JP2015152052A - 油圧緩衝器 - Google Patents
油圧緩衝器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015152052A JP2015152052A JP2014024750A JP2014024750A JP2015152052A JP 2015152052 A JP2015152052 A JP 2015152052A JP 2014024750 A JP2014024750 A JP 2014024750A JP 2014024750 A JP2014024750 A JP 2014024750A JP 2015152052 A JP2015152052 A JP 2015152052A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure
- hydraulic oil
- chamber
- flow path
- oil
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
Description
この減衰力発生装置は、圧側行程で圧側油室から伸側油室へ、伸側行程で伸側油室から圧側油室へ移動する作動油に、減衰力を付与するように構成されている。すなわち、減衰力発生装置は、圧側行程で圧側油室の作動油を伸側油室に向けて流す圧側流路と、伸側行程で伸側油室の作動油を作動油室に向けて流す伸側流路とを備えており、圧側流路の上流側に圧側減衰バルブ、下流側に圧側チェック弁を設けて圧側行程の減衰力を発生させ、伸側流路の上流側に伸側減衰バルブ、下流側に伸側チェック弁を設けて伸側行程の減衰力を発生させるように構成されている。この場合、減衰力発生装置には、温度補償手段が付加されている。この温度補償手段は、圧力調整可能な油溜室が設けられており、この油溜室は、減衰力発生装置の減衰動作によって、ピストンロッドがシリンダ内へ進入することでシリンダ内の容積が減少したり、作動油の温度上昇により作動油の容積が膨張することで作動油の容積が増加したりするため、ピストンロッドの進入容積分を補う体積補償用や作動油の熱膨張分を吸収する温度補償用として設けられている。
ピストン40は、壁部40Eにより上下に仕切られた筒体よりなり、上部内周には、ピストンロッド15の下端側外周が螺着する上側ロッド取付部40Aを、下部内周にはピストンロッド15を延長するための、延長ロッド16の上端側外周が螺着する下側ロッド取付部40Bを備える。延長ロッド16は、ピストンロッド15と同一の外径を有し、インナーチューブ12内に設けられたガイドチューブ52の内部に挿入される。このピストン40の下部外周にはシリンダチューブ51の内周との液密状態を維持するピストンリング40Cを備える。本実施形態におけるピストン40は、従来のようにシリンダチューブ51内での摺動に伴って、作動油Kを上下方向に流通させる流路孔を備えていないものとして説明する。
なお、ピストンロッド15と延長ロッド16は、上述したようにピストンロッド15と延長ロッド16とに分割せずに、一本のピストンロッドで構成しても良い。この場合、ピストンロッドが貫通可能となるようにピストンを構成し、ピストンロッドの外周にピストンを固定するための固定手段を設ければ良い。
インナーチューブ12は、上端から下端にかけて一定の外径で形成された所定長さの筒体であって、当該インナーチューブ12の底部を形成する車軸ホルダ50と、ピストン40の外周が摺動する円筒状のシリンダチューブ51と、ピストン40から延長された延長ロッド16をガイドするガイドチューブ52と、フロントフォーク10における減衰力を発生させる減衰力発生装置140とを備える。
車軸支持部50Aは、車軸ホルダ50の軸線に対して直交方向に貫通する車軸貫通孔50aが形成される。車軸貫通孔50aには、内周から車軸ホルダ50の下端面に向けて切割部50bが延長する。切割部50bは、車軸貫通孔50aの下側において、この切割部50bの延長方向と直交するように形成されたねじ孔50cに螺合させた図外のボルトを締め付けて車軸を挟持固定する。
したがって、車軸ホルダ50は、インナーチューブ12の下端が突当部53cに突き当たるまで、ねじ部53aにインナーチューブ12を螺合させることで、インナーチューブ12の内周と車軸ホルダ50の外周とが上述のシール部材53bによりシールされて液密状態で車軸ホルダ50に固定される。
上部側のシリンダチューブ固定部54a及び下部側のガイドチューブ固定部54bは、インナーチューブ12の軸心と同心円状に底部方向に縮径する階段状の穴として形成される。
シリンダチューブ固定部54aは、車軸ホルダ50の組付部50Bの内周面53dとシリンダチューブ51の外周51aとの間に隙間e1を有するように、車軸ホルダ50の内径よりも小さな寸法のねじ穴として形成される。
このねじ穴にシリンダチューブ51の一端側外周を螺着し、シリンダチューブ固定部54aとガイドチューブ固定部54bとの間において環状に形成された環状突当部54cに、下端を突き当てて車軸ホルダ50内に立設される。環状突当部54cは、上述した車軸ホルダ50の突当部53cよりも下側に位置するように形成される。
すなわち、ガイドチューブ52に挿入された延長ロッド16がシリンダチューブ51の内外に貫通しているため、ピストン40がシリンダチューブ51内を移動しても、ピストンロッド15のシリンダチューブ51の内外への移動分だけ延長ロッド16もシリンダチューブ51の外内に移動するので、ピストン40の減衰動作に関わらずシリンダチューブ51内の容積が一定となり、作動油室内Aの圧力が変化しないことにより、減衰動作を安定させることができる。
車軸ホルダ50の側部には、上記圧側油室127Aからの作動油Kを流通させる圧側油室流路57Aと、伸側油室127Bからの作動油Kを流通させる伸側油室流路57Bとが開口している。
圧側油室流路57A及び伸側油室流路57Bは、上述のシリンダチューブ51の外部において作動油の流通を可能にする外部流路の一部を構成する。
なお、本実施形態のフロントフォーク10では、作動油室A及び圧側油室流路57A、伸側油室流路57B間において作動油Kが封入されている。
バルブピース141は、大径の筒体よりなる大径部142と、この大径部142の一端から同軸に突出する小径の筒体よりなる小径部143とを有する。なお、以下の説明において、バルブピース141の軸方向における大径部側を一端側、小径部143の先端側を他端側として説明する。
バルブピース141は、小径部143の先端から大径部142に至る貫通孔を備える。貫通孔は、小径部143の外周に設けられる後述の圧側減衰力発生部250及び伸側減衰力発生部260を迂回するバイパス流路141Aである。バルブピース141の大径部142には、円筒壁部の肉厚方向に貫通し、壁部を通した作動油Kの内外への流通を許容する複数の流路孔142Aが設けられ、小径部143には、軸方向の中途部に内外に貫通する複数の流路孔143Aと、内周側に後述の減衰力調整部270を構成するニードル孔143Bと、先端側外周にねじ部143Cとが設けられる。
伸側減衰力発生部260は、圧側行程や伸側行程での流量を規制する伸側流路160Aと圧側流路160Bとを有する円板状の伸側流量規制体160と、圧側行程において伸側流路160Aを塞ぎ、伸側行程において伸側流路160Aから流出する作動油Kの流量を制御して減衰力を発生する伸側減衰バルブ161と、伸側行程において圧側流路160Bを塞ぎ、圧側行程において圧側流路160Bから流出する作動油Kの流量を制御して圧側行程における減衰力を発生する圧側チェック弁152とを備える。
伸側流量規制体160、伸側減衰バルブ161、圧側チェック弁152は、バルブピース141の大径部142側から順に、圧側チェック弁152、伸側流量規制体160、伸側減衰バルブ161が小径部143の外周に装着される。
カラー163は、円筒状の筒体からなり小径部143の外周に介挿され、圧側チェック弁152を貫通して、一端側が段差面141Cに当接し、他端側が伸側流量規制体160に当接することで、伸側流量規制体160の小径部143における位置を位置決めする。スプリング164は、一端側が圧側チェック弁152に着座し、他端がカラー163の外周に設けられたスプリングシート165を介して段差面141Cに着座して、圧側チェック弁152を伸側流量規制体160に向けて付勢する。
このスプリング164による圧側チェック弁152への付勢力は、圧側行程において伸側流量規制体160の圧側流路160Bを流れる作動油Kの抵抗となって、フロントフォーク10の動作における減衰力を発生させる。
圧側減衰力発生部250は、センタープレート145の側から順に、シム167、圧側減衰バルブ151、圧側流量規制体150、伸側チェック弁162が装着される。
伸側減衰力調整ボルト180は、先端側に形成されたねじ軸181が基部のねじ孔278Bに螺入され、ヘッド部180A側に形成されたガイド軸182がニードル軸支持体277のガイド孔278Cに挿通される。これにより、圧側減衰力調整ボルト170及び伸側減衰力調整ボルト180が、ニードル軸272及び流量調整体279と一体にされ、圧側減衰力調整ボルト170を回転させることでニードル軸272が軸方向に進退可能となり、伸側減衰力調整ボルト180を回転させることで流量調整体279がニードル軸272に沿って進退可能に構成される。
このキャップ205と一体となった減衰力調整部270は、バルブピース141の小径中空部143aにニードル軸272を挿入しながら、内側キャップ210の内周をバルブピースの大径部142の外周ねじ部に螺合させてバルブピース141と一体に組みつけられる。このとき、ニードル軸272のニードル弁272Aがニードル孔143Bの開口部144Aに対し、流量調整体279のテーパー面279Bがバイパス流路141Aの開口部144Bに対して所定の隙間n1;n2が生じるように調整される。
この減衰力発生ユニット140Aは、上述したようにバルブ収容孔114Aに収容される。
減衰力発生装置140側より下方に突出する作動油案内管115の一端が接続され、この作動油案内管115の作動油流路115mを介して中間室149と油溜室132とが連通される。
油溜室132は、作動油室Aやバルブ収容孔114Aとは別体に車軸ホルダ50に設けられたサブタンク130内に形成される。
加圧室134は、フリーピストン133とキャップとの間で形成される閉空間であって、内部に所定圧のガスが封入される。
加圧室134に封入されたガスの圧力と、中間室149の圧力との圧力バランスによって変位する圧力調整用のフリーピストン133の位置によりサブタンク130における油溜室132の容積が変化する。この油溜室132は、容積変化による圧力調整機能を有するもので、フリーピストン133を介して加圧室134から加圧される圧力によって内部の圧力が正圧に維持される。これにより、油溜室132と連通する中間室149、作動油室A等も正圧が維持されるため、圧側行程や伸側行程での減衰動作時のキャビテーションが防止される。また、フロントフォーク10の動作時には、中間室149及び作動油室A内の作動油Kが温度上昇して作動油Kの容積が膨張する。この作動油Kの膨張による圧力が、加圧室134の圧力よりも高くなると、油溜室132に流れてフリーピストン133を押動して油溜室132の容積を増加させ、膨張分の作動油Kを吸収することで、動作時の温度補償がなされる。
また、フロントフォーク10の非動作時には、中間室149及び作動油室A内の作動油Kが温度下降して作動油Kの容積が収縮する。この作動油Kの収縮による圧力が、加圧室134の圧力よりも低くなると、フリーピストン133が油溜室132を加圧して油溜室132から中間室149へと作動油Kを流出することで、油溜室132の容積が減少する。作動油室A内の圧力が加圧室134の圧力よりも低圧となるが、フリーピストン133が、油溜室132の作動油Kを加圧しているため、中間室149、作動油室A内の作動油Kは、正圧状態を維持したまま、油溜室132の作動油Kが中間室149や作動油室Aに流れるので、作動油Kのキャビテーションの発生が常に抑制される。
作動油流量制御手段Zとしての流路切替装置300は、車軸ホルダ50の外部から作動油流路115mの途中において連通するように延長する流路切替装置収容孔116に設けられる。流路切替装置収容孔116の内周には、流路切替装置300を固定するためのねじ部116Aが形成される。
流路切替装置300は、圧力抑制流路Sと戻り流路Tとを切り替えるチェックバルブ機構を備える。チェックバルブ機構は、中間室149の圧力と油溜室132の圧力差に応じて、中間室149から油溜室132に向かう圧力抑制流路Sを介した作動油Kの流れと、油溜室132から中間室149に向かう戻り流路Tを介した作動油Kの流れとを切り替える。
流路切替装置300は、チェックバルブ機構を収容するバルブケース301と、チェックバルブ機構を構成するスプリング302、チェックバルブ303、チェックバルブ303の動作をガイドするガイドピン304、バルブケース301とともにスプリング302、チェックバルブ303、ガイドピン304を内部に収容するとともに当該流路切替装置300を流路切替装置収容孔116に取り付ける取付部材として機能するバルブボルト305とを備える。
天部303Dの中央側には、ガイドピン304が通過不能の径の孔303Cが設けられる。
鍔部303Bの下端は、チェックバルブ機構のシール面303bとして形成される。シール面303bは、テーパー状、若しくは球面状に形成される。鍔部303Bの外周面303dは、円周方向に沿って周期的に凹凸を繰り返す花弁状に形成され、凹部により戻り流路Tが形成される。図4(a),(c)に示すように、この鍔部303Bの凹部の戻り流路Tは、ピストン40の非動作時に、油溜室132から中間室149に流出する作動油Kの流出圧力により開口し、油溜室132から中間室149に向かう作動油Kが流れる絞り流路として形成される。上述のように鍔部303Bを軸線方向視したときの外周面303dの輪郭を花弁状に形成しておくことで、ガイドピン304の外周とチェックバルブ303の内周面303aとの間の微小隙間Jにより形成される、圧力抑制流路Sを流れる作動油Kの流量よりも、戻り流路Tに流れる作動油Kを多くすることができる。上記シール面303bは、着座筒319の上部内周縁319Aに着座する。
この場合、底部316の内部上面は、錘状に窪んでおり、その中心側にガイドピン304の下端が当接して保持される。着座筒319の円形穴の内周は、ガイドピン304の外周との間で十分な間隙をもって挿入可能な寸法に形成される。
着座筒319の上部内周縁319A(図4(b))は、円形形状を有し、チェックバルブ303のシール面303bが密着可能となっている。
なお、着座筒319の円形穴の奥行き方向の断面形状は、例えば円形や花弁状などいずれの形状で合っても良く、少なくとも着座筒319の上部内周縁319Aがチェックバルブ303のシール面303bとシール可能なように円形に形成されていれば良い。
まず、バルブケース301の天部301Bにスプリング302の上端側を着座させて収容する。次に、バルブケース301に収容されたスプリング302の下端側に筒部303Aをスプリング302の内周側に内挿して、スプリング302の他端をチェックバルブ303の鍔部303Bを着座させる。次に、チェックバルブ303の内周にガイドピン304を挿入し、チェックバルブ303から突き出たガイドピン304をバルブボルト305の着座筒319に挿入しつつ、バルブボルト305の雄ねじ部312をバルブケース301の雌ねじ部301Aに螺入することで、流路切替装置300として一体に組立てられる。このように流路切替装置300として一体に組立てられた状態において、チェックバルブ303は、スプリング302の付勢力によりシール面303bがバルブボルト305の先端の上部内周縁319Aに押し付けられてチェックバルブ機構が閉じた状態となる。また、ガイドピン304は、チェックバルブ303の内部及びバルブボルト305の内部空間内において、チェックバルブ303の軸線方向に所定の遊びを有する。
流路切替装置収容孔116に収容された流路切替装置300は、先端側が作動油案内管115内に進入し、バルブケース301の外周が作動油案内管115内の内周に密着する。このとき作動油案内管115内において、作動油案内管115の中間室149側にバルブケース301の天孔301Cが開口し、作動油案内管115の油溜室132側にバルブボルト305の貫通孔318が開口し、中間室149と油溜室132との間を流れる作動油Kのすべてが流路切替装置300の内部の圧力抑制流路S又は戻り流路Tを流れることになる。
図5(a)に示すように、圧側行程や伸側行程におけるピストン40の動作により押し出された圧側油室127Aや伸側油室127Bから流れた作動油Kは、圧側減衰バルブ151や伸側減衰バルブ161を押し開いて中間室149に流れる。圧側行程や伸側行程における圧側減衰バルブ151や伸側減衰バルブ161の下流側に位置する圧側チェック弁152や伸側チェック弁162が開くまでの間、中間室149の圧力が上昇して油溜室132に向かう流れが生じる。中間室149から油溜室132に向かう一部の作動油Kは、中間室149側の作動油案内管115へ流れ、流路切替装置300のチェックバルブ機構に到達する。
流路切替装置300のチェックバルブ機構に到達した作動油Kは、図中矢印u1に示すように、バルブケース301の天孔301Cから流路切替装置300内に流入することで、スプリング302の付勢力とともにチェックバルブ303をバルブボルト305方向に押し付ける。つまり、チェック弁が閉じた状態(戻り流路Tを閉塞した状態)となり、圧力抑制流路Sのみを開口した状態となる。すなわち、チェックバルブ303の孔303Cから流入した作動油Kは、図中矢印u2に示すように、チェックバルブ303の内周面303aと、ガイドピン304の外周面304aとの隙間で形成された圧力抑制流路Sのみを介して温度補償手段Qの油溜室132方向に流入しようとする。この圧力抑制流路Sは、流入部分の開口が後述するように小さく設定されているため流入抵抗が高い。このため圧力抑制流路Sには、中間室149の高い圧力を維持したまま流れることができず、わずかな作動油Kしか流れ込むことができない。この圧力抑制流路Sの流出側からは、油溜室132の圧力が負荷されているため、実際に圧力抑制流路Sを流れることができる作動油Kは、油溜室132及び作動油室Aや中間室149の圧力を一定に保つ分が流れることになる。すなわち、作動油室Aや中間室149側の作動油Kの温度上昇により膨張した分の作動油Kが、油溜室132との均衡を保つために図中矢印u2で示すように圧力抑制流路Sを流れることになり、減衰動作時の作動油室A内の圧力を一定に維持するための温度補償がなされる。このように作動油Kに対し、油溜室132に流入する作動湯量が少量に制限されて、温度補償がなされる。
この圧力抑制流路Sの流入量制限機能により、温度膨張を吸収しつつピストン40の動作により生じたままの圧力がほとんど中間室149に維持されるため、この圧力により圧側チェック弁152や伸側チェック弁162がスムーズに押し開かれて、圧側行程や伸側行程の中間室149よりも下流側に位置する圧側油室127Aや伸側油室127Bに移動することになる。
図5(b)に示すように、圧側行程や伸側行程の動作がないフロントフォーク10の非動作状態、すなわち、車両が停止した場合には、減衰力発生装置140の作動油Kの温度が低下して作動油Kの容積が収縮することになる。作動油室Aや中間室149では圧力が低下して負圧状態となる一方で、油溜室132ではフリーピストン133の加圧によって常に正圧が維持されている。このように油溜室132の圧力が中間室149の圧力よりも高くなると、油溜室132と中間室149との圧力差により、流路切替装置300のチェックバルブ303が、押し上げられて、シール面303bが、上部内周縁319Aより離れ、このときガイドピン304の上端面が孔303Cを塞ぐので、圧力抑制流路Sが閉塞され、戻り流路Tが開口されて、流路が圧力抑制流路Sから戻り流路Tに切り替えられる。すなわち、この流路の切り替えは、油溜室132の作動油Kが横孔115nから流路切替装置300の貫通孔318を経て着座筒319に流れることで行なわれる。すなわち、図中矢印v1のように着座筒319に流れた作動油Kは、スプリング302の付勢力により着座筒319側に押し付けられていたチェックバルブ303を、図中矢印v3で示すように着座筒319の内周とガイドピン304の外周との隙間を流れてチェックバルブ303を押し開き、矢印v4で示すように鍔部303Bの外周を流れる。矢印v3;v4で示す作動油Kの流れにともない図中矢印v2で示す流れが生じて、ガイドピン304をチェックバルブ303方向に押し付け、チェックバルブ303の孔303Cを閉塞した状態を維持しつつチェックバルブ303をバルブケース301の天部301B側に押動する。これによりガイドピン304がチェックバルブ303の孔303Cを塞いで圧力抑制流路Sを閉塞するとともにチェックバルブ303が開放された状態となって、油溜室132と中間室149とを連通する作動油流路115mが、圧力抑制流路Sから油溜室132から中間室149に向かう戻り流路Tに切り替えられる。
流量の多い戻り流路Tに切り替えられたことで、図中矢印v4で示すように、バルブボルト305の着座筒319の内周とガイドピン304の外周との隙間を油溜室132から中間室149に向かって作動油Kが流れ、バルブケース301の天孔301Cから作動油流路115mを介して中間室149に流れることにより、作動油室Aや中間室149の圧力が油溜室132の圧力と同圧となる。
したがって、フロントフォーク10が動作していない状態(非動作状態)では、作動油室Aを構成する圧側油室127A及び伸側油室127B、圧側油室127Aと伸側油室127Bとを連通する外部流路、及び中間室149、油溜室132の圧力が一定となる。
[圧側行程]
フロントフォーク10が収縮する圧側行程では、ピストン40の圧側動作により加圧された圧側油室127Aの作動油Kが、圧側油室流路57Aを介して減衰力発生装置140内の伸圧共用流路146Aに押し出され、図6(a)の実線矢印f1及び破線矢印f4で示すように、伸圧共用流路146Aから圧側減衰力発生部250とバイパス流路141Aに向けて流れる。
圧側減衰力発生部250に流れた作動油Kは、圧側流量規制体150の圧側流路150A側に、圧側流量規制体150と伸側チェック弁162との間にあらかじめ設けた隙間から圧側流路150Aに流れ込み、圧側減衰バルブ151を押し開いて中間室149に流出する。
また、バルブピース141の先端からバイパス流路141Aに流入した作動油Kは、ニードル孔143B及びニードル弁272Aで形成された隙間n1を経てニードル軸272に沿って流れ、主としてバルブピース141の小径部143の中途に設けられた流路孔143Aからセンタープレート145の流路孔145Bを経て破線矢印f5で示すように中間室149に流出して圧側流路150Aを経由した作動油Kと合流する。中間室149において合流した作動油Kは、センタープレート145の外周を回り込み、図中実線矢印f2,f3で示すように作動油流路115mと伸側流量規制体160の圧側流路160Bとに流れる。
一方の作動油流路115mに流れた作動油Kは、流路切替装置300の機能によって、温度膨張分だけが流路切替装置300の圧力抑制流路Sを通じて油溜室132に流れる。
他方の伸側流量規制体160の圧側流路160Bに流れた作動油Kは、圧力抑制流路Sによって流れが規制され、ピストン40により加圧された分が流れることで、圧側流路160Bの圧側チェック弁152を押し開いて伸圧共用流路146B、伸側油室流路57Bを経て伸側油室127Bに流出する。この圧側行程において圧側油室127Aから伸側油室127Bに移動した作動油Kは、ピストン40の移動分の容積とほぼ等しくなり、ピストン40の移動に伴なった応答遅れのない圧側行程の減衰力が得られる。
フロントフォーク10が伸長する伸側行程では、ピストン40の伸側動作により加圧された伸側油室127Bの作動油Kが、伸側油室流路57Bを介して減衰力発生装置140の伸圧共用流路146Bに押し出され、図6(b)の実線矢印g1及び破線矢印g4で示すように、伸圧共用流路146Bから伸側減衰力発生部260とバイパス流路141Aに向けて流れる。
伸圧共用流路146Bから伸側減衰力発生部260に流れた作動油Kは、伸側流量規制体160の伸側流路160Aと圧側チェック弁152との間にあらかじめ設けた隙間から伸側流路160Aに流れ込み、伸側減衰バルブ161を押し開いて中間室149に流出する。
また、伸圧共用流路146Bからバルブピース141の大径部142の流路孔142Aを経ての大径部142側からバイパス流路141Aに流入した作動油Kは、流量調整体279のテーパー面279Bと、小径部143の内周側の開口部144Bとの隙間n2を経てニードル軸272に沿って流れる。この隙間n2を経てニードル軸272に沿って流れた作動油Kは、主としてバルブピース141の中途に設けられた流路孔143Aからセンタープレート145の流路孔145Bを経て破線矢印g5で示すように中間室149に流出して、伸側減衰力発生部260の伸側流路160Aを経由した作動油Kと合流する。中間室149において合流した作動油Kは、センタープレート145の周りを回り込み、図中実線矢印g2,g3で示すように、作動油流路115mと圧側流量規制体150の伸側流路150Bとに流れる。
一方の作動油流路115mに流れた作動油Kは、流路切替装置300の機能によって、温度膨張分の作動油Kだけが流路切替装置300の圧力抑制流路Sを通じて油溜室132に流れる。
他方の伸側流量規制体160の圧側流路160Bに流れた作動油Kは、圧力抑制流路Sによって流れが規制され、ピストン40により加圧された分が流れることで、圧側流路160Bの圧側チェック弁152を押し開いて伸圧共用流路146B、伸側油室流路57Bを経て伸側油室127Bに流出する。この伸側行程において伸側油室127Bから圧側油室127Aに移動した作動油Kは、ピストン40の移動分の容積とほぼ等しい。
また、圧力抑制流路Sは、戻り流路Tの開口時に閉塞するとして説明したが、開口したままとしても良い。
また、中間室149と油溜室132とを連通する作動油流路115mを作動油案内管115により接続するとして説明したが、車軸ホルダ50内において中間室149と油溜室132とに連通する孔として形成しても良い。
40 ピストン、51 シリンダチューブ、52 ガイドチューブ、
60 区画部材、115 作動油案内管、115m 作動油流路、115n 横孔、
116 流路切替装置収容孔、
127A 圧側油室、127B 伸側油室、
140 減衰力発生装置、250 圧側減衰力発生部、260 伸側減衰力発生部、
300 流路切替装置、303 チェックバルブ、S 圧力抑制流路、T 戻り流路、
Q 温度補償手段、Z 作動油流量制御手段。
Claims (7)
- 車体側チューブと、
前記車体側チューブと互いに摺動自在に嵌合する車軸側チューブと、
前記車軸側チューブの底部から立設された円筒状のシリンダチューブと、
前記シリンダチューブに設けられ、前記車軸側チューブの内周と液密状態で密着し、車軸側チューブの内部空間の車体側を空気室、車軸側を作動油室となるように区画する区画部材と、
前記車体側チューブと前記車軸側チューブの摺動動作において前記車体側チューブとともに移動可能に設けられ、前記シリンダチューブ内を前記作動油室の車体側を伸側油室、車軸側を圧側油室に区画するピストンと、
前記ピストンに取り付けられ、前記シリンダチューブの軸線方向に沿ってシリンダチューブの内外に移動可能に設けられたロッドと、
内周側が外気と連通するように前記車軸側チューブの底部から立設され、前記ピストンから前記車軸側チューブの底部に向けて延長する前記ロッドの外周を液密状態でガイドする円筒状のガイドチューブと、
前記車軸側チューブの内周とシリンダチューブの外周との間に形成された空間と前記伸側油室とに連通して作動油の相互の流通を許容する流通孔と、
前記圧側油室と前記伸側油室との間の作動油の流通を可能にする油室間流路と、
前記作動油室の外部に設けられ、前記油室間流路を流れる作動油に抵抗を生じさせて減衰力を発生させる圧側減衰力発生部及び伸側減衰力発生部が流れ方向に沿って直列に設けられた減衰力発生装置と、
前記圧側減衰力発生部と前記伸側減衰力発生部との間から作動油の一部を流入出させて、作動油に発生する温度膨張を吸収する圧力調整用油溜室を有する温度補償手段と、を備えた油圧緩衝器であって、
前記油圧緩衝器の動作における圧側行程及び伸側行程において前記圧力調整用油溜室方向に流入する作動油の圧力に基づき、前記圧力調整用油溜室方向に流入する作動油の流量を圧側行程及び伸側行程以外のピストンの非動作時における作動油流入時よりも少量に制限する作動油流量制御手段をさらに備えたことを特徴とする油圧緩衝器。 - 前記作動油流量制御手段は、前記減衰力発生装置側と前記圧力調整用油溜室との間を連通する戻り流路と、
前記戻り流路より開口量が小さい圧力抑制流路と、
前記圧力抑制流路を開口するとともに、前記戻り流路を閉塞するチェックバルブ機構と、を有する流路切替装置により構成したことを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。 - 前記戻り流路は、前記ピストンの非動作時に、前記圧力調整用油溜室からの作動油の流出圧力により開口することを特徴とする請求項2に記載の油圧緩衝器。
- 前記圧力抑制流路は、前記戻り流路の開口時に閉塞されることを特徴とする請求項3に記載の油圧緩衝器。
- 前記減衰力発生装置は、
前記圧側減衰力発生部と前記伸側減衰力発生部との間に、
圧側行程において圧側油室流路側から伸側油室流路方向に流れる作動油と伸側行程において伸側油室流路側から圧側油室流路側方向に流れる作動油とが通過する中間室を有し、
前記戻り流路及び前記圧力抑制流路の一端が前記中間室側と連通することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の油圧緩衝器。 - 前記チェックバルブ機構により開閉される前記圧力抑制流路の開口量は、前記減衰力発生装置内の作動油の温度上昇により膨張した分の作動油が前記中間室側より前記圧力調整用油溜室方向に流れることを許容するだけの開口量に設定されることを特徴とする請求項5に記載の油圧緩衝器。
- 前記温度補償手段の圧力調整用油溜室は、作動油の案内管を介して中間室に接続され、前記案内管の作動油流路内にチェックバルブ機構を設けたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の油圧緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014024750A JP6338878B2 (ja) | 2014-02-12 | 2014-02-12 | 油圧緩衝器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014024750A JP6338878B2 (ja) | 2014-02-12 | 2014-02-12 | 油圧緩衝器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015152052A true JP2015152052A (ja) | 2015-08-24 |
JP6338878B2 JP6338878B2 (ja) | 2018-06-06 |
Family
ID=53894557
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014024750A Active JP6338878B2 (ja) | 2014-02-12 | 2014-02-12 | 油圧緩衝器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6338878B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020111242A (ja) * | 2019-01-15 | 2020-07-27 | 株式会社ショーワ | ステアリングダンパー |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000046095A (ja) * | 1998-07-28 | 2000-02-15 | Tokico Ltd | 油圧緩衝器 |
JP2006131119A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Showa Corp | 自動二輪車のフロントフォーク |
JP2009236196A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Showa Corp | 油圧緩衝器 |
JP2011174595A (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-08 | Showa Corp | 油圧緩衝器 |
-
2014
- 2014-02-12 JP JP2014024750A patent/JP6338878B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000046095A (ja) * | 1998-07-28 | 2000-02-15 | Tokico Ltd | 油圧緩衝器 |
JP2006131119A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Showa Corp | 自動二輪車のフロントフォーク |
JP2009236196A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Showa Corp | 油圧緩衝器 |
JP2011174595A (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-08 | Showa Corp | 油圧緩衝器 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020111242A (ja) * | 2019-01-15 | 2020-07-27 | 株式会社ショーワ | ステアリングダンパー |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6338878B2 (ja) | 2018-06-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4244171B2 (ja) | 液圧緩衝器 | |
US9291229B2 (en) | Shock absorber | |
US20050279597A1 (en) | Hydraulic shock absorber | |
KR101893666B1 (ko) | 실린더 장치 | |
JP2015194198A (ja) | 減衰力調整式緩衝器 | |
JP2006038098A (ja) | 油圧緩衝器 | |
KR20150136488A (ko) | 완충기 및 이것을 이용한 차량 | |
JP2012122575A (ja) | 車両用液圧緩衝器 | |
JP6338878B2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP2009156348A (ja) | 油圧緩衝器 | |
JPWO2017221920A1 (ja) | 緩衝器及びその製造方法 | |
JP2014062643A (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP2011094710A (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP6464036B2 (ja) | 減衰バルブ及び緩衝器 | |
JP6173132B2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP2010101417A (ja) | フロントフォーク | |
JP5759362B2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
JP6219115B2 (ja) | 油圧緩衝器 | |
WO2020129682A1 (ja) | 流体圧緩衝器 | |
JP6148547B2 (ja) | フロントフォーク | |
JP2016194339A (ja) | 減衰力発生装置 | |
JP5452372B2 (ja) | 流体圧緩衝器 | |
WO2018029874A1 (ja) | フロントフォーク | |
JP2008298135A (ja) | 油圧緩衝器 | |
US20220097795A1 (en) | Shock absorber and saddle-type vehicle |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160830 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170525 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170530 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170724 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180119 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180501 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180509 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6338878 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |