JP6795569B2 - カバーテープおよび電子部品用包装体 - Google Patents
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しかしながら、これまでの剥離帯電圧の測定方法では、カバーテープの高度な特性を判別することが困難であった。例えば、50%RHで十分に低い剥離帯電圧であったとしても、30%RHでは剥離帯電圧が高い値を示すことが分かった。このため、50%RHの剥離帯電圧が低くても、搬送や保管環境条件が変動したとき、実装不良率が高くなる恐れがあった。また、測定箇所に応じて剥離帯電圧が変動するため、3回の測定回数では不十分であった。このため、カバーテープ全体に生じた特性のバラツキを十分に評価できない恐れがあった。
基材層および前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層を備えており、紙製キャリアテープをシールするために用いる、カバーテープであって、
前記シーラント層中に帯電防止剤が含まれるか、及び/又は前記シーラント層の表面に帯電防止層が形成されており、
前記シーラント層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む、
下記の手順(1)〜(4)に基づいて算出される前記シーラント層側のシール面における剥離指数が4.1以上47.8以下であり、P 30 が500以下である、カバーテープが提供される。
(手順)
(1)当該カバーテープを5.3mm幅にスリットし、帯状の評価用カバーテープを作製する。
(2)続いて、テーピングマシンを用いて、ポケットを有しない紙製基材の表面に対して、得られた前記評価用カバーテープの前記シーラント層側の前記シール面を、170℃、4kg/cm2、0.005秒の条件で熱シールし、帯状の包装体を作製する。
(3)その後、25℃、30%RHまたは50%RHの環境湿度の下、テープフィーダーを用いて、搬送速度:2400mm/min、剥離角度:約180度の条件で、前記紙製基材から前記評価用カバーテープを連続的に剥離し、剥離直後の前記評価用カバーテープの剥離面における剥離帯電圧を、測定器を使用して3万回連続的に測定する。
(4)環境湿度が30%RHの条件の下、前記剥離帯電圧を3万回連続的に測定し、得られた測定値の中で最も大きな絶対値をP30とし、環境湿度が50%RHの条件の下、前記剥離帯電圧を3万回連続的に測定し、得られた測定値の中で最も大きな絶対値をP50としたとき、前記シーラント層側のシール面における前記剥離指数をP30/P50に基づいて算出する。
電子部品を収納する部品収納部が所定の間隔で並んで形成されている紙製キャリアテープと、
前記紙製キャリアテープに形成された前記部品収納部を覆うように設けられたカバーテープと、を備える、電子部品用包装体であって、
前記カバーテープは、上記のカバーテープである、電子部品用包装体が提供される。
本実施形態において、カバーテープ10のシール面は、紙製キャリアテープの表面と対向して、ヒートシールされる面を意味する。シール面としては、例えば、シーラント層の表面、または、シーラント層の表面に積層された、帯電防止層などの他の層の表面が挙げられる。
(1)当該カバーテープを5.3mm幅にスリットし、帯状の評価用カバーテープを作製する。評価用カバーテープの幅は、テープフィーダーに応じて適宜変更してもよい。
測定器の測定箇所は、帯状の包装体の長手方向に対して直交する方向を幅方向としたとき、幅方向における評価用カバーテープの中央部分としてもよい。
(i)高湿度条件(50%RH)の剥離帯電圧、低湿度条件(30%RH)の剥離帯電圧の2つの比を指針とすることで、搬送や保管環境条件が変動したときでも、実装不良率を制御できること。
(ii)その剥離帯電圧の測定回数を3万回とすることで、カバーテープ全体における、実装不良率等の特性のバラツキを安定的に評価できること。
(iii)3万回の測定値の最大値を指針とすることで、カバーテープの高度な特性を評価できること。最大値を指標とすれば、平均値よりも厳しい水準で評価されることになるため、より一層、カバーテープ全体の特性を安定的に評価可能である。
上記(ii)に関して:測定箇所に応じて剥離帯電圧が大きく変動することがある。数点から数十点では、カバーテープ全体の特性を評価する点で不十分な条件である。
上記(iii)に関して:剥離帯電圧の測定値の平均値を指標とした場合、一般的に最大値よりも小さい値が示されるため、平均値と最大値の差分がどの程度か見えにくくなる。実際の不具合は剥離帯電圧が大きい値を示す部分で生じる。平均値の指標は、カバーテープ全体の特性を評価する点で不十分である。
上記エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマーなどの樹脂が挙げられる。このような樹脂を用いることより、キャリアテープ20に対する剥離強度を好適なものとすることができる。
1.0×10−3≦R1/R2≦1.0×103 ・・式(II)
また、上記シーラント層2側の表面抵抗率の下限値は、特に制限されるものではないが、たとえば、1.0×105Ω以上としてもよい。
上記アジリジニル化合物は、一般に、アジリジニル基を有する化合物のことを指し、その具体例としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジカルボキシアミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、上記アジリジニル化合物として、日本触媒社製のケミタイトPZ−33、DZ−22E等の市販品を使用することもできる。なお、アジリジニル化合物の開環化合物は、アジリジニル化合物中のアジリジニル基が開環した状態にある化合物のことを指す。
0.30≦D2/D1≦0.60 ・・式(I)
上記D2/D1は、例えば、0.30以上0.60以下であり、好ましくは0.35以上0.55以下であり、より好ましくは0.40以上0.50以下である。このような数値範囲内とすることで、機械的強度とともに、ロール状に巻回時における柔軟性を維持できる。
本実施形態の包装体100(電子部品用包装体)は、電子部品を収納する部品収納部(ポケット21)が所定の間隔で並んで形成されている紙製キャリアテープ(キャリアテープ20)と当該紙製キャリアテープに形成された部品収納部(ポケット21)を覆うように設けられた、上述のカバーテープ10とからなる部品収納テープで構成することができる。本実施形態の包装体100を構成する部品収納テープは、リール状に巻き取り可能であってもよい。
まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品を収容する。次いで、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面にカバーテープ10をヒートシールによって接着することで、電子部品が包装体100内に密封収容されてなる構造体を得る。
かかる電子部品を収容してなる構造体は、紙製あるいはプラスチック製のリールに包装体100を巻いた状態で、電子回路基板等に表面実装を行う作業領域まで搬送される。
この構造体が作業領域まで搬送された後、カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離し、収容された電子部品を取り出す。
・PET1:二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、E7410、帯電防止コート)
・LDPE:低密度ポリエチレン(住友化学社製、スミカセンL705)
・EVA1:85質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、ウルトラセン537)に、15質量%の帯電防止剤1を練り込むことで作製された界面活性剤含有エチレン酢酸ビニル共重合体。
・EVA2:エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、ウルトラセン537)
・帯電防止剤1:高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、ペレクトロンPVL)
・帯電防止剤2:非イオン性界面活性剤(花王社製、エレクトロストリッパーTS−7B)
(実施例1)
膜厚25μmのPET1の基材層上に押出ラミネート法により、中間層としてLDPEを押出温度300℃で厚み10μmに製膜した。
押出ラミネーターを用いて、製膜した中間層の上にさらにシーラント層としてEVA1を押出温度280℃で厚み20μmに製膜し、積層フィルムを得た。
その際、押出された積層フィルムを、金属製冷却ロールとシリコンゴム製のマットロールとで挟持して引き取った。このとき、金属製冷却ロールとシーラント層とを接触させた。
以上により、実施例1の積層フィルム(カバーテープ)を得た。
基材層、中間層、シーラント層について、表1に示す材料や製造条件を採用、さらに、表1に示す帯電防止剤2を固形分1重量%で分散させた分散液(分散液全量を100重量%とする)を調製し、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層フィルム(カバーテープ)を得た。
基材層、中間層、シーラント層について、表1に示す材料や製造条件を採用、さらに、表1に示す帯電防止剤2を固形分0.5重量%で分散させた分散液(分散液全量を100重量%とする)を調製し、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.25g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の積層フィルム(カバーテープ)を得た。
基材層、中間層、シーラント層について、表1に示す材料や製造条件を採用、さらに、表1に示す帯電防止剤2を固形分0.2重量%で分散させた分散液(分散液全量を100重量%とする)を調製し、グラビアロールで乾燥後の塗布量が0.1g/m2となるように、シーラント層表面に塗工して帯電防止層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層フィルム(カバーテープ)を得た。
下記の手順(1)〜(3)に従い、剥離帯電圧P30、P50を測定した。
(1)得られたカバーテープを5.3mm幅にスリットし、帯状の評価用カバーテープを作製した。
50%RHの環境湿度の下、30%RHの場合と同様にして、剥離帯電圧を3万回連続的に測定した。
なお、30%RHの場合、50%RHの場合のいずれも、3万回の剥離帯電圧の最大値において、大きく外れた値が無かったため、最大値をそのままP30、P50とした。
実施例及び比較例で得られた各カバーテープについて、JIS K6911に基づき、温度23℃、相対湿度50%環境下で、表面抵抗測定器(SIMCO社製)を用いて、シーラント層側のシール面における表面抵抗率R1、基材層側の表面における表面抵抗率R2を測定した。なお、単位は、Ωである。結果を表1に示す。
実施例および比較例で得られたカバーテープを、1万個のセラミックコンデンサを各ポケットに収容した紙キャリアテープ(トーテック社製)の表面に熱シールして、電子部品包装体を作製した。
その後、25℃、30%RH環境下、電子部品包装体からカバーテープを剥離しつつ、実装機を用い、装着タクト0.10秒/チップで、紙キャリアテープのポケットに収納したセラミックコンデンサを1万個実装した。
このときの実装不良率を下記の式に基づいて算出した。
実装不良率(%)=[(実装されなかったセラミックコンデンサの個数)/(セラミックコンデンサの全数)]×100
実装されなかったセラミックコンデンサは、カバーテープ剥離時に発生した静電気によってカバーテープに付着したものである。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた各カバーテープを5.3mm幅にスリットし、紙製キャリアテープ(トーテック社製)の表面に、テーピングマシン(東京ウェルズ社製:TWA−6621)を用いて、170℃、4kg/cm2、0.01秒の条件で熱シールし、熱シール直後の剥離強度を測定した。なお、剥離強度の測定は、剥離試験機を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度約180°の条件で行った。結果を表1に示す。
紙キャリアテープの場合、通常、20gf以上50gf以下であれば密着性が良好であると判断できる。
また、実施例1〜3のカバーテープをキャリアテープに熱シール後、リールに巻くことにより、リール状に巻き取られた電子部品用包装体が得られた。得られた電子部品用包装体において、紙製キャリアテープとカバーテープとの密着性に優れるための良好な密封性が得られており、搬送処理などによって、電子部品がカバーテープに対して付着することが抑制されることが分かった。
2 シーラント層
3 導電層
10 カバーテープ
10a 表面
20 キャリアテープ
20a 底面
21 ポケット
100 包装体
Claims (9)
- 基材層および前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層を備えており、紙製キャリアテープをシールするために用いる、カバーテープであって、
前記シーラント層中に帯電防止剤が含まれるか、及び/又は前記シーラント層の表面に帯電防止層が形成されており、
前記シーラント層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む、
下記の手順(1)〜(4)に基づいて算出される前記シーラント層側のシール面における剥離指数が4.1以上47.8以下であり、P 30 が500以下である、カバーテープ。
(手順)
(1)当該カバーテープを5.3mm幅にスリットし、帯状の評価用カバーテープを作製する。
(2)続いて、テーピングマシンを用いて、ポケットを有しない紙製基材の表面に対して、得られた前記評価用カバーテープの前記シーラント層側の前記シール面を、170℃、4kg/cm2、0.005秒の条件で熱シールし、帯状の包装体を作製する。
(3)その後、25℃、30%RHまたは50%RHの環境湿度の下、テープフィーダーを用いて、搬送速度:2400mm/min、剥離角度:約180度の条件で、前記紙製基材から前記評価用カバーテープを連続的に剥離し、剥離直後の前記評価用カバーテープの剥離面における剥離帯電圧を、測定器を使用して3万回連続的に測定する。
(4)環境湿度が30%RHの条件の下、前記剥離帯電圧を3万回連続的に測定し、得られた測定値の中で最も大きな絶対値をP30とし、環境湿度が50%RHの条件の下、前記剥離帯電圧を3万回連続的に測定し、得られた測定値の中で最も大きな絶対値をP50としたとき、前記シーラント層側のシール面における前記剥離指数をP30/P50に基づいて算出する。 - 請求項1に記載のカバーテープであって、
当該カバーテープ全体の厚みをD1とし、前記基材層の厚みをD2としたとき、
D1、D2が以下の式(I)を満たす、カバーテープ。
0.30≦D2/D1≦0.60 ・・式(I) - 請求項1または2に記載のカバーテープであって、
前記基材層がポリエステル系樹脂を含有する、カバーテープ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のカバーテープであって、
前記シーラント層がポリオレフィン系樹脂を含有する、カバーテープ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバーテープであって、
23℃、50%RHにおける、前記シーラント層側の前記シール面における表面抵抗率が1.0×105Ω以上5.0×1012Ω以下である、カバーテープ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバーテープであって、
ロール状の芯材を備えるものであり、
前記シール面とは反対に位置する前記基材層側の表面を芯材側にして、当該カバーテープを巻回してなる、ロール状のカバーテープ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のカバーテープであって、
当該カバーテープ全体の厚みが25μm以上200μm以下である、カバーテープ。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のカバーテープであって、
当該カバーテープの幅が1mm以上100mm以下である、カバーテープ。 - 電子部品を収納する部品収納部が所定の間隔で並んで形成されている紙製キャリアテープと、
前記紙製キャリアテープに形成された前記部品収納部を覆うように設けられたカバーテープと、を備える、電子部品用包装体であって、
前記カバーテープは、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカバーテープである、電子部品用包装体。
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