JP2015160351A5 - - Google Patents

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金属ラミネート用フィルム、ラミネート金属板および金属容器
本発明は、バリア機能を有する金属容器に関する。より具体的には、本発明は、金属ラミネート用フィルム、ラミネート金属板および金属容器に関する。
一斗缶などの一般的な金属缶では、TFS(ティンフリースチール)の内面側に保護フィルムを設けて金属を内容物から保護している。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニルなどが用いられている。
特開2000−6978号公報(特許文献1)には、飲料缶および食缶の容器として用いることができる耐圧性容器が開示されており、具体的には、内表面がポリプロピレンまたはポリエステルで被覆された金属板からなる金属蓋と、内表面がポリプロピレンまたはポリエステルで構成された容器胴体とがそれぞれ高周波溶着により接合された容器が開示されている。さらに、胴部にPP/バリアー基材/PPのラミネートフィルムを射出用金型内にインサートし、インサート成形によって胴部が作られることが開示されている。
特開2005−254627号公報(特許文献2)には、リベット加工やスコア加工などの一般加工性だけなく、熱処理後に行われる局部曲げ加工での加工性にも優れた缶蓋用ラミネート金属板として、一般加工性を満足するポリエステル系樹脂からなる主層と、局部曲げ加工性に優れたポリオレフィン系樹脂からなる副層が層状に重ねられた有機樹脂層が金属板に設けられたものが開示されている。
特開2008−213153号公報(特許文献3)には、飲料缶として、鋼板の外側表面に、特定の酸素透過係数および水蒸気透過係数を有する樹脂フィルムを設けた金属容器が開示されている。
特開2000−6978号公報 特開2005−254627号公報 特開2008−213153号公報
果汁、飲料、ソースなどの食品系内容物に対しては、特に高いバリア性が求められており、このようなバリア性を満足する汎用的な金属内装用のフィルムはポリフッ化ビニルフィルムである。しかしながら、ポリフッ化ビニルフィルムが内装された金属缶は、廃棄処分時において、有害フッ素化合物の問題を有する。そこで、ポリフッ化ビニルフィルムの代替えとなるような、内容物に対するバリア性を有する金属内装フィルムが求められている。
特開2000−6978号公報(特許文献1)に記載の、被覆された金属板から構成される容器は、金属板およびラミネートフィルム間の接着強度と、巻締部の接着強度との両方が十分であるものとして両立しない。
特開2005−254627号公報(特許文献2)に記載の缶においては、有機樹脂層が一般加工性および局部曲げ加工性に対する構成を有するに過ぎず、巻締部の接着強度が十分となるように構成されていない。
特開2008−213153号公報(特許文献3)に記載の飲料缶においては、樹脂フィルムが外側に設けられているため飲料缶内容物に接しない。このため、内容物成分に対するバリア機能を有しない。
そこで本発明の目的は、金属板に積層されて容器となった場合に、巻締部の接合強度が高く、かつ内容物に対するバリア性を担保することができる金属ラミネート用フィルムを提供することにある。
(1)
一局面に従う金属ラミネート用フィルムは、少なくとも、金属接着性樹脂である最表層と、バリア性樹脂である中間層と、熱溶着性樹脂である最裏層とを含む。
これによって、金属板に積層されて容器となった場合に、巻締部の接合強度が高く、かつ内容物に対するバリア性を担保することができる。
(2)
金属ラミネート用フィルムは、最表層と中間層との間、および、中間層と最裏層との間の少なくともいずれかに、ポリオレフィン層をさらに含んでよい。
これにより、金属ラミネート用フィルム自体のクッション性が良好となり、ラミネート時の圧着性が良好となる。また、ポリオレフィン層の耐水性が、バリア性樹脂層の吸湿量を少なくし、バリア性樹脂層の機能を維持しやすい。
(3)
金属製樹脂層は、ポリオレフィン、オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体、オレフィンと不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アイオノマー、およびオレフィンとカルボン酸ビニルエステルとの共重合体からなる群から選ばれてよい。
この場合、金属板との接着力を良好とすることができる。
(4)
バリア性樹脂は、ポリエステルであってよい。
この場合、金属板にラミネートされた場合において、金属板を保護するバリア性が良好である。
(5)
ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートおよび変性ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれてよい。
この場合、金属板にラミネートされた場合において、金属板を保護するバリア性がより良好である。
(6)
バリア性樹脂の融点は、好ましくは200度超285度以下、さらに好ましくは220度以上260度以下であってよい。
これによって、バリア性樹脂層が耐熱性に優れ、金属板へのラミネートおよび溶接缶としての製罐の工程においても、バリア性樹脂の層を維持しやすい。
(7)
バリア性樹脂は、非晶性樹脂であってよい。
これによって、アニール処理を行った場合であっても過度に結晶化しないため、適度な柔軟性を保つことができる。
バリア性樹脂のガラス転移温度は、30度以上130度以下であってよく、より好ましくは50度以上130度以下であってよい。
これによって、保管温度が高くなった場合においてもバリア性を維持しやすい。
(8)
中間層の厚みは、総膜厚の5%以上70%以下であってよく、より好ましくは10%以上50%であってよい。
これによって、バリア性樹脂を十分量備えることができるため、バリア機能をより好ましく確保することができる。
(9)
熱溶着性樹脂は、ポリオレフィン、変性ポリオレフィンおよびポリエステルからなる群から選ばれてよい。
これによって、金属板にラミネートされ缶として成形された場合に、巻締部における接着力を好ましく確保することができる。
(10)
熱溶着性樹脂は、非晶性樹脂であることが好ましい。
これによって、アニール処理を行った場合であっても結晶化しないため、接着性が保たれる。
(11)
最裏層は、エンボス加工がなされた最裏面を有する層、またはアンチブロッキング剤を含む層であることが好ましい。
これによって、金属ラミネート用フィルムの取り扱い時にフィルム同士の密着を防止し滑りが良くなる。
(12)
金属ラミネート用フィルムは、総膜厚が20μm以上400μm以下、好ましくは50μm超400μm以下、より好ましくは60μm以上200μm以下、さらに好ましくは65μm以上150μm以下である。
これによって、金属板に対する接着性、金属缶の内容物に対するバリア性および巻締部における接着性を好ましく確保するとともに、十分な膜厚によって強度も好ましく確保することができる。
(13)
金属ラミネート用フィルムは、未延伸であってよい。
この場合、フィルム自体が延伸条件によって生じうる不所望の影響を受けていない。
未延伸とすることで、ラミネート時の寸法変化が生じづらく、温度および時間などのラミネート条件の選択幅が広くなる。また成形性が良好となる。
(14)
他の局面に従うラミネート金属板は、(1)から(13)のいずれかに記載の金属ラミネート用フィルムと、金属接着性樹脂層を介して積層された金属板とを含む。
これによって、金属板に対する接着性、金属缶の内容物に対するバリア性および巻締部における接着性を好ましく確保することができる。
(15)
さらに他の局面に従う金属容器は、(14)に記載のラミネート金属板が、金属ラミネート用フィルムを内側にして巻締製罐されたものである。
この場合、巻締部において、ラミネート金属板同士が熱溶着性樹脂層の接合により一体化するため、巻締部の接着性に優れる。
(16)
金属容器には、液体食品が収容されてよい。
この場合、金属容器の液体食品に対する耐浸食性に優れる。
(17)
金属容器は、角型缶であってもよい。
この場合、容器の角部においても、金属ラミネート用フィルムの金属への優れた接着性が維持される。
本発明によって、金属板に積層されて容器となった場合に、巻締部の接合強度が高く、かつ内容物に対するバリア性を担保することができる金属ラミネート用フィルムを提供することができる。
第1実施形態にかかる金属ラミネート用フィルムが積層されたラミネート金属板の一例を示す模式的断面図である。 第2実施形態にかかる金属ラミネート用フィルムが積層されたラミネート金属板の他の例を示す模式的断面図である。 金属容器の一例を示す模式的一部切欠き斜視図である。 図3の金属容器の天板巻締部の断面拡大図および接合部分の層構成の拡大図である。 図3の金属容器のロックシーム部の断面拡大図の一例である。 図3の金属容器のロックシーム部の断面拡大図の他の例である。 金属容器のロックシーム部の他の例の断面拡大図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる金属ラミネート用フィルムが積層されたラミネート金属板の一例を示す模式的断面図である。
金属ラミネート用フィルム100は、金属板210の一方の表面に接触して積層され、ラミネート金属板200を形成する。
[金属板]
本実施形態において、金属板210は、鋼、アルミ、その他金属容器等に加工される金属であれば特に限定されない。鋼としては、具体的には、ブリキ、ステンレス鋼(SUS)、電解クロム酸処理鋼板(ティンフリースチール;TFS)などが挙げられる。
金属板の厚みは、たとえば100μm以上1,000μm以下、好ましくは150μm以上400μm以下である。100μm以上であることにより、容器の強度に優れ、1,000μm以下であることにより、容器の成形性に優れる。
[金属ラミネート用フィルム]
金属ラミネート用フィルム100は、金属板210側から、金属接着性樹脂層110、ポリオレフィン樹脂層120、接着性樹脂層130、バリア性樹脂層140および熱溶着性樹脂層150がこの順番で積層される。このうち、少なくとも金属接着性樹脂層110、バリア性樹脂層140および熱溶着性樹脂層150を必須とする。
金属ラミネート用フィルム100の膜厚は、たとえば20μm以上400μm以下、好ましくは50μm超400μm以下、より好ましくは60μm以上200μm以下、より好ましくは65μm以上150μm以下である。20μm以上であることにより、相対的にバリア性樹脂層140膜厚を十分に確保することができ、400μm以下であることにより、ラミネート金属板200の容器への成形時に、金属210との接着性を良好に保つことができる。
以下、それぞれの要素について詳述する。
[金属接着性樹脂層]
金属接着性樹脂層110を構成する金属接着性樹脂は、金属板との接着が可能な樹脂であれば特に限定されるものではない。
金属接着性樹脂は、例えば、引張破壊応力(JIS K−7162に準拠し測定)が10MPa以上、好ましくは15MPa以上の樹脂であることが好ましい。これにより、金属容器への成形において、金属板210と金属接着性樹脂層110との接着性が優れる。上記範囲の上限値は特に限定されないが、例えば50MPaである。
金属接着性樹脂は、金属との接着性に優れる、ポリα−オレフィン、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アイオノマー、およびα−オレフィンとカルボン酸ビニルとの共重合体からなる群から選ばれてよい。この中でも、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アイオノマー、およびα−オレフィンとカルボン酸ビニルとの共重合体は、金属との接着性により優れる点で好ましい。
ポリα−オレフィンのモノマーとなるα−オレフィンとしては、炭素数2以上8以下のα−オレフィン、特に、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。より具体的には、ポリα−オレフィンとしては、特に、ポリエチレン(例えば、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度)およびプロピレンが挙げられる。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体のコモノマーであるα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイタコン酸が挙げられる。他のコモノマーであるα−オレフィンは、上述の通りである(金属接着性樹脂として例示される以下の共重合体においても同様)。コモノマーの組み合わせは任意である。より具体的には、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体として、特に、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のコモノマーであるα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、上述のα,β−不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。低級アルキルエステルのアルキル炭素数は、1以上6以下であってよい。
アイオノマーは、上述の共重合体が分子鎖間で金属イオンによって架橋により中和された樹脂である。共重合体は、単独で、または複数種の組み合わせで用いられてよい。金属イオンとしては、亜鉛、マンガン、コバルトなどの遷移金属イオン;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオン;および、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオンが挙げられる。これらの金属イオンは、単独で、または複数種の組み合わせで用いられてよい。
また、アイオノマーとしては、上述の金属イオンによって架橋された樹脂が、さらに、カルボキシル基などの官能基を含む低分子(無水マレイン酸など)による付加または置換を受けて変性された変性体であってもよいし、上述の金属イオンによって架橋された樹脂と変性体との混合物であってもよい。
α−オレフィンとカルボン酸ビニルエステルとの共重合体のコモノマーであるカルボン酸ビニルエステルとしては、たとえば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニルなどが挙げられる。より具体的には、α−オレフィンとカルボン酸ビニルエステルとの共重合体としては、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
上述の樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
金属接着性樹脂の融点(JIS K−7121に準拠し、DSC法で測定、以下において同じ)は、金属ラミネート用フィルム100を構成する樹脂層の中で最も低いことが好ましい。例えば、60度以上150度以下、好ましくは70度以上125度以下、さらに好ましくは70度以上105度以下である。これによって、金属ラミネート用フィルム100を金属板210へラミネートする工程での加熱条件によって、他の層が溶融して層構造が乱れることを防ぐことができる。
金属接着性樹脂層110の膜厚は、金属ラミネート用フィルム100の例えば5%以上、40%以下、好ましくは5%以上25%以下である。これによって、金属板との接着力を良好とすることができる。たとえば、金属ラミネート用フィルム100を金属板210へラミネートする工程で加熱条件に供された後、製罐される工程でさらに加熱条件に供されても、金属接着性樹脂層110の厚みを好ましく保つことができるため、金属板210との接着力を良好に維持し続けることができる。
なお、以下においては、α−オレフィンを単に「オレフィン」と記載し、α,β−不飽和カルボン酸を単に「不飽和カルボン酸」と記載する。
金属接着性樹脂層110の表面は、金属板210との接着性向上のための表面加工がされていてよく、そのような表面加工としては、たとえば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、および薬液処理などの親水化処理から当業者が適宜選択することができる。
[ポリオレフィン樹脂層]
ポリオレフィン樹脂層120を構成するポリオレフィン樹脂は、クッション層として機能する。
ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)、メタロセン直鎖低密度ポリエチレン(メタロセンL−LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などが挙げられる。分岐構造を有するポリオレフィン樹脂は、柔軟性の観点から好ましい。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリオレフィン樹脂層120の層厚は、金属ラミネート用フィルム100の例えば10%以上、70%以下、好ましくは15%以上50%以下である。これによって、金属ラミネート用フィルム100を金属板210へラミネートする工程、および製罐工程において荷重される金属ラミネート用フィルム100への負荷に対して緩衝作用を発揮し、層構造を良好に維持し続けることができる。
ポリオレフィン樹脂層120は、上述のようにクッション層としてだけでなく、耐水性層としても機能しうる。ポリオレフィン樹脂層120の耐水性としては、例えば、水蒸気透過率(JIS K7129に準拠し測定)が200g/m2・24hr・atm 以下 (40℃/90%RH)(50μm当たり量)である。これによって、金属板210への水蒸気透過を抑制し、金属板210を防錆することができる。
[接着性樹脂層]
接着性樹脂層130を構成する接着性樹脂としては、上記のポリオレフィン樹脂層120と後述のバリア性樹脂層140とを接着させる樹脂であれば特に限定されるものではない。
例えば、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに当該変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体および混合物が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂は、主成分であるオレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸または酸誘導体との共重合体である。たとえば、ポリオレフィンを主鎖とし、不飽和カルボン酸または酸誘導体がグラフトした構造を有してよい。
ポリオレフィン主鎖としては、たとえば炭素数2以上8以下のα−オレフィンの重合体または共重合体が挙げられる。共重合体の場合、共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。たとえば、ポリオレフィン主鎖としては、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂と、他のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度タイプ(HDPE)、中密度タイプ(MDPE)、低密度タイプ(LDPE)、および直鎖低密度タイプ(L−LDPE)のポリエチレン、ならびにエチレン−αオレフィン共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレンと、他の少量のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。耐熱性の観点からは、ポリプロピレン構造であることが好ましい。
不飽和カルボン酸としては、二塩基性不飽和脂肪酸およびその無水物が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
酸誘導体としては、無水物、アミド、およびエステルが挙げられ、より具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記の樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
[バリア性樹脂層]
バリア性樹脂層140を構成するバリア性樹脂は、製罐後の内容物に対するバリア機能を有する樹脂である。つまり、バリア性樹脂は、内容物の成分のバリア層外部への影響、または、バリア層外部の性質の内容物への影響を遮断または吸収することができる樹脂である。バリア機能としては、酸素、蒸気および臭気などに対する耐性(ガスバリア機能)、水、および塩などの物質に対する耐性、ならびに、酸および塩基などの性質に対する耐性が挙げられる。
バリア層140を構成する樹脂のいくつかの例として、ポリエステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ビニルアルコール共重合体;EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、バリア対象となる性質に応じて、当業者が適宜選択することができる。
上記樹脂のうち、ポリエステル系樹脂は、食品系収容物中の成分による金属板210の腐食防止能の点で好ましい。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸と、ジオールおよび3官能以上のポリオールからなる群から選ばれる多価アルコールの重縮合で得られる共重合体、または、ポリグリコール酸である。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で、または複数の組み合わせで用いられてよい。好ましくは、ポリエステル系樹脂中、ジカルボン酸成分として実質的にテレフタル酸単位のみ、または、テレフタル酸単位を主成分とし、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸成分を副成分として含む。
ジカルボン酸成分に副成分を含む場合、副成分となるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸単位以外であればよいが、イソフタル酸単位であることが好ましい。主成分(テレフタル酸単位)に対する副成分のモル比(副成分/主成分)は、たとえば0/100超20/80未満、好ましくは5/95以上15/85以下である。それぞれの成分を上記範囲とすることによって、結晶化を抑制することができ鋼鈑とのラミネート性を安定化することができる。
ジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのジオールは、単独で、または複数の組み合わせで用いられてよい。好ましくは、ポリエステル系樹脂中、ジオール成分として実質的にエチレングリコール単位のみ、または、エチレングリコール単位を主成分とし、エチレングリコール単位以外のジオール成分を副成分として含む。3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アダマンタントリオール、ポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
多価アルコール成分に副成分を含む場合、副成分となるジオール成分としては、エチレングリコール単位以外であればよいが、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位およびネオペンチルグリコール単位の少なくともいずれかであることが好ましい。主成分(エチレングリコール単位)に対する副成分のモル比(副成分/主成分)は、たとえば0超50/50以下、好ましくは0超35/65以下、より好ましくは0超10/90以下である。それぞれの成分を上記範囲とすることによって、結晶化速度を低下させ製罐時での割れの発生を抑制できるとともに、バリア性の低下も防止できる。
ポリエステル系樹脂は、上述の中でも、ポリエチレンテレフタレート、および変性ポリエチレンテレフタレート(ジオール成分中エチレングリコール単位を65モル%以上、およびジカルボン酸成分中テレフタル酸単位を80モル%以上の少なくともいずれかを満たす)から選択されることが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂は、単独で用いられてもよいし、複数が組み合わせて用いられてよい。
エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物は、エチレン含有率がたとえば20モル%以上50モル%以下である。これにより、押出しによる薄膜加工性が向上し、厚み精度および表面の均一性を良好とすることができる。また、ケン化率は、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。エチレン共重合率およびケン化率を上記範囲内に保つことにより、押出性および強度を良好なものとすることができる。
ポリアクリロニトリル系樹脂は、アクリロニトリル含有率が85質量%以上であることが好ましい。アクリロニトリル含有率が85質量%を下回ると、所望の酸素バリア性の効果の発現が困難となる傾向にある。ポリアクリロニトリルのコポリマーとしては、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、およびスチレン等から選択される。これらのコポリマーは、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドが挙げられる。
バリア性樹脂の融点は、200度超285度以下であってよい。これによって、バリア性樹脂層が耐熱性に優れ、金属板へのラミネートおよび溶接缶としての製罐の工程においても、バリア性樹脂の層を維持しやすい。また、バリア性樹脂層140は金属板210と直接的に接触しない中間層として構成されるため、金属に直接接触させるための低融点の樹脂である必要がなく、高融点の樹脂が広く許容される。このため、バリア性に優れる樹脂の選択がより広く可能となる。
バリア性樹脂のガラス転移温度は、たとえば25度以上100度以下である。25度以上とすることにより、良好なバリア性を確保することができ、100度以下とすることにより、金属とのラミネート温度で軟化し良好なラミネート適正を得ることができる。本発明においては、バリア樹脂は、結晶性且つガラス転移温度が30度以上、より好ましくは60度以上であるものが最も好ましいが、結晶性且つガラス転移温度が30度未満であってもよい。結晶性樹脂は、バリア性が高い点で好ましい。
さらに、バリア性樹脂は非晶性樹脂または低結晶性樹脂であってもよい。これによって、アニール処理を行った場合であっても過度に結晶化しないため、適度な柔軟性を保つことができる。一般に非晶性樹脂は結晶性樹脂と比べてバリア性が相対的に低い傾向があるが、バリア性樹脂として非晶性のポリエステル系樹脂を選択した場合、結晶性のポリオレフィンよりもバリア性は高くなる。
バリア性樹脂層140の膜厚は、金属ラミネート用フィルム100の例えば10%以上、60%以下、好ましくは20%以上45%以下である。10%以上であることにより、バリア機能を具備することができる。これは、特にバリア性樹脂として非晶性または低結晶性の樹脂を用いた場合に、バリア機能を確保しやすい点で有用である。また、60%以下であることにより、フィルムの押出性が良好となる。
バリア性樹脂が酸素バリア機能を有する樹脂、たとえば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EvOH)、ポリメタキシレンアジパミド(MxNy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)である場合、酸素透過量は、0.1cc/cm・day・atm以上100cc/cm・day・atm以下(50μm当たり量)であることが好ましい。上記範囲とすることによって、食品を脱酸素状態に保ち、食品からの酸素に対する耐性を具備することができる。なお、酸素透過量は、JIS K7126法に準拠した酸素透過試験に基づき、MOCON社製OXTRAN−TWINを使用し、温度23度、湿度65%RHの条件下で測定される量である。
本発明においては、さらに、金属板210に対する酸素バリア性を補助するための要素を付加してもよい。たとえば、酸素吸収剤を樹脂中に加えることができる。
バリア性樹脂が水蒸気バリア機能を有する樹脂、たとえば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、石油樹脂である場合、水蒸気透過量(JIS K7129に準拠し測定)は、200g/m2・24hr・atm以下(40℃/90%RH)(50μm当たり量)であることが好ましい。上記範囲とすることによって、食品からの水分に対する耐性を確保することができる。
[熱溶着性樹脂層]
熱溶着性樹脂層150を構成する樹脂としては、熱溶着によって接合可能な熱溶着性樹脂であれば特に限定されるものではない。
熱溶着性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)、メタロセン直鎖低密度ポリエチレン(メタロセンL−LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)などが挙げられる。分岐構造を有するポリオレフィン樹脂は、柔軟性の観点から好ましい。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
変性ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに当該変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体および混合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂は、主成分であるオレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸または酸誘導体との共重合体である。たとえば、ポリオレフィンを主鎖とし、不飽和カルボン酸または酸誘導体がグラフトした構造を有してよい。
ポリオレフィン主鎖としては、たとえば炭素数2以上6以下のα−オレフィンの重合体または共重合体が挙げられる。共重合体の場合、共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。たとえば、ポリオレフィン主鎖としては、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはプロピレンと、他のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリエチレン構造としては、高密度タイプ(HDPE)、中密度タイプ(MDPE)、低密度タイプ(LDPE)、および直鎖低密度タイプ(L−LDPE)のポリエチレン、ならびにエチレン−αオレフィン共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリプロピレン構造としては、アイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレンと、他の少量のα−オレフィンと、のランダムおよび/またはブロック共重合体、具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。耐熱性の観点からは、ポリプロピレン構造であることが好ましい。これらの樹脂は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、二塩基性不飽和脂肪酸およびその無水物が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
酸誘導体としては、無水物、アミド、およびエステルが挙げられ、より具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とジオールとの重縮合で得られる共重合体、または、ポリグリコール酸である。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で、または複数の組み合わせで用いられてよい。
ジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で、または複数の組み合わせで用いられてよい。
上記ポリエステル系樹脂は、単独で用いられてもよいし、複数が組み合わせて用いられてよい。
熱溶着性樹脂は、非晶性であることが好ましい。したがって、非晶性ポリオレフィン、非晶性変性ポリオレフィン、および非晶性ポリエステルなどの非晶性樹脂であることが好ましい。これによって、アニール処理を行った場合であっても過度に結晶化しないため、接着性が保たれる。
また、熱溶着性樹脂がポリオレフィンおよび変性ポリオレフィンから選択される場合は、融点が170度以下、さらに好ましくは140℃以下、さらに好ましくは125℃以下の結晶性樹脂であってもよい。低融点になることで低温での溶着が可能となり、生産性を向上することができる。
熱溶着性樹脂層150は、最裏面がエンボス加工されていることが好ましい。または、熱溶着性樹脂層150を構成する熱溶着性樹脂に、アンチブロッキング剤を含んでいることが好ましい。これらの場合、最裏面のぬれ指数は、たとえば25ダイン/cm以上50ダイン/cm以下、好ましくは30ダイン/cm以上43ダイン/cm以下である。これによって、金属ラミネート用フィルムの取り扱い時にフィルム同士の密着を防止し滑りが良くなる。また、製罐後の内容物中の成分の選択的吸着を抑制することもできる。
熱溶着性樹脂150の最裏面は、滑り性向上のための表面加工がされていてよく、そのような表面加工として、たとえばエンボス加工が挙げられる。滑り性向上のためには、熱溶着性樹脂にアンチブロッキング剤を含ませてもよい。アンチブロッキング剤としては、特に限定されないが、たとえばシリカ、ケイ酸アルミニウムなどの無機粒子、およびポリエチレンビーズ、ポリテトラフルオロエチレン粒子などの有機粒子が挙げられる。アンチブロッキング剤は、熱溶着性樹脂に対してたとえば0.001重量%以上3重量%以下の量で含ませることができる。
熱溶着性樹脂層150の膜厚は、金属ラミネート用フィルム100の例えば5%以上、50%以下、好ましくは15%以上40%以下である。これによって、巻締部形成の工程まで熱溶着性樹脂層を好ましく維持することができる。
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態にかかる金属ラミネート用フィルムが積層されたラミネート金属板の一例を示す模式的断面図である。
金属ラミネート用フィルム100aは、金属板210の一方の表面に接触して積層され、ラミネート金属板200aを形成する。
金属ラミネート用フィルム100aは、バリア性樹脂層140の積層位置が、ポリオレフィン樹脂層120よりも金属板210側である点で第1実施形態と異なる。この態様は、ポリオレフィン樹脂層120が有する耐水性機能によって、バリア性樹脂層140の吸湿を抑制しやすい点で好ましい。
[他の例]
第1実施形態では、金属接着性樹脂層110とバリア性樹脂層140との間にポリオレフィン樹脂層120を含む例を挙げ、第2実施形態では、バリア性樹脂層140と熱溶着性樹脂層150との間にポリオレフィン樹脂層120を含む例を挙げたが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
たとえば、ポリオレフィン樹脂層120は、金属接着性樹脂層110とバリア性樹脂層140との間およびバリア性樹脂層140と熱溶着性樹脂層150との間の両方に含まれていてもよい。
また、ポリオレフィン樹脂層120は、本発明の金属ラミネート用フィルムに含まれていなくてもよい。
さらに、接着性樹脂層130を積層する場所は、他の層の積層順と構成樹脂の特性とに応じて、当業者が適宜決定することができる。
以下において、金属ラミネート用フィルムの製造、ラミネート金属板の製造、金属容器、および金属容器の製造について、第1実施形態の金属ラミネート用フィルム100を例に挙げて説明する。当然ながら、以下の記載は、金属ラミネート用フィルム100について限定されるものではなく、第2実施形態の金属ラミネート用フィルム100a、他の例における金属ラミネート用フィルムその他の本発明の金属ラミネート用フィルム全般に適用される。
[金属ラミネート用フィルムの製造]
金属ラミネート用フィルム100は、たとえば、金属接着性樹脂層110製膜用樹脂組成物と、ポリオレフィン樹脂層120製膜用樹脂組成物と、接着性樹脂層130製膜用樹脂組成物と、バリア性樹脂層140製膜用樹脂組成物と、熱溶着性樹脂層150製膜用樹脂組成物とを、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、もしくは共押出Tダイ法を用いて製膜することによって得ることができる。共押出Tダイ法を用いる場合、適切なフィードブロックとダイを使用することで製膜することができる。共押出Tダイ法は、金属ラミネート用フィルム100の厚さの制御および透明性の点から好ましい。
上記の他、金属接着性樹脂層110およびポリオレフィン樹脂層120の積層物と、バリア性樹脂層140および熱溶着性樹脂層150の積層物とを予め別々に製膜し、接着性樹脂または接着剤を用いてそれぞれの層をラミネーター等により互いに接着する方法によって、金属ラミネート用フィルム100を得てもよい
金属容器]
図3は、本実施形態にかかる金属容器の一例を示す模式的一部切欠き斜視図である。金属容器300は、角型の一斗缶である。
金属容器300は、胴板310、天板320および地板330から構成される3ピース缶である。本発明においては、少なくとも胴板310および地板330、好ましくは本実施形態のように胴板310、天板320及び地板330の全てが、ラミネート金属板200で構成される。胴板310は、角筒状に加工されロックシームまたはシーム溶接により接合部351が形成される。さらに、胴板310と天板320とは、天板巻締部352で接合されており、胴板310と地板330とは、地板巻締部で接合されている。
図4は、天板巻締部352の断面拡大図および接合部分の層構成の拡大図である。天板巻締部352においては、胴板310と天板320とが重ね合わされ、さらに容器外側へ巻きこまれた状態で圧着させられることによって接合されている。接合部分の層構成の拡大図に示されるように、胴板310と天板320とは、それぞれ金属ラミネート用フィルム100,100’が内装されるように重ね合わされる。さらに、銅板310に積層された金属ラミネート用フィルム100の構成層110,〜,150中の熱溶着性樹脂層150と、天板320に積層された金属ラミネート用フィルム100’の構成層110’,〜,150’中の熱溶着性樹脂層150’とが、熱融着によって一体化している。これによって、天板巻締部352において隙間なくシールされる。
なお、金属ラミネート用フィルム100と金属ラミネート用フィルム100’とをそれぞれ構成する層は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
地板巻締部においても、同様に、胴板310と地板330とが重ね合わされ、さらに容器外側へ巻きこまれた状態で圧着させられることによって接合されている。
図5は、シーム溶接による溶接部の断面拡大図の一例である。シーム溶接による接合部351においては、胴板310(図3参照)の端部同士が重ね合わされる。胴版310の重ね合わせ部分付近のラミネート金属板200は、金属ラミネート用フィルム100が積層されておらず金属板210が露出しており、露出した金属板210の一部が溶接Wにより接合されている。さらに、胴版310の重ね合わせ部分付近の露出した金属板210は、補修フィルムMで覆われている。
補修フィルムMは、バリア性樹脂層を有する多層構造であることが好ましい。具体的には、補修フィルムMは、金属ラミネート用フィルム100の総厚の150%以上200%以下の総厚を有してよく、図5に示すように、金属ラミネート用フィルム100と同様の層構成及び相対層厚比を有してよい。金属ラミネート用フィルム100の各層を構成する樹脂と、補修フィルムMの各層を構成する樹脂とは、同一物質であってもよいし、互いに異なる物質であってもよい。
図5における補修フィルムMのシール面側に位置する金属接着性樹脂層110としては、金属210のみならず、金属ラミネート用フィルム100の熱溶着性樹脂層150にも接着可能な樹脂の層が選択される。
図6は、シーム溶接による溶接部の断面拡大図の他の例である。図6における補修フィルムMは、シール面側に熱溶着性樹脂層150が位置するように用いられる。この態様は、熱溶着性樹脂層150が非晶性樹脂である場合において好ましい。この場合、補修フィルムMのシール面側に位置する熱溶着性樹脂層150は、金属ラミネート用フィルム100の熱溶着性樹脂層150と溶着するとともに、金属210にも接着する。
図7は、ロックシームによる接合部351bの断面拡大図である。接合部351bは、天板巻締部352および地板巻締部に準じた巻締処理がなされている。したがって、金属ラミネート用フィルム100の熱溶着性樹脂層150(図4参照)が、熱融着によって一体化された状態で接合しており、ロックシーム部351bは隙間なくシールされている。
[金属容器の製造]
金属容器300は、次のように製造することができる。たとえば、ラミネート金属板200を所定の大きさに切断して胴板310、天板320および地板330を用意する。天板320には充填孔加工と手環付けとを施す。胴板330を角筒状に接合してロックシーム部351を形成し、さらに、各筒状の胴板330と天板320および地板330のそれぞれとを合わせて縁折して巻締め、巻締部を高周波加熱等の加熱法によって熱溶着(たとえば250℃、1秒未満)し、天板巻締部352および地板巻締部を形成する。
金属容器300は、上述の容量のものに限られるものではなく、たとえば、1.3L、4L、または5Lの容量のものであってもよい。また、金属容器300は角型であるが、この態様に限られるものではなく、円型その他任意の型であってよい。
金属容器300の角筒状胴板310における角部分の曲率は、容器容量によって変わりうるが、たとえば1mm以上100mm以下、好ましくは3mm以上50mm以下である。上記範囲とすることによって、角型形状のメリットを得るとともに、角部において、金属板210と金属ラミネート用フィルム100との間の接着強度を良好に保つことができる。
本発明の金属容器300は、特に、飲料、果汁、ソースなどの液体食品の収容に適しているが、その他の収容物の例として、界面活性剤、顔料、染料、アルコール、農薬、油脂類その他の化学品、および、食油その他の食品が挙げられる。
[実施例1]
ION/PE/AD1/バリア性樹脂/AD2の層構成を有する金属ラミネート用フィルムを調製した。
ここで、IONには、アイオノマー(三井・デュポンポリケミカル社製 ハイミラン 1650、Tm96℃、軟化点−60℃超)、PEにはポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製 ユメリット1520F、Tm1140℃)、AD1には変性ポリオレフィン(三井化学社製 モディックF535、Tm122℃)、バリア性樹脂にはポリエチレンテレフタレートhomo-PET(三菱化学社製GM700Z、Tm248℃、Tg73℃、昇温時結晶化温度Tc140℃(いずれも本発明者による実測値))、AD2には変性ポリオレフィン(三菱化学社製 モディックF535、Tm122℃)を用いた。なお、本発明者による実測値は、示差走査熱量測定(DSC)により、0℃〜300℃まで、昇温速度5℃/minの条件で測定して得た。
金属ラミネート用フィルムは、上述の樹脂を共押出法により多層フィルムとして製膜した。製膜の際、溶融樹脂を冷却する工程で、AD2の最裏面側に凹凸を表面に有するエンボスロールを密着させ、当該最裏面にエンボス加工を行った。
得られた金属ラミネート用フィルムの総厚は72μm、ION層は10μm、PE層は15μm、AD1層は7μm、バリア性樹脂層は30μm、AD2層は10μmであった。
得られた金属ラミネート用フィルムを、ガスバーナで加熱した220μmの鋼板(TFS)にラミネートし、ラミネート金属板を作製した。
[実施例2]
バリア性樹脂として、ジオール成分としてエチレングリコール単位を5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を5モル%含む変性ポリエチレンテレフタレートco-PET(SKケミカル社製 BR8040、Tm235℃、Tg75℃、Tc150℃(いずれも本発明者による実測値))を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてラミネート金属板を作製した。
[実施例3]
バリア性樹脂として、ジカルボン酸成分として変性ポリエチレンテレフタレートPET-I(SABIC社製BC112、Tm250℃、Tg75℃、Tc130℃)を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてラミネート金属板を作製した。
[実施例4]
バリア性樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製 F171B、Tm183℃、Tg57℃、Tc156℃)を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてラミネート金属板を作製した。なお、実施例5における金属ラミネート用フィルムの総厚は70μm、バリア性樹脂層は10μm、残りの層の厚みは相互比率が実施例1と同様であった。
[実施例5]
AD1樹脂として、変性ポリオレフィン(三井化学社製 モディックF515A、Tm120℃)、AD2樹脂として、非晶性ポリエステルであるPETG(SKケミカル社製 S2008 Tg80℃)を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてラミネート金属板を作成した。得られた金属ラミネート用フィルムの総厚は70μm、ION層は10μm、PE層は12μm、AD1層は8μm、バリア性樹脂層は25μm、AD2(非晶性ポリエステル)層は15μmであった。
[比較例1]
金属ラミネート用フィルムとして、金属接着面がコロナ処理された、厚み70μmのポリプロピレンフィルムを用いたことを除いて、実施例1と同様にしてラミネート金属板を作製した
腐食試験>
作製したラミネート金属板を、以下の条件Aから条件Dに供し、鋼板の腐食の程度を観察した。
条件A:
ラミネート金属板の一部を、カラメルIV類(pH4.0)に、45℃環境下で1カ月浸漬した。
条件B:
ラミネート金属板の一部を、天野実業製カラメルI類TF(pH4.2)に、45℃環境下で1カ月浸漬した。
条件C:
ラミネート金属板の一部を、天野実業製カラメルIII類G−AT(pH4.3)に、45℃環境下で1カ月浸漬した。
条件D:
ラミネート金属板の一部を、天野実業製カラメルIV類TB(pH4.8)に、45℃環境下で1カ月浸漬した。
なお、カラメルI類は、でん粉加水分解物、糖蜜もしくは糖類の食用炭化水素を、熱処理して得られたもの、または、酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものであり、かつ、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を使用せずに製造したものである。
カラメルIII類は、でん粉加水分解物、糖蜜もしくは糖類の食用炭化水素に、アンモニウム化合物を加えて、または、これに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものである。
カラメルIV類は、でん粉加水分解物、糖蜜もしくは糖類の食用炭化水素に、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を加えて、または、これに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものである。
鋼板の腐食を、以下のように評価した。
目視にて、鋼板の変色、フィルムの剥離、および水泡の発生の少なくともいずれかが明確に確認された場合を「×」、わずかに確認された場合を「△」、全く確認されなかった場合を「○」と評価した。これらの評価は、カラメルに直接浸漬された部分(液相接触部、表中「液」と表示する。)とカラメルに浸漬されていない部分(気相接触部、表中「気」と表示する。)との両方について行った。
Figure 2015160351
表1のように、実施例1および実施例2で得られたラミネート金属板は、優れた腐食耐性を示した。
Figure 2015160351
表2のように、実施例3で得られたラミネート金属板は、優れた腐食耐性を示した。
Figure 2015160351
表3のように、実施例4で得られたラミネート金属板は、特に液相接触部において優れた腐食耐性を示した。
Figure 2015160351
表4に示すように、実施例5で得られたラミネート金属板は、優れた腐食耐性を示した。
以上の表1から表4は、比較例に比べて特に優れた効果が得られたものについて示したが、実施例1から実施例4で得られたラミネート金属板は、他の条件(具体的には、カラメルI類(pH2.3),カラメルIII類(pH5.3)、および天野実業製カラメルI類SW(pH5.7))に供した場合であっても、気相接触部および液相接触部の両方で、同様の優れた腐食耐性を示したことを確認した。
また、実施例4で得られたラミネート金属板は、天野実業製カラメルIII類G−AT(pH4.3)に供した場合であっても、特に気相接触部において、同様の優れた腐食耐性を示したことを確認した。
さらに、実施例5で得られたラミネート金属板は、カラメルI類(pH2.3),カラメルIII類(pH5.3)に供した場合であっても、気相接触部および液相接触部の両方で、同様の優れた腐食耐性を示したことを確認した。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
100 金属ラミネート用フィルム
110 金属接着性樹脂層
120 ポリオレフィン樹脂層
130 接着性樹脂層
140 バリア性樹脂層
150 熱溶着性樹脂層
210 金属板
200 ラミネート金属板
300 金属容器
352 天板巻締部
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