JP2015157642A - ウエハ保護フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、通常は、ある工程が行なわれる場所から他の工程が行なわれる場所へのウエハの運搬には、専用の容器が使用されている。
ウエハ保護フィルムは、通常、ウエハとウエハとの間に直接挟まれることにより使用される合成樹脂製のシート状のフィルムであり、これまでに、合成樹脂製のシートの表裏面に多数の凸部と多数の凹部が交互に配置されるように賦形された厚さ80〜130μmウエハ保護フィルム(特許文献1)、また、このような凹凸のあるウエハ保護フィルムとして高密度ポリエチレンに加え更に直鎖状低密度ポリエチレンが含まれたウエハ保護フィルムが提案されている(特許文献2)。
そこで、ウエハとウエハ保護フィルムとの摩擦による静電気の発生を抑制することを目的として、ウエハ保護フィルム自体に帯電防止性能を付与すること、例えば、一般に帯電防止剤として使用されるカーボンブラック等をウエハ保護フィルムを構成する合成樹脂に配合させることが考えられているが、カーボンブラックは脱落しやすく、ウエハを汚染してしまうという問題があるものであった。
しく低減されることが見い出され、そしてこの知見に基づき完成したものである。よって本発明は、以下を要旨とする。
(1)合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルムであって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン及びカーボンブラックを含んでなり、カーボンブラックの含有量は表面層の質量に基いて10乃至25質量%であることを特徴とするウエハ保護フィルム。
(2)前記表面層が、前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンを、表面層の質量に基いて20質量%以上含む、(1)に記載のウエハ保護フィルム。
(3)前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンが、0.940g/cm3以上の密度を有するポリエチレンである、(1)又は(2)に記載のウエハ保護フィルム。
(4)前記表面層は、さらに低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のウエハ保護フィルム。
本発明のウエハ保護フィルムにおいて、表面層は、ウエハに直接接触する層であり、メタロセン触媒で重合されたポリエチレンにカーボンブラックを配合することにより構成されるものである。
カーボンブラックは、ウエハ保護フィルムに、ウエハとの摩擦によって発生する静電気を効率よく逃がすための帯電防止性能を付与し、ウエハ及びウエハ保護フィルムに粉塵が付着することを防止することを目的として配合されている。
一般に、高い帯電防止性能を有する帯電防止剤として、カーボンブラックの他に、カーボンナノチューブ及びアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤等が知られているが、カーボンナノチューブは非常に高価であり、かつ取り扱いが難しいという問題があり、また、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤は、カリウム等の金属イオンを含むものであることからウエハ表面のパッド及び配線等を腐食させるという問題がある。
一方、カーボンブラックは、安価で且つ取り扱いが容易であり、更には、ウエハ表面のパッド及び配線等を腐食させる虞がなく、その上、静電気を効率よく逃がすための帯電防止性能(表面抵抗率1012Ω以下)及び特定用途において求められるより高いレベル103乃至1010Ω程度の導電性を達成することができるものである。
チレンが適当量適用される。
表面層を構成する樹脂としてメタロセン触媒で重合されたポリエチレンを使用することにより、表面層に配合されたカーボンブラックの脱落を抑制することができる。
メタロセン触媒で重合されたポリエチレンの密度が0.940g/cm3以上である場合、カーボンブラックの脱落をより効果的に抑制することができ、ウエハに対する汚染を低減することができる。
また、0.950g/cm3を超えると、ウエハの傷付き防止性が劣る可能性がある。
また、表面層において、カーボンブラックの含有量は、所望の導電性能を達成しかつウエハ及びウエハ保護フィルムに粉塵が付着することを防止するために、表面層中に表面層の質量に基いて10質量%乃至25質量%の範囲の量である。
本発明の内部層としては、スペーサー用フィルムとしての物性等を損なわないように任意の材料を用いることができるが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどから選択される樹脂が挙げられるが、ウエハ保護フィルムに所謂コシを持たせるために、オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン又は密度が0.940/cm3以上のポリエチレンが好ましく用いられる。しかし、ポリプロピレンにあっては重合段階で使用される種々の添加剤(低分子化合物)がブリードするおそれがあることから、より好ましくは、密度が0.940/cm3以上のポリエチレンである。密度が0.940/cm3以上のポリエチレンとしては、この範囲の密度を有するポリエチレンであればよく、特に製造方法等が限定されるものでない。
なお、内部層の構成としては、単層でも積層された複層でもよい。
内部層が複層である場合、複層を構成する少なくとも1種の層として上記のポリオレフィン系樹脂、特にはポリプロピレン又は密度が0.940/cm3以上のポリエチレンを含むことが好ましい。内部層が複層である場合の構成としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンと0.940/cm3以上のポリエチレンとの組合せ、又は、ポリプロピレン、0.940/cm3以上のポリエチレン若しくはその双方と、それ以外の任意の樹脂(0.940/cm3未満のポリエチレン、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂など)との組合せが挙げられる。
なお、黒顔料としてカーボンブラックを使用する場合には、ウエハ保護フィルムの抵抗値を下げる作用があるため、好適である。
そのため、本発明のウエハ保護フィルム1は、図1および図2に示すように、凹部と凸部が交互に配置された格子状に賦形されて用いることが好ましい。格子状に賦形されたウエハ保護フィルム1は、クッション性が発現するため、ウエハの傷付きをより確実に防止することができるとともに、ウエハ搬送容器4を開放したときに復元性があるため、ウエハ2とウエハ保護フィルム1とが密着することを防止できる。
表1に記載の配合処方で押出成形し、内部層の両面上に表面層が積層された2種3層構成、層比1/3/1、総厚み100μmのフィルムを作製した。なお、表中の数値の単位は「質量%」である。
・ポリエチレン1
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
旭化成ケミカルズ社製 クレオレックス T4125
密度0.941g/cm3
・ポリエチレン2
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
旭化成ケミカルズ社製 クレオレックス T4750
密度0.947g/cm3
・ポリエチレン3
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
東ソー社製 TOSOH−HMS 10S65B
密度0.940g/cm3
・ポリエチレン4
チーグラーナッタ触媒で重合されたポリエチレン
プライムポリマー社製 ハイゼックス 3300F
密度0.950g/cm3
・低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製 ノバテック LF443
密度0.924g/cm3
・カーボンブラック1
電気化学工業社製 デンカブラック
・カーボンブラック2
ライオン社製 ケッチェンブラックEC300J
・カーボンブラック3
三菱化学社製 #650B
・帯電防止剤1
三井デュポンポリケミカル社製 エンティラ SD100
得られたフィルムとウエハを接触させた状態で容器に収納して2週間放置した。その後容器から取り出し、該ウエハの表面が有機物によって汚染されたかレーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−8500)で観察して評価した。
◎・・・汚染されていない
〇・・・ごく一部に汚染が確認されたが、問題なくしようできる
×・・・汚染されていた
得られたフィルムついて、三菱化学社製のHirester−UP「MCP−HT540」を用いて、表面抵抗値を求めた。
○・・・表面抵抗値が1×10E+3Ω乃至1×10E+10Ω未満
×・・・表面抵抗値が1×10E+3Ω未満もしくは1×10E+10Ω以上
得られたフィルムと銅版を重ねた状態で温度60℃、湿度80%の条件にて2週間保管し、その後目視にて銅版に変色があるか確認を行った。
○・・・変色はみられない
×・・・変色がみられる
フィルム成形時の加工性について、厚みムラの有無や外観及び形状を観察し、以下の基
準で評価した。
◎・・・厚みムラがなく、外観及び形状が非常によい
○・・・厚みムラが少なく、外観及び形状がよい
得られたフィルムについて、ASTM D882に準拠してヤング率を測定し、以下の基準で評価した。
◎・・・ヤング率が200MPa以上
○・・・ヤング率が200MPa未満
2 ウエハ
3 クッション材
4 ウエハ搬送容器
Claims (4)
- 合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルムであって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン及びカーボンブラックを含んでなり、該カーボンブラックの含有量は表面層の質量に基いて10乃至25質量%であることを特徴とするウエハ保護フィルム。
- 前記表面層が、前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンを、表面層の質量に基いて20質量%以上含む、請求項1に記載のウエハ保護フィルム。
- 前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンが、0.940g/cm3以上の密度を有するポリエチレンである、請求項1又は請求項2に記載のウエハ保護フィルム。
- 前記表面層は、さらに低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウエハ保護フィルム。
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