JP6331261B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、像担持体と転写部材との当接による転写ニップにおいて、ニップ内に挟み込んだ記録材に対して像担持体の表面上のトナー像を転写する画像形成装置に関する。
像担持体のトナー像を担持している面に当接して転写ニップを形成する二つの転写部材と、転写ニップ内に挟み込んだ記録材に対して像担持体上のトナー像を転写するための電圧又は電流を出力する電源を備えた画像形成装置として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の画像形成装置は、周知の電子写真プロセスにより、像担持体となるドラム状の感光体の表面にトナー像を形成する。感光体には、像担持体であり中間転写体でもある無端状の中間転写ベルトを当接させて転写ニップを形成している。そして、転写ニップにおいて、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに転写する。中間転写ベルトに対しては、二つの転写部材の内の一方の転写部材となるニップ形成ローラ(2次転写ローラ)を当接させている。中間転写ベルトのループ内には、二つの転写部材の内の今一つの転写部材となる2次転写裏面ローラ(2次転写対向ローラ)を配設し、この2次転写裏面ローラとニップ形成ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んで、転写ニップを形成している。一般にループ内側の2次転写裏面ローラはアース接続されているのに対し、ループ外のニップ形成ローラに対しては電源から電圧または電流の供給している。これにより、2次転写裏面ローラとニップ形成ローラとの間、すなわち転写ニップに、トナー像を2次転写裏面ローラ側からニップ形成ローラ側に静電移動させる転写電界を形成している。そして、中間転写ベルト上のトナー像に同期させるタイミングで転写ニップ内に送り込んだ記録材に対して、転写電界やニップ圧の作用により、中間転写ベルト上のトナー像を転写する。
かかる構成において、記録材として、和紙のような表面凹凸に富んだものを用いると、表面凹凸にならった濃淡パターンを画像中に発生させ易くなる。この濃淡パターンは、紙表面における凹部に対して十分量のトナーが転写されずに、凹部の画像濃度が凸部よりも薄くなることによって生じるものである。
そこで、特許文献1に記載の画像形成装置では、転写電界を形成するために、直流電圧だけからなるものではなく、交流電圧に対して直流電圧を重畳した重畳バイアスを転写バイアスとして印加するように構成されている。特許文献1では、このような転写バイアスを印加することで、直流電圧だけからなる2次転写バイアスを印加する場合に比べて、濃淡パターンの発生を抑えている。
しかしながら、特許文献1のように転写バイアスを印加すると、転写ニップにおいて、放電による異常画像やリークが発生することがある。
本発明は、転写ニップにおける放電による異常画像やリークの発生を防止することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、ベルト状の像担持体と、像担持体のトナー像を担持しているおもて面に当接して転写ニップを形成する転写部材と、転写部材に対向するとともに、像担持体の裏面に接触して設けられる裏面部材と、転写ニップ内に挟み込んだ記録材に対して像担持体上のトナー像を転写するために極性が交互に切り替わるバイアスを裏面部材に供給する電源と、裏面部材よりも像担持体移動方向上流側において像担持体の裏面に接触するとともに、像担持体をおもて面側へ突き出すように配置された押出し部材とを有し、押出し部材は金属からなるローラであって、アースに接続されていて、裏面部材の電気抵抗は、転写部材の電気抵抗よりも大きいことを特徴としている。
本発明によれば、像担持体のトナー像を担持しているおもて面に当接して転写ニップを形成する転写部材に対向するとともに、像担持体の裏面に接触して設けられ極性が交互に切り替わるバイアスを印加する裏面部材の電気抵抗を、転写部材の電気抵抗よりも大きくすることで、転写部材の表面電位を下げることができるため、転写ニップ入口における転写部材の表面から転写材への放電による異常画像を防止することができる。また、転写部材の表面の電位を下げることができるため、転写部材の表面から裏面部材へ電流がリークするのを防止することができる。
本発明にかかる画像形成装置の第1の実施形態の概略構成図。 画像形成装置における2次転写ニップ近傍の構成を示す拡大図。 2次転写ニップを形成する2つの転写部材の電気抵抗を変更した際の異常画像の発生状態の評価結果を示す図。 図1に示すプリンタの制御系の一形態を示すブロック図。 2次転写ニップの一例の構成を示す拡大図。 重畳バイアスからなる2次転写バイアスの波形を説明する図。 実験に使用された観測実験装置を示す概略構成図。 2次転写ニップにおける転写初期段階のトナーの挙動を示す拡大模式図。 2次転写ニップにおける転写中期段階のトナーの挙動を示す拡大模式図。 2次転写ニップにおける転写後期段願のトナーの挙動を示す拡大模式図。 比較例1における電源より出力される2次転写バイアスの波形を示す図。 実施例1における電源より出力される2次転写バイアスの波形を示す図。 実施例2における電源より出力される2次転写バイアスの波形を示す図。 実施例3における電源より出力される2次転写バイアスの波形を示す図。 実施例4における電源より出力される2次転写バイアスの波形を示す図。 比較例1の効果を示す図であり、戻し時間50%の条件における記録材上の画像評価を示す図。 実施例1−2の効果を示す図であり、戻し時間40%の条件における記録材上の画像評価を示す図。 実施例3の効果を示す図であり、戻し時間16%の条件における記録材上の画像評価を示す図。 実施例4の効果を示す図であり、戻し時間16%の条件における記録材上の画像評価を示す図。 本発明にかかる画像形成装置の第1の実施形態の概略構成図。 2次転写ニップを形成する2つの転写部材の電気抵抗を変更した際の異常画像の発生状態の評価結果を示す図。
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。なお各図面及び形態において、同一部材又は同一機能を有する部材には、基本的には同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。
各実施形態に共通の構成
図1は、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の実施形態を示す概略構成図である。同図において、プリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、転写装置としての転写ユニット30と、光書込ユニット80と、定着装置90と、給紙カセット100と、レジストローラ対101と、制御手段となる制御部60とを備えている。
4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するための画像形成ユニット1Kを例に説明すると、このユニットは、像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。画像形成ユニット1Kは、これら構成要素が共通のケーシングに保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着可能とされていて、それら構成要素を同時に交換可能に構成されている。
感光体2Kは、ドラム状の基体の表面上に有機感光層が形成されたものであって、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電させる。本プリンタでは、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電させる。より詳しくは、約−650[V]に一様に帯電させる。本形態において、帯電バイアスには直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる帯電方式を採用してもよい。
帯電装置6Kで一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、光書込ユニット80から発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。K用の静電潜像の電位は約−100[V]である。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写体でありベルト状の像担持体たる中間転写ベルト31上に1次転写される。中間転写ベルト31は、無端のベルト部材で構成されている。
ドラムクリーニング装置3Kは、1次転写工程(後述する1次転写ニップ)を経た後の感光体2Kの表面に付着している転写残トナーを除去するものである。ドラムクリーニング装置3Kは、回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレードなどを有している。ドラムクリーニング装置3Kは、回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2K表面から掻き取り、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落とす。なお、クリーニングブレードについては、その片持ち支持端側を自由端側よりもドラム回転方向下流側に向けるカウンタ方向で感光体2Kに当接させている。
上記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8Kは、現像剤担持体となる現像ロール9Kを内包する現像部と、図示しないK現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部とを有している。現像剤搬送部には、複数の搬送部材としてのスクリュウ部材が配置されていて、各スクリュウ部材が回転することで、Kトナーを撹拌しながら、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿って移動させて、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤を供給する。
現像装置8Kには、ケーシングの下壁には図示しないトナー濃度センサが設けられており、K現像剤中のKトナーの濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有する所謂二成分のK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
このプリンタには、Y、M、C、K用の現像装置内にY、M、C、Kの各色のトナーをそれぞれ個別に補給するための図示しないY、M、C、K用のトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部60は、そのRAMに、Y、M、C、K用のトナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY、M、C、K用のVtrefを記憶している。Y、M、C、K用のトナー濃度検知センサからの各出力電圧値と、Y、M、C、K用のVtrefとの差がそれぞれ所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY、M、C、K用のトナー補給手段を駆動する。これにより、Y、M、C、K用の現像装置内にY、M、C、Kのトナーが補給される。
現像ロール9Kは、K現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送するものである。現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像よりも大きく、且つ感光体2Kの一様帯電電位よりも小さな現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
先に示した図1において、Y、M、C用の画像形成ユニット1Y、1M、1Cにおいても、K用の画像形成ユニット1Kと同様にして、感光体2Y、2M、2C上にY、M、Cのトナー像がそれぞれ形成される。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの上方には、潜像書込手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオード等の光源から発したレーザー光により、感光体2Y、2M、2C、2Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y、2M、2C、2K上にY、M、C、K用の静電潜像が形成される。具体的には、感光体2Yの一様帯電した表面の全域のうち、レーザー光が照射された箇所は、電位を減衰せしめる。これにより、レーザー照射箇所の電位が、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光しながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体に照射するものである。光書込ユニット80としては、LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって感光体2Y、2M、2C、2K上に光書込を行うものを採用してもよい。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動させる転写ユニット30が配設されている。転写ユニット30は、像担持体たる中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、転写部材としての2次転写裏面ローラ33と、クリーニングバックアップローラ34、4つの1次転写部材となる1次転写ローラ35Y、35M、35C、35K、転写部材としてのニップ形成ローラ36、ベルトクリーニング装置37を備えている。
無端状の中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、2次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kによって張架されている。そして、本形態では図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、図1において反時計回り方向に無端移動せしめられる。
1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31をそれぞれ感光体2Y、2M、2C、2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体2Y、2M、2C、2Kとが当接するY、M、C、K用の1次転写ニップが形成されている。1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kには、図示しない1次転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y、2M、2C、2K上のY、M、C、Kの各トナー像と、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Yの表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の1次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に移動して1次転写される。
このようにしてYトナー像が1次転写された中間転写ベルト31は、その後、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M、2C、2K上のM、C、Kのトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせのトナー像が形成される。
1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kは、金属製の芯金と、これの表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備する弾性ローラで構成されている。1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kは、感光体2Y、2M、2C、2Kの軸心に対し、それぞれの軸心を、約2.5[mm]づつベルト移動方向下流側にずらした位置を占めるように配設されている。本プリンタでは、このような1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに対して、1次転写バイアスを定電流制御で印加する。なお、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを1次転写部材として採用してもよい。
ニップ形成ローラ36は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されており、ループ内側の2次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、ニップ形成ローラ36とが当接する2次転写ニップ(転写ニップ)Nが形成されている。図1、図2に示す例では、ニップ形成ローラ36は接地(アース)されているのに対し、2次転写裏面ローラ33は、電源39によって直流電圧に交流電圧を重畳せしめた重畳バイアスからなる2次転写バイアスが印加される。これにより、2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36との間に、マイナス極性のトナーを2次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
電源39が出力する重畳バイアスの交流成分および直流成分は、それぞれ定電流制御してもよいし、定電圧制御してもよい。
2次転写ニップNは、図2に白抜き矢印で示した接合ニップn1(軸間位置)と、これよりも比較的離れた位置でギャップを形成するように、接合ニップn1(軸間位置)よりもベルト移動方向上流側で中間転写ベルト31をニップ形成ローラ36に強制的に巻き掛けるようにした巻き掛けニップn2とで構成されている。この強制的な巻き掛けは、中間転写ベルト31のループ内側において2次転写裏面ローラ33よりもベルト移動方向(像担持体移動方向)の上流側に配設された押出し部材を成す入口ローラ58によって行われている。入口ローラ58は、ベルト移動方向上流側において中間転写ベルト31の裏面に接触するとともに、中間転写ベルト31をおもて面側へ突き出すように配置されている。入口ローラ58は金属からなるローラであって、樹脂層やゴム層を有しておらず、これによりコストを削減できる。入口ローラ58はアース接続されている。
2次転写ニップNよりもベルト移動方向の上流側には、2次転写ニップNのニップ入口P1に転写材としての記録材Pを案内する案内部材65が配置されている。案内部材65は平板状の可撓性部材から構成されていて、転写ユニット30の基枠側と一体のカバー部材66に固定され、片持ち支持されている。このように、案内部材65が平板状で片持ち支持されるので、取り付けスペース確保が容易となるとともに、撓み変形を容易化することができる。
本実施形態では、一方の転写部材となる2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、もう一方(他方)の転写部材となるニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωよりも相対的に高く設定されている。すなわち、2次転写裏面ローラ33は、芯金33aと、芯金33a上にソリッドゴム層33bが形成されたソリッドゴムローラとして構成されている。ソリッドゴム層33bには、カーボンが分散されている。本形態において、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗は、7.5[logΩ]とされている。ニップ形成ローラ36は、ローラ芯金36a上に発泡ゴム層が形成された発泡ゴムローラとして構成されている。本形態において、ニップ形成ローラ36の電気抵抗は7.0[logΩ]とされている。2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の材質及び、電気抵抗の値は上述のものに限定されるものではない。
ニップ形成ローラ36は、装置本体側に設けられた箱状の支持枠63を介して離脱可能に支持されている。支持枠63の上面は案内部材65に下方からと対向するように配置されている。当該対向部位は、2次転写ニップNのニップ入口P1に接近する平板状であって、下方案内部材631構成している。
2次転写裏面ローラ33は、中間転写ベルト31を介してもう一方の転写部材となるニップ形成ローラ36に対向するとともに、中間転写ベルト31の裏面に接触して設けられている。
図2において、電源39によって直流電圧に交流電圧を重畳せしめた重畳バイアスが2次転写バイアスとして印加される2次転写裏面ローラ33と、接地されているニップ形成ローラ36との間には、中間転写ベルト31を介して2次転写電流が流れる。この2次転写電流は、両ローラの軸間を結ぶ経路、即ち、図中白抜きの矢印を付した接合ニップn1と対向する位置で主に流れる。このため、中間転写ベルト31から記録材Pへのトナー像の2次転写は、軸間を結ぶ位置(以下、軸間位置P0という)と重なる接合ニップn1で行われる。この軸間位置よりも僅かにベルト移動方向上流側において、中間転写ベルト51のおもて面と、2次転写ローラ56との間にギャップが形成されていると、ギャップ間で放電が発生する。これにより、2次転写ニップ(接合ニップn1に相当する)に進入する前のベルト領域にいたるトナー像中のトナーが散って転写チリを引き起こしてしまう。
しかし、本形態では、入口ローラ58が、ベルトループ内側から中間転写ベルト31をニップ形成ローラ36に向けて押し下げることで、中間転写ベルト31を案内部材65へと近づけ、その中間転写ベルト31を2次転写ローラ56に強制的に巻き掛けて巻き掛けニップn2を形成しているのである。かかる巻き掛けニップn2により、2次転写電流の及ばない位置までギャップを遠ざけることで、転写チリの発生を有効に抑えている。
本形態において、ベルト状の像担持体となる中間転写ベルト31は、2次転写ニップNよりも上流の位置で入口ローラ58によっておもて面側へ突き出されるので、2次転写ニップNに搬送される転写材とベルトおもて面との距離を近づけることができ、中間転写ベルト31と記録材Pとの間で放電が発生するのを抑制できる。
2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、ニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωよりも相対的に高く設定しているので、2次転写裏面ローラ33の表面電位を下げることができる。このため、2次転写裏面ローラ33に印加された2次転写バイアスが中間転写ベルト31上を伝わって入口ローラ58に流れる(リークする)のを抑制することができるとともに、2次転写ニップ入口における2次転写裏面ローラ33の表面から記録材Pへの放電による異常画像を防止することが可能である。また、2次転写裏面ローラ33の表面の電位を下げることができるため、2次転写裏面ローラ33の表面からニップ形成ローラ36へ電流がリークするのを防止することが可能である。
(第1の実施形態)
本発明者らは、2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの差(抵抗比率)を変更して、2次転写ニップ入口での放電による異常画像と、小サイズ紙を用いた場合の異常画像の発生の有無について実験を行った。電源39が出力する二次転写バイアスは、直流成分に交流成分を重畳した重畳バイアスである。この重畳バイアスは、トナー像を小サイズ紙に転写する際に、トナー像を中間転写ベルト側から小サイズ紙側に転写させる転写方向の極性(マイナス極性)のバイアスと、逆極性(プラス極性)のバイアスと、が交互に切り替わるものとした。この実験による評価結果を図3(a)に示す。図3(a)において、×、○、◎は評価内容を示す。×は異常画像の発生が多く許容範囲外を示し、○は異常画像の発生はあるが軽微であり許容範囲内を示し、◎は異常画像の発生のない状態を示す。
2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの差(抵抗比率)は、図3(a)に示すように、0.8、1、3、5、10、20、30の7段階とした。評価結果から、2次転写ニップ入口での放電による異常画像と小サイズ紙の異常画像の双方を満たすのは、電気抵抗Ωの差1〜20までの範囲であった。このため、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、ニップ形成ローラ36の電気抵抗よりも大きく、20倍以下の構成であるのが好ましいといえる。
図1に示すように、転写ユニット30の下方には、記録材Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。給紙カセット100は、紙束の一番上の記録材Pに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録材Pを給紙路に向けて送り出す。給紙路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。レジストローラ対101は、給紙カセット100から送り出された記録材Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止する。そして、挟み込んだ記録材Pを2次転写ニップN内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開し、記録材Pを2次転写ニップNに向けて送り出す。2次転写ニップNで記録材Pに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、2次転写電界やニップ圧の作用によって記録材P上に一括2次転写され、記録材Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録材Pは、2次転写ニップNを通過すると、ニップ形成ローラ36や中間転写ベルト31から曲率分離する。
2次転写ニップN内に挟み込んだ記録材Pに対して中間転写ベルト31上のトナー像を転写するために2次転写バイアスを出力する電源39は、直流電源と交流電源とを有している。電源39は、2次転写バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳せしめた重畳バイアスを出力する構成とされている。本形態では、図1に示すように、2次転写バイアスを2次転写裏面ローラ33に印加しつつ、ニップ形成ローラ36を接地している。本形態において、電源39は、直流電圧に交流電圧を重畳せしめた重畳バイアスを2次転写裏面ローラ33へ出力する。
2次転写ニップNに対する2次転写バイアスの供給形態としては様々あるが、電源形態としては、電源39のように「直流電圧+交流電圧」を供給できるものや、「直流電圧」と「交流電圧」とを個別に供給できるもの、「直流電圧+交流電圧」と「直流電圧」を1つの電源で切替えて供給できるものなど、その供給形態に対応させて適宜選択して用いればよい。
このように、本形態では、2次転写バイアスが直流成分に交流成分を重畳したものであるので、直流成分が無い場合に比べて、交流成分が所定極性にシフトされるため、2次転写バイアスの電圧(電流)のピークの絶対値が大きくなる。このため2次転写ニップ入口における放電が起き易くなる。しかし、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωを、ニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωよりも相対的に高く設定しているので、2次転写ニップ入口における放電を防止することができる。
2次転写バイアス用の電源39は、直流電圧だけからなるものを出力する第一のモードと、直流電圧に交流電圧を重畳せしめたもの(重畳電圧)を出力する第二のモードとに切替え可能な構成とされていて、交流電圧の出力をオン/オフすることでモード切替えが可能とされている。
たとえば、記録材Pとして、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いずに、普通紙のような表面凹凸の小さなものを用いる場合には、凹凸パターンにならった濃淡パターンが出現しない。このため、第一のモードにして、2次転写バイアスとして直流電圧だけからなるものを印加する。また、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いるときには、第2のモードにして、2次転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳せしめたものを出力する。すなわち、使用する記録材Pの種類(記録材Pの表面凹凸の大きさ)に応じて、2次転写バイアスを第一のモードと第二モードで切り替え可能としてもよい。
図1に示すように、2次転写ニップNを通過した後の中間転写ベルト31には、記録材Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップするものである。
2次転写ニップNよりも記録材搬送方向下流側となる図1中右側方には、定着装置90が配設されている。定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録材Pは、未定着トナー像の担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化されて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録材Pは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
本プリンタでは、標準モード、高画質モード、高速モードが制御部60に設定されている。標準モードにおけるプロセス線速(感光体や中間転写ベルトの線速)は、約280[mm/s]と設定されている。但し、プリント速度よりも高画質化を優先する高画質モードにおけるプロセス線速は、標準モードよりも遅い値に設定されている。また、画質よりもプリント速度を優先する高速モードにおけるプロセス線速は、標準モードよりも速い値に設定されている。標準モード、高画質モード、高速モードの切り替えは、プリンタに設けられた図4に示す操作パネル50に対するユーザーのキー操作、あるいはプリンタに接続されているパーソナルコンピュータ側でのプリンタプロパティメニューによって行われる。
本プリンタにおいて、モノクロ画像を形成する場合には、転写ユニット30におけるY、M、C用の1次転写ローラ35Y、35M、35Cを支持している図示しない揺動自在な支持板を移動せしめて、1次転写ローラ35Y、35M、35Cを、感光体2Y、2M、2Cから遠ざける。これにより、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2Y、2M、2Cから引き離して、中間転写ベルト31をK用の感光体2Kだけに当接させる。この状態で、4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kのうち、K用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像を感光体2K上に形成する。
本プリンタにおいて、2次転写バイアスの直流成分は、電圧の時間平均値(Vave)、すなわち、直流成分の電圧たる時間平均電圧値(時間平均値)Vaveと同じ値である。電圧の時間平均値Vaveとは、電圧波形の1周期にわたる積分値を、1周期の長さで割った値である。
2次転写バイアスを2次転写裏面ローラ33に印加し、且つニップ形成ローラ36を接地した本プリンタでは、2次転写バイアスの極性がトナーと同じマイナス極性になっているときには、2次転写ニップN内において、マイナス極性のトナーを2次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に静電的に押し出す。これにより、中間転写ベルト31上のトナーを記録材P上に転移させる。一方、重畳バイアスの極性がトナーとは逆のプラス極性になっているときには、2次転写ニップN内において、マイナス極性のトナーをニップ形成ローラ36側から2次転写裏面ローラ33側に向けて静電的に引き寄せる。これにより、記録材Pに転移させたトナーを中間転写ベルト31側に再び引き寄せる。
ところで、記録材Pとして、和紙のような表面凹凸に富んだものを用いると、表面凹凸にならった濃淡パターンを画像中に発生させ易くなるため、特許文献1では、2次転写バイアスとして、直流電圧だけからなるものではなく、交流電圧に対して直流電圧を重畳した重畳バイアスを2次転写バイアスとして印加している。
しかしながら、本発明者らは実験により、かかる構成においては、紙表面の凹部上に形成された画像箇所に複数の白点を発生させ易くなることを見出した。そこで、本発明者らは、白点を発生させる原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、図5は、2次転写ニップNの一例を模式的に示す概念図である。同図において、中間転写ベルト531は、その裏面に当接している2次転写裏面ローラ533により、ニップ形成ローラ536に向けて押圧されている。この押圧により、中間転写ベルト531のおもて面とニップ形成ローラ536とが当接する2次転写ニップNが形成されている。2次転写ニップNに送り込まれた記録材Pには、中間転写ベルト531上のトナー像が2次転写される。トナー像を2次転写するための2次転写バイアスは、同図に示される2つのローラのうち、何れか一方に印加され、他方のローラは接地されている。どちらのローラに転写バイアスを印加しても、トナー像を記録材Pに転写することが可能であるが、2次転写裏面ローラ533に2次転写バイアスを印加する場合であって、且つトナーとしてマイナス極性のものを用いる場合を例にして説明する。この場合、2次転写ニップN内のトナーを2次転写裏面ローラ533側からニップ形成ローラ536側に移動させるためには、重畳バイアスからなる2次転写バイアスとして、電位の時間平均値がトナーの極性と同じマイナス極性の電位になるものを印加する。
図6は、2次転写裏面ローラ533に印加される重畳バイアスからなる2次転写バイアスの波形の一例を示す図である。同図において、時間平均電圧(以下「時間平均値」という)Vave[V]は、2次転写バイアスの時間平均値を表している。図示のように、重畳バイアスからなる2次転写バイアスは、図6に示すように、正弦波状の形状を示しており、戻し方向側のピーク値と、転写方向側のピーク値とを具備している。Vtという符号が付されているのは、それら2つのピーク値のうち、2次転写ニップN内でトナーをベルト側からニップ形成ローラ536側に移動させる方(転写方向側)のピーク値である(以下、「転写方向ピーク値Vt」という)。また、Vrという符号が付されているのは、トナーをニップ形成ローラ536側からベルト側に戻す方(戻し方向側)のピーク値である(以下、戻しピーク値Vrという)。また、図示のような重畳バイアスの代わりに、交流成分だけからなる交流バイアスを印加しても、2次転写ニップNにおいてトナーをベルトと記録材との間で往復移動させることは可能である。しかし、交流バイアスでは、トナーを単に往復移動させるだけで、記録材P上に転移させることはできない。直流成分を含む重畳バイアスを印加して、その時間平均値である時間平均電圧Vave[V]をトナーと同じマイナス極性にすることで、トナーを往復移動させながら、相対的にはベルト側から記録材側に移動させて記録材上に転移させることが可能になる。
本発明者らは、その往復移動の様子を観測したところ、次のようなことを見出した。即ち、2次転写バイアスの印加を開始すると、まず始めに、中間転写ベルト531上でトナー層の表面に存在しているごく僅かなトナー粒子だけがトナー層から離脱して、記録材表面の凹部内に向かう。しかし、トナー層中の殆どのトナー粒子は、トナー層中に留まったままである。トナー層から離脱したごく僅かなトナー粒子は、記録材表面の凹部内に進入した後、電界の向きが逆になると、凹部内からトナー層に逆戻りする。このとき、逆戻りしたトナー粒子は、トナー層中に留まっていたトナー粒子に衝突して、そのトナー粒子のトナー層(あるいは記録材)に対する付着力を弱める。すると、次に電界が記録材Pに向かう方向に反転したときには、最初よりも多くのトナー粒子がトナー層中から離脱して、記録材表面の凹部に向かう。このような一連の挙動を繰り返していくことで、トナー層中から離脱して記録材表面の凹部内に進入するトナー粒子の数を徐々に増やしていって、凹部内に十分量のトナー粒子を転移させていることがわかった。
このようにしてトナー粒子を往復移動させる構成では、図6に示した戻しピーク値Vrをある程度大きな値に設定しないと、記録材表面の凹部内に進入したトナー粒子をベルト上のトナー層に十分に引き戻すことができず、凹部上で画像濃度不足を引き起こしてしまう。また、2次転写バイアスの時間平均値Vave[V]をある程度大きな値に設定しないと、記録材表面の凸部に対して十分量のトナーを転移させることができずに、凸部上で画像濃度不足を発生させてしまう。記録材表面における凸部及び凹部の両方で十分な画像濃度を得るには、時間平均値Vave[V]と戻しピーク値Vrとをそれぞれある程度の大きな値にするために、電圧の最大値と最小値の幅となる戻しピーク値Vrから転写方向ピーク値Vtまでの電圧(以下。「ピークツウピーク電圧」と記す)Vppを比較的大きな値に設定する必要がある。すると、必然的に転写方向ピーク値Vtも比較的大きな値にすることになる。転写方向ピーク値Vtは、接地しているニップ形成ローラ536と、2次転写バイアスを印加している2次転写裏面ローラ533との最大電位差に相当するため、その値が大きくなるとローラ間の放電が発生し易くなる。特に、中間転写ベルトと記録材表面の凹部との間に形成される微小空隙で放電を発生させて、凹部上の画像箇所に白点を引き起こし易くなる。記録材表面の凸部と凹部とでそれぞれ十分な画像濃度を得るために、ピークツウピーク電圧Vppを比較的大きな値に設定することにより、記録材表面の凹部上の画像箇所で白点を発生させ易くなっていたことがわかった。
次に、本発明者らが行った観測実験について詳細に説明する。
本発明者らは、2次転写ニップN内におけるトナーの挙動を観測するために、特殊な観測実験装置を製造した。図7は、その観測実験装置を示す概略構成図である。この観測実験装置は、透明基板210、現像装置231、Zステージ220、照明241、顕微鏡242、高速度カメラ243、パーソナルコンピュータ244などを備えている。透明基板210は、ガラス板211と、これの下面に形成されたITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極212と、透明電極212の上に被覆された透明材料からなる透明絶縁層213とを具備している。この透明基板210は、図示しない基板支持手段によって所定の高さ位置で支持されている。この基板支持手段は、図示しない移動機構によって図7中上下左右方向に移動可能に構成されている。図示の例では、透明基板210が金属板215を載置したZステージ220の上に位置しているが、基板支持手段の移動により、Zステージ220の側方に配設された現像装置231の真上に移動することも可能である。なお、透明基板210の透明電極212は、基板支持手段に固定された電極に接続され、この電極は接地されている。
現像装置231は、実施形態に係るプリンタの現像装置と同様の構成とされていて、スクリュウ部材232、現像ロール233、ドクターブレード234などを有している。現像ロール233は、電源235によって現像バイアスが印加された状態で回転駆動される。
透明基板210が基板支持手段の移動により、現像装置231の真上で且つ現像ロール233に対して所定のギャップを介して対向する位置まで所定の速度で移動せしめられると、現像ロール233上のトナーが透明基板210の透明電極212上に転移する。これにより、透明基板210の透明電極212上には所定の厚みのトナー層216が形成される。トナー層216に対する単位面積あたりのトナー付着量は、現像剤のトナー濃度、トナーの帯電量、現像バイアス値、基板210と現像ロール233とのギャップ、透明基板210の移動速度、現像ロール233の回転速度などによって調整することができる。
トナー層216が形成された透明基板210は、平面状の金属板215上に導電性接着剤で貼り付された記録材214との対向位置まで平行移動せしめられる。金属板215は、図示しない加重センサが設けられた基板221上に設置され、基板221はZステージ220上に設置されている。また、金属板215は、電圧増幅器217に接続されている。電圧増幅器217には、波形発生装置218によって直流電圧及び交番電圧からなる転写バイアスが入力され、金属板215には電圧増幅器217によって増幅された転写バイアスが印加される。Zステージ220を駆動制御して金属板215を上昇させると、記録材214がトナー層216と接触し始める。金属板215を更に上昇させると、トナー層216に対する圧力が増加するが、加重センサからの出力が所定の値になるように金属板215の上昇を制御して停止させる。圧力を所定値にした状態で、金属板215に転写バイアスを印加してトナーの挙動を観察する。観察後は、Zステージ220を駆動制御して金属板215を下降させて、記録材214を透明基板210から離間させる。すると、トナー層216は記録材214上に転写されている。
トナーの挙動の観察については、透明基板210の上方に配設されている顕微鏡242及び高速度カメラ243を用いて行う。透明基板210は、ガラス板211、透明電極212、及び透明絶縁層213という各層が全て透明材料からなるので、透明電極210の上方から、透明基板210を介して、透明基板210の下側にあるトナーの挙動を観察することができる。
顕微鏡242としては、キーエンス社製のズームレンズVH−Z75からなるものを用いた。また、高速度カメラ243としては、フォトロン社製のFASTCAM−MAX 120KCを用いた。フォトロン社FASTCAM−MAX 120KCは、パーソナルコンピュータ244によって駆動制御される。顕微鏡242及び高速度カメラ243は、図示しないカメラ支持手段によって支持されている。このカメラ支持手段は、顕微鏡242の焦点を調整できるように構成されている。
透明基板210上におけるトナーの挙動を、次のようにして撮影した。即ち、まず、照明241によってトナーの挙動の観察位置に照明光を照射して、顕微鏡242の焦点を調整する。次に、金属板215に転写バイアスを印加して、透明基板210の下面に付着しているトナー層216のトナーを、記録材214に向けて移動させる。このときのトナーの挙動を、高速度カメラ243で撮影した。
図7に示した観測実験装置と、実施形態に係るプリンタとでは、トナーを記録材に転写する転写ニップの構造が異なるため、転写バイアスが同じであっても、トナーに作用する転写電界は異なる。適切な観察条件を調べるために、観測実験装置でも、良好な凹部濃度再現性が得られる転写バイアス条件を調べてみた。記録材214としては、(株)NBSリコー社製のFC和紙タイプ「さざ波」と呼ばれるものを使用した。トナーとしては、平均粒径6.8[μm]のYトナーに、Kトナーを少量混入したものを用いた。観測実験装置では、記録材(さざ波)の裏面に転写バイアスを印加する構成になっているため、トナーを記録材に転写し得る転写バイアスの極性が、実施形態に係るプリンタとは逆になっている(即ち、プラス極性)。重畳バイアスからなる2次転写バイアスの交流成分として、波形が正弦波であるものを採用した。交流成分の周波数fを1000[Hz]、直流成分(本例では時間平均値Vaveに該当)を200[V]、ピークツウピーク電圧Vppを1000[V]に設定し、記録材214に対して0.4〜0.5[mg/cm]のトナー付着量でトナー層216を転写した。その結果、「さざ波」の表面の凹部上で十分な画像濃度を得ることができた。
そのとき、顕微鏡242の焦点を透明基板210上のトナー層216に合わせ、トナーの挙動を撮影した。すると、次のような現象が観察された。即ち、トナー層216中のトナー粒子は、転写バイアスの交流成分によって形成される交番電界により、透明基板210と記録材214との間を往復移動するが、その往復移動回数の増加とともに、往復移動するトナー粒子の量が増加した。
具体的には、2次転写ニップにおいては、2次転写バイアスの交流成分の1周期(1/f)が到来する毎に、交番電界が1回作用してトナー粒子が透明基板210と記録材214との間を1回往復移動する。初めの1周期では、図8に示すように、トナー層216のうち、層の表面に存在しているトナー粒子だけが層から離脱する。そして、記録材216の凹部に進入した後、再びトナー層216に戻ってくる。このとき、戻ったトナー粒子が、トナー層216のトナー粒子に衝突することで、後者のトナー粒子とトナー層216や透明基板210との付着力を弱める。これにより、次の1周期には、図9に示すように、前の1周期よりも多くのトナー粒子がトナー層216から離脱する。そして、記録材216の凹部に進入した後、再びトナー層216に戻ってくる。このとき、戻ったトナー粒子が、トナー層216中にまだ残っていたトナー粒子に衝突することで、後者のトナー粒子とトナー層216や透明基板210との付着力を弱める。これにより、更に次の1周期には、図10に示すように、前の1周期よりも更に多くのトナー粒子がトナー層216から離脱する。このように、トナー粒子は往復移動する毎に、その数を徐々に増やしていく。すると、ニップ通過時間が経過したときには(観測実験装置ではニップ通過時間に相当する時間が経過したとき)、記録材Pの凹部内に十分量のトナーが転移していることがわかった。
次に、直流電圧(本例では時間平均値Vaveに該当)を200[V]に設定し、且つ1周期当たりのバイアスのプラス側とマイナス側(本例では戻し方向と転写方向側)でのピークツウピーク電圧値Vppを800[V]にした条件で、トナーの挙動を撮影したところ、次のような現象が観察された。即ち、トナー層216中のトナー粒子のうち、層の表面に存在しているものが、初めの1周期で層から離脱して記録材Pの凹部内に進入する。ところが、進入したトナー粒子は、その後、トナー層216に向かうことなく凹部内に留まった。そして次の1周期が到来したとき、トナー層216から新たに離脱して記録材Pの凹部内に進入したトナー粒子は、ごく僅かであった。よって、ニップ通過時間が経過した時点で、記録材Pの凹部内には少量のトナー粒子しか転移していない状態であった。
本発明者らは、更なる観測実験を行ったところ、始めの一周期で、トナー層216から記録材Pの凹部内に進入させたトナー粒子を、再びトナー層216に引き戻すことができる戻しピーク値Vrの値は、透明基板210上における単位面積あたりのトナー付着量に左右されることがわかった。すなわち、透明基板210上におけるトナー付着量が多くなるほど、記録材213の凹部内のトナー粒子をトナー層216に引き戻すことが可能な戻しピーク値Vrが大きくなるのである。
図4は、図1に示したプリンタの制御系の一部を示すブロック図である。同図において、転写バイアス出力手段の一部を構成する制御部60は、演算手段たるCPU60a(Central Processing Unit)、不揮発性メモリたるRAM60c(Random Access Memory)、一時記憶手段たるROM60b(Read Only Memory)、フラッシュメモリ60d等を有している。プリンタ全体の制御を司る制御部60には、様々な構成機器やセンサ類が通信可能に電気的に接続されているが、図4においては、本プリンタの特徴的な構成に関連する構成機器だけを示している。
1次転写電源81(Y、M、C、K)は、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに印加するための1次転写バイアスを出力するものである。2次転写用の電源39は、2次転写ニップNに供給する2次転写バイアスを出力するものである。本形態では、2次転写裏面ローラ33に印加するための2次転写バイアスを出力する。この電源39は、制御部60とともに転写バイアス出力手段を構成している。オペレーションパネル50は、図示しないタッチパネルや複数のキーボタンなどから構成されていて、タッチパネルの画面に画像表示可能であり、タッチパネルやキーボタンによって操作者による入力操作を受付け、入力情報を制御部60に送信する機能を備えている。オペレーションパネル50は、制御部60から送られてくる制御信号に基づいて、タッチパネルに画像を表示することもできる。
本発明においては、2次転写バイアスの交流成分における電圧の時間平均値(Vave)が、同じく交流成分の最大値と最小値の中心電圧値(電圧の最大値と最小値の中心値)Voffよりも転写側であることを必須としている。それを実現するためには、交流成分の中心電圧値Voffを挟んで転写方側の面積よりも、戻し方向側の面積のほうが小さい波形にする必要がある。時間平均値とは、電圧の時間平均値であり、これは電圧波形の1周期にわたる積分値を、1周期の長さで割った値である。
これを達成するための一形態として、例えば図11に示すように、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくする形態が考えられる。また、中心電圧値Voffと電圧の時間平均値Vaveとの関係を示す値として、交流波形全体に占める中心電圧値Voffよりも戻し方向側の面積の割合を、戻し時間[%]と設定した。
次に、本発明者らが行った実験と、2次転写バイアスについて説明する。
本発明者らは、実施形態に係るプリンタと同様の構成のプリント試験機を用意した。そして、このプリント試験機を用いて各機器構成を下記の設定として各種のプリントテストを行った。
・各感光体や中間転写ベルト31の線速であるプロセス線速 173[mm/s]
・2次転写バイアスの交流成分の周波数f 周波数を500[Hz]
・記録材P 特殊製紙株式会社製のレザック66(商品名)175kg紙(四六版連量)
レザック66は、「さざ波」よりも紙表面の凹凸の度合いが大きい紙である。紙表面の凹部の深さは最大で100[μm]程度である。Mベタ画像とCベタ画像との重ね合わせによる青ベタ画像を、様々な2次転写バイアスの条件でそれぞれレザック66に出力した。そして出力された青ベタ画像を凹部・凸部ともに○と●を○、□と△を△、×を×として、様々なピークツウピーク電圧値Vpp及び時間平均値Vaveにおける評価結果を図16から図19に示した。
試験環境は、温度10℃/湿度15%の環境で行なった。
バイアス印加手段となる電源は、ファンクションジェネレーター(横河電機FG300)で波形を作り、それをアンプ(Trek High Voltage Amplifir Model10/40)で1000倍に増幅して図5の2次転写裏面ローラ533に印加した。
〔比較例1〕
図6で説明した交流成分として従来の正弦波を使用したもので、図6は比較例の波形を示す。比較例1では、戻し時間(デューティー比)は50%とし、この時の効果を図16に示す。このとき図6に示す全てのピークツウピーク電圧値Vpp及び時間平均値Vaveにおいて、交流成分の中心電圧値Voff=時間平均値Vaveであった。なお、本形態において、戻し時間(デューティー比)が50未満を低デューティー波とする。
〔実施例1〕
交流成分としては、戻し方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きを、転写方向側の電圧の立ち上がり及び立下りの傾きよりも小さくした。すなわち、中心電圧値Voffよりも転写方向寄りの値の電圧の出力時間となる転写方向側の時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向とは逆極性寄りの値の電圧の出力時間となる戻り時間をBとしたとき、A>Bとなるように設定した。このときの波形を図12に示す。戻し時間は40%として低デューティー波形とし、その評価効果を図17に示す。
このとき図17の
ピークツウピーク電圧値Vpp=12kV
電圧の時間平均値Vave=−5.4kVのとき
交流成分の中心電圧値Voff=−4.0kV であった。
〔実施例2〕
交流成分の中心電圧値Voffを挟んで転写方向側の面積よりも、戻し方向側の面積のほうが小さい波形にするもう別な手段としては、図13に示すように戻し方向側の時間Bを、転写方向側の時間Aよりも短くする手法がある。この方法によって、転写方向側の時間Aに対する戻し時間Bを小さくすることができる。
〔実施例3〕
交流成分として、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くした。このときの波形は図14に示す。戻し時間は16%とし、その効果を図18に示す。
〔実施例4〕
交流成分として、戻し時間Bを転写方向側の時間Aよりも短くし、波形を丸くしたもの。このときの波形は図15に示す。戻し時間は16%とし、その効果を図19に示す。
このとき図19において
ピークツウピーク電圧値Vpp=12kV
電圧の時間平均値Vave=−5.4kVのとき
中心電圧値Voff=−2.4kVであった。
このような実験の結果によると、比較例1と実施例1との比較からみても、電圧としての2次転写バイアスの最大値と最小値の中心値となる中心電圧値Voffよりも、2次転写バイアスの時間平均値Vaveが転写方向側にあることで、凹凸のある記録材への転写性の成立範囲が格段に広がっている。成立範囲が広がっていることで、様々な紙種や画像パターン、使用環境などの各種パラメータが変化した場合でも、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えることができ、良好な画像を得られる。
これは、中心電圧値Voffよりも時間平均値Vaveが転写方向側にあることで、必要な戻しピーク値Vrを確保しつつ、放電の原因となる転写方向ピーク値Vtを大きくせずに、時間平均値Vaveのみを大きくすることができるため効果が得られていると考えられる。
実施例1〜4の結果より、戻し時間を転写時間よりも短くすることで、さらに戻し時間を小さくすることができるため、より良好な画質が得られる。つまり、中心電圧値Voffよりも転写方向寄りの値の電圧の出力時間をA、中心電圧値Voffよりも転写方向とは逆極性寄りの値の電圧の出力時間をBとしたとき、A>Bとなるように電源39の出力を設定することで、より良好な画質が得られる。
(第2の実施形態)
本形態に係る画像形成装置は、図20に示すように、第1の実施形態の画像形成装置の構成に、2次転写ニップNの下流側に、記録材Pを中間転写ベルト31から分離するためのバイアスを印加する分離手段200を追加したものである。分離手段200は、2次転写ニップNを挟んで中間転写ベルト31と反対側に配置されている。分離手段200は、詳しくは記録材Pを中間転写ベルト31から分離する際の補助するためのものである。本第2の実施形態では、分離装置200としてニップ形成ローラ36の軸方向に延設された鋸歯状の除電針を使用し、除電針に対して分離バイアス出力電源201から分離バイアスが印加されるように構成されている。分離バイアス出力電源201は、直流成分に交流成分が重畳された分離バイアスを分離手段(除電針)200に出力する。
このように、2次転写ニップNを挟んで中間転写ベルト31と反対側に分離手段200を配置すると、分離手段200の分離バイアスが2次転写ニップNを挟んで中間転写ベルト31と反対側(転写材裏面側)で記録材P材に印加される。その際に、2次転写バイアスが供給される2次転写ニップNを挟んで像担持体側(転写材おもて面側)の2次転写裏面ローラ33の抵抗が小さいと、分離バイアスが2次転写ニップNを通って記録材Pのおもて面側に流れやすくなり、2次転写ニップNにおける転写バイアスと干渉して2次転写ニップNに十分なバイアスが印加されなくなる。
しかし2次転写ニップNを挟んで像担持体側(転写材おもて面側)に配置された2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωをニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωよりも大きくすることで、分離手段200による分離バイアスの干渉を防止して良好な画像を得ることができる。
本発明者らは、2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの差(抵抗比率)を変更して、分離手段200による分離バイアスの干渉による異常画像と、小サイズ紙を用いた場合の異常画像の発生の有無について実験を行った。電源39が出力する二次転写バイアスは、直流成分に交流成分を重畳した重畳バイアスである。重畳バイアスは、トナー像を小サイズ紙に転写する際に、トナー像を中間転写ベルト側から小サイズ紙側に転写させる転写方向の極性(マイナス極性)のバイアスと、逆極性(プラス極性)のバイアスと、が交互に切り替わるものとした。その実験による評価結果を図21に示す。図21において、×、○、◎は評価内容を示す。×は異常画像の発生が多く許容範囲外を示し、○は異常画像の発生はあるが軽微であり許容範囲内を示し、◎は異常画像の発生のない状態を示す。
2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの差(抵抗比率)は、図21に示すように、0.8、1、3、5、10、20、30の7段階とした。評価結果から分離バイアスの干渉による異常画像と小サイズ紙の異常画像の双方を満たすのは、電気抵抗Ωの差1〜20までの範囲であった。このため、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、ニップ形成ローラ36の電気抵抗よりも大きく、20倍以下の構成であるのが好ましいといえる。
このように2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωをニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの20倍以下とすると、分離バイアスの干渉による異常画像を防止しながら小サイズ紙を使用した際に2次転写電流が非画像部へ流れて転写不良を防止することができる。分離バイアスの干渉による異常画像を防止しながら小サイズ紙を使用した際に2次転写電流が非画像部へ流れ転写不良を防止することができる電気抵抗Ωの差としては、双方において異常画像がまったく発生しない3倍以上10倍以下であるのがより好ましいといえる。また、分離バイアスの干渉による異常画像のみを防止する点だけを考慮した場合、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、ニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの3倍以上30倍以下であってもよい。
第2の実施形態において、転写方向の電圧と電圧又は電流(バイアス)とが交互に切り替わる波形は、電圧の時間平均値(Vave)が、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の極性に設定され、かつ、電圧の最大値と最小値の中心値(Voff)よりも転写方向寄りに設定されている波形であると好ましい。これは、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら白点の発生を抑えられるからである。
すなわち、2次転写裏面ローラ33に供給される波形が、電圧の時間平均値(Vave)が、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の極性に設定され、かつ、電圧の最大値と最小値の中心値(Voff)よりも転写方向寄りに設定されている低Duty波とすることで、凹凸紙の転写性が向上する利点がある。
一方で、このとき低Duty波は図6の正弦波に比べて急峻に電圧が立ち上がるため、図20に示す分離手段200の分離バイアスの影響を受けやすくなる。
具体的には、図12に示す波形では、電圧の時間平均値(Vave)を電圧の中心値(Voff)よりも転写方向寄り(図の例ではマイナス寄り)の値とするため、電圧の中心値(Voff)から「転写方向の電圧のピーク値」までの電圧の立ち上がり、および、「転写方向の電圧のピーク値」から電圧の中心値(Voff)までの電圧の立下りを急峻にする必要があり、分離手段200の分離バイアスの影響を受けやすくなる。
図13の波形は矩形波であり、電圧の立ち上がりおよび立下りが急峻となるため分離手段200の分離バイアスの影響を受けやすくなる。
図14および図15の波形では、「転写方向の電圧のピーク値」から「逆極性の電圧のピーク値」へ、また「逆極性の電圧のピーク値」から「転写方向の電圧のピーク値」へ、電圧を切り替えるための時間が図11の正弦波に比べて短く、電圧の立ち上がりおよび立下りが急峻となるため、分離手段200の分離バイアスの影響を受けやすくなる。
しかし、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωをニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωよりも大きくすることで、記録材表面の凹部と凸部とでそれぞれ十分な画像濃度を得ながら、白点の発生を抑えつつも、分離手段200による分離バイアスの干渉による異常画像を防止することができる。
このような低Duty波などの波形のバイアスを印加する場合、2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの差(抵抗比率)は、小サイズ紙を用いた場合の異常画像および分離バイアスの干渉による異常画像が発生しないように、3倍以上10倍以下であるのがより好ましいといえる。また、分離バイアスの干渉による異常画像のみを防止する点だけを考慮した場合、2次転写裏面ローラ33の電気抵抗Ωは、ニップ形成ローラ36の電気抵抗Ωの3倍以上30倍以下であってもよい。
なお、分離手段200と低Duty波とを組合せて2次転写バイアスとすることは、第2実施形態に限定するものではなく、第1実施形態に適用しても構わない。
31 像担持体(中間転写ベルト)
33 2次転写裏面ローラ(転写部材)
36 ニップ形成ローラ(転写部材)
39 電源
58 押出し部材
200 分離手段
N 転写ニップ
P 記録材
Vave 電圧の時間平均値
Voff 電圧の最大値と最小値の中心値
X 電圧
特開2006−267486号公報

Claims (6)

  1. ベルト状の像担持体と、
    前記像担持体のトナー像を担持しているおもて面に当接して転写ニップを形成する転写部材と、
    前記転写部材に対向するとともに、前記像担持体の裏面に接触して設けられる裏面部材と、
    前記転写ニップ内に挟み込んだ記録材に対して前記像担持体上のトナー像を転写するために極性が交互に切り替わるバイアスを前記裏面部材に供給する電源と、
    前記裏面部材よりも前記像担持体移動方向上流側において前記像担持体の裏面に接触するとともに、前記像担持体をおもて面側へ突き出すように配置された押出し部材とを有し、
    前記押出し部材は金属からなるローラであって、アースに接続されていて、
    前記裏面部材の電気抵抗は、前記転写部材の電気抵抗よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記バイアスは、直流成分に交流成分を重畳したものであることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2記載の転写装置において、
    前記裏面部材の抵抗は、前記転写部材の抵抗より大きく、20倍以下であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3記載の画像形成装置において、
    前記裏面部材の抵抗は、前記転写部材の抵抗の3倍以上10倍以下であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1又は2記載の画像形成装置において、
    前記バイアスの電圧の時間平均値(Vave)が、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の極性に設定され、かつ、前記電圧の最大値と最小値の中心値(Voff)よりも前記転写方向寄りに設定されている波形であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置において、
    前記転写材を前記像担持体から分離するためのバイアスを印加する分離手段を備え、
    前記分離手段は、前記転写ニップを挟んで前記像担持体と反対側に配置されたことを特徴とする画像形成装置。
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