JP2004255736A - 導電性ポリエステルシートおよびそれからなる電子部品用包装容器 - Google Patents

導電性ポリエステルシートおよびそれからなる電子部品用包装容器 Download PDF

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Kazuhiro Abe
和洋 阿部
Keiichiro Togawa
惠一朗 戸川
Hidetoshi Fujino
英俊 藤野
Fujio Hirasawa
富士男 平澤
Atsushi Hara
厚 原
Hiroshi Shimoyama
洋志 下山
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
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Abstract

【課題】内容物である電子部品の保護のために十分な導電性性能と十分な機械的強度を有し、しかも低コストの導電性ポリエステルシート、それからなるキャリアテープ等の電子部品用包装容器を提供すること。
【解決手段】主として結晶性ポリエステルからなる基材シートの少なくとも片面に、カーボンブラックを含有する導電性組成物からなるコート層およびその上にトップコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、導電性組成物コート層側の表面抵抗値および前記導電性ポリエステルシートの導電性組成物コート層側の表面を磨耗試験した後の、前記コート層側の表面抵抗値が、それぞれ1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシート。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、コンデンサー等の電子部品を収納運搬及び実装工程を補助するために使用されるキャリヤテープやトレー等の製造に使用される導電性ポリエステルシートおよびそれからなるキャリヤテープ等の電子部品用包装容器に関するものであり、特に耐衝撃性、耐磨耗性に優れ、成形前後において安定した導電性を保持する導電性ポリエステルシートおよびそれからなる電子部品用包装容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器や、包装用フイルム、オーディオ・ビデオ用フイルム等の素材として最適であり、大量に使用されている。
【0003】
ポリエステルシートやフイルムは、表面抵抗値が約1015Ωで帯電しやすく、電子材料、磁気記録媒体などの素材として用いる際、異物吸着などの問題を引き起こす。
【0004】
また、近年、電子部品の表面実装化が大きく進んできており、それに伴って表面実装技術も大幅に進歩し、より高性能でより小型なチップ型電子部品が開発され、それらの需要が急増しており、これらを搬送、保管する包装形態の1つとしてエンボスキャリヤテープが用いられている。チップ型電子部品はエンボスキャリヤテープの各ポケットに収納され、蓋体であるカバーテープでシールされた後、リールに巻き取られた状態で保管、搬送され、表面実装機のカセットフィーダーへ装着される。次に収納されているチップ型電子部品の回路基板への組付けはエンボスキャリヤテープを順々に送り出しながらカバーテープを剥離してチップ型電子部品を自動的にピックアップして回路基板の所定の場所へ自動的に配置するという方法で行われている。この工程ではチップ型電子部品とエンボスキャリヤテープのポケット内部面との摩擦による静電気やカバーテープを剥がす工程において発生する静電気によってエンボスキャリヤテープが帯電する為にチップ型電子部品がポケットより取り出すことが出来なかったり、静電気破壊が発生するという問題があり、それらを解決する為にエンボスキャリヤテープに導電性を付与して静電気の蓄積を防止することが必要とされ、カーボンブラック等の導電性フィラーを樹脂に練り込んだタイプのシートや導電性フィラーを含むコート組成物をシート表面に塗布したシート等を真空、圧空及びプレス成形によって成形した導電性エンボスキャリヤテープが用いられている。
【0005】
キャリアテープ用材料としては紙や熱可塑性プラスチックがあるが、紙は機械強度の問題から近年使用されなくなり、熱可塑性プラスチックがその素材として用いられるようになってきた。熱可塑性プラスチックとしては、従来、ポリ塩化ビニル系樹脂やポリスチレン系樹脂が挙げられるが、ポリ塩化ビニル系樹脂は成形性も良好で力学的物性も特に問題はないが、燃焼時のダイオキシン発生などの環境問題があり、またポリスチレン系樹脂は成形性良好で価格も安いが、衝撃強度などの力学的物性に問題がある。
【0006】
上記の理由から、環境問題にも、力学的物性にもバランスのとれたポリエステル系樹脂が最近注目されるようになり、使用量が増加している。
【0007】
ポリエステル系樹脂の導電性付与方法としては、カーボンブラックをポリエステル系樹脂に練り込んでシート化する練り込み方式か、あるいはカーボンブラックを含有するコート剤をポリエステル系樹脂からなる基材シートの両面にコーティングするコート方式が一般的である。
【0008】
練り込み方式では、ポリエステル系樹脂はカーボンブラックの分散がかなり困難であることや、カーボンブラックを練り込むことによって脆くなるため、耐折強度、衝撃強度などの機械的強度が低下する他、シート表面の外観もあまり良好なものは得られない。
【0009】
これらの例として、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂とジブチルフタレート吸油量を規定した導電性カーボンブラックとからなる導電性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、このような組成物を用いて得たエンボスキャリアーテープでは、機械的強度が低下し、電子部品の実装工程に於いて割れが発生したり、またカーボンブラックが脱落するという欠点がある。
【0010】
また、芳香族ポリエステル樹脂と揮発分が1.5%以下のカーボンブラックとからなる導電性プラスチックシートが開示されている(例えば、特許文献2参照)が、このような組成物を用いて得たエンボスキャリアーテープにおいても、前記と同様に機械的強度が低下し、電子部品の実装工程に於いて割れが発生したり、またカーボンブラックが脱落するという欠点がある。
【0011】
一方、コート方式では、コート方法やコート条件によっては、コート剤中の有機溶媒によりポリエステルシート表面にクレイジングが発生し、このために衝撃強度などの機械的特性が低下するという問題や、コートした導電性シートをエンボスキャリアーテープに成形すると導電性の尺度である表面抵抗値が大きく低下するという問題などあり、解決が望まれている。
【0012】
また前記で述べたシートより成形された導電性エンボスキャリヤテープのポケット内部面の表面は多量の導電性フィラーが敷き詰められた状態になっており、収納されているチップ型電子部品との摩擦によって導電性フィラーが脱落し、チップ型電子部品を汚染するという問題点が発生する。チップ型電子部品の大きさが小さくなればなるほど回路基板に配置される時の異物の影響を過大に受けるようになる為、導電性フィラーの脱落による汚染問題が大きくなってくる。
【0013】
また前記の問題を解決するために、熱可塑性樹脂にカーボンブラックの一定範囲量を練りこんだプラスチックシート層の少なくとも片面にカーボンブラック含有導電塗料を塗布した導電層を形成させたシートからなる導電エンボスキャリアーテープが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このようなシートを使用したポリエステル樹脂製キャリアーテープでも、電子部品を収納後の輸送時に於いて衝撃力がかかる場合や電子部品の実装工程に於いて割れが発生したり、またカーボンブラックが脱落するという欠点があり、解決が望まれている。
【0014】
さらにまた、導電性シートの導電層としてカーボンブラック、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体からのバインダーなどからなる導電性組成物をコートした導電性シートが開示されている(例えば、特許文献4参照)が、成形後の導電性はあまり低下しないがブロッキングが発生したり、またカーボンブラックが脱落するという欠点があり、解決が望まれている。
【0015】
【特許文献1】
特開平6−340799号公報
【特許文献2】
特開平7−216199号公報
【特許文献3】
特開平8−323932号公報
【特許文献4】
特開平7−132963号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の導電性ポリエステルシートの有する問題点を解決し、内容物である電子部品の保護のために十分な導電性性能と十分な機械的強度、特に耐衝撃性、耐磨耗性に優れ、電子部品等収納用ポケット部成形後も良好な導電性を有し、しかも低コストの導電性ポリエステルシート、それからなるキャリアテープ等の電子部品用包装容器を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の導電性ポリエステルシートは、主として結晶性ポリエステルからなる基材シートの少なくとも片面に、カーボンブラックを含有する導電性組成物からなるコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、導電性組成物コート層側の表面抵抗値およびその上にトップコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、導電性組成物コート層側の表面抵抗値および前記導電性ポリエステルシートの導電性組成物コート層側の表面を磨耗試験した後の、前記コート層側の表面抵抗値が、それぞれ1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシートである。
【0018】
ここで、表面抵抗値は、下記に記載するようにJIS K6911の方法にしたがって、20±2℃、65±5%RHの雰囲気下で測定する。また、導電性ポリエステルシートの磨耗試験は、下記に記載する方法によって実施する。
【0019】
この場合において、前記ポリエステルが、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルであることができる。
【0020】
この場合において、前記ポリエステルが、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルであることができる。
【0021】
この場合において、前記基材シートの少なくとも片面に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることができる。
【0022】
この場合において、前記基材シートの少なくとも片面にアンカーコート層を形成させ、その上に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなる導電性ポリエステルシートである。
【0023】
この場合において、上記に記載の導電性ポリエステルシートを用いてなる電子部品用包装容器であり、前記電子部品用包装容器が、エンボスキャリヤーテープであることを特徴とする電子部品用包装容器である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性ポリエステルシートおよびそれからなる電子部品用包装容器の実施の形態を具体的に説明する。
【0025】
本発明に係る結晶性ポリエステルは、好ましくは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分とから得られる結晶性ポリエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
【0026】
本発明に係る結晶性ポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
【0027】
また本発明に係る結晶性ポリエステルを構成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
【0028】
前記ポリエステル中に共重合して使用される酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0029】
前記ポリエステル中に共重合して使用されるグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
【0030】
さらにポリエステルが実質的に線状である範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0031】
本発明に係る結晶性ポリエステルの最も好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成される線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称)である。
【0032】
また本発明に係る結晶性ポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成される線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンナフタレ−トホモポリマ−またはコポリマ−である。
【0033】
また本発明に係る結晶性ポリエステルの好ましいその他の例としては、プロピレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルである。
【0034】
前記の結晶性ポリエステルは、本発明の目的とする特性を損なわない範囲で、お互いに少なくとも一種を混合使用することができる。
【0035】
上記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti、またはAlの化合物のうち少なくとも一つの化合物および安定剤としてリン酸系化合物、亜リン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物のうち少なくとも一つの化合物を用いて、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、エステル交換触媒としてマグネシウム化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物などの化合物のうち少なくとも一つの化合物を用いてテレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、前記の重縮合触媒や安定剤を用いて減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
【0036】
また必要に応じて、極限粘度を増大させために固相重合を行うことができる。固相重合前の結晶化促進のため、溶融重縮合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶化させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。
【0037】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0038】
重縮合触媒として用いられるGe化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として5〜150ppm、好ましくは10〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
【0039】
重縮合触媒として用いられるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
【0040】
重縮合触媒として用いられるTi化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜50ppmの範囲になるように添加する。
【0041】
重縮合触媒として用いられるAl化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマ−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
【0042】
本発明の導電性ポリエステルシートは、主として前記結晶性ポリエステルからなる基材シートの少なくとも片面に、カーボンブラックを含有する導電性組成物からなるコート層およびその上にトップコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、導電性組成物コート層側の表面抵抗値が1×10Ω未満であり、かつ前記導電性ポリエステルシートの導電性組成物コート層側の表面を磨耗試験した後の、前記コート層側の表面抵抗値が1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシートである。
【0043】
本発明の導電性ポリエステルシートの導電性組成物コート層側の表面抵抗値、および前記導電性ポリエステルシート表面を磨耗試験した後の、前記コート層側の表面抵抗値は、いずれも、好ましくは1×10Ω未満、さらに好ましくは1×10Ω未満である。また表面抵抗値の下限値は1×10Ωであり、これ未満の場合は電気をとうしてしまい問題である。
【0044】
本発明の導電性ポリエステルシートは、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、前記結晶性ポリエステルを主成分とし、これと非晶性ポリエステルとの混合物であるポリエステル組成物から得られるポリエステル基材シートの少なくとも片面に、下記に説明する導電性コート剤を下記の方法でコートし、さらにその上に下記のトップコート剤をコートすることによって製造することができる。必要に応じて、アンカーコート剤を適用することもできる。
【0045】
本発明に係るポリエステル基材シートは、前記の結晶性ポリエステルから選ばれる少なくとも一種のポリエステルと非晶性ポリエステルとの混合物であることが好ましい。このような混合物とすることにより、基材シートと導電層、もしくはアンダーコート層との密着性が向上し、剥がれ等が起こりにくいため、摩耗試験後の導電性の低下を抑えることができる。
【0046】
非晶性ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルが好ましく、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含む線状ポリエステルである。
【0047】
非晶性ポリエステル樹脂に用いられるジカルボン酸成分およびグリコール成分としては、前述したものが同様に用いられるが、芳香族時カルボン酸としてはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0048】
グリコールとしては炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールが共重合されているものが好ましく、さらにはエチレングリコール50〜95モル%に対して、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールの少なくともいずれかが5〜50モル%共重合されたものであることが好ましい。この中でもエチレングリコールとネオペンチルグリコール、エチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの組み合せが好ましい。なお、エチレングリコールの含有量は、55モル%以上、さらには60モル%以上が好ましく、85モル%以下、さらには80モル%以下であることが好ましい。
【0049】
本発明に係る非晶性ポリエステル樹脂は、上記のテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸以外の他のジカルボン酸やエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていても良いことは言うまでもない。
【0050】
非晶性ポリエステルの添加量は本発明の目的とする導電性ポリエステルシートの特性を損なわない範囲であることが必要である。非晶性ポリエステルの含有量は、基材シートのポリエステル中で1重量%以上であることが好ましく、さらには3重量%以上であることが好ましく、特には5重量%以上であることが好ましい。また、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満である。非晶性ポリエステルの添加量が1重量%未満であると、摩耗試験後の表面抵抗値の増加が大きくなることがある。また、50重量%以上であった場合でも、今度は導電層やアンダーコート層の塗工溶媒によりクレージング(微細なひび割れ)が発生し易くなり、その結果導電層が不均一となり易く、摩耗試験時にここから塗工層が剥がれて表面抵抗値の増加が大きくなることがある。
【0051】
非晶性ポリエステルの極限粘度は0.4デシリットル/グラム以上であることが好ましく、さらには0.5デシリットル/グラム以上、また、2.0デシリットル/グラム以下、さらには1.5デシリットル/グラム以下であることが好ましい。
【0052】
さらに本発明に係るポリエステル基材シート中の環状オリゴマーの含有量は、0.70重量%以下であることが好ましい。前記ポリエステル基材シート中の環状オリゴマーの含有量が0.70重量%を越える場合には、前記基材シートと後記する導電性コート層またはアンカーコート層との接着性が弱いために、磨耗試験をした場合に導電層が剥がれてしまい、表面抵抗値が1×10Ω以上となり問題となることがある。これは、導電層などのコート時にコート剤中の溶剤や乾燥時の熱の作用によって前記基材シート表面上に環状オリゴマーが析出して導電層などの接着性を阻害したり、また前記基材シートに含有された環状オリゴマーが塗工液に移行し、これがグラビアロールの目詰まりを引き起こし、塗工ムラが発生して導電層などのコートが不完全になるからであると考えられる。
【0053】
ここで、ポリエステルは一般に種々の重合度の環状オリゴマーを含有しているが、本発明でいう環状オリゴマーとは、ポリエステルが含有している環状オリゴマーのうちで最も含有量が高い環状オリゴマーを意味し、例えば、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルの場合には環状3量体のことである。
【0054】
さらにまた、本発明に係る結晶性ポリエステルのDEG含有量は、1.0〜5.0モル%の範囲であることが好ましい。DEG含有量が1.0モル%未満の場合は、得られる基材シートと後記する導電性コート層またはアンカーコート層との接着性が弱くなり、導電性ポリエステルシートを磨耗試験した場合に導電層が剥がれて、表面抵抗値が1×10Ω以上となり問題である。またポリエステルの生産面では非常に生産性が悪い条件で生産をすることが必要となり、現実的でない。また、DEG含有量が5.0モル%を超える場合は、アンカーコート層や導電層をコートする際に基材シート表面に溶剤によるクレージングが発生し易くなり、このため摩耗試験後の表面抵抗が増加したり、導電性ポリエステルシートの引張衝撃強度特性が低下したり、またキャリアーテープなどの成形時に割れが発生したりして問題となることがある。
【0055】
また本発明に係るポリエステル基材シートには、さらにポリエステル・ポリエーテルエラストマーやポリエステル・ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性ポリエステルエラストマーを本発明の目的とする特性を損なわない範囲で添加することができる。
【0056】
また本発明に係る基材シートを構成するポリエステル組成物には、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を本発明の目的とする特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0057】
基材シートの製造方法については特に限定しないが、単軸押出機や二軸押出機によるTダイ押出法により前記ポリエステル組成物を溶融し、ダイスから押出して所定の幅、厚さの未延伸シートとして得ることが出来る。
【0058】
また本発明に係るポリエステル基材シートは、前記ポリエステル組成物からなる単層シートであっても二種以上のポリエステルを積層した多層シートであってもよい。
【0059】
本発明に係るポリエステル基材シートの引張衝撃強度は、20KJ/m以上、好ましくは30KJ/m以上、さらに好ましくは35KJ/m以上、もっとも好ましくは40KJ/m以上である。
【0060】
基材シートの厚さは、使用目的によっても異なるが一般に0.1〜1.5mmの範囲である。
【0061】
ポリエステル基材シートの引張衝撃強度が20KJ/m未満の場合は、導電層を塗布した後の耐衝撃性が低くなり、キャリアテープなどの加工時に割れが発生する場合がある。
【0062】
通常、ポリエステルの基材シートに導電層を塗布する際は有機溶媒を用いるが、この有機溶媒により基材の表面にクラックが入ったりして、耐衝撃性が低下するが、この低下を見越して、基材としては高い耐衝撃性を確保する必要がある。本発明に係るポリエステル基材シートの極限粘度は、0.60デシリットル/グラム以上が好ましく、より好ましくは0.65デシリットル/グラム以上、さらに好ましくは0.70デシリットル/グラム以上、最も好ましくは0.75デシリットル/グラム以上である。得られた基材シートの極限粘度が0.60デシリットル/グラム未満の場合は、引張衝撃強度が20KJ/mに達しない場合がある。
【0063】
ポリエステルの基材シートの引張衝撃強度を20KJ/mにする方法としては、ポリエステル基材シートの極限粘度を0.60デシリットル/グラム以上にすること、非晶性ポリエステル等をブレンドすること等を適宜用いる。
【0064】
多層シートの場合は、いずれの構成する層においてもその極限粘度0.60デシリットル/グラム以上であることが望ましい。
【0065】
本発明に係る結晶性ポリエステルの極限粘度は0.63〜2.00デシリットル/グラム、好ましくは0.65〜1.50デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.70〜1.00デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.63デシリットル/グラム未満では、導電性ポリエステルシートの基材シートの極限粘度が0.60デシリットル/グラムを保持することが非常に難しく、後記する様に得られた基材シートの引張衝撃強度特性が極端に低下し問題となる。また、2.00デシリットル/グラムを越えるポリエステルを得るには長時間の固相重合反応によるしかなく、コストアップにつながり、経済性で問題となる。
【0066】
本発明に係るポリエステル基材シートの環状オリゴマーの含有量を0.70重量%以下に維持するためには、少なくとも約0.68重量%以下のポリエステルを用いて基材シートを得ることが好ましい。なお、ポリエステルの環状オリゴマーを0.68重量%以下に低減するための方法としては、前記した固相重合法、加熱処理法などを採用することができる。また、基材シートの成型時にオリゴマーが増加するため、シート成型時には、成形温度を必要以上に高温にしない、溶融時間を短くするなどの点に留意する必要がある。
なお、オリゴマー量は現実的な生産の面からは0.05重量%以上であることが好ましい。
【0067】
本発明に係る結晶性ポリエステルのDEG含有量は、1.0〜5.0モル%の範囲である。
本発明に係る結晶性ポリエステルのDEG含有量を調節する製造方法について説明する。主たるグリコールとしてエチレングリコールを用いて結晶性ポリエステルを製造する場合は、エステル化時にDEG生成抑制剤を適量用いる方法や共重合成分として所定量のジエチレングリコールを反応系に添加して共重合させる方法などの方法を採用することができる。
【0068】
本発明に係る結晶性ポリエステルのDEG含量を制御するために、エステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
【0069】
本発明に係るポリエステル基材シートの少なくとも片面には、カーボンブラックを含む導電性組成物からなるコート剤がコーティングされる。
【0070】
また、前記導電性組成物からなる層の上にトップコート層を設けることが耐摩耗性の向上のためには好ましい。また、トップコート層は電子部品用包装容器を製造する際などでの導電性シートの滑り性の向上、あるいはブロッキング防止性などの機能を付与することにも貢献する。
【0071】
本発明において用いられる導電性コート剤は、樹脂、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、硬化剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
【0072】
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が、単独または併用して用いられ、また公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。キャリヤテープの熱成形時に基材シートと共に延伸されるため、基材シートとの接着力が大きく、延伸性のある樹脂から選択するのが好ましく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂等が用いられる。
【0073】
導電性カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。特に好ましいカーボンブラックとしては、ライオン社製ケッチェンブラックEC、キャボット社製バルカンXC−72、電気化学工業社デンカブラックなどが挙げられ、その他、ナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが好ましい。
導電性カーボンブラックの平均粒子径が0.08mm未満のものが好ましく使用される。
【0074】
またアルカリ金属化合物を添加することで、さらに電気特性を向上させることができる。特に好ましいアルカリ金属化合物としては、リチウム化合物であり、例えばLiCl、LiBr、Lil、LiSCN、LiBF 、LiAsF 、LiClO 、LiCFSO 、LiC12SO 、LiHgl 、LiAlH 、LiBH 、Li COなどの無機化合物のほか、カルボキシル基、フェノール基、スルホン酸基、リン酸基、亜リン酸基などの酸基を有する有機化合物のリチウム塩を用いることができ、これらの例としてラウリル酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ロジン酸リチウムなどが挙げられる。これらのリチウム化合物のうち、好ましくはLiClである。リチウム化合物の配合量は、リチウム原子換算で10〜50,000ppm、好ましくは50〜10,000ppm、さらに好ましくは100〜1,000ppmである。
【0075】
副次的に用いられる導電性物質としては、白艶華、酸化錫で被覆した酸化チタン粒子、ニッケル、銅、ステンレス、アルミ、酸化スズ、亜鉛、銀、金属コートガラス粉または金属コートガラスビーズ、酸化亜鉛ウィスカー、金属コート酸化亜鉛ウィスカーなどの導電性化合物などが用いられる。
【0076】
本発明に用いられるカーボンブラック用の分散剤としては、カルボン酸アマイド系が用いられるが、その中でも下記一般式(1)で示されるテトラアミド化合物を含有するカルボン酸アマイド系が好ましく、テトラアミド化合物を少なくとも10重量%以上含有するカルボン酸アマイド系がより好ましい。
R4−CONH−R2−HNOC−R1−CONH−R3−HNOC−R5 (1)
(上記一般式(1)において、R1 は二価の有機基、R2 およびR3 はそれぞれ同じかまたは異なる二価の有機基、R4 およびR5 はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるテトラアミド化合物である。)
【0077】
上記一般式(1)で表されるテトラアミド化合物としては、例えばエチレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物、エチレンジアミン−ステアリン酸−アジピン酸重縮合物及びメタキシレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物等が挙げられる。本発明に用いられるカルボン酸アマイド中には、下記一般式(2)で示される化合物を含んでいてもよい。
R7−CONH−R6−HNOC−R8 (2)
上記一般式(2)において、R6 は二価の有機基、R7 およびR8 はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるジアミド化合物である。
【0078】
上記一般式(2)で表されるジアミド化合物としては、例えばエチレン−ビス−ステアリン酸アミド、エチレン−ビス−パルミチン酸アミド及びエチレン−ビス−オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0079】
本発明で用いられる硬化剤としては、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0080】
アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂とは、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0081】
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1、4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0082】
さらにイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0083】
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1、3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0084】
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0085】
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤が上げられ、好ましくはアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤の合計量が50重量%以上、さらには60重量%以上、特には70重量%以上を占めることが好ましく、芳香族系溶剤は50重量%未満であることが好ましい。芳香族系溶剤が50重量%以上である場合には、塗工溶媒によりクレージング(微細なひび割れ)が発生し易くなり、導電層がひび割れし易くなり、磨耗試験時にひび割れ部から剥がれやすくなり、表面抵抗値の増加が大きくなることがある。
【0086】
具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ノルマルペンタノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の脂肪族系アルコール、ベンジルアルコール等の芳香族系アルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン等のケトン系溶剤、三酢酸グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセト酢酸エチル、酢酸アセトン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。
【0087】
ブロッキング防止のために、無機粒子、不活性粒子あるいはワックスなどを添加することが可能である。
【0088】
ワックスとしては、次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪族と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0089】
本発明に好適に用いられるワックスは、分散性から炭化水素ワックスが好ましく用いられる。例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、オレフィンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等で重合した低分子のポリオレフィン、高分子量のポリオレフィンを熱減成して得られるポリオレフィン、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留成分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。酸化防止剤が添加されていても良い。さらに、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行った物が好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(原料は石炭であっても、天然ガスであってもかまわない)、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのオレフィンをチーグラー触媒、メタロセン触媒により重合した炭化水素は分岐が少なく、飽和の長い直鎖状炭化水素がある。
【0090】
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げらる。
【0091】
好ましくはポリオレフィンワックス系、更には好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体が分散性、ブロッキング性が良好な傾向にある。
【0092】
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、硬化剤が1〜50重量%、ブロッキング防止剤及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
なお、アンカーコート剤で先にプライマー処理を行なう場合は、硬化剤は用いなくてもよい。
【0093】
導電性コート剤は、後記する方法によって基材シート、または基材シート上のアンカーコート層の上にコートされるが、表面抵抗値が1×10Ω以下のような高導電性を要求される場合には、導電性コート層の上にさらに少なくとも一層の導電性組成物をコートすることが好ましい。この場合、一層目と二層目の導電性コート剤の組成は、同じであってもまた異なっていてもよい。
導電性組成物からなるコート層の厚みは、1〜30μmが好ましい。
【0094】
本発明においては、導電性組成物コート層の上にさらにトップコート層を形成しておくことが非常に好ましい。トップコート層は、樹脂、無機粒子や不活性粒子、ワックスおよび有機溶剤からなるトップコート剤を導電性コート層の上に塗布する。
【0095】
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0096】
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤が上げられ、好ましくはアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤の合計量が50重量%以上、さらには60重量%以上、特には70重量%以上を占めることが好ましく、芳香族系溶剤は50重量%未満であることが好ましい。芳香族系溶剤が50重量%以上である場合には、塗工溶媒により基材にクレージング(微細なひび割れ)が発生し易くなり、これにつられて導電層がひび割れし易くなり、磨耗試験時の表面抵抗値の増加が大きくなることがある。
【0097】
具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ノルマルペンタノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の脂肪族系アルコール、ベンジルアルコール等の芳香族系アルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン等のケトン系溶剤、三酢酸グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセト酢酸エチル、酢酸アセトン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。
【0098】
ブロッキング防止のために、無機粒子、不活性粒子あるいはワックスなどを添加することが可能である。
【0099】
ワックスとしては、次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪族と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0100】
本発明に好適に用いられるワックスは、分散性から炭化水素ワックスが好ましく用いられる。例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、オレフィンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等で重合した低分子のポリオレフィン、高分子量のポリオレフィンを熱減成して得られるポリオレフィン、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留成分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。酸化防止剤が添加されていても良い。さらに、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行った物が好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(原料は石炭であっても、天然ガスであってもかまわない)、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのオレフィンをチーグラー触媒、メタロセン触媒により重合した炭化水素は分岐が少なく、飽和の長い直鎖状炭化水素がある。
【0101】
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げらる。
【0102】
好ましくはポリオレフィンワックス系、更には好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体が分散性、ブロッキング性が良好な傾向にある。
【0103】
各主成分の含有量は、樹脂分が1〜50重量%、粒子分やワックス分が0.1〜10重量%及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
【0104】
本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、トップコート剤としてはアクリル系樹脂を主剤とするコート剤が最も好ましく、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0105】
アクリル系樹脂の具体例としては、たとえば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジグリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸などから選ばれた少なくとも一種からなるアクリル系樹脂、あるいは、これらの単量体と、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビリニデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン、二重結合含有ポリエステル樹脂等から選ばれる少なくとも1種以上のエチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。
これらの樹脂は、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基を含有、変性しても良い。
【0106】
これらの(メタ)アクリル酸エステル単位を含有するアクリルは、水酸基は水酸基含有不飽和単量体を共重合して(メタ)アクリル酸エステル系樹脂に導入できる。水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、たとえば、エチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコールまたはエポキシ化合物と、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体等を挙げることができる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種以上を重合して水酸基含有有機樹脂を製造することができる。
トップコート層の厚みは、0.01〜10μmが好ましい。
【0107】
前記ポリエステル基材シートと導電性組成物層との間の密着強度をさらに向上さすために、基材シート塗布面にコロナ処理を行ったり、別のアンカーコート剤でプライマー処理等を行っても差し支えない。
【0108】
本発明において用いられるアンカーコート剤は、前述のように、基材シートへの導電性コート剤の密着性向上と導電性コート剤中の有機溶剤から保護するために、基材シートの表面に最初に施しておくことが好ましい。
【0109】
アンカーコート剤としては、樹脂、硬化剤、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
【0110】
樹脂としては、基材シートとの接着力が大きく、キャリヤテープの熱成形時に基材シートと共に延伸されるため、延伸性のある樹脂から選択するのが好ましいく、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が用いられる。この中でも、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂と硬化剤からなるコート剤が用いられる。必要によりそれぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0111】
導電性カーボンブラックとしては、前記と同じものを用いることができる。
また分散剤としては、前記と同じものを用いることができる。
また有機溶剤としては前記と同じものを用いることができる。
硬化剤としては、導電性コート剤に用いられる前記の化合物が挙げられる。
【0112】
各主成分の含有量は、樹脂分が1〜50重量%、硬化剤が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、アンカーコート剤としては、樹脂、硬化剤を主剤とし、カーボンブラックを含有するコート剤が最適である。
アンカーコート層の厚みは、通常、0.01〜10μmが好ましい。
【0113】
また、前記の各種コート剤には、前記の主成分以外に、導電性シートの成形性、ブロッキング性、導電性に影響を及ぼさない範囲で、1種以上の添加剤を適宜混合してもよい。使用する添加剤としては、特に制限はなく、たとえば、一般に使用される各種レベリング剤、染料、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤などを挙げることができる。
【0114】
これらのアンカーコート剤、導電性コート剤およびトップコート剤の基材シートへの塗布方法としては、従来公知の浸漬法、スプレ−法、グラビヤコーティング法、リバースロールコーティング法、ダイレクトロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、エアナイフコーティング法、スクイズコーティング法、キスコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコーティング法等で実施すればよいが、良好な導電性及び均一なコート層膜厚を得るためには、グラビヤコーティング法を用いることが望ましい。
【0115】
また導電性ポリエステルシートからなるキャリアテープは、比較的高価な電子部品を入れることが多いためにその部品の状態を監視するために画像処理をすることが多い。画像処理を行う場合にキャリアテープ表面に光沢があると光の反射により画像処理にエラーが出やすい。したがって、導電性コート層側の表面光沢度は40%以下、好ましくは30%以下である。表面光沢度を40%以下にする方法としては、マット加工する方法や粒子状物含有導電性コート剤を最表面層にコートする方法などが挙げられる。
【0116】
本発明の導電性ポリエステルシートは、LSI、コンデンサー等の電子部品を収納運搬及び実装工程を補助するために使用されるキャリヤテープやトレー等の電子部品用包装容器に用いられる。
【0117】
本発明の導電性ポリエステルシートを用いた電子部品包装用キャリアテープの作製方法としては特に限定しないが、従来よりキャリアテープの成形方法として用いられている真空成形法、圧空成形法、プレス成形法等により作製される。また、前記キャリアテープを用いて電子部品を包装した包装体の作製方法も特に限定しないが、テーピングマシンによりキャリアテープの成形ポケット部分に電子部品を挿入し、カバーテープでシールすることにより作製される。
【0118】
本発明の電子部品用包装容器は、その未成形部分は言うに及ばず、収納された電子部品と接触する成形ポケット部の延伸された部分の表面抵抗値も1×10Ω未満であり問題なく使用できる。
【0119】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0120】
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0121】
(2)ポリエステルのジエチレングリコ−ル含有量(以下[DEG含有量]という)
メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
【0122】
(3)ポリエステルの環状オリゴマーの含有量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法より環状オリゴマーを定量した。ここで、ポリエステルが含有している環状オリゴマーのうちで最も含有量が多い環状オリゴマー(PETの場合は、環状3量体)を測定する。
【0123】
(4)シートの引張衝撃強度
ASTM−D−1822の方法によって測定する。
【0124】
(5)表面抵抗値
JIS K6911の方法にしたがって、導電性ポリエステルシートの延伸前後の表面抵抗値を20±2℃、65±5%RHの雰囲気下で測定する。
測定器は、三菱化学(株)ハイレスタMCP−HT450。
【0125】
(6)導電性ポリエステルシートの剥離試験
コート層表面に接着させたセロテープ(R)をコート面から剥す時に、コート面が基材シートから剥離するかどうかで以下のように評価した。
コート面が剥離せず、セロテープ(R)に全く付着しない。 :○
コート面が僅かに剥離し、セロテープ(R)に付着する。 :△
コート面が完全に剥離し、セロテープ(R)に付着する。 :×
【0126】
(7)ポリエステル基材シートの製膜
脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥したPETをベント式単軸シート製膜機で樹脂温度290℃で溶融押出し、厚さ0.3mm、幅640mmの単層PETシートを得た。
非晶性熱可塑性ポリエステルを混合使用する場合は、同様にして乾燥したあと、前記のPETに所定量混合し、ほぼ同様にして製膜した。
【0127】
(8)コート法
先ず、グラビア印刷機(中島精器エンジニアリング製 GX−II型)を用いて、下記アンカーコート剤を基材シートに印刷し、約80℃で加熱処理してアンカーコート層を形成する。
次いで、印刷版としてグラビアダイレクトべた版(線画部;1インチ当たり175線、セルの深さ35μm)を使用し、グラビア印刷機(中島精器エンジニアリング製 GX−II型)を用いて、下記の導電性コート剤を版上で回転させ、コート剤バット中の溶剤を飛散させながらコート剤粘度を上げ印刷時にスクリーン目が出る状態を探し、印刷速度70m/分で上記基材シート上にべた印刷した。このときの導電性コート剤の粘度はザーンカップ法(3号)で27秒であった。次いで、導電性コート剤の印刷層を80℃で熱硬化し、第1層目の導電性コート剤層を形成した。この第1層上に位相をずらして、同様にして第2層目をそれぞれ行った。このとき、第2層目印刷時の導電性コート剤の粘度は23秒であった。
【0128】
次いで、第2層目の積層を終えた導電性コート層上に、下記のトップコート剤を上記の導電性コート剤の場合と同様のグラビア印刷法により印刷し、トップコート層を形成させて、本発明の導電性ポリエステルシートを得た。
アンカーコート剤:カーボンブラック 12部、ポリエーテルエステルウレタン樹脂 84部を配合し、充分プレミックスした後、チルド3本ロール混練り機で分散した後、ポリイソシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアルコールアダクト 固形分60% メチルエチルケトン溶解品)を4固形部添加して攪拌機で攪拌してアンカーコート剤を作成した。各樹脂の溶解にはメチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール混合溶剤(50/20/30重量比)を用いた。
【0129】
導電性コート剤 :導電性カーボンブラック 5部、アクリル樹脂(メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート共重合樹脂、数平均分子量 60000)90部、ポリエチレンワックス 5部を配合し、充分プレミックスした後、チルド3本ロール混練り機で分散した。各樹脂の溶解にはメチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール混合溶剤(40/10/50重量比)を用いた。
【0130】
トップコート剤 :アクリル樹脂(エチルメタアクリレート/メチルアクリレート/メチルメタアクリレート共重合樹脂)91部、シリカ9部を配合し、充分プレミックスした後、チルド3本ロール混練り機で分散した。各樹脂の溶解にはメチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコール混合溶剤(50/10/40重量比)を用いた。
【0131】
(9)導電性シートの磨耗試験
(8)で得られた導電性シートをJIS K−6902に基づくテーバー摩耗試験において、0.3kg荷重で500回転後磨耗試験を実施し、(5)の方法で表面抵抗値を測定する。
【0132】
(実施例1)
固相重合により得られた、極限粘度1.01デシリットル/グラム、環状オリゴマー含有量0.30重量%、DEG含有量1.3モル%のPET100重量部と極限粘度0.73デシリットル/グラムのテレフタル酸とエチレングリコ−ルおよびネオペンチルグリコール(NPGと称する)からの共重合ポリエステル(共重合したNPG含有量=30モル%、極限粘度0.73デシリットル/グラム)5重量部を用いて、前記(7)の方法により製膜し基材シートを得た。
【0133】
これを前記(8)の方法でコート処理し、導電性シートを得た。表1に記載したように、基材シートの極限粘度は0.85デシリットル/グラム、環状オリゴマー含有量0.35重量%、DEG含有量は1.3モル%、引張衝撃強度は32KJ/mと高く、コート処理後の導電性シートの表面抵抗値は1×10Ω未満、またセロテープ(R)剥離試験は「○」と問題なかった。
【0134】
本実施例の導電性ポリエステルシートを用いて前記(9)の方法により磨耗試験を実施した後の表面抵抗値は1×10Ωと特に問題はなかった。また、キャリアテープ用成形機で圧空成形によりキャリアテープを作製した(ポケット側壁部の延伸倍率約2.5倍)が、特に問題はなく良好なキャリアテープが得られた。さらに得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入してカバーテープでシールしたところ、特に問題なく電子部品用容器を作製できた。また、これを30分間激しく振った後、カバーテープをはがしてポケット部の内面を観察したところ、導電層の剥がれもほとんど認められなかった。
【0135】
(実施例2)
固相重合により得られた、極限粘度1.01デシリットル/グラム、環状オリゴマー含有量0.30重量%、DEG含有量3.2モル%のPET100重量部と極限粘度0.73デシリットル/グラムのテレフタル酸とエチレングリコ−ルおよびネオペンチルグリコール(NPGと称する)からの共重合ポリエステル(共重合したNPG含有量=30モル%、極限粘度0.73デシリットル/グラム)10重量部を用いて、実施例1と同様にし製膜し基材シートを得た。
【0136】
実施例1と同様にしてコート処理し、導電性シートを得た。表1に記載したように、基材シートの極限粘度は0.86デシリットル/グラム、環状オリゴマー含有量0.35重量%、DEG含有量は3.2モル%、引張衝撃強度は33KJ/mと高く、コート処理後の導電性シートの表面抵抗値は1×10Ω未満、またセロテープ(R)剥離試験は「○」と問題なかった。
【0137】
本実施例の導電性ポリエステルシートを用いて、実施例1と同様にして前記(9)の方法により磨耗試験を実施した後の表面抵抗値は1×10Ωと特に問題はなかった。また、キャリアテープ用成形機で圧空成形によりキャリアテープを作製したが、特に問題はなく良好なキャリアテープが得られた。さらに得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入してカバーテープでシールしたところ、特に問題なく電子部品用容器を作製できた。この容器を保管、2日間のトラックによる輸送をして実装試験を行なったが問題なかった。
【0138】
(実施例3)
固相重合により得られた、極限粘度1.00デシリットル/グラム、環状オリゴマ−含有量0.31重量%、DEG含有量1.8モル%のPET100重量部と極限粘度0.73デシリットル/グラムのテレフタル酸とエチレングリコ−ルおよびネオペンチルグリコール(NPGと称する)からの共重合ポリエステル(共重合したNPG含有量=30モル%、極限粘度0.72デシリットル/グラム)25重量部を用いて、実施例1と同様にし製膜し基材シートを得た。
【0139】
実施例1と同様にしてコート処理し、導電性シートを得た。表1に記載したように、基材シートの極限粘度は0.85デシリットル/グラム、環状オリゴマー含有量0.35重量%、DEG含有量は1.8モル%、引張衝撃強度は44KJ/mと高く、コート処理後の導電性シートの表面抵抗値は1×10Ω未満、またセロテープ(R)剥離試験は「○」と問題なかった。
【0140】
本実施例の導電性ポリエステルシートを用いて、実施例1と同様にして前記(9)の方法により磨耗試験を実施した後の表面抵抗値は1×10Ωと特に問題はなかった。また、キャリアテープ用成形機で圧空成形によりキャリアテープを作製したが、特に問題はなく良好なキャリアテープが得られた。さらに得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入してカバーテープでシールしたところ、特に問題なく電子部品用容器を作製できた。この容器を保管、輸送して実装試験を行なったが問題なかった。
【0141】
(比較例1)
溶融重縮合のみで得られた、極限粘度0.57デシリットル/グラム、環状オリゴマ−含有量1.1重量%、DEG含有量1.3モル%のPETを用いた基材シートを前記(8)記載の方法で導電性コート処理し、トップコート処理を省略して導電性シートを得た。表1に記載したように、基材シートの極限粘度は0.52デシリットル/グラム、環状オリゴマ−含有量1.2重量%、DEG含有量は1.3モル%、引張衝撃強度は10KJ/mとかなり低く、コート処理後の導電性シートの表面抵抗値は1×10Ωと問題なかったが、セロテープ(R)剥離試験は「×」と問題であった。
【0142】
この導電性ポリエステルシートを用いて、実施例1と同様にして前記(9)の方法により磨耗試験を実施した後の表面抵抗値は5×10Ωと悪くなっていた。また、本導電性ポリエステルシートを用いて、実施例1と同様の方法でキャリアーテープを作成し、得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入する実装試験を行なったが、前記ポケット部に割れが生じ、またコート層が簡単に剥がれ、あるいは電子部品との接触によってカーボンブラックが脱落したものが多く、製品としての歩留まりが非常に悪く問題であった。
【0143】
【表1】
Figure 2004255736
【0144】
【発明の効果】
本発明による導電性ポリエステルシートは、カーボンブラックを練り込むことによって生ずる耐折強度、衝撃強度などの機械的強度の低下がなく、これより得られた電子部品用包装容器の内容物である電子部品の保護のために十分な導電性性能と十分な機械的強度、特に耐衝撃性、耐磨耗性に優れ、しかも低コストの導電性ポリエステルシートとして最適である。

Claims (7)

  1. 主として結晶性ポリエステルからなる基材シートの少なくとも片面に、カーボンブラックを含有する導電性組成物からなるコート層およびその上にトップコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、導電性組成物コート層側の表面抵抗値および前記導電性ポリエステルシートの導電性組成物コート層側の表面を磨耗試験した後の、前記コート層側の表面抵抗値が、それぞれ1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシート。
  2. 前記ポリエステルが、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリエステルシート。
  3. 前記ポリエステルが、エチレンテレフタレートを主繰返し単位とするポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリエステルシート。
  4. 前記基材シートの少なくとも片面に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ポリエステルシート。
  5. 前記基材シートの少なくとも片面にアンカーコート層を形成させ、その上に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ポリエステルシート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ポリエステルシートを用いてなることを特徴とする電子部品用包装容器。
  7. 前記電子部品用包装容器が、エンボスキャリヤーテープであることを特徴とする請求項6に記載の電子部品用包装容器。
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