JP2015154749A - 冷凍食品及び冷凍食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍貯蔵中において良好な品質を保つことができる冷凍食品を提供する。
【解決手段】複数個の塊からなり、水分を含む冷凍状の具材部と、調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成され、複数個の塊からなる冷凍状の調味料部と、具材部と調味料部を収容し、封止する包装部材とを備え、包装部材を開封した後に、具材部及び調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる、冷凍食品を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水を加えて、調理又は解凍を行うことにより食用に供される、冷凍食品及びその冷凍食品の製造方法に係わる。
冷凍食品は、長期の保存が可能であり、調理に手間がかからないので、様々な製品が市販されている。
そして、各種の料理を冷凍食品に適用するために、様々な手法が提案されている。
例えば、魚貝鳥獣肉類や野菜類などの具材と、粉末状や顆粒状などのスープを容器に入れて冷凍保存した冷凍食品を作製して、食用に供するに当たり、この冷凍食品に水を加えて加熱することが提案されている(特許文献1を参照)。
また、例えば、耐熱性の容器に、麺の冷凍品、調味油脂のブロック状冷凍品、具材の冷凍品を収納した冷凍食品を作製して、食用に供するに当たり、この冷凍食品を電子レンジで加熱することが提案されている(特許文献2を参照)。
さらに、例えば、具材を含むスープを濃縮して凍結させた冷凍食品を作製して、食用に供するに当たり、この冷凍食品に水を加えて電子レンジで加熱することが提案されている(特許文献3を参照)。
特開昭54−67043号公報 特開平3−277244号公報 特開2000−60503号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載された方法や、特許文献3に記載された方法では、調味料部であるスープを、具材と共に容器に入れていることにより、冷凍貯蔵中においても、具材の水分による調味料部の吸湿と溶解が発生する。
このとき、吸湿により水和溶解した調味料部の表面部が、高い浸透圧を有することになるため、具材の水分をさらに吸収して、水和溶解した表面部が増大していく。これは、調味料部を高濃度の状態としているため、凝固点降下度が高い状態にあることから、冷凍状態でも変形しやすい物性となり、また調味料部に含まれる糖質等も高濃度となることによって付着性も高くなるので、具材や他の調味料部と接着することになる。この現象を、以下、「ブロック化」と呼ぶ。
調味料部が溶解することにより、溶解した調味料部による包装部材の汚れ、溶解した調味料部によるブロック化、溶解した調味料部による具材の風味の変化などを生じることがある。
また、具材同士や具材と調味料部のブロック化を生じると、加熱調理に要する時間が長くなるため、煮詰まりや風味低下、具材の食感低下、煮崩れなどの問題を生じることがある。
一方、特許文献2に記載された方法では、電子レンジでそのまま加熱するために耐熱性を有する容器を使用している。また、調味油脂のブロック状冷凍品は、そのまま解凍して食用に供するような量としているため、容積や質量が大きくなる。
これらのことから、製品コストが増大する、製品形態の自由度が制限される、製品の嵩や質量が大きくなる、調味油脂の解凍に要する時間が長くなる、等の問題を生じることがある。
上述した問題の解決のために、本発明は、冷凍貯蔵中において良好な品質を保つことができる冷凍食品を提供するものである。
また、この冷凍食品の製造方法を提供するものである。
本発明の冷凍食品は、複数個の塊からなり、水分を含む冷凍状の具材部と、調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成され、複数個の塊からなる冷凍状の調味料部と、前記具材部と前記調味料部を収容し、封止する包装部材とを備え、前記包装部材を開封した後に、前記具材部及び前記調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる構成である。
本発明の冷凍食品の製造方法は、水分を含む具材を凍結して、複数個の塊からなる具材部を作製する工程と、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分となるように、調味料と油脂又は油中水乳化物を混合して、混合物を凍結して、複数個の塊からなる調味料部を作製する工程と、包装部材に、前記具材部と前記調味料部を収容し、封止する工程とを有する。
上述の本発明の冷凍食品の構成によれば、調味料部が、調味料を含み、油分が20%以上、水分/油分比が0.35以下の成分で構成されていることにより、冷凍貯蔵されている状態において、調味料部中の油分で調味料を保護して、調味料部の水分や具材部の水分によって調味料が溶解することを抑制することができる。これにより、調味料部の変形や、溶解した調味料による包装部材の汚れ、溶解した調味料による具材の変化(味、食感、色など)、溶解した調味料による具材同士や具材と調味料部とのブロック化を、抑制することができる。従って、冷凍貯蔵中において良好な品質を保つことができる。
また、具材同士や具材と調味料部とのブロック化を抑制することができるので、ブロック化によって調理時間が延長されることを防いで、調理時間の延長による、煮詰まりや風味の劣化、具材の食感の低下や煮崩れも防止できる。
上述の本発明の冷凍食品の製造方法によれば、水分を含む具材を凍結して複数個の塊からなる具材部を作製し、調味料と油脂又は油中水乳化物を混合して、混合物を凍結して複数個の塊からなる調味料部を作製し、包装部材に、具材部と調味料部を収容し、封止するので、上述した本発明の冷凍食品を製造することができる。
また、調味料部を作製する工程において、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分となるように、調味料と油脂又は油中水乳化物を混合するので、冷凍貯蔵時の保存性に優れた冷凍食品を製造することができる。
本発明の冷凍食品の一実施の形態の概略構成図である。 A〜D 調味料部の状態を示す図である。
本発明の冷凍食品は、複数個の塊からなり、水分を含む冷凍状の具材部と、調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成され、複数個の塊からなる冷凍状の調味料部とを備えている。
さらに、本発明の冷凍食品は、具材部と調味料部を収容し、封止する包装部材とを備えている。
そして、本発明の冷凍食品は、包装部材を開封した後に、具材部及び調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる。
本発明の冷凍食品の製造方法は、水分を含む具材を凍結して、複数個の塊からなる具材部を作製する工程と、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分となるように、調味料と油脂又は油中水乳化物を混合して、混合物を凍結して、複数個の塊からなる調味料部を作製する工程を有する。
さらに、本発明の冷凍食品は、包装部材に、具材部と調味料部を収容し、封止する工程を有する。
(調味料部の構成)
本発明の冷凍食品の調味料部は、調味料と、油分とを、少なくとも含んで構成される。なお、本発明の冷凍食品の調味料部には、調味料及び油分の他に、水分を含んでいてもよい。
調味料部のこれらの構成のうち、油分は、油脂又は油中水型乳化物に由来する。
この調味料部は、調理又は解凍する際に水を加えることにより、調味料を含むスープやソースとなる。
本発明の冷凍食品の調味料部を作製するには、例えば、油脂又は油中水型乳化物と、粉体状の調味料(以下、「調味粉体」と呼ぶ)を混合して、混合物を複数個の小片状の塊に成型して、これを凍結する。
成型品の形状は、球、立方体、直方体、円柱、円錐などとすることが可能である。
成型品が大きすぎると、計量しにくくなることや、調理・解凍時に溶解しにくくなることがある。
一方、成型品が小さすぎると、成型が困難になることや、比表面積が増えて貯蔵中の具材との相互作用が起こりやすくなることがある。
これらのことを考慮すると、扱いやすい大きさとなるように、成型品1片の質量は、好ましくは例えば0.2〜8.0g程度であり、より好ましくは0.5〜3.0g程度である。
本発明の冷凍食品の調味料部は、冷凍温度帯において、固体であることが求められる。
上述した、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で調味料部が構成されていることにより、冷凍温度帯において調味料部を固体の状態に保つことができる。固体の状態を保つために、調味料部の油分が24%以上であることがさらに好ましい。
なお、調味料部の水分は、安定して冷凍貯蔵できるように、好ましくは15%以下とする。より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。
通常、喫食状態のスープやソースは、水溶液、水中油型乳化物(乳化液)、あるいは、水溶液と油層が分離した状態である。また、いわゆる濃縮スープや濃縮ソースも、同じく、水溶液、水中油型乳化物(乳化液)、あるいは、水溶液と油層が分離した状態である。
本発明の冷凍食品の調味料部は、固体の状態で調味料が含まれているため、ストレートタイプ(そのまま喫食可能な濃度の)スープ、ソースとも、濃縮タイプ(希釈して喫食する)のスープ、ソースとも、異なる構成である。
本発明の冷凍食品の調味料部は、水を加えて加熱することにより、油分が融解して分散し、調味料が水中に溶解して水溶液になると共に、油分は油滴となって水中に乳化するか、水層と分離した油層を形成するので、水中油型乳化物(乳化液)あるいは水溶液と油層が分離した状態のスープやソースとなる。
そのようなスープやソースとしては、例えば、チキンスープ、オニオンスープ、コーンスープ、ミネストローネ、豚汁などのスープ類、カレーソース、クリームソース、ブラウンソース、トマトソースなどの洋風ソース類、酢豚用ソース、あんかけソース、麻婆ソース、チリソース、味噌炒めソースなど、煮物や煮魚用、牛丼や親子丼などの煮汁、汁付き麺のスープ、パスタソースなどが挙げられる。
調味料部を作製する際に使用する、油脂又は油中水型乳化物は、いわゆる「食用油脂」と呼ばれる、油脂あるいは油中水型乳化物であれば、特に限定されない。また、複数種類の油脂又は油中水型乳化物を、使用することも可能である。
使用する油脂又は油中水型乳化物としては、製造時の成型性や、調味粉体の分散状態を保つために、常温で固体あるいは可塑性のある固体であるものが、特に好ましい。そして、上述した条件を満たし、スープ、ソースの味や風味にあったものを選択すればよい。
油脂又は油中水型乳化物としては、例えば、各種動物油(ラード、ヘット、鶏油、など)、各種植物油(菜種油、大豆油、コーン油、麺実油、パーム油など)、乳脂(バターオイル)、各種硬化油、ショートニング、香味油(ごま油、ネギ油、ラー油など)、(油中水型乳化物として)バター、各種マーガリン、ファットスプレッド、などが挙げられる。
調味料部を作製する際に使用する、調味粉体は、各種調味料や食品素材から成る低水分の調味料混合物である。調味粉体には、結晶状、粉末状、顆粒状、あるいは粒子状の調味料、食品素材、添加物を含むことができ、一般にスープやソースに用いられるものであれば、使用することが可能である。
油脂又は油中水型乳化物と共に、加水して加熱することにより、好みの風味のスープやソースとなるように各種調味料や食品素材を配合して、調味粉体を構成する。
調味粉体は、油脂又は油中水型乳化物と混合した後の全体として、規定の水分値・油分値の範囲に収まる範囲であれば、含水性の液状調味料、ペースト状の調味料や食品素材、添加物を加えることも可能である。つまり、油脂又は油中水型乳化物と混合されたときに、液状もしくはペースト状の調味料の水分が、油脂と分離せずに油脂中に均一に混合、分散されていればよい。
調味粉体の材料に使用する調味料としては、食塩、並塩、精製塩などの各種塩、砂糖をはじめとする糖類(単糖類、二糖類、オリゴ糖、デキストリン)、粉末醤油、粉末味噌、粉末ソース、粉末酢、粉末出汁の素、粉末ブイヨン、粉末コンソメ、畜肉エキスパウダー、魚介エキスパウダー、野菜エキスパウダー、酵母エキスパウダーなどの各種エキスパウダー、タンパク加水分解物粉末、タンパク酵素分解物粉末、調味料(アミノ酸、核酸、有機酸)、酸味料、甘味料などの食品添加物、各種スパイス、ハーブパウダー、が挙げられる。
調味粉体に添加する、食品素材や添加物としては、穀粉類(小麦粉、コーンフラワー、米粉など)、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉などの各種でん粉類やデキストリン、各種の加工澱粉、化工澱粉、増粘多糖類、粉末状タンパク素材(卵白、卵黄、全卵、大豆たん白、小麦たん白、乳たん白)、ゼラチンパウダー、野菜パウダー、果汁パウダーなどの各種粉末食品素材、カラメルパウダー、パプリカパウダー、粉末着色料、などが挙げられる。また、調味粉体には、成型性や形状保存性を損なわない範囲で、粒子を含んでいてもよく、ごまやナッツなどの種子類、種子類を挽いたり砕いたりしたもの(すりごまや砕いたナッツ類)、粗挽きこしょう、輪切り唐辛子、乾燥ハーブチップなどのスパイス類、グリッツ、ドライパン粉、などの粒子を使用することが可能である。
また、混合後の調味料部全体として、規定の水分油分値の範囲に収まる範囲であれば、含水性の液状やペースト状である、調味料や食品素材、添加物を加えることも可能であり、例えば、醤油、味噌、酒、みりん、酢、ワインなど液状調味料、各種エキスペースト(畜肉、魚介、野菜、酵母)、はちみつや、液糖類、などを使用することが可能である。
(調味料部の作製方法)
調味料部を作製する際には、前述したように、油脂又は油中水型乳化物と調味粉体を混合し、例えば、小片状の塊に成型する。混合後に油脂又は油中水型乳化物と、調味粉体が均一に分散していればよい。
油脂又は油中水型乳化物の配合量が少ないと、混合した後も粉末状、顆粒状、そぼろ状となるため、その後の成型が困難であったり、成型しても崩れやすくなったりする。
混合物の物性は、油脂の種類、油脂の固型脂含量、油脂と調味粉末の比率、混合物の温度などにより変わるものである。液状油の比率が高いと、可塑性、流動性が増す。温度が高いと、油脂の固型脂部分が融解し、より可塑性が増し、さらに温度を上げると流動状になる。
混合物は、冷凍温度帯において、固型、あるいは、可塑性を有する固型であればよい。スープやソースの風味の他、混合しやすさ、成型しやすさを考慮して、使用する油脂の種類、配合量を決めればよい。
調味粉体と油脂又は油中水型乳化物との混合方法は、特に限定はなく、各種の既存の混合機を使用して混合することが可能である。
また、混合のしかたとして、(1)油脂又は油中水型乳化物に調味粉体を順次投入して混合する方法、(2)調味粉体を混合してから、油脂又は油中水型乳化物と混合する方法、(3)油脂又は油中水型乳化物の一部に調味粉体を混ぜてから、残りの油脂又は油中水型乳化物を加える方法、などが考えられ、混合の順番は特に限定されない。
油脂は、液状(液状油を使用するか、あるいは固型脂を加温して融解して)で調味粉体と混合してもよく、固形状で調味粉体と練り合わせるように混合してもよい。または、油脂が液状の状態で、調味粉体を加え、冷却しながら混合してもよい。水あるいは水分を含むエキスなどを加える場合には、油脂と水分が分離しないよう、均一に混合、分散させればよい。
調味料部のスープ素材やソース素材を製造する際の加熱は必須ではないが、必要であれば一部あるいは全部を加熱してもよい。例えば、油脂と小麦粉を加熱してルウを作製して、ルウを冷却してから、残りの油脂、調味料、食品素材を混合する方法でもよい。
混合後の状態は、混合物は油脂又は油中水型乳化物と、調味粉体が均一に混合した状態である。
水分を含む場合は、油層中に水滴が均一に分散した、油中水型乳化の状態であると推察される。
水層と油層が分離をすると、均一性を失い、成型性が低下するほか、貯蔵中の冷凍具材との相互作用を起こしやすいため、好ましくない。
後の成型工程で扱いやすいよう、混合後は常温で、ペースト状あるいは可塑性のある固体状であることが好ましい。
本発明の冷凍食品の調味料部を作製する際の、小片状の塊に成型する過程と、凍結過程とは、特に順序を問わず、どちらの過程を先に行うことも可能である。
本発明の冷凍食品の調味料部を作製する際の、小片状の塊への成型方法は、さまざまな方法が可能である。
例えば、(1)ペースト状、あるいは可塑性のある状態で成型し、冷却固化する方法、(2)冷却固化してからカットする方法、(3)型に入れて凍結する方法、などが挙げられる。
上述の(1)と(2)を合わせた方法として、例えば、ペースト状、あるいは可塑性のある状態で、板状に圧延してから、冷却して、冷却後にカットあるいは型抜きすることも可能である。
上述の(3)の方法の具体例として、例えば、製氷皿のような凍結用のモールドに入れて、凍結してから取り出す方法が可能である。
上述の(1)の方法の具体例として、流動性あるいは可塑性のある状態で、デポジッターから定量を打ち出し、冷却固化する方法が可能である。
調味料部の成型品の形状は、特に限定されず、球状、立方体、直方体、円柱状、円錐状、円盤状、などの小片状に成型することが可能である。
また、調味料部の成型品の大きさは、例えば、細かな粒状であってもよく、1食分(例えば、15gなど)に成型されていてもよい。ただし、あまりに細かいと、質量に対する表面積が増して、冷凍具材との接触が増えるため、相互作用を起こしやすくなる。また、調味料部の成型品が大きすぎると、調理時の溶けやすさが損なわれる。
作製後の扱いやすさ、計量のしやすさや、調理時の溶けやすさを考えると、調味料部の成型品は、0.2g〜8g程度の大きさが好ましく、0.5g〜3g程度の大きさが最も好ましい。
(具材部の構成)
本発明の冷凍食品の具材部に使用される具材は、冷凍された固型の状態であれば、特に限定はされない。例えば、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉類やその加工品、魚、貝、エビ、カニなどの魚介類やその加工品、根菜、葉菜、果菜などの野菜類や、豆類、果実、きのこ類とそれらの加工品、米飯類、うどん、ラーメン、パスタなどの麺類、肉団子、からあげ、ハンバーグなどの加工食品が挙げられる。通常流通している冷凍食品、冷凍野菜、冷凍魚介類、冷凍畜肉類などを、そのまま使用してもよい。
具材は、凍結する前に適宜前処理を行う。即ち、不可食部分の除去、洗浄や、カットなどの下処理、浸漬、混合、成型、衣付けなどの加工、加熱調理(ボイル、スチーム、油ちょう、ソテー、オーブン焼きなど)などである。
使用する具材は、必ずしも加熱されている必要はないが、冷凍食品を調理・解凍する際に所定の時間で最適な状態になるように、前処理を行えばよい。
つまり、未加熱の状態で具材が凍結してあり、最終調理の間に具材の解凍と加熱がされるようにしてもよく、喫食可能な状態まで加熱した後に凍結して、最終調理では解凍と温めとしてもよい。
調理時の解凍・加熱調理時間の短縮化のためには、各具材がバラ凍結されていることが望ましい。
ただし、挽き肉そぼろ、米飯、みじん切りの野菜など、細かな固型状の具材は、完全にバラ化されている必要はなく、多少のブロックが含まれていても問題はない。
包装部材への具材の充填時の扱いやすさを考え、具材が小片状に成型された状態でもよい。
具材部全体としては、具材の種類毎に分けて塊とされている、もしくはさらに同じ具材が複数個の塊に分かれていることにより、複数個の塊を有する構成とする。
具材部を作製する際に、同じ具材を複数個の塊に分ける場合の、複数個の塊に分ける過程と凍結過程は、どちらを先に行うことも可能である。
一般に、上述した具材は、水分が45%以上であり、特に野菜類などは水分が80%以上であるものが多い。
水分が高い具材ほど、低水分調味料が吸湿しやすくなり、貯蔵中の調味料の吸湿や溶解、それに伴う包材の汚れや具材のブロック化が起こり易くなる。
つまり、高水分の具材を用いる場合に、これらの貯蔵中の品質変化を防止できる、本発明の効果を、特に顕著に発揮できる。
また、具材の水分量がかなり多いと、冷凍しないと腐敗が進むことになる。本発明は、このように、冷凍しないと腐敗する程度の水分量を有する具材を使用する場合に、特に効果が顕著である。
(包装部材の構成)
本発明の冷凍食品では、冷凍した具材部と冷凍した調味料部を、同じ包装部材に収容し、封止する。
本発明の冷凍食品に使用する包装部材は、従来から冷凍食品に使用されているものであればよく、特殊な包装部材を使用する必要は無い。
必ずしも、包装部材ごと加熱調理やレンジ調理が可能である必要はない。
また、包装部材に同封する、冷凍した具材部と冷凍した調味料部とは、接触しない形態、あるいは接触しにくい形態にする必要はない。
使用可能な包装部材としては、例えば、プラスチックフィルム、アルミ蒸着フィルム、紙などの袋状の包材、プラスチック、アルミ、紙などで作製されたトレー型の包材、などが挙げられる。
具材部及び調味料部は、1食分ずつ包装してもよく、複数人数分を一緒に包装してもよい。また、1食分ずつを1パックに包装したものを、さらに複数合わせて包装してもよい。
(本発明の冷凍食品の適用可能な料理)
本発明の冷凍食品は、固形の具材と、油分を含むスープやソースを使用する、各種料理に適用することができる。それぞれの料理に合った具材部と調味料部を作製して同封すればよい。
本発明の冷凍食品を適用することが可能な料理としては、例えば、チキンスープ、野菜スープ、コーンスープ、クラムチャウダー、豚汁などのスープ類、酢豚、八宝菜、回鍋肉、チンジャオロース、麻婆豆腐、エビチリソース、アン付肉団子などの中華料理、カレー、シチュー、ソース付ハンバーグ、チキントマト煮などの洋風料理、筑前煮、豚汁、牛丼、ブリ大根などの和風の煮物類、うどん、ラーメン、パスタなどのスープやソース付の麺類、リゾット、雑炊などのスープ米飯類、寄せ鍋、キムチ鍋などの鍋料理、が挙げられる。
(本発明の冷凍食品の調理・解凍方法)
本発明の冷凍食品を喫食するには、冷凍食品に水を加えてから、加熱調理又は電子レンジでの解凍を行う。
水を加えて加熱することで、冷凍された調味料部が溶解して、スープやソースなどとなり、同時に冷凍具材が蒸し煮されて、解凍、加熱される。これにより、具材とスープ、あるいはソースが一体となったメニューが、迅速に、簡便に出来上がる。
加熱調理時間は、調味料部が溶解して温まり、冷凍具材が喫食可能な温度まで加熱されるまでの時間を設定すれよい。
本発明の冷凍食品では、スープやソースがそのまま凍結されている構成と比較して、水分が除かれているので、解凍加熱に必要なエネルギーが少なくなり、調理時間の短縮を図ることができる。
調理・解凍の際に加える水の量は、調味料部が溶解した後に適当な濃度になるように決めればよく、必要に応じて、加熱時に蒸発する分を考慮すればよい。水は一度に加えてもよいが、スープ、ソースの味を見ながら、途中で追加してもよい。また、溶解したスープ、ソースが薄すぎた場合は、加熱時間を延長して煮詰めることも可能である。
加水調理の方法は、調理のしやすさや調理時の混合撹拌のしやすさから、鍋やフライパンに、本発明の冷凍食品と水やお湯を加えて、加熱調理するのが好ましい。
また、冷凍食品と水を電子レンジ調理対応容器に入れて、電子レンジ加熱する方法、冷凍食品の容器中に水を加えて、電子レンジ加熱する方法、冷凍食品の容器中に水を加えて封をして、容器ごとボイル調理する方法などによっても、調理は可能である。
なお、加える水の一部あるいは全部を、ワイン、酒、ブイヨン、牛乳などの他の液体に代えてもよい。
また、調理時、調理後に、好みの調味料を加えることは構わない。
(冷凍食品の一実施の形態)
本発明の冷凍食品の一実施の形態の概略構成図を、図1に示す。
図1に示す冷凍食品10は、複数個の塊からなる、冷凍状の調味料部1と、複数個の塊からなる、冷凍状の具材で構成された具材部2とを有している。
複数個の調味料部1と複数個の具材部2は、袋状の包装部材3中に収容されており、包装部材3によって密封されている。
複数個の調味料部1及び複数個の具材部2は、それぞれ所定の大きさに形成されている。
そして、調味料部1は、調味粉体11を含有している。
調味料部1は、前述したように、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成する。これにより、調味料部1において、油脂中又は油中水型乳化物中に調味粉体11が分散した状態とすることができる。
なお、図1に示した冷凍食品1では、調味料部1及び具材部2が四角形状であり、包装部材3が袋状であった。
調味料部1及び具材部2の形状や、包装部材3の形状・材質は、図1に示した構成に限定されるものではなく、それぞれを前述したその他の構成とすることも可能である。
(本発明の冷凍食品の作用効果)
本発明の冷凍食品は、具材部、調味料部、具材部と調味料部とを収容し封止する包装部材とを備えている。
具材部は、冷凍状であり、水分を含み、複数個の塊からなる。
調味料部は、冷凍状であり、調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成され、複数個の塊からなる。
そして、本発明の冷凍食品は、包装部材を開封した後に、具材部及び調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる。
上述した本発明の冷凍食品の構成によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
1.具材部と調味料部とが包装部材に封止されていることにより、調理又は解凍する際に、別々の包装部材を開封して混合する手間が不要になる。
2.包装部材を開封した後に、具材部及び調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされることにより、加えた水によって熱エネルギーを与えることができるので、調理や解凍に要する時間や熱エネルギーを低減することができる。また、調理又は解凍時に水を加えることから、冷凍貯蔵されている状態における調味料部の水分の量を少なくすることができるので、製造時の凍結に必要なエネルギーの低減、製品の軽量化や容積の低減が可能になり、さらに調味料部の水分による調味料の溶解や溶解した調味料による具材の変化(味、食感、色など)を抑制することが可能になる。
3.調味料部は、冷凍状であり、調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成されていることにより、冷凍貯蔵されている状態において、調味料部中の油分で調味料を保護して、調味料部の水分や具材部の水分によって調味料が溶解することを抑制することができる。水分によって調味料が溶解することを抑制することができるので、調味料部の変形や、溶解した調味料による包装部材の汚れ、溶解した調味料による具材の変化(味、食感、色など)、溶解した調味料による具材同士や具材と調味料部とのブロック化を、抑制することができる。
溶解した調味料によって、具材同士や具材と調味料部とがブロック化すると、調理に必要な時間が増える、具材と調味料との接触面積が増えるために調味料による具材の変化(味、食感、色など)が促進される、という問題を生じる。
本発明の冷凍食品の構成によれば、ブロック化を抑制することができるので、冷凍貯蔵後も良好な状態を保つことができる。また、調理時間の延長による、スープやソースの煮詰まりや風味の劣化、具材の食感の低下や煮崩れも防止できる。
また、調味料が溶解すると、調味料の高濃度(高塩分)の呈味成分が具材へ浸透して、具材の味が濃厚化すること、調味料の酸性成分によるタンパク質食品(畜肉、魚介類)の食感が低下すること、調味料の成分による具材の退色、調味料の色素成分による着色、などの品質劣化を生じることがある。本発明の冷凍食品の構成では、調味料の溶解を抑制することができるので、これらの品質劣化も防止することができる。
また、本発明の冷凍食品の構成では、調味料の溶解を抑制することができるので、溶解した調味料が包装部材に付着して、具材部や調味料部が包装部材から取り出しにくくなることもない。
4.具材部と調味料部がそれぞれ複数個の塊からなることにより、具材部又は調味料部を1個の大きい塊に成型した場合と比較して、冷凍食品全体をフレキシブルにすることができるので、製品の容積を低減することができ、選択可能な包装部材の構成の範囲を広くすることができる。従って、簡易な包装部材を採用して、製品を安価に構成することが可能になり、また、製品の保管スペースを削減することも可能になる。例えば、冷凍庫内のスペースを取らない。
5.具材部が水分を含むので、水分が除去・乾燥された特殊な具材を使用する必要がない。従って、そのような特殊な具材を使用した場合の、水分の除去・乾燥による具材の変質は生じない。
本発明の冷凍食品の構成によれば、高水分の凍結具材と、低水分のスープやソースの素材を、同一の包装部材内に同封しながら、冷凍貯蔵中の品質劣化を防止できる。そして、スープやソース等の水分を多く含む料理を、簡便に短時間に調理することができる。
(熱エネルギーの低減の説明)
次に、調理や解凍の際に水を加えることにより、調理や解凍に要する熱エネルギーを低減できることを、例を挙げて説明する。
氷及び水の熱特性は、以下の通りである。
氷の比熱 0.5cal/g
水の比熱 1.0cal/g
氷の融解熱 80cal/g
例えば、凍結されたスープやソースを、−18℃から80℃まで加熱する場合は、1gあたり必要な熱量は、0.5×18+80+1.0×80=169cal/gとなる。
これに対して、スープやソース中の水分の代わりに、20℃の水を加えて、80℃まで加熱して調理する場合には、水1gあたり必要な熱量は、1.0×(80−20)=60cal/gとなる。
つまり、スープやソース中の水分を除いて冷凍し、水を加えて調理することで、除いた水1gあたり109calの省エネが可能であり、その分調理時間も短縮される。
また、除いた水分の分だけ、冷凍食品の軽量化、省容量化を図ることができ、冷凍食品の作製時の凍結に要するエネルギーも低減できる。
(調味料部の状態の説明)
次に、調味料部のいくつかの状態を、模式的に図2A〜図2Dに示す。
図2Aに示す状態は、油脂110中に、各調味粉体101,102,103が分散している。
図2Bに示す状態は、油脂110内に微細な水滴104が分散した、油中水型乳化物中に、各調味粉体101,102,103が分散している。
図2Cに示す状態は、油脂110と水105とが分離していて、水105中に各調味粉体101,102,103が存在している。この状態では、水105と接触することによって、調味粉体101,102,103が溶解する。
図2Dに示す状態は、油脂110が少量であり、調味粉体101,102,103に油脂110が付着している。
本発明の冷凍食品では、調味料部の油分及び水分の量について、油分が20%以上、かつ、水分/油分が0.35以下、と規定している。これにより、調味料部を、図2A又は図2Bに示した状態、即ち、油脂中又は油中水型乳化物中に調味粉体が分散した状態とすることができる。これらの状態では、調味粉体を油脂で保護して、水分で調味粉体が溶解することを抑制することができる。
調味料部の水分が多すぎる場合には、図2Cに示したように、油脂110と水105とが分離した状態になりやすい。
調味料部の油分が少なすぎる場合には、図2Dに示したように、調味粉体101,102,103を油脂110で十分に覆うことができなくなるため、調味粉体101,102,103が水分に溶解しやすくなる。
(本発明の冷凍食品と従来品との比較)
本発明の冷凍食品では、包装部材に、具材部と調味料部とを収容して封止している。これにより、具材と調味料とをそれぞれ別々に包装した従来品と比較して、調理・解凍の際の手間を低減することができる。
本発明の冷凍食品では、包装部材に、具材部と調味料部とを収容している。これにより、具材と調味料を一体化して包装部材に収容した従来品と比較して、具材と調味料との接触面積が少なくなるため、具材の水分による調味料の溶解や溶解した調味料による具材の変化(味、食感、色など)を抑制することができる。
本発明の冷凍食品は、水を加えて調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる。これにより、加えた水によってエネルギーを与えることができるので、水を加えないで調理又は解凍される構成の従来品と比較して、調理や解凍に要する時間や熱エネルギーを低減することができる。また、冷凍貯蔵されている状態における調味料部の水分の量を少なくすることができるので、その分軽量化や容積の低減が可能になり、さらに調味料部の水分による調味料の溶解や溶解した調味料による具材の変化(味、食感、色など)を抑制することが可能になる。
本発明に係る冷凍食品を実際に作製して、特性を調べた。
<試験1>具材の水分値
具材の種類(特に具材の水分の量)によって、冷凍貯蔵時の問題点の発生状況が異なるかを確認した。
1.調味料部(ソース素材)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、試験用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、マーガリン又はショートニングを、それぞれ次の表に示す質量比で計量した。
Figure 2015154749
マーガリン又はショートニングに調味粉体を投入して均一になるまで混合した。
混合した後に、厚さ8mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、10mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片0.8〜1.2gのソース素材のサンプルを得た。
ただし、試験区1−1については、粉末状であって、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、以下の成分測定を行った。
サンプルの水分(%)、油分(%)、塩分(%)を分析した。水分と油分から、それらの比率(水分/油分)を求めた。
また、各サンプルに、およそ10倍量のお湯を加えて加熱溶解し、これを冷ましてから10倍希釈となるように水を加えて調整し、その10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
本試験の具材部用の具材として、冷凍だいこん、冷凍ピーマン、冷凍にんじん、冷凍たまねぎ、冷凍じゃがいも、冷凍ボイルエビ、冷凍牛カタ肉ダイス、冷凍ベーコン、冷凍マカロニ、冷凍揚げ豚肉、乾燥マカロニを、それぞれ下記の通り調整した。
冷凍だいこん(いちょう切り):皮をむいただいこんを、3mm厚のいちょう切りにして、沸騰水中で3分間ボイルした。放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍だいこん(いちょう切り)を得た。
冷凍ピーマン(乱切り):ピーマンの種を除き、1〜2gの乱切りにして、沸騰水中で2分間ボイルし、直ぐに冷水で冷却した。水をよく切ってから凍結庫で凍結して、冷凍ピーマン(乱切り)を得た。
冷凍にんじん(乱切り):皮をむいたにんじんを、4〜6gの乱切りにした。スチーマーで10分間蒸煮した。放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍にんじん(乱切り)を得た。
冷凍たまねぎ(乱切り):皮をむいた玉ねぎを乱切りにして、スチーマーで10分間蒸した。放冷後、冷凍庫で凍結して、冷凍たまねぎ(乱切り)を得た。
冷凍じゃがいも(10mmダイス):皮をむいたじゃがいもを、10mmダイスにカットした。スチーマーで5分間蒸して、放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍じゃがいも(10mmダイス)を得た。
冷凍ボイルエビ:冷凍むきエビ(バナメイエビ、51/60サイズ)を解凍し、1%の食塩水に一晩浸漬した。水を切ってから沸騰水中で6分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍ボイルエビを得た。
冷凍牛カタ肉ダイス:牛カタ肉(20×15×15mm)を1%の食塩水で一晩浸漬した。沸騰水中で芯温が70℃に達するまで約8分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍牛カタ肉ダイスを得た。
冷凍ベーコン:ベーコンを20×10×3mmにカットし、凍結板に並べて凍結して、冷凍ベーコンを得た。
冷凍マカロニ:乾燥マカロニ(エルボ)を、沸騰した0.8%の食塩水で8分間ボイルし、その後直ちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べて、凍結庫で凍結して、バラ凍結された冷凍マカロニ(エルボ)を得た。
冷凍揚げ豚肉:豚モモ肉(20×15×15mm)に、肉の0.5%の量の食塩をまぶしてよく混ぜた。肉の10%の量のコーンスターチを打ち粉して、170℃で約4分間、肉の中心が70℃に達するまで油ちょうした。放冷してから凍結して、冷凍揚げ豚肉を得た。
乾燥マカロニ:乾燥マカロニをそのまま凍結した。
また、それぞれの具材の水分値を測定した。
4.サンプル包装、虐待試験
調味料部の各ソース素材(1−1〜1−4)30gと、具材部の各具材100gを、プラスチック袋に収容し、封止してサンプルを作製した。即ち、ソース素材4種と具材11種の組み合わせで、44種のサンプルを作製した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
5.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価を行った。
以下の項目を、5名のメンバーで評価を行った。
調味料の溶解:虐待貯蔵時の、調味料が溶解しているかいないかを評価した。溶解していないもの(変化がない)を高い評価とした。
袋内部の汚れ:虐待貯蔵時の、包装袋内部が溶解した調味料で汚れた程度を評価した。汚れていないものを高い評価とした。
ブロック化:調味料と具材のブロック化の程度を評価した。ブロック化していないものを高い評価とした。
そして、上記の3つの項目を総合して、貯蔵中の品質劣化を、5段階評価した。
品質劣化がない 5←→1 品質劣化が著しい
評価結果として、5名の評価の平均点を、水分値の測定結果と併せて、次の表に示す。
Figure 2015154749
6.考察
油分が13%と少ない、ソース素材1−1は、水分が少ない乾燥マカロニ以外は評価が良くない。
油分が24%以上で水分/油分が0.35以下である、ソース素材1−2〜1−4は、各具材に対して貯蔵中の評価が良好である。
また、具材の水分が高いほど、評価が低くなることがわかる。これは、具材の水分が高いほど、水分でソース素材が吸湿溶解しやすくなるためと考えられる。
低水分である乾燥マカロニでは、ソース素材が吸湿しないため、ソースの溶解などが起こらないと考えられる。
本試験で使用した11種類の具材のうち、冷凍だいこんが最も水分が高くなっており、ソース素材の吸湿に対して条件が厳しいことから、次の試験2〜試験4では、冷凍だいこんを具材として試験を行うこととした。
<試験2>調味料部の油分
調味料部の油分の量と、調味料部の溶解やブロック化の発生との関係を調べた。
1.調味料部(ソース素材)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、試験用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、調整ラードを、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
調整ラードに調味粉体を投入して均一になるまで混合した。
混合した後に、厚さ8mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、10mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片0.8〜1.2gのソース素材のサンプルを得た。
ただし、試験区2−1〜2−4については、粉末状或いはそぼろ状であって、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
本試験の具材部用の具材として、冷凍だいこん(いちょう切り)を、試験1と同様の手順で調整した。
4.サンプル包装、虐待試験
調味料部の各ソース素材(2−1〜2−15)30gと、具材部の冷凍だいこん(いちょう切り)100gを、プラスチック袋に収容し、封止してサンプルを作製した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
5.評価
それぞれのサンプルについて、製造、貯蔵品の評価をそれぞれ行った。
製造、貯蔵品の評価として、以下の項目を、5名のメンバーで5段階評価した。
調味料の成形性:混合した調味料を圧延、カットする際の成型のしやすさを評価した。粉末状で成型しにくいものや、粘り・べたつきが強く圧延、カットしにくいものを低い評価とした。
成型しやすい 5←→1 成型しにくい
調味料の溶解:虐待貯蔵時の、調味料が溶解しているかいないかを評価した。溶解していないもの(変化がない)を高い評価とした。
溶解していない 5←→1 溶解している
袋内部の汚れ:虐待貯蔵時の、包装袋内部が溶解した調味料で汚れた程度を評価した。汚れていないものを高い評価とした。
汚れていない 5←→1 汚れている
ブロック化:調味料と具材のブロック化の程度を評価した。ブロック化していないものを高い評価とした。
ブロック化していない 5←→1 ブロック化している
また、総合評価として、上記の製造、貯蔵品の評価の4つの項目を総合して、5段階評価した。
評価結果として、5名の評価の平均点を、次の表に示す。
Figure 2015154749
6.考察
試験区2−1〜2−4は、油分が15%未満である。これらのサンプルは、粉末状でまとまらず、成型性が悪い。また、貯蔵中に調味料の溶解が起きて、袋の汚れが生じた。
試験区2−5は、油分が20%未満である。このサンプルは、かろうじて成型が可能であるが、貯蔵中の調味料の溶解、袋の汚れが生じる。
試験区2−6〜2−7は、油分が20〜23%である。これらのサンプルは、成型が可能であり、また調味料の溶解、袋の汚れ、ブロック化の各項目とも比較的良好であった。
試験区2−8〜2−9は、油分が24〜30%である。これらのサンプルは、各項目ともに良好な結果が得られた。
試験区2−10〜2−15は、油分が30%以上である。これらのサンプルは、各項目とも5点満点であり、特に良好な結果が得られた。
以上の結果から、調味料部の油分を20%以上とすることにより、成型性が良く、貯蔵時の調味料の溶解、ブロック化、包装材内部の汚れが抑えられ、良好な結果が得られることがわかる。
さらに、調味料部の油分が24%以上であると、より良好な結果が得られることがわかる。
<試験3>
調味料部に2種類の油脂(ショートニング及びファットスプレッド)を使用して、これら2種類の油脂の比率を変えてサンプルを作製し、それぞれサンプルの特性を調べた。
1.調味料部(ソース素材)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、試験用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、ショートニング及びファットスプレッドを、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
なお、使用したショートニングの規格値は、水分0.5%以下、油分99.5%以上であった。また、使用したファットスプレッドの規格値は、水分27%、油分71%であった。
試験区3−1〜3−6は油分が約25%になるように配合され、試験区3−7〜3−12は油分が約33%になるように配合され、試験区3−13〜3−18は油分が約40%になるように配合されている。
Figure 2015154749
ショートニング、ファットスプレッドに、調味粉体を投入して均一になるまで混合した。
混合した後に、厚さ8mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、10mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片0.8〜1.2gのソース素材のサンプルを得た。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
本試験の具材部用の具材として、冷凍だいこん(いちょう切り)を、試験1や試験2と同様の手順で調整した。
4.サンプル包装、虐待試験
調味料部の各ソース素材(3−1〜3−18)30gと、具材部の冷凍だいこん(いちょう切り)100gを、プラスチック袋に収容し、封止してサンプルを作製した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
5.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価を行った。
貯蔵品の評価の項目として、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の3つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
また、総合評価として、上記の貯蔵品の評価の3つの項目を総合して、5段階評価した。
評価結果として、5名の評価の平均点を、次の表に示す。
Figure 2015154749
6.考察
評価結果から、本試験のサンプルでは、水分量や油分量に関わらず、水分/油分が0.35以下である場合に良好な結果が得られている。
本試験のサンプルは、いずれも油分が20%以上であることから、油分が20%以上であり、水分/油分が0.35以下である、本発明の構成とすることにより、良好な結果が得られることがわかる。
<試験4>調味料部の水分
調味粉体に水を多く混ぜることにより、調味料部の水分を多くして、調味料部の水分の量とブロック化などの発生との関係を調べて、どの程度の水分量まで許容されるか調べた。
1.調味料部(ソース)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、本試験用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、調整ラード、水を、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
調整ラードに調味粉体を投入して均一になるまで混合した。そして、水を少量ずつ加えて良く混合した。
混合した後に、厚さ8mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、10mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片0.8〜1.2gのソース素材のサンプルを得た。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
本試験の具材部用の具材として、冷凍だいこん(いちょう切り)を、試験1や試験2と同様の手順で調整した。
4.サンプル包装、虐待試験
調味料部の各ソース素材(4−1〜4−11)30gと、具材部の冷凍だいこん(いちょう切り)100gを、プラスチック袋に収容し、封止してサンプルを作製した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
5.評価
それぞれのサンプルについて、製造、貯蔵品の評価をそれぞれ行った。
製造、貯蔵品の評価として、調味料の成形性、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の4つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
また、総合評価として、上記4つの項目のうち、貯蔵品の評価の3つの項目(調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化)を総合して、5段階評価した。
評価結果として、5名の評価の平均点を、次の表に示す。
Figure 2015154749
6.考察
水分を加えていくことにより、調味料の溶解、袋の内部の汚れ、ブロック化の評価が下がっていくことがわかる。
表15と表16の結果から、おおむね、油分が20%以上で、水分/油分が0.35以下の範囲(試験区4−3,4−5,4−8,4−9,4−10)では、良好な品質が得られることがわかる。
高濃度である調味料成分(塩、砂糖、アミノ酸類など)の浸透圧により、冷凍だいこんの水分が引き出され、その水分が調味料を溶解させると考えられる、
調味料成分がいったん水に溶解すると、高濃度の水溶液となり、不凍液状やシャーベット状となって包装袋内を汚してしまう。調味料や溶けた調味料が核となって具材と結合してブロック化を発生すると考えられる。
続いて、具体的な料理に適用した冷凍食品のサンプルを作製して、特性を調べた。
<試験5>酢豚
1.調味料部(ソース)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、酢豚用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、ごま油、ラード、水を、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
(試験区5−1〜5−12)
ごま油とラードに調味粉体を投入して均一になるまで混合し、さらに水を加える場合には、水を少量ずつ加えて良く混合した。
混合した後に、厚さ5mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、15mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片1.2〜1.6gの酢豚用ソース素材のサンプルを得た。
ただし、試験区5−1は粉末状であったので、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
(試験区5−13〜5−14)
鍋に全ての材料(調味粉体、ごま油、ラード、水)を投入した。
沸騰した後に1分間加熱し、蒸発分の水を追加して収量を調整した。
製氷皿に流し込み、凍結した。これにより、1片3〜5gのブロック状凍結ソースが得られた。凍結状態でもシャーベット状であり、ブロック同士がくっつきやすい状態であった。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
酢豚の具材部用の具材として、冷凍揚げ豚肉、冷凍たまねぎ、冷凍にんじん、冷凍たけのこ、冷凍ピーマン、冷凍椎茸を、それぞれ下記の通り調整した。
冷凍揚げ豚肉:豚モモ肉(20×15×15mm)に、肉の0.5%の量の食塩をまぶして、よく混ぜた。さらに、肉の10%の量のコーンスターチを打ち粉して、170℃で4分間、肉の中心が70℃に達するまで油ちょうした。放冷してから凍結して、冷凍揚げ豚肉を得た。
冷凍たまねぎ(乱切り):皮をむいた玉ねぎを乱切りにして、スチーマーで10分間蒸した。放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍たまねぎ(乱切り)を得た。
冷凍にんじん(乱切り):皮をむいたにんじんを、4〜6gの乱切りにして、スチーマーで10分間蒸煮した。放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍にんじん(乱切り)を得た。
冷凍たけのこ(乱切り):水煮たけのこを、4〜6gの乱切りにして、沸騰水中で10分間ボイルした。放冷後、凍結庫で凍結して、冷凍たけのこ(乱切り)を得た。
冷凍ピーマン(乱切り):ピーマンの種を除き、1〜2gの乱切りにして、沸騰水中で2分間ボイルし、直ぐに冷水で冷却した。水をよくきってから凍結庫で凍結して、冷凍ピーマン(乱切り)を得た。
冷凍椎茸:干し椎茸(直径20〜30mm)を水戻しして、沸騰水中で5分間ボイルした。水をよく切ってから、凍結板に並べて凍結して、冷凍椎茸を得た。
各具材の水分値を測定したところ、次の表の通りであった。
Figure 2015154749
4.サンプル包装、貯蔵試験
次の表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材又は凍結ソース)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
ソース素材、凍結ソースの量は、1袋の調味粉体の量が、全て同じ35gになるように計算して投入した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に3ヶ月間貯蔵した。
Figure 2015154749
5.調理
(試験区5−1〜5−12)
18cmのフライパンにサンプルの中身を入れて、表21に記載された、調理時の加水量に従って水を計量、投入し、フライパンの蓋をした。
なお、ブロック化したサンプルは、ほぐさずにそのままフライパンに投入した。
ガスコンロで加熱を開始してから、具材が温まり、ソースが溶けるまで加熱して、それまでに要した時間を「調理時間」として測定した。ブロック化したものは、具材の解凍に時間がかかり、調理時間が長くなった。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
(試験区5−13〜5−14)
18cmのフライパンにサンプルの中身を入れて、フライパンの蓋をした。
ガスコンロで焦げないように注意しながら加熱し、ソース及び具材が完全に解凍して温まるまで加熱した。途中煮詰まった場合には、調理中に適宜水を加えた。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
6.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価、調理後の官能評価をそれぞれ行った。
(貯蔵品の評価)
貯蔵品の評価として、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の3つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
(調理後の官能評価)
調理後の官能評価として、以下の項目を、5名のメンバーで5段階評価した。
具材(にんじん)の味の濃さ:具材で味が濃い(塩辛い)ものがあるかを評価し、塩辛くないものを高い評価とした。この試験ではにんじんを評価した。
塩辛くない 5←→1 塩辛い
具材の味ムラ:具材で味が濃いものと薄いもののムラがあるかどうか評価し、ムラが無いものを高い評価とした。
味ムラが無い 5←→1 味ムラがある
具材(豚肉)の食感:具材の食感を評価した。この試験では豚肉の硬さを評価した。軟らかいものを高い評価とした。
やわらかい 5←→1 硬い
具材(ピーマン)の色:具材の色を評価した。この試験ではピーマンの緑色を評価した。退色していないものを高い評価にした。
緑色が保持されている 5←→1 退色している
(総合評価)
総合評価として、上記の貯蔵品の評価と、調理後の官能評価を総合して、5段階評価した。
(評価結果)
評価結果として、5名の評価の平均点を、調理時間の測定結果と併せて、次の表に示す。
Figure 2015154749
7.考察
本発明の範囲内の条件である、試験区5−2,5−5,5−6,5−9〜5−11では、良好な結果が得られ、3ヶ月間の貯蔵後でも良好な結果であった。
本発明の範囲外の条件である、その他の試験区では、袋内部の汚れ、ブロック化、具材の味や食感の劣化、具材の色の変化の各項目のいくつかで良い結果が得られなかった。
比較例として、水分を多く含む凍結ソースを使用した、試験区5−13及び5−14では、具材とソースとがブロック化しており、溶解したソースが具材に浸透したことにより豚肉の食感やピーマンの色が変化していた。また、凍結ソースを使用したことにより、調理時間は9分と大幅に長くなった。
ブロック化していないサンプルの調理時間は3分であったのに対して、ブロック化したサンプルは、調理時間が4分〜6.5分に延びた。
<試験6>チキンスープ
1.調味料部(スープ)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、チキンスープ用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、ラードと鶏油の混合油(ラード:鶏油=85:15)、水を、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
(試験区6−1〜6−14)
ラードと鶏油の混合油(ラード:鶏油=85:15)に、調味粉体を投入して均一になるまで混合し、さらに水を加える場合には、水を少量ずつ加えて良く混合した。
混合した後に、厚さ5mmの平板状に圧延して、冷凍庫に入れて凍結した。
その後、冷凍庫から出して、10mm角にカットした。カットが難しい場合には室温でしばらく放置してからカットした。このようにして、1片0.5〜0.8gのチキンスープ用スープ素材のサンプルを得た。
ただし、試験区6−1は粉末状であったので、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
(試験区6−15〜6−16)
鍋に全ての材料(調味粉体、ラードと鶏油の混合油、水)を投入した。
沸騰した後に1分間加熱し、蒸発分の水を追加して収量を調整した。
製氷皿に流し込み、凍結した。これにより、1片約3gのブロック状凍結スープが得られた。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
チキンスープの具材部用の具材として、冷凍鶏ムネ肉ダイス、冷凍ミルポワミックス、冷凍マカロニを、それぞれ下記の通り調整した。
冷凍鶏ムネ肉ダイス:鶏ムネ肉(10mmダイス)にムネ肉の1%の食塩をまぶして混合し、そのまま冷蔵庫で2時間保管し下味をつけた。そして、沸騰水中で約3分間ボイルして、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げて凍結して、冷凍鶏ムネ肉ダイスを得た。
冷凍ミルポワミックス:それぞれ8mmダイスにカットした玉ねぎ40質量部、にんじん20質量部、セロリ10質量部を混合した。フライパンに野菜の3%の量のサラダ油を熱して、野菜を加えて、歩留まり85%までソテーした。凍結板に薄く広げて凍結して、これを砕いて、バラ状の凍結ミルポワミックスを得た。
冷凍マカロニ:乾燥マカロニ(エルボ)を、沸騰した0.8%の食塩水で8分間ボイルし、その後直ちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べて、凍結庫で凍結して、バラ凍結された冷凍マカロニ(エルボ)を得た。
各具材の水分値を測定したところ、次の表の通りであった。
Figure 2015154749
4.サンプル包装、貯蔵試験
次の表に従い、具材部及び調味料部(スープ素材又は凍結スープ)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
スープ素材、凍結スープの量は、1袋の調味粉体の量が、全て同じ5gになるように計算して投入した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に3ヶ月間貯蔵した。
Figure 2015154749
5.調理
(試験区6−1〜6−14)
16cmの鍋にサンプルの中身を入れて、表27に記載された、調理時の加水量に従って水を計量、投入し、鍋の蓋をした。
なお、ブロック化したサンプルは、ほぐさずにそのままフライパンに投入した。
ガスコンロで加熱を開始してから、具材が温まり、ソースが溶けるまで加熱して、それまでに要した時間を「調理時間」として測定した。ブロック化したものは、具材の解凍に時間がかかり、調理時間が長くなった。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
(試験区6−15〜6−16)
16cmの鍋にサンプルの中身を入れて、鍋の蓋をした。
ガスコンロで焦げないように注意しながら加熱し、スープ及び具材が完全に解凍して温まるまで加熱した。途中煮詰まった場合には、調理中に適宜水を加えた。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
加熱に要した時間は、それぞれ7分であった。
6.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価、調理後の官能評価をそれぞれ行った。
(貯蔵品の評価)
貯蔵品の評価として、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の3つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
(調理後の官能評価)
調理後の官能評価として、以下の項目を、5名のメンバーで5段階評価した。
具材(鶏肉)の味の濃さ:スープの中の具材で味が濃い(塩辛い)ものがあるかを評価し、塩辛くないものを高い評価とした。この試験では鶏肉を評価した。
塩辛くない 5←→1 塩辛い
具材の味ムラ:スープの中の具材で味が濃いものと薄いもののムラがあるかどうか評価し、ムラが無いものを高い評価とした。
味ムラが無い 5←→1 味ムラがある
具材(マカロニ)の食感:スープの中の具材の食感を評価した。この試験ではマカロニの食感に弾力があるかどうかを評価した。弾力があるものを高い評価とした。
弾力がある 5←→1 弾力が無い(柔らかい)
(総合評価)
総合評価として、上記の貯蔵品の評価と、調理後の官能評価を総合して、5段階評価した。
(評価結果)
評価結果として、5名の評価の平均点を、調理時間の測定結果と併せて、次の表に示す。
Figure 2015154749
7.考察
本発明の範囲内の条件である、試験区6−3,6−7〜6−9,6−11〜6−13では、良好な結果が得られ、3ヶ月間の貯蔵後でも良好な結果であった。
本発明の範囲外の条件である、その他の試験区では、袋内部の汚れ、ブロック化、具材の味や食感の劣化、具材の色の変化の各項目のいくつかで良い結果が得られなかった。
比較例として、水分を多く含む凍結スープを使用した、試験区6−19及び6−20では、溶解したスープが具材に浸透したことによりマカロニの食感が変化していた。また、凍結ソースを使用したことにより、調理時間は7分と大幅に長くなった。
ブロック化していないサンプルの調理時間は2分であったのに対して、ブロック化したサンプルは、調理時間が3分〜4分に延びた。
<試験7>ブロック化と調理時間(トマトソースペンネ)
トマトソースペンネについて、ブロック化の状態と調理時間との関係を調べた。
1.調味料部(トマトソース)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、トマトソースペンネのトマトソース用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、調整ラードと、水を、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
調整ラードに調味粉体を投入して均一になるまで混合し、さらに水を加える場合には、水を少量ずつ加えて良く混合した。
混合した後に、厚さ8mmの平板状に圧延して、15mmの格子状にカットして冷凍庫に入れて凍結した。このようにして、1片約1gのトマトソース用のソース素材のサンプルを得た。
ただし、試験区7−3は粉末状であったので、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
トマトソースペンネの具材部用の具材として、冷凍ペンネ、冷凍ソテーオニオン、冷凍揚げナスを、それぞれ下記の通り調整した。
冷凍ペンネ:乾燥ペンネを、沸騰した0.8%の食塩水で13分間ボイルし、その後直ちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べ、凍結庫で凍結して、バラ凍結された冷凍ペンネを得た。
冷凍ソテーオニオン:皮をむいた玉ねぎを5×5mmにカットした。フライパンに玉ねぎの5%の量のサラダ油を熱し、玉ねぎを加えて、歩留まり80%までソテーした。凍結板に薄く広げて凍結し、薄い板状の凍結ソテーオニオンとし、さらにこれを砕いて、バラ状の凍結ソテーオニオンを得た。
冷凍揚げナス:業務用のバラ凍結状の冷凍揚げナスを使用した。
4.サンプル包装、虐待試験
次の表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
ソース素材の量は、1袋の調味粉体の量が、全て同じ30gになるように計算して投入した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
Figure 2015154749
5.調理
18cmのフライパンにサンプルの中身を入れて、表32に記載された、調理時の加水量に従って水を計量、投入し、フライパンの蓋をした。
試験区7−3〜7−6はブロック化が見られたが、ブロック化したサンプルは、ブロックのまま投入した。
ガスコンロで加熱し、沸騰したら弱火にし、具材がほぐれ、全体が温まるまで加熱した。その際に加熱に要した時間を「調理時間」として測定した。途中煮詰まった場合には、適宜水を加えて加熱した。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
6.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価、調理後の官能評価をそれぞれ行った。
(貯蔵品の評価)
貯蔵品の評価として、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の3つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
(調理後の官能評価)
調理後の官能評価として、以下の項目を、5名のメンバーで5段階評価した。
具材(ナス)の味の濃さ:具材で味が濃い(塩辛い)ものがあるかを評価し、塩辛くないものを高い評価とした。この試験ではナスを評価した。
塩辛くない 5←→1 塩辛い
具材の味ムラ:具材で味が濃いものと薄いもののムラがあるかどうか評価し、ムラが無いものを高い評価とした。
味ムラが無い 5←→1 味ムラがある
具材(ペンネ)の食感:具材(ペンネ)の食感を評価した。弾力が残っているものを高い評価、のびて軟らかくなったら低い評価とした。
弾力がある 5←→1 やわらかい
(総合評価)
総合評価として、上記の貯蔵品の評価と、調理後の官能評価を総合して、5段階評価した。
(評価結果)
評価結果として、5名の評価の平均点を、調理時間の測定結果と併せて、次の表に示す。
Figure 2015154749
7.考察
調味料部の油脂が少ない場合(試験区7−3,7−4)や、水分が多い場合(試験区7−5,7−6)には、貯蔵中の調味料の溶解が起こり、ブロック化が進む。それによって、具材への過度の味染み、具材の味ムラが起こる。
ブロック化が進んだ場合は、調理時間が延びてしまい、ペンネが煮込まれてしまうため、食感が損なわれることがわかる。
<試験8>ブロック化と調理時間(ミネストローネ)
ミネストローネについて、ブロック化と調理時間との関係を調べた。
1.調味料部(スープ)の調整
まず、次の表に従ってそれぞれの材料を計量して、混合することにより、ミネストローネのスープ用の調味粉体を作製した。
Figure 2015154749
続いて、作製した調味粉体と、ショートニングと、水を、それぞれ次の表に示す質量比率で計量した。
Figure 2015154749
ショートニングに調味粉体を投入して均一になるまで混合し、さらに水を加える場合には、水を少量ずつ加えて良く混合した。
混合した後に、厚さ5mmの平板状に圧延して、10mmの格子状にカットして冷凍庫に入れて凍結した。このようにして、1片約0.8gのミネストローネ用のスープ素材のサンプルを得た。
ただし、試験区8−3は粉末状であったので、圧延やカットが困難なため、粉末のまま以下の試験に供した。
得られたサンプルを冷凍庫で保管した。
2.調味料部のサンプルの成分測定
得られた調味料部のサンプルについて、試験1と同様の測定方法により、サンプルの水分(%)、油分(%)、水分/油分、塩分(%)、10倍希釈液のBrix値を測定した。
それぞれの測定結果を、次の表に示す。
Figure 2015154749
3.具材部の調整
ミネストローネの具材部用の具材として、冷凍ジャガイモ、冷凍ミルポワミックス、冷凍ベーコン、冷凍マカロニ、冷凍ダイストマトを、それぞれ下記の通り調整した。
冷凍ジャガイモ:皮をむいたジャガイモを、10mmダイスにカットした。スチーマーで5分間蒸して、放冷後凍結庫で凍結して、冷凍ジャガイモを得た。
冷凍ミルポワミックス:それぞれ8mmダイスにカットした玉ねぎ40質量部、にんじん20質量部、セロリ10質量部と混合した。フライパンに野菜の3%の料のサラダ油を熱し、野菜を加えて、歩留まり85%までソテーした。凍結板に薄く広げて凍結し、これを砕いて、バラ状の凍結ミルポワミックスを得た。
冷凍ベーコン:ベーコンを20×10×3mmにカットし、凍結板に並べて凍結し、冷凍ベーコンを得た。
冷凍マカロニ:乾燥マカロニ(エルボ)を、沸騰した0.8%の食塩水で8分間ボイルし、その後直ちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べ、凍結庫で凍結し、バラ冷凍された冷凍マカロニ(エルボ)を得た。
冷凍ダイストマト:ダイストマト缶をザルにあけて液汁を切り、固形部分を凍結板に薄く広げて凍結した。凍結後小片に砕いて、冷凍ダイストマトを得た。
4.サンプル包装、虐待試験
次の表に従い、具材部及び調味料部(スープ素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
スープ素材の量は、1袋の調味粉体の量が、全て同じ10gになるように計算して投入した。
包装したサンプルは、−18℃の冷凍庫に1ヶ月間貯蔵した。
その間1日1回1時間、−3℃に温度が上昇するようにプログラムし、1週間、虐待貯蔵試験を行った。
Figure 2015154749
5.調理
16cmの鍋にサンプルの中身を入れ、表37に記載された、調理時の加水量に従って水を計量、投入し蓋をした。
試験区8−3〜8−6はブロック化が見られたが、ブロック化したサンプルは、ブロックのまま投入した。
ガスコンロで加熱し、沸騰したら弱火にし、時折蓋を開けて攪拌しながら加熱した。全体の具材とスープが温まるまで加熱し、その際の加熱に要した時間を「調理時間」として測定した。途中煮詰まった場合には、適宜水を加えて加熱した。
蓋を開けて、よく混合して、皿に盛り付け検食した。
6.評価
それぞれのサンプルについて、貯蔵品の評価、調理後の官能評価をそれぞれ行った。
(貯蔵品の評価)
貯蔵品の評価として、調味料の溶解、袋内部の汚れ、ブロック化の3つの項目を、5名のメンバーで5段階評価した。各項目の評価の手法は、試験2と同様とした。
(調理後の官能評価)
調理後の官能評価として、以下の項目を、5名のメンバーで5段階評価した。
具材の味ムラ:具材で味が濃いものと薄いもののムラがあるかどうか評価し、ムラが無いものを高い評価とした。
味ムラが無い 5←→1 味ムラがある
具材(ジャガイモ、ダイストマト)の煮崩れ:具材(ジャガイモ、ダイストマト)の煮崩れ具合を評価した。固形が残っているものを高い評価とし、煮崩れしたものを低い評価とした。
固型が残っている 5←→1 煮崩れている
具材(マカロニ)の食感:具材(マカロニ)の食感を評価した。弾力が残っているものを高い評価、のびて軟らかくなったら低い評価とした。
弾力がある 5←→1 やわらかい
(総合評価)
総合評価として、上記の貯蔵品の評価と、調理後の官能評価を総合して、5段階評価した。
(評価結果)
評価結果として、5名の評価の平均点を、調理時間の測定結果と併せて、次の表に示す。
Figure 2015154749
7.考察
調味料部の油脂が少ない場合(試験区8−3,8−4)や、水分が多い場合(試験区8−5,8−6)には、貯蔵中の調味料の溶解が起こり、ブロック化が進む。それによって、具材の味ムラが起こる。
ブロック化が進んだ場合は、調理時間が延びてしまい、具材が煮込まれてしまうため、煮崩れが生じたり、食感が損なわれたりすることがわかる。
さらなる実施例として、具体的な料理に適用した冷凍食品の作製方法(レシピ)の例を、以下にいくつか説明する。
なお、以下に説明する各レシピ例について、それぞれ実際に冷凍食品の作製及び調理を行って、状態を調べた。
(各レシピ例の具材の調整方法)
まず、各レシピ例の作製及び調理方法の説明に先立ち、各レシピ例に使用した具材の調整方法を、次にまとめて示す。
冷凍鶏ムネ肉ダイス:鶏ムネ肉(10mmダイス)にムネ肉の1%の食塩をまぶして混合し、そのまま冷蔵庫で2時間保管し下味をつけた。沸騰水中で約3分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍鶏ムネ肉ダイスを得た。
冷凍鶏モモ肉ダイス:鶏モモ肉(20×15×15mm)を1%の食塩水で一晩浸漬した。沸騰水中で芯温が70℃に達するまで、約10分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍鶏モモ肉を得た。
冷凍豚肉そぼろ:豚肉をグラインダーで5mmにチョップし、挽き肉とした。フライパンに挽き肉の3%のサラダ油を熱し、挽き肉加えてソテーして、豚肉そぼろとした。凍結板に薄く広げて並べ、凍結庫で凍結し、バラ凍結された冷凍豚肉そぼろを得た。
冷凍揚げ豚肉:豚モモ肉(20×15×15mm)に、肉の0.5%の食塩をまぶしてよく混ぜた。肉の10%のコーンスターチを打ち粉して、170℃で約4分間、肉の中心が70℃に達するまで油ちょうした。放冷してから凍結し冷凍揚げ豚肉を得た。
冷凍豚バラ肉(スライス):豚バラ肉スライス(50×30×3mm)を沸騰水中で約1分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍豚バラ肉(スライス)を得た。
冷凍牛モモ肉(細切り):牛モモ肉細切り(40×5×5mm)を沸騰水中で約2分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍牛モモ肉(細切り)を得た。
冷凍牛カタ肉ダイス:牛カタ肉(20×15×15mm)を1%の食塩水で一晩浸漬した。沸騰水中で芯温が70℃に達するまで、約8分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍牛カタ肉ダイスを得た。
冷凍牛バラ肉(スライス):牛バラ肉スライス(40×30×3mm)を沸騰水中で約1分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍牛バラ肉(スライス)を得た。
冷凍牛肉そぼろ:牛肉をグラインダーで5mmでチョップし、挽き肉とした。挽き肉に対し、食塩0.5%、こしょう0.05%を加えてよく混ぜた。フライパンに挽き肉の3%のサラダ油を熱し、挽き肉加えてソテーして、牛肉そぼろとした。凍結板に薄く広げて並べ、凍結庫で凍結し、バラ凍結された冷凍牛肉そぼろを得た。
冷凍ベーコン:ベーコンを20×10×3mmにカットし、凍結板に並べて凍結し、冷凍ベーコンを得た。
冷凍揚げエビ:冷凍むきエビ(バナメイエビ、51/60サイズ)を解凍し、1%の食塩水に一晩浸漬した。水をよく切ってから、エビの10%の馬鈴薯澱粉を打ち粉して、160℃で約5分間油ちょうした。放冷してから凍結し冷凍揚げエビを得た。
冷凍ボイルエビ:冷凍むきエビ(バナメイエビ、51/60サイズ)を解凍し、1%の食塩水に一晩浸漬した。水を切ってから沸騰水中で6分間ボイルし、直ちに冷水で冷却した。水を切って凍結板に広げ、凍結庫で凍結して、冷凍ボイルエビを得た。
冷凍ジャガイモ(10mmダイス、15mmダイス):皮をむいたジャガイモを、10mmダイスまたは15mmダイスにカットした。スチーマーで5分間蒸し、放冷後凍結庫で凍結して、冷凍ジャガイモ(10mmダイス)、冷凍ジャガイモ(15mmダイス)を得た。
冷凍たまねぎ(乱切り):皮をむいた玉ねぎを乱切りにし、スチーマーで10分間蒸した。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍たまねぎ(乱切り)を得た。
冷凍たまねぎ(スライス):皮をむいた玉ねぎを5mmスライスにし、スチーマーで3分間蒸した。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍たまねぎ(スライス)を得た。
冷凍ソテーオニオン:皮をむいた玉ねぎを5×5mmにカットした。フライパンに玉ねぎの5%のサラダ油を熱し、玉ねぎを加えて、歩留り80%までソテーした。凍結板に薄く広げて凍結し、薄い板状の凍結ソテーオニオンとし、さらにこれを砕いて、バラ状の凍結ソテーオニオンを得た。
冷凍にんじん(乱切り、短冊切り、いちょう切り):皮をむいたにんじんを、4〜6gの乱切り、30×10×3mmの短冊切り、あるいは3mm厚のいちょう切りにした。スチーマーで、乱切りは10分間、短冊切り及びいちょう切りは5分間蒸した。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍にんじん(乱切り)、冷凍にんじん(短冊切り)、冷凍にんじん(いちょう切り)を得た。
冷凍だいこん(乱切り、いちょう切り):皮をむいただいこんを、4〜6gの乱切り、または3mm厚のいちょう切りにした。沸騰水中で、乱切りは10分間、いちょう切りは3分間ボイルした。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍だいこん(乱切り)及び冷凍だいこん(いちょう切り)を得た。
冷凍ごぼう(乱切り、ささがき切り):皮をむいたごぼうを、3〜5gの乱切り、またはささがき切りにした。沸騰水中で、乱切りは10分間、ささがき切りは3分間蒸した。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍ごぼう(乱切り)及び冷凍ごぼう(ささがき)を得た。
冷凍たけのこ(乱切り、短冊切り、細切り):水煮たけのこを、4〜6gの乱切り、30×10×3mmの短冊切り、あるいは40×3×3mmの細切りにした。沸騰水中で、乱切りは10分間、短冊切りと細切りは5分間ボイルした。放冷後凍結庫で凍結して、冷凍たけのこ(乱切り)、冷凍たけのこ(短冊切り)、冷凍たけのこ(細切り)を得た。
冷凍ピーマン(乱切り):ピーマンの種を除き、1〜2gの乱切りにした。沸騰水中で2分間ボイルし、直ぐに冷水で冷却した。水をよく切ってから凍結庫で凍結して、冷凍ピーマン(乱切り)を得た。
冷凍白菜、冷凍キャベツ:白菜、キャベツを50×50mmにカットし、それぞれスチーマーで5分間蒸した。放冷後、凍結板に並べて凍結し、冷凍白菜及び冷凍キャベツを得た。
冷凍椎茸:干し椎茸(直径20〜30mm)を水戻しして、沸騰水中で5分間ボイルした。水をよく切ってから、凍結板に並べて凍結し、冷凍椎茸を得た。
冷凍ネギ(みじん切り):長ネギの白い部分を8mm角にカットし、冷水で洗浄した。水をよく切ってから、凍結板に重ならないように置いて凍結し、冷凍ネギ(みじん切り)を得た。
冷凍ミルポワミックス:それぞれ8mmダイスにカットした玉ねぎ40部、にんじん20部、セロリ10部を混合した。フライパンに野菜の3%の量のサラダ油を熱し、野菜を加えて、歩留り85%までソテーした。凍結板に薄く広げて凍結し、これを砕いて、バラ状の凍結ミルポワミックスを得た。
冷凍マカロニ:乾燥マカロニ(エルボ)を、沸騰した0.8%の食塩水で8分間ボイルし、その後ただちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べ、凍結庫で凍結し、バラ凍結された冷凍マカロニ(エルボ)を得た。
冷凍スパゲッティ:1.6mmの乾燥スパゲッティ-を、沸騰した0.8%の食塩水で8分間ボイルし、その後ただちに流水にさらして冷却した。凍結用リテーナー(12cm×18cm)に160gずつ入れて凍結し、冷凍スパゲッティー(麺塊)を得た。
冷凍ペンネ:乾燥ペンネを、沸騰した0.8%の食塩水で13分間ボイルし、その後ただちに流水にさらして冷却した。凍結板にくっつかないように並べ、凍結庫で凍結し、バラ凍結された冷凍ペンネを得た。
バラ凍結ごはん:炊飯したご飯を袋に入れ、そこにパウダー状ドライアイスを投入し、振りながらよく撹拌して、IQF(バラ凍結)ご飯を得た。
冷凍アサリ、冷凍ボイルイカ、冷凍豆腐、冷凍スイートコーン、冷凍ブロッコリー、冷凍マッシュルーム、冷凍ピーマン(細切り)、冷凍さといも、冷凍れんこん、冷凍ギンナン、冷凍ぶなしめじ:業務用で通常流通しているバラ凍結状の製品を使用した。
(レシピ例1)チキンスープ
チキンスープのレシピの例を、以下説明する。
1.調味料部(スープ素材)
チキンスープ用の調味料部(スープ素材)の材料として、次の表に示す材料を計量した。
Figure 2015154749
縦型ミキサー(ケンミックス(愛工舎製作所製)、ビーター羽根使用)に、ショートニングと鶏油を投入し、さらに、他の原材料を順次投入して、均一になるまで攪拌混合した。
混合物を絞り袋に入れ、凍結用トレーに、約1.5gずつ円錐形に絞り出して成型した。
凍結庫に入れて凍結し、1片が約1.5gのチキンスープ用のスープ素材を得た。
2.具材部
チキンスープ用の具材部として、冷凍鶏ムネ肉ダイス、冷凍ミルポワミックス、冷凍マカロニ、冷凍ベーコンの各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
次の表に従い、具材部及び調味料部(スープ素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
4.調理
次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量して、18cmの鍋に投入し、ガスコンロで加熱を開始した。水が沸騰したら、袋の封を開けて鍋に中身を移し、蓋をして加熱した。
再び沸騰してから1分間加熱し、蓋をあけて軽く混合してから、スープ皿に盛り付けた。
具材の食感、色、ソースの味、色、風味も良好であった。
Figure 2015154749
表41に示す製品の軽量化率は、軽量化率=加水量/(加水量+製品質量)である。
本例においては、軽量化率0.77であった。
表41に示すスープ素材希釈倍率は、希釈倍率=(加水量+スープ素材質量)/スープ素素材質量である。本例においては、希釈倍率22.4であった。
本例では、加水量が150gであることから、150gの軽量化ができ、調理時のエネルギーとして、16.34kcal(150g×109cal/g)を削減できる。
(レシピ例2)スープ(コーンスープ、クラムチャウダー)
チキンスープ以外のスープとしてコーンスープ、クラムチャウダーのレシピの例を、以下説明する。
1.調味料部(スープ素材)
本例の調味料部(スープ素材)の材料として、次の表に示す材料を計量した。
Figure 2015154749
蒸気釜にショートニングを投入し、加熱を開始した。ショートニングが溶解したら、薄力小麦粉を投入し、混合しながら130℃まで加熱して、ルウを作製した。
加熱終了後、攪拌しながら放冷した。
ルウの温度が30℃まで下がったら、縦型ミキサー(ケンミックス(愛工舎製作所製)、ビーター羽根使用)に投入し、マーガリンを加えて、さらに、他の原材料を順次投入して、均一になるまで攪拌混合した。
混合物を麺棒を使用して、厚さ5mmのシート状に圧延し、冷凍庫で冷却した。
約10mm×10mmの格子状にカットし、そのまま凍結庫に入れて凍結した。これにより、1片が約0.6〜0.8gのスープ素材を得た。
2.具材部
本例のスープ用の具材部として、冷凍ジャガイモ(10mmダイス)、冷凍ミルポワミックス、冷凍ベーコン、冷凍スイートコーン、冷凍アサリの各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
それぞれ表43、表44に従い、具材部及び調味料部(スープ素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
4.調理
袋の封を開けて、18cmのIH対応鍋に袋の中身を移した。次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量して鍋に投入し、鍋の蓋をして、IHコンロによって強加熱で加熱を開始した。
沸騰してから1分後に蓋をあけて軽く混合して、皿に盛り付けた。
具材の食感、色、ソースの味、色、風味も良好であった。
具材とスープが一体となって包装部材に充填後密閉封止され凍結され、湯煎にて解凍加熱する構成である、通常の冷凍スープでは、1食分(200g/袋程度)の製品で、調理時間(湯煎の時間)が10〜15分程度かかる。
本例のスープでは、上述の通常の冷凍スープよりも大幅に調理時間が短く、簡便に調理ができた。
本例においては、軽量化率及び希釈倍率は、表45の通りであった。
Figure 2015154749
(レシピ例3)各種中華料理
本例では、麻婆豆腐、チリ、酢豚、八宝菜、チンジャオロース、回鍋肉の各種中華料理のレシピを説明する。
1.調味料部(ソース素材)
次の表に示すように、本例の各種中華料理のソース素材の材料を計量した。
Figure 2015154749
ラード及びその他の油脂を、縦型ミキサー(ケンミックス(愛工舎製作所製)、ビーター羽根使用)に投入し、他の原材料を順次投入して、均一になるまで攪拌した。
混合物を凍結板の上で、厚さ8mmのシート状に圧延し、冷凍庫で冷却した。
これを凍結板上で約15mm×15mmの格子状にカットし、そのまま凍結庫に入れて凍結した。
凍結後に凍結板から剥がし、1片が約2.5gのソース素材を得た。
2.具材部
本例の各種中華料理の具材部として、冷凍豚肉そぼろ、冷凍揚げ豚肉、冷凍豚バラ肉(スライス)、冷凍牛モモ肉(細切り)、冷凍揚げエビ、冷凍ボイルエビ、冷凍たまねぎ(乱切り)、冷凍にんじん(乱切り、短冊切り)、冷凍たけのこ(乱切り、短冊切り、細切り)、冷凍ピーマン(乱切り)、冷凍白菜、冷凍キャベツ、冷凍椎茸、冷凍ネギ(みじん切り)、冷凍豆腐、冷凍ボイルイカ、冷凍ギンナン、冷凍ピーマン(細切り)の各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
以下の各表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
4.調理
次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量して、18cmのフライパンに投入し、ガスコンロで加熱を開始した。
水が沸騰したら、袋の封を開けてフライパンに袋の中身を移し、蓋をして加熱した。
再び沸騰してから1分間加熱し、蓋をあけて軽く混合してから、皿に盛り付けた。
具材の食感、色、ソースの味、色、風味も良好であった。
本例においては、軽量化率及び希釈倍率は、表53の通りであった。
Figure 2015154749
(レシピ例4)カレー、シチュー
本例では、各種カレー、シチューとして、ビーフカレー、ビーフシチュー、チキンシチューのレシピを説明する。
1.調味料部(ソース素材)
次の表に示すように、本例の各種カレー、シチューのソース素材の材料を計量した。
Figure 2015154749
羽根つき蒸気釜に、調整ラード又はショートニングを投入し、加熱を開始した。
調整ラード又はショートニングが溶解したら、薄力小麦粉を投入し、カレーソース素材についてはカレー粉も投入した。
混合しながら130℃まで加熱し、カレールウ及びルウを得た。
ルウの温度が30℃まで下がったら、バターを加え、さらに他の原材料を順次投入して、均一になるまで攪拌した。
一マスが10mm×10mmサイズの製氷皿に投入し、表面を平らにならして凍結した。
凍結後に製氷皿から取り出し、1片が1.0〜1.3gのソース素材を得た。
2.具材部
本例の各種カレー、シチューの具材部として、冷凍鶏モモ肉ダイス、冷凍牛カタ肉ダイス、冷凍ジャガイモ(15mmダイス)、冷凍たまねぎ(乱切り)、冷凍にんじん(乱切り)、冷凍ブロッコリー、冷凍マッシュルームの各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
以下の各表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
4.調理
袋の封を開けて、18cmのIH対応フライパンに袋の中身を移した。次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量してフライパンに投入し、蓋をして、IHコンロによって強加熱で加熱を開始した。
沸騰したら中加熱とし、さらに2分間加熱し、蓋をあけてソースを混合して、皿に盛り付けた。
具材の食感、色、ソースの味、色、風味も良好であった。
具材とソースが一体となって包装部材に充填後密閉封止され凍結され、湯煎にて解凍加熱する構成である、通常の冷凍カレーや冷凍シチューでは、1食分(200g/袋程度)の製品で、調理時間(湯煎の時間)が10〜15分程度かかる。
本例のカレーやシチューでは、上述の通常の冷凍カレーや冷凍シチューよりも大幅に調理時間が短く、簡便に調理ができた。
本例においては、軽量化率及び希釈倍率は、次の表58の通りであった。
Figure 2015154749
(レシピ例5)パスタ、リゾット
本例では、各種パスタ、リゾットとして、カルボナーラスパゲッティ、ミートソースペンネ、チーズリゾットのレシピを説明する。
1.調味料部(ソース素材、スープ素材)
次の表に示すように、本例の各種パスタ、リゾットのソース素材、スープ素材の材料を計量した。
Figure 2015154749
油脂(バター、調整ラード又はマーガリン)を縦型ミキサー(ケンミックス(愛工舎製作所製)、ビーター羽根使用)に投入し、他の原材料を順次投入した。混合物を絞り袋に入れて、凍結用トレーに約2gずつ円錐形に絞り出し、成型した。
凍結庫に入れて凍結し、1片が約2gのソース素材、スープ素材を得た。
2.具材部
本例の各種パスタ、リゾットの具材部として、冷凍スパゲッティ、冷凍ペンネ、バラ凍結ごはん、冷凍ベーコン、冷凍牛肉そぼろ、冷凍ソテーオニオン、冷凍ぶなしめじの各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
以下の各表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材、スープ素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
4.調理
袋の封を開けて、20cmのフライパンに袋の中身を移した。次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量してフライパンに投入し、フライパンの蓋をして、ガスコンロで強火で加熱を開始した。
3分後に蓋をあけて、ソース、スープをよく混合して、皿に盛り付けた。
パスタ及び具材の食感、ソースの味、色、風味も良好であった。
通常の1人前冷凍パスタよりも調理時間が短く、簡便に調理ができた。
本例においては、軽量化率及び希釈倍率は、表63の通りであった。
Figure 2015154749
(レシピ例6)和風料理
本例では、各種和風料理として、豚汁、筑前煮、牛丼のレシピを説明する。
1.調味料部(ソース素材、スープ素材)
次の表に示すように、本例の各種和風料理のソース素材、スープ素材の材料を計量した。
Figure 2015154749
ラード及びその他の油脂を、鍋に入れて加温し融解させた。
油脂を45℃まで冷ましてから、他の原材料を順次投入して、均一になるまで攪拌した。
混合物をトレーに流し込み、10mmの厚みにならして冷蔵庫で冷却した。
これを10mm角にカットし、そのまま凍結庫に入れて凍結した。
凍結後に凍結板から剥がして、1片が約1.5〜2.0gのソース素材、スープ素材を得た。
2.具材部
本例の各種和風料理の具材部として、冷凍鶏モモ肉ダイス、冷凍豚バラ肉(スライス)、冷凍牛バラ肉(スライス)、冷凍たまねぎ(乱切り、スライス)、冷凍にんじん(乱切り、いちょう切り)、冷凍だいこん(乱切り、いちょう切り)、冷凍ごぼう(乱切り、ささがき切り)、冷凍椎茸、冷凍さといも、冷凍れんこんの各具材を、それぞれ前述した通り調整した。
3.包装
以下の各表に従い、具材部及び調味料部(ソース素材、スープ素材)の各材料を計量し、プラスチック袋に収容し、封止した。
その後、調理までの間、−18℃の冷凍庫に保管した。保管中のスープ素材の吸湿・溶解、具材のブロック化は見られなかった。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
Figure 2015154749
4.調理
次の表の加水量に蒸発分の20gを加えた水を計量して、18cmのフライパンに投入し、ガスコンロで加熱を開始した。
水が沸騰したら、袋の封をあけてフライパンに袋の中身を移し、蓋をして加熱した。
再び沸騰してから、豚汁と牛丼は1分間、筑前煮は3分間加熱し、蓋をあけてよく混合してから皿に盛り付けた。
具材の食感、色、ソースの味、色、風味も良好であった。
本例においては、軽量化率及び希釈倍率は、表68の通りであった。
Figure 2015154749
(レシピ例の成分、具材水分)
上述の各レシピ例について、作製した調味料部(スープ素材、ソース素材)の成分と、使用した具材の水分量を調べた。
各レシピ例の調味料部(スープ素材、ソース素材)の成分(水分、油分、水分/油分、塩分)及び10倍希釈液のBrix値の測定値を、表69に示す。
各レシピ例で使用した具材の水分量を、表70に示す。
Figure 2015154749
Figure 2015154749
本発明は、上述の実施の形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
1 調味料部、2 具材部、3 包装部材、10 冷凍食品、11,101,102,103 調味粉体、104 水滴、105 水、110 油脂

Claims (3)

  1. 複数個の塊からなり、水分を含む冷凍状の具材部と、
    調味料を含み、油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分で構成され、複数個の塊からなる冷凍状の調味料部と、
    前記具材部と前記調味料部を収容し、封止する包装部材とを備え、
    前記包装部材を開封した後に、前記具材部及び前記調味料部に水を加えて、調理又は解凍されることにより食用に供する形態とされる
    冷凍食品。
  2. 前記調味料部は、油脂又は油中水型乳化物内に粉体状の調味料が分散された状態である、請求項1に記載の冷凍食品。
  3. 水分を含む具材を凍結して、複数個の塊からなる具材部を作製する工程と、
    油分が20%以上、かつ、水分/油分比が0.35以下の成分となるように、調味料と油脂又は油中水乳化物を混合して、混合物を凍結して、複数個の塊からなる調味料部を作製する工程と、
    包装部材に、前記具材部と前記調味料部を収容し、封止する工程とを有する
    冷凍食品の製造方法。
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