JP2015160936A - 粘着シート及び加工済み被着体の製造方法 - Google Patents

粘着シート及び加工済み被着体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被着体の耐熱性が十分でない場合でも、その加工ができ、かつ、加工完了後は、被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、均一に剥離可能な両面粘着層を有する粘着シートを提供する。【解決手段】 粘着層3を第1セパレータ5と第2セパレータ7の間に配置した粘着シート1において、粘着層3は、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層において、少なくとも粘着剤と熱発泡温度が100℃以下の熱発泡剤を含有する粘着剤組成物により形成され、前記熱発泡温度より10℃低い温度のときにJIS−Z0237:2009に準拠した方法で測定したタック値が3N以下となるように調整されており、加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が所定の関係A(a3≒b2<a<a1≰b<a2≰b1)を満足していることが特徴である。【選択図】 図1

Description

本発明は、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層を第1セパレータと第2セパレータの間に配置した粘着シートと、その粘着シートを用いた加工済み被着体の製造方法とに関する。
物(第1被着体)と物(第2被着体)を適度な粘着力で貼合させることができるとともに、使用目的を終え不要となった後には簡単に剥離することのできる両面粘着層として、基材の表裏両面に粘着層を備えた「基材を有するもの」(特許文献1)や、全体が粘着層のみで構成される基材を有さない「基材レスのもの」(特許文献2)が知られている。またこの種の粘着層として、熱発泡剤として熱膨張性微小球を含有する粘着剤組成物により形成したものが知られている(特許文献3)。こうした両面粘着層はいずれの形態でも、第1セパレータと第2セパレータの間に配置された粘着シートの形で提供されることが多く、使用に際し両セパレータから引き離された後、物と物の貼合に使用される。
特開2003−238915号公報 特開2006−342223号公報 特開2006−257372号公報
ところで、大判のパネル基板を被着体として用い、これを所望サイズに加工(切断)するための方法として、例えば、まずパネル基板aの表面全体にバリヤフィルムbを貼り付け(a/b)、次にバリヤフィルムb側を両面粘着層cを介してガラス基板dに貼り付け(a/b/c/d)、次にパネル基板a側を加工してパネル基板パターンa1とバリヤフィルムパターンb1による両パターン群Eをガラス基板d上に両面粘着層パターンc1を介して形成した後(E/c1/d)、100℃程度の熱をかけ、両パターン群Eをガラス基板dから引き離すことが行われる。こうした工程を経ることで、両パターン群Eからなる加工済み被着体を得ることができる。
しかしながら、近年、耐熱性が十分でないプラスチック基材がパネル基板の基材に使用されることがあり、この場合、上述した両パターン群Eをガラス基板d上に両面粘着層パターンc1を介して形成した後(E/c1/d)、両パターン群Eをガラス基板dから引き離すために、100℃の熱をかけると、その熱の影響を受けてプラスチック基材が変形するとの問題を生じた。パネル基板中のプラスチック基材が変形すると、これに伴ってパネル基板も変形することになり、使用が不可能となって歩留まりの低下を招いてしまう。
なお、特許文献3で開示されるタイプの粘着シートは、加熱した場合に被着体と粘着層との界面に凹凸を発生させることにより被着体との接触面積が小さくなり、粘着力が低下するものである。従って、他のタイプの粘着シートに比べて、被着体を容易に剥離させることができる。
しかしながら、加熱して被着体と粘着層との界面に凹凸を発生させ、被着体との接触面積を小さくして被着体を剥離する際に、粘着層表層の凹凸高さおよび密度合いを均一にコントロールすることは難しい。このため、凸部が少なく凹部が多く存在する部分あるいは、凸部の高さが不均一である部分において、接触面積の低下が不足し、部分的な付着を引き起こすこともある。その結果、被着面全体における均一な剥離を妨げたり、また糊残りによる汚染を生じ、作業効率や加工精度の低下を引き起こすという問題があった。
なお、近年、第1セパレータ/両面粘着層/第2セパレータの構造の粘着シートには、第1セパレータを剥離して粘着層を露出させ、被着体に貼着した後、位置修正等を行うため、一旦、被着体から剥離した後、再度、貼着させることができる性能(リワーク性)の要望が高まっている。
本発明の目的は、被着体の耐熱性が十分でない場合でも、その加工ができ、かつ、加工完了後は、被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、均一に剥離可能な両面粘着層を有する粘着シートと、この粘着シートを用いた加工済み被着体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、粘着剤と熱発泡剤を含有する粘着剤組成物により形成され、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層を、第1セパレータと第2セパレータの間に配置した粘着シートの、熱発泡剤として、熱発泡温度が100℃以下のものを使用し、かつ粘着層のタック値を所定範囲に調整するとともに、粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が所定の関係を満足するように調整することにより、被着体の耐熱性が十分でない場合でも、その加工ができ、かつ、加工完了後は、被着体に糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、均一に剥離可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、以下に示す構成の粘着層を第1セパレータと第2セパレータの間に配置した粘着シートが提供される。また本発明によれば、この粘着シートを用いた以下に示す加工済み被着体の製造方法が提供される。
本発明の粘着層は、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層において、下記(A)及び(B)を満足することを特徴とする。
(A)少なくとも粘着剤と熱発泡温度が100℃以下の熱発泡剤を含有する粘着剤組成物により形成されていること、
(B)熱発泡剤の熱発泡温度より10℃低い温度のときにJIS−Z0237:2009に準拠した方法で測定したタック値が、3N以下となるように調整されていること。
本発明の粘着シートは、上記粘着層を第1セパレータと第2セパレータの間に配置したものであり、粘着層が上記(A)及び(B)を満足し、かつ第1セパレータを下記条件1で剥離し、第2セパレータ上に粘着層を露出させた第1粘着シートを得たときの、第1セパレータの剥離力をaとし、
第1粘着シートをその粘着層を対向させて第1被着体に重ね、第1積層体を得た後、第1積層体から第1粘着シートを下記条件2で剥離したときの、第1粘着シートの剥離力をa1とし、
第1積層体に、下記条件3で加温しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体を得た後、25℃の環境下で第2積層体から第1粘着シートを剥離したときの、第1粘着シートの剥離力をa2とし、
25℃の環境下で第2積層体から第2セパレータを剥離し、第1被着体上に粘着層を露出させた第2’粘着シートを得たときの、第2セパレータの剥離力をbとし、
第2’粘着シートをその粘着層を対向させて第2被着体に重ねて第4’積層体を得た後、25℃の環境下で第4’積層体から第2粘着シートを剥離したときの、第2’粘着シートの剥離力をb1とし、
第4’積層体に、下記条件4による加熱処理を施して第4”積層体を得た際の、この第4”積層体の第2’粘着シートと第2被着体との接合力をb2とし、また第4”積層体の第2被着体上に粘着層を露出させた第3粘着シートと第1被着体との接合力をa3としたとき、
粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が、関係A(すなわちa3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1))を満足することを特徴とする。
条件1:剥離環境は25℃、剥離方向は第1セパレータの一端をその一端が向く方向と反対の方向となる180度の方向、剥離速度は300mm/分、剥離幅は25mm。
条件2:剥離環境は25℃、第1積層体を得てから剥離開始までの時間は1分間以内。
条件3:加える温度は40℃以上90℃以下、圧力は0.2〜1.5MPa、時間は1〜60秒。
条件4:加熱温度は80℃以上100℃以下の範囲であって、条件3の加温処理の温度より10℃以上高い温度、加熱時間は15分以上
本発明の粘着層において、所定温度のときのタック値を調整するには、例えば、
(1)粘着層を形成する粘着剤組成物中に、重量平均分子量が800以上の粘着付与樹脂を配合すること、
(2)粘着層を形成する粘着剤組成物に含有させる粘着剤の、架橋剤と反応し得る官能基の種類や数、ガラス転移温度を調整すること、
(3)粘着層を形成する粘着剤組成物に架橋剤を配合すること。この際、配合する架橋剤の種類や配合量を調節すること、
(4)粘着層を形成する粘着剤組成物に可塑剤を配合すること、
(5)粘着層を形成する粘着剤組成物に、粘着剤と反応する表面処理を施した無機粒子や有機粒子を配合すること、
(6)上記(1)〜(5)を適宜組み合わせること、
等が考えられる。
本発明の加工済み被着体の製造方法は、上記構成の粘着シートから第1セパレータを引き離し、第2セパレータ上に粘着層を露出させた第1粘着シートを得た後、該第1粘着シートをその粘着層を対向させて第1被着体に重ね、第1積層体を得る第1工程と、
第1積層体に、40℃以上90℃以下に加熱しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体を得る第2工程と、
第2積層体に断裁加工を施し、第2セパレータ上に第1粘着シートの粘着層と第1被着体を所定パターンで残存させた第3積層体を得る第3工程と、
第3積層体から第2セパレータを引き離し、所定形状の第1被着体パターン上にそれと同一形状の粘着層パターンを露出させた第2粘着シートを得た後、該第2粘着シートをその粘着層パターンを対向させて第2被着体に重ね、第4積層体を得る第4工程と、
第4積層体をその第1被着体パターンを対向させて、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む第3被着体に重ね、第5積層体を得る第5工程と、
第5積層体に断裁加工を施し、第2被着体上に粘着層パターン及び第1被着体パターンを介して第3被着体を所定パターンで残存させた第6積層体を得る第6工程と、
第6積層体に、80℃以上100℃以下の範囲であってプラスチック基材の耐熱温度より低く、かつ第1積層体に施した加温処理の温度より10℃以上高い温度で加熱する加熱処理を施して、粘着層パターンの表裏両面のタックを低下させ、これによって該粘着層パターンを第1被着体パターン及び第3被着体パターンからなる両パターン群と第2被着体から引き離し、該両パターン群による加工済み被着体を得る第7工程とを、有する。
本発明の加工済み被着体の製造方法において、第1工程後の第1積層体の、第1被着体に対する第1粘着シートの重ね位置が適切でなかった場合に、第1積層体から第1粘着シートを引き離し、第1被着体との重ね位置を変更した後、再び第1粘着シートを第1被着体に重ねて得られる第1積層体を第2積層体の処理に使用することができる。
本発明の粘着シートは、後述するように、リワーク性をも兼ね備えていることによる。
本発明の粘着層を第1セパレータと第2セパレータの間に配置した粘着シートは、粘着層に含有させる熱発泡剤として、熱発泡温度が100℃以下のものを使用したので、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む被着体(第3被着体)の小片化加工への使用が可能となる。また、粘着層の所定温度のときのタック値が適切に調整されており、かつ粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が所定の関係(関係A)を満足するようにしたので、加工完了後の被着体に、糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、該被着体から均一に剥離することが可能となり、加工性、生産性等がこれまで以上に向上することが期待される。
本発明の粘着層は、上記性能に加え、リワーク性を備えている。一般に、本発明のごとき粘着シートは、第1セパレータを剥離して被着体に貼着した後、第2セパレータを剥離して使用するものであるため、被着体に貼着した後に第2セパレータを剥離させることなく、粘着層及び第2セパレータからなる部分を被着体から剥離することは容易ではない。しかしながら、リワーク性を良好にするため粘着力を低く設計した粘着剤を粘着層に使用すると、被着体に貼り合わせたときの接着性が不十分になるという問題を生じる。また、被着体に貼着した後、第2セパレータを剥離する際に、粘着層及び第2セパレータからなる部分全体が剥離しやすくなり、第2セパレータのみを剥離することが難しくなるという問題も生じた。
本発明の粘着シートは、粘着層の所定温度のときのタック値が適切に調整されており、かつ粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が所定の関係(関係A)を満足するようにしたことにより、上述したように、加工完了後の被着体に、糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、該被着体から均一に剥離することが可能となることのほか、リワーク性が良好で、かつリワーク後の接着性も優れたものとすることができる。
本発明の加工済み被着体の製造方法は、本発明の粘着シートを用いるので、加工対象のパネル基板(第3被着体)に耐熱性が十分でないプラスチック基材を含んでいても、工程中の熱の影響を受けてプラスチック基材が変形することはなく、小片化パネル基板の歩留まり低下を抑制可能である。
図1は本発明の粘着シートの一例を示す断面図である。 図2は本発明方法の一例に係る第1工程で準備される第1粘着シートの断面図である。 図3は第1工程で準備される第1積層体の断面図である。 図4は第2工程で準備される第2積層体の断面図である。 図5は第3工程で準備される第3積層体の断面図である。 図6は第4工程で準備される第2粘着シートの断面図である。 図6Aは図6の第4工程に準じた工程で準備される第2’粘着シートの断面図である。 図7は第4工程で準備される第4積層体の断面図である。 図7Aは図7の第4工程に準じた工程で準備される第4’積層体の断面図である。 図7Bは図7の第4工程に準じた工程で準備される第4”積層体の断面図である。 図8は第5工程で準備される第5積層体の断面図である。 図9は第6工程で準備される第6積層体の断面図である。 図10は図9の第6積層体に第7工程で施す加熱処理の様子を示す断面図である。 図11は第7工程で得られる加工済み被着体の一例(両パターン群)を示す断面図である。
本発明の粘着シートについて説明する。本発明の一例に係る粘着シート1は、図1に示すように、粘着層3を第1セパレータ5と第2セパレータ7の間に配置することで構成される。
第1セパレータ5及び第2セパレータ7としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンラミネート紙や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等のプラスチックフィルムや、前記プラスチックフィルムの一方の面に離型処理を施したもの等を用いることができる。ただし、第1セパレータ5の方が、第2セパレータ7よりも粘着層3から剥がす際の剥離力が軽くなるものでなくてはならない。
第1セパレータ5及び第2セパレータ7の厚みは、特に限定されないが、一般には、10μm〜250μm、好ましくは25μm〜125μmであり、第1セパレータ5の方が第2セパレータ7よりも剥離力を軽くするという観点から、第1セパレータ5の厚みを第2セパレータ7の厚みよりも薄くした方が好ましい。
粘着層3は、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化すればよく、したがって、粘着層のみで形成される「基材less」(基材レス)の態様でもよいし、あるいは、粘着層が基材の表裏両面に形成される「基材ed」(基材ド)の態様でもよい。被着体としては、後述の第1被着体や第2被着体等が挙げられる。基材ドの場合に用いられる基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂、ナイロン、アクリル、シクロオレフィン、ノルボルネン化合物等が挙げられ、厚みが5μm〜175μm程度のものが使用される。
以下では、粘着層3が基材レスの態様である場合を例示して説明する。
(A)について
本例の粘着層3は、(A)必須成分として熱発泡剤と粘着剤を含有する粘着剤組成物により形成される。
熱発泡剤としては、特に制限されず、例えば公知の熱発泡剤(熱分解型のもの、膨張黒鉛、マイクロカプセル化されたもの、等)を適宜選択して用いることができるが、中でもマイクロカプセル化されたもの(以下「熱膨張性微小球」と称する。)を好適に用いることができる。
熱膨張性微小球としては、弾性を有する外殻の内部に発泡剤が封入された構造を有し、全体として熱膨張性(加熱により全体が膨らむ性質)を示す微小球を好適例として挙げることができる。弾性を有する外殻としては、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質等、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等で形成されたものを好適例として挙げることができる。発泡剤としては、加熱により容易にガス化して膨張する物質、例えばイソブタン、プロパン、ペンタン等の炭化水素を主として挙げることができる。熱膨張性微小球の市販品としては、例えば、商品名「マツモトマイクロスフェアー」シリーズ(松本油脂製薬社製)、アドバンセルEMシリーズ(積水化学工業社製)、エクスパンセル(日本フェライト社製)等を挙げることができる。
熱膨張性微小球の大きさは、粘着シート1の用途により適宜選択すればよく、具体的には、質量平均粒径で10〜20μmであることが好ましい。使用する熱膨張性微小球の大きさが、小さすぎたり大きすぎる場合、被着体に対して初期の粘着力が低下したり、被着体の加工工程において(例えば、加熱乾燥等の高温処理)、被着体を保持でできなくなったり、また加熱処理により剥離する際に被着体から剥離しにくいものとなったり糊残りしやすくなる傾向がある。さらには、粘着物(又は粘着剤層)の表面粗さの制御が難しく、粘着性や剥離性が安定せず、被着体の加工工程に不都合を生ずることがある。
熱膨張性微小球は、その粒度分布を調整してから使用することができる。粒度分布の調整は、使用する熱膨張性微小球に含まれる比較的大きな粒径のものを、遠心力型風力分級機、乾式分級機、篩過機等で分級して除去すればよい。平均粒径に比して大きな粒径粒子を除去し、粒度分布をシャープにすることにより、加熱処理後の表面形状を均一にすることができる。具体的には、熱膨張性微小球の粒度分布の標準偏差が5.0μm以下にすることが望ましく、好ましくは4.5μm以下、更には4.0μm以下にすることが好ましい。標準偏差が5.0μmよりも大きくなると、加熱処理後の粘着層3表層の高低差が大きくなり、また、それに伴い凹凸の密度合いが不均一な表面形状を形成することになる。その結果、均一な剥離を得ることができにくくなる。
熱膨張性微小球の発泡倍率は、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることが更に好ましい。その一方で15倍以下であることが好ましく、12倍以下であることが更に好ましい。本例で使用する熱膨張性微小球の発泡倍率が、好ましくは3倍以上15倍以下の範囲にあると、加熱処理することによって粘着層3の粘着力を効率よく低下させることができる。なお、熱膨張性微小球の外殻は、該熱膨張性微小球が前記所定の発泡倍率となるまで膨張した場合であっても破裂しない、適度な強度を有するものであることが好ましい。
その他の熱発泡剤としては、熱分解型発泡剤や膨張黒鉛等が挙げられる。熱分解型発泡剤は、無機系と有機系に分類される。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類等が挙げられる。有機系発泡剤としては、例えば、水、塩フッ化アルカン(例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等)、アゾ系化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート等)、ヒドラジン系化合物(例えば、パラトルエンスルホニルヒドラジドやジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等)、セミカルバジド系化合物(例えば、ρ−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等)、トリアゾール系化合物(例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール等)、N−ニトロソ系化合物(例えば、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド等)、等が挙げられる。
これらの熱発泡剤は、単独又は複数を混合して用いることができる。
熱発泡剤の配合割合は、加熱処理後の粘着層3表面の凹凸を十分に形成できるよう適宜選択すればよく、通常、後述する粘着層の樹脂固形分:100質量部に対して10〜50質量部の範囲である。実験では熱発泡剤の配合割合が10質量部未満であると、加熱処理後の粘着層表層の凸部が少なくなり剥離し難くなる傾向にあり、また、50質量部を超えると必要以上に加熱処理前から粘着層3表面に凹凸が形成されてしまう可能性があるため、その場合、加熱処理前の被着体との密着性が低下する傾向にあるので好ましくない。加熱処理前の被着体との密着性及び加熱処理後の被着体との剥離性の観点から好ましい配合割合は13〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部である。
熱発泡剤は、熱発泡温度が100℃以下(好ましくは80℃以下)であることが必須である。熱発泡温度が100℃以下の熱発泡剤を用いることで、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む被着体の小片化加工への使用が可能となる。
熱発泡温度は、熱発泡剤として、熱膨張性微小球を用いる場合は熱膨張温度に相当し、熱分解型発泡剤を用いる場合は熱分解温度に相当する。ここで、「熱膨張温度」とは発泡開始温度と同義であり、本例ではTMA測定における熱膨張開始温度のことをいい、体積が最大限に膨張する最大膨張温度の意味ではない。熱発泡温度が100℃以下のものであれば、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本例で使用する熱発泡剤の熱発泡温度は、粘着シート1の使用温度を考慮して好適なものを適宜選択すればよい。具体的には、その熱発泡温度が、粘着シート1に貼付される被着体の切断加工、小片化加工等の際の加工温度よりも、好ましくは25℃以上高いものを用いることが望ましい。
粘着剤としては、従来から熱発泡剤を含有させた粘着層を形成する際に用いられている粘着剤の中から適宜選択すればよい。ただし、熱発泡剤を発泡させたときの粘着層3表面に形成される凹凸形状や初期粘着力、再剥離性の面からアクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。アクリル系粘着剤の組成に特に制限はない。
アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることが更に好ましく、20万〜100万であることが特に好ましい。アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記範囲内とすることにより、加熱処理前の被着体との密着性を良好なものとし、かつ加熱処理後の被着体に糊残りすることなく剥離しやすくすることができる。
アクリル系粘着剤は、架橋剤と反応し得るものであるものが好ましい。このアクリル系粘着剤には、アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との共重合体が包含される。アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの「アルキルエステル」としては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等を挙げることができる。架橋剤と反応し得る官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基を挙げることができる。
架橋剤と反応し得る官能基がカルボキシル基である単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等を挙げることができる。また、官能基がヒドロキシル基である単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、アクリル酸ヒドロキシオクチル、メタクリル酸ヒドロキシオクチル、アクリル酸ヒドロキシデシル、メタクリル酸ヒドロキシデシル、アクリル酸ヒドロキシラウリル、メタクリル酸ヒドロキシラウリル等を挙げることができる。
架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との比は、質量比で、92:8〜98:2の範囲であることが好ましい。この範囲よりも、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体の配合比が少ないと、熱発泡剤が発泡した場合に、被着体と粘着層3との剥離性が損なわれる傾向にある。一方、この範囲よりも、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体の配合比が多いと、被着体と粘着層3との粘着力が乏しくなる傾向にある。被着体と粘着層との粘着性及び剥離性を向上させるという観点からは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体との比は、質量比で、95:5〜93:7であることが更に好ましい。
なお、所望により、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体以外のその他の単量体を併用することもできる。その他の単量体としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、テトラフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
アクリル系粘着剤は、単量体成分をラジカル共重合させることによって得ることができる。この場合の共重合法は従来公知であり、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、光重合法等を挙げることができる。また、アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、−70〜−20℃であることが好ましい。ガラス転移温度が−20℃超であると、被着体と粘着層3との粘着力が低下する傾向にある。一方、ガラス転移温度が−70℃未満であると、加熱処理後の剥離時に糊残りを生じ易くなり、剥離性が良好になり難くなる傾向にある。被着体と粘着層3との粘着性及び剥離性を向上させるという観点からは、アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、−50℃〜−25℃であることが更に好ましい。
(B)について
粘着層3は、上述したように、(A)特定の熱発泡剤と粘着剤を含有する粘着剤組成物により形成されるとともに、(B)熱発泡剤の熱発泡温度より10℃低い温度のときにJIS−Z0237:2009に準拠した方法で測定したタック値が3N以下となるように調整されている。
粘着層3の所定温度のときのタック値を調整することにより、粘着層3の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力前の粘着力が、所定の関係A(a3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1)。後述)を満足するようにさせやすい。その結果、加工完了後の被着体に、糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、該被着体からの均一な剥離が実現される。
粘着層3の所定温度のときのタック値を調整するには、例えば、(1)粘着層3を形成する粘着剤組成物に、粘着付与樹脂を含有させるようにすればよい。
粘着付与樹脂としては、例えば、キシレン系樹脂;α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンに水素化、不均化、重合、マレイン化、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;石油樹脂;クマロン−インデン樹脂等を挙げることができる。
粘着付与樹脂を用いると、加熱処理後の被着体への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下(加温処理後)における被着体との密着性をさらに向上させることが可能となる。また、粘着層3の所定温度のときのタック値を所定範囲(前出)に調整し易く、しかも粘着層の初期剥離力を調整することが容易にできるため好ましい。更に、粘着付与樹脂としてキシレン系樹脂または、テルペンフェノール系のテルペン系樹脂を用いると、加熱処理後は被着体への汚染、糊残りが少ないばかりか、50〜90℃の環境下での被着体との粘着性が向上するとともに、被着体から更に容易に剥離可能となる。
このような粘着付与樹脂は、重量平均分子量が800以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上のものを用いることが望ましい。重量平均分子量が800以上重量の粘着付与樹脂を用いた場合、平均分子量が800未満の粘着付与樹脂を用いた場合よりも、少ない添加量で上記効果を得ることができる。また、粘着付与樹脂の添加量が多くなりすぎると、タックが小さくなり加温処理後における被着体との密着性が低下す傾向にあり、加熱処理後の被着体への汚染、糊残りがしやすくなる傾向にあるからである。
粘着層3の所定温度のときのタック値を調整するために、粘着層3を形成する粘着剤組成物に含有させる粘着付与樹脂は、その軟化点が120℃以上であるものが好ましい。これらのなかでも、軟化点が120〜170℃の範囲内であるものが更に好ましく、150〜170℃の範囲であるものが特に好ましい。軟化点が上記の範囲内である粘着付与樹脂を用いると、加熱処理後の被着体への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下(加温処理後)における被着体との密着性をさらに向上させることが可能となる。また、粘着層3の所定温度のときのタック値を所定範囲(前出)により一層、調整し易く、しかも粘着層の初期剥離力を調整することが容易であるので好ましい。
粘着層3を形成する粘着剤組成物に含有させる場合の、粘着付与樹脂の配合割合は、粘着層3の所定温度のときのタック値を所定範囲(前出)に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。但し、粘着層3の初期の被着体との剥離性(リワーク性)及び作業環境下(加温処理後)における被着体との密着性の観点から、アクリル系粘着剤100質量部に対して、10〜100質量部とすることが好ましく、さらには15〜40質量部とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、アクリル系粘着剤100質量部に対して、10質量部以上とすることにより、初期の被着体との剥離性(リワーク性)を向上させ、作業環境下(加温処理後)における被着体との密着性をさらに向上させることができる。但し、100質量部を超えると、タックが小さくなり作業環境下(加温処理後)における被着体との密着性が低下する場合があり、また、加熱処理後は被着体への汚染、糊残りが生じる場合がある。
上述した方法{(1)粘着層3を形成する粘着剤組成物に、重量平均分子量が800以上の粘着付与樹脂を含有させる方法}以外に、粘着層3の所定温度のときのタック値を調整するには、下記(2)〜(6)のいずれかの方法が考えられる。
(2)粘着層3を形成する粘着剤組成物に含有させる粘着剤の、架橋剤と反応し得る官能基の種類や数、ガラス転移温度を調整すること。
(3)粘着層3を形成する粘着剤組成物に架橋剤を配合すること。この際、配合する架橋剤の種類や配合量を調節する。
(4)粘着層3を形成する粘着剤組成物に可塑剤を配合すること。
(5)粘着層3を形成する粘着剤組成物に、粘着剤と反応する表面処理を施した無機粒子や有機粒子(以下、特定粒子)を配合すること。
(6)上記(1)〜(5)を適宜組み合わせること。
架橋剤としては、用いるアクリル系粘着剤に合せて適宜選択すればよく、特に制約はない。架橋剤の具体例としては、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤、エポキシ系架橋剤等を挙げることができる。これらのなかでも、熱発泡剤が発泡する温度への加熱後における、被着体からの剥離性を向上させ、被着体への糊残りを防止するといった観点から、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を用いることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートダイマー、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等があげられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
常温における被着体との粘着性、及び熱発泡剤の発泡後における被着体からの剥離性の面で、多官能のエポキシ系架橋剤が好ましく、4官能のエポキシ系架橋剤が更に好ましい。具体的には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを挙げることができる。但し、これらのエポキシ系架橋剤は、架橋反応速度が遅くなる傾向にあるため、架橋反応が不十分である場合には、架橋反応を促進するために、(a)アミン等の触媒を添加する、(b)粘着剤の構成成分としてアミン系官能基を持つ単量体を用いる、(c)架橋剤にアジリジン系架橋剤を併用する、ことが望ましい。特に、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等の架橋剤に、触媒効果を有する3級アミンを添加することが好ましい。
架橋剤は、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の配合割合は、前述の熱発泡剤、アクリル系粘着剤、及び所望により用いられる、粘着付与樹脂とともに、粘着層3の所定温度のときのタック値が所定範囲(前出)に調整されるように適宜選択すればよく、特に制限はない。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。可塑剤の配合割合は、前述の熱発泡剤、アクリル系粘着剤、及び所望により用いられる、粘着付与樹脂とともに、粘着層3の所定温度のときのタック値が所定範囲(前出)に調整されるように適宜選択すればよく、特に制限はない。但し、粘着剤組成物に含有される可塑剤の割合は、アクリル系粘着剤に対する割合で、5質量%以下とするのが、基材との密着性が向上するために好ましい。
特定粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、クレー、タルク等の無機粒子や、アクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等の有機粒子等が挙げられる。粘着剤と反応する表面処理を施した無機粒子や有機粒子の特定粒子の配合割合は、前述の熱発泡剤、アクリル系粘着剤、及び所望により用いられる、粘着付与樹脂とともに、粘着層3の所定温度のときのタック値が所定範囲(前出)に調整されるように適宜選択すればよく、特に制限はない。但し、粘着剤組成物に含有される特定粒子の割合は、アクリル系粘着剤に対する割合で、10質量%以下とするのが、作業環境下における被着体との密着性の低下抑制の観点から好ましい。また、特定粒子の大きさは、特に限定されないが、作業環境下における被着体との密着性の低下抑制の観点から粘着層の厚みより80%以下の大きさの粒子を用いることが好ましい。
粘着層3を形成する粘着剤組成物には、本発明の粘着剤組成物としての機能を損なわない範囲であれば、反応促進剤、界面活性剤、顔料、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤等の種々の添加剤を含ませることができる。
粘着層3を形成する粘着剤組成物は、上述した必須成分としての、熱発泡剤、粘着剤、さらには必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、溶媒、並びに添加剤を任意の順序で添加し、溶解又は分散させることにより得ることができる。
図1に示す本例の粘着シート1は、上述した粘着剤組成物を第1セパレータ5と第2セパレータ7の間に塗布し、必要に応じて乾燥させることにより得ることができる。
加熱前の粘着層3の厚みとしては、選択する熱発泡剤の大きさにより異なってくる。例えば、熱発泡剤として、質量平均粒径が10μm〜20μmのものを使用する場合、粘着層3の厚みを、下限として20μm以上、さらには25μm以上とすることが好ましく、上限として55μm以下、さらには45μm以下、さらには35μm以下とすることが好ましい。粘着層3の厚みを20μm以上とすることにより、初期の粘着力を十分なものにしやすい。粘着層3の厚みを55μm以下とすることにより、加熱処理後の剥離時に凝集破壊が起こりにくくなり、より良好な剥離性を得やすい。また、加熱処理の際に熱発泡剤を十分に発泡させるためのエネルギーが粘着層3全体にいきわたりやすくなるため、加熱処理後の剥離の際に、より糊残りしにくくしやすい。
本例の粘着層3は、(A)特定の熱発泡剤と粘着剤を含有する粘着剤組成物により形成され、(B)所定温度のときのタック値が適切に調整され、かつこれを第1セパレータ5と第2セパレータ7の間に配置した粘着シート1の形態において、粘着層3の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が、下記のように剥離力a、a1、a2、b、b1及び接合力b2、a3としたとき、下記の関係Aを満足するように調整する。その結果、加工完了後の被着体に、糊残り等による汚染や被着面全体における部分的な付着を生ずることなく、該被着体からの均一な剥離が実現されるのは上述したとおりである。
剥離力aは、第1セパレータ5を条件1で剥離し、第2セパレータ7上に粘着層3を露出させた第1粘着シート10を得たときの、第1セパレータ5の剥離力である(図2参照)。
剥離力a1は、第1粘着シート10をその粘着層3を対向させて第1被着体12に重ね、第1積層体20を得た後、第1積層体20から第1粘着シート10を条件2で剥離したときの、第1粘着シート10の剥離力である(図3参照)。
剥離力a2は、第1積層体20に条件3で加温しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体22を得た後、25℃の環境下で第2積層体22から第1粘着シート10を剥離したときの、第1粘着シート10の剥離力である(図4参照)。
剥離力bは、25℃の環境下で第2積層体22から第2セパレータ7を剥離し、第1被着体12上に粘着層3を露出させた第2’粘着シート11aを得たときの、第2セパレータ7の剥離力である(図6A参照)。
剥離力b1は、第2粘着シート11aをその粘着層3を対向させて第2被着体14に重ねて第4’積層体26aを得た後、25℃の環境下で第4’積層体26aから第2’粘着シート11aを剥離したときの、第2’粘着シート11aの剥離力である(図7A参照)。
本例において、剥離力a、a1、bは、0.01〜0.45(N/25mm)であることが望ましい。剥離力a2、b1は、0.25〜1.50(N/25mm)であることが望ましい。
接合力b2は、第4’積層体26aに、条件4による加熱処理を施して第4”積層体26bを得た際の、この第4”積層体26bの第2’粘着シート11aと第2被着体14との接合力である(図7B参照)。
接合力a3は、第4”積層体26bの第2被着体14上に粘着層3を露出させた第3粘着シート11bと第1被着体12との接合力である(図7B参照)。
条件1は、剥離環境が25℃であり、剥離方向が第1セパレータ5の一端をその一端が向く方向と反対の方向となる180度の方向であり、剥離速度が300mm/分であり、剥離幅が25mmであること、となる条件である。
条件2は、剥離環境が25℃であり、第1積層体20を得てから剥離開始までの時間が1分間以内であることとなる条件である。
条件3は、加える温度は40℃以上90℃以下、圧力は0.2〜1.5MPa、時間が1〜60秒であることとなる条件である。
条件4は、加熱温度が80℃以上100℃以下の範囲であり、条件3の加温処理の温度より10℃以上高い温度であり、加熱時間が15分以上であることとなる条件である。
関係Aは、a3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1である。すなわち、a3とb2は略等しく、b2はaより小さく、aはa1より小さく、a1はb以下であり、bはa2より小さく、a2はb1以下となる関係である。
本例の粘着シート1は、被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層3を有するので、適度な粘着力で被着体に貼り付けることができるとともに、使用目的を終え不要となった後には簡単に剥離することのできる再剥離性粘着シートとして使用することができる。
具体的には、例えば、封筒や精密機械収納用ケース等のシール部分、壁紙、ラベル、車のバンパーや電線等の取り付け、フレキシブルプリント基板(FPC)製造工程における裏打用シートやメッキ工程でのマスク材、並びに半導体ウェハの切断工程、及び積層セラミックコンデンサーや、タブレットPC・TV等のディスプレイパネル基板の小片化加工工程における仮止めシート等として、電気・電子業界において広く用いることができる。特に、タブレットPC・TV等のディスプレイパネルを製造する場合において、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む、大判のパネル基板の小片化加工時に使用する仮止めシートとして、本発明技術は有用である。
次に、本発明の加工済み被着体の製造方法について説明する。本発明の一例に係る加工済み被着体の製造方法は、図1に示す構成の粘着シート1を用いて、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む、大半のパネル基板(第3被着体16)を小片化加工し、加工済みの個々の部品(小片化加工されたパネル基板。図11における両パターン群100と同じ)を製造する場合の例である。
(1)まず、図2に示すように、粘着シート1から第1セパレータ5を引き離し、第2セパレータ7上に粘着層3を露出させた第1粘着シート10を準備する。その後、図3に示すように、第1粘着シート10をその粘着層3を対向させて第1被着体12に重ね、第1積層体20を準備する(第1工程)。
第1被着体12としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。
(2)次に、図4に示すように、第1積層体20に加温処理を施して第2積層体22を準備する(第2工程)。
加温処理は、加熱しながら第1積層体20の一方の面を押圧する処理である。加熱温度(T1)は40℃以上、好ましくは50℃以上であって、80℃以下、好ましくは70℃以下とする。
(3)次に、図5に示すように、第2積層体22に断裁加工を施し、第2セパレータ7上に第1粘着シート10の粘着層3と第1被着体12を所定パターン3a、12aで残存させた第3積層体24を準備する(第3工程)。
断裁加工は、第2積層体22の第1被着体12側から(図4の下側から、に相当)行う。
(4)次に、図6に示すように、第3積層体24から第2セパレータ7を引き離し、所定形状の第1被着体パターン12a上にそれと同一形状の粘着層パターン3aを露出させた第2粘着シート11を準備する。その後、図7に示すように、第2粘着シート11をその粘着層パターン3aを対向させて第2被着体14に重ね、第4積層体26を準備する(第4工程)。
第2被着体14としては、例えば、キャリアガラス、ステンレス板、エポキシシート等が挙げられる。
(5)次に、図8に示すように、第4積層体26をその第1被着体パターン12aを対向させて第3被着体16に重ね、第5積層体28を準備する(第5工程)。
第3被着体16としては、例えば、ノルボルネン系樹脂(COP樹脂)製のパネル等が挙げられる。本例において第3被着体16が加工対象の大判パネル基板に相当し、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含んでいる。プラスチック基材としては、例えば、ポリカーボネート基板等が挙げられる。
(6)次に、図9に示すように、第5積層体28に断裁加工を施し、第2被着体14上に粘着層パターン3a及び第1被着体aパターン12aを介して第3被着体16を所定パターン16aで残存させた第6積層体30を準備する(第6工程)。
(7)次に、図10に示すように、第6積層体30に加熱処理を施す。
加熱処理での加熱温度(T2)は、
・80℃以上90℃以下の範囲であること、
・第3被着体16であるプラスチック基板の耐熱温度より低いこと、かつ
・第1積層体20に施した加温処理の温度(T1)より10℃以上高い温度であること、のすべてを満足する温度である。
このような加熱処理によって、図11に示すように、粘着層パターン3aの表裏両面のタックを低下させ、これによって該粘着層パターン3aを第1被着体パターン12a及び第3被着体パターン16aの両パターン群100、並びに第2被着体14から引き離し、これにより両パターン群100による加工済み被着体を得ることができる(第7工程)。
粘着シート1を用いた本例の方法によると、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む第3被着体16を加工するに際して、熱の影響を与えることがない。その結果、得られる加工済み被着体(両パターン群100)に、工程中の熱影響による変形を生じさせることがない。すなわち、粘着シート1を用いた本例の方法によれば、加工対象のパネル基板(第3被着体16)に耐熱性が十分でないプラスチック基材(ポリカーボネート基板等)を含んでいても、工程中の熱の影響を受けてプラスチック基材が変形することはなく、小片化パネル基板(両パターン群100)の歩留まり低下を抑制することができる。
(8)なお、第1工程により準備される第1積層体20の、第1被着体12に対する第1粘着シート10の重ね位置が適切でなかった場合に、第2工程へは行かずに、第1積層体20から第1粘着シート10を引き離し、第1被着体12との重ね位置を変更した後、再び第1粘着シート10を第1被着体12に重ねて得られる第1積層体20を第2積層体22の処理に使用することもできる。
本例の粘着シート1は、上述のように、リワーク性をも兼ね備えているからである。
以下、本発明を実験例(実施例および比較例を含む)に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、「部」「%」は特記しない限り質量基準である。
1.粘着剤組成物および粘着シートの作製
[実験例1〜11]
第2セパレータ7として、表面に非シリコーン離型処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートを使用し、その離型処理面に、下記構成成分を表1記載の固形分比で均一に混合し溶解させて調製した粘着層形成塗工液a〜kをそれぞれベーカー式アプリケーターにて塗布した。各塗工液の粘着剤等の固形分比(質量換算)を表1に示す。各塗工液中の全固形分はいずれも40%に調製した。その後、80℃にて十分乾燥することによって粘着層を形成した後、この粘着層の表面に、その一方の表面がシリコーン離型処理された厚み25μmのPETシート(第1セパレータ5)の離型処理面を配設することにより、各例の粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
《粘着層形成塗工液a〜kの構成成分》
・粘着剤: 表1記載の種類と固形分比
・熱膨張性微小球(熱発泡剤): 表1記載の種類と固形分比
・イソシアネート系架橋剤: 表1記載の固形分比
(D−170N、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー体、(3OCN(CH26NCO、NCO含有率:8%、武田薬品工業社製}
・粘着付与剤(固形分100%): 表1記載の種類と固形分比
・溶媒(トルエン): 226質量部
なお、表1中、粘着剤の「X1」は、ポリアクリル酸エステル樹脂(2−エチルヘキシルアクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(EHA/HEMA=96.5/3.5)、分子量:52万、ガラス転移温度:−65℃、OH価:4.8、固形分33%)、「X2」は、ポリアクリル酸エステル樹脂(2−エチルヘキシルアクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(EHA/HEMA=70/30)、分子量:39万、ガラス転移温度:−42℃、OH価:6、固形分42%)である。
粘着付与剤の「Y1」は、キシレン系粘着付与樹脂(ニカノールHP150、軟化点170℃、分子量1400、フドー社製)、「Y2」は、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(YSポリスターG150、テルペンフェノール系、軟化点150℃、分子量700、ヤスハラケミカル社製)である。
熱膨張性微小球の「Z1」は、質量平均粒径が13μm、熱膨張温度(熱発泡温度と同義。以下同じ)が80℃、発泡倍率が1.5〜5倍の熱発泡粒子(マツモトマイクロスフェアーF−36D、松本油脂製薬社製)、「Z2」は、質量平均粒径が12μm、熱膨張温度が100℃、発泡倍率が1.5〜5倍の熱発泡粒子(マツモトマイクロスフェアーF−48D、松本油脂製薬社製)である。
2.評価
各例の粘着剤組成物及び粘着シートについては、粘着層の厚さ、粘着層のタック値、剥離力及び接合力、加熱剥離性(加熱処理後の剥離性)、並びにリワーク性の5項目について以下の方法により測定または評価した。結果を表2に示す。
(2−1)[粘着層の厚さ]
マイクロメーターを使用して、2枚のPETシートを含めた厚みを測定し、測定値から2枚のPETシートの厚みを減ずることにより算出した。
(2−2)[粘着層のタック値]
実験例で得られた粘着シートを準備し、その第1セパレータ5を剥離して露出させた粘着層について、各塗工液ごとに使用した熱膨張性微小球の熱膨張温度より10℃低い温度(実験例1〜10は70℃、実験例11は90℃)のときに、JIS−Z0237:2009に準拠した方法(500g、1分)で、タック値を測定した。
(2−3)[剥離力(N/25mm)及び接合力]
剥離力aは、第1セパレータ5を条件1で剥離し、第2セパレータ7上に粘着層3を露出させた第1粘着シート10を得たときの、第1セパレータ5の剥離力であり(図2参照)、この剥離力aを測定した。
剥離力a1は、第1粘着シート10をその粘着層3を対向させて第1被着体(ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるバリアフィルム)12に重ね、第1積層体20を得た後、第1積層体20から第1粘着シート10を条件2で剥離したときの、第1粘着シート10の剥離力であり(図3参照)、この剥離力a1を測定した。
剥離力a2は、第1積層体20に条件3で加温しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体22を得た後、25℃の環境下で第2積層体22から第1粘着シート10を剥離したときの、第1粘着シート10の剥離力であり(図4参照)、この剥離力a2を測定した。
剥離力bは、25℃の環境下で第2積層体22から第2セパレータ7を剥離し、第1被着体12上に粘着層3を露出させた第2’粘着シート11aを得たときの、第2セパレータ7の剥離力であり(図6A参照)、この剥離力bを測定した。
剥離力b1は、第2粘着シート11aをその粘着層3を対向させて第2被着体(キャリアガラス)14に重ねて第4’積層体26aを得た後、25℃の環境下で第4’積層体26aから第2’粘着シート11aを剥離したときの、第2’粘着シート11aの剥離力であり(図7A参照)、この剥離力b1を測定した。
接合力b2は、第4’積層体26aに、条件4による加熱処理を施して第4“積層体26bを得た際の、この第4”積層体26bの第2’粘着シート11aと第2被着体14との接合力であり(図7B参照)、この接合力b2を測定した。
接合力a3は、第4”積層体26bの第2被着体14上に粘着層3を露出させた第3粘着シート11bと第1被着体12との接合力であり(図7B参照)、この接合力a3を測定した。
そして、a、a1、a2、a3、b、b1、b2の数値の大小を比較し、関係A(a3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1)を満足している否かを評価した。満足していたもの「○」、満足していなかったものを「×」とした。
なお、条件1〜4は以下のとおりとした。条件1は、剥離環境が25℃であり、剥離方向が第1セパレータ5の一端をその一端が向く方向と反対の方向となる180度の方向であり、剥離速度が300mm/分であり、剥離幅が25mmであること、となる条件である。
条件2は、剥離環境が25℃であり、第1積層体20を得てから剥離開始までの時間が1分間以内であることとなる条件である。
条件3は、加える温度が60℃、加える圧力が0.3MPa、時間が30秒である。
条件4は、加熱温度が実験例1〜10は80℃、実験例11は100℃、加熱時間は30分である。
(2−4)[加熱処理後の剥離性]
2cmm×10cmの実験例で得られた粘着シートを準備し、その第1セパレータ5を剥離して露出させた粘着層を、第1被着体として準備したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm、3cm×15cm:ルミラーT60、東レ社製)の表面に貼付した。次いで、その第2セパレータを剥離して露出させた粘着層を、第2被着体として準備したガラス板(厚み1.5mm、3cm×15cm)の表面に貼付した後、80〜100℃のオーブンで30分間加熱した。放冷後、室温(23℃)にて、粘着シートの粘着層が第1被着体及び第2被着体から剥離しているか否かを目視により評価した。評価は、剥離していた場合を「○」、剥離していなかった場合を「×」とした。
(2−5)[リワーク性]
5cm×5cmサイズの実験例で得られた粘着シートを準備し、その第1セパレータ5を剥離して露出させた粘着層を、被着体として準備したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm、10cm×10cm、ルミラーT60、東レ社製)の表面に2kgのローラーで貼り合せ、30秒以内に剥がしたとき、第2セパレータ7ごと粘着層がきれいに剥がれたものを「○」、第2セパレータ7が剥離し粘着層がフィルムに残ったものを「×」とした。
表2に示すように、実験例1、5、6、8、11の粘着シートは、熱膨張温度より10℃低い温度のときのタック値が3N以下であった。また、粘着層の加熱処理前の剥離力がa<a1≦b<a2≦b1の関係にあり、粘着層の加熱処理後の接合力がa3=b2であり、かつa3=b2<aの関係を満足していた。すなわち粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が関係A:a3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1を満足していた。その結果、加熱剥離性とリワーク性に優れたものとなった。
一方、実験例2〜4、7、9の粘着シートは、熱膨張温度より10℃低い温度のときのタック値が3N以上であり、粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が関係Aを満たすものではなかったため、実験例1、5、6、8、11の粘着シートと比べて加熱剥離性が劣るものとなった。
特に、実験例7の粘着シートは、粘着層の加熱処理前の剥離力がa<a1≦b<a2≦b1の関係になかったため、リワーク性も劣るものとなった。
また、実験例10の粘着シートは、熱膨張温度より10℃低い温度のときのタック値が3N以下であったが、粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が関係Aを満たすものではなかったため、加熱剥離性が劣るものとなった。さらに実験例10の粘着シートは、粘着層の加熱処理前の剥離力がa<a1≦b<a2≦b1の関係になかったため、リワーク性も劣るものとなった。
1…粘着シート、
3…粘着層、
3a…粘着層パターン、
5…第1セパレータ、
7…第2セパレータ、
10…第1粘着シート(7、3)、
11…第2粘着シート(12a、3a)、
11a…第2’粘着シート(12、3)、
12…第1被着体、
12a…第1被着体パターン、
14…第2被着体、
16…第3被着体、
16a…第3被着体パターン
20…第1積層体(10、12)、
22…第2積層体(20)、
24…第3積層体(7、12a、3a)、
26…第4積層体(11、14)、
26a…第4’積層体(11a、14)、26b…第4”積層体(11a、14)、
28…第5積層体(26、16)、
30…第6積層体(14、3a、12a、16a)、
100…両パターン群(12a、16a)。

Claims (5)

  1. 被着体との接触面の粘着力が加熱の前後で変化する粘着層を第1セパレータと第2セパレータの間に配置した粘着シートにおいて、
    前記粘着層は、少なくとも粘着剤と熱発泡温度が100℃以下の熱発泡剤を含有する粘着剤組成物により形成され、前記熱発泡温度より10℃低い温度のときにJIS−Z0237:2009に準拠した方法で測定したタック値が3N以下となるように調整されており、
    第1セパレータを下記条件1で剥離し、第2セパレータ上に粘着層を露出させた第1粘着シートを得たときの、第1セパレータの剥離力をaとし、
    第1粘着シートをその粘着層を対向させて第1被着体に重ね、第1積層体を得た後、第1積層体から第1粘着シートを下記条件2で剥離したとき、第1粘着シートの剥離力をa1とし、
    第1積層体に、下記条件3で加温しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体を得た後、25℃の環境下で第2積層体から第1粘着シートを剥離したときの、第1粘着シートの剥離力をa2とし、
    25℃の環境下で第2積層体から第2セパレータを剥離し、第1被着体上に粘着層を露出させた第2’粘着シートを得たときの、第2セパレータの剥離力をbとし、
    第2’粘着シートをその粘着層を対向させて第2被着体に重ねて第4’積層体を得た後、25℃の環境下で第4’積層体から第2粘着シートを剥離したときの、第2’粘着シートの剥離力をb1とし、
    第4’積層体に、下記条件4による加熱処理を施して第4”積層体を得た際の、この第4”積層体の第2’粘着シートと第2被着体との接合力をb2とし、また第4”積層体の第2被着体上に粘着層を露出させた第3粘着シートと第1被着体との接合力をa3としたとき、
    前記粘着層の加熱処理前の剥離力及び加熱処理後の接合力が、下記関係Aを満足していることを特徴とする粘着シート。
    条件1:剥離環境は25℃、剥離方向は第1セパレータの一端をその一端が向く方向と反対の方向となる180度の方向、剥離速度は300mm/分、剥離幅は25mm。
    条件2:剥離環境は25℃、第1積層体を得てから剥離開始までの時間は1分間以内。
    条件3:加える温度は40℃以上90℃以下、圧力は0.2〜1.5MPa、時間は1〜60秒。
    条件4:加熱温度は80℃以上100℃以下の範囲であって、条件3の加温処理の温度より10℃以上高い温度、加熱時間は15分以上。
    関係A:a3≒b2<a<a1≦b<a2≦b1。
  2. 前記粘着剤組成物は、さらに、重量平均分子量が800以上の粘着付与樹脂を含有する請求項1記載の粘着シート。
  3. 剥離力a、a1及びbは0.01〜0.45(N/25mm)であり、剥離力a2及びb1は0.25〜1.50(N/25mm)である請求項1又は2記載の粘着シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の粘着シートを用いた加工済み被着体の製造方法において、
    前記粘着シートから第1セパレータを引き離し、第2セパレータ上に粘着層を露出させた第1粘着シートを得た後、該第1粘着シートをその粘着層を対向させて第1被着体に重ね、第1積層体を得る第1工程と、
    第1積層体に、40℃以上80℃以下に加熱しながら一方の面を押圧する加温処理を施して第2積層体を得る第2工程と、
    第2積層体に断裁加工を施し、第2セパレータ上に第1粘着シートの粘着層と第1被着体を所定パターンで残存させた第3積層体を得る第3工程と、
    第3積層体から第2セパレータを引き離し、所定形状の第1被着体パターン上にそれと同一形状の粘着層パターンを露出させた第2粘着シートを得た後、該第2粘着シートをその粘着層パターンを対向させて第2被着体に重ね、第4積層体を得る第4工程と、
    第4積層体をその第1被着体パターンを対向させて、耐熱性が十分でないプラスチック基材を含む第3被着体に重ね、第5積層体を得る第5工程と、
    第5積層体に断裁加工を施し、第2被着体上に粘着層パターン及び第1被着体パターンを介して第3被着体を所定パターンで残存させた第6積層体を得る第6工程と、
    第6積層体に、80℃以上90℃以下の範囲であってプラスチック基材の耐熱温度より低く、かつ第1積層体に施した加温処理の温度より10℃以上高い温度で加熱する加熱処理を施して、粘着層パターンの表裏両面のタックを低下させ、これによって該粘着層パターンを第1被着体パターン及び第3被着体パターンからなる両パターン群と第2被着体から引き離し、該両パターン群による加工済み被着体を得る第7工程とを、有する加工済み被着体の製造方法。
  5. 第1工程後の第1積層体の、第1被着体に対する第1粘着シートの重ね位置が適切でなかった場合に、第1積層体から第1粘着シートを引き離し、第1被着体との重ね位置を変更した後、再び第1粘着シートを第1被着体に重ねて得られる第1積層体を第2積層体の処理に使用する請求項4記載の製造方法。
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