JP2006038098A - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油圧緩衝器において、安定した減衰力を得ると共に、組立性を向上させる。
【解決手段】 ガス室11とフリーピストン9とをサブアセンブリ化したガス室カートリッジ3、セパレータ4及びシリンダ5をベースシェル2内に挿入し、オイルシール17をベースシェル2に取付けることにより、これらを軸方向に所定の荷重を与えつつ固定する。ベースシェル2とガス室カートリッジ3及びシリンダ5との間に環状油路6、7を形成する。ベースシェル2の側部に減衰力発生機構26を取付け、シリンダ5内の油液を環状油路6、7を介して減衰力発生機構26に供給して減衰力を発生させる。ガス室11による加圧及びフリーピストン9による気液分離によって安定した減衰力を得る。ガス室カートリッジ3、セパレータ4及びシリンダ5をオイルシール17によって軸方向に固定することにより、組立性を向上させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に装着される油圧緩衝器に関し、特に、油室とガス室とを画成するフリーピストンを有する油圧緩衝器に関するものである。
一般的に、自動車等の車両の懸架装置に装着される筒型の油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダ内に、ピストンロッドが連結されたピストンが摺動可能に嵌装されており、ピストンの摺動によって生じる油液の流れをオリフィス、ディスクバルブ等からなる減衰力発生機構によって制御して減衰力を発生させる構造となっている。また、シリンダには、油液及びガスが封入されたリザーバが接続されており、ピストンロッドの伸縮(シリンダに対する侵入、退出)に伴うシリンダの容積変化をガスの圧縮、膨張によって補償している。
上述のリザーバを備えた油圧緩衝器では、リザーバのガスが低圧であるため、キャビテーションが発生し易く、また、油液にリザーバのガス(空気)が混入するエアレーションが発生しやすく、減衰力が不安定になったり、応答性が低下し易いという問題がある。
そこで、かかる問題を解消するものとして、シリンダ内にフリーピストンを摺動可能に嵌装してガス室を形成し、ガス室内に高圧ガスを封入し、高圧ガスによってフリーピストンを介してシリンダ内の油液を常時加圧するようにした単筒式油圧緩衝器が知られている。単筒式油圧緩衝器では、高圧ガスによる加圧及びフリーピストンによる気液分離によって、キャビテーション及びエアレーションを防止することができる。
また、特許文献1には、ガス室及びフリーピストンをシリンダとは別体のインナーチューブ内に設け、これにより、分解性及び組立性を向上させるようにした油圧緩衝器が記載されている。
実開昭51−129988号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、フリーピストンによってガス室を形成して安定した減衰力を得ると共に、組立性に優れた油圧緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる油液の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構と、高圧ガスが封入されたガス室と、該ガス室に摺動可能に嵌装されたフリーピストンとを備え、前記ガス室内の圧力を前記フリーピストンを介して前記シリンダ内の油液に付与する油圧緩衝器において、
前記ガス室と前記フリーピストンとをサブアセンブリ化したガス室カートリッジと、前記シリンダと、前記ガス室カートリッジと前記シリンダとの間に介装されるセパレータとを有底筒状のベースシェル内に挿入し、前記ガス室カートリッジと前記ベースシェルとの間に第1油路を形成し、前記シリンダと前記ベースシェルとの間に第2油路を形成して、前記セパレータによって前記第1油路と前記第2油路とを遮断し、前記ベースシェルの開口部に封止部材を固定することによって前記ガス室カートリッジ、前記セパレータ及び前記シリンダを軸方向に固定し、前記ベースシェルの側部に前記減衰力発生機構を取付けて、前記第1油路及び前記第2油路を介して、前記減衰力発生機構と前記シリンダとを連通させることを特徴とする。
請求項2の発明に係る油圧緩衝器は、上記請求項1の構成において、前記ガス室の内径は、前記シリンダの内径よりも大径であることを特徴とする。
請求項3の発明に係る油圧緩衝器は、上記請求項1又は2の構成において、前記セパレータは、前記ピストンの突出部に対する逃げ部を有していることを特徴とする。
請求項1の発明に係る油圧緩衝器によれば、ガス室及びフリーピストンによって安定した減衰力を得ることができ、ベースシェルにガス室カートリッジ、セパレータ及びシリンダを容易に組付けることができ、また、シリンダ内の油液を第1及び第2油路を介して減衰力発生機構に供給して減衰力を発生させることができる。
請求項2の発明に係る油圧緩衝器によれば、ガス室の軸方向の寸法を短縮して、小型化を図ることができる。
請求項3の発明に係る油圧緩衝器によれば、軸方向のスペース効率を高めて、小型化を図ることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、有底円筒状のベースシェル2内に、ガス室カートリッジ3、セパレータ4及びシリンダ5を挿入した二重筒構造となっており、ベースシェル2の側壁とガス室カートリッジ3との間に環状油路6(第1油路)が形成され、また、ベースシェル2の側壁とシリンダ5との間に環状油路7(第2油路)が形成されている。そして、セパレータ4によって、シリンダ5の内部と環状油路6とが連通され、また、これらと環状油路7との間が遮断されている。
ガス室カートリッジ3は、有底円筒状のガス室ケース8内にフリーピストン9が摺動可能に嵌装され、ガス室ケース8の開口部の内周溝に嵌合されたストッパ10によって抜け止めされて、内部に高圧ガスが封入されるガス室11が形成されている。ガス室11の内径Dは、シリンダ5の内径dよりも大きくなっている。ガス室カートリッジ3は、ベースシェル2の底部に形成された凹部12に嵌合されて径方向に位置決めされている。
セパレータ4は、ベースシェル2内に嵌合する環状部材であり、下端部にガス室ケース8の開口部内に嵌合する下側嵌合部13が形成され、上端部にシリンダ5の下端部外周を嵌合して径方向に位置決めする上側嵌合部14が形成されている。下側嵌合部13には、シリンダ5の内部と環状油路6とを連通させる油路15(切欠)が設けられている。
シリンダ5は、下端部がセパレータ4の上側嵌合部14に嵌合され、また、上端部が、ベースシェル2の開口部に嵌合されるロッドガイド16に嵌合されて、径方向に位置決めされている。ロッドガイド16の上には、オイルシール17(封止部材)が装着されており、オイルシール17は、ベースシェル2の上端部をかしめることによって、ベースシェル2に固定されている。そして、オイルシール17によって、シリンダ5の内部及び環状油路7が外部からシールされて、シリンダ5の内部に油液が封入されている。また、ガス室カートリッジ3、セパレータ4、シリンダ5、ロッドガイド16及びオイルシール17を互いに当接させて、オイルシール17をベースシェル2に対して、所定の軸方向荷重を与えつつ、固定することにより、これらが軸方向に固定されている。なお、オイルシール17は、溶接等の他の固定手段によってベースシェル2に固定してもよい。シリンダ5の上端部側壁には、シリンダ5の内部と環状油路7とを連通させる油路18が設けられている。
シリンダ5内には、ピストン19が摺動可能に嵌装され、このピストン19によってシリンダ5の内部がシリンダ上室5Aとシリンダ下室5Bとの2室に画成されている。ピストン9には、ピストンロッド20の一端部がナット21によって連結されており、ピストンロッド20の他端側は、ロッドガイド16及びオイルシール17に挿通されてシリンダ5の外部へ延出されている。フリーピストン9の上面には凹部9Aが形成されており、ピストンロッド20が最も短縮したとき(図1中の仮想線参照)、ピストン19の下部に突出するピストンロッド20の一端部及びピストンナット21(突出部)が、セパレータ4の中央開口4A(逃げ部)及びフリーピストン9の凹部9Aに挿入されるようになっている。
ピストン19には、シリンダ上下室5A、5B間を連通させる伸び側油路22及び縮み側油路23が設けられている。伸び側油路22には、シリンダ上室5Aの圧力が所定圧力に達したとき、開弁してその圧力をシリンダ下室5Bへリリーフする常閉のリリーフ弁24(ディスクバルブ)が設けられ、また、縮み側油路23には、シリンダ下室5Bの圧力が所定圧力に達したとき、開弁してその圧力をシリンダ上室5Aへリリーフする常閉のリリーフ弁25(ディスクバルブ)が設けられている。
ベースシェル2の側部には、セパレータ4の嵌合部位を跨いで、減衰力発生機構26が取付けられている。
減衰力発生機構26は、有底円筒状のケース27内にバルブ部材28が嵌合、固定され、このバルブ部材28によって、ケース27内が上室27A及び下室27Bの2室に画成されている。上室27Aは、ケース27の側壁に設けられた油路29及びベースシェル2の側壁に設けられた油路30によって、環状油路7に連通されている。下室18Bは、ケース27の側壁に設けられた油路31及びベースシェル2の側壁に設けられた油路32によって環状油路6に連通されている。バルブ部材28には、上室27Aと下室27Bとを連通させるための伸び側油路33及び縮み側油路34が設けられており、伸び側油路33には、伸び側減衰力発生機構35が設けられ、縮み側油路34には、縮み側減衰力発生機構36が設けられている。
伸び側減衰力発生機構35は、伸び側油路33からの油液の圧力を受けて開弁して減衰力を発生するメインバルブ37(ディスクバルブ)と、メインバルブ37の背面側に設けられ、その圧力をメインバルブ37の閉弁方向に作用させるパイロット室38とを備えている。パイロット室38は、オリフィス油路(図示せず)を介して上流側の伸び側油路33に連通されており、また、スプール弁39(流量制御弁)の切欠39aがポート40及び逆止弁41を介して、下流側の下室27Bに連通されている。そして、ソレノイドアクチュエータ42によってスプール弁39を移動させ、ポート40の流路面積を変化させることにより、上下室27A、27B間の流路面積を直接調整すると共に、これによってパイロット室38の圧力を調整してメインバルブ37の開弁圧力を制御するようになっている。
縮み側減衰力発生機構36は、縮み側油路34からの油液の圧力を受けて開弁して減衰力を発生するメインバルブ43(ディスクバルブ)と、メインバルブ43の背面側に設けられ、その圧力をメインバルブ43の閉弁方向に作用させるパイロット室44とを備えている。パイロット室44は、オリフィス油路(図示せず)を介して上流側の縮み側油路34に連通されており、また、上述の伸び側と共通のスプール弁39(上述の伸び側減衰力発生機構35と共用)の切欠39bが、ポート45及び逆止弁46を介して、下流側の上室27Aに連通されている。そして、ソレノイドアクチュエータ42によってスプール弁39を移動させ、ポート45の流路面積を変化させることにより、上下室27A、27B間の流路面積を直接調整すると共に、これによってパイロット室44の圧力を調整してメインバルブ43の開弁圧力を制御するようになっている。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド20の伸び行程時には、シリンダ5内のピストン19の摺動にともない、シリンダ上室5A側の油液が油路18、環状油路7、油路30及び油路29を通って減衰力発生機構26の上室27Aへ流れ、上室27Aから伸び側油路33等を介して下室27Bへ流れ、更に、下室27Bから油路31、油路32、環状油路6及び油路15を通ってシリンダ下室5Bへ流れて、伸び側減衰力発生機構35によって減衰力が発生する。このとき、ピストンロッド20がシリンダ5から退出した分だけガス室11内の高圧ガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
伸び側減衰力発生機構35では、ピストン速度の低速域においては、オリフィス油路及びスプール弁39によって調整されるポート40の流路面積により、オリフィス特性の減衰力が発生し、ピストン速度が上昇すると、メインバルブ37が開いてバルブ特性の減衰力が発生する。そして、ソレノイドアクチュエータ42によってスプール弁39を移動させ、ポート40の流路面積を調整することにより、オリフィス特性を調整すると共に、パイロット室38の圧力を調整してバルブ特性を調整することができる。なお、シリンダ上室5Aの圧力が所定圧力に達すると、ピストン19のリリーフ弁24が開弁し、シリンダ上室5Aの圧力をシリンダ下室5Bへ直接リリーフして、減衰力の過度の上昇を防止する。
ピストンロッド20の縮み行程時には、シリンダ5内のピストン19の摺動にともない、シリンダ下室5B側の油液が油路15、環状油路6、油路32及び油路31等を通って減衰力発生機構26の下室27Bへ流れ、下室27Bから縮み側油路34を介して上室27Aへ流れ、さらに、上室27Aから油路29、油路30、環状油路7及び油路18を通ってシリンダ上室5Aへ流れて、縮み側減衰力発生機構36によって減衰力が発生する。このとき、ピストンロッド20がシリンダ5内へ侵入した分だけガス室11内の高圧ガスが圧縮されてシリンダ5内の容積変化を補償する。
縮み側減衰力発生機構36では、ピストン速度の低速域においては、オリフィス油路及びスプール弁30によって調整されるポート45の流路面積により、オリフィス特性の減衰力が発生し、ピストン速度が上昇すると、メインバルブ43が開いてバルブ特性の減衰力が発生する。そして、ソレノイドアクチュエータ42によってスプール弁39を移動させ、ポート45の流路面積を調整することにより、オリフィス特性を調整すると共に、パイロット室44の圧力を調整してバルブ特性を調整することができる。なお、シリンダ下室5Bの圧力が所定圧力に達すると、ピストン19のリリーフ弁25が開弁し、シリンダ下室5Bの圧力をシリンダ上室5Aへ直接リリーフして、減衰力の過度の上昇を防止する。
ガス室11とフリーピストン9とをサブアセンブリ化してガス室カートリッジ3としたことによって、組立性を向上することができる。そして、ベースシェル2内にガス室カートリッジ3、セパレータ4及びシリンダ5を挿入し、ロッドガイド16及びオイルシール17をベースシェル2に嵌合して、オイルシール17をベースシェル2にかしめ、溶接等によって固定することにより、油圧緩衝器1の本体部分を容易に組立てることができる。このとき、オイルシール16を外部からベースシェル2に固定することができるので、油圧緩衝器1の内部で溶接時のスパッタ等の異物が発生することがなく、コンタミネーションの問題を解消して製造品質を高めることができる。また、シリンダ5の内径dに対してガス室11の内径Dの方を大径としたので、ピストン19のストロークに対してフリーピスト9のストロークを小さくでき、油圧緩衝器1としての有効ストロークを大きくすることができる。
ガス室11の内径Dをシリンダ5の内径dよりも大径としたことにより、ピストンロッド20の伸縮によるフリーピストン9の摺動ストロークを小さくすることができ、ガス室11の軸方向の寸法を短縮することができる。また、セパレータ4の中央開口4A及びフリーピストン9の凹部9Aをピストン19の下部に突出するピストンロッド20及びピストンナット21の逃げ部としたことにより、軸方向のスペース効率を高めることができる。その結果、油圧緩衝器1の軸方向の寸法を短縮することができ、省スペース化を実現すると共に、適用車種を拡大することができる。
本発明の一実施形態に係る油圧緩衝器の縦断面図である。
符号の説明
1 油圧緩衝器、2 ベースシェル、3 ガス室カートリッジ、4 セパレータ、5シリンダ、6 環状油路(第1油路)、7 環状油路(第2油路)、9 フリーピストン、11 ガス室、17 オイルシール(封止部材)、19 ピストン、20 ピストンロッド、26 減衰力発生機構

Claims (3)

  1. 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる油液の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構と、高圧ガスが封入されたガス室と、該ガス室に摺動可能に嵌装されたフリーピストンとを備え、前記ガス室内の圧力を前記フリーピストンを介して前記シリンダ内の油液に付与する油圧緩衝器において、
    前記ガス室と前記フリーピストンとをサブアセンブリ化したガス室カートリッジと、前記シリンダと、前記ガス室カートリッジと前記シリンダとの間に介装されるセパレータとを有底筒状のベースシェル内に挿入し、前記ガス室カートリッジと前記ベースシェルとの間に第1油路を形成し、前記シリンダと前記ベースシェルとの間に第2油路を形成して、前記セパレータによって前記第1油路と前記第2油路とを遮断し、前記ベースシェルの開口部に封止部材を固定することによって前記ガス室カートリッジ、前記セパレータ及び前記シリンダを軸方向に固定し、前記ベースシェルの側部に前記減衰力発生機構を取付けて、前記第1油路及び前記第2油路を介して、前記減衰力発生機構と前記シリンダとを連通させることを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 前記ガス室の内径は、前記シリンダの内径よりも大径であることを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。
  3. 前記セパレータは、前記ピストンの突出部に対する逃げ部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧緩衝器。
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