イミダゾール0.1質量%、成分(C)pH調整剤として、8質量%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、成分(D)の水を混合して、表−2に示す組成の比較例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。次いで、該洗浄液原液に水を加えて40倍希釈して比較例1の洗浄液を調製した。
この比較例1の洗浄液を用いて、実施例1と同様な方法で、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−2に示す。
比較例1において、成分(B)アゾール系化合物として、イミダゾール0.1質量%の代わりに成分(A)ヒスチジンを1質量%に変更し、且つ更に成分(E)キレート剤としてクエン酸を0.5質量%加えて混合して原液を調製した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−2に示す。
実施例7において、成分(B)アゾール系化合物として、イミダゾール5.00質量%に変更した以外は全て同様に洗浄液を調製し、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−2に示す。
エチレンジアミンを8質量%、アセトアミドフェノールを0.75質量%、バニリンを1質量%。成分(C)pH調整剤として、2.75質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、成分(D)の水を混合して、表−3に示す組成の比較例4の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。次いで、該洗浄液原液に水を加えて25倍希釈して比較例4の洗浄液を調製した。
この比較例4の洗浄液を用いて、実施例1と同様な方法で、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−3に示す。
成分(A)式(1)で示されるアミン化合物として、ヒスチジンを8質量%、アセトアミドフェノールを0.75質量%、バニリンを1質量%。成分(C)pH調整剤として、2.75質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、成分(D)の水を混合して、表−3に示す組成の比較例5の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。次いで、該洗浄液原液に水を加えて25倍希釈して比較例5の洗浄液を調製した。
この比較例4の洗浄液を用いて、実施例1と同様な方法で、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−3に示す。
エチレンジアミンを8質量%、成分(B)アゾール系化合物として、イミダゾールを1質量%、成分(C)pH調整剤として、2.75質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、成分(D)の水を混合して、表−3に示す組成の比較例6の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。次いで、該洗浄液原液に水を加えて25倍希釈して比較例6の洗浄液を調製した。
この比較例6の洗浄液を用いて、実施例1と同様な方法で、pH、Cuエッチレート、Coエッチレート、Cu−BTA溶解度、洗浄実験を実施した。結果を表−3に示す。
実施例4と比較例1とを対比すると、比較例1の洗浄液は成分(A)一般式(1)で示されるアミン化合物を含まないため、Cu−BTA溶解度がめて低く、洗浄実験の結果も悪いことがわかる。
実施例7と比較例2とを対比すると、比較例1の洗浄液は成分(B)アゾール系化合物を含まないため、Coエッチレートが高く、Co金属の腐食抑制が十分ではないことがわ
かる。
また、実施例1〜10の洗浄液は、Cuエッチレートが従来の洗浄液と同等もしくは低いことから、従来の洗浄液と同等もしくはそれ以上のCu基板の腐食抑制能力を持ち、Cu−BTA溶解度は洗浄液と同等もしくは高いことから、従来の洗浄液と同等もしくはそれ以上の有機残渣除去性能を維持していることがわかる。そして、且つ、Coエッチレートが0.20nm/min以下であることから、Coのバリアメタルの腐食抑制性能が高いことがわかる。
Claims (13)
- 前記成分(A) 一般式(1)で示される化合物がヒスチジン及びその誘導体またはその塩である、請求項1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液
- 前記成分(B)アゾール系化合物が、イミダゾール、N − メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール及びピロールからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 前記成分(C)pH調整剤が、アルカリ金属及び/若しくはアルカリ土類金属を含む無機アルカリ化合物又は下記式(2)で示される有機第4級アンモニウム水酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
(R)4N+OH- ・・・(2)
(上記式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。) - 更に成分(E)キレート剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 更に成分(F)界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 前記成分(E)キレート剤が、ジアミノプロパン、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ピコリン酸、グリシン及びイミノジ酢酸からなる群から選ばれた少なくとも1種以
上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。 - 前記成分(F)界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 前記アニオン界面活性剤が、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 更に成分(G)還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
- 前記成分(G)還元剤が、アスコルビン酸若しくはその塩及び/又は没食子酸若しくはその塩であることを特徴とする請求項10に記載の半導体デバイス用基板洗浄剤。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液を用いて、半導体デバイス用基板を洗浄することを特徴とする半導体デバイス用基板の洗浄方法。
- 半導体デバイス用基板が、基板表面にCu配線とバリアメタルを有し、かつ、化学的機械的研磨を行った後の基板であることを特徴とする請求項12に記載の半導体デバイス用基板の洗浄方法。
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