JP5135258B2 - 二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム - Google Patents

二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム Download PDF

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本発明は、二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムに関し、さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)やホモポリプロピレンの延伸フィルムより柔軟であるため、貼り付けやすく、無延伸ポリエチレンフィルムや無延伸ポリプロピレンフィルムより伸度が小さく、剥がしやすいため、加工時の作業性に優れ、さらに一方の表面層を自己粘着層とすることにより、表面に粘着剤を塗布したりせずとも十分な粘着強度を有し、その粘着強度が非常に高いことから、粗面化された被着体に対しても接着可能であり、また、もう一方の表面層を非粘着層とすることにより、フィルムがロール状に巻かれてあっても、使用時にブロッキングが極めて起こりにくいので、フィルムの生産性にも優れるうえ、剥がしやすく取扱いが容易な二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムに関する。
液晶パネル等に使用されるプリズムシート等の電子部材(以下、保護対象物と言う場合もある。)が、加工時、運搬時あるいは貯蔵期間中に、ゴミが付着したり、傷がついたりするのを防止することを目的として、その表面にプロテクトフィルムが貼り付けられる。
このプロテクトフィルムには、保護対象物に容易に密着させることができ、保護対象物の加工時、運搬時あるいは貯蔵期間中に、簡単には剥離しないが、剥がす必要があるときには、容易に剥離させることができるという特性が望まれている。
現在、プロテクトフィルムとしては、無延伸ポリエチレンフィルム、PETフィルム等の片面に、アクリル系やゴム系の粘着剤を塗布したものが主流である。
PET系フィルムを用いるものとしては、例えば、リターデーション値1000nm以上の一軸異方性高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献1参照。)、二軸延伸高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献2参照。)、特定のコントラスト値、リターデーション値、ヘーズを有する高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献3参照。)、マイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下の高分子フィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献4参照。)、透明性に優れ、粗大突起の原因となる異物の少ない積層二軸ポリエステルフィルムを用いた偏光板保護フィルム(例えば、特許文献5参照。)、異物、キズが少なく、表面粗さ等の小さい一軸ポリエステルフィルムを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献6参照。)等が挙げられる。
また、ポリエチレン系フィルムを用いるものとしては、表面2層がポリエチレンで、中心層がポリプロピレンの積層フィルムを用いる表面保護粘着フィルム(例えば、特許文献7参照。)、軟質ポリオレフィンを用いた表面保護フィルム(例えば、特許文献8参照。)、高熱伝導率フィルム層を有する半導体ウェハ表面保護用粘着フィルム(例えば、特許文献9参照。)等が挙げられる。
さらに、粗面化された被着体に対し、除去可能に貼着する自己粘着フィルムも、提案されている(特許文献10参照。)。
しかし、無延伸ポリエチレンフィルムを用いたプロテクトフィルムは、剥がす時にフィルム自体が伸びやすく、剥がし難いという欠点を有している。特に最近、需要の高い大型画面の液晶表示装置では面積が大きいため、より顕著な問題となっている。また、該プロテクトフィルムは、広幅フィルムの生産が困難であるため、大型画面の液晶表示装置には適さないという問題も有している。
また、PETフィルムを用いたプロテクトフィルムは、柔軟性に劣るため、貼り付けにくく、PETフィルム自体に十分な粘着力がないため、粘着剤を塗布する必要がある。該プロテクトフィルムは、このような作業がどうしても必要になるため、粘着剤の塗布を必要とするものには、プロテクトフィルムの原反を生産する工程と、得られた原反に粘着剤を塗布する工程の2工程が必要となるため、生産性が悪く、また、得られた原反を粘着剤塗布工程に移す際、原反にほこりなどの付着物が付かないように作業環境をクリーンに保たなければならないため、生産コストが高くなるという問題を有している。
粘着剤を塗布する必要のない自己粘着性を有する表面層を両面に持つオレフィン樹脂製多層ラップフィルムとして、プロピレン樹脂組成物からなる多層フィルムが開示されている(例えば、特許文献11参照。)。該フィルムは、粘着剤を塗布する必要がないので生産性やハンドリングに優れるが、両表面層が自己粘着層であるため、生産時に、該フィルムをロール状に巻いたとき、一方の自己粘着層が他方の自己粘着層に貼り付いてブロッキングすることにより、均一に巻くことができず、フィルムに皺が生じるだけでなく、使用時にロールから巻き出すときに良好に巻き出せない等の欠点を有している。従って、自己粘着層に高い粘着強度を付与させることが困難であるため、ラップフィルムのような用途には十分使用できるが、高い密着性が要求されるプロテクトフィルムのような用途には、使用し得ないのが現状である。
また、粗面化された被着体に対し、除去可能に貼着する自己粘着フィルムについては、例えば、上記特許文献10が挙げられるが、このようなマスキングフィルムでは、接着力が弱く、プリズムシートのような祖面化された被着体には、用いることができない。
さらに、特許文献12及び13では、中間層の弾性率を制御することによって、粘着力が向上するといった内容が開示されているが、本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムで評価した場合、該特許文献に記載の配合では、目標とする粗面被着体への粘着力を得るためには、不十分であった。
こうした状況下において、粗面被着体に接着可能なプロテクトフィルムの早期開発が望まれている。
本発明の目的は、従来技術の現状に鑑み、耐ブロッキングおよび粘着性に優れ必要時に剥がし易く、しかも、保護対象物の粗面被着体に対し十分な粘着強度を持った、広幅製品の生産性に適し、粘着剤塗布を必要としないためクリーンかつ安価に製造することができる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、自己粘着層/中間層/非粘着層の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、中間層に、特定のポリプロピレン樹脂組成物を用い、一方の表面層に、スチレン系エラストマーと特定のプロピレン系重合体及び特定の石油樹脂からなる自己粘着層を用いた上で、さらに、その自己粘着層に対し、特定の処理度となるようにコロナ放電処理を施した自己粘着層を有し、他方の表面層に、特定のプロピレン単独重合体と特定のポリエチレンを主成分とする非粘着層を用いて、二軸延伸積層フィルムを調製したところ、所望の特性を有する自己粘着性プロテクトフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、各層が下記(イ)〜(ホ)の要件を満たすことを特徴とする二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが提供される。
(イ):中間層(X)は、下記プロピレン系樹脂組成物(A)20〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)20〜80重量%とからなる。
プロピレン系樹脂組成物(A):共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体(a1)60〜70重量%と共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a2)30〜40重量%からなる。
(ロ):自己粘着層(Y)は、スチレン系エラストマー(C)55〜85重量%、下記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)10〜35重量%、および軟化点が110℃〜145℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)5〜30重量%とからなる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D):示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体。
(ハ):自己粘着層(Y)は、下記式より算出された処理量が40〜200W・m/minの範囲でコロナ放電処理が施され、かつJIS Z0237(2000)に準拠する粘着強度測定法(23℃・50RH%の雰囲気下、30分又は24時間保持)に基づいて、粗面被着体[アクリル素材の三角柱(頂点角度134°、高さ5μm)が連続した表面形状を持つシート]に対し測定した数値が0.01〜0.2N/25mmの範囲である。
処理量(W・m/min)=処理電力(W)×処理バー幅(m)×処理速度(m/min)
(ニ):非粘着層(Z)は、プロピレン単独重合体(F)30〜65重量%と密度が0.94g/cm以上のポリエチレン(G)35〜70重量%との重合体組成物からなる。
(ホ):非粘着層(Z)は、表面粗さ計において下記(A1)〜(A6)の測定条件で得られる中心線平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、かつJIS K7105(1981)に準拠したHAZE(ヘーズ、曇価)が30%以上である。
(A1)触針先端曲率半径:5μm
(A2)カットオフ波長:0.8mm
(A3)カットオフ種別:2CR(位相補償)
(A4)測定速度:0.3mm/秒
(A5)測定方向:フィルムのMD方向
(A6)測定長さ:2mm
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プリズムシートの粗面化面に用いられることを特徴とする二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、自己粘着層(Y)の厚みが1〜6μmであることを特徴とする二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが提供される。
本発明は、上記した如く、二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)中間層(X)に用いられるプロピレン系樹脂組成物(A)のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a2)のα−オレフィンは、エチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィン、好ましくはエチレン又は1−ブテンであることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(2)中間層(X)に用いられるプロピレン単独重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)が2.5〜8.0g/10分の範囲であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(3)自己粘着層(Y)は、スチレン系エラストマー(C)70〜80重量%、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)10〜20重量%、および軟化点が115℃〜130℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)10〜20重量%とからなることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(4)スチレン系エラストマー(C)は、スチレン含有量が30重量%以下であり、好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、または水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(5)非粘着層(Z)に用いられるポリエチレン(G)は、密度が0.95g/cm以上であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(6)非粘着層(Z)は、中心線平均粗さ(Ra)が0.35μm以上であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(7)延伸倍率は、縦方向(MD)が3〜7倍、横方向(TD)が4〜10倍であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(8)フィルムの総厚みが20〜80μmであることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
(9)JIS K7105(1981)に準拠して測定したフィルムのヘーズが30%以上であることを特徴とする上記の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、自己粘着層面に施すコロナ放電処理量及び脂環族系炭化水素並びにエラストマー添加量を調整することにより、各保護対象物に対して貼り付けやすく剥がしやすい加工安定性を有している。また、自己粘着層の接着力を大幅に向上させることにより、粘着剤塗布や粘着付与剤添加を必要とせずに、従来のプロテクトフィルムと同等以上の自己粘着性を有する。そのため、二次加工の工数や設備を省略することができるうえ、該フィルムを剥がしたあと保護対象物に糊残り等の不具合を生じさせない。また、非粘着層の表面粗度状態を制御することにより、ブロッキングを防止できるため、製造時や使用時の安定性に優れた該フィルムを生産することができる。さらには、従来の製法・加工法では困難であった広幅のフィルムを生産することが可能となる。
従来のプロテクトフィルムでは、自己粘着層と非粘着層のブロッキング強度が大きい場合、製品フィルムを巻き取るときにミルロールに皺が生じたり、使用時にフィルム同士が貼り付き、良好に巻き出せなくなったりする傾向がある。
しかしながら、本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、表面を粗面化した非粘着層を有しているため、自己粘着層と非粘着層とを重ね合わせた時に発生するブロッキングを抑え、フィルム成形時の安定加工性、および製品のミルロール巻き姿を良好にすることができる。尚、ここでブロッキング強度とは、ASTM D1893に記載の方法に準拠して測定する値である。
そして、本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、従来のプロテクトフィルムに用いられるような粘着付与剤の練りこみや粘着剤の塗布等を、基本的には必要とせずに、十分な粘着強度を有する。そのため、二次加工を必要とせず設備や工数を省略することができる。また、保護対象物から剥がした後も、保護対象物の表面に糊残りやブリード物の付着などの問題を生じさせないという利点もある。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、前述したように、自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、各層が下記(イ)〜(ホ)の要件を満たすことを特徴とするものである。
(イ):中間層(X)は、下記プロピレン系樹脂組成物(A)20〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)20〜80重量%とからなる。
プロピレン系樹脂組成物(A):共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体(a1)60〜70重量%と共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a2)30〜40重量%からなる。
(ロ):自己粘着層(Y)は、スチレン系エラストマー(C)55〜85重量%、下記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)10〜35重量%、および軟化点が110℃〜145℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)5〜30重量%とからなる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D):示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体。
(ハ):自己粘着層(Y)は、下記式より算出された処理量が40〜200W・m/minの範囲でコロナ放電処理が施され、かつJIS Z0237(2000)に準拠する粘着強度測定法(23℃・50RH%の雰囲気下、30分又は24時間保持)に基づいて、粗面被着体[アクリル素材の三角柱(頂点角度134°、高さ5μm)が連続した表面形状を持つシート]に対し測定した数値が0.01〜0.2N/25mmの範囲である。
処理量(W・m/min)=処理電力(W)×処理バー幅(m)×処理速度(m/min)
(ニ):非粘着層(Z)は、プロピレン単独重合体(F)30〜65重量%と密度が0.94g/cm以上のポリエチレン(G)35〜70重量%との重合体組成物からなる。
(ホ):非粘着層(Z)は、表面粗さ計において前記(A1)〜(A6)の測定条件で得られる中心線平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、かつJIS K7105(1981)に準拠したHAZE(ヘーズ、曇価)が30%以上である。
以下、各層の構成成分、積層フィルムの特徴、製法等について詳細に説明する。
I.各層の構成成分
1.中間層(X)の構成成分
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを構成する中間層(X)は、プロピレン系樹脂組成物(A)20〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)80〜20重量%とからなり、好ましくはプロピレン系樹脂組成物(A)40〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)60〜20重量%とからなり、より好ましくはプロピレン系樹脂組成物(A)40〜60重量%とプロピレン単独重合体(B)60〜40重量%である。プロピレン系樹脂組成物(A)が20重量%より極端に少ない場合、フィルムの柔軟性が低下し良好に貼り付けにくくなる傾向がある。一方、プロピレン系樹脂組成物(A)が80重量%より極端に多い場合、フィルムの柔軟性が上がりすぎて、ブロッキングが悪くなる傾向がある。
(1)プロピレン系樹脂組成物(A)
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの中間層(X)に使用するプロピレン系樹脂組成物(A)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(a1)(以降、(a1)成分と表記することがある)を60〜70重量%とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分(a2)(以降、(a2)成分と表記することがある)を40〜30重量%の範囲で含むものであり、(a1)成分を62〜68重量%と(a2)成分を38〜32重量%の範囲で含むものが好ましい。
(a1)成分の含有量が60重量%より極端に少ない場合には、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率が低下するため、フィルムの柔軟性が過剰となり製品のブロッキングが悪化する恐れがある。
他方、(a1)成分の含有量が70重量%より極端に多い場合には、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率が増大するため、柔軟性が劣り粘着強度が低下する恐れがある。
プロピレン系樹脂組成物(A)は、(a1)成分と(a2)成分を単純混合して得ても良いし、多段重合により連続的に重合して得ることもできる。
単純混合する方法としては、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体や市販のエチレン−プロピレンゴムとプロピレン重合体とを溶融混合する方法が提示できる。溶融混合の方法は、限定されず、公知の方法を採用できる。
また(a1)成分と(a2)成分とを多段重合により連続的に重合する方法としては、複数の重合器を使用し、例えば、1段目で(a1)成分を製造し、2段目で(a2)成分を製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて、(a1)成分に(a2)成分が均一に分散したプロピレン系樹脂組成物(A)が得られ、品質の安定化が図れる点で好ましい。多段重合法により連続的に重合する方法については、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
(a1)成分は、共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%、好ましくは98.5〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体である。プロピレン単位が98重量%を大きく下回ると、二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの柔軟性が過剰になりブロッキングが悪化する傾向がある。一方、プロピレン単位が100重量%であると、(a2)成分との組成差が大きくなり、透明性が劣る傾向がある。
また、(a2)成分は、共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%、好ましくは72〜78重量%の範囲で含むプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。プロピレン単位が70重量%を大きく下回ると、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの透明性が低下する傾向があり、一方、プロピレン単位が80重量%を大きく上回ると、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率が増大し粘着力が低下する恐れがある。
α−オレフィンとしては、エチレン、もしくは炭素数4〜18のα−オレフィンを挙げることができ、炭素数4〜18のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどを例示でき、これらの一種もしくは二種以上を用いることができる。製造コストの面からはエチレン、1−ブテンもしくはその併用が最も好適である。
また、プロピレン系樹脂組成物(A)において、(a2)成分のメルトフローレート(MFRa2)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)は、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの透明性と成形性の観点から、4.0〜15.0g/10分の範囲であり、7.5〜12.5g/10分であることが好ましい。MFRa2が4.0g/10分を大きく下回る場合、(a1)成分に対する(a2)成分の分散性が悪い傾向になるため、透明性が阻害される恐れがある。一方、MFRa2が15.0g/10分を大きく上回る場合、プロピレン系樹脂組成物(A)全体のメルトフローレート(MFRWhole)が高くなり過ぎ、後述のような悪影響を及ぼす原因となる。
(a2)成分のメルトフローレート(MFRa2)は、重合の際、水素の供給量によって調整することができる。
さらに、プロピレン系樹脂組成物(A)において、(a2)成分のメルトフローレート(MFRa2)の(a1)成分のメルトフローレート(MFRa1)に対する比率(MFRa2/MFRa1)は、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの透明性と成形性の観点から、3.0〜15.0の範囲であり、5.5〜9.5であることが好ましい。MFRa2/MFRa1は、(a1)成分と(a2)成分の分散状態を表す尺度である。MFRa2/MFRa1が3.0を大きく下回ると、(a1)成分に対する(a2)成分の分散性が悪い傾向になるため、透明性が阻害される恐れがある。一方、MFRa2/MFRa1が15.0を大きく上回ると、(a1)と(a2)成分の分散性が悪い傾向になるばかりでなく、プロピレン系樹脂組成物(A)のメルトフローレート(MFRWhole)が高くなり過ぎ、後述のような悪影響を及ぼす原因となる。
比率(MFRa2/MFRa1)は、1段目と2段目の重合の際、それぞれの水素の供給量によって調整することができる。
プロピレン系樹脂組成物(A)全体のメルトフローレート(MFRWhole)は、得られる二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの透明性と成形性の観点から、1.0〜5.0g/10分の範囲であることが好ましく、1.5〜4.5g/10分であることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂組成物(A)のメルトフローレート(MFRWhole)が1.0g/10分より大きく下回る場合、樹脂を押し出すときに押出機に大きな負荷がかかるため好ましくない。一方、5.0g/10分より大きく上回る場合、押し出した樹脂の溶融張力が弱かったり、延伸するときの張力も弱くなり、良好に延伸できなくなったりする恐れがあるため好ましくない。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。
このようなプロピレン系樹脂組成物(A)としては、市販の製品を使用することができ、具体的には、日本ポリプロ(株)社製の「NAH6C」を挙げることができる。
(2)プロピレン単独重合体(B)
本発明において、中間層(X)に用いるプロピレン単独重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)が2.5〜8.0g/10分の範囲であることが好ましく、さらに好ましくはメルトフローレートが3.0〜7.0g/10分の範囲であるプロピレン単独重合体を例示でき、二種以上の混合物であっても良い。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。
プロピレン単独重合体(B)は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。
2.自己粘着層(Y)の構成成分
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムを構成する自己粘着層(Y)は、スチレン系エラストマー(C)55〜85重量%、好ましくは70〜80重量%であり、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)10〜35重量%、好ましくは10〜20重量%、および軟化点が110℃〜145℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)5〜30重量%とからなり、好ましくは軟化点が115℃〜130℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)10〜20重量%である。
脂環族系炭化水素樹脂(E)が5重量%より極端に少ないと、粗面被着体に対する接着ができなくなり、また、スチレン系エラストマー(C)が85重量%より極端に多いと、ここでも粗面被着体に対して接着ができなくなる傾向である。このことから、脂環族系炭化水素樹脂(E)とスチレン系エラストマー(C)の添加バランスが粗面被着体に対しての接着における重要な要素である。
また、軟化点が110℃〜145℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)を使用しても、希釈するポリプロピレンの融点が145℃より極端に高くなると、粗面被着体に対しての接着ができなくなる。これは、粘着層の結晶化度が高くなることにより、粘着層の柔軟性が低下し、貼り付けた際の粗面被着体の凹凸に対する接着面積が減少することにより生じると、考えている。
(1)スチレン系エラストマー(C)
本発明に用いるスチレン系エラストマー(C)としては、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体(SEBC)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が例示できる。二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムが十分な粘着強度を有するために、スチレン系エラストマー(C)のスチレン含有量は30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。スチレン含有量が30重量%を超えると、粘着層の柔軟性が劣り、粘着強度が低下する傾向がある。
このようなスチレン系エラストマー(C)としては、市販の製品を使用することができ、具体的には、「タフテックH1221」やJSR(株)社製の「ダイナロン1320P」を挙げることができる。
(2)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)
本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定した融点が135℃以下のものである。融点が135℃を極端に超えると、粘着面の柔軟性が低下し粗面被着体に対し接着できなくなる。他方、融点が120℃未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、製造が困難であるため、120℃〜135℃であることが好ましい。
また、融解熱は、80kJ/kg以下であることが好ましく、より好ましくは70kJ/kg以下である。融解熱が80kJ/kgより極端に大きなプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、粘着層の柔軟性を阻害し、粗面被着体に対する十分な粘着強度が得られなくなる。ここで、融点及び融解熱量は、JIS K7122(1987)に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定する値である。
また、本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、プロピレン単位を85〜99.9重量%の範囲で含むことが好ましく、さらに好ましくは90〜99.9重量%の範囲で含むことが望ましい。プロピレン単位が85重量%未満であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、製造が困難であり、実質上使用できない。
本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体およびプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体であり、それらを任意の比率で混合した混合物であっても構わない。
また、本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。
(3)脂環族系炭化水素樹脂(E)
本発明に用いる脂環族系炭化水素樹脂(E)は、JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定した軟化点が110℃〜145℃の範囲にあるもので、好ましくは115℃〜130℃の範囲にあるものである。軟化点が145℃を超えると、横延伸の温度条件より石油樹脂などの軟化点が高くなるため、石油樹脂自体が溶融しないことから延伸ボイド化し、粘着面が粗れ、粗面被着体に接着できなくなる。また、軟化点が110℃未満であると、べたつきが発生し、ダイス直下の冷却ロールに取られる等の成形不具合が発生する。
また、本発明に用いる脂環族系炭化水素樹脂(E)の配合量は、自己粘着層(Y)において、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。脂環族系炭化水素樹脂(E)の配合量が5重量%より極端に少ないと、コロナ放電処理をかけた場合であっても、表面にブリードする成分が少ないことから、粗面被着体に対する接着ができなくなる。一方、30重量%より極端に多いと、固化しきれなかった脂環族系炭化水素(E)が粘着し、冷却ロール(チルロール)に取られることから、成形性に問題が発生する。
このような脂環族系炭化水素樹脂(E)としては、例えば、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン誘導体の1種または2種以上の混合物を主原料として重合して得られる炭化水素樹脂、水素化クマロン・インデン樹脂、水素化C9系石油樹脂、水素化C5系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂、水素化テルペン樹脂、水素化ロジン樹脂などが挙げられ、そして、市販の製品を使用することができ、具体的には、荒川化学(株)製の「アルコン−P125」などを挙げることができる。
(4)自己粘着層(Y)の特性
スチレン系エラストマー(C)としては、前記のように、スチレン含有量が30重量%以下であることが好ましく、好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、または水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)である。
しかしながら、脂環族系炭化水素樹脂(E)とスチレン系エラストマー(C)のみの構成では、粗面被着体に対する十分な粘着強度は得られなかった。
そこで、より粘着強度を向上させるべく、後述する考え方により、粘着面に対しコロナ放電処理を施した。これはコロナ放電処理を施すことにより、粘着面の表面に作られた官能基と被着体の官能基との間に分子間力が働き、粘着強度も向上するのではないかと考えたからである。
また、脂環族系炭化水素樹脂(E)は、それ自体粘着付与の性能を持っており、コロナ放電処理を施した場合、粘着面に添加している脂環族系炭化水素樹脂の表面ブリードを促進させ、粘着力が向上する可能性があるのではないかと、考えたからである。
自己粘着層(Y)に対するコロナ放電処理量は、下記式より算出された処理量が40〜200W・m/minの範囲でコロナ放電処理が施される。好ましくは50〜200W・m/minであり、処理量が40W・m/minより極端に少ないと、粗面被着体に対し接着不可となり、200W・m/minより極端に多い処理量となると、粘着層やフィルム自体に劣化が生じ、穴開きやシワの発生など不具合が生じる。
処理量(W・m/min)=処理電力(W)×処理バー幅(m)×処理速度(m/min)
コロナ放電処理により粘着強度を飛躍的に向上させることが可能となった。
また、処理量を上げるに連れ、粘着強度自体も向上することを見出した。これは、前述官能基の分子間力の考え方と脂環族系炭化水素のブリードによるものと考えられ、コロナ放電処理の処理量を上げて行くことによって、より顕著に発現したものと考えている。
また、その相乗効果により、本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの粘着層自体の粘着強度を飛躍的に向上させることが可能となったため、1〜6μmの薄い粘着層を用いた場合でも、粗面被着体に対し接着可能となった。
また、自己粘着層(Y)は、JIS Z0237(2000)に準拠する粘着強度測定法(23℃・50RH%の雰囲気下、30分又は24時間保持)に基づいて、粗面被着体[アクリル素材の三角柱(頂点角度134°、高さ5μm)が連続した表面形状を持つシート]に対し測定した数値が0.01〜0.2N/25mmの範囲である。
3.非粘着層(Z)の構成成分
非粘着層(Z)は、プロピレン単独重合体(F)30〜65重量%と密度が0.94g/cm以上のポリエチレン(G)35〜70重量%との重合体組成物からなり、非粘着層(Z)に用いられるポリエチレン(G)は、密度が0.94g/cm以上であり、好ましくは0.95g/cm以上である。
また、非粘着層(Z)は、表面粗さ計において、下記(A1)〜(A6)の測定条件で得られる中心線平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、好ましくは0.40μm以上である。Raが0.30μmより極端に小さくなると、フィルム繰り出しや二次加工時において、加工性の低下や剥離性が悪くなることにより、粘着面が粗らされ、粗面被着体に接着しなくなる等の不具合が生じる可能性がある。
(A1)触針先端曲率半径:5μm
(A2)カットオフ波長:0.8mm
(A3)カットオフ種別:2CR(位相補償)
(A4)測定速度:0.3mm/秒
(A5)測定方向:フィルムのMD方向
(A6)測定長さ:2mm
ここで言うRaは、プロピレン単独重合体(F)およびポリエチレン(G)を前記の範囲内で配合することにより、調整することが可能であり、フィルムの透明性(ヘーズ)及び自己粘着層と非粘着層のブロッキングを制御することができる。
これは、プロピレン単独重合体(F)とポリエチレン(G)の結晶性の違いを利用し、フィルムの構成成分として用いたとき、得られるフィルム表面の粗度状態を適度に粗し、ブロッキング性を抑制することができるからである。
自己粘着層(Y)と非粘着層(Z)とのブロッキング強度は、3000g/10cm以下に調整されているのが好ましく、2000g/10cm以下がさらに好ましい。
ヘーズが30%以上であれば、3000g/10cm以下に調整することができ、好ましくはヘーズが50%以上である、より好ましくは60%以上であり、60%を超えると、ブロッキング強度は2000g/10cm以下に調整することができるため、ミルロールの繰出しや二次加工面で好適である。
ここで言うヘーズは、JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載の方法に準拠して測定する値である。
(1)プロピレン単独重合体(F)
本発明に用いるプロピレン単独重合体(F)は、プロピレン単独重合体であれば、特に規定は無く、市販のものを使用することができる。具体的には、日本ポリプロ(株)社製FL1175NCが例示される。
(2)ポリエチレン(G)
本発明に用いるポリエチレン(G)は、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、密度は、0.94g/cm以上が好ましい。より好ましくは0.95g/cm以上であるものが好ましい。
密度が0.94g/cmより極端に低いものは、非粘着面の凹凸が小さくなり、フィルムの表面が平滑になることから、ブロッキングが劣る傾向がある。
また、本発明に用いるポリエチレン重合体(G)としては、市販の製品を使用することができ、具体的には京葉ポリエチレン社製のG1800を挙げることができる。
4.その他の成分
本発明に用いる積層フィルムを構成する自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の各層には、それぞれ通常のポリオレフィン系フィルム材料に使用される酸化防止剤、中和剤等添加剤が配合されていてもよい。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤が例示できる。
また、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸の金属塩類やハイドロタルサイト類等が例示できる。
これらの添加剤の配合量は、各層中に0.01〜3重量%程度配合されているのが好ましい。また、これらの添加剤を配合する方法は、特に限定されず、たとえばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機つき混合機を用いるなど、公知の方法により配合することができる。さらに、各層を構成する各種配合物を混合した後、単軸押出機または二軸押出機を用いてペレット化してもなんら差し支えない。
II.二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、上記構成成分を有する層を、自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の順で構成される少なくとも3層の積層フィルムである。
なお、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、自己粘着層と中間層、中間層と非粘着層の間に別の層が含まれていても構わない。
積層フィルムの製造方法は、自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の順で構成されるように、通常のTダイ法またはインフレーション法でシート成形し、これらの方法で成形したシートを二軸延伸して得られる。二軸延伸法としては、テンター方式による逐次二軸延伸法によるものが好ましい。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの延伸倍率は、縦方向(MD)、横方向(TD)で、それぞれ3〜7倍、4〜10倍が好ましく、さらに好ましくは、それぞれ4〜6倍、4〜9倍であることが望ましい。延伸倍率が上記範囲を外れると、フィルムの弾性率や伸度が、プロテクトフィルム用途に適さなくなる恐れがある。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムにおける自己粘着層(Y)厚みは、粘着性、成形加工性の観点から1〜6μmの範囲が好ましく、2.5〜5μmのものがさらに好ましい。該プロテクトフィルムの自己粘着層(Y)厚みが2μmより極端に薄い場合、粘着力が低下し貼り付けにくくなる傾向がある。一方、該プロテクトフィルムの自己粘着層(Y)厚みが6μmより極端に厚い場合、フィルム製造時に自己粘着層を押し出すとき、押出機の負荷が上がりすぎたり、均一に押し出すことができなくなったりするため、良好なフィルムを製造することが困難である。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの弾性率は、縦方向(MD)、横方向(TD)でそれぞれ400〜1400MPa、700〜3600MPaが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ600〜1200Mpa、1200〜2800MPaであることが望ましい。ここで、弾性率は、JIS K7127(1999)「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定する値である。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、粘着面に施すコロナ放電処理量及び脂環族系炭化水素並びにエラストマー添加量を調整することにより、貼り付けやすく剥がしやすいプロテクトフィルムにすることができる。該フィルムと粗面被着体との粘着強度は、0.02N/25mm以上が好ましく、0.05〜0.10N/25mmであることがさらに好ましい。粘着強度が0.02N/25mmを大きく下回る場合、保護対象物に対して、良好に張り付かなくなる傾向がある。一方、粘着強度が0.10N/25mmを大きく上回る場合、剥離強度が強すぎるため、保護対象物から剥がす際の作業性を悪化させる場合がある。
ここで使用する粗面被着体は、JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に記載の方法に準拠して、SUS304番の代わりにプリズムシートを用いる。
ここで使用する粗面被着体の粘着強度の測定方法としては、前述プリズムシートの粗面化面に対し、幅25mm、長さ200mmに切り取った二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をプリズムシートの粗面化面に合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させたあと、23℃・50RH%の雰囲気下で30分又は24時間保持した後、プリズムシートを固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定する。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、フィルム剥離性や二次加工性が良いという理由で、ブロッキング強度が3000g/10cm以下のものが好ましく、2500g/10cm以下がさらに好ましい。ブロッキング強度が3000g/10cmを大きく上回ると、フィルム剥離性が悪化し、後工程での二次加工性や保護対象物からの剥離がし難くなることにより作業性が悪化する。
尚、本明細書中のブロッキング強度は、ASTM D1893に記載の方法に準拠して測定する値である。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、非粘着層の表面粗度状態を制御することによってブロッキングを防止することができるが、反面、該フィルムの透明性が悪化する傾向にある。ヘーズが65%を大きく上回る場合、透明性が低下し、製品検査などの際に保護対象物の状態を確認しにくくなる傾向があるため、該フィルムのヘーズは65%以下であることが好ましく、55%以下であることがさらに好ましい。一方、フィルムのヘーズが30%以上であることが好ましい。
ここで言うヘーズは、JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載の方法に準拠して測定する値である。
以下、本発明を実施例および比較例によって、さらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、本発明の実施例、比較例で用いるフィルムの物性値は以下に示す方法で測定し、用いた試料は以下の通りである。
1、試験方法
(1)MFR[単位:g/10分]:
MFRは、JIS K7210(1999)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)融解熱[単位:kJ/kg]:
融解熱は、JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定した。
(3)弾性率[単位:MPa]:
JIS K7127(1999)「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に記載の方法に準拠して測定した。数値が小さくなれば柔軟である。
(4)粘着強度[g/25mm]:
JIS Z0237(2000)「粘着テープ・粘着シート試験方法」の記載の方法に準拠して、SUS304の代わりにプリズムシートを用いて次のように測定した。幅25mm、長さ200mmに切り取った二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムの自己粘着層をプリズムシートに合わせ、荷重2kgのゴムローラーを用いて一定の圧力で均一に密着させた後、23℃・50RH%の雰囲気下で30分間(および24時間)保持した後、プリズムシートを固定し、フィルムの一端を300mm/minの一定速度で180度剥離するときの強度を測定した。数値が大きくなれば粘着強度は大きい。
(5)ブロッキング強度[g/10cm]:
ASTM D1893に記載の方法に準拠して測定した。数値が小さくなればフィルム同士のブロッキングは小さくなり、製品フィルムの巻き姿は良好である。
(6)ヘーズ(Haze)[単位:%]:
JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。数値が小さくなれば曇り度が小さくなり透明性は高い。
(7)フィルムの剥離性[官能試験]:
巻取り機に巻取られたフィルムを400mm×500mm程度にカットし、粘着面と非粘着面とが重なった状態において手で剥離し、剥がし易さを評価した。評価基準は、次のとおりで、○以上を合格とした。
◎:容易に剥離が可能。
○:剥がす際に若干の抵抗を感じる。
△:剥がす際にかなりの抵抗を感じる。
×:剥がれない。
(8)中心線平均粗さ(Ra)[μm]:
中心線平均粗さ(Ra)の測定法は、測定方法や測定条件によって得られる値が異なるので、本発明では、JIS B0651(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」で規定されている触針式表面粗さ測定器で測定する。測定器の測定条件は、触針先端曲率半径を5μm、カットオフ波長を0.8mm、カットオフ種別を2CR(位相補償)、測定速度を0.3mm/秒、測定方向をフィルムMD方向、測定長さを2mmとし、得られた値で表面粗度の範囲を規定した。測定方向であるMD方向とは、樹脂組成物を押出し成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向と平行な方向をいう。
(A1)触針先端曲率半径:5μm
(A2)カットオフ波長:0.8mm
(A3)カットオフ種別:2CR(位相補償)
(A4)測定速度:0.3mm/秒
(A5)測定方向:フィルムのMD方向
(A6)測定長さ:2mm
2.使用樹脂
実施例、比較例に用いた各種材料を以下に示す。
(1)A−1(プロピレン系樹脂組成物(A)):
(a1)成分65重量%と(a2)成分35重量%との多段重合体:MFRWhole;2.8g/10分(重合例として、製造の詳細を後述する。)。
(2)B−1(プロピレン単独重合体(B)):
融解熱101kJ/kg、融点161℃のプロピレン単独重合体である日本ポリプロ(株)製FL1175NC(商品名)
(3)D−1(プロピレン系重合体(D)):
融解熱60kJ/kg、融点127℃のプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製FX4G(商品名)
(4)D−2(プロピレン系重合体(D)):
融解熱62kJ/kg、融点125℃のメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製WFX4(商品名)
(5)DE−1(プロピレン系混合物(DE)):
D−1(50重量%)と軟化点が125℃の脂環族系炭化水素樹脂(荒川化学(株)製/アルコン−P125)(50重量%)との混合物。
(6)DE−2(プロピレン系混合物(DE)):
D−2(50重量%)と軟化点が125℃の脂環族系炭化水素樹脂(荒川化学(株)製/アルコン−P125)(50重量%)との混合物。
(7)DE−3(プロピレン系混合物(DE)):
融点162℃のプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)社製;FL6510F)(76重量%)と軟化点が137℃の脂環族系炭化水素樹脂(24重量%)との混合物。
(8)C−1(スチレン系エラストマー(C)):
水添スチレン系エラストマー:JSR(株)製ダイナロン1320P(商品名)
(9)C−2(スチレン系エラストマー(C)):
スチレン系エラストマー:旭化成(株)製タフテックH1221(商品名)
(10)F−1(プロピレン単独重合体(F)):
融解熱101kJ/kg、融点161℃のプロピレン単独重合体である日本ポリプロ(株)製FL1175NC(商品名)
(11)G−1(ポリエチレン(G)):
高密度ポリエチレン:京葉ポリエチレン(株)社製G1800(商品名)
[重合例1](A−1の製造):
(1)オレフィン重合触媒成分の調整
窒素置換したステンレス製反応器中において、四塩化チタン360mlおよびトルエン240mlを装入して混合溶液を形成させた。次いで平均粒径42μmのジエトキシマグネシウム120g、トルエン500mlおよびフタル酸−ジ−n−ブチル43.2mlを用いて形成させた懸濁液を、10℃の液温に保持した前記混合液中に添加した。その後、10℃〜90℃まで80分かけて昇温し、2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン1000mlで4回洗浄して、新たに四塩化チタン360mlおよびトルエン800mlを加え、112℃に昇温し、2時間攪拌させながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン1000mlで10回洗浄して、オレフィン重合触媒成分を得た。得られたオレフィン重合触媒成分の平均粒径は42μmであり、その分析値(原子吸光法による)は、Mg:18.9重量%、Ti:2.2重量%、Cl:61.6重量%であった。
(2)オレフィン重合触媒成分の予備活性化処理
内容積20リットルの傾斜羽根つきステンレス製反応器を窒素ガスで置換したあと、ヘキサン17.7リットル、トリエチルアルミニウム100.6mmol、ジイソプロピルジメトキシシラン15.1mmol、前記の方法で調整したオレフィン重合触媒成分120.4gを室温で加えたあと、30℃まで加温した。次いで撹拌しながらプロピレン240.8gを3時間かけて供給し、予備活性処理を行った。分析の結果、オレフィン重合触媒成分1gあたりプロピレン1.9gが反応していた。
(3)第1重合工程
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に前記の方法で予備活性化処理したオレフィン重合触媒成分を0.4g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランをモル比で、Al/Mgモル比6、Al/Siモル比6となるように連続的に供給した。エチレン−プロピレンの混合ガスを反応温度60℃、反応圧力2.1MPa、撹拌速度35rpmの条件を維持しながら連続供給し、さらに反応器の気相中のエチレン/プロピレンモル比を0.005、水素/プロピレンモル比0.007に維持するように水素ガスを循環配管より連続的に供給し、生成ポリマーであるエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)の分子量を制御してメルトフローレートを調整した。
反応熱は供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器に還流した。本重合で得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように配管を通して重合器から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器に供給した。このとき、配管からエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)の一部を間欠的に抜き出して、メルトフローレート、エチレン含有量、触媒単位重量あたりの重合体収量を求める試料とした。エチレン含有量の測定は、赤外線吸収スペクトル分析により、行った。触媒単位重量あたりの重合体収量は、重合体中のMg分の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した。
(4)第2重合工程
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に第1重合工程からのエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(a1)およびエチレン−プロピレン−1−ブテン混合ガスを連続的に供給し、プロピレンとエチレンと1ブテンとの共重合を行った。反応条件は、撹拌速度25rpm、温度55℃、圧力1.9MPaであり、気相のガス組成を水素/エチレンモル比0.62、エチレン/プロピレンモル比0.14、および1−ブテン/プロピレンモル比0.06に調整した。エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の重合量を調整するために重合活性抑制剤として一酸化炭素、およびエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の分子量を調節するため水素ガスをそれぞれ供給した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて第2重合工程に還流した。第2重合工程で得られたプロピレン系樹脂組成物(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように重合器から連続的に抜き出した。プロピレン系樹脂組成物(A−1)の生産速度は8〜15kg/hrであった。
抜き出されたプロピレン系樹脂組成物(A−1)は、未反応モノマーを除去し、一部はメルトフローレートの測定、赤外線吸収スペクトル分析によるエチレン重合単位及び1ブテン重合単位含有量の測定、ならびにICP法によるエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(a2)の含有量の測定に使用した。
プロピレン系樹脂組成物(A−1)の重合条件と物性を表1に示す。
Figure 0005135258
[試料の調整]
自己粘着層(Y)、中間層(X)、非粘着層(Z)として、表2および3に示す成分を用い、表2および3に記載した割合でブレンドしたものを、多層フィルム成形機の中間層用押出機(口径60mm)または2つの表面層用押出機(口径30mm)にそれぞれ供給して、250℃のTダイから押し出し、30℃の冷却ロールで冷却して、原反シートを得た。
なお、A−1については、100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.15重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.10重量部の比率で配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)を用いて均一に混合した後、得られた混合物を押出機で溶融混錬してペレット状にして用いた。
次に、得られた原反シートを110℃の加熱ロールで縦方向(MD)に5倍延伸し、引き続き150℃のテンターオーブンで横方向(TD)に8倍延伸して、フィルムを作成した。
得られたフィルムを所定の試験片に調整し、所定の試験法に準拠して、ブロッキング、Haze、粘着強度、フィルム剥離性を測定・評価した結果を、下記に示す。
[実施例1〜10]
表2に示す成分割合、フィルム厚みにする以外は、上記手法と同様にして、フィルムを作成した。
得られたフィルムの測定値の結果を表2に示す。
[比較例1〜10]
表3に示す成分割合にする以外は、上記手法と同様にして、フィルムを作成した。
得られたフィルムの測定値の結果を表3に示す。
Figure 0005135258
Figure 0005135258
上記表2、3に記載の実施例1〜10と比較例1〜10との結果を対比すると、以下のことが明らかとなる。
(1)実施例1〜10は、自己粘着層面に、本発明(第1の発明)の範囲内で樹脂を調整し、且つコロナ放電処理を規定量施した二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムであるが、この場合には、耐ブロッキング性、粘着性、透明性、フィルム剥離性に優れていることがわかる。また、非粘着面のRaが0.3以上であるため、耐ブロッキング性に優れ、それに伴い、フィルム剥離性にも、優れていることが分かる。
(2)実施例2及び実施例7、8では、自己粘着層面に対するコロナ放電処理量が上がるにつれ、粗面被着体に対する粘着強度が上がっていることが分かる。
(3)実施例3、4、5、6は、スチレン系エラストマー(C)および脂環族系炭化水素樹脂(E)の添加量を、本発明(第1の発明)の範囲内で樹脂を調整した二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムであるが、粗面被着体に対して接着していることが分かる。
(4)一方、比較例1〜10は、本発明(第1の発明)の範囲を外れて樹脂を調整した場合またはコロナ放電処理を規定量施さなかった場合であり、粗面被着体に対する接着力が弱く接着ができない、または接着力が強すぎるためフィルム剥離性が悪化していることが分かる。
(5)比較例1、2、3は、自己粘着層に石油樹脂を添加していないものであるが、この場合には、粗面被着体に対して、接着しないことが分かる。
(6)比較例4、5は、自己粘着層に、本発明(第1の発明)の配合と同様の比率で調整したものに対してコロナ放電処理を施していないものであるが、この場合には、粗面被着体に対して接着しないことが分かる。
(7)比較例6は、本発明(第1の発明)とは異なる自己粘着層配合比率を有する二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムでコロナ放電処理を規定量施したものであるが、この場合は粘着力が強すぎるため、非粘着層(Z)の中心線平均粗さ(Ra)を請求項1規定の範囲に調整しても、フィルム剥離性が悪化している事がわかる。
(8)比較例7は、本発明(第1の発明)とは異なる自己粘着層配合比率を有する二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムでコロナ放電処理を規定量施したものであるが、この場合は粘着力が低く、粗面被着体に対して、接着しないことが分かる。
(9)比較例8は、自己粘着層に、本発明とは異なり、希釈材として融点145℃以上のもの(プロピレン単独重合体)を用い、且つコロナ放電処理を本発明(第1の発明)の範囲内となるように調整したものであるが、この場合は、自己粘着層の融点が上がったことにより、結晶化が促進され、粘着面の柔軟性が劣ることにより、粘着強度が低下し、粗面被着体に対して、接着しないことが分かる。
(10)比較例9は、自己粘着層に、本発明(第1の発明)の配合と同様の比率で調整したものに対して、本発明(第1の発明)の規定量に至らない処理量でコロナ放電処理を施したものであるが、この場合には、粗面被着体に対して接着しないことが分かる。
(11)比較例10については、粘着強度は十分であるが、非粘着層面の本発明(第1の発明)の範囲を外れて調整した場合、Raが0.3μm以下であることから、ブロッキング強度が大幅に増大し、フィルム剥離性が悪化していることが分かる。
以上から、本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、耐ブロッキング性、粘着性、ヘーズ、フィルム剥離性等の面で優れていることがわかる。
本発明の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルムは、このような優れた特徴を有することから、現在、一般に使用されているプロテクトフィルムの代替としての使用はもとより、さらに高度な物性の要求される用途にも好適に使用することができる。
特開2000−94565号公報 特開2001−301024号公報 特開2001−335648号公報 特開2001−335649号公報 特開2004−151156号公報 特開2005−2220号公報 特開平7−1681号公報 特開2003−103726号公報 特開2004−6552号公報 特開2005−48161号公報 特開2006−36225号公報 特開2008−6815号公報 特開2008−221533号公報

Claims (3)

  1. 自己粘着層(Y)/中間層(X)/非粘着層(Z)の順に構成される少なくとも3層の積層フィルムにおいて、各層が下記(イ)〜(ホ)の要件を満たすことを特徴とする二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
    (イ):中間層(X)は、下記プロピレン系樹脂組成物(A)20〜80重量%とプロピレン単独重合体(B)20〜80重量%とからなる。
    プロピレン系樹脂組成物(A):共重合体(a1)の重量基準でプロピレン単位を98〜99.9重量%の範囲で含むプロピレン−エチレンランダム共重合体(a1)60〜70重量%と共重合体(a2)の重量基準でプロピレン単位を70〜80重量%の範囲で含むプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(a2)30〜40重量%からなる。
    (ロ):自己粘着層(Y)は、スチレン系エラストマー(C)55〜85重量%、下記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)10〜35重量%、および軟化点が110℃〜145℃の範囲にある脂環族系炭化水素樹脂(E)5〜30重量%とからなる。
    プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D):示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体。
    (ハ):自己粘着層(Y)は、下記式より算出された処理量が40〜200W・m/minの範囲でコロナ放電処理が施され、かつJIS Z0237(2000)に準拠する粘着強度測定法(23℃・50RH%の雰囲気下、30分又は24時間保持)に基づいて、粗面被着体[アクリル素材の三角柱(頂点角度134°、高さ5μm)が連続した表面形状を持つシート]に対し測定した数値が0.01〜0.2N/25mmの範囲である。
    処理量(W・m/min)=処理電力(W)×処理バー幅(m)×処理速度(m/min)
    (ニ):非粘着層(Z)は、プロピレン単独重合体(F)30〜65重量%と密度が0.94g/cm以上のポリエチレン(G)35〜70重量%との重合体組成物からなる。
    (ホ):非粘着層(Z)は、表面粗さ計において下記(A1)〜(A6)の測定条件で得られる中心線平均粗さ(Ra)が0.30μm以上であり、かつJIS K7105(1981)に準拠したヘーズ(曇価)が30%以上である。
    (A1)触針先端曲率半径:5μm
    (A2)カットオフ波長:0.8mm
    (A3)カットオフ種別:2CR(位相補償)
    (A4)測定速度:0.3mm/秒
    (A5)測定方向:フィルムのMD方向
    (A6)測定長さ:2mm
  2. プリズムシートの粗面化面に用いられることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
  3. 自己粘着層(Y)の厚みが1〜6μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム。
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