JP2023011272A - 熱融着性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層界面での密着力が高く、熱融着した際の貼り合わせ状態が良好となる、熱融着性積層フィルム、及びこれが巻回されたロールを提供する。【解決手段】 共押出により積層されたB層、A層、及びB層をこの順で含む熱融着性積層フィルムであって、前記A層は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下有する重合体A1を100~70質量%含有し、前記B層は、熱融着性ポリオレフィンB1を99~30質量%と、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上40モル%以下有する共重合体B2を1~70質量%とを含有する、熱融着性積層フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、基材層(以下「A層」という場合がある)の両面に、熱融着性層(以下「B層」という場合がある)が設けられた熱融着性積層フィルム、及びこれが巻回されたロールに関する。
熱融着性を有するフィルムやシートは、基材の少なくとも片側の最表面に、熱融着性層を設けた積層体であり、樹脂や金属からなる被着体に対して熱融着性層を貼りあわせる方式で、包装や補強などを目的として、様々な用途に用いられている。基材は、目的に応じて選択されるが、樹脂基材が用いられることが多く、求められる特性に応じて適切な樹脂が選定されている。
また、被着体に対して優れた密着力を得るためには、被着体と熱融着性層との間の密着力だけでなく、基材と熱融着性層との間にも高い密着力が要求される。これは、全体を引きはがす外部からの応力に対して、最も弱い密着力となる領域が破壊又は剥離されるためである。
一般的に、基材と熱融着性層等の機能層との間で優れた密着力を得るためには、基材表面をコロナ処理やプラズマ処理等により活性化させたり、基材表面に易接着層を設けたり、基材と熱融着性層との間に中間層を設けたりする方法が知られている(特許文献1~2)。
また、熱融着性層と基材との密着性が高い場合には、両層を構成する樹脂を共押出して、両層が直接接するように積層された積層体を製造する方法が知られている(特許文献3~4)。
さらに、基材層の耐熱性を高める目的で、基材層に4-メチル-1-ペンテン系重合体もしくは4-メチル-1-ペンテン系共重合体を用いると共に、基材層の密着力を高めるために、基材層に他の樹脂成分を含有する熱融着性積層フィルムも知られている。
例えば、特許文献5には、変性ポリオレフィンからなる2層の融着性層の間に、樹脂組成物(X)からなる基材層を含む電池部材用フィルムであって、樹脂組成物(X)が、4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)とポリプロピレン(C)とを含み、重合体(A)の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であるものが提案されている。
また、特許文献6には、変性ポリプロピレン系樹脂等を含む熱融着性樹脂層(A)と、同様の熱融着性樹脂層(B)との間に、耐熱性樹脂層(C)が設けられ、耐熱性樹脂層(C)が4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンの共重合体と、融点が30℃~110℃のα-オレフィン系樹脂(1)とを含有するタブリード用積層フィルムであって、
前記共重合体の含有量が40重量部以上90重量部以下であるものが提案されている。
国際公開WO2019/078134号公報 特許第6688574号公報 特許第6331468号公報 特許第2530732号公報 特開2016-126995号公報 特許第6484081号公報
しかしながら、特許文献5の発明では、基材層と熱融着性層との密着力を確保する必要性から、基材層に含まれる、ポリプロピレン(C)の含有量を一定以上にする必要があるため、熱融着を行なう際に、基材層の耐熱性や機械特性が十分なものとは言えなかった。
また、特許文献6の発明では、熱融着性樹脂層の樹脂組成が一般的なものであるため、基材層に融点が230℃以上の4-メチル-1-ペンテン系共重合体を用いる場合、融点が200℃以下の4-メチル-1-ペンテン系共重合体を併用しないと(実施例で使用されているHR-4、5)、HR-8を使用した比較例2のように、接着強度(密着力)が不十分となっていた。つまり、基材層の耐熱性や機械特性と密着力とを同時に改善することが困難であった。
そこで、本発明の目的は、積層界面での密着力が高く、熱融着した際の貼り合わせ状態が良好となる、熱融着性積層フィルム、及びこれが巻回されたロールを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ポリメチルペンテン樹脂を含む基材層と、熱融着性ポリオレフィン、及び4-メチル-1-ペンテンとそれ以外のα-オレフィンとの共重合体を含む熱融着性層とを共押出することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明には以下の内容が含まれる。
[1] 共押出により積層されたB層、A層、及びB層をこの順で含む熱融着性積層フィルムであって、
前記A層は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下有する重合体A1を100~70質量%含有し、
前記B層は、熱融着性ポリオレフィンB1を99~30質量%と、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上40モル%以下有する共重合体B2を1~70質量%とを含有する、熱融着性積層フィルム。
[2] 前記熱融着性ポリオレフィンB1についてDSCで測定した融解ピーク温度(但し、複数の融解ピーク温度を有する場合は最低値と最高値の中央値)を融点TmB1とするとき、TmB1+30℃の温度において10分間荷重3MPaを負荷した時の前記A層の膜厚変形率が5%以下である、[1]に記載の熱融着性積層フィルム。
[3] 前記重合体A1は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して100モル%有する、[1]又は[2]に記載の熱融着性積層フィルム。
[4] 前記A層は、前記重合体A1を100質量%含有する、[1]~[3]いずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
[5] 前記A層の膜厚をtA、前記B層の膜厚をtBとするとき、下記式(1)を満たす、[1]~[4]いずれかに記載の熱融着積層配向フィルム。
2≦tA/tB≦5 (1)
[6] 前記熱融着性ポリオレフィンB1が、酸無水物を用いて変性した変性物を含み、酸無水物含有量が0.1~3質量%であり、アセトンによる数平均分子量が1000以下の低分子量成分抽出量が1質量%未満であるポリオレフィンである、[1]~[5]いずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
[7] [1]~[6]いずれかに記載の熱融着性積層フィルムが長手方向に巻回されたロール。
本発明によれば、積層界面での密着力が高く、熱融着した際の貼り合わせ状態が良好となる、熱融着性積層フィルム、及びこれが巻回されたロールを提供することができる。
その理由の詳細は不明であるが、次ぎのように考えられる。4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を主体とする重合体A1を主成分とするA層は、1度固化した膜となってしまうと、結晶化度も高くなる傾向から、表面エネルギーが低く熱融着性樹脂層を十分に濡らすことも、また、熱融着性のB層をA層中に拡散させることも困難となり、難接着となってしまう。
しかし、A層とB層が溶融状態であれば、A層とB層に含まれる親和性の高い成分が界面で相互に拡散して密着を取ることも可能であるため、A層とB層を共押出して、溶融状態で積層せしめることで、各層間で高い密着力を発現させることができる。さらに、熱融着性のB層が金属等と貼り合わせられる際に良好な密着力を示すため、初期および湿熱環境下での耐久性を高めることができる。また、前記重合体A1は共重合成分が少ないことから、結晶化度を高めることができるため、延伸しない形態であっても、機械特性を高めることができ、熱融着性のB層を熱融着させる際に、A層の膜厚変形率を低減でき、しかも延伸していないことから、面内方向の熱変形率も低減させることができる。その結果、熱融着した際の貼り合わせ状態が良好となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、説明の便宜上、フィルムの製膜方向を、機械軸方向、縦方向、長手方向、MD方向と称することがあり、製膜方向と厚み方向とに直交する方向を、幅方向、横方向、TD方向と称することがある。また、本明細書中に記載された各種の物性等は、具体的には実施例に記載された方法で測定されるものである。
[熱融着性積層フィルム]
本発明の熱融着性積層フィルムは、共押出により積層されたB層、A層、及びB層をこの順で含む熱融着性積層フィルムである。つまり、この熱融着性積層フィルムは、基材層であるA層と、熱融着性層であるB層とを、B層、A層、及びB層の順で含んでいればよい。
このため、他の層を含んでいてもよく、例えば、B層の表面側に、保護フィルム、離型フィルム、カバーフィルム等を設けてもよく、また、被着体を予め片方の面に熱接着して設けたものでもよい。
また、熱融着性積層フィルムにおいては、B層、A層、及びB層が共押出により直接積層されていればよいが、各層に含まれる成分が相互拡散した状態や、B層に含まれる成分に濃度勾配が生じた状態も、各層の状態として想定される。特に、B層に含まれる共重合体B2が比較的少量であっても、密着力の改善効果が大きいことから、共重合体B2については、A層側で濃度が高くなるように濃度勾配が生じていると推測される。
本発明における「共押出により積層された」との特定は、製造方法により物の構造を特定するものであるが、次のように、当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在する。
3層の積層フィルムを共押出で製造する場合、先に製造した基材フィルムに他の2層を熱ラミネートしたものと、積層界面での密着性が相違するため、ミクロ構造的な相違を有することが明らかである。つまり、積層界面における分子をミクロ構造でみた場合に、各層の成分が相互に拡散・侵入した状態が異なるため、密着性が相違すると考えられる。しかし、拡散状態の差は程度の差であるため、このような状態の差を構造的に特定するのは困難である。
従って、従来技術との相違に係る構造又は特性を特定する文言を見いだすことができず、かつ、かかる構造又は特性を測定に基づき解析し特定することも不可能又は非実際的であるといえる。従って、本発明については、出願時において、当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在する。
以下、本発明の熱融着性積層フィルムの各構成について説明する。
[A層(基材層)]
基材層であるA層を構成する樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂は、目的とする用途において基材層に求められる特性に応じて選択可能であるが、過酷な湿熱環境で基材層自体の耐久性を具備するために、水分子の反応点になるような官能基を有していないこと、また、貼り合わせ時の熱や環境による熱に耐えるための融点が高いこと、が好ましい。
本発明では、かかる観点から、A層を構成する樹脂組成物の主成分として、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下有する重合体A1を含有する。
重合体A1は、A層中に100~70質量%含有していればよいが、A層の膜厚変形率や面内方向の熱変形率を低減させる観点から、重合体A1をA層中に100~80質量%含有することが好ましく、100~90質量%含有することがより好ましく、100質量%含有することが最も好ましい。つまり、A層中には他の樹脂A2を0~30質量%含有していてもよいが、同様の理由から、樹脂A2をA層中に0~20質量%含有することが好ましく、0~10質量%含有することがより好ましく、他の樹脂A2を含有しないことが最も好ましい。そして、このような含有量の範囲内であると、4-メチル-1-ペンテン系重合体による耐熱性の向上効果が得られ易く、かつ、結晶化速度が速いことを活かした硬いフィルムが得られやすい。
一方、基材層であるA層自体の熱融着性層に対する親和性を高める方が、両層の密着力をより高めることができる。このような観点から、重合体A1の含有量としては、95~75質量%であることが好ましく、90~80質量%がより好ましい。つまり、A層中には他の樹脂A2を0~30質量%含有していてもよいが、同様の理由から、樹脂A2をA層中に5~25質量%含有することが好ましく、10~20質量%含有することがより好ましい。このような含有量の範囲内であると、重合体A1による耐熱性の向上効果をある程度維持しながら、A層と熱融着性層の密着力をより高めることができる。つまり、重合体A1と他の樹脂A2との体積比率の関係から、重合体A1をマトリクスとして、十分な密着性を確保し易くなる。
基材層の融点をTmSとし、後述する熱融着性層を構成する樹脂の融点をTmHSとした場合、それらの差をΔT(=TmS-TmHS)として定義すると、ΔTが0~120℃の範囲にあることように組み合わせることが好ましく、10~100℃にあることがより好ましい。ΔTを0℃以上とすることで、例えば貼り合わせ時にかかる熱によって基材層が先に溶融することを防止できる。また、ΔTを120℃以下とすることで、押出機で溶融して厚み方向に積層する際に溶融粘度差が大きくなり過ぎず、積層斑が発生を抑制して安定な生産を行なうことができる。このような観点から、さらに好ましくは、ΔTが20℃~90℃、特に好ましくは、ΔTが40℃~80℃である。なお、融点TmSについては、A層の主成分である重合体A1の融点TmA1とみなすことも可能である。
A層の厚みは、熱融着性層を設ける上での基材層として必要な強度を得るために、20μm以上であってもよく、25μm以上であることが好ましく、より好ましくは35μm以上、さらに好ましくは45μm以上であり、また、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは270μm以下、さらに好ましくは250μm以下であり、他には、150μm以下や130μm以下であってもよい。
[重合体A1]
重合体A1は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下有するものであるが、好ましくは92モル%以上100モル%以下、より好ましくは95モル%以上100モル%以下有する。
重合体A1としては、更に、4-メチル-1-ペンテン以外のα―オレフィンに由来する構成単位を全構成単位に対して0モル%以上10モル%以下有していてもよく、好ましくは0モル%以上8モル%以下、より好ましくは0モル%以上5モル%以下有する。
つまり、重合体A1としては、4-メチル-1-ペンテンをモノマーとして重合したホモポリマーの他、4-メチル-1-ペンテンをモノマーとして90モル%以上と、4-メチル-1-ペンテン以外のα―オレフィンをモノマーとして10モル%以下含むものを共重合した共重合体が挙げられる。
重合体A1が共重合体である場合、共重合されるモノマーとしては、の炭素数2以上20以下のα-オレフィンが好ましい。共重合されるα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等の1種以上が挙げられる。
重合体A1の融点TmA1は230℃以上であることが好ましい。他のモノマーの共重合比率の高い4-メチル-1-ペンテン系共重合体を用いると、融点は低下していくが、その場合、結晶化速度が低くなり、基材層としての剛性が低下するため、後述する熱融着性層の融点以上における金属貼り合わせ時のA層の膜厚変形率が大きくなってしまう。かかる観点から、TmA1は231℃以上が好ましく、232℃以上がさらに好ましく、233℃以上がさらに好ましい。上限は、限定されないが、メチル-1-ペンテン系重合体もしくは共重合比率のより低い4-メチル-1-ペンテン系共重合体としたり、立体規則性の制御によって、融点TmA1を高めることができ、250℃以下が好ましく、さらに好ましくは245℃以下が好ましい。
重合体A1を用いた基材層の場合、TmSが一般のポリプロピレンに比べ向上するため、ΔTを確保することが容易になるものの、表面エネルギーが低い、かつ、結晶化速度が速い故に、熱融着性層との親和性が低く、密着力を高めることが困難である。したがって、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下有する共重合体B2を含む熱融着性層を、共押出により設けることが特に有効となる。また、A層中にその他の樹脂A2としてポリオレフィン等を混合することが好ましい。
[その他の樹脂A2]
A層には、重合体A1以外の他の樹脂A2を含有することができる。他の樹脂A2としては、重合体A1との適度な相溶性、分散性を有していればよく、例えばポリオレフィン(変性ポリオレフィンを含む)、重合体A1以外の4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンの共重合体(共重合体B2を含む)等が挙げられるが、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンは、水分子の反応点になるような官能基を有していない点で優れており、また、ポリオレフィンを用いることで重合体A1への分散性が向上する。
ポリオレフィン樹脂としては、以下のポリオレフィン樹脂、または変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。本明細書において「変性」とは、同一分子内にポリオレフィン等の構成単位とは異なる構成単位を含むものをいう。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン系樹脂を挙げることが出来る。また、これらのポリオレフィン系樹脂のブレンド体、又はこれらを構成成分とする共重合体が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂の中で特に好ましいのはポリプロピレンである。
特に溶融混錬により4-メチル-1-ペンテン系重合体(重合体A1)と混合する場合、同様のポリオレフィン樹脂、または変性ポリオレフィン樹脂を用いることができるが、相溶性等の観点から、4-メチル-1-ペンテンを共重合したポリプロピレン樹脂や、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。なお、変性方法としては、グラフト変性や共重合化を用いることができる。
具体的な変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-無水マレイン酸共重合体(ここで「-g-」はグラフトを表わす(以下同じ))、エチレン/メタクリル酸メチル-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン-1-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4-ヘキサジエン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5-ノルボルナジエン-g-無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン-g-無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン-g-無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。なかでも、マレイン酸変性したポリプロピレン、又はエチレン-プロピレン共重合体等が特に好ましい。
重合体A1以外の4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンの共重合体(共重合体B2を含む)としては、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を10モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上90モル%以下有する共重合体が挙げられる。
共重合体の構成成分であるα-オレフィンとしては、炭素数2以上20以下のα-オレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等を挙げることができる。前記α-オレフィンは、1種で用いてもよいし、これらの2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
[A層の他の任意成分]
A層には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、滑り性を向上させる等の目的で必要に応じて適当なフィラーを含有させることができる。このフィラーとしては、従来からフィルムやシートの滑り性付与剤として知られているものを用いることができるが、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコン樹脂粒子等を挙げることができる。さらにA層には、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑材、触媒等をも適宜添加することができる。特に、湿熱環境での使用を考慮した場合、溶出性の少ない添加材が好ましく用いることができる。
また、その他の任意成分としては、4-メチル-1-ペンテン系重合体等に従来から使用されている各種添加剤が挙げられる。このような添加剤としては安定剤、衝撃改良剤、難燃剤、離型剤、摺動改良剤、着色剤、可塑剤、結晶核剤などが挙げられる。
このような他の任意成分としては、例えばA層中に0.001~10質量%使用することができる。
[B層(熱融着性層)]
熱融着性層であるB層は、熱融着性ポリオレフィンB1を99~30質量%含有するものであり、湿熱耐久性や被着体への接着力と層間の密着力のバランスの観点から、熱融着性ポリオレフィンB1を98~35質量%含有することが好ましく、95~40質量%含有することがより好ましく、90~45質量%含有することが更に好ましい。なお、本明細書において「熱融着性」とは、被着体に対して加熱により融着可能な性質をいい、好ましくは金属であるSUS316に対して加熱により融着可能な性質をいう。
B層は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上40モル%以下有する共重合体B2を1~70質量%含有するものであり、湿熱耐久性や被着体への接着力と層間の密着力のバランスの観点から、共重合体B2を2~65質量%含有することが好ましく、5~60質量%含有することがより好ましく、10~55質量%含有することが更に好ましい。
また、B層には、その他の樹脂B3を含有していてもよく、その場合、樹脂B3を0~10質量%含有することが好ましく、0~5質量%含有することがより好ましく、樹脂B3を含有しないことが最も好ましい。
A層の両面側に設けられるB層は、相互に同一の組成でも異なる組成でも良いが、例えば同じ材料からなる被着体同士を熱接着する場合には、相互に同一の組成の熱融着性層を両面に設けることが好ましい。また、熱融着性層の厚みは、相互に同一でも異なっていてもよいが、上記のような場合には、同一の厚みの熱融着性層を両最表面に設けることが好ましい。
B層の厚みは、100μm以下であることが好ましい。共押出によって設けられた熱融着性層と基材層との間の密着性に関しては、強固な密着力が得られるが、例えば酸変性したポリオレフィン樹脂を用いる場合、酸変性部は水分の影響を受ける官能基を有するため、不必要に厚くすると過酷な湿熱環境で熱融着性層が脆化、破壊する傾向がある。かかる観点からB層の厚みは、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは75μm以下であり、特に好ましくは60μm以下である。また、薄すぎても熱融着性層として、厚み方向の力学的緩和機能が弱まるため、例えば10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μ以上、特に好ましくは20μm以上である。
B層は、基材層の両面に共押出で設けられ、これによって基材層の両面の積層界面の状態を、両面で同じ状態にすることができる。このような状態とすることが両面の積層界面の密着性を高める上でより好ましい。
[熱融着性ポリオレフィンB1]
熱融着性ポリオレフィンB1としては、未変性のポリオレフィン系樹脂を使用することも可能であるが、変性ポリオレフィンが好ましく、特にポリプロピレンを含む変性ポリオレフィンが好ましい。
未変性のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、炭素数2~8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素数2~8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・ブテン・プロピレン三元共重合体、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレン・へキセン共重合体などのα-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、ポリブタジエン・スチレン共重合体、ポリブタジエン・無水マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。更に、これらポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンも使用することができる。
熱融着性ポリオレフィンB1は、上記のとおり、種々のタイプが使用可能であるが、特に、ポリオレフィン樹脂に種々の官能基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)の種々の官能基を導入した変性ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
更に、これらの変性ポリオレフィン樹脂のうち、金属層との密着性がより向上し、耐電解質性に優れすることから、1~200mgKOH/gの酸価を有する変性ポリオレフィン樹脂(酸変性ポリオレフィン樹脂ともいう。)および/または1~200mgKOH/gの水酸基価を有する変性ポリオレフィン樹脂(水酸基変性ポリオレフィン樹脂ともいう。)を用いることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂とは、分子中にカルボキシル基や無水カルボン酸基を有するポリオレフィン樹脂であり、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性し、合成される。この変性方法としては、グラフト変性や共重合化を用いることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体を、変性前のポリオレフィン樹脂にグラフト変性あるいは共重合化したグラフト変性ポリオレフィンである。
変性前のポリオレフィン樹脂としては上述のポリオレフィン樹脂が挙げられるが、その中でもプロピレンの単独重合体、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体、エチレンの単独重合体、およびエチレンとα-オレフィンとの共重合体等が好ましい。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸三元共重合体、またはエチレン-メタクリル酸エステル-無水マレイン酸三元共重合体が挙げられる。具体的には、三菱化学(株)製「モディック」、三井化学(株)製「アドマー」、「ユニストール」、東洋紡(株)製「ハードレン」、三洋化成(株)製「ユーメックス」、日本ポリエチレン(株)製「レクスパールEAA」「レクスパールET」、ダウ・ケミカル(株)製「プリマコール」、三井・デュポンポリケミカル製「ニュクレル」、アルケマ製「ボンダイン」として市販されている。
水酸基変性ポリオレフィン樹脂は、分子中に水酸基を有するポリオレフィン樹脂であり、ポリオレフィンを後述する水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、水酸基含有ビニルエーテルでグラフト変性あるいは共重合化して合成する。前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール;ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられ、前記水酸基含有ビニルエーテルとしては、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
特に好ましい熱融着性のポリオレフィン樹脂としては、前記熱融着性ポリオレフィンB1が、酸無水物を用いて変性した変性物を含み、酸無水物含有量が0.1~3質量%であり、アセトンによる数平均分子量が1000以下の低分子量成分抽出量が1質量%未満であるポリオレフィンである。
無水物含有量が0.1質量%以上であると、金属との密着性が十分得られやすく、3質量%以下であると、十分な剛性・強度等の機械特性が得られやすい。低分子量成分抽出量が1質量%未満であると、低分子量成分が熱融着性層表面にブリードアウトしにくく、密着性が阻害されにくいものとなる。
[共重合体B2]
共重合体B2は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上40モル%以下有するものである。
共重合体B2は、A層とB層の密着力を高める観点から、重合体A1と比較して、共重合体B2を構成する4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位のモル%が、より低いものが好ましく、10モル%以上低いものがより好ましく、20モル%以上低いものが更に好ましい。
共重合体B2の構成成分である炭素数2以上20以下のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等を挙げることができる。前記α-オレフィンとして、好ましくはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンであり、さらに好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンである。前記α-オレフィンは、1種で用いてもよいし、これらの2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
共重合体B2において、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位は60モル%以上89モル%以下であり、好ましくは63モル%以上88モル%以下であり、より好ましくは65モル%以上87モル%以下であり、さらに好ましくは65モル%以上86モル%以下であり、特に好ましくは65モル%以上85モル%以下である。4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位は、11モル%以上40モル%以下であり、好ましくは12モル%以上37モル%以下であり、より好ましくは13モル%以上35モル%以下であり、さらに好ましくは14モル%以上35モル%以下であり、特に好ましくは15モル%以上35モル%以下である。前記構成単位の量が前記の範囲内にあるとき、A層とB層の密着力がより優れたものとなる。
共重合体B2は、融点を持たない非晶質の共重合体でもよいが、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解ピーク温度である融点TmB2が、199℃以下であることが好ましく、100~160℃であることがより好ましく、110~150℃であることが更に好ましい。
共重合体B2としては、特に、三井化学(株)製アブソートマーEP1013、EP1001等を用いることが好ましい。
[その他の樹脂B3]
B層には、熱融着性ポリオレフィンB1及び共重合体B2以外のその他の樹脂B3を0~10質量%含有していてもよい。つまり、熱融着性層は、熱融着性ポリオレフィンB1及び共重合体B2に対して適度な相溶性又は分散性を有する他の樹脂B3を、本発明の目的を損なわない限りにおいて、含有させることが可能である。
しかし、他の樹脂B3が多すぎると、熱融着性ポリオレフィンB1及び共重合体B2による効果が低減し易くなる。かかる観点から、熱融着性層に含有する樹脂B3の上限は、好ましくは10質量%であり、さらに好ましくは5質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
樹脂B3としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、4-メチル-1-ペンテン系重合体(重合体A1)、重合体A1及び共重合体B2以外のポリオレフィン、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
B層は、樹脂のみで構成することも可能であるが、粘着性付与剤、帯電防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、脱水剤、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
[熱融着性積層フィルムの特性]
本発明の熱融着性積層フィルムは、熱融着性ポリオレフィンB1についてDSCで測定した融解ピーク温度(但し、複数の融解ピーク温度を有する場合は最低値と最高値の中央値)を融点TmB1とするとき、TmB1+30℃の温度において10分間荷重3MPaを負荷した時の前記A層の膜厚変形率が5%以下であることが好ましい。膜厚変形率が5%であると、熱接着時の貼り合わせで厚み方向の寸法の変化量が小さく、膜厚方向に収縮する分の体積が面内を拡げる方向に作用しにくくなるため、面内での寸法変化も小さくなる傾向がある。かかる観点から、A層の膜厚変形率は3%以下が好ましく、2%以下がさらに好ましい。膜厚変形率は小さいほど好ましく、下限値としては、0%が最も好ましいが、1%以上でも好ましい範囲である。
また、上述の通り、膜厚方向に収縮する分の体積変化は面内を拡げる方向に作用するが、熱融着性積層フィルムの製造方法から、面内方向は、むしろ残留応力を有した状態で固化しフィルムとなることが一般的であることから、面内方向は一般に収縮挙動を引き起こす。従って、熱融着性積層フィルムは、融点TmB1+30℃の温度における、面内変形率が4%以下であることが好ましい。かかる観点から、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。面内変形率は小さいほど好ましく、下限値としては、0%が最も好ましいが、1%以上でも好ましい範囲である。
また、本発明の熱融着性積層フィルムは、A層の膜厚をtA、B層の膜厚をtBとした場合、各層の厚みの比率として、下記式(1)を満たすことが好ましい。
2≦tA/tB≦5 (1)
tA/tBが5以下であると、総厚みが大きくなり過ぎず、後述する共押出製膜時にシートを冷却し易く、ロール状に巻き取ることが容易になる。また、tA/tBが2以上であると、熱融着性層を融解して他の部材に貼り合わせる際に、基材層に熱が到達し難く、貼り合わせ時の影響を受け難い。かかる観点から、tA/tBの上限は、好ましくは4.5以下、さらに好ましくは、4.0以下、特に好ましくは、3.5以下である。またtA/tBの下限は、好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、特に好ましくは2.5以上である。
[熱融着性積層フィルムの製造方法]
以下、基材層であるA層を構成する樹脂の主成分として、融点TmA1が230℃以上である4-メチル-1-ペンテン系重合体(重合体A1)を用いた場合を例に詳述する。
本発明の熱融着性積層フィルムは、例えば、各層を構成する材料の混練、混練物の共押出、未延伸積層体の成形、必要に応じてその熱処理等を行なうことにより製造することができる。
A層を形成するための4-メチル-1-ペンテン系重合体(重合体A1)と他のポリオレフィンからなる樹脂(他の樹脂A2)、さらにその他の任意成分とを混合して混練する方法は、特に制限はされないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダ、バンバリーミキサ等を使用できる。これらの中でも特に二軸押出機が好ましく用いられる。二軸押出機の運転条件等は、重合体A1を含む樹脂の種類、各含有成分の種類や量など種々の要因により異なり一義的に決められないが、例えば、運転温度は、融点に対して、+40℃前後で設定すればよい。押出機のスクリュー構成は、練りの優れるニーディングディスクを数箇所組み込むことが好ましい。
B層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1と共重合体B2とを混合して混練する方法についても、A層を形成するための混練方法と同様であるが、押出機の運転温度は、熱融着性ポリオレフィンB1の融点に対して、+100℃前後で設定すればよい。
基材層を構成する樹脂組成物は、熱融着性層とともに共押出により、シート状に溶融押出し、キャスティングドラム等で冷却固化させて熱融着性積層フィルムを得ることができる。
冷却温度としては、全ての層が十分固化する程度の温度であればよいが、冷やしすぎると、シート状の樹脂の浮き等が発生し、効率的な冷却が困難となる観点から20~120℃が好ましく、30~100℃がより好ましい。
必要に応じて、冷却固化後に、TmA1-100~TmA1-5℃で1~60秒間熱処理を行うことにより、熱融着性積層フィルムの面内変形率を所定の範囲に制御することが容易となる。熱処理の方式としては、ロール搬送型でも良いし、フローティング型でも良いが、面内方向の緩和ができること、また両面の熱融着性層の貼りつきを予防する観点から、フローティング型が好ましい。
本発明の熱融着性積層フィルムは、熱融着性層が基材層とともに共押出で形成されていることが特徴である。従前の方法では、熱融着性層は、共押出以外の方法で形成される場合があり、その場合、熱融着性層と基材層との密着力が不十分となる。
また、従前の方法では、熱融着性層は、ラミネート法としてはドライラミネート法とウェットラミネート法など、コーティング法としては押出樹脂コーティング法、溶融樹脂コーティング法、塗液コーティング法などで設けられているが、これらの方法では、幅方向に特定の幅を有する基材層に合わせた積層をする必要があるため、基材層は一旦製造しておいた後に、別工程で、熱融着性層を設ける必要があり、さらに、該幅制約から、単位時間あたりに生産できる面積には制約を有することが多い。従って、製造工程を考慮しても、熱融着性層を基材層とともに共押出で形成することが好ましい。
本発明においては、熱融着性層を共押出する場合、基材層の粘性に合わせて適宜溶融温度を調整して、溶融押出することが好ましい。また、熱融着性層の溶融粘度が適切になるように、熱融着性ポリオレフィンB1の種類や分子量、共重合体B2の種類や分子量、その他の樹脂B3を選択することが好ましい。
熱融着性層の押出機の運転温度(溶融温度)としては、熱融着性ポリオレフィンB1の融点TmB1に対して、TmB1+20℃~TmB1+120℃が好ましく、TmB1+50℃~TmB1+100℃がより好ましい。
押出機からの熱融着性層の溶融物の吐出量は、基材層に対する厚み比率、積層体の厚み、ライン速度などに応じて適宜決定される。
[ロール]
本発明のロールは、以上のような熱融着性積層フィルムが長手方向に巻回されたものである。つまり、本発明の熱融着性積層フィルムは、好ましくは連続的に製造されるものである。
[用途]
本発明の熱融着性積層フィルムは、各種の被着体を熱接着するのに使用することができる。被着体としては、各種の金属、各種の樹脂、ガラス繊維等を含む繊維補強樹脂、セラミックス等が挙げられる。被着体の形状としては、シート、フィルム、平板などの他、平面部分や平面を曲げた曲面部を有する立体形状などが挙げられる。
熱融着性積層フィルムによる熱接着は、熱融着性層が軟化する温度以上で行なわれる。また、基材層が熱変形するような温度で熱接着する場合、より複雑な表面形状を有する被着体に対しても、熱接着できるようになる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、物性等を測定し、又は評価した。以下、特に断りのない限り、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
(1)フィルム、各層の厚み、層厚構成比
氷包埋型ミクロトームを用いて低温下でフィルムを切削し、フィルム表面に垂直な断面を得た。フィルム断面を実体顕微鏡にて観察し、フィルム全厚みが一視野となる適当な倍率で写真撮影した。この像より、スケールを用いて各層の厚みを測定した。独立に作製した3点の断面サンプルについて測定を行い、この平均値をもって積層フィルムの層厚みとした。また、その層厚みでもって、層厚構成比tA/tBを算出した。
(2-1)融点
樹脂試料を10mg採取し、DSC装置(TAインスツルメンツ社製、Q100)を用いて、昇温速度10℃/min.でDSC測定を行った。得られたチャートから、吸熱ピークのピークトップを融点と定義し、算出した。
(2-2)熱融着性ポリオレフィンB1の融点TmB1
上記(2-1)と同様にして熱融着性ポリオレフィンB1についてDSCで測定した融解ピーク温度を融点TmB1とした。但し、複数の融解ピーク温度を有する場合は最低値と最高値の中央値とした。
(3)A層の膜厚変形率
得られた熱融着性積層フィルムを、10mm×10mmに切り出し、30枚積層した状態で、圧縮クリープ試験機((株)エーアンドデー社製、CP6-L-250)に設置し、3MPa、160℃(融点TmB1(130℃)+30℃)の条件で10分間、膜厚方向に荷重付加処理を行った。この際、環境条件へのコンディショニング終了後、3MPa相当の錘を最終的に積載した時間を0分とし、10分間の測定とした。荷重付加処理が終了した試料を上記(1)に記載する方法で、A層の厚みを測定し、初期膜厚からの変位量を算出し、下記式を用いて、A層の膜厚変形率を算出した。
膜厚変形率(%)=(初期膜厚-処理後膜厚)/初期膜厚×100
(4)面内変形率
長手方向(MD)と幅方向(TD)に平行に試料を200mm×200mmでサンプリングし、長手方向(MD)と幅方向(TD)の標点(標点間距離:100mm)を作製した。その後、張力がかからないような状態で160℃(融点TmB1(130℃)+30℃)にした恒温槽中で30秒処理を行い、標点間距離を測定し、熱処理前の標点間距離を基準として、標点間距離の変化から長手方向(MD)と幅方向(TD)の160℃熱変形率(%)を算出した。
(5)密着性
(5-1)初期密着
被着体として、SUS316を用いて、密着性を評価した。試料片の作製については、プレス機でもって150mm×150mmに切り出した2枚の厚さ0.1mmのSUS316間に、得られた熱融着性積層フィルムを挟み込み、160℃で5MPaの圧力で1min.加圧して、貼り合わせを行った。この成形サンプルを幅10mm、長さ100mmに切り出して試料片とした。この試料片から、密着性を測定する被着体SUS316の端部を保持し、引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT-100型)を用いて、JIS-C2151に準じて剥離速度100mm/分にて180°剥離をした。測定は5回行い、各測定の最大値の平均値を剥離力として下記基準にて評価した。
A:剥離力が10N以上
B:剥離力が3N以上10N未満
C:剥離力が3N未満
なお、上記B、及びCの評価結果の場合、A層とB層との層間で剥離していた。
(5-2)湿熱環境下における耐久密着性(121℃×48時間)
上記(5-1)で作製したSUS316被着体の試料片(幅10mm、長さ100mm)を121℃の水中に48時間浸漬後、室温で24時間放置して乾燥させた試料片を用いる以外は、上記(5-1)と同様に実施し、下記基準にて評価した。
A:剥離力が10N以上
B:剥離力が3N以上10N未満
C:剥離力が3N未満
なお、上記B、及びCの評価結果の場合、A層とB層との層間で剥離していた。
(8)低分子量成分抽出量
90℃の温水バスで蒸発・冷却したアセトンを用いて、2時間ソックスレー抽出して、溶解成分を抽出し、得られた溶液を用いて、装置(Waters社製e2695)により、数平均分子量が1000以下の低分子量成分を確認した。試料の質量から、低分子量成分の抽出量(質量%)を求めた。
[製造例1]
次ぎのようにして、4-メチル-1-ペンテンのホモポリマーPMP(融点242℃)を製造した。
十分に窒素置換した内容積1リットルの重合容器内に、4-メチル-1ペンテン400ml、水素300ml、トリエチルアルミニウム0.5ミリモル、塩化チタン(III)1.0mモルを加えて仕込み、重合容器内を60℃に保持した。1時間重合した後、重合容器からパウダーを取り出しろ過した後、ヘキサンで洗浄、減圧下、80℃で一夜乾燥して、収量113.9gの重合体を得た。
[実施例1]
基材層であるA層を形成するための重合体A1として、ポリメチルペンテン(TPX)(三井化学社製、DX845、炭素数10のα-オレフィンが数モル%共重合された4-メチル-1-ペンテン共重合体、融点233℃)を100質量%含むものを使用し、押出機に投入して、溶融温度280℃で溶融混錬した。また、熱融着性層であるB層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100、融解ピーク温度110℃と130℃と150℃、融点TmB1130℃、酸無水物含有量1質量%、低分子量成分抽出量0.3質量%)を80質量%と、共重合体B2として、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(三井化学社製、EP1013、4-メチル-1-ペンテン85モル%、炭素数10のα-オレフィン15モル%)を20質量%とを、ペレット状態でブレンドしたのちに押出機に投入し、溶融温度230℃で溶融混錬した。
B層/A層/B層の層構成となるように、各ダイスリットを配置して各層が直接接するように共押出を行ない、表面温度60℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作製した。この時、未延伸フィルムの厚み構成比が、35/95/35となるように吐出量を制御して共押出を行った。
この未延伸フィルムをロール状に巻き取ることで、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例2]
実施例1において、B層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1と共重合体B2との比率を変えて、各々50質量%と50質量%を使用した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例3]
実施例1において、A層を形成するための重合体A1として、ポリメチルペンテン(三井化学社製、DX845)を80質量%、その他の樹脂A2として、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(三井化学社製、EP1013)を20質量%含むものを使用し、ペレット状態でブレンドしたのち押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例4]
実施例1において、B層/A層/B層の吐出量を変更して268μm厚みの熱融着性積層フィルムを得た以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例5]
実施例1において、A層を形成するための重合体A1として、製造例1で得られたポリメチルペンテンのホモポリマーPMP(融点242℃)を100質量%含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例6]
実施例1において、A層を形成するための重合体A1として、製造例1で得られたポリメチルペンテンのホモポリマーPMP(融点242℃)を75質量%と、その他の樹脂A2として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を25質量%含むものを使用し、ペレット状態でブレンドしたのち押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例7]
実施例1において、B層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を80質量%、共重合体B2として、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(三井化学社製、EP1001、4-メチル-1-ペンテン72モル%、α-オレフィン28モル%、融点なし)を20質量%含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[実施例8]
実施例5において、B層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1と共重合体B2との比率を変えて、各々95質量%と5質量%を使用し、B層/A層/B層の吐出量を変更して268μm厚みの熱融着性積層フィルムを得た以外は、実施例5と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。
[比較例1]
実施例1において、B層を形成するための共重合体B2を使用することなく、熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を100質量%含むものを使用し、また、A層を形成するための重合体A1として、ポリメチルペンテン(三井化学社製、DX845)を30質量%、その他の樹脂A2として、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、FS2011DG3)を70質量%含むものを使用し、ペレット状態でブレンドしたのち押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。なお、面内変形率が極端に大きいため、面内変形率の測定ができなかった。
[比較例2]
実施例1において、B層を形成するための共重合体B2を使用することなく、熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を100質量%含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。なお、湿熱環境下における耐久密着性を測定する際に、B層とA層の剥離が生じたため、耐久密着性の測定ができなかった。
[比較例3]
実施例1において、B層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を80質量%と、共重合体B2に代えて、ポリメチルペンテン(TPX)(三井化学社製、DX845)を20質量%含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、熱融着性積層フィルムのロールを得た。得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。なお、湿熱環境下における耐久密着性を測定する際に、B層とA層の剥離が生じたため、耐久密着性の測定ができなかった。
[比較例4]
A層からなる基材層用のフィルムとB層からなる熱融着性層用のフィルムとを別々に製造した。即ち、基材層であるA層を形成するための重合体A1として、ポリメチルペンテン(TPX)(三井化学社製、DX845)を100質量%含むものを使用し、押出機に投入して、溶融温度280℃で溶融混錬した。これをダイスリットより押出て、表面温度60℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて厚み95μmの未延伸フィルムを得て、これをロール状に巻き取ることで、基材層フィルムのロールを得た。
また、熱融着性層であるB層を形成するための熱融着性ポリオレフィンB1として、変性ポリオレフィン樹脂(東洋紡社製、ハードレンM100)を50質量%と、共重合体B2として、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(三井化学社製、EP1013)を50質量%とを、ペレット状態でブレンドしたのちに押出機に投入し、溶融温度230℃で溶融混錬した。これをダイスリットより押出て、表面温度60℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて厚み35μmの未延伸フィルムを得て、これをロール状に巻き取ることで、熱融着性層フィルムのロールを得た。
基材層フィルムのロールを繰り出し、その両面に熱融着性層フィルムのロールを繰り出して、テフロン(登録商標)チューブを巻いた加熱ロールを180℃にして、ニップしながらラミネートを行い、B層/A層/B層からなる熱融着性積層フィルムのロールを得た。この工法により得られた熱融着性積層フィルムの特性を表1にまとめた。なお、B層とA層の剥離が生じたため、初期密着性と耐久密着性の測定ができなかった。
Figure 2023011272000001
表1から明らかなように、実施例1~8では、初期及び湿熱環境下における積層界面での密着力が高く、熱融着した際の貼り合わせ状態が良好となる、熱融着性積層フィルムを得ることができた。
これに対して、基材層中に4-メチル-1-ペンテン系重合体の含有量が少ない比較例1では、基材層の膜厚変形率が極端に大きく、熱融着性積層フィルムの面内変形率も大きく、熱融着した際の貼り合わせ状態が悪化した。なお、この比較例1では、基材層中にポリプロピレン樹脂を多く含むことにより、熱融着性との密着力が向上していた。
また、熱融着性層が4-メチル-1-ペンテン共重合体を含まない比較例2や4-メチル-1-ペンテンのモル%が高すぎる共重合体を使用した比較例3では、初期及び湿熱環境下における積層界面での密着力が低下した。更に、基材層と熱融着性層とを熱ラミネートした比較例4についても、初期及び湿熱環境下における積層界面での密着力が大幅に低下した。
本発明の熱融着性積層フィルムは、金属を初めとして、ガラス、繊維による強化を含む、含まないに依らず樹脂等の各種、平面状もしくはフィルム状の被着体に対して、各層間で剥離が起こらず、優れた接着力を有し、貼り合わせ成形時の熱に耐えうる基材層の膜厚変形率を小さく保つことで、貼り合わせの不具合を抑制可能であることから、その産業上の利用可能性は高い。
[5] 前記A層の膜厚をtA、前記B層の膜厚をtBとするとき、下記式(1)を満たす、[1]~[4]いずれかに記載の熱融着性積層フィルム
2≦tA/tB≦5 (1)
重合体A1が共重合体である場合、共重合されるモノマーとしては、炭素数2以上20以下のα-オレフィンが好ましい。共重合されるα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等の1種以上が挙げられる。
B層の厚みは、100μm以下であることが好ましい。共押出によって設けられた熱融着性層と基材層との間の密着性に関しては、強固な密着力が得られるが、例えば酸変性したポリオレフィン樹脂を用いる場合、酸変性部は水分の影響を受ける官能基を有するため、不必要に厚くすると過酷な湿熱環境で熱融着性層が脆化、破壊する傾向がある。かかる観点からB層の厚みは、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは75μm以下であり、特に好ましくは60μm以下である。また、薄すぎても熱融着性層として、厚み方向の力学的緩和機能が弱まるため、例えば10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。
[熱融着性積層フィルムの特性]
本発明の熱融着性積層フィルムは、熱融着性ポリオレフィンB1についてDSCで測定した融解ピーク温度(但し、複数の融解ピーク温度を有する場合は最低値と最高値の中央値)を融点TmB1とするとき、TmB1+30℃の温度において10分間荷重3MPaを負荷した時の前記A層の膜厚変形率が5%以下であることが好ましい。膜厚変形率が5%以下であると、熱接着時の貼り合わせで厚み方向の寸法の変化量が小さく、膜厚方向に収縮する分の体積が面内を拡げる方向に作用しにくくなるため、面内での寸法変化も小さくなる傾向がある。かかる観点から、A層の膜厚変形率は3%以下が好ましく、2%以下がさらに好ましい。膜厚変形率は小さいほど好ましく、下限値としては、0%が最も好ましいが、1%以上でも好ましい範囲である。
(6)低分子量成分抽出量
90℃の温水バスで蒸発・冷却したアセトンを用いて、2時間ソックスレー抽出して、溶解成分を抽出し、得られた溶液を用いて、装置(Waters社製e2695)により、数平均分子量が1000以下の低分子量成分を確認した。試料の質量から、低分子量成分の抽出量(質量%)を求めた。
これに対して、基材層中に4-メチル-1-ペンテン系重合体の含有量が少ない比較例1では、基材層の膜厚変形率が極端に大きく、熱融着性積層フィルムの面内変形率も大きく、熱融着した際の貼り合わせ状態が悪化した。なお、この比較例1では、基材層中にポリプロピレン樹脂を多く含むことにより、熱融着性層との密着力が向上していた。

Claims (7)

  1. 共押出により積層されたB層、A層、及びB層をこの順で含む熱融着性積層フィルムであって、
    前記A層は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下有する重合体A1を100~70質量%含有し、
    前記B層は、熱融着性ポリオレフィンB1を99~30質量%と、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上89モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を11モル%以上40モル%以下有する共重合体B2を1~70質量%とを含有する、
    熱融着性積層フィルム。
  2. 前記熱融着性ポリオレフィンB1についてDSCで測定した融解ピーク温度(但し、複数の融解ピーク温度を有する場合は最低値と最高値の中央値)を融点TmB1とするとき、TmB1+30℃の温度において10分間荷重3MPaを負荷した時の前記A層の膜厚変形率が5%以下である、請求項1に記載の熱融着性積層フィルム。
  3. 前記重合体A1は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して100モル%有する、請求項1又は2に記載の熱融着性積層フィルム。
  4. 前記A層は、前記重合体A1を100質量%含有する、請求項1~3いずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
  5. 前記A層の膜厚をtA、前記B層の膜厚をtBとするとき、下記式(1)を満たす、請求項1~4いずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
    2≦tA/tB≦5 (1)
  6. 前記熱融着性ポリオレフィンB1が、酸無水物を用いて変性した変性物を含み、酸無水物含有量が0.1~3質量%であり、アセトンによる数平均分子量が1000以下の低分子量成分抽出量が1質量%未満であるポリオレフィンである、請求項1~5いずれかに記載の熱融着性積層フィルム。
  7. 請求項1~6いずれかに記載の熱融着性積層フィルムが長手方向に巻回されたロール。
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