JP2015158661A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トナー像を担持する像担持体に当接する転写部材とトナー像を記録材へ転写する電圧を出力する電源と、電源を制御する制御部を有し、電圧は転写時にトナー像を像担持体から記録材に転写させる方向の電圧と、逆極性の電圧とが交互に切り替わり、電圧の時間平均値Vaveがトナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の極性に設定され、かつ電圧の最大値と最小値の中心値Voffよりも転写方向寄りに設定され、制御部は電圧の1周期の中に占める中心値Voffよりも戻し方向側での印加時間をA、中心値Voffよりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示すDutyを電圧の最大値と最小値の差Vppが大きい程大きく、差Vppが小さい程小さくなるように電源を制御する。
【選択図】図18
Description
本発明は、転写バイアスの電圧の最大値と最小値の差(Vpp)を増大しても記録材上での良好な画像を得ることをその目的とする。
本発明者らは、2次転写ニップN内におけるトナーの挙動を観測するために、特殊な観測実験装置を製造した。図12は、その観測実験装置を示す概略構成図である。この観測実験装置は、透明基板210、現像装置231、Zステージ220、照明241、顕微鏡242、高速度カメラ243、パーソナルコンピュータ244などを備えている。透明基板210は、ガラス板211と、これの下面に形成されたITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極212と、透明電極212の上に被覆された透明材料からなる透明絶縁層213とを具備している。この透明基板210は、図示しない基板支持手段によって所定の高さ位置で支持されている。この基板支持手段は、図示しない移動機構によって図12中上下左右方向に移動可能に構成されている。図示の例では、透明基板210が金属板215を載置したZステージ220の上に位置しているが、基板支持手段の移動により、Zステージ220の側方に配設された現像装置231の真上に移動することも可能である。なお、透明基板210の透明電極212は、基板支持手段に固定された電極に接続され、この電極は接地されている。
制御部60には、転写部の電気抵抗を検知する抵抗検知手段53が信号線を介して接続されている。抵抗検知手段53は、図1に示すように、電源39と2次転写裏面ローラ33との間に配置されている。本実施形態において、転写部の電気抵抗とは、電源39からニップ形成ローラ36へと通電する電気経路上の抵抗を指す。本実施形態では、記録材Pがない状態でニップ形成ローラ36と中間転写ベルト31を当接させ、印刷時と同じ速度で一定の電流(例えば−40μA)を流し、その時の電圧を抵抗検知手段53で測定することで、転写部の電気抵抗を検知している。制御部60は、この電気抵抗から電源39から出力された電圧波形を検知する波形検知手段55を備えている。
図1に示す画像形成装置において、制御部60は、波形検知手段55で検知された出力波形に基づき、A/(A+B)で示すDutyを、電圧の最大値と最小値の差(ピークツウピーク電圧値Vpp)が大きい程大きく、電圧の最大値と最小値の差(ピークツウピーク電圧値Vpp)が小さい程小さくなるように電源39を制御する。すなわち、電源39から出力された実際の出力波形に基づいて電源39を制御している。
交流成分としては、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくするのが望ましい。すなわち、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも転写方向寄りの値の電圧の出力時間となる転写方向側の時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向とは逆極性寄りの値の電圧の出力時間となる戻り時間をBとしたとき、中心電圧値Voffよりも転写方向の電圧と逆極性側の電圧が出力される時間の割合A/(A+B)をDuty(戻し時間[%])と呼ぶことにする。また、使用する電源39からの電圧の最大値を戻しピーク値Vr、最小値を転写方向ピーク値Vtとしたとき、転写に用いる電圧の最大値Vrと最小値Vtの差をピークツウピーク電圧値Vppとする。
本実施形態では、転写方向側の時間A、戻り時間Bの時間のA/(A+B)をDutyとするが、時間ではなく、例えば面積で示すこともできる。中心電圧値Voffと電圧の時間平均値Vaveとの関係を示す値として、交流波形全体に占める中心電圧値Voffよりも戻し方向側の面積の割合をDutyとすることもできる。すなわち、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも戻し方向側の面積をA1、中心電圧値Voffよりも転写方向側の面積をB1としたとき、A1/(A1+B1)をDutyと示すこともできる。
図17は、電源39からの出力波形が、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする台形状の波形の形態を示す。図17に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は40%とした。
図18は、戻し方向側の時間Bを、転写方向側の時間Aよりも短くした矩形状の波形の形態を示す。図18に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は40%とした。
図19は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする台形状の波形の形態を示す。図19に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした(A>B)となるように設定した。Duty(戻し時間[%])は45%とした。
図20は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする台形状の波形の形態を示す。図20に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は40%とした。
図21は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする三角形状と台形状を組み合わせた波形の形態を示す。図21に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)となるように設定した。Duty(戻し時間[%])は32%とした。
図22は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする三角形状と台形状を組み合わせた波形の形態を示す。図22に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は16%とした。
図23は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする三角形状と台形状を組み合わせた波形の形態を示す。図22に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は8%とした。
図24は、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくして波形を丸くした波形の形態を示す。図24に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした(A>B)となるように設定した。Duty(戻し時間[%])は16%とした。
図25は、2次転写ニップNの静電容量を170pF(ピコファラド)、抵抗を17MΩと想定したときの波形の形態を示す。図25に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした(A>B)となるように設定した。戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした(A>B)となるように設定した。Duty(戻し時間[%])は12%とした。
図26は、2次転写ニップNの静電容量を120pF(ピコファラド)、抵抗を15MΩと想定したときの波形の形態を示す。図26に示す出力波形の場合、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短く(A>B)なるように設定した。Duty(戻し時間[%])は12%とした。
(溝転写性ランクの説明)
記録材Pの凹部の溝転写性については、次のようにして評価した。
即ち、記録材Pの表面凹凸の凹部内に対して十分量のトナーを進入させていることから、凹部において十分な画像濃度が得られている場合をランク◎として評価した。
凹部内のごく僅かな領域を白く抜けた領域にしているか、あるいは、凹部の画像濃度が平滑部よりも僅かに低い状態になっている場合を、ランク○として評価した。
ランク○よりも、白抜けの領域が大きい場合、あるいは濃度低下が目立つ場合を、ランク△として評価した。
ランク△に比べ、凹部が全体的に白く、全体的に溝の状態がはっきりと認識できる場合や、さらに悪い場合をランク×として評価した。
(放電性ランクの説明)
2次転写バイアスによっては、2次転写ニップN内において、記録紙Pの表面凹部と、中間転写ベルト31との間の微小空隙で放電が発生して、画像に白点を出現させることがある。そこで放電に起因する白点の出現性を、○×で評価した。即ち、放電に起因するものと考えられる白点が認められない状態を○として評価し、放電に起因するものと考えられる白点が認められた状態を×とした。
実施例1は、図1に示す画像形成装置を用いたもので、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも戻し方向側での印加時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示すDutyを、ピークツウピーク電圧値Vppが大きい程大きく、ピークツウピーク電圧値Vppが小さい程小さくするとともに、使用する記録材Pの凹凸が大きいほど、Dutyを大きくするように電源39を制御部60で制御したものである。この評価結果を図28(a)に示す。
図28(b)は実施例1に対する比較例1を示す。比較例1は、記録材Pを変更し、各記録材に対するピークツウピーク電圧値VppとDutyを変更しないケースである。この場合、溝転写性は、記録材Pの溝部が深くなるとランクが低くなり、放電性は記録材Pの溝部の深さに変化はない。
これに対し、実施例1は、記録材種類となる溝部が深くなる程、ピークツウピーク電圧値VppとDutyを大きくなるように変更したところ、電圧の時間平均値Vaveが変化した。つまり、溝部が深く凹凸が大きい場合にDutyを大きくすると、電圧の時間平均値Vaveの絶対値が大きく、溝転写性のランクが高くなる。すなわち、転写率がアップし、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得ることができるといえる。
実施例2は、図1に示す画像形成装置を用いたもので、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも戻し方向側での印加時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示すDutyを、ピークツウピーク電圧値Vppが大きい程大きく、ピークツウピーク電圧値Vppが小さい程小さくするとともに、使用する記録材Pの厚みが厚いほど、Dutyを大きくするように電源39を制御部60で制御したものである。この評価結果を図29(a)に示す。
図29(b)は実施例2に対する比較例2を示す。比較例2では、厚み異なる記録材Pに対し、Duty(戻し時間[%])は一定にし、ピークツウピーク電圧値Vppを変更した。この場合、記録材Pの厚さを厚くするに従いピークツウピーク電圧値Vppを大きくすると、溝転写性は低下するが放電は発生しない。また、厚い記録材Pの場合、ピークツウピーク電圧Vppを大きくしていくと、溝転写性は良くなるが、放電が見られた。
これに対し、実施例2は、記録材Pの厚さが厚くなる程、ピークツウピーク電圧値VppとDutyを大きくなるように変更したところ、電圧の時間平均値Vaveが変化した。つまり、記録材Pの厚さが厚い場合にピークツウピーク電圧値VppとDutyを大きくすると、電圧の時間平均値Vaveの絶対値が大きく、溝転写性のランクが高くなる。すなわち、転写率がアップし、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得ることができるといえる。
実施例3は、図1に示す画像形成装置を用いたもので、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも戻し方向側での印加時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示すDutyを、ピークツウピーク電圧値Vppが大きい程大きく、ピークツウピーク電圧値Vppが小さい程小さくするとともに、温湿度センサ52で検知される温度又は湿度が低い程、Dutyを大きくするように電源39を制御部60で制御したものである。この評価結果を図30(a)に示す。
図30(b)は実施例3に対する比較例3を示す。比較例3では、同一の記録材に対し、ピークツウピーク電圧値VppとDutyを変更しないで温湿度条件だけを変化させた。比較例3においては、温湿度が低下すると、溝転写性のランクが低下する。
図30(c)は実施例3に対する比較例4を示す。比較例4では、同一の記録材に対し、Dutyを変更させないで、ピークツウピーク電圧値Vppと温湿度条件だけを変化させた。比較例4においては、温湿度が低い程、ピークツウピーク電圧値Vppを大きくしているが、温湿度が低下すると、溝転写性のランクが低下する。しかし、低い温度においてピークツウピーク電圧値Vppを大きくすると、溝転写性は向上するが放電が確認された。
これに対し、実施例3は、温湿度が低くなるほど、ピークツウピーク電圧値VppだけでなくDutyも大きくしたところ、電圧の時間平均値Vaveの絶対値が大きくなり、放電性のランクは高いまま、溝転写性のランクが向上した。このため、転写率がアップし、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得ることができるといえる。
実施例4は、図1に示す画像形成装置を用いたもので、交互に切り替わる電圧波形の1周期の中に占める、中心電圧値Voffよりも戻し方向側での印加時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示すDutyを、ピークツウピーク電圧値Vppが大きい程大きく、ピークツウピーク電圧値Vppが小さい程小さくするとともに、抵抗検知手段53により検知される電気抵抗が高いほどDutyを大きくするように電源39を制御部60で制御したものである。この評価結果を図31(a)に示す。
図31(b)は実施例4に対する比較例5を示す。比較例5では、同一の記録材に対し、ピークツウピーク電圧値VppとDutyを変更しないで、部品抵抗だけを変化させたものである。比較例5においては、抵抗が高いと溝転写性のランクが低く、抵抗が低いと放電のランクが高くなる傾向になる。
図31(c)は実施例4に対する比較例6を示す。比較例6では、同一の記録材に対し、Dutyを変更しないで、ピークツウピーク電圧値Vppと部品抵抗を変化させたものである。この場合、電気抵抗が高いほどDutyを比較例5の場合よりも大きくしている。比較例6においては、比較例5よりもピークツウピーク電圧値Vppを高く設定し、電気抵抗が高くなるに従いピークツウピーク電圧値Vppを高めるため、比較例5の場合よりも溝転写性のランクが高くなる傾向になる。
これに対し、本実施例は、電気抵抗が高いほどピークツウピーク電圧値VppだけでなくDutyも大きくしたところ、電圧の時間平均値Vaveの絶対値が大きくなり、電気抵抗に関係なく、溝転写製のランクが向上した。このため、転写率がアップし、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得ることができるといえる。
比較例5、比較例6において、ピークツウピーク電圧値Vppの設定値と実測値には、ずれがある。すなわち、実測値が狙いの設定値よりも低くなっている。このため、比較例5では、電気抵抗が高くなるほど、転写に必要なピークツウピーク電圧値Vppが得られず、溝転写性が低下しているものと推察される。比較例6では、ピークツウピーク電圧値Vppを電気抵抗が高くなるに従い高めてはいるが、実測値に変化はなく、電気抵抗が高くなるほど、転写に必要なピークツウピーク電圧値Vppが得られず、溝転写性が低下しているものと推察される。
これに対し、実施例4の場合、ピークツウピーク電圧値Vppの設定値と実測値には、ずれがなく、実測値が狙いの設定値よりも低くなることがない。これは、電気抵抗が高いほどDutyを大きくしているため、転写方向側での電圧(Vt)の総量が増え、ピークツウピーク電圧値Vppが高くなる。このため、電気抵抗に左右されること無く、転写率がアップし、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得ることができるといえる。
図32は、図18で示した出力波形に矩形波を用いた場合の、設定波形と実測波形を示し、図33は、図32に対し、Dutyは変更しないでピークツウピーク電圧値Vppを増大させたときの、設定波形と実測波形を示す。図36は、図32、図33に示す比較例と、図34、図35に示す本発明の実施例のおけるピークツウピーク電圧値Vppの狙いの値(設定値)と実測値とDutyの関係を示す。
本発明者は、制御部60が予め設定された狙いの設定波形で電源39から2次転写バイアスを出力しても、実測した波形は、設定された設定形波となることは少なく、必ず鈍った波形になることに着目した。すなわち、図32、図33、図36からわかるように、単にピークツウピーク電圧値Vppを増加させた場合、Duty低い値で一定の時には所望のピークツウピーク電圧値Vppに達する前に、2次転写バイアスの交流成分の極性が入れ替わってしまい、大きなピークツウピーク電圧値Vppを実現することが難しい。
図34、図35は、本発明の係る制御内容を実行した際の、設定波形と実測波形を示す。図34は出力波形に矩形波を用いた場合の、設定波形と実測波形を示し、図35は、図34に対し、Dutyとピークツウピーク電圧値Vppを増大させたときの、設定波形と実測波形を示す。
図34、図35、図36からわかるように、ピークツウピーク電圧値Vppの増加に伴い、Dutyを大きくすることで、ピークツウピーク電圧値Vppが大きい場合であっても、所望のピークツウピーク電圧値Vppを実現することができる。
記録材Pが薄紙の場合、記録材Pの凹凸は低く、濃度むらよりも放電による白とびの発生が目だってしまい、厚紙の場合、白とびよりも濃度ムラが目だってしまう。このため、ピークツウピーク電圧値Vppの増加に伴い、Dutyを大きくするとともに、記録材の厚みが厚いほど、Dutyを大きくするよう電源39を制御することで、厚紙の時には十分なトナー振動による溝転写性を高めることができる。また、ピークツウピーク電圧値Vppが小さい程Dutyを小さくすることで、転写方向ピーク値Vtが下がるので最大電圧が低くなるため、薄紙時には放電しにくくなる。
このように、戻しピーク値Vrと電圧の時間平均値Vaveを固定してDutyを変化させると、Dutyの増加にと伴い転写方向ピーク値Vtが高くなるため溝転写性を高くすることができる。
しかし、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。図38は、図1に示す画像形成装置が備えていた波形検知手段55に変えて、電源39から出力される電圧の出力時期を設定する設定部65を有し、制御部60が、設定部65で設定された出力時期に基づき、A/(A+B)で示すDutyを、電圧の最大値と最小値の差(ピークツウピーク電圧値Vpp)が大きい程大きく、電圧の最大値と最小値の差(ピークツウピーク電圧値Vpp)が小さい程小さくなるように電源39を制御するものである。
設定部65は、制御部60の一部として構成されているが、制御部60と個別な構成として設けてもよい。設定部65は、制御信号のピーク間電圧を変更するためのピーク間電圧変更部84と、制御信号のデューティ比を変更するためのデューティ比設定部85と、直流成分(Voff)設定部86を備えている。ピーク間電圧設定部84は、電源39に入力する、交流成分制御信号のピーク間電圧を変更するものであり、デューティ比設定部85は、制御信号としての矩形波のデューティ比を変化させるものである。直流成分(Voff)設定部86は、交流に対する直流成分(Voff)の出力を設定するものである。
設定部65は、制御部60にオペレーションパネル50から送信された記録材Pの種類の情報、温湿度センサ52で検知される温度または湿度の情報、抵抗検知手段53により検知された転写部の電気抵抗の情報の少なくとも一つに基づき、ピーク間電圧変更部84でピークツウピーク電圧値Vppを変更するとともに、デューティ比設定部85で波形のDutyを設定し、直流成分(Voff)設定部86で中心電圧値Voffを設定する。ここでいうデューティ比設定部85で設定する波形のDutyとは、波形の周期をX、X周期のうちで波形がトナー像を記録材Pから中間転写ベルト31側へ戻す極性を有する時間をY、としたときの時間比(Y/X)である。
すなわち、制御部60は、交流成分制御信号と直流成分制御信号に基づいて、交流電圧昇圧部92からの交流電圧出力と、直流成分昇圧部94からの直流電圧出力を重畳して振動電圧を生成し、斥力ローラである2次転写裏面ローラ33へ振動電圧を出力するように電源39を制御する。
本実施形態において、設定部65は、設定した波形の最大値と最小値の電圧差であるピークツウピーク電圧(Vpp)が大きいほど、時間比(Y/X)が大きくなるように、波形を設定して出力する機能を備えている。
このような構成の画像形成装置において、実施例2で述べたように、制御部60は、使用する記録材Pの厚みが厚いほど、Dutyを大きくするように電源39を制御することで、実施例2と同様の作用効果を得ることができる。
このような構成の画像形成装置において、実施例3で述べたように、制御部60は、温湿度センサ52で検知される温度又は湿度が低い程、Dutyを大きくするように電源39を制御することで、実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
このような構成の画像形成装置において、実施例4で述べたように、制御部60は、抵抗検知手段53により検知される電気抵抗が高いほど、Dutyを大きくするように電源39を制御することで、実施例4と同様の作用効果を得ることができる。
2次転写搬送ベルト36Cは駆動ローラ36Aと従動ローラ36Bに巻き掛けられていて、2次転写搬送手段360を構成している。中間転写ベルト31と2次転写搬送ベルト36Cは2次転写裏面ローラ33と駆動ローラ36Aとの対向部において当接していて、2次転写ニップNを形成している。2次転写搬送ベルト36Cはレジストローラ101によって2次転写ニップNに向かって給紙された記録紙Pを受け取り搬送するものである。
2次転写バイアスの印加形態としては、2次転写裏面ローラ33に印加するものではなく、2次転写裏面ローラ33を接地し、2次転写搬送手段360の構成としてバイアス供給ローラ36Dを2次転写ベルト36Cのループ内側に2次転写ベルト36Cと当接させて配置し、バイアス供給ローラ36Dと電源39とを接続して、バイアス供給ローラ36Dに2次転写バイアスを印加するようにしてもよい。
記録紙Pは図右下側から搬送され、バイアスを印加された紙吸着ローラ351と転写搬送ベルト310の間を通過することで転写搬送ベルト310に吸着した後、各色の転写ニップN1へ搬送される。各感光体上の各色のトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によって、転写ニップN1へ搬送された記録紙Pに順次転写され、記録紙Pにフルカラートナー像が形成される。
本実施形態では、転写ローラ350M、350C、350Y、350Kにそれぞれ個別な電源39から転写バイアスを印加するようにしたが、1つの電源39から転写ローラ350M、350C、350Y、350Kに分配するようにしてもよい。
転写ローラ352は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金上に導電性のスポンジからなる抵抗層が積層されて構成されている。抵抗層の表面にフッ素樹脂等からなる表層を設けてもよい。
転写ローラ352と感光体2Kとは当接していて、両者の間に転写ニップNが形成されている。感光体2Kは接地されているのに対し、転写ローラ352には、電源39によって転写バイアスが印加される。これにより、転写ローラ352と感光体2Kとの間に、感光体2Kに形成されているトナー像を感光体2Kから転写ローラ352側に向けて静電移動させる転写電界が形成される。感光体2上のトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によって転写ニップN2に向けて送り出された記録紙Pに転写される。
転写搬送ベルト353のループ内側には、転写バイアスローラ356とバイアスブラシ357とが配置されている。これら転写バイアスローラ356とバイアスブラシ357は、転写ニップN3よりもベルト移動方向の下流側の位置で、転写搬送ベルト353の内側に当接するように配置されている。
本実施形態では、転写バイアスローラ356とバイアスブラシ357の両方を備え、それぞれ転写搬送ベルト353に接触するように設けたが、これら転写バイアスローラ356とバイアスブラシ357は必ずしも両方必要なわけではなく、いずれか一方だけを設ける形態であってもよい。また、転写バイアスローラ356またはバイアスブラシ357は転写ニップN3の直下に設けてもよい。
36、352、356、357 転写部材
39 電源
50 情報取得手段
52 検知手段
53 抵抗検知手段
55 波形検知手段
60 制御部
65 設定部
P 記録材
N 転写ニップ
Vave 電圧の時間平均値
Voff 電圧の最大値と最小値の中心値
Vpp 電圧の最大値と最小値の差
Claims (7)
- トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップを形成する転写部材と、前記像担持体上のトナー像を前記転写ニップで記録材へ転写するために電圧を出力する電源と、前記電源を制御する制御部を有し、
前記電圧は、前記像担持体上のトナー像を前記記録材へ転写する際に、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の電圧と、前記転写方向の電圧と逆極性の電圧とが交互に切り替わるものであり、
前記電圧の時間平均値(Vave)が、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の極性に設定され、かつ、前記電圧の最大値と最小値の中心値(Voff)よりも前記転写方向寄りに設定されていて、
前記制御部は、前記電圧の1周期の中に占める、前記中心値(Voff)よりも戻し方向側での印加時間をA、前記中心値(Voff)よりも転写方向側での印加時間をBとしたとき、A/(A+B)で示す(Duty)を、前記電圧の最大値と最小値の差(Vpp)が大きい程大きく、前記電圧の最大値と最小値の差(Vpp)が小さい程小さくなるように前記電源を制御する画像形成装置。 - 前記電源から出力された電圧波形を検知する波形検知手段を有し、
前記制御部は、前記波形検知手段で検知された出力波形に基づき、前記A/(A+B)で示す(Duty)を、前記電圧の最大値と最小値の差(Vpp)が大きい程大きく、前記電圧の最大値と最小値の差(Vpp)が小さい程小さくなるように前記電源を制御する請求項1記載の画像形成装置。 - 像担持体と、
前記像担持体上のトナー像を記録材へ転写するための振動電圧を出力する電源と、
前記振動電圧の波形を設定する設定部と、
前記設定部により設定された波形に基づき、前記電源の出力を制御する制御部と、を備え、
前記設定部は、前記波形の周期をX、前記周期のうちで前記波形が前記トナー像を前記記録材から前記像担持体側へ戻す極性を有する時間をY、としたとき、前記波形の最大値と最小値の電圧差(Vpp)が大きい程、時間比(Y/X)が大きくなるように、前記波形を設定する画像形成装置。 - 前記制御部は、前記記録材の凹凸が大きいほど、前記(Duty)を大きくするように前記電源を制御する請求項1、2又は3に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記記録材の厚みが厚いほど、前記(Duty)を大きくするように前記電源を制御する請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 温度又は湿度を検知する検知手段を有し、
前記制御部は、前記検知手段で検知される温度又は湿度が低い程、前記(Duty)を大きくするように前記電源を制御する請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部の電気抵抗を検知する抵抗検知手段を有し、
前記制御部は、前記抵抗検知手段により検知される電気抵抗が高いほど前記(Duty)を大きくするように前記電源を制御する請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像形成装置。
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