JP2015157642A - ウエハ保護フィルム - Google Patents

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【課題】ウエハの傷付きを防止しかつウエハを汚染することのないウエハ保護フィルムを提供する。【解決手段】合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルム1であって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン、カーボンブラックを含むことを特徴とするウエハ保護フィルム1。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体ウエハを積み重ねて容器に収納するときに、各半導体ウエハの間に挿入して使用される、ウエハ保護フィルムに関する。
半導体ウエハ(以下、「ウエハ」とする)は、一般には、シリコンをインゴットと呼ばれる円柱状に結晶成長させたものを、薄くスライスした円盤状のものであり、2〜12インチ程度が主流である。このウエハの表面に回路パターンを焼き付けてICチップが製造される。通常、一枚のウエハには同じICチップの回路パターンがいくつも並べられ、露光やエッチング処理が施された後、細片に切断され、ICチップとなる。
ところで、上記インゴットをスライスしてウエハを作成する工程、ウエハに回路を形成する工程、回路が形成されたウエハを切断しICチップをパッケージする工程は、異なる場所で行なわれることが多い。
そのため、通常は、ある工程が行なわれる場所から他の工程が行なわれる場所へのウエハの運搬には、専用の容器が使用されている。
上記の専用の容器は、例えば複数枚のウエハを積み重ねて収納するものであるが、積み重ねされたウエハ同士が接触すると擦れによって傷が付くため、これを防止するために各ウエハの間にウエハ保護フィルムを介在させる必要がある。
ウエハ保護フィルムは、通常、ウエハとウエハとの間に直接挟まれることにより使用される合成樹脂製のシート状のフィルムであり、これまでに、合成樹脂製のシートの表裏面に多数の凸部と多数の凹部が交互に配置されるように賦形された厚さ80〜130μmウエハ保護フィルム(特許文献1)、また、このような凹凸のあるウエハ保護フィルムとして高密度ポリエチレンに加え更に直鎖状低密度ポリエチレンが含まれたウエハ保護フィルムが提案されている(特許文献2)。
国際公開第WO2004/89784号パンフレット 特開2012−71878号公報
しかし、この種のウエハ保護フィルムは、基本的に、合成樹脂製のシートからなるものであることから、ウエハとウエハ保護フィルムとの摩擦により静電気が発生し、ウエハ及びウエハ保護フィルム自体に埃等の粉塵が付着しやすいものである。
そこで、ウエハとウエハ保護フィルムとの摩擦による静電気の発生を抑制することを目的として、ウエハ保護フィルム自体に帯電防止性能を付与すること、例えば、一般に帯電防止剤として使用されるカーボンブラック等をウエハ保護フィルムを構成する合成樹脂に配合させることが考えられているが、カーボンブラックは脱落しやすく、ウエハを汚染してしまうという問題があるものであった。
本発明は、斯かる事情を考慮しなされたものであり、摩擦による静電気の発生を抑制するのに有効な量のカーボンブラックが配合されたウエハ保護フィルムの表面層の材料として、相当量のメタロセン触媒で重合されたポリエチレンを適用すると、ウエハの汚染が著
しく低減されることが見い出され、そしてこの知見に基づき完成したものである。よって本発明は、以下を要旨とする。
(1)合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルムであって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン及びカーボンブラックを含んでなり、カーボンブラックの含有量は表面層の質量に基いて10乃至25質量%であることを特徴とするウエハ保護フィルム。
(2)前記表面層が、前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンを、表面層の質量に基いて20質量%以上含む、(1)に記載のウエハ保護フィルム。
(3)前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンが、0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレンである、(1)又は(2)に記載のウエハ保護フィルム。
(4)前記表面層は、さらに低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のウエハ保護フィルム。
本発明のウエハ保護フィルムは、ウエハ搬送時において、ウエハの傷付きを確実に防止できる上、ウエハ搬送容器中でウエハとウエハ保護フィルムが接触しても、埃等の粉塵がウエハに付着しにくいものであり、さらにウエハ保護フィルムに含まれるカーボンブラックの脱落によるウエハの汚染を有効に防ぐことができる。
本発明のウエハ保護フィルムの斜視図である。 ウエハの収納例を説明する斜視図である。
本発明のウエハ保護フィルムは、合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルムであって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン、カーボンブラックを含むことを特徴とするものである。
<表面層>
本発明のウエハ保護フィルムにおいて、表面層は、ウエハに直接接触する層であり、メタロセン触媒で重合されたポリエチレンにカーボンブラックを配合することにより構成されるものである。
カーボンブラックは、ウエハ保護フィルムに、ウエハとの摩擦によって発生する静電気を効率よく逃がすための帯電防止性能を付与し、ウエハ及びウエハ保護フィルムに粉塵が付着することを防止することを目的として配合されている。
一般に、高い帯電防止性能を有する帯電防止剤として、カーボンブラックの他に、カーボンナノチューブ及びアイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤等が知られているが、カーボンナノチューブは非常に高価であり、かつ取り扱いが難しいという問題があり、また、アイオノマー樹脂系高分子型帯電防止剤は、カリウム等の金属イオンを含むものであることからウエハ表面のパッド及び配線等を腐食させるという問題がある。
一方、カーボンブラックは、安価で且つ取り扱いが容易であり、更には、ウエハ表面のパッド及び配線等を腐食させる虞がなく、その上、静電気を効率よく逃がすための帯電防止性能(表面抵抗率1012Ω以下)及び特定用途において求められるより高いレベル10乃至1010Ω程度の導電性を達成することができるものである。
しかしながら、通常、カーボンブラックは合成樹脂に配合した場合脱落が発生しやすいものであることから、ウエハ保護フィルムの両表面層にカーボンブラックを配合した場合、ウエハにブリードしたカーボンブラックが付着してしまう虞がある。
そこで、本発明では、表面層を構成する樹脂としてメタロセン触媒で重合されたポリエ
チレンが適当量適用される。
表面層を構成する樹脂としてメタロセン触媒で重合されたポリエチレンを使用することにより、表面層に配合されたカーボンブラックの脱落を抑制することができる。
前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンの密度は、0.940g/cm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.940g/cm乃至0.950g/cmである。
メタロセン触媒で重合されたポリエチレンの密度が0.940g/cm以上である場合、カーボンブラックの脱落をより効果的に抑制することができ、ウエハに対する汚染を低減することができる。
また、0.950g/cmを超えると、ウエハの傷付き防止性が劣る可能性がある。
また、表面層は、更に低密度ポリエチレンを含んでもよい。低密度ポリエチレンとしては特に限定されないが、密度が0.930/cm以下である低密度ポリエチレンを使用することができる。低密度ポリエチレンを含有してなると、フィルム加工時の引取サージング現象が起こりにくく、高速成形しても厚みムラがなく外観及び形状に優れたフィルムを作製できる。そのため、低密度ポリエチレンを含有するとウエハ保護フィルムの成形時における加工性が非常に良好となる。
なお、表面層において、メタロセン触媒で重合されたポリエチレンの含有量は、カーボンブラックの脱落を効果的に抑制するために、表面層の質量に基いて20質量%以上であることが好ましい。
また、表面層において、カーボンブラックの含有量は、所望の導電性能を達成しかつウエハ及びウエハ保護フィルムに粉塵が付着することを防止するために、表面層中に表面層の質量に基いて10質量%乃至25質量%の範囲の量である。
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン、カーボンブラック及び必要に応じて用いられる他の樹脂や添加剤は慣用の方法によってブレンドされる。
<内部層>
本発明の内部層としては、スペーサー用フィルムとしての物性等を損なわないように任意の材料を用いることができるが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどから選択される樹脂が挙げられるが、ウエハ保護フィルムに所謂コシを持たせるために、オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン又は密度が0.940/cm以上のポリエチレンが好ましく用いられる。しかし、ポリプロピレンにあっては重合段階で使用される種々の添加剤(低分子化合物)がブリードするおそれがあることから、より好ましくは、密度が0.940/cm以上のポリエチレンである。密度が0.940/cm以上のポリエチレンとしては、この範囲の密度を有するポリエチレンであればよく、特に製造方法等が限定されるものでない。
なお、内部層の構成としては、単層でも積層された複層でもよい。
内部層が複層である場合、複層を構成する少なくとも1種の層として上記のポリオレフィン系樹脂、特にはポリプロピレン又は密度が0.940/cm以上のポリエチレンを含むことが好ましい。内部層が複層である場合の構成としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンと0.940/cm以上のポリエチレンとの組合せ、又は、ポリプロピレン、0.940/cm以上のポリエチレン若しくはその双方と、それ以外の任意の樹脂(0.940/cm未満のポリエチレン、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂など)との組合せが挙げられる。
内部層は、黒色顔料を含有していてもよい。
なお、黒顔料としてカーボンブラックを使用する場合には、ウエハ保護フィルムの抵抗値を下げる作用があるため、好適である。
上記構成からなる本発明のウエハ保護フィルムの厚みは、60乃至180μmであることが好ましい。厚みが60μm未満であると、フィルムの重量が軽くなりすぎて、取り扱いにくくなる傾向ある。反対に、厚みが180μmを超えるとフィルムが硬くなって後述の賦形加工を均一に行なうことが困難となる傾向にある。
本発明のウエハ保護フィルムを成形する方法は特に限定されるものではないが、各層をインフレーション法、Tダイ法などによる溶融押出成形した後、ドライラミネート成形又はヒートシールにより各層を積層する方法、又は、各層を形成する材料を共押出法により一度に積層成形する方法などを採用することができる。
本発明のウエハ保護フィルムの使用としては、図2に示すようにクッション材3をウエハ搬送容器4の底部に載置して、その上にウエハ保護フィルム1とウエハ2を交互に積み重ね、最上部にクッション材3を載置されて蓋が閉められる。このとき、ウエハ2がウエハ搬送容器4の内部で動かないように圧力をかけて密閉される。
そのため、本発明のウエハ保護フィルム1は、図1および図2に示すように、凹部と凸部が交互に配置された格子状に賦形されて用いることが好ましい。格子状に賦形されたウエハ保護フィルム1は、クッション性が発現するため、ウエハの傷付きをより確実に防止することができるとともに、ウエハ搬送容器4を開放したときに復元性があるため、ウエハ2とウエハ保護フィルム1とが密着することを防止できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<実施例1乃至11、比較例1乃至5>
表1に記載の配合処方で押出成形し、内部層の両面上に表面層が積層された2種3層構成、層比1/3/1、総厚み100μmのフィルムを作製した。なお、表中の数値の単位は「質量%」である。
Figure 2015157642
表中;
・ポリエチレン1
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
旭化成ケミカルズ社製 クレオレックス T4125
密度0.941g/cm
・ポリエチレン2
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
旭化成ケミカルズ社製 クレオレックス T4750
密度0.947g/cm
・ポリエチレン3
メタロセン触媒で重合されたポリエチレン
東ソー社製 TOSOH−HMS 10S65B
密度0.940g/cm
・ポリエチレン4
チーグラーナッタ触媒で重合されたポリエチレン
プライムポリマー社製 ハイゼックス 3300F
密度0.950g/cm
・低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製 ノバテック LF443
密度0.924g/cm
・カーボンブラック1
電気化学工業社製 デンカブラック
・カーボンブラック2
ライオン社製 ケッチェンブラックEC300J
・カーボンブラック3
三菱化学社製 #650B
・帯電防止剤1
三井デュポンポリケミカル社製 エンティラ SD100
各実施例、比較例のフィルムについて、以下の評価を行なった。
<汚染性>
得られたフィルムとウエハを接触させた状態で容器に収納して2週間放置した。その後容器から取り出し、該ウエハの表面が有機物によって汚染されたかレーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−8500)で観察して評価した。
◎・・・汚染されていない
〇・・・ごく一部に汚染が確認されたが、問題なくしようできる
×・・・汚染されていた
<表面抵抗値>
得られたフィルムついて、三菱化学社製のHirester−UP「MCP−HT540」を用いて、表面抵抗値を求めた。
○・・・表面抵抗値が1×10E+3Ω乃至1×10E+10Ω未満
×・・・表面抵抗値が1×10E+3Ω未満もしくは1×10E+10Ω以上
<腐食性>
得られたフィルムと銅版を重ねた状態で温度60℃、湿度80%の条件にて2週間保管し、その後目視にて銅版に変色があるか確認を行った。
○・・・変色はみられない
×・・・変色がみられる
<加工性>
フィルム成形時の加工性について、厚みムラの有無や外観及び形状を観察し、以下の基
準で評価した。
◎・・・厚みムラがなく、外観及び形状が非常によい
○・・・厚みムラが少なく、外観及び形状がよい
<コシ>
得られたフィルムについて、ASTM D882に準拠してヤング率を測定し、以下の基準で評価した。
◎・・・ヤング率が200MPa以上
○・・・ヤング率が200MPa未満
実施例1乃至11のフィルムは、汚染性、帯電防止性、加工性及びコシに優れ、そして腐食性を有さないものであるため、ウエハ保護フィルムとして好適である。
1 ウエハ保護フィルム
2 ウエハ
3 クッション材
4 ウエハ搬送容器

Claims (4)

  1. 合成樹脂からなる内部層と、その両面上に形成された表面層とが積層されたウエハ保護フィルムであって、該表面層は、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン及びカーボンブラックを含んでなり、該カーボンブラックの含有量は表面層の質量に基いて10乃至25質量%であることを特徴とするウエハ保護フィルム。
  2. 前記表面層が、前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンを、表面層の質量に基いて20質量%以上含む、請求項1に記載のウエハ保護フィルム。
  3. 前記メタロセン触媒で重合されたポリエチレンが、0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレンである、請求項1又は請求項2に記載のウエハ保護フィルム。
  4. 前記表面層は、さらに低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウエハ保護フィルム。
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