JP5256984B2 - 共押出多層フィルム - Google Patents
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Description
本発明に係る共押出多層フィルムはポリエチレン系樹脂を主成分とするシーラント層(A)と融点が155℃以上であるプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を混合してなる支持層(B)との少なくとも2層により構成される。
関係式1:Ta−Tb≧25(℃)
即ち、この共押出多層フィルムは、シーラント層(A)とこれに隣接する支持層(B)の少なくとも2層で構成される共押出多層フィルムである。
シーラント層(A)には、ポリエチレン系樹脂を主成分とする、即ちポリエチレン系樹脂を最も多く含む樹脂組成物用いる。このような樹脂組成物はポリエチレン系樹脂を単独で用いても良いし、他の目的に応じて本願発明の効果が得られる範囲で他の樹脂や無機充填剤等を含むものであっても良い。
シーラント層(A)に用いられる前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状のポリエチレン樹脂として密度dが0.940以上の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、α−オレフィンとの共重合ポリマーである直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、密度dが0.910以下の超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)、また、分岐状ポリエチレン樹脂として低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、極性モノマーとのコポリマーである、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート樹脂(EEA)、エチレン−メチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレン−メタクリル酸樹脂(EMAA)または、これらの分子間をナトリウムや亜鉛などの金属のイオンで分子間結合したアイオノマー樹脂(ION)、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂(EAA)または、これらの分子間をナトリウムや亜鉛などの金属のイオンで分子間結合したアイオノマー樹脂、また、エラストマーとしてエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、塩素化ポリエチレンなどを単独で、或いは混合して用いてよい。これらの中でも透明性、製膜加工性の観点からはLLDPE、LDPE、EVA、EMAA、IONが好ましい。
支持層(B)にはポリエチレン系樹脂、及びプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物を用いる。支持層(B)に使用されるポリエチレン系樹脂としては、シーラント層(A)と支持層(B)の層間界面付近において、層間若しくは、凝集破壊により剥離を生じさせるとの 観点から、その融点(Tb)が、支持層(B)に使用されるプロピレン系樹脂の融点(Ta)と下記関係式1を満たすもの、即ち前記プロピレンに比べてその融点が25℃以上低い、実質的には、プロピレンの単独重合体、所謂、ホモタイプのポリプロピレン樹脂が好ましい。あればよい。具体的には前記シーラント層について記載したポリエチレン系樹脂の内、当発明の基準を満たすものがいずれも採用でき、各種ポリエチレン系樹脂の共重合樹脂も適宜使用してよい。また、支持層に用いられるポリエチレン系樹脂は、前記シーラント層に用いられる樹脂と同一であってもよく、また異なっていてもよい。また、使用する樹脂は単独であってもよく、2種以上を含む物でも良い。更に他の目的に応じて、本発明の効果が得られる範囲内で他の樹脂や無機充填材等を含むものであっても良い。なお、この共押出多層フィルムの支持層(B)側に10〜20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けてもよいし、また、底材として使用する場合には、100〜300μmのポリエチレンテレフタレート樹脂系、ポリエチレン樹脂系、ポリプロピレン樹脂系、ポリスチレン樹脂系といったフィルム、及びシートを同じく支持層(B)側に公知のドライラミネート法などにより設けても差し支えない。これらは延伸されたものであっても良いし、未延伸のものであっても構わない。
関係式1:Ta−Tb≧25(℃)
支持層(B)に含まれるポリプロピレン系樹脂としては、JIS K7121に定める示差走査熱量測定(DSC)の試験方法により測定された融点が155℃以上、170℃以下、好ましくは160℃以上、170℃以下であるポリプロピレン系樹脂を用いる。かかる樹脂としては、プロピレンの単独重合体、所謂、ホモタイプのポリプロピレン樹脂が好ましい。融点を上記範囲下限値以上とすることにより耐熱性が安定し隣接する支持層(B)との間で適切な剥離強度を得ることができる。また、融点を上記範囲上限値以下とすることにより同じく支持層(B)に含まれるポリエチレン系樹脂との融解温度の差が大きくならず、好適な押出し加工性を得ることができる。ポリエチレン系樹脂の融点の測定も同様に、JIS K7121に定める示差走査熱量測定(DSC)の試験方法により測定した融点で示される。
共押出多層フィルムの層構成は、本発明の各請求項に記載した要件を満たしていればこれらに限定するものではない。また、
本発明の共押出多層フィルムには、各樹脂層の層間強度を高める為に、シーラント層(A)と支持層(B)の層間以外には既に公知の接着性樹脂層を配置してもよい。接着性樹脂層に使用する接着性樹脂としては、例えば、EVA、エチレン−無水マレイン酸共重合体、EAA、EEA、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、あるいは、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸またはこれらの無水物をグラフトさせたもの、例えばマレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など、公知のものを適宜使用することができる。これらの接着性樹脂の中でもコスト、及び接着性の観点からはエチレン−無水マレイン酸共重合体やマレイン酸グラフト化ポリエチレンなどが好ましい。
また、本発明の共押出多層フィルムのシーラント層(A)及び、これに隣接する支持層(B)には、必要に応じて滑り性やブロッキングを防止、防曇性を付与する目的で適宜、公知の滑剤や添加剤を付与してもよい。その場合、本発明はこれらに限定されるものではないが好ましい例として、滑り性やブロッキング防止では、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の有機系滑剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機系滑剤を挙げることができる。その添加量としては透明性を阻害せずに効果を得るとの観点からは0.1重量%以上5重量%以下が好適であり、通常マスターバッチの形で加える。また、防曇性を付与する為には、既に公知の界面活性剤等を適宜、添加し使用することができる。
本発明の共多層フィルムの製膜方法については公知の共押出法によって多層、複合フィルムとしたものとする。
体などの気密性包装体の包装フィルムとして使用され、公知の深絞りの技術を適用して所
望の形状の蓋材、若しくは内容物を収容するために適宜、成形して底材とし、これに内容物を収容してヒートシールを行い製品化される。ヒートシールの温度は、特に限定するものではないが、通常、100〜150℃が好ましい。深絞り成形では、フィルムの片面より熱板による接触加熱を行い、フィルム全体が十分な熱量を与えられて軟化した時点で圧空または真空成形により金型通りの成形品を得る。その後、不活性ガスによる置換を施したり、真空脱気により包装体内の空気を除去した上、生肉などの生鮮食品、ハム、ソーセージ、ウインナー、ハンバーグなどの加工食品、その他惣菜、水産ねり製品などの内容物を底材に収容し蓋体とヒートシールすることで密封される。
(樹脂材料)
(1)OPETフィルム:
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム;帝人デュポンフィルム(株)製、テトロンフィルム GE
(2)PETG:共重合ポリエチレンテレフタレート;
イーストマンケミカルジャパン(株)製、GN071
(3)EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体
(株)クラレ製、エバールJU102B
密度1.17g/cm3 、メルトインデックス2.0g/10min(190℃測定)
融点183℃、エチレン含有量32モル%
(4)NY:6−ナイロン
宇部興産(株)製、宇部ナイロン1013B、密度1.14
(5)支持層(B):
(b1)低密度ポリエチレン樹脂、住友化学(株)製、スミカセンL211
密度0.924kg/m3 、MFR2.0g/10min(190℃測定)、融点113℃
(b2)ホモポリプロピレン樹脂:住友化学(株)製、ノーブレンFS2111DG3
密度0.910kg/m3 、MFR2.5g/10min(230℃測定)、融点158℃
(b3)ポリプロピレン系樹脂:住友化学(株)製、ノーブレンFH3315
密度0.910kg/m3 、MFR3.0g/min(230℃測定)、融点144℃
(6)シーラント層(A)
低密度ポリエチレン樹脂、住友化学(株)製、スミカセンL211
密度0.924kg/m3 、MFR2.0g/10min(190℃測定)、融点113℃
(7)APETシート
ポリエチレンテレフタレート製無延伸単層シート;東洋紡(株)製、PETMAX A
750FEIR
(8)アルミ蒸着OPET(VM−PET)フィルム:
二軸延伸アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム;東レフィルム加工(株 )製、1510(#12)
(9)OPPフィルム:
二軸延伸ポリプロピレンフィルム;東洋紡(株)製、パイレンフィルム−OTP200
2
(10)LLDPEフィルム
直鎖状低密度ポリエチレン無延伸フィルム;東洋紡(株)製、LIX−NP L410
3
後記表1の樹脂配合、層構成にて6層構成の多層フィルムを作製した。PETG/EVOH/NY/支持層(B)/シーラント層(A)の順の層構成で押出加工して積層を行い、さらにOPETをドライラミネート法により積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは102μmであった。
支持層の樹脂配合を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは102μmであった。
後記表1の樹脂配合、層構成にて4層構成の多層フィルムを製膜した。NY/支持層(B)/シーラント層(A)の順の層構成で押出加工して積層を行い、さらにOPETをドライラミネート法により積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは45μmであった。
支持層の樹脂配合を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。さらにOPETをドライラミネート法により積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは102μmであった。
支持層の樹脂配合を表1に記載のとおりに変更し、シーラント層の厚みを表1に記載のとおり15μmとした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製造した。さらにOPETをドライラミネート法により積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは112μmであった。
後記表1の樹脂配合、層構成にて5層構成の多層フィルムを作製した。EVOH/NY/支持層(B)/シーラント層(A)の順の層構成で押出加工して積層を行い、さらにAPETをドライラミネート法により上記の多層フィルムのEVOH側に積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは250μmであった。
後記表1の樹脂配合、層構成にて4層構成の多層フィルムを作製した。EVOH/NY/支持層(B)/シーラント層(A)の順の層構成で押出加工して積層した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは150μmであった。
実施例2において、支持層のホモポリプロピレン樹脂の代わりにエチレン−ポリプロピレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、ノーブレンFH3315)とした以外は実施例2と同様にして多層フィルムを製造した。得られたフィルムの各層厚み(μm)は表1に示すとおりであり、全体の厚さは102μmであった。その結果、シーラント層(A)と支持層(B)の層間強度が強く、適度な密封強度を得ることができなかった。また、多層フィルムのヘーズが増大し透明性が優れず、毛羽の発生が目立った。開封前後でのヘーズの変化が小さく、有効な改竄防止効果も得られなかった。
実施例5において、支持層のホモポリプロピレン樹脂の代わりにエチレン−ポリプロピレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、ノーブレンFH3315)とした以外は実施例5と同様にして多層フィルムを製造した。その結果、シーラント層(A)と支持層(B)の層間強度が強く、適度な密封強度を得ることが出来なかった。また、開封前後でのヘーズの変化が小さく、有効な改竄防止効果が得られなかった。
実施例1〜5および比較例にて得られた多層フィルムについて、ムルチバッグ(株)製真空、及びガス置換包装機(R530シリーズ)を用い特性の評価を行った。縦200mm×横90mm×深さ25mmの大きさの容器を形成し、層構成が非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂/接着剤/EVOH/接着剤/ポリエチレン樹脂(各層厚みが250/5/30/5/10μm、合計厚みが300μm)よりなる形成加工された長方形のトレーに、内容物としてスイスハム80gを充填した。この容器に前記の多層フィルムを蓋材としてヒートシール(135℃×1.5秒、シール圧力0.5MPa)して包装体を得た。この包装体の開封時の状態について以下の基準で評価した。結果を表1にまとめて示す。
良好:繊維状のフィルム片などは確認されず、良好な開封性が確認できた。
発生:繊維状のフィルム片が多く発生し、目立つ。
無し :多層フィルムの層間に於いて、フィルム剥がれ、破れの発生がない。
一部発生:多層フィルムの層間に於いて、フィルム剥がれが部分的に発生した。
適当:モニター10名による開封試験で、6名以上が適度な堅さと判定した。
堅い:モニター10名による開封試験で、6名以上が重い・硬いと判定した。
軽い:モニター10名による開封試験で、6名以上が軽すぎると判定した。
Claims (5)
- 密度が0.924g/cm3以上であるポリエチレン系樹脂を主成分とするシーラント層(A)と、前記シーラント層(A)に隣接し融点が155℃以上であるプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む支持層(B)との少なくとも2層により構成されてなる共押出多層フィルムであって、 前記プロピレン系樹脂の配合量が前記支持層(B)中の全樹脂成分に対して5〜45重量%であり、
前記シーラント層(A)とこれに隣接する支持層(B)を剥離させた際の多層フィルムのヘーズ(測定方法:JIS K7105)が、剥離前に比較して10%以上の増加を生じることを特徴とする共押出多層フィルム。 - 前記プロピレン系樹脂が、プロピレンの単独重合体である請求項1に記載の共押出多層フィルム。
- 前記支持層(B)中のプロピレン系樹脂の融点(Ta)と前記ポリエチレン系樹脂の融点(Tb)が下記関係式1を満たす請求項1または2記載の共押出多層フィルム。
関係式1:Ta−Tb≧25(℃) - 前記シーラント層(A)の厚みが1〜15μmであり、かつ多層フィルムの総厚みが30〜300μmである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の共押出多層フィルム。
- 蓋材(H)と底材(S)からなる包装体であって、前記蓋材(H)または前記底材(S)のいずれかが請求項1ないし4のいずれか1項に記載の共押出多層フィルムである包装体。
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