剥離性フィルム
本発明は、少なくとも、基材層と最表層とが順に積層されてなる剥離性フィルムであって、
前記最表層は樹脂成分を主成分として含有し、
前記樹脂成分の比重が1.15g・cm−3以下であり、
前記樹脂成分のガラス転移温度が−10〜75℃である、
ことを特徴とする、剥離性フィルムに関する。
本発明の剥離性フィルムは、少なくとも、基材層と最表層とが順に積層されているフィルムである。基材層と最表層との間には、例えば、後述する中間層などが形成されていてもよい。
本発明及び本明細書において、「主成分」とは対象とする層中に含まれる全成分において最も含有量の多い成分を意味するものであり、当該対象とする層中に含まれる全成分に対して好ましくは50質量%以上を占める成分であり、より好ましくは70質量%以上を占める成分であり、さらに好ましくは90質量%以上を占める成分であり、さらに一層好ましくは95質量%以上を占める成分であり、特に好ましくは98質量%以上を占める成分であり、最も好ましくは99質量%以上を占める成分である。
基材層
本発明の剥離性フィルムは、基材層を有する。基材層の材質は特に限定されないが、樹脂成分を主成分とすることが好ましい。
基材層の主成分となる樹脂成分としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を含有する層である。基材層は上記樹脂の1種類のみを含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。本発明の剥離性フィルムにおける基材層は、中間層及び最表層の加工適正の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択される樹脂を含有する層であることが好ましく、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する層であることがより好ましい。
基材層は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれから形成される層であってもよい。加工適正、透明性及び寸法安定性の観点から、基材層は二軸延伸フィルムであることが好ましい。
基材層の厚みは、加工適正の観点から、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。基材層の厚みは、製品使用時のハンドリング性の観点から、好ましくは125μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。基材層の厚みはマイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定される。
本発明の剥離性フィルムが中間層を含む場合、基材層と後述する中間層との密着性を高める目的で、所望により基材層の片面又は両面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理等が挙げられる。
中間層
本発明の剥離性フィルムは、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層を有していてもよい。より好適には、本発明の剥離性フィルムは、前記基材層と前記最表層との間に中間層が形成されていてもよい。中間層は、例えば基材層と後述する最表層との接着性を高め、フィルムの強度を高めることができる。
本発明の剥離性フィルムが中間層を有する場合、前記中間層には、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、基材層と最表層との密着性の観点から好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの酸価を有する。ここでいう酸価は、JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した値である。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、基材層と最表層との密着性の観点から好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの水酸基価を有する。ここでいう水酸基価は、JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した値である。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、例えばポリオレフィン樹脂にカルボキシル基又は水酸基を導入することにより製造することができる。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの単独重合体、又は、これらから選択される2種以上のモノマーの共重合体、エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。上記オレフィンとしては、α−オレフィンの他、ブタジエン等のジオレフィンも包含する。当該ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン/プロピレンブロック共重合体、エチレン/プロピレンランダム共重合体、プロピレン/1−ブテンブロック共重合体、プロピレン/1−ブテンランダム共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メチルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点から、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20(好ましくは炭素数4〜12)のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。ここで、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。この態様において、ポリオレフィン樹脂は、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種のモノマーとの共重合体であってもよいし、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上のモノマーとの共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性の観点から、プロピレンと、エチレン又は1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂であることがより好ましい。
本発明の一態様において、ポリオレフィン樹脂はプロピレンとエチレンとを少なくとも共重合させた樹脂であることが好ましい。この態様において、ポリオレフィン樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは50〜75モル%であり、より好ましくは60〜70モル%である。また、ポリオレフィン樹脂中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは25〜50モル%であり、より好ましくは30〜40モル%である。ポリオレフィン樹脂は、プロピレン及びエチレンに由来する構成単位以外のα−オレフィン及び/又はその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよく、その含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは30モル%以下である。
この態様において、ポリオレフィン樹脂のX線回折により測定される結晶化度は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜としての成膜性の観点から、好ましくは2〜20%であり、より好ましくは5〜18%である。
この態様において、ポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点から、好ましくはランダム共重合体である。
本発明の別の一態様において、ポリオレフィン樹脂はプロピレンと1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂であることが好ましい。この態様において、ポリオレフィン樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは50〜95モル%であり、より好ましくは60〜93モル%であり、さらに好ましくは70〜90モル%である。また、ポリオレフィン樹脂中の1−ブテンに由来する構成単位の含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは5〜50モル%であり、より好ましくは7〜40モル%であり、さらに好ましくは10〜30モル%である。ポリオレフィン樹脂は、プロピレン及び1−ブテンに由来する構成単位以外に、エチレン、他のα−オレフィン及び/又はその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよく、その含有量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは5モル%以下である。
ポリオレフィン樹脂がプロピレンと1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂である本発明の一態様において、ポリオレフィン樹脂の極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜12dl/g、より好ましくは0.5〜12dl/g、さらに好ましくは1〜12dl/gである。ポリオレフィン樹脂の極限粘度[η]が上記範囲内であると、塗工液の塗工適性及び塗膜の成膜性が良好であるため好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、溶媒としてデカリンを用いて、135℃で測定される。具体的には、共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解させ、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定し、濃度(C)を0に外挿することで、ηsp/Cの値を極限粘度として求めることができる。
この態様において、ポリオレフィン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは3以下、より好ましくは2.0〜3.0、さらに好ましくは2.0〜2.5である。ポリオレフィン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であると、塗膜の成膜性及び塗工液の安定性が良好であるため好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として算出される。GPC法に使用されるGPC装置には特に制限はなく、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な市販の高温型GPC測定機、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPCHT等を使用することができる。この場合、例えば、GPCカラムとして東ソー株式会社製、TSKgelGMHHR−H(20)HTを3本連結させたものが用いられ、カラム温度は140℃に設定され、溶離液としてトリクロロベンゼンが用いられ、流速1.0ml/分にて測定される。通常、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を得る。
この態様において、ポリオレフィン樹脂の示差走査型熱量測定(DSC)によって測定される融点(Tm)は、好ましくは60〜140℃、より好ましくは70〜130℃である。ポリオレフィン樹脂の融点Tmが上記範囲内であると、塗膜の成膜性が良好であるため好ましい。融点Tmは、示差走査型熱量計(例えばパーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSC)を用い、アルミニウム製のサンプルホルダーに約2mgの試料を詰めて、窒素流下で0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃まで降温させ、再び10℃/分で280℃まで昇温させた際の吸熱ピークとして求めることができる。
この態様において、ポリオレフィン樹脂はブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点から、好ましくはランダム共重合体である。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、例えば前記ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基を導入することにより製造することができる。カルボキシル基の導入は、例えば、ポリオレフィン樹脂と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって得られる。これらのモノマーは単独で、又は、2種以上を組み合わせて、ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。前記モノマーを、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の量でグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限以上であると、基材層及び後述する最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の下限以上であると、中間層の脆性が増加せずに凝集剥離が生じにくいため好ましい。
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、該不飽和カルボン酸の無水物、該不飽和カルボン酸及び該不飽和カルボン酸無水物の誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステル等)が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル等が挙げられる。不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体は、製造し易さの観点から、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、有機溶媒にポリオレフィン樹脂を溶解させて得たポリオレフィン樹脂溶液に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー及びラジカル重合開始剤を添加し、加熱、撹拌してグラフト共重合反応させる方法、ポリオレフィン樹脂を加熱溶融して得た溶融物に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー及びラジカル重合開始剤を添加し、撹拌してグラフト共重合させる方法、ポリオレフィン樹脂と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと、ラジカル重合開始剤とを予め混合して得た混合物を押出機に供給し、加熱混練しながらグラフト共重合反応させる方法、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとラジカル重合開始剤とを有機溶媒に溶解させて得た溶液をポリオレフィン樹脂に含浸させた後、前記ポリオレフィン樹脂が溶解しない最高の温度まで加熱し、グラフト共重合反応させる方法等が挙げられる。
使用するラジカル重合開始剤は、ポリオレフィン樹脂と前記モノマーとの重合を開始するものであれば特に限定されないが、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、アゾ化合物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、有機ペルオキシド又は有機ペルエステルであることが好ましい。有機ペルオキシドとしては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド等が挙げられる。有機ペルエステルとしては、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシド)ヘキサン、tert−ブチルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート及びtert−ブチルペルジエチルアセテート等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドであることが、製造しやすさの観点からより好ましい。
ラジカル重合開始剤を、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部程度の量で使用することが、製造し易さの観点から好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、好ましくは不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーをグラフト共重合させたポリオレフィンであり、より好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたポリオレフィンである。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、例えば前記ポリオレフィン樹脂に水酸基を導入することにより製造することができる。水酸基の導入は、例えば、前記ポリオレフィン樹脂と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有ビニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって得られる。これらのモノマーは、単独で、又は、2種以上を組み合わせて、前記ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。前記モノマーを、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部となるようにグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限以上であると基材層及び後述する最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の下限以上であると、中間層の脆性が増加せずに凝集剥離が生じにくいため好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、製造のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。水酸基含有ビニルエーテルは、製造のしやすさ及び塗膜の成膜性の観点から2−ヒドロキシエチルビニルエーテルであることが好ましい。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び/又は水酸基含有ビニルエーテルをグラフト共重合させたポリオレフィンである。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分には、スチレンに由来する構成単位が含まれていてもよい。前記樹脂成分にスチレンに由来する構成単位が含まれている場合、その導入方法としては、例えばスチレンをモノマー成分としてポリオレフィン樹脂とともに共重合させることが挙げられる。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2の重量平均分子量(Mw)は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜の成膜性を両立しやすい観点から、1000〜200000であることが好ましく、1000〜50000であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)は、先に述べた分子量分布(Mw/Mn)の測定方法と同様にして測定される。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2のガラス転移温度(Tg)は、塗膜の成膜性の観点から、−5〜60℃であることが好ましく、0〜50℃であることがより好ましい。ガラス転移温度はJIS7121に準拠して測定できる。
中間層は、例えば、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種と、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液を基材層の少なくとも一方の面に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、ポリオレフィン樹脂B1又はB2を溶解することができれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素等の有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液のハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液中のポリオレフィン樹脂B1又はB2の濃度は、塗工液の安定性及び塗工適性の観点から、塗工液の総量に基づいて1〜15質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法を適宜使用することができる。塗工方法としては、例えばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、ダイコータ、カーテンコータ、印刷機等を用いた方法が挙げられる。
塗工層から溶媒を除去する方法は、溶媒を揮発させることができれば特に限定されない。なお、溶媒を除去するとは、溶媒を完全に取り除くことのみを意味するのではなく、層が形成される程度に溶媒を取り除くことも含む。溶媒を除去する方法としては、例えば塗工層を放置して乾燥させる方法や、加熱により乾燥させる方法が挙げられる。溶媒除去と基材変形防止を両立しやすい観点から90〜110℃で乾燥させることが好ましく、95〜105℃で乾燥させることがより好ましい。
中間層の厚みは、成膜性と密着性を両立しやすい観点から、好ましくは0.04μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上である。中間層の厚みは、最表層の塗工適性の観点から、好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下である。中間層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
最表層
本発明の剥離性フィルムは、前記基材層の上に形成された最表層を有する。最表層は、本発明の剥離性フィルムに剥離性を付与するための層であり、樹脂成分を主成分として含有する層である。ここで、主成分とは、最表層中において最も含有量の多い成分を意味するものである。最表層中の樹脂成分の含有量は、最表層中に含まれる全成分に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が最も好ましい。最表層中の樹脂成分の含有量の上限値は100質量%である。前記最表層は、後述するように、樹脂成分以外の成分(例えば添加剤等)を含んでいてもよい。
前記最表層の主成分である樹脂成分の比重は、1.15g・cm−3以下である。本発明の剥離性フィルムの最表層の主成分である樹脂成分の比重が1.15g・cm−3を超えると、当該フィルムの剥離力が強すぎるため、フィルムに皺や破断を生じさせる、貼られる側の有体物(例えば、電子部品等)に対して悪影響を及ぼす、等の虞がある。前記最表層の主成分である樹脂成分の比重の上限値については、1.0g・cm−3以下が好ましく、0.95g・cm−3以下がより好ましく、0.9g・cm−3以下がさらに好ましく、0.85g・cm−3以下が特に好ましい。
前記最表層の主成分である樹脂成分の比重の下限値については、少なくとも0.5g・cm−3以上が好ましく、0.6g・cm−3以上がより好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、0.8g・cm−3以上が特に好ましい。本発明の剥離性フィルムの最表層の主成分である樹脂成分の比重が0.5g・cm−3を下回ると、貼られる有体物と剥離する前に、前記最表層の主成分である樹脂が凝集破壊を生じてしまう虞がある。
なお、前記樹脂成分が二種又は三種類以上の樹脂成分である場合、前記比重は前記二種又は三種類以上の樹脂成分全体の比重を指す。
前記最表層の主成分である樹脂成分のガラス転移温度は、−10〜75℃である。本発明の剥離性フィルムの最表層の主成分である樹脂成分のガラス転移温度が−10℃を下回ると、貼られる有体物と貼られた状態のまま長時間保持されたり、高温で保持されると有体物と高速で剥離をする際に剥離力の低下が生じない虞がある。また、前記樹脂成分のガラス転移温度が75℃を上回ると、当該フィルムの剥離力が強すぎるため、フィルムに皺や破断を生じさせる、貼られる側の有体物(例えば、電子部品等)に対して悪影響を及ぼす、等の虞がある。
なお、前記樹脂成分が二種又は三種類以上の樹脂成分である場合、前記ガラス転移温度は前記二種又は三種類以上の樹脂成分全体のガラス転移温度を指す。
最表層中の樹脂成分には、特に限定的ではないが、4−メチルペンテン−1(4−メチル−1−ペンテン)に由来する構成単位(以下、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位と称することもある)を含むことが好ましい。本明細書において、構成単位は、構成部分、構造単位又は構造部分と称することもある。前記構成単位の含有量は限定されない。以下、好適な例として、最表層の樹脂成分が4−メチルペンテン−1に由来する構成単位を含む場合について述べるが、最表層の樹脂成分が4−メチルペンテン−1に由来する構成単位を含まなくても、前記樹脂成分の比重及びガラス転移温度がそれぞれ上記本発明で規定された比重及びガラス転移温度を満たす場合、本発明の効果が奏される。
樹脂成分に対する4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量の下限値は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が特段好ましく、25質量%以上が最も好ましい。また、樹脂成分に対する4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量の上限値は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましく、80質量%以下が特段好ましく、75質量%以下が最も好ましい。
また、最表層中の全成分に対する4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量の下限値は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が特段好ましく、25質量%以上が最も好ましい。また、最表層中の全成分に対する4−メチルペンテン−1に由来する構成単位の含有量の上限値は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましく、80質量%以下が特段好ましく、75質量%以下が最も好ましい。
樹脂成分中又は最表層中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の含有量が上記範囲の下限以上であると、剥離性がより向上するため好ましく、上記の上限以下であると、塗工液を得る際の溶媒への溶解性がより向上するため好ましい。
前記最表層を構成する樹脂成分は、ある態様では、4−メチルペンテン−1系重合体Aを含み、別の態様では、4−メチルペンテン−1系重合体A及び(2)該4−メチルペンテン−1系重合体A以外のオレフィン系樹脂A’を含む。より詳細には、前記最表層を構成する樹脂成分は、(I)樹脂成分が4−メチルペンテン−1系重合体Aである場合、(II)樹脂成分が(1)4−メチルペンテン−1系重合体A及び(2)該4−メチルペンテン−1系重合体A以外のオレフィン系樹脂A’である場合、(III)樹脂成分が(1)4−メチルペンテン−1系重合体A、及び(3)前記(1)及び前記(2)の樹脂成分とは異なる熱可塑性樹脂成分である場合、(IV)前記(1)、前記(2)及び前記(3)の樹脂成分である場合、等に分類される。即ち、最表層を構成する樹脂成分に関して、上記(I)〜(IV)のいずれの場合についても本発明に包含される態様であり、上記(I)〜(IV)のいずれの場合においても、樹脂成分の比重は1.15g・cm−3以下であり、且つ、樹脂成分のガラス転移温度は−10〜75℃である。
樹脂成分が4−メチルペンテン−1系重合体Aである場合(上記(I)の場合)について説明する。4−メチルペンテン−1系重合体は、4−メチルペンテン−1に由来する構造単位を含む重合体であり、4−メチルペンテン−1単独重合体又は4−メチルペンテン−1の共重合体である。樹脂成分は、4−メチルペンテン−1系重合体として1種類の4−メチルペンテン−1系重合体を含有してもよいし、2種以上の4−メチルペンテン−1系重合体を組み合わせて含有してもよい。
4−メチルペンテン−1の共重合体としては、例えば、4−メチルペンテン−1と、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンとの共重合体が挙げられる。また、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位、前記オレフィンに由来する構成単位の他に、他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよい。他の重合性モノマーとしては、例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル類、無水マレイン酸等の不飽和有機酸又はその誘導体、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類等が挙げられる。前記共重合体が他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有する場合、該構成単位の含有量は、塗工液を得る際の溶媒への溶解性の観点から、共重合体A中の全構成単位を100モル%として好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは3モル%以下である。4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンは、好ましくは炭素原子数2〜4のα−オレフィン(即ち、エチレン及び炭素原子数3〜4のα−オレフィン)からなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテンである。4−メチルペンテン−1の共重合体は、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種のオレフィンを含む共重合体であってもよいし、2種以上の上記オレフィンを含む共重合体であってもよい。即ち、4−メチルペンテン−1の共重合体は、二元共重合体、三元共重合体又は四元以上の共重合体のいずれであってもよい。
4−メチルペンテン−1の共重合体に対する4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合の下限値は、特に限定されないが、例えば1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、18質量%以上が特段好ましく、25質量%以上が最も好ましい。また、前記構造単位の割合の上限値は、例えば99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましく、82質量%以下が特段好ましく、75質量%以下が最も好ましい。前記割合は、フィルムの離型性の発現しやすさの観点からは多くすることが好ましく、フィルムの成形性及び成形温度の観点からは少なくすることが好ましい。
4−メチルペンテン−1の共重合体における、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンに由来する構造単位の割合は、フィルムの成形性及び成形温度の観点から、4−メチルペンテン−1系重合体を構成する全構造単位に基づいて好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、特に好ましくは82質量%以下、最も好ましくは75質量%以下である。また、該割合は、4−メチルペンテン−1系重合体によってフィルムの離型性が発現されやすいという観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは18質量%以上、最も好ましくは25質量%以上である。
ここで、前記4−メチルペンテン−1系重合体中の、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンに由来する構成単位、他の重合性モノマーに由来する構成単位等の含有量は、例えば13CNMRにより測定することができる。具体的には、核磁気共鳴装置(例えば日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500等)を用い、溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料(重合体A)濃度:55mg/0.6mL、測定温度:135℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:1万回以上の条件で、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体の融点は限定されないが、フィルムの成形性及び成形温度の観点から、好ましくは80〜240℃、より好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜190℃、特段好ましくは120〜140℃である。上記融点は、DSC測定装置(例えばパーキン・エルマー社製、入力補償型DSC Diamond DSC)を用いて測定することができる。具体的には、実施例に記載するようなサンプルを用いて、0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持し、10℃/分で30℃まで冷却後、再び10℃/分で280℃まで昇温する際の吸熱ピークとして測定することができる。4−メチルペンテン−1系重合体の融点は、4−メチルペンテン−1系重合体を構成するモノマーの種類や構成割合、重合体の規則性を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体のメルトフローレート(MFR)は限定されないが、フィルムの成形性の観点から、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜150g/10分、さらに好ましくは2〜25g/10分であり、特段好ましくは3〜20g/10分であり、最も好ましくは5〜15g/10分である。上記MFRは、JIS K7210に準じて、融点220℃以上の4−メチルペンテン−1系重合体は温度260℃、荷重49.03Nの測定条件、融点220℃未満の4−メチルペンテン−1系重合体は温度230℃、荷重21.18Nの測定条件で測定した値である。4−メチルペンテン−1系重合体のMFRは、4−メチルペンテン−1系重合体を構成するモノマーの種類や構成割合、重合体の規則性を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体の極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定して好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上である。前記重合体の極限粘度[η]は、好ましくは5.0dl/g以下であり、より好ましくは4.0dl/g以下であり、さらに好ましくは2.5dl/g以下である。前記重合体の極限粘度[η]が上記の上限以下であると、塗工液の塗工適性及び成膜性が良好であるため好ましく、上記の下限以上であると、得られるフィルムの形状安定性を高めやすいため好ましい。極限粘度[η]の測定方法は、先に記載したとおりである。前記重合体の極限粘度[η]は、前記重合体を製造する際の、重合工程における水素の添加量により調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体の密度は、剥離性フィルムの耐熱性を高めやすい観点から、好ましくは0.8〜0.9g・cm−3であり、より好ましくは0.82〜0.85g・cm−3であり、さらに好ましくは0.825〜0.85g・cm−3であり、さらに一層好ましくは0.825〜0.845g・cm−3であり、特に好ましくは0.825〜0.84g・cm−3である。前記重合体の密度は、JISK6268に準拠して測定することができる。前記重合体の密度は、4−メチルペンテン−1系重合体を構成するモノマーの種類や構成割合を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、剥離性フィルムの透明性、機械特性及び表面平滑性を高めやすい観点から、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.3〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。分子量分布(Mw/Mn)の測定方法は、先に述べたとおりである。分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒、特にメタロセン触媒の種類によって調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体の結晶化温度(Tc)は、剥離性フィルムの成形性を高めやすい観点から、好ましくは80〜190℃であり、より好ましくは90〜170℃である。前記重合体の結晶化温度は示差走査型熱量測定(DSC)により、融点(Tm)と同様の方法で測定した結晶化ピークのピーク頂点の温度から求めることができる。前記重合体の結晶化温度は、4−メチルペンテン−1系重合体を構成するモノマーの種類や構成割合を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、特開2013−227421号公報及び特開2013−32005号公報等に記載の方法により製造してよい。4−メチルペンテン−1系重合体(又は、4−メチルペンテン−1系重合体を含む樹脂成分)として、市販品を用いてもよく、例えば、三井化学株式会社製、TPX(登録商標)MX002、TPX(登録商標)DX845、TPX(登録商標)EP0518、三井化学株式会社製4−メチルペンテン−1系樹脂EP1013等を用いてよい。前記4−メチルペンテン−1系重合体が4−メチルペンテン−1共重合体である場合、例えばオレフィン重合用触媒の存在下、4−メチルペンテン−1と、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンと、場合により他の重合性モノマーとを重合することにより製造することができる。オレフィン重合用触媒としては、例えばメタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒等が挙げられ、好ましくはメタロセン触媒が挙げられる。このようなメタロセン触媒は、例えば国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報、国際公開第06/025540号パンフレット中に記載されている。
樹脂成分が(1)4−メチルペンテン−1系重合体A及び(2)該4−メチルペンテン−1系重合体A以外のオレフィン系樹脂A’である場合(上記(II)の場合)について説明する。
前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aの種類、4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度、製造方法等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aにおける説明と同様である。
前記(2)オレフィン系樹脂A’は、前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aとは異なる樹脂成分として定義される。即ち、前記(2)オレフィン系樹脂A’は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を含まない。
具体的な前記(2)オレフィン系樹脂A’としては、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、1−ブテン系重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。本発明において、前記(2)オレフィン系樹脂A’はエラストマー、共重合体ゴム等も包含する。前記(2)オレフィン系樹脂A’は、1種類のオレフィン系樹脂を含有してもよいし、2種以上のオレフィン系樹脂を組み合わせて含有してもよい。
エチレン系重合体は、エチレンに由来する構造単位を含む重合体であり、エチレン単独重合体(ホモポリエチレン)又はエチレンの共重合体である。前記(2)オレフィン系樹脂A’は、エチレン系重合体として1種類のエチレン系重合体を含有してもよいし、2種以上のエチレン系重合体を組み合わせて含有してもよい。エチレン系重合体におけるエチレンに由来する構造単位の割合は特に限定されないが、フィルムの透明性及び機械物性の観点から、エチレン系重合体を構成する全構造単位に基づいて好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。また、該割合は、100モル%以下であってよい。エチレン系重合体は、低密度、中密度、高密度、高圧法低密度等のポリエチレンを包含する。エチレンの共重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
プロピレン系重合体は、プロピレンに由来する構造単位を含む重合体であり、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)又はプロピレンの共重合体である。前記(2)オレフィン系樹脂A’は、プロピレン系重合体として1種類のプロピレン系重合体を含有してもよいし、2種以上のプロピレン系重合体を組み合わせて含有してもよい。プロピレン系重合体におけるプロピレンに由来する構造単位の割合は特に限定されないが、フィルムの透明性及び機械物性の観点から、プロピレン系重合体を構成する全構造単位に基づいて好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。また、該割合は、100モル%以下であってよい。
ホモポリプロピレンとしては、立体規則性の観点から、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーが好ましい。アイソタクチックポリプロピレンのアイソタクチックメソペンタッド分率(mmmm)は、好ましくは92%以上であり、より好ましくは93%以上であり、さらに好ましくは94%以上である。但し、ホモポリプロピレンとしてシンジオタクチックポリプロピレンホモポリマーを使用してもよい。
アイソタクチックメソペンタッド分率(mmmm)は、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。具体的には、例えば、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(例えば、日本電子株式会社製「JNM−ECP500」)を用いて測定することができる。観測核は、13C(125MHz)である。高温FT−NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことができる。例えば、実施例に記載するような測定温度、溶媒、測定モード、パルス幅、パルス間隔、積算回数及びシフト基準を用いて測定することができる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向の並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmm及びmrrm等)に由来する各シグナルの強度の積分値に基づいて百分率(%)で算出される。mmmm及びmrrm等に由来する各シグナルは、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等を参照して帰属することができる。
プロピレンの共重合体としては、プロピレンと、エチレン及び炭素数3〜20の少なくとも1種のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。該共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択されるオレフィンは、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等であり、エチレンであることがフィルムの透明性、機械物性、成形温度の観点から好ましい。プロピレン系重合体は、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択されるオレフィンの1種を含む共重合体であってもよいし、2種以上の上記オレフィンを含む共重合体であってもよい。エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択されるオレフィンは、炭素数2〜20のα−オレフィンからなる群から選択されるオレフィンともいう。
プロピレンの共重合体におけるエチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択されるオレフィンの共重合比率は、フィルムの透明性の観点から、プロピレン系重合体の総量に基づいて、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。
樹脂成分に含有されるプロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、成形性の観点から、好ましくは0.5〜25g/10分であり、より好ましくは2〜10g/10分である。上記MFRは、JIS K7210に準じて、温度230℃、荷重21.18Nの測定条件で測定した値である。
樹脂成分に含有されるプロピレン系重合体に含まれる重合触媒残渣等に起因する灰分の含有量は、微小異物(フィッシュアイ)を低減しやすい観点から、可能な限り少ないことが好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは40ppm以下である。灰分の含有量が50ppm以下の場合、微小異物・欠点が顕著に低減され、本発明のフィルムを電子部品用途に用いる際の電子部品の汚染を低減しやすい。
樹脂成分中のプロピレン系重合体の含有量は、フィルムの表面平滑性と離型性とを両立しやすい観点から、樹脂成分の総量に基づいて好ましくは95〜50質量%、より好ましくは85〜50質量%、さらに好ましくは80〜50質量%である。この場合、樹脂成分中の4−メチルペンテン−1系重合体の含有量は、フィルムの表面平滑性と離型性とを両立しやすい観点から、樹脂成分の総量に基づいて好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。
1−ブテン系重合体は、1−ブテンに由来する構造単位を含む重合体であり、1−ブテンの単独重合体又は1−ブテンと1−ブテンとは異なる他のオレフィンとの共重合体である。1−ブテンとは異なる他のオレフィンとしては、例えばエチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィン、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等を挙げることができる。1−ブテン系重合体は、1−ブテンに由来する構造単位と共に、これらの他のオレフィンの1種又は2種以上に由来する構造単位を含んでよい。1−ブテン系重合体は、1−ブテンと、エチレン及び/又はプロピレンとの共重合体であることが、1−ブテン系重合体と4−メチルペンテン−1系重合体との混和性の観点から好ましい。1−ブテン系重合体としては、1−ブテン系重合体の全構造単位に基づいて30〜90モル%の1−ブテン由来の構造単位を有する共重合体が好ましい。このような1−ブテン系重合体は市販されており、具体的には、タフマーBL3450(三井化学株式会社製)、タフマーBL3450M(三井化学株式会社製)、タフマーXM7070(三井化学株式会社製)等を挙げることができる。
樹脂成分は、1−ブテン系重合体として1種類の1−ブテン系重合体を含有してもよいし、2種以上の1−ブテン系重合体を組み合わせて含有してもよい。
樹脂成分として、プロピレン系重合体及び4−メチルペンテン−1系重合体に加えて、1−ブテン系重合体をさらに含有する場合、プロピレン系重合体と4−メチルペンテン−1系重合体との相溶化を促進し、層間接着性を向上させる効果があるため好ましい。
1−ブテン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、フィルムの成形性の観点から、好ましくは5〜15g/10分、より好ましくは6〜13g/10分である。上記MFRは、JIS K7210に準じ、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
環状オレフィン共重合体としては、例えば、炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15の環状オレフィン(一例としてシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサン等)に由来する構成単位を含む共重合体が挙げられる。
上記(II)の場合における樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)中の4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aに代えて「樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)」とする以外は、上記(I)での説明と同様である。
樹脂成分が(1)4−メチルペンテン−1系重合体A、(3)前記(1)及び前記(2)の樹脂成分とは異なる樹脂成分である場合(上記(III)の場合)について説明する。
前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aの種類、4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度、製造方法等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aにおける説明と同様である。
前記(3)の樹脂成分、即ち、前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aとも、前記(2)オレフィン系樹脂A’とも異なる熱可塑性樹脂成分としては、熱可塑性ポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリエステル系樹脂;熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・アクリル酸アクリレート共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂及び石油樹脂;共重合体ゴム、等が挙げられる。前記(3)の樹脂成分は、1種類を含有してもよく、また2種以上を組み合わせて含有してもよい。
上記(III)の場合における樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)中の4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aに代えて「樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)」とする以外は、上記(I)での説明と同様である。
樹脂成分が前記(1)、前記(2)及び前記(3)の樹脂成分である場合(上記(IV)の場合)について説明する。
前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aの種類、4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度、製造方法等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aにおける説明と同様である。
前記(2)4−メチルペンテン−1系重合体A以外のオレフィン系樹脂A’の種類(共重合体を含むときの単量体種類及びその成分量等を含む)、MFR、アイソタクチックメソペンタッド分率、灰分などの各詳細については、(II)の場合の(2)4−メチルペンテン−1系重合体A以外のオレフィン系樹脂A’における説明と同様である。
前記(3)前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aとも、前記(2)オレフィン系樹脂A’とも異なる熱可塑性樹脂成分の種類などの各詳細については、(III)の場合の(3)前記熱可塑性樹脂成分における説明と同様である。
上記(IV)の場合における樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)中の4−メチルペンテン−1に由来する構造単位の割合、融点、MFR、極限粘度、密度、分子量分布、結晶化温度等の各詳細については、(I)の場合の4−メチルペンテン−1系重合体Aに代えて「樹脂成分全体(又は最表層を構成する樹脂組成物)」とする以外は、上記(I)での説明と同様である。
ここで、以下、具体的な事例について述べる。最表面層を構成する樹脂成分(又は最表層を構成する樹脂組成物)として、以下の[1]〜[6]を用いることは、本発明の態様として好ましい。なお、以下の[1]〜[6]の樹脂成分は、最表面層を構成する樹脂成分の全部を占めるものとして使用してもよいし、最表面層を構成する樹脂成分の一部を占めるものとして使用してもよい。また樹脂成分として、以下[1]〜[6]の樹脂成分の一種又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
[1] 4−メチルペンテン−1に由来する構成単位(i)5〜95モル%、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位(ii)5〜95モル%及び非共役ポリエンに由来する構成単位(iii)0〜10モル%からなる(但し、構成単位(i)、(ii)及び(iii)の合計を100モル%とする)4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体、
[2] 4−メチルペンテン−1に由来する構成単位(i)33〜80モル%、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位(ii)67〜20モル%及び非共役ポリエンに由来する構成単位(iii)0〜10モル%(ただし、構成単位(i)、(ii)及び(iii)の合計を100モル%とする)からなる4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体(A)50〜95重量部と、該4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体以外の熱可塑性樹脂(B)5〜50重量部とを含む(但し、該共重合体(A)と該熱可塑性樹脂(B)の合計を100重量部とする)、4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体組成物、
[3] 4−メチルペンテン−1共重合体(AA)を50〜98重量部、4−メチルペンテン−1共重合体(AA)以外の結晶性オレフィン樹脂(BB)(例えば、融点が100℃以上の結晶性オレフィン樹脂を包含する)を1〜49重量部及び4−メチルペンテン−1共重合体(AA)以外の融点が100℃未満のα−オレフィン系共重合体(CC)を1〜49重量部(ただし、(AA)、(BB)及び(CC)の合計を100重量部とする)含み、前記共重合体(AA)が、下記要件(a−1):
(a−1)4−メチルペンテン−1に由来する構成単位が5〜95重量%であり、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位が5〜95重量%である(ただし、該共重合体(AA)中の構成単位の全量を100重量%とする)
を満たす、4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体組成物、
[4] 4−メチルペンテン−1に由来する構成単位(i)5〜95モル%、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位(ii)5〜95モル%及び非共役ポリエンに由来する構成単位(iii)0〜10モル%からなる(但し、構成単位(i)、(ii)及び(iii)の合計を100モル%とする)4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体5〜95重量部と、該4-メチルペンテン−1・α-オレフィン共重合体以外の熱可塑性樹脂(B)5〜95重量部(ただし、該共重合体と該熱可塑性樹脂(B)の合計を100重量部とする)を含んでいることを特徴とする4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体組成物、
[5] 4−メチルペンテン−1に由来する構成単位(i)33〜80モル%、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位(ii)67〜20モル%および非共役ポリエンに由来する構成単位(iii)0〜10モル%(ただし、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%とする)からなる4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体(A)5〜49重量部と、該4-メチルペンテン−1・α-オレフィン共重合体以外の熱可塑性樹脂(B)51〜95重量部(ただし、該共重合体(A)と該熱可塑性樹脂(B)の合計を100重量部とする)を含むことを特徴とする4−メチルペンテン−1・α−オレフィン共重合体組成物、
[6] 4−メチルペンテン−1共重合体(AA)を50〜96重量部、4−メチルペンテン−1共重合体(AA)以外の結晶性オレフィン樹脂(BB)(例えば、融点が100℃以上の結晶性オレフィン樹脂を包含する)(BB)を2〜45重量部および4−メチルペンテン−1共重合体(AA)以外の融点が100℃未満のα−オレフィン系共重合体(CC)を2〜45重量部(ただし、(AA)、(BB)および(CC)の合計を100重量部とする)含み、
前記共重合体(AA)が、下記要件(c−1):
(c−1)4−メチルペンテン−1に由来する構成単位が18〜90重量%であり、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンに由来する構成単位が10〜82重量%である(ただし、該共重合体(AA)中の構成単位の全量を100重量%とする)
を満たす、4−メチルペンテン−1共重合体組成物。
なお、[1]、[2]、[4]および[5]における非共役ポリエンとしては、例えば炭素原子数5〜20(好ましくは5〜10)の非共役ポリエンが挙げられ、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等が挙げられる。
[2]、[4]及び[5]における熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、(2)オレフィン系樹脂A’、(3)前記(1)及び前記(2)の樹脂成分とは異なる樹脂成分において例示された熱可塑性樹脂等が挙げられる。
[3]及び[6]における結晶性オレフィン樹脂とは、例えば、示差走査型熱量計において融点が70℃以上の樹脂である。
[1]〜[6]におけるα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10の直鎖状のα−オレフィンが挙げられる。
最表層は、例えば、4−メチルペンテン−1系重合体Aを含む樹脂成分と、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液を中間層上に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、4−メチルペンテン−1系重合体Aを含む樹脂成分を溶解することができれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素等の有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液のハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液中の4−メチルペンテン−1系重合体Aを含む樹脂成分の濃度は、塗工液の安定性及び塗工適性の観点から、塗工液の総量に基づいて1〜10質量%であることが好ましく、3〜7質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、中間層について記載した塗工方法を同様に用いることができる。
塗工層から溶媒を除去する方法としては、中間層について記載した方法を同様に用いることができる。
最表層の厚みは、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上であり、特に好ましくは0.5μm以上である。最表層の厚みは、塗工適正及び製造しやすさの観点から、好ましくは3.0μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下である。最表層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
基材層、中間層及び最表層は、必要に応じて少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、塩素吸収剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。このような添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で基材層、中間層又は最表層に添加してよい。少なくとも1種の添加剤を、基材層、中間層又は最表層のいずれかにのみ含有させてもよいし、基材層、中間層及び最表層の全ての層に含有させてもよい。また、基材層、中間層及び最表層は互いに同一又は異なる添加剤を含有してよい。
「酸化防止剤」には、剥離性フィルム製造時の熱や酸化による劣化を抑制する目的で配合される1次剤としての役割と、長期使用した際の経時的な劣化を抑制する目的で配合される2次剤としての役割とが、少なくともある。これらの役割に応じて、各々異なる種類の酸化防止剤を用いても構わないし、1種類の酸化防止剤に2つの役割を持たせてもよい。
異なる種類の酸化防止剤を用いる場合、例えば成形機内での劣化等の製造時の劣化を防止することを目的とする1次剤としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)を、各層を得るための組成物中に1000〜3000ppm程度添加することが好ましい。この目的で配合された酸化防止剤は成形工程でほとんどが消費され、剥離性フィルム中にはほとんど残存しない。そのため、一般的には残存量は100ppmより少なくなり、酸化防止剤による被着体の汚染がほとんどない点で好ましい。
2次剤としては公知の酸化防止剤が使用可能だが、例えば、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤及び酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。より具体的には、BASFジャパン株式会社製の酸化防止剤である、Irganox
(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1330、Irgafos(登録商標)168が挙げられる。
中でも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、フェノール系とホスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系との組み合わせ、フェノール系とホスファイト系とラクトン系の組み合わせが、フィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与でき、好ましい。
また2次剤としてリン系酸化防止剤を使用してもよい。リン系酸化防止剤として、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:Irgafos(登録商標)168)、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト(商品名:Irgafos(登録商標)38)等が挙げられる。
2次剤としての該酸化防止剤の含有量は、各層に含まれる樹脂の総量に基づいて、300ppm以上2500ppm以下が好ましく、500ppm以上1500ppm以下がより好ましい。300ppm以上とすることでフィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与できやすく、2500ppm以下とすることで、酸化防止剤による被着体の汚染を防止しやすい。
「塩素吸収剤」としては、特に限定されないが、例えばステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。
「紫外線吸収剤」としては、特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール(BASF製Tinuvin328等)、ベンゾフェノン(Cytec製Cysorb UV−531等)、ハイドロキシベンゾエート(Ferro製UV−CHEK−AM−340等)等が挙げられる。
「滑剤」としては、特に限定されないが、例えば第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N−ステアリルステアリン酸アミド等)、エチレンビスアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
「可塑剤」としては、特に限定されないが、例えばPPランダム共重合体等が挙げられる。
「難燃化剤」としては、特に限定されないが、例えばハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート、アンチモン酸化物等が挙げられる。
「帯電防止剤」としては、特に限定されないが、例えばグリセリンモノエステル(グリセリンモノステアレート等)、エトキシル化された第二級アミン等が挙げられる。
「着色剤」としては、特に限定されないが、例えばカドミウム、クロム含有無機化合物からアゾ、キナクリドン有機顔料等が挙げられる。
「アンチブロッキング剤」は、ブロッキング防止のために添加され、核剤としての効果を発現しない限り特に限定されないが、例えばシリカ粒子、アルミナ、(合成)ゼオライト、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、石英、炭酸マグネシウム、硫酸パリウム、二酸化チタン等の無機顔料や、ポリスチレン、ポリアクリル系粒子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系粒子、架橋ポリエチレン粒子、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、(架橋)メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、脂肪酸アミド、脂肪酸グリセリンエステル化合物等の有機顔料が挙げられる。アンチブロッキング剤は、0.1μm〜10μmの粒子径を有する顔料であることが好ましく、PMMAやシリカ粒子が、耐ブロッキング性や滑り性付与に優れるためより好ましい。例えば基材層にこのような顔料を含有させることにより、基材層の表裏面の滑り性が向上し、ブロッキングを抑制することができる。
本発明の剥離性フィルムの表面に、剥離性フィルムとして用いる場合の貼り合わせ等に支障が無い範囲で、巻き適性を向上させる微細な表面粗さを付与してもよい。フィルム表面に微細な凹凸を与える方法としては、エンボス法、エッチング法等、公知の各種粗面化方法を採用することができ、その中でも、不純物の混入等の必要がないβ晶を用いた粗面化法が好ましい。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度及びキャストスピードを変更することによって制御することができる。また、縦延伸工程のロール温度によってβ晶の融解/転移割合を制御することができ、これらのβ晶生成とその融解/転移の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することによって微細な粗表面性を得ることができる。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は、剥離性フィルムの平滑性を高める観点から、好ましくは0.04μm以下、より好ましくは0.03μm以下、さらに好ましくは0.02μm以下である。該突出山部高さ(Rpk)は、通常0.005μm以上であり、好ましくは0.008μm以上である。
突出山部高さ(Rpk)とは、JISB−0671−2:2002で、線形負荷曲線による高さ特性より計算される、粗さ曲線のコア部の上にある突出山部の平均高さであって、フィルム表面の連続した起伏の影響を取り除きながら、被着体との接触に影響が大きい、突出した凸部、即ち異常突出部の状態を、正確に判定することを可能とする指標である。
突出山部高さ(Rpk)は、触針による接触式や可視光反射、レーザー光干渉による非接触式、走査プローブ顕微鏡(SPM/AFM)等による原子間力位相差測定等により測定することができる。
このようなRpk値は、粗さ曲線のコア部の外にはみ出る異常突出部の平均高さを意味し、この値が大きいほど、フィルム表面の異常突出部が多い、即ち、被着体に対する食いつきが大きく、剥離力が重くなる原因の固着が生じやすい形状であることを表す。この値が小さいと、異常突出部が少なく被着体への固着を生じにくい突出山部が平滑なプラトー(丘陵)構造となり、剥離用のフィルムの表面として好ましい。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(300mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.15N/25mm以上、さらに好ましくは0.2N/25mm以上、特に好ましくは1N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(300mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは2.0N/25mm以下であり、より好ましくは1.5N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/25mm以下であり、特に好ましくは1.2N/25mm以下である。剥離性フィルムの上記T字ピール剥離力は、剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に、幅50mm×長さ200mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、アクリル系粘着剤)を、2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、処理前貼付品を得て、次いで、当該貼付品に対して23℃で2分間の加熱処理を行い、5KPaの荷重となるように錘を載せた上で温度23℃湿度50%の環境下で20時間静置して得られたフィルムから25mm幅に切り出した試料を測定試料とし、引っ張り試験機(例えば、協和界面科学株式会社製、粘着・皮膜剥離解析装置VP−2)を用いて300mm/分の速度でT字ピール剥離を行う際の剥離力として測定される。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPAともいう。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.05N/25mm以上、より好ましくは0.08N/25mm以上、さらに好ましくは0.1N/25mm以上、特に好ましくは0.4N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは2.0N/25mm以下であり、より好ましくは1.5N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/25mm以下であり、特に好ましくは1N/25mm以下である。剥離性フィルムの上記T字ピール剥離力(1000mm/分)の測定方法は、300mm/分の速度に代えて1000mm/分とする以外は、上述のT字ピール剥離力(300mm/分)の測定方法と同様である。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPBともいう。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(10000mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.01N/25mm以上、より好ましくは0.03N/25mm以上、さらに好ましくは0.05N/25mm以上、特に好ましくは0.1N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(10000mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは1.7N/25mm以下であり、より好ましくは1.3N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.1N/25mm以下であり、特に好ましくは1N/25mm以下である。剥離性フィルムの上記T字ピール剥離力(10000mm/分)の測定方法は、300mm/分の速度に代えて10000mm/分とする以外は、上述のT字ピール剥離力(300mm/分)の測定方法と同様である。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPCともいう。
本発明の剥離性フィルムに対して110℃の加熱処理を施した後の当該剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(300mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.15N/25mm以上、さらに好ましくは0.2N/25mm以上、特に好ましくは1N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(300mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは2.0N/25mm以下であり、より好ましくは1.5N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/25mm以下であり、特に好ましくは1.2N/25mm以下である。剥離性フィルムの当該T字ピール剥離力(300mm/分)の測定方法は、2分間の加熱処理について、温度23℃に代えて温度110℃とする以外は、上述のT字ピール剥離力(300mm/分)の測定方法と同様である。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPA’ともいう。
本発明の剥離性フィルムに対して110℃の加熱処理を施した後の当該剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.05N/25mm以上、より好ましくは0.08N/25mm以上、さらに好ましくは0.1N/25mm以上、特に好ましくは0.4N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは2.0N/25mm以下であり、より好ましくは1.5N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.3N/25mm以下であり、特に好ましくは1N/25mm以下である。剥離性フィルムの当該T字ピール剥離力(1000mm/分)の測定方法は、2分間の加熱処理について、温度23℃に代えて温度110℃とする以外は、上述のT字ピール剥離力(1000mm/分)の測定方法と同様である。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPB’ともいう。
本発明の剥離性フィルムに対して110℃の加熱処理を施した後の当該剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(10000mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.01N/25mm以上、より好ましくは0.03N/25mm以上、さらに好ましくは0.05N/25mm以上、特に好ましくは0.1N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(10000mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは1.7N/25mm以下であり、より好ましくは1.3N/25mm以下であり、さらに好ましくは1.1N/25mm以下であり、特に好ましくは1N/25mm以下である。剥離性フィルムの当該T字ピール剥離力(10000mm/分)の測定方法は、2分間の加熱処理について、温度23℃に代えて温度110℃とする以外は、上述のT字ピール剥離力(10000mm/分)の測定方法と同様である。なお、本発明及び本明細書において、当該剥離力を便宜的にPC’ともいう。
本発明の剥離性フィルムのPB/PA値は、0.1〜0.7が好ましく、0.2〜0.5がより好ましく、0.3〜0.45がさらに好ましい。PB/PA値が上記範囲内であることにより、剥離フィルムロールを運搬するなどの作業性と、高速領域(例えば、1000mm/分以上、3000mm/分以上など)での加工性を両立することができる。
本発明の剥離性フィルムのPC/PA値は、0.05〜0.6が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.2〜0.4がさらに好ましい。PC/PA値が上記範囲内であることにより、剥離フィルムロールを運搬するなどの作業性と、超高速領域(例えば、5000mm/分以上、10000mm/分以上など)での加工性を両立することができる。
本発明の剥離性フィルムのPA’/PA値は、0.9〜1.1が好ましい。PA’/PA値が上記範囲内であることにより、周囲の温度変化の影響を受けにくく、剥離フィルムロールを運搬するなどの作業性が良好となり好ましい。
本発明の剥離性フィルムのPB’/PB値は、0.9〜1.1が好ましい。PB’/PB値が上記範囲内であることにより、保管環境や加工環境における温度変化の影響を受けにくく、高速領域(例えば、1000mm/分以上、3000mm/分以上など)で安定した加工性を得ることができ好ましい
本発明の剥離性フィルムの、PC’/PC値は、0.9〜1.1が好ましい。PC’/PC値が上記範囲内であることにより、保管環境や加工環境における温度変化の影響を受けにくく、超高速領域(例えば、5000mm/分以上、10000mm/分以上など)で安定した加工性を得ることができ好ましい
本発明の剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは18μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。本発明の剥離性フィルムの厚みはマイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定される。
本発明の剥離性フィルムのヘイズは、好ましくは10.5%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。ヘイズ値(曇り度)は、公知のヘイズメーター等を用いて測定することができる。ヘイズ値(曇り度)が高いフィルムは(一般的に内部ヘイズが低い薄いフィルムの場合には)、表面の粗さが粗い状態を示す。
本発明の剥離性フィルムは、低速で剥離する際に良好な剥離性を有すると共に、高速で剥離する際にも良好な剥離性を有することを兼ね備えているため、剥離用のフィルムとして優れている。例えば、本発明のフィルムは、1000mm/min以上、3000mm/min以上、5000mm/min以上、10000mm/min以上等の高速での剥離用途として有効である。
また、本発明の剥離性フィルムは、加熱処理温度にかかわらず剥離力が安定している。そのため、本発明のフィルムは、高温下での環境下で使用する(言い換えれば、例えば100℃以上の環境下での剥離用として使用する)場合にも、好適に使用される。
本発明の剥離性フィルムは、表面保護フィルム及び粘着テープ等に使用する剥離フィルム、剥離ライナー又はセパレータフィルム、ならびに複合材料製造時のキャリアー等として好適に使用される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[測定方法及び評価方法]
実施例及び比較例における、各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
〔230℃におけるメルトフローレート〕
JISK−7210(1999)に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
〔融点〕
樹脂成分の融点は、パーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。
まず、樹脂成分を2mg量りとり、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットし、窒素流下0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持、10℃/分で30℃まで冷却後、再び10℃/分で280℃まで昇温する際の吸熱ピークを融点とした。
〔カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1の酸価〕
JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2の水酸基価〕
JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔中間層及び最表層の厚み〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
測定機の層厚み測定モード(ベアリング測定)にて、基材層の屈折率1.60、中間層及び最表層の屈折率1.48から各層の光学距離を求め、中間層及び最表層の厚みを測定した。
〔基材層及びフィルムの厚み〕
剥離性フィルム及び基材層の厚みは、マイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定した。
〔ヘイズ(曇り)度〕
日本電色社製 ヘイズメーター NDH−5000を用い、50mm×100mmにカットしたサンプルを測定した。測定数は3とし、その平均値を採用した。
〔突出山部高さ(Rpk)〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
JISB−0671−2:2002に規定されるコア部のレベル差(Rk)、突出山部高さRpk、突出谷部深さ(Rvk)のうち、コア部のレベル差(Rk)及び突出山部高さ(Rpk)を指標とした。
〔表面強度(1)〕
日東電工株式会社製NO.31Bテープ(アクリル系粘着剤付きポリエステルテープ)を用いたT字ピール剥離力測定時の、剥離したポリエステルテープへの最表層の転移性を下記基準にて評価し、剥離性フィルムの表面強度の指標とした。
〇:剥離したポリエステルテープへの最表層の転移が見られない。
△:剥離したポリエステルテープに最表層の一部が転移した。
×:剥離したポリエステルテープに最表層が完全に転移した。
〔表面強度(2)〕
日東電工株式会社製NO.31Dテープ(ゴム系粘着剤付きポリエステルテープ)を用いたT字ピール剥離力測定時の、剥離したポリエステルテープへの最表層の転移性を、NO.31Bテープと同様の基準で評価し、剥離性フィルムの表面強度の指標とした。
〔T字ピール剥離力(23℃処理)〕
剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に幅50mm×長さ200mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、アクリル系粘着剤)を、2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、処理前貼付品を得た。
次いで、当該貼付品に対して23℃で2分間の加熱処理をした。なお、当該加熱処理においては、熱風乾燥機を使用した。
次いで、当該貼付品に対して、5KPaの荷重となるように錘を載せ、23℃で湿度50%の環境下で20時間静置した。
得られた処理後貼付品を25mm幅に切り出した試料を各測定試料とし、剥離試験機(協和界面科学株式会社製、粘着・皮膜剥離解析装置VP−2)を用いて、(i)300mm/min、(ii) 1000mm/min、(iii)10000mm/minの各速度でT字ピール剥離試験を行い、その際の剥離力を計測した。各測定は、それぞれ3回行い、その平均値を各剥離性フィルムのT字ピール剥離力(23℃処理)とした。
〔T字ピール剥離力(110℃処理)〕
2分間の加熱処理について、温度を23℃に代えて110℃とする以外は、前記〔T字ピール剥離力(23℃処理)〕と同様にして、処理後貼付品を得た。当該処理後貼付品を25mm幅に切り出した試料を各測定試料とし、剥離試験機(協和界面科学株式会社製、粘着・皮膜剥離解析装置VP−2)を用いて、(i)300mm/min、(ii) 1000mm/min、(iii)10000mm/minの各速度でT字ピール剥離試験を行い、その際の剥離力を計測した。各測定は、それぞれ3回行い、その平均値を各剥離性フィルムのT字ピール剥離力(110℃処理)とした。
〔比重〕
まず、各樹脂成分(EP1013、タフマーXM7070、ザイクセンNC、COC8007、エリーテルUE3200、サイビノールEK108、エスレックBL−S)を用い、4質量%の濃度になるようにトルエンに分散させた。次いで、還流装置を用いて、該分散液を110℃で1時間撹拌して各樹脂成分を溶解させ、さらに当該溶解液を冷却した。これにより、(最表層を形成するための)塗工液Aを得た。
次いで、当該塗工液Aをポリテトラフルオロエチレン板に滴下し、20時間乾燥させて、樹脂膜を作製した。
次いで、当該樹脂膜をポリテトラフルオロエチレン板から剥離させた。
次いで、ガス置換密度測定装置(マイクロメリティックス社製、アキュピックII1340)を用いて、当該各樹脂膜の比重を測定した。
〔ガラス転移温度〕
上記〔比重〕測定のときと同様にして、各樹脂膜を得た。
次いで、JIS 7121に準拠した示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、Diamond DSC)を用いて、当該樹脂膜のガラス転移温度を測定した。具体的には、当該樹脂膜5mgをアルミパンに詰めて200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱曲線により求めた。
実施例1
特殊ポリオレフィン樹脂(三菱化学株式会社製「サーフレン(登録商標)P−1000」、マレイン化水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)を用い、2質量%の濃度になるようにトルエンで希釈した。これにより、中間層を形成するための塗工液Bを得た。
次に、最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位を含む4−メチルペンテン−1系重合体を含有する樹脂A1「EP1013」(三井化学株式会社製、MFR=10g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点130℃、比重0.834g・cm−3、ガラス転移温度40℃)を用い、4質量%の濃度になるようにトルエンに分散させた。次いで、還流装置を用いて、該分散液を110℃で1時間撹拌して4−メチルペンテン−1系重合体を溶解させ、さらに当該溶解液を冷却した。これにより、最表層を形成するための塗工液Aを得た。
次に、基材層として、38μmの厚みを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製「ダイアホイルT100」)を用いた。次いで、マイヤーバーを用いて、該基材層の上に塗工液Bを塗工し、防爆型乾燥機中、110℃で1分間乾燥させ、基材層及び中間層(厚み:0.2μm)を有する積層体を得た。
次いで、得られた積層体の中間層の上に、マイヤーバーを用いて塗工液Aを塗工し、防爆型乾燥機中、110℃で1分間乾燥させて最表層(厚み:0.5μm)を形成した。これにより、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
比較例1
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、α−オレフィン共重合体「タフマーXM7070」(三井化学株式会社製、比重0.88g・cm−3、ガラス転移温度−15℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例2
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、ポリオレフィン「ザイクセンNC」(住友精化株式会社製、比重0.94g・cm−3、ガラス転移温度−50℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例3
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、環状オレフィン系共重合体「COC8007」Topas Advanced Polymers社製、比重1.01g・cm−3、ガラス転移温度78℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例4
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、環状オレフィン系共重合体「エリーテルUE3200」ユニチカ株式会社製、比重1.25g・cm−3、ガラス転移温度65℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例5
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、アクリル樹脂「サイビノールEK108」サイデン化学社製、比重1.19g・cm−3、ガラス転移温度56℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例6
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体含有樹脂A1「EP1013」に代えて、ポリアセタール樹脂「エスレックBL−S」積水化学株式会社製、比重1.42g・cm−3、ガラス転移温度61℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
実施例1及び比較例1〜6で得た各剥離性フィルムの(a)最表層の比重、(b)最表層のガラス転移温度(Tg)、(c)T字ピール剥離力(23℃処理)、(d)T字ピール剥離力(110℃処理)の結果を表1に示す。また、
(e)23℃処理後の剥離速度300mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(c)における剥離速度300mm/minのときのT字ピール剥離力)をPA、
(f)23℃処理後の剥離速度1000mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(c)における剥離速度1000mm/minのときのT字ピール剥離力)をPB、
(g)23℃処理後の剥離速度10000mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(c)における剥離速度10000mm/minのときのT字ピール剥離力)をPC、
(h)110℃処理後の剥離速度300mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(d)における剥離速度300mm/minのときのT字ピール剥離力)をPA’、
(i)110℃処理後の剥離速度1000mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(d)における剥離速度1000mm/minのときのT字ピール剥離力)をPB’、
(j)110℃処理後の剥離速度10000mm/minのときのT字ピール剥離力(上記(d)における剥離速度10000mm/minのときのT字ピール剥離力)をPC’、
としたときの、PB/PA値、PC/PA値、PA’/PA値、PB’/PB値、PC’/PC値の結果を併せて表1に示す。
なお、実施例1の最表層の厚みは0.5μm、中間層の厚みは0.2μmであり、実施例1のヘイズ度は4.3、突出山部高さRpkは0.025μm、表面強度(1)31B評価は○であり、表面強度(2)31D評価は○であった。
表1に示されるように、実施例1の剥離性(剥離用)フィルムは、最表層の主成分である樹脂成分の比重が1.15g・cm−3以下であり、且つ、当該樹脂成分のガラス転移温度が−10〜75℃である。そのため、
(1)加熱処理温度が23℃及び110℃のときの各剥離力は有限値を示し(0を超え)、且つ、低い値を示す。そのため、実施例1のフィルムを包含する本発明のフィルムは、剥離用として有効に使用することができる。また、
(2)加速剥離変化率PB/PA及びPC/PAが上記所望の値となる。そのため、当該実施例1のフィルムを包含する本発明のフィルムは、剥離性(剥離用)フィルムとして有用であり、特に高速での剥離に対する剥離性(剥離用)フィルムとして有用である。また、
(3)剥離力加熱処理温度依存性を示すPA’/PA値、PB’/PB値、PC’/PC値がそれぞれ上記所望の値となる。そのため、当該実施例1のフィルムは、加熱処理温度にかかわらず剥離力が安定している。よって、当該実施例1のフィルムを包含する本発明のフィルムは、特に温度環境に依存せず温度に対して安定した剥離性(剥離用)フィルムとして有用である。