JP4432642B2 - 離型性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
これらを改良するものとして、活性水酸基含有ポリビニル重合体と長鎖アルキルイソシアネート化合物との反応生成物からなる粘着減殺剤を含む組成物を離型層に含有するする粘着シートが知られており(特許文献2)、上記粘着減殺剤と高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンからなる離型性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、上記離型性樹脂組成物は、常温での離型性、高速で離型した際の離型性が不充分であったり、ラミネート成形する際に離型層を基材シート上に均一な厚みとなるように設けることが難しい等の問題点が指摘されていた。
すなわち、本発明の要旨は、下記成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の配合比(重量)が(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲であって、且つ成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対する成分(C)の割合が0.01〜10重量部である離型性樹脂組成物に存する。
(A)MFR(JIS K7210準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜200g/10minのポリオレフィン樹脂
(B)構成単位としてオレフィンモノマー及び極性モノマーを含む極性高分子
(C)炭素数12〜30の長鎖アルキル基を有する重量平均分子量1万〜100万の剥離性高分子
極性高分子(B)の構成単位の一つであるオレフィンモノマーとしては、前述のモノマーを用いることが出来、これらは2種以上を併用してもよい。特に、共重合性に優れるという観点から、エチレンが好ましい。
オレフィン系モノマー及び極性モノマーから形成される構成単位は、必ずしも、主鎖中に組み込まれた構造でなくてもよく、その一部又は全部が主鎖にグラフトされた構造になっていてもよい。
長鎖アルキル基の炭素数が12未満の場合は十分な離型性能を得られず、炭素数が30超過の場合は、剥離性高分子(C)の調製時に反応性が劣るため所望の性能が得られない。また、重量平均分子量が100万を超える場合は、前述のポリオレフィン樹脂(A)に分散しにくいため離型性が劣り、1万未満の場合は、後述の経時変化に対する効果(離型層と粘着層とを貼り合わせてから充分時間が経過した後も軽離型力を維持することができる)が得られない。
イド、イソシアネート、アミン、アルコール等が挙げられる。反応性化合物(C−b)の有する長鎖アルキル基としては、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基などが挙げられる。
上記の剥離性高分子(C)の中でも、反応性化合物(C−b)として長鎖アルキルイソシアネート化合物の反応を利用して製造される剥離性高分子が好ましい。長鎖アルキルイソシアネートとしては、例えば、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート等の炭素数12以上のアルキル基とインソシアネート基を有する化合物が挙げられる。また、反応性基を有する高分子(C−a)としては、PVOH又はEVOHが好適に使用される。
剥離性高分子(C)の配合比率(重量)は、ポリオレフィン樹脂(A)及び極性高分子(B)の合計量100重量部あたり0.01〜10重量部である。より好ましくは、0.5〜8重量部である。剥離性高分子(C)の配合比率が0.01重量部未満では、十分に離型力が発現されない。一方、10重量部を超える場合、ポリオレフィン樹脂(A)、及び極性高分子(B)の種類によっては分散不良が生じることがある。そのため、離型層に用いた場合、粘着層からの離型の際に、離型層の断裂が生じ、粘着面に離型層の一部が残ってしまう、いわゆる凝集破壊(膜残り)を起こすことがある。また、押出成形性および基材に対する密着性が劣ることがあり、離型した後、再度粘着しようとしても粘着しないことがある。
配合量に見合って向上することはないためコストに不利となる。
本発明の離型性樹脂組成物には、必要に応じ、その他の成分として、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、界面活性剤、潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、架橋剤、充填剤などを、性能を損なわない範囲で適宜加えることができる。また、耐溶剤性や耐熱性を高めるため、熱処理、UV硬化、電子線硬化などを行ってもよい。
具体的な層構成としては、離型層/基材層、離型層/粘着層、離型層/基材層/粘着層、離型層/粘着層/基材層、基材層/離型層/粘着層が挙げられる。また、本発明においては、両面離型積層体又は両面粘着積層体といった層構成とすることも出来る。具体的には、離型層/基材層/離型層、離型層/粘着層/基材層/粘着層/離型層等が挙げられる。これら各々の層は、厚さの異なったフィルムやシートを用いて構成することが可能であり、使用目的により適宜選択される。
このように得られた積層フィルム及びシート類は、離型フィルム及びシート、或いは粘着フィルム及びシートとして用いることが出来る。具体的には、粘着テープ、粘着布テープ、クラフトテープ、表面保護フィルム等として用いることができ、ロール状、シート状のいずれの形態で保管、輸送等が可能である。
<評価方法>
(1)常態離型力の測定:
後述の方法で得られた粘着積層体を、カッターナイフで25mm幅に裁断し、室温で1時間放置後、引張試験機を用いて引張速度300mm/分で180°離型を行った。離型試験は、株式会社レオテック社製 FUDOH RHEO METER NRM-2002Jを用い、粘着シートの
基材をクロスヘッドに取り付けて行った。離型力が安定した領域の平均離型荷重を、積層
体幅で除した値を求め、8回の平均値を常態離型力とした。
(2)残留粘着率の測定:
上記(1)の方法で常態離型力を測定した後、離型した粘着層の粘着力をJIS K2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)に準じて測定した。別途、常態離型力測定前のステンレス板に対する粘着力(後述の方法で得られた粘着積層体−1ではその粘着層を、また、粘着積層体−2では途中得られる粘着シートの粘着層を用いて測定)を測定し、離型力測定前の粘着力に対する離型力測定後の粘着力の割合を残留粘着率(%)とした。
(3)加熱離型力の測定:
上記(1)の測定法において、カッターナイフで25mm幅に裁断し、20gf/cm2の加重をかけて、50℃で3日間静置した後に離型試験を行ったこと以外は、同様の操
作を行った。
(4)高速離型力の測定:
上記(1)の測定において、テスター産業株式会社製高速剥離試験機「TE−701−S(100mTYPE)」を用い、引張速度を30m/分としたこと以外は、同様の操作を行った。
(5)ラミネート成形性:
布基材に離型層をラミネート成形する際、80m/minの走行速度で長さ100mを巻き取った時点で、溶融した離型性樹脂組成物のダイからの出方、得られた積層体の表面を目視で観察し、以下の基準で判定した。
○: ダイから安定して吐出し、破断することも、幅が減少(ネックイン)することもなく、得られた離型層の厚みも均一であった。
△: ダイから安定して吐出し、破断することもないが、ネックインが大きく、離型層の厚みが不均一であった。
×: ダイから安定して吐出せず、破断が生じ、また、ネックインが大きく、離型層の厚みも不均一であった。
(6)極性高分子(B)中の極性モノマー単位の含有量測定:
極性高分子(B)中の極性モノマー単位の量(重量%)は、1H−NMRによって求め
た。測定試料は、重水素化ジクロルベンゼンに5重量%となる様に極性高分子を溶解し130℃に加熱して均一な溶液として調製した。測定温度は130℃とした。装置は日本電子社製「JSX−400」を使用した。
(7)剥離性高分子(C)の重量平均分子量の測定:
分子量分布の測定はWaters社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィ「GPC model−50C」で行なった。カラムは昭和電工社製「AD80MS」3本を使用した。測定試料はトルエンに2mg/mlとなる様に剥離性高分子を溶解して調製した。測定温度は110℃とした。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で表した。
(8)剥離性高分子(C)中の長鎖アルキル分率の測定:
剥離性高分子中の長鎖アルキルの分率は13C−NMRによって求めた。測定試料は、重水素化トルエンに5重量%となる様に剥離性高分子を溶解し90℃に加熱して均一な溶液として調製した。測定温度は90℃とした。装置はJEOR社製「JSX−400」を使用した。
(9)MFRの測定:
JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定した。<配合材料>
(1)ポリエチレン基材:LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックC6 SF8402」)
(2)布基材:厚さ50μmのLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD LC607」、密度0.919g/cm3、MFR8.2g/10min)が、アンカー
コート層を介して布基材上に、ランダムラミネート成形によって設けられたPEラミ布基材。
(3)ポリオレフィン樹脂(A)
A−1):LDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD LF480M」、密度0.930g/cm3、MFR1.5g/10min)
A−2):HDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックHD HB120R」、密度0.938g/cm3、MFR0.15g/10min)
A−3):LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「カーネル KF360T」、密度0.898g/cm3、MFR3.5g/10min)
A−4):LLDPE(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックC6 SF8402」、密度0.929g/cm3、MFR2.6g/10min)
(4)極性高分子(B)
B−1):エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ポリエチレン社製「ノバテックEVA LV570」、酢酸ビニル含量20重量%、MFR15g/10min)
B−2):エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ポリエチレン社製「ノバテックEVA LV360」、酢酸ビニル含量10重量%、MFR9g/10min)
(5)剥離性高分子(C)
C−1)
コンデンサー、窒素導入管、撹拌機および温度計付きのフラスコを窒素置換した後、ステアリルメタクリレート33.8g(100mmol)、トルエン50gを入れ、15分間窒素バブリングした。これにアゾビスイソブチロニトリル164mg(1mmol)を加え、75℃で5時間重合した。得られた共重合体について、ポリスチレン標準で較正したGPCで測定したところ、数平均分子量は80000、分子量分布は3.20であった。重合終了後、アセトン500mlに再沈し、30gの共重合体を得た。長鎖アルキル基分率は、75重量%であった。これを剥離性高分子(C−1)とする。
C−2)
コンデンサー、窒素導入管、撹拌機および温度計付きのフラスコを窒素置換した後、EVOH(エチレン含有率44%,重合度750)40g、ジブチルスズジオクトエート2.0gを入れ、系内を140℃に1時間半保ち十分脱水を行った。これにオクタデシルイソシアネート204g、キシレン160gの混合物を10分かけて滴下して反応させ、さらに7時間の加熱を行い、反応を完結した。得られた反応生成物を、3倍量のアセトン中に投入して沈殿させ、これを濾過乾燥し、分子量150,000のEVOHの変性体232gを得た。長鎖アルキル基分率は、70重量%であった。これを剥離性高分子(C−2)とする。
<実施例、及び比較例>
実施例1〜6:
表1に記載のポリオレフィン樹脂(A)と極性高分子(B)と剥離性高分子(C)とを、同じく表1に記載の配合比で秤量し、テクノベル社製2軸混練機「KZW15」を使用し、温度210℃、回転数120rpmで溶融混練して離型剤ペレットを得た。得られた離型性樹脂組成物ペレットを離型層として布基材に240℃で押出ラミ成形し、離型層を有する積層体を得た。布基材の走行速度は20m/minとした。ダイス直後に設けられる冷却ロールの温度は35℃とした。続いて、得られた二層の積層体の離型層と反対側の面に、天然ゴム系粘着剤を厚さ40μmになるよう80℃でカレンダー成形し、三層からなる粘着ロールを作成した。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(1)の方法によって粘着積層体−1を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表1に示す。
表1に記載の配合で実施例1と同様に離型剤ペレットを得た。200℃に設定された共押出成形機を用いて、得られた離型剤ペレットとポリエチレン基材と共に共押出成形して、二層離型フィルムを製造した。冷却ロールの温度は30℃、ラインスピードは10m/minであった。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(2)の方法によって粘着積層
体−2を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表1に示す。
表2に記載の配合比で秤量した以外は実施例1と同様にして、天然ゴム粘着剤層、布基材層、離型剤層からなる三層積層体を製造した。離型力評価を行う粘着積層体は、後述の(1)の方法によって粘着積層体−1を製造し、その評価を行った。得られた離型層の厚さ、及び性能評価結果を表2に示す。
<粘着積層体の製造方法>
(1)粘着積層体−1
前述の実施例1〜6、及び比較例1〜5で製造した三層積層体ロールを3cm幅に切断し、ロール状の粘着テープを得た。このロール状の粘着テープから、長さ15cmの三層積層体を引き出し、その粘着層側と基材として用いるPETフィルム(厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)とを貼り合わせた。さらにもう1片、長さ15cmの三層積層体を引き出し、その粘着面と、基材のPETフィルムに貼り付けられた粘着テープの離型面とを張り合わせ、上から2kgのローラーを30cm/minの速度で一往復して粘着積層体−1を得た。
(2)粘着積層体−2
還流管付きフラスコに、トルエン80重量部とポリイソブチレン(重量平均分子量75万、密度0.92g/cm3、MFR2.0g/10min(温度230℃ 、荷重2.
16kgf))20重量部とを入れ、100℃に加熱して均一に加熱溶解した後、25℃まで冷却し、粘着剤溶液を得た。太佑機材(株)製アプリケーター(100mm用)を使用し、上記(1)で基材として用いたPETフィルム上に、60℃に加温した上記の粘着剤溶液を厚さが100μmで幅が8cmとなる様に塗布した。塗布後、2秒してから、100℃に加熱された佐竹化学機器工業(株)製セーフベンドライヤ「N50−S5」内で2分間乾燥させた後、取り出して室温まで冷却し、粘着剤層の厚さが20μmの粘着シートを得た。
1)比較例1は、極性高分子(B)が配合されていないため離型性が高く(劣り)、ラミネート成形が劣る。
2)比較例2は、ポリオレフィン樹脂(A)が配合されていないため、加熱離型力が劣る。
3)比較例3は、剥離性高分子(C)の配合量が本発明の請求範囲より多いため、離型力が低いと同時に、離型した後の粘着力が低下する。
4)比較例4は、ポリオレフィン樹脂(A)と極性高分子(B)の配合比が、本発明の範囲外であるため、常態離型力、高速離型力、及びラミネート成形性が劣る。
5)比較例5は、剥離性高分子(C)の配合量が本発明の請求範囲より少ないため、常態離型力、高速離型力、及び加熱離型力が劣る。
Claims (7)
- 下記成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の配合比(重量)が(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲であって、且つ成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対する成分(C)の割合が0.01〜10重量部である離型性樹脂組成物。
(A)MFR(JIS K7210準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜200g/10minのポリオレフィン樹脂
(B)構成単位としてオレフィンモノマー及び極性モノマーを含む極性高分子
(C)炭素数12〜30の長鎖アルキル基を有する重量平均分子量1万〜100万の剥離性高分子 - 極性高分子(B)が、5〜50重量%の極性モノマーを構成単位として含む請求項1に記載の離型性樹脂組成物。
- 極性高分子(B)が、ビニルアセテート及び/またはメチル(メタ)アクリレートとエチレンとの共重合体を含む請求項1又は2に記載の離型性樹脂組成物。
- 剥離性高分子(C)の長鎖アルキル基の分率が10〜80重量%である請求項1乃至3の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物。
- 剥離性高分子(C)が、活性水酸基含有ポリビニル重合体と長鎖アルキルイソシアネート化合物との反応生成物である請求項1乃至4の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物。
- 活性水酸基含有ポリビニル重合体がポリビニルアルコールまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項5に記載の離型性樹脂組成物。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載の離型性樹脂組成物を押出成形して得られた成形体。
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