JP2019151023A - 剥離性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度に優れるという基本性能を有すると共に、例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥した際でも良好な剥離性を兼ね備えた剥離性フィルムを提供する。【解決手段】基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面の上に形成された最表層とが積層されている剥離性フィルムであって、前記最表層は、樹脂成分を主成分として含有し、前記樹脂成分は(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aと(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bとを含有する、ことを特徴とする剥離性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた剥離性を有するフィルムに関する。特に、本発明は、医療分野及び工業分野において、例えば、電子部品若しくは電子基板の製造工程、又は繊維強化プラスチックなどの熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離用のフィルム等に関する。
さらに詳しくは、本発明は、表面保護フィルム、粘着テープ等に使用する剥離フィルム、剥離ライナー、セパレータフィルム;半導体製品製造時に使用される工程(ダイシング、ダイボンディング、バックグラインド)テープのセパレータ;セラミックコンデンサ製造時の未焼成シート形成用キャリアー;複合材料製造時のキャリアー、保護材のセパレータフィルム等として特に有用な、剥離性フィルムに関する。
剥離性フィルムは、例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付した状態で保管、流通等され、表面保護フィルムなどを使用する際には被着面から剥離されるフィルムである。よって、剥離性フィルムには、剥離力が軽いという良好な剥離性が前提として求められる。なお、表面保護フィルムの粘着面などの被着面から剥離性フィルムを剥離する際は、剥離性フィルムの強度が十分でないと剥離性フィルムの一部が被着面に移行する場合がある。また、剥離性フィルムの平滑性が低いと、剥離性フィルムの表面形状が被着面に転写される場合がある。具体的には、剥離性フィルムの強度が十分でないと前記被着面を有する表面保護フィルムなどをさらに別の面に貼付して使用する際に、移行した剥離性フィルムの一部が別の面にさらに移行することが問題となる場合がある。また、剥離性フィルムの平滑性が低いと被着面に転写された剥離性フィルムの形状のために表面保護フィルムなどの粘着性が低下したりする場合がある。
そこで、従来、剥離力が軽いという良好な剥離性を有すると共にフィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えた剥離性フィルムが求められており、それらの要求性能を満たすものが特許文献1に開示されている。
特許文献1は剥離性フィルムに関し、請求項1には、「基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層と、前記中間層上に形成された最表層が積層されてなる剥離性フィルムであって、
前記中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
前記最表層は樹脂成分を主成分として含有し、前記樹脂成分は4−メチルペンテン−1に由来する構成単位を含む、剥離性フィルム。」が開示されている。
WO2017/1258810号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載された剥離性フィルムは、例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付して使用する際、貼付後に110℃を超える温度(例えば、130℃、140℃)で乾燥、加熱処理等の熱が加わる処理がなされた場合、又は有機溶剤を含有する粘着剤を塗布して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥した場合に、剥離性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度に優れるという基本性能を有すると共に、例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥した際でも良好な剥離性を兼ね備えた剥離性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために剥離性フィルムについて詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
1.基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面の上に形成された最表層とが積層されている剥離性フィルムであって、
前記最表層は、樹脂成分を主成分として含有し、前記樹脂成分は(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aと(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bとを含有する、
ことを特徴とする剥離性フィルム。
2.前記基材層と前記最表層との間に中間層が形成されており、前記中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、上記項1に記載の剥離性フィルム。
3.前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96〜80モル%含有し、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を4〜20モル%含有する、上記項1又は2に記載の剥離性フィルム。
4.前記(2)4−メチルペンテン−1系重合体Bは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96モル%超過100モル%未満含有し、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を0モル%超過4モル%未満含有する、上記項1〜3のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
5.前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体A及び前記(2)4−メチルペンテン−1系重合体Bの含有量の合計を100質量部とした場合に、前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aの含有量が50質量部以上である、上記項1〜4のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
6.前記最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対する140℃T字ピール剥離力(1000mm/分)が0.1〜1.0N/25mmである、上記項1〜5のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
7.前記中間層を構成する樹脂成分中にスチレンに由来する構成単位を含む、上記項2〜6のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
8.前記最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は0.005〜0.100μmである、上記項1〜7のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
9.上記1〜8のいずれか一項に記載の剥離性フィルムの表面層上に、少なくとも粘着性層が形成されている積層体。
本発明の剥離性フィルムは、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度に優れるという基本性能を有すると共に、例えば、表面保護フィルムの粘着性層などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥して粘着性層を設けた際でも良好な剥離性を兼ね備える。そのため、特に、電子部品若しくは電子基板の製造工程、又は繊維強化プラスチックなどの熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離フィルム、特に高温での熱処理を含む工程で使用される剥離フィルム等として適当である。
本発明の剥離性フィルムの一態様を模式的に示す断面図である。 本発明の剥離性フィルムの一態様を模式的に示す断面図である。 本発明の積層体の一態様を模式的に示す断面図である。 本発明の積層体の一態様を模式的に示す断面図である。
本発明の剥離性フィルムは、基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面の上に形成された最表層とが積層されている剥離性フィルムであって、
前記最表層は、樹脂成分を主成分として含有し、前記樹脂成分は(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aと(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bとを含有することを特徴とする。
本発明の剥離性フィルムは、(1)良好な剥離性(即ち、前記剥離性フィルムの最表層に対して粘着性層を有する対象物(被着体)を貼り付け、その後に前記最表層と前記被着体の粘着性層との間で剥がす場合、前記最表層と前記被着体の粘着性層との間に剥離力を有しつつも前記剥離力が低い(剥離力が軽いともいう)性質)、(2)優れたフィルム表面の平滑性、及び(3)優れたフィルムの表面強度、を兼ね備える。
ここで、(1)良好な剥離性については、例えば、表面保護フィルムの粘着性層などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥して粘着性層を設けた際であっても良好な剥離性が発揮される。以下、これらの熱処理を総称して「110℃以上の高温処理」ともいう。また、(3)優れたフィルムの表面強度については、上記貼り付ける被着体が、例えば、(a)アクリル系粘着剤付きポリエステルテープ、(b)ゴム系粘着剤付きポリエステルテープのいずれであっても優れたフィルム表面強度を有する。
本発明の剥離性フィルムが上記(1)〜(3)の効果を兼ね備えるため、前記本発明の剥離性フィルムは、電子部品若しくは電子基板の製造工程、又は繊維強化プラスチックなどの熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離フィルム、特に高温での熱処理を含む工程で使用される剥離フィルム等などとして好適に使用される。
本発明の剥離性フィルムは、基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面の上に形成された最表層とが積層されてなるフィルムである。ここで、基材層の少なくとも一方の面の上の「上」は、基材層に対して最表層(基材層と最表層との間に中間層が形成されている場合は中間層)が位置する方向を意味する。
本発明及び本明細書において、「主成分」とは対象とする層中に含まれる全成分において最も含有量の多い成分を意味するものであり、前記対象とする層中に含まれる全成分に対して好ましくは50質量%以上を占める成分であり、より好ましくは70質量%以上を占める成分であり、さらに好ましくは90質量%以上を占める成分であり、さらに一層好ましくは95質量%以上を占める成分であり、特に好ましくは98質量%以上を占める成分であり、最も好ましくは99質量%以上を占める成分である。
本発明及び本明細書における各物性の単位に記載された「/」は「÷」を意味する。
本発明及び本明細書において、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びYからなる群から選ばれた少なくとも一種」を意味する。
本発明及び本明細書において、例えば、数値範囲を示す「A〜B」は、特に断らない限り「A以上B以下」を意味する。
なお、以下では、最表層の樹脂成分に含まれる(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体A、(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bは、それぞれ「4−メチルペンテン−1系重合体A」、「4−メチルペンテン−1系重合体B」と略記する場合があり、当該重合体A及び当該重合体Bのみからなる混合物は「4−メチルペンテン−1系重合体」と総称する。
〔基材層〕
本発明の剥離性フィルムは、基材層を有する。基材層はシート又はフィルム状のものであれば材質は特に限定されないが、樹脂成分を主成分とすることが好ましい。基材層の主成分となる樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1系重合体A、4−メチルペンテン−1系重合体B、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;非晶性ポリスチレン系樹脂、結晶性ポリスチレン系樹脂等のポリスチレン系樹脂;セルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系等のポリウレタン樹脂;ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂;ポリフェニレンサルフィド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリ乳酸系樹脂;ブタジエン系樹脂、スチレンブタジエン系樹脂;シリコーン系樹脂等のゴム系樹脂等が挙げられる。基材層は、上記樹脂の1種類のみを含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本発明の剥離性フィルムにおける基材層は、最表層(中間層を形成する場合には中間層及び最表層)の加工適性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択される樹脂を含有する層であることが好ましい。また、最表層を形成するための最表層形成用組成物を塗工した後の乾燥工程などにおいて、フィルムに皺又は弛み等を発生させにくいという耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する層であることがより好ましい。
基材層は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれから形成される層であってもよい。加工適性、透明性及び寸法安定性の観点から、基材層は二軸延伸フィルムから形成される層であることが好ましい。
基材層の厚みは、加工適性の観点から、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。基材層の厚みは、製品使用時のハンドリング性の観点から、好ましくは125μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。基材層の厚みは、マイクロメーター(JIS B 7502:1994)を用いて、JIS C 2151:2006に準拠して測定される。
基材層と、後述する中間層又は表面層との密着性を高める目的で、所望により基材層の片面又は両面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理若しくは溶剤処理などの凹凸化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、又はオゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理などが挙げられる。
〔中間層〕
本発明の剥離性フィルムは、前記基材層の少なくとも一方の面に中間層が形成されていてもよい。即ち、本発明の剥離性フィルムは、前記基材層と後述する最表層との間に中間層が形成されていてもよい。中間層は、基材層と後述する最表層との接着性を高め、フィルムの強度を高めるための層であり、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
[カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂D]
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂Cは、基材層と最表層との密着性の観点から、好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの酸価を有する。ここでいう酸価は、JIS K 0070:1992(中和滴定法)に準拠した方法により測定される値である。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dは、基材層と最表層との密着性の観点から、好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの水酸基価を有する。ここでいう水酸基価は、JIS K 0070:1992(中和滴定法)に準拠した方法により測定される値である。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dは、例えば、ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基、水酸基をそれぞれ導入することにより製造することができる。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン及び炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの単独重合体、又は、これらから選択される2種以上のモノマーの共重合体、並びにエチレン及び炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。
上記オレフィンとしては、α−オレフィンの他、ブタジエン等のジオレフィンも包含する。ポリオレフィン樹脂の例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンブロック共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、塗工液(以下、中間層を形成するための塗工液を「塗工液X」と称する。)を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点から、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20(好ましくは炭素原子数4〜12)のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。ここで、炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、及び1−オクタデセン等が挙げられる。この態様において、ポリオレフィン樹脂は、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種のモノマーとの共重合体であってもよいし、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上のモノマーとの共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂は、塗工液Xを得る際の溶剤への溶解性の観点から、プロピレンと、エチレン又は1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂はブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。なお、塗工液Xを得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点からは、ポリオレフィン樹脂がランダム共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂Cは、例えば、前記ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基を導入することにより製造することができる。カルボキシル基の導入は、例えば、ポリオレフィン樹脂と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって達成される。これらのモノマーは単独で、又は、2種以上を組み合わせて、ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。
グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の量で前記モノマーをグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限値以上であると、基材層及び最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の上限値以下であると、中間層の脆性が増加せず、中間層の凝集剥離が生じにくいため好ましい。
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸、前記不飽和カルボン酸の無水物、並びに前記不飽和カルボン酸又は前記不飽和カルボン酸無水物の誘導体(例えば、酸ハライド、アミド、イミド又はエステル等)が挙げられる。
具体的には、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、及びシトラコン酸ジエチル等が挙げられる。不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体は、製造しやすさの観点から、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸であることが好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂Cは、好ましくは不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーをグラフト共重合させたポリオレフィンであり、より好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたポリオレフィンである。
このような要件を満たすポリオレフィン樹脂は、溶液形態で市販されており、具体的には、ユニストール(登録商標)P−401(三井化学株式会社製)、ユニストール(登録商標)P−802(三井化学株式会社製)、ユニストール(登録商標)P−902(三井化学株式会社製)、及びハードレン(登録商標)NS−2002(東洋紡株式会社)を挙げることができる。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dは、例えば、前記ポリオレフィン樹脂に水酸基を導入することにより製造することができる。水酸基の導入は、例えば、前記ポリオレフィン樹脂と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有ビニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって達成される。これらのモノマーは、単独で、又は、2種以上を組み合わせて、前記ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。
グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の量で前記モノマーをグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限値以上であると基材層及び後述する最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の上限
値以下であると、中間層の脆性が増加せず、中間層の凝集剥離が生じにくいため好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、製造のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。水酸基含有ビニルエーテルは、製造のしやすさ及び塗膜の成膜性の観点から、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルであることが好ましい。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dは、好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び/又は水酸基含有ビニルエーテルをグラフト共重合させたポリオレフィンである。このような要件を満たすポリオレフィン樹脂は、溶液形態で市販されており、具体的には、ユニストール(登録商標)P−801(三井化学株式会社製)、及びユニストール(登録商標)P−901(三井化学株式会社製)を挙げることができる。
なお、中間層を構成する樹脂成分中に、スチレンに由来する構成単位が含まれていることが好ましい。スチレンに由来する構成単位としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ターシャリーブトキシスチレン、α−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン等が挙げられる。
そのようなスチレンに由来する構成単位は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分中に構成単位として含まれていてもよいし、或いは中間層を構成する樹脂成分に前記樹脂C及びD以外の樹脂(ポリスチレン又はスチレン系重合体)として含まれていてもよい。前者の場合、即ち、前記樹脂C及び/又はD中にスチレンに由来する構成単位が含まれている場合、前記樹脂C及び/又はDへのスチレンに由来する構成単位の導入方法としては、例えば、スチレンをモノマー成分としてポリオレフィン樹脂とともに共重合させることが挙げられる。
前記のようなスチレンに由来する構成単位を含む樹脂は、溶液形態で市販されており、具体的には、アロンメルト(登録商標)PPET1303S(東亞合成株式会社製)、アロンメルト(登録商標)PPET1401SG(東亞合成株式会社製)、及びアロンメルト(登録商標)PPET1505SG(東亞合成株式会社製)を挙げることができる。
中間層を構成する樹脂成分中に、スチレンに由来する構成単位が含まれる場合、剥離性フィルムの耐熱性を高めやすく、結果として、例えば110℃以上の高温処理をした後においても軽剥離性が保持される観点から好ましい。特に、中間層を構成する樹脂成分中にスチレンに由来する構成単位が含まれており、且つ、最表層に含まれる融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aのうち、好ましくは融点が100〜160℃の範囲であるもの、より好ましくは110〜155℃であるもの、さらに好ましくは120〜140℃であるものが含まれている場合は、上記効果がより発揮されることとなり、より好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分は、部分的に塩素化されていてもよい。塩素化は公知の方法により行われる。
具体的には、例えば、上記カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dの少なくとも1種の重合体を熱溶融するか又は溶媒に溶解し、得られた溶融物又は溶液を、塩素を導入しながら密閉下において、例えば130℃以下の温度で加温する。
塩素化されたカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dは、溶液形態で市販されており、具体的には、ハードレン(登録商標)CY−1132(東洋紡株式会社製)、ハードレン(登録商標)EH−801(東洋紡株式会社製)、スーパークロン(登録商標)C(日本製紙株式会社)、スーパークロン(登録商標)803M(日本製紙株式会社)、及びスーパークロン(登録商標)803LT(日本製紙株式会社)を挙げることができる。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dの重量平均分子量(Mw)は、塗工液Xを得る際の溶剤への溶解性及び塗膜の成膜性を両立しやすい観点から、1,000〜200,000であることが好ましく、1,000〜50,000であることがより好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される。GPC法に使用されるGPC装置には特に制限はなく、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な市販の高温型GPC測定機、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPCHT等を使用することができる。この場合、例えば、GPCカラムとして東ソー株式会社製、TSKgelGMHHR−H(20)HTを3本連結させたものが用いられ、カラム温度は140℃に設定され、溶離液としてトリクロロベンゼンが用いられ、流速1.0ml/分にて測定される。通常、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を得る。
ポリオレフィン樹脂の融点(Tm)は、好ましくは60〜140℃、より好ましくは70〜130℃である。ポリオレフィン樹脂の融点が上記範囲内であると、塗膜の成膜性が良好であるため好ましい。
融点は、最表層の4−メチルペンテン−1系重合体と同様に、示差走査型熱量計(例えばパーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSC)を用いて求めることができる。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dのガラス転移温度(Tg)は、塗膜の成膜性の観点から、−5〜60℃であることが好ましく、0〜50℃であることがより好ましい。ここでガラス転移温度はJIS K 7121:2012の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度である。
[前記ポリオレフィン樹脂C及びD以外の、中間層に含まれてよい樹脂R]
中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂D以外の樹脂(以下「樹脂R」ともいう)を含んでもよい。前記樹脂Rの例としては、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体及びエチレン−酢酸ビニル系重合体;熱可塑性ポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリエステル系樹脂;熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸アクリレート共重合体;エチレン−メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂及び石油樹脂;並びに共重合体ゴム、等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂Rは、1種類を含有してもよく、また2種以上を組み合わせて含有してもよい。
前記樹脂Rを含む場合、その含有量は、中間層を構成する樹脂の総量100質量部において1〜70質量部であることが好ましくは、5〜50質量部であることがより好ましい。剥離性フィルムの高温下における重剥離化を抑制するという耐熱性の観点からは、中間層がスチレン系重合体を含むことが好ましい。他方、最表層及び基材層への接着性の観点からは、中間層が前記樹脂Rを含まない、即ち、中間層を構成する樹脂成分が、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dのみからなる群から選択される樹脂であることが最も好ましい。
本発明の剥離性フィルムが中間層を有する場合、本発明の中間層と後述する最表層との作用機構は明らかではないが、下記の作用機構が推定される。中間層に含まれる前記樹脂C及び前記樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と、表面層に含まれる樹脂成分中の4−メチルペンテン−1系重合体A及び4−メチルペンテン−1系重合体Bとの間に相互作用が生じる(例えば、前記重合体A、Bに含まれる2つのメチル基を有する炭素原子(4位の炭素原子)と前記カルボキシル基及び/又は水酸基との間に相互作用が生じる)ことで、より優れたフィルム強度、より良好な剥離性等が得られるものと推定される。
[中間層の作製方法]
中間層は、例えば、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種と、場合により前記樹脂Rと、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液Xを基材層の少なくとも一方の面に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、ポリオレフィン樹脂C及びD、並びに前記樹脂Rが中間層に含まれる場合はそのような樹脂を溶解することができれば特に限定されない。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液Xのハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液X中の樹脂の濃度(ポリオレフィン樹脂C及び/又はD、並びに前記樹脂Rが中間層に含まれる場合はそのような樹脂の濃度)は、塗工液Xの安定性及び塗工適性の観点から、塗工液Xの総量に基づいて1〜15質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法を適宜使用することができる。塗工方法としては、例えば、ブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、ダイコータ、カーテンコータ、又は印刷機等を用いた方法が挙げられる。
塗工層から溶媒を除去する方法は、溶媒を揮発させることができれば特に限定されない。なお、溶媒を除去するとは、溶媒を完全に取り除くことのみを意味するのではなく、層が形成される程度に溶媒を取り除くことも含む。溶媒を除去する方法としては、例えば塗工層に風を当てて乾燥させる方法、及び塗工層を加熱することにより乾燥させる方法が挙げられる。溶媒除去と基材変形防止を両立しやすい観点から、90〜140℃で乾燥させることが好ましく、95〜130℃で乾燥させることがより好ましい。
中間層の厚みは、成膜性と密着性を両立しやすい観点から、好ましくは0.04μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上である。中間層の厚みは、最表層の塗工適性の観点から、好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下である。中間層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
〔最表層〕
本発明の剥離性フィルムは、前記基材層の少なくとも一方の面の上に最表層(表面層)を有する。本発明の剥離性フィルムの好ましい積層構成は、前記基材層上又は前記中間層上に接するように形成された最表層(表面層)を有する構成である。
最表層は、本発明の剥離性フィルムに剥離性を付与するための層であり、樹脂成分を主成分として含有する層である。前記樹脂成分は、(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aと(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bとを含む。つまり、前述の定義より、前記樹脂成分は、「4−メチルペンテン−1系重合体A」と「4−メチルペンテン−1系重合体B」とを含有し、換言すると、前記樹脂成分は総称としての「4−メチルペンテン−1系重合体」を含有する。
ここで、主成分とは、最表層中において最も含有量の多い成分を意味するものである。最表層中の樹脂成分の含有量は、最表層中に含まれる全成分に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、99質量%以上であることが最も好ましい。最表層中の樹脂成分の含有量の上限値は100質量%である。前記最表層は、後述するように、樹脂成分以外の成分(例えば、添加剤等)を含んでいてもよい。
[最表層に含まれる樹脂]
最表層中の樹脂成分には、4−メチルペンテン−1系重合体が含まれていればよく、その含有量は限定されない。
最表層中の樹脂成分に対する4−メチルペンテン−1系重合体の含有量は、最表層中の樹脂成分100質量部において50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましく、80質量部以上がさらに一層好ましく、90質量部以上が特に好ましく、95質量部以上が特段好ましく、97質量部以上が最も好ましい。また、樹脂成分に対する4−メチルペンテン−1系重合体の含有量は、最表層中の樹脂成分100質量部において100質量部であってよい。
また、最表層中の全成分に対する4−メチルペンテン−1系重合体の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに一層好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が特段好ましく、97質量%以上が最も好ましい。また、最表層中の全成分に対する4−メチルペンテン−1系重合体の含有量は、100質量%が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下がさらに好ましい。
樹脂成分中又は最表層中の4−メチルペンテン−1系重合体の含有量が上記範囲内であると、塗工液(以下、最表層を形成するための塗工液を「塗工液Y」と称する。)を得る際の溶媒への溶解性がより向上し、且つ、剥離性フィルムとしての剥離性がより向上するため好ましい。また、例えば両面粘着テープのように両面に剥離フィルムを使用する際に、両者の剥離力に差をつける際(いわゆる、軽剥離セパレーターと重剥離セパレーター)等の剥離力の調整がしやすく好ましい。
[4−メチルペンテン−1系重合体A]
4−メチルペンテン−1系重合体に含まれる4−メチルペンテン−1系重合体Aは、4−メチルペンテン−1を重合性モノマーとして含有する重合体であって、融点(Tm)が100〜190℃の範囲であることを特徴とする。
4−メチルペンテン−1系重合体Aの融点は、DSC測定装置(例えばパーキン・エルマー社製、入力補償型DSC Diamond DSC)を用いて測定される。具体的には、上記融点は、実施例に記載するようなサンプルを用いて、0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持し、10℃/分で−50℃まで冷却後、−50℃で5分間置いた後、再び10℃/分で280℃まで昇温する際のJIS K 7121:2012の9.1(1)に定める溶融ピークとして測定することができる。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを上記融点として採用する。また、明確な吸熱ピークが見られない場合は、融点は観察されないとする。かかる融点測定方法は、4−メチルペンテン−1系重合体Bについても同じである。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aの融点は、100〜190℃であればよいが、その中でも110〜160℃の範囲が好ましく、110〜155℃の範囲であることがさらに好ましく、120〜140℃の範囲であることが特に好ましい。なお、融点の値は、重合体の立体規則性ならびに共に重合する炭素原子数2〜20のオレフィンの種類及び量に依存して変化する値であり、さらに後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望の組成に制御調整することが可能である。
4−メチルペンテン−1系重合体Aは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96〜80モル%含み、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を4〜20モル%の割合で含むことが好ましい。なお、炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、1種類に限定されることなく、2種以上を選択してもよく、複数選択した場合、その構成単位の総和として、上記範囲を満たせばよい。
ここで、耐熱性、平滑性、強度の観点から、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位の割合として96モル%以下含まれていることが好ましく、95モル%以下含まれていることがより好ましく、93モル%以下含まれていることがさらに好ましい。また4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の割合として、80モル%以上含まれていることが好ましく、83モル%以上含まれていることがより好ましく、84モル%以上含まれていることがさらに好ましい。
一方、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位の割合として20モル%以下含まれていることが好ましく、18モル%以下含まれていることがより好ましく、17モル%以下含まれていることがさらに好ましい。また、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位の割合として、4モル%以上含まれていることが好ましく、5モル%以上含まれていることがより好ましく、7モル%以上含まれていることがさらに好ましい。ここで、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の合計は100モル%である。
4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の割合が上記範囲内であることによって、4−メチルペンテン−1系重合体Aの融点を100〜190℃の範囲に調整し易くなる。なお、後述する通り、重合体Aの融点は、基本的には炭素原子数2〜20のオレフィンの種類や量によって調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体Aは、4−メチルペンテン−1構造単位連鎖と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導き出される構成単位で同種の構成単位が連続したブロックを含むブロック共重合体であってもよい。また平滑性、強度の観点からは、4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィンのランダム共重合体が好ましい。
4−メチルペンテン−1系重合体Aに含まれる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが好適な例として挙げられる。
得られる剥離性の観点からは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがより好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがさらに好ましい。これらのうち、炭素原子数2〜4のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好適な例として挙げられる。この中でも、特にプロピレンを用いる場合には、剥離性フィルムの軽い剥離性の性能が得られ易くなる。
これらの炭素原子数2〜20のオレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、4−メチルペンテン−1系重合体Aは、例えば、剥離力の調整等の目的のために、本発明の目的を損なわない範囲で、4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)以外の重合性化合物(以下「重合性化合物」ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
このような重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
本発明における4−メチルペンテン−1系重合体Aは、前記重合性化合物から導かれる単位を、4−メチルペンテン−1系重合体Aに含まれる全ての重合性化合物構造単位に対して、10モル%以下含有されていてもよく、5モル%以下、3モル%以下の量で含有していてもよい。
ここで、4−メチルペンテン−1系重合体A中の、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位、4−メチルペンテン−1を除く炭素原子数2〜20のオレフィン、前記重合性化合物等の各含有量は、例えば、13CNMRにより測定することができる。具体的には、核磁気共鳴装置(例えば日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500等)を用い、溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料(重合体A)濃度:55mg/0.6mL、測定温度:135℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:1万回以上の条件で、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定することができる。かかる各成分の含有量の特定方法は、後述する4−メチルペンテン−1系重合体Bについても同じである。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aのメルトマスフローレイト(MFR)は限定されない。上記MFRは、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜150g/10分、さらに好ましくは1〜20g/10分であり、特段好ましくは3〜11g/10分である。上記MFRは、JIS K 7210:1999(A法)に準じて、温度230℃、荷重21.18Nの測定条件で測定される値である。
4−メチルペンテン−1系重合体AのMFRは、4−メチルペンテン−1系重合体Aを構成するモノマーの種類若しくは構成割合、及び/又は重合体の規則性を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aの引張弾性率は限定されない。上記引張弾性率は、好ましくは0.3〜2.0GPa、より好ましくは0.4〜1.7GPaである。上記引張弾性率は、JIS K 7127:1999に準拠して測定することができる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aのガラス転移温度(Tg)は限定されない。上記Tgは、好ましくは0〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。上記Tgは、JIS K 7121:2012の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度である。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5〜5.0dL/gであることが好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、1.0〜4.0dL/gの範囲であることが好ましく、1.2〜3.5dL/gの範囲であることがさらに好ましい。
上記極限粘度[η]の値は、4−メチルペンテン−1系重合体Aを製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
極限粘度[η]の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系重合体Aは、樹脂組成物製造時や各種塗工時において良好な流動性を示し、平滑性の高い塗工品が得られる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.5であることが好ましい。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、1.2〜3.3の範囲であることが好ましく、さらには1.5〜3.0の範囲であることが好ましい。なお、分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
上記、分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することが可能である。
分子量分布(Mw/Mn)の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系共重合体Aは、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向がある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、ブロッキング性が低下し、強度や軽剥離性の観点から好ましい。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Aの密度は、825〜860kg/mであることが好ましい。ここで、密度は、830〜855kg/mの範囲であることが好ましく、830〜850kg/mの範囲であることがより好ましく、830〜845kg/mの範囲であることがさらに好ましい。
上記、密度の値は、4−メチルペンテン−1と共に重合する他の炭素原子数2〜20のオレフィンの種類や配合量を選択することにより、調整することが可能である。密度の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系重合体Aは、耐熱性と軽量性の観点から好ましい。上記4−メチルペンテン−1系重合体Aの密度は、JIS K 7112:1999(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明における4−メチルペンテン−1系重合体Aは、オレフィン重合用触媒の存在下、4−メチルペンテン−1と上述した炭素原子数2〜20のオレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を重合することにより得ることができる。
上述オレフィン重合用触媒のうち、4−メチルペンテン−1系重合体Aを製造するに当たり、好ましい触媒の態様として、メタロセン触媒を挙げることができる。好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報中あるいは国際公開第2006/025540号、国際公開第2014/050817号などに記載されたメタロセン触媒が挙げられる。
[4−メチルペンテン−1系重合体B]
4−メチルペンテン−1系重合体に含まれる4−メチルペンテン−1系重合体Bは、4−メチルペンテン−1を重合性モノマーとして含有する重合体であって、融点(Tm)が210〜240℃の範囲であることを特徴とする。
4−メチルペンテン−1系重合体Bの融点は、210〜240℃であればよいが、その中でも215〜235℃の範囲が好ましく、220〜230℃の範囲であることがさらに好ましい。なお、融点の値は、重合体の立体規則性ならびに共に重合する炭素原子数2〜20のオレフィンの種類及び量に依存して変化する値であり、さらに後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望の組成に制御調整することが可能である。
4−メチルペンテン−1系重合体Bは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96モル超過100モル%以下含み、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を0モル%以上4モル%未満の割合で含むことが好ましい。なお、炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、1種類に限定されることなく、2種以上を選択してもよく、複数選択した場合、その構成単位の総和として、上記範囲を満たせばよい。
ここで、耐熱性、平滑性、強度の観点から、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位の割合として99.0モル%以下含まれていることが好ましく、98.5モル%以下含まれていることがより好ましい。また4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の割合として、97.0モル%以上含まれていることが好ましく、97.5モル%以上含まれていることがより好ましい。
一方、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位の割合として3.5モル%以下含まれていることが好ましく、3.0モル%以下含まれていることが好ましい。また、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位の割合として、1.0モル%以上含まれていることが好ましく、1.5モル%以上含まれていることが好ましい。ここで、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の合計は100モル%である。
4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の割合が上記範囲内にすることによって、4−メチルペンテン−1系重合体Bの融点を210〜240℃の範囲に調整し易くなる。なお、後述する通り、重合体Bの融点は、基本的には炭素原子数2〜20のオレフィンの種類や量によって調整することができる。
4−メチルペンテン−1系重合体Bは、4−メチルペンテン−1構造単位連鎖と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導き出される構成単位で同種の構成単位が連続したブロックを含むブロック共重合体であってもよい。また平滑性、強度の観点からは、4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィンのランダム共重合体が好ましい。
4−メチルペンテン−1系重合体Bに含まれる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが好適な例として挙げられる。
得られる剥離性の観点からは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがより好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがさらに好ましい。これらのうち、炭素原子数2〜4のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好適な例として挙げられる。この中でも、特に1−デセン及び/又は1−ヘキセンを用いる場合には、本発明の剥離性フィルムを例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥した際でも良好な剥離性が発揮され易くなる。
これらの炭素原子数2〜20のオレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、4−メチルペンテン−1系重合体Bは、例えば、剥離力の調整等の目的のために、本発明の目的を損なわない範囲で、4−メチルペンテン−1と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)以外の重合性化合物(以下、4−メチルペンテン−1系重合体Aの説明と同様に「重合性化合物」ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
このような重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
本発明における4−メチルペンテン−1系重合体Bは、前記重合性化合物から導かれる単位を、4−メチルペンテン−1系重合体Bに含まれる全ての重合性化合物構造単位に対して、10モル%以下含有されていてもよく、5モル%以下、3モル%以下の量で含有していてもよい。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bのメルトマスフローレイト(MFR)は限定されない。上記MFRは、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜150g/10分、さらに好ましくは10〜150g/10分であり、特段好ましくは30〜120g/10分である。上記MFRは、JIS K 7210:1999(A法)に準じて、温度260℃、荷重49.03Nの測定条件で測定される値である。
4−メチルペンテン−1系重合体BのMFRは、4−メチルペンテン−1系重合体Bを構成するモノマーの種類若しくは構成割合、及び/又は重合体の規則性を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bの引張弾性率は限定されない。上記引張弾性率は、好ましくは0.5〜2.5GPa、より好ましくは0.7〜1.5GPaである。引張弾性率は、JIS K 7127:1999に準拠して測定することができる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bのガラス転移温度(Tg)は限定されない。上記Tgは、好ましくは0〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。上記Tgは、JIS K 7121:2012の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度である。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5〜5.0dL/gであることが好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、1.0〜4.0dL/gの範囲であることが好ましく、1.2〜3.5dL/gの範囲であることがさらに好ましい。
上記極限粘度[η]の値は、4−メチルペンテン−1系重合体Bを製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
極限粘度[η]の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系重合体Bは、樹脂組成物製造時や各種塗工時において良好な流動性を示し、平滑性の高い塗工品が得られる。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.5であることが好ましい。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、1.2〜3.3の範囲であることが好ましく、さらには1.5〜3.0の範囲であることが好ましい。なお、分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
上記、分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することが可能である。
分子量分布(Mw/Mn)の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系共重合体Bは、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向がある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、ブロッキング性が低下し、強度や軽剥離性の観点から好ましい。
本発明における、4−メチルペンテン−1系重合体Bの密度は、825〜860kg/mであることが好ましい。ここで、密度は、830〜855kg/mの範囲であることが好ましく、830〜850kg/mの範囲であることがより好ましく、830〜845kg/mの範囲であることがさらに好ましい。
上記、密度の値は、4−メチルペンテン−1と共に重合する他の炭素原子数2〜20のオレフィンの種類や配合量を選択することにより、調整することが可能である。密度の値が上記範囲にある4−メチルペンテン−1系重合体Bは、耐熱性と軽量性の観点から好ましい。上記4−メチルペンテン−1系重合体Aの密度は、JIS K 7112:1999(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明における4−メチルペンテン−1系重合体Bは、オレフィン重合用触媒の存在下、4−メチルペンテン−1と上述した炭素原子数2〜20のオレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を重合することにより得ることができる。
上述オレフィン重合用触媒のうち、4−メチルペンテン−1系重合体Bを製造するに当たり、好ましい触媒の態様として、メタロセン触媒を挙げることができる。好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報中あるいは国際公開第2006/025540号、国際公開第2014/050817号などに記載されたメタロセン触媒が挙げられる。
[4−メチルペンテン−1系重合体]
4−メチルペンテン−1系重合体は、4−メチルペンテン−1系重合体A及び4−メチルペンテン−1系重合体Bのみからなる混合物を意味する。
本発明では、4−メチルペンテン−1系重合体Aの含有量は、4−メチルペンテン−1系重合体総質量100質量部において50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がより好ましい。また、4−メチルペンテン−1系重合体Aの含有量は、4−メチルペンテン−1系重合体総質量100質量部において80質量部以下が好ましい。他方、4−メチルペンテン−1系重合体Bの含有量は4−メチルペンテン−1系重合体総質量100質量部において50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。4−メチルペンテン−1系重合体Bの含有量は4−メチルペンテン−1系重合体総質量100質量部において20質量部以上が好ましい。かかる混合割合に設定することにより、本発明の剥離性フィルムを例えば、表面保護フィルムの粘着面などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥した際でも良好な剥離性が発揮され易くなる。
[樹脂成分に含まれ得る4−メチルペンテン−1系重合体以外の成分]
(熱可塑性樹脂成分P)
前記樹脂成分は、4−メチルペンテン−1系重合体に加えて、必要に応じて、前記4−メチルペンテン−1系重合体A、Bとは異なる熱可塑性樹脂成分Pを含んでもよい。
具体的な熱可塑性樹脂成分Pとしては、熱可塑性ポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリエステル系樹脂;熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸アクリレート共重合体;エチレン−メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂及び石油樹脂;並びに共重合体ゴム、等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂成分Pは、1種類を含有してもよく、また2種以上を組み合わせて含有してもよい。
[最表層の作製方法]
最表層は、例えば、4−メチルペンテン−1系重合体を含む樹脂成分と、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液(以下、最表層を形成するための塗工液を「塗工液Y」と称する。)を基材層上又は中間層上に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、4−メチルペンテン−1系重合体を含む樹脂成分を溶解することができれば特に限定されない。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、並びにn−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素等の有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液Yのハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液Y中の4−メチルペンテン−1系重合体を含む樹脂成分の濃度は、塗工液Yの安定性及び塗工適性の観点から、塗工液Yの総量に基づいて1〜10質量%であることが好ましく、4〜7質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、中間層について記載した塗工方法を同様に用いることができる。
塗工層から溶媒を除去する方法としては、中間層について記載した方法を同様に用いることができる。
最表層の厚みは、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上であり、特に好ましくは0.5μm以上である。最表層の厚みは、塗工適性及び製造しやすさの観点から、好ましくは3.0μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下である。最表層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
〔添加剤〕
基材層、中間層及び最表層は、必要に応じて少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、塩素吸収剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤及びアンチブロッキング剤等が挙げられる。
添加剤の含有態様は限定されず、少なくとも1種の添加剤を、基材層、中間層又は最表層のいずれかにのみ含有させてもよいし、基材層、中間層及び最表層の全ての層に含有させてもよい。また、基材層、中間層及び最表層は互いに同一又は異なる添加剤を含有してよい。なお、添加剤は、基材層及び/又は中間層に優先的に配合し、最表層には優先的に配合しないことが、所望の剥離性や突出山部高さ(RpK)を得るためには好ましい。
「酸化防止剤」としては、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)や、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系及びトコフェロール系の酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。
「塩素吸収剤」としては、特に限定されないが、例えばステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。
「紫外線吸収剤」としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール(BASF製Tinuvin328等)、ベンゾフェノン(Cytec製Cysorb UV−531等)及びハイドロキシベンゾエート(Ferro製UV−CHEK−AM−340等)等が挙げられる。
「滑剤」としては、特に限定されないが、例えば、第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N−ステアリルステアリン酸アミド等)及びエチレンビスアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
「可塑剤」としては、特に限定されないが、例えば、PPランダム共重合体等が挙げられる。
「難燃化剤」としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート及びアンチモン酸化物等が挙げられる。
「帯電防止剤」としては、公知の種々の化合物群が挙げられるが、好ましくは界面活性剤である。帯電防止剤としては、例えば、アニオン系のものとしてアルキルリン酸エステル;カチオン系のものとしてアルキルアミノ誘導体、第4アンモニウム塩;両性のものとしてイミダゾリン型金属塩;ノニオン系のものとしてポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等がある。より具体的には、ジオキシエチレンステアリン酸アミンやアルキルアミン系化合物、及びステアリン酸モノグリセリド等が好適に用いられる。
帯電防止剤の代表的な市販品の例としては、花王株式会社製エレクトロストリッパーシリーズ等が挙げられる。
「着色剤」としては、特に限定されないが、例えば、カドミウム又はクロム含有無機化合物、並びにアゾ又はキナクリドン有機顔料等が挙げられる。
〔突出山部高さ(Rpk)〕
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は、剥離性フィルムの平滑性を高める観点から、好ましく0.100μm以下、より好ましくは0.090μm以下、より好ましくは0.080μm以下、より好ましくは0.04μm以下、さらに好ましくは0.03μm以下である。前記突出山部高さ(Rpk)は、通常0.005μm以上であり、好ましくは0.008μm以上である。
突出山部高さ(Rpk)とは、JIS B 0671−2:2002に準じて、線形負荷曲線による高さ特性より計算される、粗さ曲線のコア部の上にある突出山部の平均高さであって、フィルム表面の連続した起伏の影響を取り除きながら、被着体との接触に影響が大きい、突出した凸部、即ち異常突出部の状態を、正確に判定することを可能とする指標である。
突出山部高さ(Rpk)は、触針による接触式、可視光反射、レーザー光干渉による非接触式、又は走査プローブ顕微鏡(SPM/AFM)等による原子間力位相差測定等により測定することができる。
このようなRpk値は、粗さ曲線のコア部の外にはみ出る異常突出部の平均高さを意味し、この値が大きいほど、フィルム表面の異常突出部が多い、即ち、被着体に対する食いつきが大きく、剥離力が重くなる原因の固着が生じやすい形状であることを表す。この値が小さいと、異常突出部が少なく被着体への固着を生じにくい突出山部が平滑なプラトー(丘陵)構造となり、剥離用のフィルムの表面として好ましい。
〔T字ピール剥離力〕
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力は、後述の実施例に記載のとおり、
(1)23℃T字ピール剥離力:測定試料を23℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(2)110℃T字ピール剥離力:測定試料を110℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(3)130℃T字ピール剥離力:測定試料を130℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(4)140℃T字ピール剥離力:測定試料を140℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
のT字ピール剥離力として測定される。
剥離性フィルムの23℃T字ピール剥離力は、下記の実施例での方法により測定される。下記の実施例での方法をここで簡単に説明する。剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面にポリエステル粘着テープを貼付して処理前貼付品を得る。次に、前記処理前貼付品に対して23℃で2分間加熱処理をした後に23℃且つ湿度50%で20時間静置し、次いで測定試料に切り出して測定試料中のポリエステル粘着テープを剥離する。
T字ピール剥離試験は1000m/分の速度で前記剥離を行い、その時の剥離力を測定する。110℃T字ピール剥離力については、2分間加熱処理する温度を23℃に代えて110℃としたこと以外は、23℃T字ピール剥離力の測定方法と同様にして、T字ピール剥離力の測定を行う。そのようにして測定される値を、T字ピール剥離力(110℃で2分間加熱処理後、23℃、湿度50%で20時間静置)とする。なお、130℃T字ピール剥離力、及び140℃T字ピール剥離力の場合も変更点は同じ(加熱処理温度を130℃又は140℃とする)である。
加熱処理が何れの温度(2分間の加熱処理温度が、23℃、110℃、130℃、又は140℃)でも、T字ピール剥離力は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.15N/25mm以上、さらに好ましくは0.2N/25mm以上である。T字ピール剥離力は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは1.0N/25mm以下であり、より好ましくは0.8N/25mm以下であり、より好ましくは0.7N/25mm以下であり、さらに好ましくは0.6N/25mm以下であり、さらに一層好ましくは0.5N/25mm以下である。本発明の剥離性フィルムは、加熱処理温度が高い140℃T字ピール剥離力(1000m/分)においても0.1〜1.0N/25mmの範囲内であることにより、良好な剥離性を発揮することができる。
なお、中間層を構成する樹脂成分中にスチレンに由来する構成単位が含まれている場合、剥離性フィルムの耐熱性を高めやすい。従って、加熱処理温度を高温(例えば、130℃又は140℃)で処理した場合でも剥離性フィルムのT字ピール剥離力は低下しにくい。
〔110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力〕
剥離性フィルムの110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力は、下記の実施例での方法により測定される。下記の実施例での方法をここで簡単に説明する。剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に有機溶剤を含むアクリル系粘着剤を塗工してさらに設定温度110℃で60秒間乾燥させ、次に前記塗工面上に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(二軸延伸PETフィルム)を貼付して処理前貼付品を得る。次に、前記処理前貼付品に対して70℃で20時間加熱処理をした後に23℃且つ湿度50%で30分間静置し、次いで測定試料に切り出して測定試料中の二軸延伸PETフィルムを剥離する。
T字ピール剥離試験は1000m/分の速度で前記剥離を行い、その時の剥離力を測定する。130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力については、有機溶剤を含むアクリル系粘着剤を乾燥させる際の設定温度を110℃に代えて130℃としたこと以外は、110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力の測定方法と同様にして、T字ピール剥離力の測定を行う。そのようにして測定される値を、130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力とする。なお、140℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力の場合も変更点は同じ(乾燥させる際の設定温度を140℃とする)である。
防爆型乾燥機の設定温度が何れの温度(110℃、130℃、又は140℃)でも、溶剤系粘着剤T字ピール剥離力は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.15N/25mm以上、さらに好ましくは0.2N/25mm以上である。上記溶剤系粘着剤T字ピール剥離力は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは1.0N/25mm以下であり、より好ましくは0.9N/25mm以下であり、より好ましくは0.8N/25mm以下であり、さらに好ましくは0.7N/25mm以下であり、さらに一層好ましくは0.6N/25mm以下である。本発明の剥離性フィルムは、加熱処理温度が高い溶剤系粘着剤140℃T字ピール剥離力(1000m/分)においても0.1〜1.0N/25mmの範囲内であることにより良好な剥離性を発揮することができる。
〔剥離性フィルムの厚み〕
本発明の剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは18μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。本発明の剥離性フィルムの厚みはマイクロメーター(JIS B 7502:1994)を用いて、JIS C 2151:2006に準拠して測定される値である。
〔剥離性フィルムのヘーズ〕
本発明の剥離性フィルムのヘーズは、特に限定されない。基材層が透明である場合には、本発明の剥離性フィルムのヘーズは、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、よりさらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。ヘーズは、公知のヘーズメーター等を用いて測定される。ヘーズ値が高いとは(一般的に内部ヘーズが低い薄いフィルムの場合には)、表面の粗さが粗いことを示す。
〔剥離性フィルムの延伸〕
本発明の剥離性フィルムは、延伸されていても延伸されていなくてもよい。良好な軽い剥離性を得やすい観点からは最表層が無延伸であることが好ましく、本発明の剥離性フィルムは延伸されていないことが好ましい。なお基材層は延伸フィルムであってもよい。
〔本発明の剥離性フィルムの用途〕
本発明の剥離性フィルムは、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度に優れるという基本性能を有すると共に、例えば、表面保護フィルムの粘着性層などの被着面に対して貼付して使用する際、高温(例えば、130℃、140℃)で乾燥等の熱処理をした場合や、有機溶剤を含有する粘着剤を塗付して高温(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥して粘着性層を設けた際でも良好な剥離性を兼ね備える。そのため、特に、電子部品若しくは電子基板の製造工程、又は繊維強化プラスチックなどの熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離フィルム、特に高温での熱処理を含む工程で使用される剥離フィルム等として適当である。
本発明の剥離性フィルムは、医療分野及び工業分野において広く使用することができ、例えば、医療分野及び工業分野において、電子部品又は電子基板の製造工程における表面保護フィルム及び粘着テープ等に使用するための剥離フィルム、剥離ライナー又はセパレータフィルム;半導体製品製造時に使用される工程(ダイシング、ダイボンディング、バックグラインド)テープのセパレータ;セラミックコンデンサ製造時の未焼成シート形成用キャリアー;複合材料製造時のキャリアー、保護材のセパレータフィルム等として好適に使用される。
本発明の剥離性フィルムは、テープ又はシート;電気機器、電子機器、ウェアラブル機器、医療機器及び建材等の樹脂部材;上記半導体製品製造時の工程において製造される中間部材;各種電気部品(ハードディスク、モータ、コネクタ、スイッチ等);上記キャリアーとして使用する場合のその対象物;ドライフィルムレジスト;等の被着体に対し貼り付けて使用される。
なお、上述の被着体が粘着性層(一例として、溶剤系、エマルション系、ホットメルト系の感圧性粘着剤により形成される粘着性層)を有する場合、本発明の剥離性フィルムの最表層と前記粘着性層とが貼り合わされて使用される。本発明の剥離性フィルムを被着体に貼り付ける方法は、特に限定されない。本発明の剥離性フィルムは被着体に、例えば、貼り付ける面積に応じて剥離性フィルムを適宜切断して貼り付けてもよいし、本発明の剥離性フィルムもそれを貼り付ける被着体もそれぞれロール状に捲回されている場合はロールツーロールで貼り合わせてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、「/」は「÷」を示す。例えば、速度1000mm/分(1000mm/min)は、1分あたり1000mmを示し、PB/PA値は、PB÷PAを意味する。
〔測定方法及び評価方法〕
実施例及び比較例における、各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
〔230℃におけるメルトマスフローレイト〕
JIS K 7210:1999に従って測定した。但し、融点が210℃以上の樹脂は温度260℃、荷重49.03Nの条件、それ以外の樹脂は温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
〔融点、ガラス転移温度〕
樹脂成分の融点は、パーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。
まず、樹脂成分を2mg量りとり、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰めた。前記サンプルホルダーをDSC装置にセットし、窒素流下0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持し、10℃/分で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間置いた後、再び10℃/分で280℃まで昇温する際のJIS K 7121の9.1(1)に定める溶融ピークを、樹脂成分の融点とした。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを上記融点として採用する。また、明確な吸熱ピークが見られない場合は、融点は観察されないとする。また、その際のJIS K 7121の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
〔カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂Cの酸価〕
JIS K 0070:1992(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dの水酸基価〕
JIS K 0070:1992(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔中間層及び最表層の厚み〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
測定機の層厚み測定モード(ベアリング測定)にて、基材層の屈折率(PET基材層=1.60)、中間層及び最表層の屈折率1.48から各層の光学距離を求め、中間層及び最表層の厚みを測定した。
〔基材層及び剥離性フィルムの厚み〕
基材層及び剥離性フィルムの厚みは、マイクロメーター(JIS B 7502:1994)を用いて、JIS C 2151:2006に準拠して測定した。
〔ヘーズ度〕
日本電色工業社製 ヘーズメーター NDH−5000を用い、50mm×100mmにカットしたサンプルを測定した。測定数は3とし、その平均値を採用した。
〔突出山部高さ(Rpk)〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
JIS B 0671−2:2002に規定されるコア部のレベル差(Rk)、突出山部高さRpk、突出谷部深さ(Rvk)のうち、コア部のレベル差(Rk)及び突出山部高さ(Rpk)を指標とした。
〔表面強度(1)〕
日東電工株式会社製NO.31Bテープ(アクリル系粘着剤付きポリエステルテープ)を用いたT字ピール剥離力測定時の、剥離したポリエステルテープへの最表層の転移性を下記基準にて評価し、剥離性フィルムの表面強度の指標とした(31B評価)。
A:剥離したポリエステルテープに最表層の転移が見られない。
B:剥離したポリエステルテープに最表層の一部が転移したが製品として問題ない。
C:剥離したポリエステルテープに最表層が完全に転移した。
〔表面強度(2)〕
日東電工株式会社製NO.31Dテープ(ゴム系粘着剤付きポリエステルテープ)を用いたT字ピール剥離力測定時の、剥離したポリエステルテープへの最表層の転移性を、NO.31Bテープと同様の基準で評価し、剥離性フィルムの表面強度の指標とした(31D評価)。
〔T字ピール剥離力〕
剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力は、以下の通り、
(1)23℃T字ピール剥離力:測定試料を23℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(2)110℃T字ピール剥離力:測定試料を110℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(3)130℃T字ピール剥離力:測定試料を130℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
(4)140℃T字ピール剥離力:測定試料を140℃で2分間加熱処理した後に23℃且つ湿度50%で20時間静置した場合、
のT字ピール剥離力として測定した。
〔(1)23℃T字ピール剥離力〕
剥離性フィルムの上記T字ピール剥離力は、下記方法により測定した。
剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に、幅50mm×長さ200mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、粘着剤層に実質的に溶剤を含まない)を、質量2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、処理前貼付品を得た。得られた処理前貼付品を、23℃で2分間加熱処理した。なお、前記加熱処理においては、熱風乾燥器を使用した。ここで、23℃で2分間の加熱処理とは、23℃に設定された熱風乾燥機中に前記貼付品を載置したことを意味する。
次いで、加熱処理後の貼付品に、5KPaの荷重となるように錘を載せ、温度23℃、湿度50%の環境下で20時間静置した。
得られた各測定用貼付品を25mm幅に切り出した試料を各測定試料とし、剥離試験機(協和界面科学(株)製 粘着・皮膜剥離解析装置VP−2)にセットした。1000mm/分の速度でT字ピール剥離試験を行い、100mmの長さを剥離してその際の剥離力を測定した。剥離は、各測定試料中のポリエステル粘着テープを剥がすことにより行われた。剥離開始点から20mm〜100mmの剥離力の積分平均値をその測定試料の剥離力とした。上記測定を3つの測定試料について行い、その平均値を剥離力とした。
なお、本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力は、加熱処理温度が23℃の場合、5KPaの荷重となるように錘を載せた後に温度23℃、湿度50%の環境下で静置する時間に依存しない。
〔(2)110℃T字ピール剥離力〕
〔(3)130℃T字ピール剥離力〕
〔(4)140℃T字ピール剥離力〕
110℃T字ピール剥離力については、2分間加熱処理する温度を23℃に代えて110℃としたこと以外は、23℃T字ピール剥離力(23℃で2分間加熱処理後、23℃、湿度50%で20時間静置)の測定方法と同様にして、T字ピール剥離力の測定をした。なお、130℃T字ピール剥離力、及び140℃T字ピール剥離力の場合も変更点は同じ(加熱処理温度を130℃又は140℃とする)である。
〔(5)110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力〕
巾80mm×長さ150mmとした実施例・比較例の剥離性フィルムの最表層に、有機溶剤を含むアクリル系粘着剤(東洋モートン(株)製 オリバイン(登録商標)BPS6163、濃度37質量%)を、マイヤーバー((株)安田精機製作所製 シャフト直径:6.35mmφ)を用いて、乾燥質量が4g/mとなるように塗工し、防爆型乾燥機の設定温度110℃で60秒間乾燥させた後、室温にて1分放置冷却した。
冷却後の粘着剤塗工面上に、巾100mm×長さ150mm、厚さ38μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡(株)製 E5100)を重ね、質量2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、貼付品を得た。次いで、当該貼付品に5KPaの荷重となるように錘を載せ、70℃で20時間静置し加熱処理をした。なお当該加熱処理には熱風乾燥機を使用した。加熱処理後は、23℃で湿度50%の環境下で30分静置し、測定用貼付品を得た。測定用貼付品は各サンプルにつき2枚作製した。
得られた測定用貼付品から塗工端部を含まないように巾25mm長さ120mmに切り出し測定試料とした。上端20mmを剥離して掴み部とし、剥離試験機(協和界面科学(株)製 粘着・皮膜剥離解析装置VP−2)にセットした。1000mm/分の速度でT字ピール剥離試験を行い、100mmの長さを剥離してその際の剥離力を測定した。剥離は、各測定試料中の二軸延伸PETフィルムを剥がすことにより行った。剥離開始点から20mm〜100mmの剥離力の積分平均値をその測定試料の剥離力とした。上記測定を4つの測定試料について行い、その平均値を剥離力とした。
〔(6)130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力〕
〔(7)140℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力〕
130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力については、有機溶剤を含むアクリル系粘着剤の塗工後の乾燥時の、防爆型乾燥機の設定温度を110℃に代えて130℃としたこと以外は、110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力と同様にして、130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力を測定した。なお、140℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力の場合も変更点は同じ(防爆型乾燥機の設定温度を140℃とする)である。
〔実施例・比較例で使用する各成分の説明〕
Figure 2019151023
実施例1
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂Cとして、スチレンに由来する構成単位を含みカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C2)(東亞合成株式会社製アロンメルト(登録商標)PPET1303S、固形分濃度30%)を用い、2質量%の濃度になるように前記樹脂をトルエンで希釈して中間層を形成するための塗工液Xを得た。
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」(三井化学株式会社製、MFR=10g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点130℃)60質量部、及び4−メチルペンテン−1系重合体B(B1)「TPX(登録商標)DX310」(三井化学株式会社製、MFR=100g/10分(温度260℃、荷重21.18N)、融点226℃)40質量部の樹脂割合となるように混合し、5質量%の濃度になるように前記混合物をトルエンに分散させた。次いで、還流装置を用いて、前記分散液を110℃で1時間撹拌して4−メチルペンテン−1系重合体を溶解させ、冷却し、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
基材層として、厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を用いた。マイヤーバーを用いて、前記基材層の上に塗工液Xを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分間乾燥させ、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、得られた積層シートの中間層の上に、マイヤーバーを用いて塗工液Yを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分間乾燥させ、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
実施例2
前記塗工液Y中の4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」の樹脂の質量部を、60質量部に代えて80質量部とし、4−メチルペンテン−1系重合体B(B1)「TPX(登録商標)DX310」の樹脂の質量部を、40質量部に代えて20質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
次いで、実施例1と同様の方法により、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、実施例1と同様の方法によって最表層を形成し、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
実施例3
前記塗工液Y中の4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」の樹脂の質量部を、60質量部に代えて80質量部とし、4−メチルペンテン−1系重合体B(B1)「TPX(登録商標)DX310」に代えて4−メチルペンテン−1系重合体B(B2)「TPX(登録商標)RT31」(三井化学株式会社製、MFR=21g/10分(温度260℃、荷重21.18N)、融点232℃)を使用するとともにその樹脂の質量部を、40質量部に代えて20質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
次いで、実施例1と同様の方法により、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、実施例1と同様の方法によって最表層を形成し、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
実施例4
前記塗工液Y中の4−メチルペンテン−1系重合体B(B1)「TPX(登録商標)DX310」に代えて4−メチルペンテン−1系重合体B(B2)「TPX(登録商標)RT31」を使用した以外は、実施例1と同様の方法によって、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
次いで、実施例1と同様の方法により、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、実施例1と同様の方法によって最表層を形成し、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
実施例5
中間層を構成する樹脂成分として、スチレンに由来する構成単位を含みカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C2)「アロンメルト(登録商標)PPET1303S」に代えて、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C1)(三井化学株式会社製ユニストール(登録商標)P−401、酸価55mgKOH/g、固形分濃度8%)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
実施例6
中間層を構成する樹脂成分として、スチレンに由来する構成単位を含みカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C2)「アロンメルト(登録商標)PPET1303S」に代えて、水酸基を有するポリオレフィン樹脂D(D1)(三井化学株式会社製ユニストール(登録商標)P−901)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例1
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」を用いたこと以外は、実施例5と同様の方法によって、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
次いで、実施例5と同様の方法により、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、実施例5と同様の方法によって最表層を形成し、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
比較例2
前記塗工液Y中の4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」の濃度を、5質量%に代えて10質量%としたこと以外は、比較例1と同様の方法によって、最表層を形成するための塗工液Yを得た。
次いで、比較例1と同様の方法により、基材層及び中間層を有する積層シートを得た。
次いで、最終的に得られる最表層の厚みを0.6μmに代えて1.2μmとしたこと以外は比較例1と同様の方法によって最表層を形成し、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
比較例3
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」に代えて、4−メチルペンテン−1系重合体A(A2)「EP0518」(三井化学株式会社製、MFR=4g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点180℃)を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例4
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」100質量部に代えて、前記重合体A(A1)50質量部と4−メチルペンテン−1系重合体A(A2)「EP0518」50質量部を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例5
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」に代えて、4−メチルペンテン−1系重合体B(B1)「TPX(登録商標)DX310」を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例6
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」に代えて、4−メチルペンテン−1系重合体B(B2)「TPX(登録商標)RT31」を用いた以外は実施例4と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例7
中間層を構成する樹脂成分として、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂(C1)「ユニストール(登録商標)P−401」に代えて、水酸基を有するポリオレフィン樹脂D(D1)「ユニストール(登録商標)P−901」を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例8
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」100質量部に代えて、前記重合体A(A1)50質量部と、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位並びにカルボキシル基及び水酸基の何れも含まないポリオレフィン樹脂(E1)「タフマー(登録商標)BL3450」(三井化学株式会社製、MFR=9g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点100℃、炭素原子数2〜4のオレフィンに由来する構成単位を主成分とするランダムポリオレフィン)50質量部とを用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例9
中間層を構成する樹脂成分として、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C1)「ユニストール(登録商標)P−401」に代えて、スチレンに由来する構成単位を含みカルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C2)「アロンメルト(登録商標)PPET1303S」を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例10
基材層として、厚さが38μmである二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を用いた。マイヤーバーを用いて、前記基材層の上に比較例1と同様の最表層を形成するための塗工液Yを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分間乾燥させて剥離性フィルムを得ようとした。その結果、基材層と最表層との密着性が乏しく容易に剥がれてしまった。そのため、基材層、及び最表層を有する剥離性フィルムが得られなかった。よって試験は行っていない(表2−3における※1)。
比較例11
中間層を構成する樹脂成分として、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C1)「ユニストール(登録商標)P−401」に代えて、ポリエステル樹脂(F1)(東洋紡株式会社製「バイロナール(登録商標)MD−110」、酸価3mgKOH/g、水酸基価5mgKOH/g)を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得ようとした。その結果、最表層が白濁し中間層との密着性が乏しく容易に剥がれてしまった。そのため、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムが得られなかった。よって試験は行っていない(表2−3における※1)。
比較例12
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」に代えて、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位並びにカルボキシル基及び水酸基の何れも含まないポリオレフィン樹脂(E1)「タフマー(登録商標)BL3450」(三井化学株式会社製、MFR=9g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点100℃、炭素原子数2〜4のオレフィンに由来する構成単位を主成分とするランダムポリオレフィン)を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例13
最表層を構成する樹脂成分として、4−メチルペンテン−1系重合体A(A1)「アブソートマー(登録商標)EP1013」に代えて、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位並びにカルボキシル基及び水酸基の何れも含まないポリオレフィン樹脂(E2)「タフマー(登録商標)XM7070」(三井化学株式会社製、MFR=7g/10分(温度230℃、荷重21.18N)、融点75℃、炭素原子数3〜4のオレフィンに由来する構成単位を主成分とするランダムポリオレフィン)を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得た。
比較例14
厚さが38μmである二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を用意した。即ち、比較例14では、基材層のみ存在し、中間層及び最表層はいずれも存在しない。
比較例15
中間層を構成する樹脂成分として、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C(C1)「ユニストール(登録商標)P−401」に代えて、4−メチルペンテン−1に由来する構成単位並びにカルボキシル基及び水酸基の何れも含まないポリオレフィン樹脂(E1)「タフマー(登録商標)BL3450」を用いたこと以外は比較例1と同様の方法によって、剥離性フィルムを得ようとした。その結果、最表層が白濁し中間層との密着性が乏しく容易に剥がれてしまった。そのため、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムが得られなかった。よって試験は行っていない(表2−4における※1)。
試験例1
実施例1〜4及び比較例1〜15で得た剥離性フィルムの
1)ヘイズ度(%)
2)突出山部高さRpk(μm)
3)表面強度(1)31Bテープ使用
4)表面強度(2)31Dテープ使用
5)23℃T字ピール剥離力
6)110℃T字ピール剥離力
7)130℃T字ピール剥離力
8)140℃T字ピール剥離力
9)110℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力
10)130℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力
11)140℃溶剤系粘着剤T字ピール剥離力
を前述の測定方法に従って測定した。それらの結果を表2−1〜2−4に示す。
Figure 2019151023
Figure 2019151023
Figure 2019151023
Figure 2019151023
表2−1に示されるように、本発明の剥離性フィルムは、100℃未満の熱処理の場合のみならず、100℃を超える乾燥温度(例えば、110℃、130℃、140℃)で乾燥処理した場合、又はさらに高温(例えば140℃)で熱処理した場合でも剥離力が軽いという良好な剥離性を有する。また、この効果は、溶剤系接着剤を含む被着体を積層した場合でも発揮される。さらに剥離性フィルムの基本性能としてのフィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えることがわかる。従って、フィルム表面の平滑性が高いので、本発明の剥離性フィルムの表面形状が貼られる被着体の被着面に転写されることはなく、また、フィルムの強度が十分高いので、本発明の剥離性フィルムを前記被着面から剥離する際に剥離性フィルムの一部が前記被着面に移行することはない。
1:基材層
2:最表層(表面層)
3:中間層
4:粘着性層
10:剥離性フィルム
20:積層体
30:被着体

Claims (9)

  1. 基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面の上に形成された最表層とが積層されている剥離性フィルムであって、
    前記最表層は、樹脂成分を主成分として含有し、前記樹脂成分は(1)融点が100〜190℃である4−メチルペンテン−1系重合体Aと(2)融点が210〜240℃である4−メチルペンテン−1系重合体Bとを含有する、
    ことを特徴とする剥離性フィルム。
  2. 前記基材層と前記最表層との間に中間層が形成されており、前記中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂C及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂Dからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の剥離性フィルム。
  3. 前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96〜80モル%含有し、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を4〜20モル%含有する、請求項1又は2に記載の剥離性フィルム。
  4. 前記(2)4−メチルペンテン−1系重合体Bは、4−メチルペンテン−1から導かれる構成単位を96モル%超過100モル%未満含有し、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチルペンテン−1を除く)から導かれる構成単位を0モル%超過4モル%未満含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
  5. 前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体A及び前記(2)4−メチルペンテン−1系重合体Bの含有量の合計を100質量部とした場合に、前記(1)4−メチルペンテン−1系重合体Aの含有量が50質量部以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
  6. 前記最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対する140℃T字ピール剥離力(1000mm/分)が0.1〜1.0N/25mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
  7. 前記中間層を構成する樹脂成分中にスチレンに由来する構成単位を含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
  8. 前記最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は0.005〜0.100μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剥離性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の剥離性フィルムの表面層上に、少なくとも粘着性層が形成されている積層体。
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WO2022185597A1 (ja) * 2021-03-05 2022-09-09 リンテック株式会社 半導体加工用粘着シート及び半導体装置の製造方法

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