JP2024001320A - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】より高い耐熱性と剛性を有する二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供すること。【解決手段】フィルムを構成する、共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂及び/又はエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、フィルムの横方向の引張弾性率が5.1GPa以上であることを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。1)メソペンタッド分率の下限が96%である。2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.5g/10min以上、9.0g/10min以下である。5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。詳細には、耐熱性、機械特性に優れる二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。
従来、ポリプロピレンの延伸フィルムは、食品や様々な商品の包装用、電気絶縁用、表面保護フィルム等、広範囲な用途で汎用的に用いられていた。しかし、従来のポリプロピレンフィルムは、150℃での収縮率が数十%あり、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等と比べると、耐熱性が低く、また、剛性も低いため、用途が制限されていた。
ポリプロピレンフィルムの物性を改良する技術は種々提案されている。例えば、高分子量成分と低分子量成分をほぼ同量含み(もしくは低分子量成分が少ない)、分子量分布が広く、デカリン可溶分の少ないポリプロピレンを用いてフィルムとすることにより、剛性と加工性とのバランスを取るという技術が知られている(特許文献1)。しかしながら、の技術では、未だに150℃を超えるような高温での耐熱性は充分なものとはいえず、高い耐熱性を持ち、耐衝撃性、透明性に優れたポリプロピレンフィルムは知られていなかった。
本願出願人は、上記の従来技術を踏まえて鋭意検討した結果、メソペンタッド分率が96%以上のポリプロピレン系重合体を用いることで、高剛性で、耐熱性の高い延伸ポリプロピレンフィルムを提供することに成功した(特許文献2)。しかし、このフィルムは、耐熱性に改善の余地があった。
特表2008-540815号公報 WO2015/012324号パンフレット
本発明は、上記の事情に鑑み、より高い耐熱性と剛性を有する二軸配向ポリプロピレンフィルムの提供を課題として掲げた。
上記課題を解決し得た本発明は、フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、フィルムの横方向の引張弾性率が5.1GPa以上であることを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルムである。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.5g/10min以上、9.0g/10min以下である。
5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
また、上記課題を解決し得た第2の本発明は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材層(A)と基材層(A)の少なくとも一方の表面にポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(B)とを有し、基材層(A)を構成するポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、フィルムの横方向の引張弾性率が4.8GPa以上であることを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.2g/10min以上、9.0g/10min以下である。
5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
この場合において、前記フィルムの縦方向および横方向の150℃での熱収縮率が8%以下であることが好適である。
この場合において、前記フィルムの縦方向の引張弾性率が2.0GPa以上であり、フィルムの横方向の引張弾性率が4.5GPa以上であることが好適である。
この場合において、前記フィルムのヘイズ値が5%以下であることが好適である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、分子量分布が小さく、分子鎖の絡み合いが少ないため、より配向が強くなり、より高い熱寸法安定性と横方向の剛性を有し、より熱負けシワが小さく、折れにくいため、フィルム加工性に非常に優れる。
第1の発明の二軸配向ポリプロピレン系フィルムは、フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、フィルムの横方向の引張弾性率が5.1GPa以上であることを特徴とする。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.5g/10min以上、9.0g/10min以下である。
5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
また、第2の発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材層(A)と基材層(A)の少なくとも一方の表面にポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(B)とを有し、基材層(A)を構成するポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、フィルムの横方向の引張弾性率が4.8GPa以上であることを特徴とする。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.2g/10min以上、9.0g/10min以下である。
5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
さらに下記で詳細に説明する。
(1)第1の発明に用いるポリプロピレン樹脂は、エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを0.5モル%以下で共重合したポリプロピレン樹脂も用いることができる。このような共重合ポリプロピレン樹脂も本発明のポリプロピレン樹脂(以下、ポリプロピレン樹脂)に含まれるものとする。共重合成分は0.3モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましく、共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂が最も好ましい。
エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンは、0.5モル%を超えて共重合すると、結晶性や剛性が低下し過ぎて、高温での熱収縮率が大きくなることがある。この様な樹脂をブレンドして用いても良い。
ポリプロピレン樹脂の立体規則性の指標である13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率([mmmm]%)は、96~99.5%であることが好ましい。より好ましくは、97%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。基材層(A)のポリプロピレンのメソペンタッド率が小さいと、弾性率が低くなり、耐熱性が不充分となるおそれがある。99.5%が現実的な上限である。
また、分子量分布の指標であるMw/Mnは、ポリプロピレン樹脂では3.0~5.4が好ましい。より好ましくは3.0~5.0、さらに好ましくは3.2~4.5であり、特に好ましくは3.3~4.0である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体のMw/Mnが5.4を超えると、Mw/Mnが大きくなりすぎると高分子量成分が多くなり、熱収縮率が大きくなる場合があったり、幅方向(TD)の引張弾性率(ヤング率)が小さくなる傾向にある。分子量成分が存在すると、高分子量成分が低分子量成分の結晶化を促進する面があるが、分子同士の絡み合いが強くなり、結晶性が高くても熱収縮率が大きくなる傾向もある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体のMw/Mnが3.0未満であると、製膜が困難になる。
Mwは質量平均分子量を意味し、Mnは数平均分子量を意味する。
ポリプロピレン樹脂の質量平均分子量(Mw)は、180,000~500,000が好ましい。より好ましいMwの下限は190,000、さらに好ましくは200,000であり、より好ましいMwの上限は320,000、さらに好ましくは300,000、特に好ましくは250,000である。
ポリプロピレン樹脂の数平均分子量(Mn)は、20,000~200,000が好ましい。より好ましいMnの下限は30,000、さらに好ましくは40,000、特に好ましくは50,000であり、より好ましいMnの上限は80,000、さらに好ましくは70,000、特に好ましくは60,000である。
第1の発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)積算カーブを測定した場合、分子量10万以下の成分の量の下限は好ましくは35質量%であり、より好ましくは38質量%であり、さらに好ましくは40質量%であり、特に好ましくは41質量%であり、最も好ましくは42質量%である。
一方、GPC積算カーブでの分子量10万以下の成分の量の上限は好ましくは65質量%であり、より好ましくは60質量%であり、さらに好ましくは58質量%であり、特に好ましくは56質量%であり、最も好ましくは55質量%である。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率をより低く抑えることができる。
このときのポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が6.2g/10分~10.0g/10分であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂のMFRの下限は、6.5g/10分であることがより好ましく、7g/10分であることがさらに好ましく、7.5g/10分であることが特に好ましい。ポリプロピレン樹脂のMFRの上限は、9g/10分であることがより好ましく、8.5g/10分であることがさらに好ましく、8.2g/10分であることが特に好ましい。
メルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が6.2g/10分以上であると、高温での熱収縮率もより小さくすることができる。さらに、延伸により生じるフィルムの配向の程度が強くなるため、フィルムの剛性、特に幅(TD)方向の引張弾性率(ヤング率)が高くなる。また、メルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が9.0g/10分以下であると破断なく製膜を行いやすい。
なお、ポリプロピレン樹脂の分子量分布は、異なる分子量の成分を多段階に一連のプラントで重合したり、異なる分子量の成分をオフラインで混錬機を用いてブレンドしたり、異なる性能をもつ触媒をブレンドして重合したり、所望の分子量分布を実現できる触媒を用いたりすることで調整することが可能である。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、原料のプロピレンを重合させることにより得られる。中でも、異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒を用い、立体規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のモノマー中で重合する方法、気体のモノマーに触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂には、添加剤やその他の樹脂を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤、無機または有機の充填剤等が挙げられる。その他の樹脂としては、本発明で用いられるポリプロピレン樹脂以外のポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体であるランダムコポリマーや、各種エラストマー等が挙げられる。これらは、多段の反応器を用いて逐次重合するか、ポリプロピレン樹脂とヘンシェルミキサーでブレンドするか、事前に溶融混錬機を用いて作製したマスターペレットを所定の濃度になるようにポリプロピレンで希釈するか、予め全量を溶融混練して使用してもよい。
(2)第2の発明の基材層(A)に用いるポリプロピレン樹脂は、エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを0.5モル%以下で共重合したポリプロピレン樹脂も用いることができる。このような共重合ポリプロピレン樹脂も本発明のポリプロピレン樹脂(以下、ポリプロピレン樹脂)に含まれるものとする。共重合成分は0.3モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましく、共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂が最も好ましい。
エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンは、0.5モル%を超えて共重合すると、結晶性や剛性が低下し過ぎて、高温での熱収縮率が大きくなることがある。この様な樹脂をブレンドして用いても良い。
ポリプロピレン樹脂の立体規則性の指標である13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率([mmmm]%)は、96~99.5%であることが好ましい。より好ましくは、97%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。基材層(A)のポリプロピレンのメソペンタッド率が小さいと、弾性率が低くなり、耐熱性が不充分となるおそれがある。99.5%が現実的な上限である。
また、分子量分布の指標であるMw/Mnは、ポリプロピレン樹脂では3.0~5.4が好ましい。より好ましくは3.0~5.0、さらに好ましくは3.2~4.5であり、特に好ましくは3.3~4.0である。
基材層(A)を構成するポリプロピレン樹脂全体のMw/Mnが5.4を超えると、Mw/Mnが大きくなりすぎると高分子量成分が多くなり、熱収縮率が大きくなる場合があったり、幅方向(TD)の引張弾性率(ヤング率)が小さくなる傾向にある。
分子量成分が存在すると、高分子量成分が低分子量成分の結晶化を促進する面があるが、分子同士の絡み合いが強くなり、結晶性が高くても熱収縮率が大きくなる傾向もある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体のMw/Mnが3.0未満であると、製膜が困難になる。Mwは質量平均分子量を意味し、Mnは数平均分子量を意味する。
ポリプロピレン樹脂の質量平均分子量(Mw)は、180,000~500,000が好ましい。より好ましいMwの下限は190,000、さらに好ましくは200,000であり、より好ましいMwの上限は320,000、さらに好ましくは300,000、特に好ましくは250,000である。
ポリプロピレン樹脂の数平均分子量(Mn)は、20,000~200,000が好ましい。より好ましいMnの下限は30,000、さらに好ましくは40,000、特に好ましくは50,000であり、より好ましいMnの上限は80,000、さらに好ましくは70,000、特に好ましくは60,000である。
基材層(A)を構成するポリプロピレン樹脂全体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)積算カーブを測定した場合、分子量10万以下の成分の量の下限は好ましくは35質量%であり、より好ましくは38質量%であり、さらに好ましくは40質量%であり、特に好ましくは41質量%であり、最も好ましくは42質量%である。
一方、GPC積算カーブでの分子量10万以下の成分の量の上限は好ましくは65質量%であり、より好ましくは60質量%であり、さらに好ましくは58質量%であり、特に好ましくは56質量%であり、最も好ましくは55質量%である。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率をより低く抑えることができる。
このときのポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が6.2g/10分~10.0g/10分であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂のMFRの下限は、6.5g/10分であることがより好ましく、7g/10分であることがさらに好ましく、7.5g/10分であることが特に好ましい。ポリプロピレン樹脂のMFRの上限は、9g/10分であることがより好ましく、8.5g/10分であることがさらに好ましく、8.2g/10分であることが特に好ましい。
メルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が6.2g/10分以上であると、高温での熱収縮率もより小さくすることができる。さらに、延伸により生じるフィルムの配向の程度が強くなるため、フィルムの剛性、特に幅(TD)方向の引張弾性率(ヤング率)が高くなる。また、メルトフローレート(MFR;230℃、2.16kgf)が9.0g/10分以下であると破断なく製膜を行いやすい。
なお、ポリプロピレン樹脂の分子量分布は、異なる分子量の成分を多段階に一連のプラントで重合したり、異なる分子量の成分をオフラインで混錬機でブレンドしたり、異なる性能をもつ触媒をブレンドして重合したり、所望の分子量分布を実現できる触媒を用いたりすることで調整することが可能である。
基材層(A)で用いるポリプロピレン樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、原料のプロピレンを重合させることにより得られる。中でも、異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒を用い、立体規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のモノマー中で重合する方法、気体のモノマーに触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂には、添加剤やその他の樹脂を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤、無機または有機の充填剤等が挙げられる。その他の樹脂としては、本発明で用いられるポリプロピレン樹脂以外のポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体であるランダムコポリマーや、各種エラストマー等が挙げられる。これらは、多段の反応器を用いて逐次重合するか、ポリプロピレン樹脂とヘンシェルミキサーでブレンドするか、事前に溶融混錬機を用いて作製したマスターペレットを所定の濃度になるようにポリプロピレンで希釈するか、予め全量を溶融混練して使用してもよい。
(3)第2の発明の表面層(B)の表面の表面粗さが0.027μm以上、0.40μm以下であることが好適である。0.027μm未満であると、印刷インキとの密着性や他部材フィルムとのラミネートに使用する接着剤との密着性が十分でなく、0.40μmを越えると、発色性、色落ちという問題が生じる。
表面層(B)の表面の表面粗さが0.027μm以上、0.40μm以下とするためには、表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂組成物としてのメルトフローレート(MFR)が異なる2種以上のポリプロピレン系樹脂の混合物を使用することが好ましい。この場合、のMFRの差は3g/10分以上であることが好ましく、3.5g/10分以上であることがより好ましい。
このような混合物を使用することにより、結晶化速度の差異の理由により、表面層(B)の表面の表面粗さが0.027μm以上となるものと推測している。
MFRが大きい方のポリプロピレン系樹脂としては、エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレンも用いることができる。炭素数4以上のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル・1-ペンテン、1-オクテンなどが挙げられる。
また、MFRが小さい方のポリプロピレン系樹脂としては、エチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレンも用いることができる。炭素数4以上のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル・1-ペンテン、1-オクテンなどが挙げられる。
また、その他の共重合成分として極性を有するマレイン酸等を使用しても良い。
エチレンや炭素数4以上のα-オレフィン、その他の共重合成分は合計で8.0モル%以下であることが好ましい。8.0モル%を超えて共重合すると、フィルムが白化して外観不良となったり、粘着性が生じて製膜が困難となったりする場合がある。
また、これらの樹脂は2種以上をブレンドして用いても良い。ブレンドする場合、個々の樹脂は8.0モル%を超えて共重合されたものであっても良いが、ブレンド物はモノマー単位でプロピレン以外のモノマーは8.0モル%以下であることが好ましい。
また、表面層(B)のポリプロピレン樹脂組成物は、MFRが1.0g/10分~8g/10分であることが好ましい。表面層(B)のポリプロピレン樹脂組成物のMFRの下限は、2g/10分であることがより好ましく、3g/10分であることがさらに好ましい。表面層(B)のポリプロピレン樹脂組成物のMFRの上限は、7g/10分であることがより好ましく、6.0g/10分であることがさらに好ましい。この範囲であると製膜性も良好で、高温での熱収縮率も小さく保つことができる。表面層(B)のポリプロピレン樹脂組成物のMFRが1.0g/10分より小さいと、基材層(A)のポリプロピレンのMFRが大きい場合に基材層(A)と表面層(B)の粘度差が大きくなるので、製膜の際にムラ(原反ムラ)が発生しやすくなる。表面層(B)のポリプロピレン樹脂組成物のMFRが8g/10分を超えると、冷却ロールへの密着性が悪くなって、空気を巻き込み、平滑性が悪く、それが起点となる欠点が多くなるおそれがある。
表面層(B)で用いるポリプロピレン樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、原料のプロピレンを重合させることにより得られる。中でも、異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒を用い、立体規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のモノマー中で重合する方法、気体のモノマーに触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法等が挙げられる。
表面層(B)には、添加剤やその他の樹脂を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤、無機または有機の充填剤等が挙げられる。その他の樹脂としては、本発明で用いられるポリプロピレン樹脂以外のポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体であるランダムコポリマーや、各種エラストマー等が挙げられる。これらは、多段の反応器を用いて逐次重合するか、ポリプロピレン樹脂とヘンシェルミキサーでブレンドするか、事前に溶融混錬機を用いて作製したマスターペレットを所定の濃度になるようにポリプロピレンで希釈するか、予め全量を溶融混練して使用してもよい。
表面層(B)の表面の濡れ張力が38mN/m以上であることが好ましい。
濡れ張力は38mN/m以上であると、印刷インキや接着剤との密着性が向上する。
濡れ張力は16LogΩ以上であるのがより好ましい。濡れ張力は38mN/m以上とするには、帯電防止剤や界面活性剤などの添加剤を使用することが通常行われているが、表面固有抵抗を下げる効果があるため、コロナ処理、火炎処理などの表面処理を行うことが挙げられる。
例えば、コロナ処理では、予熱ロール、処理ロールを用い、空中で行うことが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレン系フィルムの表面層(B)の表面の中心面山高さSR)+中心面谷深さSRvが1.0μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
ここで、表面層(B)の表面の表面粗さ中心面山高さSRp、中心面谷深さSRvとは、三次元粗さ計を使用し、触針圧20mgにて、X方向の測定長さ1mm、Y方向の送りピッチ2μmで収録ライン数99本、高さ方向倍率20000倍、カットオフ80μmの測定を行い、JIS B0601(1994)に記載の算術平均粗さの定義に準じて、求められる。
表面層(B)の表面の中心面山高さSRp+中心面谷深さSRvは、滑剤により形成された大きな凹凸の部分の状態の指標であり、ロールフィルムの状態において、基材層(A)との接触の際の滑り性に関係する。
表面層(B)の表面の中心面山高さSRp+中心面谷深さSRvが1.0μm以上であると、ロールフィルムからの巻き出し性が向上し、2.0μm以下であると透明性が維持される。
表面層(B)の表面の中心面山高さSRp+中心面谷深さSRvは1.0μm1.1μm以上が好ましく、1.2μm以上がより好ましく、1.3μm以上が特に好ましい。
表面層(B)の表面の中心面山高さSRp+中心面谷深さSRvが1.0μm以上2.0μm以下とするには、表面層(B)を形成するポリプロピレン樹脂組成物にアンチブロッキング剤を配合するのが好適な方法である。
アンチブロッキング剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、ゼオライト等の無機系のアンチブロッキング剤やアクリル系、ポリメタアクリル系、ポリスチレン系等の有機系アンチブロッキング剤等の中から、適宜選択して使用することができる。これらの中でも、シリカを用いるのが特に好ましい。
アンチブロッキング剤の好ましい平均粒子径は1.0~2.0μmであり、より好ましくは1.0~1.5μmである。
アンチブロッキング剤は、ポリプロピレン樹脂組成物中3000質量ppmとすることが好ましい。ここでいう平均粒径の測定法は、走査電子顕微鏡で写真撮影し、イメージアナライザー装置を用いて水平方向のフェレ径を測定し、その平均値で表示したものである。
(4)二軸配向ポリプロピレンフィルム
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム全体の厚みは9~200mが好ましく、10~150μmがより好ましく、12~100μmがさらに好ましく、12~80μmが特に好ましい。
第2の発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおける表面層(B)と基材層(A)の厚みの比率としては、全表面層(B)/全基材層(A)が0.01~0.5であることが好ましく、0.03~0.4であることがより好ましく、0.05~0.3であることがさらに好ましい。全表面層(B)/全基材層(A)が0.5を超えると、収縮率が大きくなる傾向を示す。また、フィルム全体の厚みに対する全基材層(A)の厚みは50~99%であることが好ましく、さらに好ましくは60~97%、特に好ましくは70~95%である。残部は、表面層(B)または表面層(B)とその他の層(例えばC層)となる。全表面層(B)の実質的な厚みは、0.5~4μmが好ましく、1~3.5μmがより好ましく、1.5~3μmがさらに好ましい。
第2の発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおける表面層(B)と基材層(A)の厚みの比率としては、全表面層(B)/全基材層(A)が0.01~0.5であることが好ましく、0.03~0.4であることがより好ましく、0.05~0.3であることがさらに好ましい。全表面層(B)/全基材層(A)が0.5を超えると、収縮率が大きくなる傾向を示す。また、フィルム全体の厚みに対する全基材層(A)の厚みは50~99%であることが好ましく、さらに好ましくは60~97%、特に好ましくは70~95%である。残部は、表面層(B)または表面層(B)とその他の層(例えばC層)となる。
全表面層(B)の実質的な厚みは、0.5~4μmが好ましく、1~3.5μmがより好ましく、1.5~3μmがさらに好ましい。
第2の発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムフィルムは、基材層(A)と表面層(B)とを1層ずつ有する2層構造のフィルムであってもよいが3層以上の構成としてもよい。好ましいのは基材層(A)/表面層(B)の2層構造である。また、表面層(B)/基材層(A)/表面層(B)、/基材層(A)/中間層(C)/表面層(B)の3層構造やそれ以上の多層構造であってもよい。
なお、基材層(A)や表面層(B)が複数ある場合、それぞれの層がその特性を満たすものであれば、組成は異なっていてもよい。
(5)フィルム特性
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの縦方向および横方向の150℃での熱収縮率が8%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、8%以下であることが特に好ましい。熱収縮率が8%以下とすることで、加工時の熱負けシワを低減することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおいては、150℃での縦方向の熱収縮率は0.2~8%であることが好ましく、0.3~7%がより好ましい。熱収縮率が上記範囲であれば、耐熱性に優れたフィルムということができ、高温にさらされる可能性のある用途でも使用できる。なお、150℃熱収縮率は1.5%程度までなら、例えば低分子量成分を多くする、延伸条件、熱固定条件を調整することで可能であるが、それ以下に下げるには、オフラインでアニール処理をすること等が好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおいては、150℃での横方向の熱収縮率は0.2~8%であることが好ましく、0.3~7%がより好ましく、0.4~6%がさらに好ましく、0.5~5%が特に好ましい。熱収縮率が上記範囲であれば、特に耐熱性に優れたフィルムということができ、高温にさらされる可能性のある用途でも使用できる。なお、150℃熱収縮率は1.5%程度までなら、例えば低分子量成分を多くする、延伸条件、熱固定条件を調整することで可能であるが、それ以下に下げるには、オフラインでアニール処理をすること等が好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの縦方向の引張弾性率は、1.8~4GPaであることが好ましく、2.1~3.7GPaであることがより好ましく、2.2~3.5GPaであることがさらに好ましく、2.3~3.4GPaが特に好ましい。測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの横方向の引張弾性率は、4.5~8GPaであることが好ましく、4.6~7.5GPaであることがより好ましく、4.7~7GPaであることがさらに好ましく、4.8~6.5GPaが特に好ましい。横方向の引張弾性率が上記範囲であれば、折れにくいフィルムにすることが可能となる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの折れにくさは、フィルムをリング状にホールドして圧縮し、その抗力をロードセルで検出されるリングクラッシュ測定値で評価した。測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムのヘイズは、5%以下が好ましく、0.2~5%がより好ましく、0.3~4.5%がさらに好ましく、0.4~4%が特に好ましい。上記範囲であると透明が要求される用途で使いやすくなることがある。ヘイズは例えば延伸温度、熱固定温度が高すぎる場合、冷却ロール(CR)温度が高く延伸原反シートの冷却速度が遅い場合、低分子量成分が多すぎる場合に悪くなる傾向があり、これらを調節することで上記の範囲内とすることが出来る。ヘイズの測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの耐衝撃性(23℃)の下限は好ましくは0.6Jであり、より好ましくは0.7Jである。上記範囲であるとフィルムとして十分な強靱性があり、取り扱い時に破断したりすることがない。
耐衝撃性の上限は現実的な面から好ましくは3Jであり、より好ましくは2.5Jであり、さらに好ましくは2.2Jであり、特に好ましくは2Jである。耐衝撃性は例えば低分子量成分が多い場合全体での分子量が低い場合、高分子量成分が少ない場合や高分子量成分の分子量が低い場合に耐衝撃性が低下する傾向となるため、用途に合わせてこれら成分を調整して範囲内とすることが出来る。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの面配向係数の下限は、0.011が好ましく、0.012がより好ましく、0.013がさらに好ましい。上記範囲であると、フィルムの耐熱性、剛性を大きくなりやすい。
延伸された積層ポリプロピレンフィルムは、一般的に結晶配向を有し、その方向や程度がフィルム物性に大きな影響を及ぼす。結晶配向の程度は、用いられるポリプロピレンの分子構造や、フィルム製造におけるプロセスや条件によって変化する傾向であり、これらを調節することで上記の範囲内とすることが出来る。測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムのインキ密着性の評価は、グラビア印刷した印刷インキの剥離試験を行い、全体25箇所のうち、剥離する部分の個数で行った。剥離箇所が15個以下が好ましく、5個以下がより好ましく、0個が最も好ましい。15個以上であると、インキの剥がれる程度が大きくなり、問題である。インキ密着性の評価方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムへのラミネート後の縦方向のラミネート強度は、1.2~2.5N/15mmが好ましく、1.3~2.5N/mmがより好ましく、1.4~2.5N/mmがさらに好ましい。ラミネート強度の測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの動摩擦係数は、0.5以下であることが好ましく、0.48以下であるのがより好ましく、0.45以下が特に好ましい。動摩擦係数は、0.5以下であるとロールフィルムからのフィルムの巻き出しがスムーズに行え、印刷加工しやすい。動摩擦係数の測定方法は後述する。
(4)製造方法
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を押出機により溶融押し出しして未延伸シートを形成し、その未延伸シートを所定の方法により、延伸して熱処理することによって得ることができる。
第2の発明の場合は、基材層(A)用ポリプロピレン原料(基材層(A)用ポリプロピレン系樹脂組成物)と表面層(B)ポリプロピレン原料(表面層(B)用ポリプロピレン系樹脂組成物をそれぞれ、別の押出機により溶融押し出しして積層された未延伸シートを形成し、その未延伸シートを所定の方法により、延伸して熱処理することによって得ることができる。
未延伸シートは、複数の押出機やフィードブロック、マルチマニホールドを用いることで得られる。溶融押出し温度は200~280℃程度が好ましい。
第2の発明において、この温度範囲内で層を乱さずに良好な外観の積層フィルムを得るには、基材層(A)用ポリプロピレン原料と表面層(B)用ポリプロピレン原料の粘度差(MFR差)が6g/10分以下となるようにすることが好ましい。粘度差が6g/10分より大きいと、層が乱れて外観不良となりやすい。より好ましくは5.5g/10分以下、さらに好ましくは5g/10分以下である。
チルロール表面温度は25~35℃が好ましく、27~33℃がより好ましい。次いで、120~165℃の延伸ロールでフィルムを長さ(MD)方向に3~8倍、好ましくは3~7倍に延伸し、引き続きTD方向に好ましくは155~175℃、より好ましくは160~163℃で4~20倍、好ましくは6~12倍延伸を行う。さらに、好ましくは165~176℃、より好ましくは170~176℃、さらに好ましくは172~175℃で、2~10%のリラックスを施しながら、熱固定を行う。こうして得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムに、必要に応じて、コロナ放電、プラズマ処理、火炎処理等を施した後、ワインダーで巻き取ることによりフィルムロールを得ることができる。
MDの延伸倍率の下限は、好ましくは3倍であり、より好ましくは3.5倍である。上記未満であると膜厚ムラとなることがある。MDの延伸倍率の上限は好ましくは8倍であり、より好ましくは7倍である。上記を超えると引き続き行うTD延伸がしにくくなることがある。MDの延伸温度の下限は好ましくは120℃であり、より好ましくは125℃であり、さらに好ましくは130℃である。上記未満であると機械的負荷が大きくなったり、厚みムラが大きくなったり、フィルムの表面荒れが起こることがある。MDの延伸温度の上限は好ましくは160℃であり、より好ましくは155℃であり、さらに好ましくは150℃である。温度が高い方が熱収縮率の低下には好ましいが、ロールに付着し延伸できなくなったり、表面荒れが起こることがある。
TDの延伸倍率の下限は好ましくは4倍であり、より好ましくは5倍であり、さらに好ましくは6倍である。上記未満であると厚みムラとなることがある。TD延伸倍率の上限は好ましくは20倍であり、より好ましくは17倍であり、さらに好ましくは15倍であり、特に好ましくは12倍である。上記を超えると熱収縮率が高くなったり、延伸時に破断することがある。TD延伸での予熱温度は速やかに延伸温度付近にフィルム温度を上げるため、好ましくは延伸温度より5~15℃高く設定する。TDの延伸では従来の二軸配向ポリプロピレンフィルムより高温で行う。TDの延伸温度の下限は好ましくは155℃であり、より好ましくは157℃であり、さらに好ましくは158℃、特に好ましくは160℃である。上記未満であると充分に軟化せずに破断したり、熱収縮率が高くなることがある。TD延伸温度の上限は好ましくは170℃であり、より好ましくは168℃であり、さらに好ましくは163℃である。熱収縮率を低くするためには温度は高い方が好ましいが、上記を超えると低分子成分が融解、再結晶化して配向が低下するだけでなく、表面荒れやフィルムが白化することがある。
延伸後のフィルムは熱固定される。熱固定は従来の二軸配向ポリプロピレンフィルムより高温で行うことが可能である。熱固定温度の下限は好ましくは165℃であり、より好ましくは166℃である。上記未満であると熱収縮率が高くなることがある。また、熱収縮率を低くするために長時間の処理が必要になり、生産性が劣ることがある。熱固定温度の上限は好ましくは176℃であり、より好ましくは175℃である。上記を超えると低分子成分が融解、再結晶化して表面荒れやフィルムが白化することがある。
熱固定時にはリラックス(緩和)させることが好ましい。リラックス率の下限は好ましくは2%であり、より好ましくは3%である。上記未満であると熱収縮率が高くなることがある。リラックス率の上限は好ましくは10%であり、より好ましくは8%である。上記を超えると厚みムラが大きくなることがある。
さらに、熱収縮率を低下させるために、上記の工程で製造されたフィルムを一旦ロール状に巻き取った後、オフラインでアニールさせることもできる。オフラインアニールの温度の下限は好ましくは160℃であり、より好ましくは162℃であり、さらに好ましくは163℃である。上記未満であるとアニールの効果が得られないことがある。オフラインアニール温度の上限は好ましくは175℃であり、より好ましくは174℃であり、さらに好ましくは173℃である。上記を超えると透明性が低下したり、厚みムラが大きくなったりすることがある。
オフラインアニール時間の下限は好ましくは0.1分であり、より好ましくは0.5分であり、さらに好ましくは1分である。上記未満であるとアニールの効果が得られないことがある。オフラインアニール時間の上限は好ましくは30分であり、より好ましくは25分であり、さらに好ましくは20分である。上記を超えると生産性が低下することがある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルム物性の測定方法は、以下の通りである。
1)立体規則性
メソペンタッド分率([mmmm]%)の測定は、13C-NMRを用いて行った。メソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従って算出した。13C-NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo-ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解し、110℃で行った。
2)メルトフローレート(MFR;g/10分)
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
樹脂はペレット(パウダー)をそのまま必要量量り取り用いた。
フィルムは必要量切り出した後、約5mm角にカットしたサンプルを用いた。
3)分子量および分子量分布
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求め、ポリプロピレン値に換算した。GPC測定での使用カラム、溶媒等の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR-H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、分子量分布は、それぞれ、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi)/Σ(Ni・Mi)
分子量分布:Mw/Mn
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとした。
4)厚み
基材層(A)と表面層(B)各層の厚みは、二軸配向ポリプロピレンフィルムを変性ウレタン樹脂で固めたものの断面をミクロトームで切り出し、微分干渉顕微鏡で観察して、測定した。
5)熱収縮率(%)
JIS Z1712に準拠して、以下の方法で測定した。フィルムを、MD方向とTD方向のそれぞれにおいて、幅20mm、長さ200mmにカットし、150℃の熱風オーブン中に吊して5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合で熱収縮率を求めた。
6)引張弾性率(ヤング率(単位:GPa))
JIS K7127に準拠してフィルムのMD方向およびTD方向のヤング率を23℃にて測定した。
7)リングクラッシュ(g)
デジタル式リングクラッシュテスター(テスター産業社製)で、フィルムサンプルサイズ12.7mm×152mmを準備し、試料テーブルの上に、フィルムサンプルの厚みに合わせて、アタッチメントのスペーサーをセットし、MD、TD方向それぞれで、フィルムサンプルを円周に添って差し込む。23℃にて、圧縮版を下降速度12mm/min.で圧縮した際の最大荷重をリングクラッシュ測定値とした。
8)ヘイズ(単位:%)
JIS K7105に従って測定した。
9)動摩擦係数
JIS K7125に準拠して、フィルムのコロナ処理を実施した面同士を重ね合わせ、23℃で測定した。
10)耐衝撃性
東洋精機製フィルムインパクトテスターを用いて、23℃にて測定した。
11)屈折率、面配向係数
JIS K7142-1996 5.1(A法)により、アタゴ製アッベ屈折計を用いて測定した。MD、TD方向に沿った屈折率をそれぞれNx、Nyとし、厚み方向の屈折率をNzとした。面配向係数(ΔP)は、(Nx+Ny)/2-Nzで求めた。
12)表面粗さ
得られたフィルムの表面粗さ評価は、三次元粗さ計(小坂研究所社製、型番ET-30HK)を使用し、触針圧20mgにて、X方向の測定長さ1mm、送り速さ100μm/秒、Y方向の送りピッチ2μmで収録ライン数99本、高さ方向倍率20000倍、カットオフ80μmの測定を行った。
三次元粗さの測定は、3回の試行を行い、算術平均粗さ(SRa)、中心面山高さ(SRp)、中心面谷深さ(SRv)に関して、その平均値で評価した。
13)表面固有抵抗値(LogΩ)
JIS K6911に準拠し、フィルムを23℃、24時間エージング後、フィルムのコロナ処理面を測定した。
14)濡れ張力(mN/m)
JIS K6768:1999に順じて、フィルムを23℃、相対湿度50%で24時間エージング後、下記手順でフィルムのコロナ処理面を測定した。
1)測定は,温度23℃,相対湿度50%の標準試験室雰囲気(JIS K7100参照)で行う。
2)試験片をハンドコータ(4.1)の基板の上に置き,試験片の上に試験用混合液を数滴滴下して,直ちにワイヤバーを引いて広げる。
綿棒又はブラシを使用して試験用混合液を広げる場合は,液体は少なくとも6cm以上の面積に速やかに広げる。液体の量は,たまりを作らないで,薄層を形成する程度にする。
濡れ張力の判定は,試験用混合液の液膜を明るいところで観察し,3秒後の液膜の状態で行う。液膜破れを生じないで,3秒以上,塗布されたときの状態を保っているのは,ぬれていることになる。濡れが3秒以上保つ場合は,さらに,次に表面張力の高い混合液に進み,また逆に、3秒以下で液膜が破れる場合は,次の表面張力の低い混合液に進む。
この操作を繰り返し,試験片の表面を正確に、3秒間で濡らすことができる混合液を選ぶ。
3)各々の試験には,新しい綿棒を使用する。ブラシ又はワイヤバーは,残留する液体が蒸発によって組成及び表面張力を変化させるので,使用ごとにメタノールで洗浄し,乾燥させる。
4)試験片の表面を3秒間でぬらすことができる混合液を選ぶ操作を少なくとも3回行う。このようにして選ばれた混合液の表面張力をフィルムの濡れ張力として報告する。
15)インキ密着性
フィルム上に、グラビア印刷機(三谷鉄工所社製)を使用して速度50m/minでグラビア全面印刷(印刷インキ量2g/m)を実施した。このときのインキは、水性インキ(大日本インキ化学工業社製:商品名エコファイン709白)である。この印刷サンプルを用い、碁盤目剥離(2mmマス×25個、ニチバン社製セロテープ(登録商標)18mm幅使用しての、90°剥離法)により評価し(もう少し詳しく)実用性から判断して次のランク別けを行った。
碁盤目剥離部分 0個・・・・◎:印刷インキ密着性に優れる。
〃 1~5個・・・・○:印刷インキ密着性が良好。
〃 6~15個・・・・△:印刷インキ密着性に劣る。
〃 1個以上・・・・×:印刷インキ密着性がない。
16)ラミネート強度
ラミネート強度は以下のような手順により測定した。
1)シーラントフィルムとのラミネートフィルムの作製
連続式のドライラミネート機を用いて以下の様に行った。
実施例、比較例で得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムのコロナ面に接着剤を乾燥時塗布量が3.0g/mとなるようにグラビアコートした後、乾燥ゾーンに導き80℃、5秒で乾燥した。引き続き下流側に設けられたロール間でシーラントフィルムと貼り合わせた(ロール圧力0.2MP、ロール温度:60℃)。得られたラミネートフィルムは巻き取った状態で40℃、3日間のエージング処理を行った。
なお、接着剤は主剤(東洋モートン社製、TM329)17.9質量%、硬化剤(東洋モートン社製、CAT8B)17.9質量%および酢酸エチル64.2質量%を混合して得られたエーテル系接着剤を使用し、シーラントフィルムは東洋紡社製無二軸配向ポリプロピレンフィルム(パイレン(登録商標)CT P1128、厚み30μm)を使用した。
2)ラミネート強度の測定
上記で得られたラミネートフィルムを二軸配向ポリプロピレンフィルムの縦方向に長辺を持つ短冊状(長さ200mm、幅15mm)に切り出し、引張試験機(テンシロン、オリエンテック社製)を用いて、23℃の環境下200mm/分の引張速度でT字剥離した際の剥離強度(N/15mm)を測定した。測定は3回行い、その平均値をラミネート強度とした。
(比較例7)
表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-1 99質量%と帯電防止剤(ステアリルジエタノールアミンステアレート(松本油脂(株)KYM-4K))1質量%を混合したものを用いた。
この混合物を60mm押出機を用いて、原料樹脂を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、175℃で予熱後、160℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、170℃で熱固定した。このときの製膜条件を製膜条件aとし、表2に示した。
得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの片側表面側にソフタル・コロナ・アンド・プラズマGmbH社製のコロナ処理機を用いて、印加電流値:0.75Aの条件で、コロナ処理を施した後、ワインダーで巻き取ったものを本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムとした。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(実施例2)
表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-1をポリプロピレン樹脂PP-2に変更し、60mm押出機を用いて、混合原料を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、125℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で予熱後、158℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、165℃で熱固定した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。このときの製膜条件を製膜条件bとし、表2に示した。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(比較例8)
基材層(A)には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-1 99質量%と耐電防止剤(ステアリルジエタノールアミンステアレート(松本油脂(株) KYM-4K))1質量%を混合したものを用いた。また、表面層(B)には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-1を99.7質量%、アンチブロッキング剤(市販のシリカ粒子(平均粒子径:1.3μm))を0.3質量%配合したものを使用した。
基材層(A)に使用する混合原料は60mm押出機、表面層(B)に使用する混合原料は65mm押出機を用いて、それぞれ原料樹脂を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、175℃で予熱後、160℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、170℃で熱固定した。表2に示す製膜条件aで製膜し、ワインダーで巻き取って、基材層(A)と表面層(B)が1層ずつ積層された本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面層(B)の表面側にソフタル・コロナ・アンド・プラズマGmbH社製のコロナ処理機を用いて、印加電流値:0.75Aの条件で、コロナ処理を施した後、ワインダーで巻き取ったものを本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムとした。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(実施例4)
基材層(A)に使用する原料に耐電防止剤を含有しないこと以外は、比較例8と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(比較例9)
基材層(A)には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-1 99質量%と耐電防止剤(ステアリルジエタノールアミンステアレート(松本油脂(株) KYM-4K))1質量%を混合したものを用いた。また、表面層(B)には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-6が48.7質量%、表1に示すエチレン共重合ポリプロピレン重合体PP-7を51質量%、アンチブロッキング剤として、市販のシリカ粒子(平均粒子径:1.3μm)を0.3質量%の割合で混合された組成物を使用した以外は、比較例8と同様にして、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例6)
フィルム厚みを30μmとした以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(実施例7)
フィルム厚みを40μmとした以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
(比較例1)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-3に変更した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりである。
(比較例2)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-4に変更した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムの製膜を行ったが、延伸時に破断してしまい、フィルムを得ることは出来なかった。
(比較例3)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-5に変更した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりである。
(比較例4)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-6に変更し、60mm押出機を用いて、原料樹脂を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、125℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で予熱後、158℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、165℃で熱固定した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりである。
(比較例5)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-8に変更し、60mm押出機を用いて、原料樹脂を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、140℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で予熱後、160℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、168℃で熱固定した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。このときの製膜条件を製膜条件cとし、表2に示した。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりである。
(比較例6)
表1に示すポリプロピレン樹脂PP-1を表1に示すポリプロピレン樹脂PP-9に変更し、60mm押出機を用いて、原料樹脂を250℃で溶融し、Tダイからシート状に共押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃縦方向(MD)に4.5倍に延伸した。次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で予熱後、160℃で幅方向(TD)に8.2倍に延伸し、幅方向(TD)に6.7%緩和させながら、168℃で熱固定した以外は、比較例7と同様にして二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。このときの製膜条件を製膜条件dとし、表2に示した。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりである。
Figure 2024001320000001
Figure 2024001320000002
Figure 2024001320000003
Figure 2024001320000004
実施例2、4、6、7で得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムは、熱収縮率が小さく、ヤング率は大きかった。中でも、実施例4で得られた積層フィルムは、さらにラミネート強度、インキ密着性が良好なフィルムとなった。
それに対して、比較例1で得られたフィルムは、幅方向(TD)の熱収縮率が大きかった。比較例3で得られたフィルムは、幅方向(TD)の熱収縮率が大きく、しかも幅方向(TD)のヤング率が小さかった。比較例4で得られたフィルムは、幅方向(TD)及び縦方向(MD)において、熱収縮率が大きく、ヤング率が小さいフィルムとなっている。
比較例5で得られたフィルムは、幅方向(TD)のヤング率が小さかった。比較例6で得られたフィルムは、幅方向(TD)の熱収縮率が大きかった。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、より高い耐熱性と剛性を有し、より熱負けシワが小さくなり、折れにくいため、加工性に優れる。
本発明の二軸配向ポリプロピレン系フィルムは、スタンディングパウチなどに使用される食品包装用はもちろんのこと、ラベル用途等にも使用可能である。

Claims (5)

  1. フィルムを構成する、共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂及び/又はエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、
    フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、
    フィルムの横方向の引張弾性率が5.1GPa以上であることを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。
    1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
    2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
    3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。
    4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.5g/10min以上、9.0g/10min以下である。
    5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
  2. 共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂及び/又はエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂を主成分とする基材層(A)と基材層(A)の少なくとも一方の表面に共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂、及び/又はエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(B)とを有し、基材層(A)を構成する、共重合成分を含まない完全ホモポリプロピレン樹脂及び/又はエチレン及び/又は炭素数4以上のα-オレフィンを共重合したポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂が下記1)~5)の条件を満たすこと、
    フィルムの面配向係数の下限が0.0125であること、
    フィルムの横方向の引張弾性率が4.8GPa以上であることを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。
    1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
    2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
    3)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上、5.4以下である。
    4)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)が6.2g/10min以上、9.0g/10min以下である。
    5)質量平均分子量(Mw)が180,000以上280,000未満、数平均分子量(Mn)が50,000以上70,000未満である。
  3. フィルムの縦方向及び横方向の150℃での熱収縮率が8%以下である請求項1あるいは2に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. フィルムの縦方向の引張弾性率が2.0GPa以上であり、フィルムの横方向の引張弾性率が4.5GPa以上である請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. フィルムのヘイズ値が5%以下である請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
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