JP4432642B2 - 離型性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、離型性樹脂組成物に関し、詳しくは、離型性、基材への密着性が優れ、成形性に優れた非シリコーン系の離型性樹脂組成物に関する。
従来、セパレータの離型層や粘着テープの背面処理層などの離型層の形成方法としては、フィルム、紙などの基材へ離型剤溶液を塗工、乾燥する方法が採用されている。しかし、近年、環境への配慮、コスト面での要求から、無溶媒化が検討されてきた。その中で、物理的および化学的な物性のバランスが良好でフィルム成形性にも優れたポリオレフィン樹脂に離型剤を配合して押出成形した離型フィルムは、粘着面に対して十分な離型機能を持つ、離型基材として利用されている。
ポリオレフィン樹脂に配合する離型剤としては、シリコーン化合物が特に有効なものとして知られている(特許文献1)。しかしながら、シリコーン化合物は、粘着シート類の粘着面に移行する可能性があり、電子部品用途などに使用した場合は、電気接点不良などの弊害を生じることがあり、また、例えば自動車の塗装前に使用される表面保護フィルムとして使用した場合は、塗装工程における「はじき」の原因となったり、離型層の上から印字することが出来ない等の欠点が指摘されている。
これらを改良するものとして、活性水酸基含有ポリビニル重合体と長鎖アルキルイソシアネート化合物との反応生成物からなる粘着減殺剤を含む組成物を離型層に含有するする粘着シートが知られており(特許文献2)、上記粘着減殺剤と高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンからなる離型性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、上記離型性樹脂組成物は、常温での離型性、高速で離型した際の離型性が不充分であったり、ラミネート成形する際に離型層を基材シート上に均一な厚みとなるように設けることが難しい等の問題点が指摘されていた。
特開平10−44349号公報 特開平11−43655号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、粘着面に対する離型性及び、高速離型性に優れ、しかも、基材への密着性が良好であり、ラミネート成形性の良好な非シリコーン系の離型性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂と、特定の極性高分子と、特定の剥離性高分子とを配合することによって、上記課題を解決できる非シリコーン系の離型性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の配合比(重量)が(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲であって、且つ成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対する成分(C)の割合が0.01〜10重量部である離型性樹脂組成物に存する。
(A)MFR(JIS K7210準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜200g/10minのポリオレフィン樹脂
(B)構成単位としてオレフィンモノマー及び極性モノマーを含む極性高分子
(C)炭素数12〜30の長鎖アルキル基を有する重量平均分子量1万〜100万の剥離性高分子
本発明によれば、粘着面に対する離型性に優れ、しかも、基材への密着性が良好であり、ラミネート成形性の良好な非シリコーン系の離型性樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂(A)は、特に限定されないが、エチレンや、炭素数3〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を構成単位として含む重合体ならびに共重合体の群の中から選択するのが好ましい。
上記重合体、共重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン(共)重合体、エチレンと他種のオレフィンとの共重合体等であり、1種単独または数種類の混合物として使用される。共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。なかでもフィルム成形性、各種基材との接着性等により、ポリエチレンがより好ましく、特に好ましくは密度0.905〜0.905g/cm3のポリエチレンである。
ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜200g/10minである。好ましくは0.1〜100g/10min、更に好ましくは0.1〜30g/10minである。MFRが0.1g/10min未満の場合は、流動性に乏しく溶融成形が困難であり、200g/10minを超える場合は、流動性が高すぎて均一な溶融成形が困難である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kgf荷重条件で測定した値である。
本発明で使用する極性高分子(B)は、構成単位としてオレフィンモノマー及び極性モノマーを含む高分子である。「構成単位として」とは、「原料モノマーとして」と同義である。極性高分子(B)中のオレフィンモノマーで構成される単位は、本発明の離型性樹脂組成物に押出成形性とオレフィン系樹脂への基材密着性とを付与する。また、極性モノマーで構成される単位は、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(以下PVOHと略記する)、ナイロン、トリアセチルセルロース、ポリイミド等の極性樹脂を主成分とする基材への密着性発現に効果があり、また、その表面エネルギーが、後述する剥離性高分子(C)に比べて高くなることから、離型性の発現に効果のある剥離性高分子(C)を、より効果的に離型層の表面に偏在させる働きも果たす。
このように、離型性樹脂組成物に本発明の極性高分子(B)を配合することによって、常温での離型性、高速で離型した際の離型性、及びラミネート成形性が改良され、均一な厚みの離型層を有する積層体を得ることができる。
極性高分子(B)の構成単位の一つであるオレフィンモノマーとしては、前述のモノマーを用いることが出来、これらは2種以上を併用してもよい。特に、共重合性に優れるという観点から、エチレンが好ましい。
極性モノマーとしては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート、無水マレイン酸などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。これらのうち、特に、酢酸ビニル又はメチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の表現は、「アクリル又はメタクリル」を表すものである。
構成単位として含まれる極性モノマーの割合は、構成単位として含まれる全モノマーに対し5〜50重量%が好ましく、特に好ましくは10〜30重量%である。5%未満では極性モノマーを含んでいることによる効果が発現しない場合があり、50%より多いと剥離性高分子中の極性モノマーに由来する構造部分が凝集し、局在化することがあり、効果が得られない場合がある。
また、極性高分子(B)は、前記のオレフィン系モノマー及び極性モノマー以外の構成単位を含んでいてもよい。この場合、構成単位として含まれる全モノマーに対するオレフィン系モノマーと極性モノマー以外のモノマーの割合は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
オレフィン系モノマー及び極性モノマーから形成される構成単位は、必ずしも、主鎖中に組み込まれた構造でなくてもよく、その一部又は全部が主鎖にグラフトされた構造になっていてもよい。
極性高分子(B)は、上記の樹脂1種単独または数種類の混合物でもよい。極性高分子(B)のメルトフローレート(MFR)は、通常0.1〜200g/10min、好ましくは0.1〜100g/10min、特に好ましくは0.1〜30g/10minである。MFRが0.1g/10min未満の場合は、流動性に乏しく溶融成形が困難であり、200g/10minを超える場合は、流動性が高すぎて均一な溶融成形が困難である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kgf荷重条件で測定した値である。
本発明に用いられる剥離性高分子(C)は、炭素数12〜30の長鎖アルキル基を含有する重量平均分子量1万〜100万の高分子化合物である。さらに好ましくは、重量平均分子量が2万以上100万以下のものである。
長鎖アルキル基の炭素数が12未満の場合は十分な離型性能を得られず、炭素数が30超過の場合は、剥離性高分子(C)の調製時に反応性が劣るため所望の性能が得られない。また、重量平均分子量が100万を超える場合は、前述のポリオレフィン樹脂(A)に分散しにくいため離型性が劣り、1万未満の場合は、後述の経時変化に対する効果(離型層と粘着層とを貼り合わせてから充分時間が経過した後も軽離型力を維持することができる)が得られない。
剥離性高分子(C)中の長鎖アルキル基の割合は、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜75重量%である。10重量%未満の場合は離型性能が得られない場合があり、80重量%超過の物質を得ることは一般に困難とされている。ここで、長鎖アルキル基の割合は、剥離性高分子(C)1分子中に占める長鎖アルキル基部分の重量百分率を示す。化合物の構造は13C−NMRによる1次構造解析から特定することが出来る。
剥離性高分子(C)の製造方法としては、適当な加熱溶媒中、スズ化合物や三級アミン等の触媒存在下、反応性基を有する高分子(C−a)と、炭素数12〜30の長鎖アルキル基を有し、高分子の反応性基と反応可能な官能基を有する化合物(C−b)とを反応させる方法を挙げることが出来る。上記の反応性基としては、水酸基、アミン基、カルボキシル基、酸無水物基などが挙げられる。これらの反応性基を有する高分子(C−a)としては、PVOH、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略記する)、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。ここで、PVOHとはポリ酢酸ビニルの部分けん化物も含み、EVOHとはエチレン−酢酸ビニル共重合体の部分けん化物も含む。
また、上記反応性基と反応可能な官能基を有する化合物(C−b)としては、酸クロラ
イド、イソシアネート、アミン、アルコール等が挙げられる。反応性化合物(C−b)の有する長鎖アルキル基としては、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基などが挙げられる。
上記の剥離性高分子(C)の中でも、反応性化合物(C−b)として長鎖アルキルイソシアネート化合物の反応を利用して製造される剥離性高分子が好ましい。長鎖アルキルイソシアネートとしては、例えば、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート等の炭素数12以上のアルキル基とインソシアネート基を有する化合物が挙げられる。また、反応性基を有する高分子(C−a)としては、PVOH又はEVOHが好適に使用される。
PVOHの重合度は、100〜2500が好ましく、さらに好ましくは150〜2000であり、けん化度は、50〜100%が好ましく、さらに好ましくは70〜100%である。EVOHの重合度は、300〜10000が好ましく、さらに好ましくは300〜1000、けん化度は50〜100%が好ましく、さらに好ましくは70〜100%、エチレン含有率は、1〜90モル%が好ましく、さらに好ましくは5〜60モル%である。PVOH又はEVOHに付加する長鎖アルキルイソシアネート化合物の使用量は、水酸基1当量当たり、通常0.2〜1.1当量、好ましくは0.5〜1.1当量である。
また、剥離性高分子(C)の他の製造方法としては、長鎖アルキル基を有するラジカル重合性の不飽和単量体、具体的にはステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアリルビニルエーテル等、とその他の各種単量体を共重合させる方法を挙げることも出来る。重合には、通常、ラジカル重合で使用される公知の過酸化物やアゾ系開始剤を使用することができ、また重合方法は特に限定されず、溶融重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合などを適宜採用することが出来る。従って、重合溶媒も特に限定されず、夫々の重合方法に合った溶媒を選択すればよい。また、無溶媒で重合を行なってもよい。また、共重合体の構造は、ランダム構造であってもブロック構造であってもよく、また、グラフト構造を含んでいてもよい。
ポリオレフィン樹脂(A)と極性高分子(B)の配合比(重量)は、(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲である。特に高温での離型性が要求される場合には、(A)/(B)=90/10〜50/50が好ましく、特に好ましくは80/20〜60/40である。他方、より常温での離型性、高速で離型した際の離型性、およびラミネート成形性が要求される場合には、(A)/(B)=10/90〜40/60が好ましく、特に好ましくは20/80〜40/60である。
ポリオレフィン樹脂(A)の配合量が、(A)/(B)=10/90より少ない場合(極性高分子(B)が多い場合)では、高温での離型性が劣り、溶融成形時の基材との密着性が低下する。他方、(A)/(B)=90/10より多い場合(極性高分子(B)が少ない場合)では、常温での離型力、高速離型力、ラミネート成形性が低下する。
剥離性高分子(C)の配合比率(重量)は、ポリオレフィン樹脂(A)及び極性高分子(B)の合計量100重量部あたり0.01〜10重量部である。より好ましくは、0.5〜8重量部である。剥離性高分子(C)の配合比率が0.01重量部未満では、十分に離型力が発現されない。一方、10重量部を超える場合、ポリオレフィン樹脂(A)、及び極性高分子(B)の種類によっては分散不良が生じることがある。そのため、離型層に用いた場合、粘着層からの離型の際に、離型層の断裂が生じ、粘着面に離型層の一部が残ってしまう、いわゆる凝集破壊(膜残り)を起こすことがある。また、押出成形性および基材に対する密着性が劣ることがあり、離型した後、再度粘着しようとしても粘着しないことがある。
さらに、剥離性高分子(C)をこれ以上配合しても、離型性樹脂組成物の離型性能は、
配合量に見合って向上することはないためコストに不利となる。
本発明の離型性樹脂組成物には、必要に応じ、その他の成分として、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、界面活性剤、潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、架橋剤、充填剤などを、性能を損なわない範囲で適宜加えることができる。また、耐溶剤性や耐熱性を高めるため、熱処理、UV硬化、電子線硬化などを行ってもよい。
本発明の離型性樹脂組成物は、主として、溶融押出法により成形して成形体(フィルム又はシート)として使用される。また、本発明の離型性樹脂組成物は、基材との共押出成形により、また、基材上への押出ラミネート成形により、積層体として使用してもよい。さらに、基材の離型層側と反対側に粘着層を同時に設ける三層またはそれ以上の多層同時押出成形を行い多層積層体として使用しても良い。
本発明の成形体を得るための溶融押出成形法は特に限定されるものではなく、公知の方法を使用することができる。例えば、成形体として離型フィルムを製造する場合は、離型フィルムを構成する樹脂組成物のペレットを製造した後、これを溶融押出機からフィルム状に押出成形する方法が挙げられる。離型フィルムの厚さは、溶融押出成形可能である限り特に制限されないが通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜20μmである。厚さが0.1μm未満の場合は、厚さを均一にすることが難しく、離型性が劣る場合があり、また、厚さが100μmを超える場合は厚さに見合った効果が得られず経済的に不利となることがある。
また、積層体を加熱下で延伸等により後加工する場合、離型層の厚さは上述の限りでなく、延伸後に離型性能が得られる厚みを、延伸倍率等に合わせて適宜調整する必要があるが、延伸後の離型層厚さは0.01〜5μmが好ましい。
具体的な層構成としては、離型層/基材層、離型層/粘着層、離型層/基材層/粘着層、離型層/粘着層/基材層、基材層/離型層/粘着層が挙げられる。また、本発明においては、両面離型積層体又は両面粘着積層体といった層構成とすることも出来る。具体的には、離型層/基材層/離型層、離型層/粘着層/基材層/粘着層/離型層等が挙げられる。これら各々の層は、厚さの異なったフィルムやシートを用いて構成することが可能であり、使用目的により適宜選択される。
また、本発明の離型性樹脂組成物は、溶媒に溶解させ、基材表面に塗布後、所望の時間加熱することにより乾燥させて製膜してもよい。さらに、積層体を構成する基材及び/または粘着剤層は、押し出し成形、ラミネート成形等の溶融成形の他、塗布等公知の如何なる技術を用いて積層してもよい。
このように得られた積層フィルム及びシート類は、離型フィルム及びシート、或いは粘着フィルム及びシートとして用いることが出来る。具体的には、粘着テープ、粘着布テープ、クラフトテープ、表面保護フィルム等として用いることができ、ロール状、シート状のいずれの形態で保管、輸送等が可能である。
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下の諸例で用いた評価方法、配合材料、積層体の製造方法は次の通りである。
<評価方法>
(1)常態離型力の測定:
後述の方法で得られた粘着積層体を、カッターナイフで25mm幅に裁断し、室温で1時間放置後、引張試験機を用いて引張速度300mm/分で180°離型を行った。離型試験は、株式会社レオテック社製 FUDOH RHEO METER NRM-2002Jを用い、粘着シートの
基材をクロスヘッドに取り付けて行った。離型力が安定した領域の平均離型荷重を、積層
体幅で除した値を求め、8回の平均値を常態離型力とした。
(2)残留粘着率の測定:
上記(1)の方法で常態離型力を測定した後、離型した粘着層の粘着力をJIS K2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)に準じて測定した。別途、常態離型力測定前のステンレス板に対する粘着力(後述の方法で得られた粘着積層体−1ではその粘着層を、また、粘着積層体−2では途中得られる粘着シートの粘着層を用いて測定)を測定し、離型力測定前の粘着力に対する離型力測定後の粘着力の割合を残留粘着率(%)とした。
(3)加熱離型力の測定:
上記(1)の測定法において、カッターナイフで25mm幅に裁断し、20gf/cm2の加重をかけて、50℃で3日間静置した後に離型試験を行ったこと以外は、同様の操
作を行った。
(4)高速離型力の測定:
上記(1)の測定において、テスター産業株式会社製高速剥離試験機「TE−701−S(100mTYPE)」を用い、引張速度を30m/分としたこと以外は、同様の操作を行った。
(5)ラミネート成形性:
布基材に離型層をラミネート成形する際、80m/minの走行速度で長さ100mを巻き取った時点で、溶融した離型性樹脂組成物のダイからの出方、得られた積層体の表面を目視で観察し、以下の基準で判定した。
○: ダイから安定して吐出し、破断することも、幅が減少(ネックイン)することもなく、得られた離型層の厚みも均一であった。
△: ダイから安定して吐出し、破断することもないが、ネックインが大きく、離型層の厚みが不均一であった。
×: ダイから安定して吐出せず、破断が生じ、また、ネックインが大きく、離型層の厚みも不均一であった。
(6)極性高分子(B)中の極性モノマー単位の含有量測定:
極性高分子(B)中の極性モノマー単位の量(重量%)は、1H−NMRによって求め
た。測定試料は、重水素化ジクロルベンゼンに5重量%となる様に極性高分子を溶解し130℃に加熱して均一な溶液として調製した。測定温度は130℃とした。装置は日本電子社製「JSX−400」を使用した。
(7)剥離性高分子(C)の重量平均分子量の測定:
分子量分布の測定はWaters社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィ「GPC model−50C」で行なった。カラムは昭和電工社製「AD80MS」3本を使用した。測定試料はトルエンに2mg/mlとなる様に剥離性高分子を溶解して調製した。測定温度は110℃とした。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で表した。
(8)剥離性高分子(C)中の長鎖アルキル分率の測定:
剥離性高分子中の長鎖アルキルの分率は13C−NMRによって求めた。測定試料は、重水素化トルエンに5重量%となる様に剥離性高分子を溶解し90℃に加熱して均一な溶液として調製した。測定温度は90℃とした。装置はJEOR社製「JSX−400」を使用した。
(9)MFRの測定:
JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定した。<配合材料>
(1)ポリエチレン基材:LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックC6 SF8402」)
(2)布基材:厚さ50μmのLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD LC607」、密度0.919g/cm3、MFR8.2g/10min)が、アンカー
コート層を介して布基材上に、ランダムラミネート成形によって設けられたPEラミ布基材。
(3)ポリオレフィン樹脂(A)
A−1):LDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD LF480M」、密度0.930g/cm3、MFR1.5g/10min)
A−2):HDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックHD HB120R」、密度0.938g/cm3、MFR0.15g/10min)
A−3):LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「カーネル KF360T」、密度0.898g/cm3、MFR3.5g/10min)
A−4):LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックC6 SF8402」、密度0.929g/cm3、MFR2.6g/10min)
(4)極性高分子(B)
B−1):エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ポリエチレン社製「ノバテックEVA LV570」、酢酸ビニル含量20重量%、MFR15g/10min)
B−2):エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ポリエチレン社製「ノバテックEVA LV360」、酢酸ビニル含量10重量%、MFR9g/10min)
(5)剥離性高分子(C)
C−1)
コンデンサー、窒素導入管、撹拌機および温度計付きのフラスコを窒素置換した後、ステアリルメタクリレート33.8g(100mmol)、トルエン50gを入れ、15分間窒素バブリングした。これにアゾビスイソブチロニトリル164mg(1mmol)を加え、75℃で5時間重合した。得られた共重合体について、ポリスチレン標準で較正したGPCで測定したところ、数平均分子量は80000、分子量分布は3.20であった。重合終了後、アセトン500mlに再沈し、30gの共重合体を得た。長鎖アルキル基分率は、75重量%であった。これを剥離性高分子(C−1)とする。
C−2)
コンデンサー、窒素導入管、撹拌機および温度計付きのフラスコを窒素置換した後、EVOH(エチレン含有率44%,重合度750)40g、ジブチルスズジオクトエート2.0gを入れ、系内を140℃に1時間半保ち十分脱水を行った。これにオクタデシルイソシアネート204g、キシレン160gの混合物を10分かけて滴下して反応させ、さらに7時間の加熱を行い、反応を完結した。得られた反応生成物を、3倍量のアセトン中に投入して沈殿させ、これを濾過乾燥し、分子量150,000のEVOHの変性体232gを得た。長鎖アルキル基分率は、70重量%であった。これを剥離性高分子(C−2)とする。
<実施例、及び比較例>
実施例1〜6:
表1に記載のポリオレフィン樹脂(A)と極性高分子(B)と剥離性高分子(C)とを、同じく表1に記載の配合比で秤量し、テクノベル社製2軸混練機「KZW15」を使用し、温度210℃、回転数120rpmで溶融混練して離型剤ペレットを得た。得られた離型性樹脂組成物ペレットを離型層として布基材に240℃で押出ラミ成形し、離型層を有する積層体を得た。布基材の走行速度は20m/minとした。ダイス直後に設けられる冷却ロールの温度は35℃とした。続いて、得られた二層の積層体の離型層と反対側の面に、天然ゴム系粘着剤を厚さ40μmになるよう80℃でカレンダー成形し、三層からなる粘着ロールを作成した。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(1)の方法によって粘着積層体−1を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表1に示す。
実施例7、8:
表1に記載の配合で実施例1と同様に離型剤ペレットを得た。200℃に設定された共押出成形機を用いて、得られた離型剤ペレットとポリエチレン基材と共に共押出成形して、二層離型フィルムを製造した。冷却ロールの温度は30℃、ラインスピードは10m/minであった。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(2)の方法によって粘着積層
体−2を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表1に示す。
比較例1〜5
表2に記載の配合比で秤量した以外は実施例1と同様にして、天然ゴム粘着剤層、布基材層、離型剤層からなる三層積層体を製造した。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(1)の方法によって粘着積層体−1を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表2に示す。
<粘着積層体の製造方法>
(1)粘着積層体−1
前述の実施例1〜6、及び比較例1〜5で製造した三層積層体ロールを3cm幅に切断し、ロール状の粘着テープを得た。このロール状の粘着テープから、長さ15cmの三層積層体を引き出し、その粘着層側と基材として用いるPETフィルム(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)とを貼り合わせた。さらにもう1片、長さ15cmの三層積層体を引き出し、その粘着面と、基材のPETフィルムに貼り付けられた粘着テープの離型面とを張り合わせ、上から2kgのローラーを30cm/minの速度で一往復して粘着積層体−1を得た。
(2)粘着積層体−2
還流管付きフラスコに、トルエン80重量部とポリイソブチレン(重量平均分子量75万、密度0.92g/cm3、MFR2.0g/10min(温度230℃ 、荷重2.
16kgf))20重量部とを入れ、100℃に加熱して均一に加熱溶解した後、25℃まで冷却し、粘着剤溶液を得た。太佑機材(株)製アプリケーター(100mm用)を使用し、上記(1)で基材として用いたPETフィルム上に、60℃に加温した上記の粘着剤溶液を厚さが100μmで幅が8cmとなる様に塗布した。塗布後、2秒してから、100℃に加熱された佐竹化学機器工業(株)製セーフベンドライヤ「N50−S5」内で2分間乾燥させた後、取り出して室温まで冷却し、粘着剤層の厚さが20μmの粘着シートを得た。
次いで、得られた粘着シートを乾燥機から取り出して2分後に、前述の実施例7、8で得られた離型層を有する積層体の離型層面と、上記の粘着シートの粘着面とを重合わせ、上から2kgのローラーを30cm/minの速度で一往復して圧着し、粘着積層体−2を得た。
Figure 0004432642
Figure 0004432642
<結果の評価>
1)比較例1は、極性高分子(B)が配合されていないため離型性が高く(劣り)、ラミネート成形が劣る。
2)比較例2は、ポリオレフィン樹脂(A)が配合されていないため、加熱離型力が劣る。
3)比較例3は、剥離性高分子(C)の配合量が本発明の請求範囲より多いため、離型力が低いと同時に、離型した後の粘着力が低下する。
4)比較例4は、ポリオレフィン樹脂(A)と極性高分子(B)の配合比が、本発明の範囲外であるため、常態離型力、高速離型力、及びラミネート成形性が劣る。
5)比較例5は、剥離性高分子(C)の配合量が本発明の請求範囲より少ないため、常態離型力、高速離型力、及び加熱離型力が劣る。


Claims (7)

  1. 下記成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の配合比(重量)が(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲であって、且つ成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対する成分(C)の割合が0.01〜10重量部である離型性樹脂組成物。
    (A)MFR(JIS K7210準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜200g/10minのポリオレフィン樹脂
    (B)構成単位としてオレフィンモノマー及び極性モノマーを含む極性高分子
    (C)炭素数12〜30の長鎖アルキル基を有する重量平均分子量1万〜100万の剥離性高分子
  2. 極性高分子(B)が、5〜50重量%の極性モノマーを構成単位として含む請求項1に記載の離型性樹脂組成物。
  3. 極性高分子(B)が、ビニルアセテート及び/またはメチル(メタ)アクリレートとエチレンとの共重合体を含む請求項1又は2に記載の離型性樹脂組成物。
  4. 剥離性高分子(C)の長鎖アルキル基の分率が10〜80重量%である請求項1乃至3の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物。
  5. 剥離性高分子(C)が、活性水酸基含有ポリビニル重合体と長鎖アルキルイソシアネート化合物との反応生成物である請求項1乃至4の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物。
  6. 活性水酸基含有ポリビニル重合体がポリビニルアルコールまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項5に記載の離型性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物を押出成形して得られた成形体。
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