JP2002100237A - 導電性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

導電性樹脂組成物及びその成形品

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JP2002100237A
JP2002100237A JP2000284959A JP2000284959A JP2002100237A JP 2002100237 A JP2002100237 A JP 2002100237A JP 2000284959 A JP2000284959 A JP 2000284959A JP 2000284959 A JP2000284959 A JP 2000284959A JP 2002100237 A JP2002100237 A JP 2002100237A
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JP
Japan
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resin composition
group
conductive
conductive resin
polyolefin resin
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Application number
JP2000284959A
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English (en)
Inventor
Junichi Yoshioka
淳一 吉岡
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い導電性を安定的に有し、流動性、柔軟性
に富んだ成形品を得る。 【解決手段】 少なくともポリオレフィン樹脂と、カー
ボンブラック、グラファイト、金属粉、金属フレ−クか
ら選ばれる1種又は2種以上の導電材料とを含有する導
電性樹脂組成物であって、上記ポリオレフィン樹脂の少
なくとも一部がメタロセン系触媒により重合されたポリ
オレフィン樹脂であることを特徴とする導電性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂に導電性を付与せしめ、シート、フィルム等の成形品
に供される導電性樹脂組成物であり、得られた成形品が
安定した高い導電性、柔軟性を有することを特徴とす
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンを基体樹脂とし、導電材
料として特にカーボンブラックを配合した組成物は、価
格、成形性、軽量、耐候性、耐薬品性、耐食性等が良好
な点からICトレイ、マガジンレール等の電子部品の静
電破壊対策用として、また面状発熱体の発熱素子として
広く用いられてきた。
【0003】しかしながら、ポリオレフィン樹脂は本来
絶縁性樹脂であるため、そのものに導電性を付与させる
ためには多量の導電材料を配合させる必要がある。例え
ば、汎用的な導電性付与材として用いられているカーボ
ンブラックの場合、その比表面積にもよるが、概ね10
〜30重量%の配合量が得られないと、静電破壊防止用
として必要とされる108 Ω・cm以下の導電性は得ら
れないことが経験的にわかっている。
【0004】また、更に導電性を高める用途、例えば面
状発熱体、プラスチック電極等においては、その設計に
もよるが場合によっては102 Ω・cm以下の導電性が
要求されることもあり、カーボンブラックを高濃度で配
合することが要求される。
【0005】カーボンブラックを樹脂中に高濃度に配合
することは、マトリックス中のカーボン間の接触頻度が
増し、結果的に導電性が向上するほか、接触頻度が増す
ことで導電性の発現が安定的になるため、成形品の抵抗
値のばらつきが生じにくい特徴がある。この特徴は図1
および図2によりモデル化されている。
【0006】図1はカーボンブラックが樹脂中に少量添
加されたモデルである。この場合、導電性の発現は、カ
ーボンブラック間の直接の接触はもとより、電子のジャ
ンピング効果(カ−ボンブラック間の点線で示してい
る。)にも依存している。しかしながらカーボンブラッ
クの偏在、カ−ボンブラックストラクチャーの大きさや
混練処理時の破壊によるばらつき等の影響を受けやす
く、また、必ずしも電子のジャンピング効果が一定でな
いため、導電性のばらつきは抑えきれない可能性があ
る。
【0007】図2はカーボンブラックが樹脂中に多量添
加されたモデルである。この場合、導電性の発現は、カ
ーボンブラック間の直接の接触によるところが大部分を
占め、少量添加された場合に生じるカーボンブラックの
偏在、混練処理によるストラクチャー破壊のばらつきの
影響、不安定な電子のジャンピング効果による導電性の
発現等の要因は無視されうるため、結果的に安定した導
電性が得られる。
【0008】しかしながら、樹脂中にカーボンブラック
が多量に添加される場合、例えば引張破断点伸びの低
下、メルトフローレート(M.F.R.)低下等による押出成
形性の悪化、成形品の柔軟性低下による割れの発生等の
問題を避けることが出来なかった。
【0009】カーボンブラックよりも高導電性の導電材
料、例えばカーボン繊維、ステンレス繊維等の繊維状物
等を用いることにより導電材料の添加量を減らして樹脂
組成物の流動性、柔軟性を保持する方法もあるが、これ
らの材料は概して剪断耐性が弱く溶融混練および押出成
形中に繊維が切断されやすいため、安定した導電性を発
現させることは困難であった。
【0010】カーボンブラックを高濃度に添加し、高い
導電性を安定的に発現せしめるためには、高い流動性と
優れたゴム弾性を兼ね備えた熱可塑性樹脂の使用が必須
条件となる。これらの条件を満たすものとして現在上市
されている熱可塑性エラストマーの使用が考えられる
が、これらの多くは流動性を向上させるための樹脂成分
とゴム弾性を得るためのゴム成分の物理的、化学的な混
合物である場合が多く、流動性とゴム弾性のバランスは
上記2成分の配合バランスによるところがある。換言す
ると、高いゴム弾性を有するグレードは概して架橋され
た流動性の低いゴム成分の配合量が多く、流動性が悪化
する傾向があるため、カーボンブラックを高充填し、且
つ流動性と弾性を同時に得ることは無理があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィン樹脂に導電性を付与させるために起こりうる弊害で
ある、引張破断点伸びの低下および流動性の悪化を廉価
にて抑制し、安定した導電性を有する導電性樹脂組成物
及びその成形品の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
少なくともポリオレフィン樹脂と、カーボンブラック、
グラファイト、金属粉、金属フレ−クから選ばれる1種
又は2種以上の導電材料とを含有する導電性樹脂組成物
であって、上記ポリオレフィン樹脂の少なくとも一部が
メタロセン系触媒により重合されたポリオレフィン樹脂
であることを特徴とする導電性樹脂組成物である。
【0013】第2の発明は、基体樹脂成分の80重量%
以上がメタロセン系触媒により重合されたポリオレフィ
ン樹脂であることを特徴とする第1の発明に記載の導電
性樹脂組成物である。
【0014】第3の発明は、メタロセン系触媒により重
合されたポリオレフィン樹脂の結晶化度が40%以下で
あることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の導電
性樹脂組成物である。
【0015】第4の発明は、メタロセン系触媒により重
合されたポリオレフィン樹脂の密度が0.84〜0.9
2g/cm3 、曲げ弾性率が100〜3000kg/cm2
の範囲にあることを特徴とする第1〜第3の発明いずれ
か記載の導電性樹脂組成物である。
【0016】第5の発明は、メタロセン系触媒により重
合されたポリオレフィン樹脂がエチレンもしくはプロピ
レンと、α−オレフィンとの共重合体であることを特徴
とする第1〜第4の発明いずれか記載の導電性樹脂組成
物である。
【0017】第6の発明は、第1〜第5の発明いずれか
記載の導電性樹脂組成物を用いてなる成形品であって、
体積固有抵抗値が102 Ω・cm以下であることを特徴
とする成形品である。
【0018】第7の発明は、第6の発明に記載の成形品
であって、引張伸び率が100%以上であることを特徴
とする成形品である。
【0019】
【発明の実施の態様】本発明は、導電性樹脂組成物が有
する欠点、具体的には引張破断点伸びの低下、流動性の
悪化を低価格にて抑制するため、ゴム状弾性体として低
結晶化度においても良流動性であることを特徴とするポ
リオレフィン樹脂を少なくとも基体樹脂成分の一部とし
て配合することにより上記欠点を解決している。
【0020】上記ポリオレフィン樹脂は近年、メタロセ
ン系触媒により安価に重合され、各種用途への展開が図
られている。
【0021】本発明者はメタロセン系触媒により重合さ
れたポリオレフィン樹脂(以下メタロセンLLDPOと
記す)が、導電性樹脂組成物の抱える欠点を解決するの
に最適と考え、ポリオレフィン/カーボンブラック配合
系に対する使用を試みたところ、従来、引張破断点伸び
・アイゾット衝撃強度向上に一般的に使用されていたエ
チレンプロピレンジエンゴム(EPDM)含有PPエラ
ストマーと比較し、その流動性向上効果が特に優れてい
ることを確認した。この理由として、EPDM含有エラ
ストマーは、そのゴム弾性よりポリプロピレン/カーボ
ンブラック配合系に対しての柔軟性付与効果は顕著であ
り、ポリプロピレン樹脂に対する均一な相溶効果も得ら
れることは周知の事実である。しかしながら柔軟性を向
上させるため、組成物中のEPDMの配合量が増加する
と、流動性がそれに比例して悪化することもまた良く知
られている。
【0022】これらの特性を考慮すると、柔軟性と流動
性はある程度バランスさせながら配合処方を決定する必
要があり、優れた柔軟性と高い流動性を同時に得ること
には無理があった。上記事実は基体樹脂がポリオレフィ
ン樹脂以外の場合であっても当てはまることであり、例
えばABS/カーボンブラック配合系の場合であって
も、その柔軟性を向上させるためブタジエンゴムの配合
量を増加させると、流動性が悪くなる結果となることか
ら、架橋ゴム弾性体を柔軟性成分として使用する以上、
柔軟性と流動性を両立させるには無理があると考えられ
る。
【0023】これらの方法は、カーボンブラック以外の
導電材料を用いた導電性組成物の製造方法としても適合
出来る。但し、繊維状導電材料、例えばカーボンファイ
バー、ステンレス繊維等は、少ない添加量で優れた導電
性を発揮出来る材料であるが、基体樹脂との混練時に過
剰な剪断力を加え、繊維の切断を進行させ、結果として
導電性を低下させることに対しては注意が必要である。
【0024】本発明におけるメタロセンLLDPOと
は、メタロセンを重合触媒として得られたポリオレフィ
ンの総称である。このポリマ−の特徴は、従来のチ−グ
ラ−触媒、チ−グラ−ナッタ触媒等を用いた場合に比
べ、高度に単分散性の、分子量分布の狭い高分子量ポリ
マ−となっていることである。そして、得られたポリマ
−は比較的結晶性が低く、その密度は非メタロセン系触
媒で重合された同じモノマ−からなる汎用ポリオレフィ
ンに比べて、有意に低いものとなっている。
【0025】更に、メタロセンLLDPOは、他の樹脂
(ポリオレフィン)との相溶性がよいという特性を有す
るため、本発明の導電性樹脂組成物は、汎用性があって
適用範囲が広い成形品を与えることができる。相溶性が
高い理由としては、メタロセン系ポリオレフィンは比較
的結晶性が低く、結晶性の部分も均一で微細であること
から、他の樹脂の結晶成長を妨げないからであると考え
られる。
【0026】メタロセン系触媒とは、例えばチタン、ジ
ルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、ニオ
ブ、プラチナ等の四価の遷移金属に、シクロペンタジエ
ニル骨格を有するリガンドが少なくとも1つ以上配位す
る触媒の総称である。
【0027】シクロペンタジエニル骨格を有するリガン
ドとしては、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペ
ンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-若
しくはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、se
c-、tert- ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシ
クロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエニル
基等のアルキル一置換シクロペンタジエニル基、ジメチ
ルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタ
ジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、
メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシル
シクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジ
エニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基等の
アルキル二置換シクロペンタジエニル基、トリメチルシ
クロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエ
ニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアル
キル多置換シクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキ
シルシクロペンタジエニル基等のシクロ置換キルシクロ
ペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒド
ロインデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0028】シクロペンタジエニル骨格を有するリガン
ド以外のリガンドとしては、例えば、塩素、臭素等の一
価のアニオンリガンド、二価のアニオンキレートリガン
ド、炭化水素基、アルコキシド、アミド、アリールアミ
ド、アリールオキシド、ホスフィド、アリールホスフィ
ド、シリル基、置換シリル基等が挙げられる。上記炭化
水素基としては、炭素数1〜12程度のものが挙げら
れ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セ
シル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、シクロ
へキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、
フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、ネ
オフィル基等のアラルキル基、ノニルフェニル基等が挙
げられる。
【0029】シクロペンタジエニル骨格を有するリガン
ドが配位したメタロセン化合物としては、シクロペンタ
ジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチル
シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミ
ド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロ
リド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニ
ル-tert-ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-p-n- ブチ
ルフェニルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェ
ニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-tert-ブ
チルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテト
ラメチルシクロペンタジエニル-tert-ブチルアミドハフ
ニウジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチ
ルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルア
ミド)、インデニルチタニウムビス(ジ-n- ブチルアミ
ド)インデニルチタニウムビス(ジ-n- プロピルアミ
ド)等が挙げられる。
【0030】これらの重合は、上記した四価の遷移金属
を含むメタロセン系触媒の他に、共触媒として、例え
ば、メチルアルミノキサンや硼素化合物等を加えた触媒
系で行うことができる。この場合、メタロセン系触媒に
対するこれらの触媒の割合は、1〜100万mol倍で
あることが好ましい。
【0031】本発明におけるメタロセンLLDPOとし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロ
ピレンとの共重合体(ランダム又はブロック共重合体)
の他、エチレンもしくはプロピレンとα−オレフィン
(エチレンもしくはプロピレンを除く)との共重合体等
が挙げられる。或いは、それらの熱分解による低重合体
であってもよい。上記α−オレフィンとしては、1−ブ
テン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1
−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、
1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、
1−オクタデセン等が挙げられる。これらのα−オレフ
ィンのうち、エチレンとの共重合に供されるα−オレフ
ィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ンが好ましく、プロピレンとの共重合に供されるα−オ
レフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセンが好まし
い。好ましい実施態様においてはポリエチレンが選ば
れ、特に直鎖状低密度ポリエチレン(以下、メタロセン
LLDPEと記す)は分子量分布を狭く制御出来るの
で、低結晶化に伴うベトツキ性、融点の必要以上の低
下、成形時の発煙が抑えられ、エラストマ−的性能を具
備しており好ましい。
【0032】メタロセンLLDPEが非架橋樹脂である
にも係わらず、その柔軟性が優れている理由は、結晶部
分同志を結合するポリマー鎖(タイ分子)の存在がある
ためと考えられる。架橋ゴム弾性体は常温・成形時を問
わずポリマー分子間にて3次元網目構造であるため、柔
軟性は向上するものの流動性に関しては悪化させる原因
となっているが、メタロセンLLDPEの場合、成形温
度では通常のポリエチレン同様、ポリマー鎖は自由に運
動出来る状態にあるため、結果として流動性を悪化させ
ないことが大きな差となっている。しかしながら常温付
近では結晶成長と同時にポリマー結晶同志を結合させう
るタイ分子が生成するため、結果として擬似的な架橋構
造を有したプラスチックを形成し、ゴム弾性が向上する
ため柔軟性が得られるものと考えられる。
【0033】また、メタロセンLLDPEは従来のLL
DPEに比べ、上記タイ分子の存在確率が2〜4倍と多
いため、結果として冷却・固化した際のゴム弾性が大き
くなると考えられる。
【0034】本発明におけるメタロセンLLDPOの密
度は0.84〜0.92g/cm3、曲げ弾性率は10
0〜3000kg/cm2 の範囲であることが好まし
い。
【0035】本発明で用いられるメタロセンLLDPO
の結晶化度は、良好な成形性の観点から15%以上、良
好な流動性、柔軟性の観点から40%以下の低結晶化度
であることが好ましく、ワックスは好ましくない。尚、
本発明で結晶化度とは、結晶領域の密度と無定形領域の
密度とから密度の加成性を仮定して求める密度法を用い
て得られたものである。
【0036】本発明の導電性樹脂組成物におけるメタロ
センLLDPOは、良好な物性を得る観点から、少なく
とも基体樹脂成分の80重量%以上配合されていること
が好ましい。LLDPO以外に用いられる他の樹脂とし
ては、LLDPOと相溶性のある樹脂であれば何れの樹
脂でも構わない。
【0037】導電性樹脂組成物におけるポリオレフィン
樹脂の配合量は、導電材料の配合量と連動するので一概
には言えないが、機械物性の保持の観点から50重量%
以上が好ましい。
【0038】本発明で用いられる導電材料としては、カ
−ボンブラック、導電性カ−ボンブラック、グラファイ
ト、鉄、銅、黄銅、亜鉛、鉛、チタン、アルミニウム、
ステンレス、タングステン及びこれらの合金等の金属粉
及びフレ−ク等が挙げられる。これらは単独で用いても
良いし、また2種類以上組み合わせても良い。上記導電
材料は、各々の導電性、比重並びに成形品において所望
される導電性能や機械物性の値を考慮して適宜配合され
る。
【0039】本発明の導電性樹脂組成物の製造方法は、
熱可塑性樹脂に各種フィラーを混練する方法、例えば、
加圧ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機
や単軸、2軸押出機、FCM、コニーダー等の連続式混
練機等を用いることが好ましい。
【0040】また、本発明の導電性樹脂組成物には、本
発明の効果を損しない範囲において必要に応じてフェノ
ール、リン、チオビス系等の酸化防止剤、熱安定剤、金
属石鹸、ポリエチレンワックス、ビスアマイド系等の滑
剤等のプラスチック用添加剤を配合することも可能であ
る。
【0041】次に、本発明の成形品について説明する。
本発明の成形品としては、本発明の導電性樹脂組成物を
組み込んだ自動車等のバッテリ−の一次電池、二次電池
や、シ−ト、フィルム、ICトレイ、マガジンレ−ル、
電子部品の静電破壊対策用品等の導電性を付与したプラ
スチック製品などが挙げられる。
【0042】本発明の成形品は、混練等の工程を極力少
なくして導電材料の破損等による導電性の低下を抑制す
るため、成形品の成形時に上記の導電性樹脂組成物をそ
のまま使用出来る方式にて製造することが必須条件とな
る。従って、成形品製造時に必要に応じてプラスチック
用添加剤等を配合する場合もあるが、基本的には上記導
電性樹脂組成物と同じ組成である。
【0043】本発明の成形品は充分な導電性能を得る観
点から、体積固有抵抗率が102 Ω・cm以下であるこ
とが好ましい。また、フィルムやシ−ト状の成形の際に
良好な成形性、使用適性を得る観点から、引張伸び率が
100%以上であることが好ましい。
【0044】
【実施例】以下に実施例、比較例により更に詳しく説明
するが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明
はこれらの実施例等になんら限定されるものではない。
また、特に断りのない場合、原料樹脂のM.F.R.は190
℃、2.16kg荷重にて測定したデータを記した。 [実施例1]平均粒子径=35mμの導電性カーボンブ
ラック(電気化学工業社 デンカブラックビーズ)
(A)を45.0重量%、基体樹脂として、M.F.R.50
g/10min.、密度0.880g/cm3 、曲げ弾性
率140kg/cm2 、結晶化度約20%のメタロセンL
LDPE(エチレン−ヘキセンの共重合体)(日本ポリ
ケム社 カーネルKJ740)(B)を54.3重量
%、酸化防止剤としてフェノール・リン系混合物(チバ
スペシャリティケミカル社 イルガノックスB225)
0.2重量%、滑剤としてステアリン酸マグネシウム
(淡南化学社 ステアリン酸マグネシウム NP−15
00)0.5重量%をBR型バンバリーミキサーにて溶
融混練後、口径30mmの押出機にてペレット化した導
電性樹脂組成物を得た。
【0045】得られたペレットは、口径20mmの押出
機にTダイを装着した成形機にて、230℃の成形温度
で厚さ300μm のフィルム成形した。更に、得られた
フィルムをJIS 2号引張試験片に流れ方向に打ち抜
き、50mm/min. の引張速度にて引張破断点伸び
を求めると同時に、フィルムの体積固有抵抗値を求め
た。
【0046】[比較例1]実施例1の(B)を、M.F.R.
7g/10min.、密度0.917g/cm3 、曲げ弾
性率3500kg/cm2 、結晶化度約50%のLDPE
(三井化学社 ミラソン11P)とした以外は実施例1
と同様に行った。
【0047】[比較例2]実施例1の(B)を、M.F.R.
200g/10min.、密度0.919g/cm 3 、曲
げ弾性率100kg/cm2 未満、結晶化度約45%のL
DPE(住友化学社スミカセンG808)とした以外は
実施例1と同様に行った。
【0048】[比較例3](B)を、M.F.R.12g/1
0min.、密度0.926g/cm3 、曲げ弾性率34
50kg/cm2 、結晶化度約60%のLLDPE(日本
ユニカー社 NUCG5371)とした以外は実施例1
と同様とした。
【0049】[比較例4](B)を、M.F.R.100g/
10min.、密度0.931g/cm3 、曲げ弾性率4
400kg/cm2 、結晶化度約55%のLLDPE(日
本ユニカー社 NUCG1077)とした以外は実施例
1と同様とした。
【0050】[比較例5](B)を、M.F.R.30g/1
0min.(但し230℃、10kg荷重での測定
値)、密度0.890g/cm3 、曲げ弾性率600kg
/cm2 のEPDM含有PPエラストマー(三井化学社
ミラストマー8032N)とした以外は実施例1と同様
とした。
【0051】[比較例6](B)を、M.F.R.25g/1
0min.(但し230℃、2.16kg荷重での測定
値)、密度0.893g/cm3 、曲げ弾性率3200k
g/cm2 のEPDM含有PPエラストマー(三井化学社
ミラストマーM3800N)とした以外は実施例1と
同様とした。
【0052】実施例1、比較例1〜6で得られた結果を
表1に示す。引張破断点伸びとM.F.R.がバランスした成
形品の提供可能な処方は実施例1のみである。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明に係る導電性樹
脂組成物は、基体樹脂に少なくともメタロセン系触媒に
より重合されたポリオレフィン樹脂を含んでいるため、
安定した高い導電性と良好な機械物性を兼ね備えた導電
性樹脂成形品を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はカーボンブラックが樹脂中に少量添加さ
れた状態を示す。
【図2】図2はカーボンブラックが樹脂中に多量に添加
された状態を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 1/22 H01B 1/22 Z Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15 AA20 AB03 AB07 AB08 AB10 AB12 AE15 AF17 AF17Y AF37 AF37Y AH12 BA01 BB06 BC01 BC04 4J002 BB031 BB051 BB121 BB151 DA026 DA036 DA076 DA086 DA096 DA106 DA116 DC006 FA016 FD070 FD116 FD170 GQ02 5G301 DA02 DA18 DA19 DA43 DD08 DD10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともポリオレフィン樹脂と、カー
    ボンブラック、グラファイト、金属粉、金属フレ−クか
    ら選ばれる1種又は2種以上の導電材料とを含有する導
    電性樹脂組成物であって、上記ポリオレフィン樹脂の少
    なくとも一部がメタロセン系触媒により重合されたポリ
    オレフィン樹脂であることを特徴とする導電性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 基体樹脂成分の80重量%以上がメタロ
    セン系触媒により重合されたポリオレフィン樹脂である
    ことを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 メタロセン系触媒により重合されたポリ
    オレフィン樹脂の結晶化度が40%以下であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の導電性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 メタロセン系触媒により重合されたポリ
    オレフィン樹脂の密度が0.84〜0.92g/cm3
    曲げ弾性率が100〜3000kg/cm2 の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の導電性樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 メタロセン系触媒により重合されたポリ
    オレフィン樹脂がエチレンもしくはプロピレンと、α−
    オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項
    1〜4いずれか記載の導電性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の導電性樹脂
    組成物を用いてなる成形品であって、体積固有抵抗値が
    102 Ω・cm以下であることを特徴とする成形品。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の成形品であって、引張伸
    び率が100%以上であることを特徴とする成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1316508C (zh) * 2004-05-11 2007-05-16 番禺得意精密电子工业有限公司 一种电连接器
JP2011153214A (ja) * 2010-01-27 2011-08-11 Denki Kagaku Kogyo Kk 導電性樹脂組成物及び導電性シ−ト
CN104530527A (zh) * 2014-12-24 2015-04-22 陈程 高强度pe导电复合材料及其制备方法
JP2015157642A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 アキレス株式会社 ウエハ保護フィルム

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